JP3635375B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は複写機またはプリンター等の露光装置として可視光半導体レーザーを用いて画像を形成する画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来電子写真感光体上に一様な帯電を付与した後、スキャナーまたはコンピュータ等の外部信号源からの画像信号により変調されたレーザービームによりデジタル露光してドット像を形成する画像形成方法が知られている。前記レーザービームを出力する装置としては、例えばHe-NeガスレーザーまたはHe-Cdガスレーザー等が知られているがこれらのレーザビーム発振装置はいずれも、装置が大型となり、消費エネルギーが大であると云う欠点がある。
【0003】
そこで小型、低コストで消費エネルギーが小さくて済む半導体レーザーがデジタル複写機またはプリンター等の露光装置として用いられるようになった。
【0004】
他方電子写真感光体として400〜700nmの可視光領域に光吸収特性を有し、高感度特性を有する感光体として、例えば特開昭57-177151号公報等では、Se-Te-As合金から成る蒸着感光層を有する感光体が知られている。しかしながら前記感光層のSe,Te,As等は毒性が強く、環境衛生上有害であり、加工技術が難しくコスト高であり、しかも耐湿性が悪いなどの欠点がある。
【0005】
そこで無害で加工性が容易かつ低コストで、しかも耐湿性に優れた有機感光体の開発が進められており、中でも電荷発生機能を電荷発生物質に、電荷輸送機能を電荷輸送物質に分担させた機能分離型の有機感光体が優れた特性を示している。このような有機感光体では、電荷発生物質及び電荷輸送物質の選択の自由度が大きく、希望する特性に照らして前記各機能を十分発揮できる物質を広い範囲から選択することができる。前記可視光に十分な光吸収特性を有し、高感度特性を発揮することができる電荷発生物質として、例えば特開昭50-70232号、特開昭58-144358号、特開昭60-196772号の各公報記載のビスアゾ顔料、特開昭55-11398号、特開昭58-182639号、特開昭64-17060号の各公報記載のフタロシアニン系顔料等が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記半導体レーザーは、例えば特開昭57-53754号公報等に記載されるように装置の寿命、出力安定性の点から700nmを越えた赤外領域に発振波長を有するものが用いられている。例えばデジタル複写機、プリンター等には780nmの半導体レーザーが主として用いられている。ところでデジタル複写機又はプリンター等では一般に画素密度400dpi以上の画像が要請されており、前記赤外発振レーザーを用いた場合、解像度を上げようとすると、ビーム波長が解像力の限界を越えてしまい、鮮明な画像が得られないと云う問題がある。
【0007】
しかし、この問題を解決するための可視領域に充分な感光性を有し、かつ電子写真性能に優れた有機感光体を得るためには、特に該感光体用の電荷発生物質の開発が難しいという問題がある。
【0008】
さらには前記複写機またはプリンター等で像形成を行うと、可視光でないためレーザーの点燈に気付かず、目を傷めると云う問題もある。
【0009】
そこで700nm以下の可視域、例えば400〜500nmに主たる発振波長を有する青色光半導体レーザー、501〜600nmに主たる発振波長を有する緑色光半導体レーザーまたは601〜700nmに主たる発振波長を有する赤色光半導体レーザーを用いた画像形成装置又は画像形成方法の開発が望まれている。
【0010】
他方有機感光体に用いられる前記ビスアゾ顔料又はフタロシアニン顔料等は可視光を吸収して高感度特性を発揮することができるが、他面長期に亘り繰り返し像形成を行うと疲労劣化すると云う問題がある。前記疲労劣化の問題は通常感光体が高感度となる程悪化し、特に露光手段としてエネルギーの大きいレーザー等を用いた場合により著しい。
【0011】
本発明は前記実情に鑑みて提案されたものであり、その目的とするところは従来の赤外光半導体レーザーに代えて可視光半導体レーザーを用いると共にこれと組合わせて可視光を吸収して高感度、高耐久性の特性を有する感光体を用いることにより、繰り返し像形成の過程で疲労劣化がなく高感度で高解像力の画像形成が可能な画像形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の目的は、電子写真感光体上に帯電、露光、現像及び転写の各工程を含むプロセスを繰り返して像形成を行う画像形成方法において、前記感光体として、導電性支持体上に下記一般式〔1〕又は一般式〔2〕で表され、かつ下記結晶型を有するペリレン顔料を含有する感光層を設けた感光体を用い、かつ前記露光が 400 〜 700nm に主たる発振波長を有するレーザービームを出力する半導体レーザーにより、 10 万回に亘り繰り返し帯電、露光、除電を行ったときの1回目と 10 万回目の電位特性の相違が、暗部電位で 10V 以内であり、前記露光が可視光を出力する半導体レーザーにより行われることを特徴とする画像形成方法により達成される。
【0013】
【化2】
【0014】
ペリレン顔料(例示化合物A−1)の結晶型:Cu−Kα線に対するX線回折スペクトルのブラッグ角2θが6.3±0.2°、12.4±0.2°、25.3±0.2°及び27.1±0.2°にピークを有すると共に、12.4±0.2°に最大ピークを有し、該ピークの半値幅が0.65°以上であり、かつ11.5±0.2°に明瞭なピークを有していない。
【0016】
本発明の画像形成方法は、例えばスキャナーまたはコンピューター等の外部信号源から画像信号により変調された半導体レーザー出力を感光体に書き込み静電潜像を形成し、該潜像を正規または反転現像してドット状のトナー像を形成し、これを転写材上に転写・定着してドット状の画像を形成する画像形成方法による。
【0017】
本発明では前記半導体レーザーとして特に400〜500nmに主たる発振波長を有する青色光半導体レーザー、501〜600nmに主たる発振波長を有する緑色光半導体レーザー又は601〜700nmに主たる発振波長を有する赤色光半導体レーザーを選択して用いると共に、これと組み合わせて特定の化学構造及び結晶構造を有するペリレン顔料を電荷発生物質として含有する有機感光体を用い、それによって繰り返し使用しても感光体の疲労劣化がなく高感度、高耐久性であり、高解像力でシャープなドット画像の形成を可能とした点に特徴がある。
【0018】
前記有機感光体の層構成は、例えば図1に示されるごとき構成である。図中1は導電性支持体、2は電荷発生層(CGL)、3は電荷輸送層(CTL)、5は中間層、6は電荷輸送物質(CTM)、7は電荷発生物質(CGM)を表し、4,4′及び4″はそれぞれCGL−CTL積層型、CTL−CGL積層型及びCTMとCGMが共存する単層型の各感光層を表す。
【0019】
以下代表例として図1(C)の感光体を選びその細部構成を説明する。まず導電性支持体1としては、合金を含めた金属板、金属ドラムまたは導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物や合金を含めたアルミニウム、パラジウム、金等の金属薄層を塗布、蒸着あるいはラミネートして、表面が導電性化された紙、プラスチックドラム、プラスチックフィルム等が挙げられる。接着層あるいはバリア層などの中間層5としては、例えば共重合タイプや変性タイプのアルコール可溶性ポリアミド、その外ポリビニルアルコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの有機高分子物質または酸化アルミニウムなどが用いられ、通常10μm以下、特に1μm以下の膜厚とされる。
【0020】
前記中間層5上に設けられるCGL2には、可視域全域に高い光吸収特性を有する特定のペリレン顔料が含有され、それによって、可視光半導体レーザーを用いた像形成に適合し、高感度でかつ高耐久性の感光体が得られる。前記CGL2は、例えば前記ペリレン顔料から成るCGMと必要によりバインダー樹脂を溶解した分散媒中にミキサー又はグラインダー等の分散機により分散され、得られた分散液は前記中間層5上に塗布加工される。
【0021】
また、他の方法としては、前記顔料を前記支持体1または中間層5上に真空蒸着してCGL2を形成してもよい。
【0024】
なお本発明のペリレン顔料(例示化合物A−1)は、例えば特開昭49-128734号及び特開昭59-59686号の各公報に記載の方法により合成することができる。
【0025】
一般にCGMは高純度であると共に、CGL2中に微粒子状で均一に分散されていることが要請され、そのため本発明に係るペリレン顔料は昇華精製される。また微粒子状で均一分散液とするため強い剪断力で撹拌分散すると結晶が破壊されて損傷し、本来の高感度特性が失われるため、本発明に係るペリレン顔料はアシッドペースト処理を行うのが好ましい。
【0026】
本発明のCGL2の形成に使用される溶媒あるいは分散媒としては、n-ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,2-ジクロロプロパン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ケトン系溶媒を用いた場合に感度、繰り返し使用時の電位変化等が更に良好となる。また、これらの溶媒は単独あるいは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0027】
またCGL2に用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスチレン等が用いられる。本発明はこれらに限定されるものではないがポリビニルブチラール樹脂を用いた場合に感度、繰り返し使用時の電位変化等が更に優れる。これらのバインダー樹脂は、単独であるいは2種以上の混合として用いることができる。
【0028】
以上のようにして形成されるCGL2において、CGMとバインダーとの重量比は好ましくは100:0〜1000である。
【0029】
CGMの含有割合がこれよりも少ないと光感度が低く、残留電位の増加を招く。またCGL2中にCTMを含有する場合には、CGMとCTMとの割合は重量比で10:1〜1000であることが好ましく、特に好ましくは10:1〜100である。
【0030】
さらに形成されるCGL2の膜厚は、好ましくは0.01〜10μmである。
【0031】
塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0032】
次に本発明におけるCTL3について説明する。
【0033】
CTL3はCTMおよび結着樹脂より形成される。本発明に用いられるCTMとしては、特に制限はないが、例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン誘導体、スチルベン化合物、アミン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリ-1-ビニルピレン、ポリ-9-ビニルアントラセン等が挙げられる。
【0034】
CTL3に用いられる結着樹脂としては、広範囲な絶縁性樹脂から適時選択して使用することができる。好ましい結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリビニルアセタール(例えばポリビニルブチラール)等が挙げられる。
【0035】
これらの結着樹脂は単独あるいは2種類以上混合して用いることができる。
【0036】
結着樹脂とCTMとの配合比は100:20〜200とされ、さらには100:30〜150が好ましい。CTL3の膜厚は1〜100μmとされるが、さらに5〜50μmが好ましい。塗布方法としては、CGL2と同様な方法を用いることができる。
【0037】
さらに、CTL3の機能向上を目的として種々の添加剤を含有させることもできる。
【0038】
次に本発明の画像形成方法に用いられる半導体レーザービームを用いた露光装置の1例の概略が図2に示される。図2においてレーザービーム発振装置11から出力されたレーザービームを音響光学変調器12により外部信号Sに対応して変調し得られた変調ビームを八面体の回転多面鏡から成るポリゴンミラー13により偏向させ、結像用f−θレンズ14を通して偏向ビーム15により感光体10上を定速度で走査する。
【0039】
なお16,17はミラー、18はビーム径を整えるためのコリメータレンズである。
【0040】
本発明では前記レーザービーム発振装置11として、従来の赤外光半導体レーザービームに代えて、400〜500nmに主たる発振波長を有する青色光半導体レーザービーム、501〜600nmに主たる発振波長を有する緑色光半導体レーザービーム又は601〜700nmに主たる発振波長を有する赤色光半導体レーザービームを用いる点に特徴がある。
【0041】
前記青色光、緑色光又は赤色光半導体レーザーはディスプレー、バーコードリーダー、ビデオディスク等の技術分野で既に知られている。
【0042】
青色光半導体レーザーに関しては、例えばソニー社で開発された489.9nmに主たる発振波長域を有するものが知られており、該レーザーは周期律表第2族元素Zn,Mgと第VI族元素S,Seの4元素素子を用いて発振される。
【0043】
また例えば松下電器社で開発された429nmに主たる発振波長域を有するものが知られており、該レーザーは858nmの赤外レーザービームからタンタル酸リチウムのSHG素子を使って前記429nmの第2高調波を出力するものとされる。
【0044】
次に緑色光半導体レーザーに関しては、例えば米国スリーエム社で開発された525nmに主たる発振波長域を有するものが知られており、該レーザーはMgを除いた周期律表第2族元素と第4族元素を含む素子を用いて発振される。
【0045】
次に赤色光半導体レーザーに関しては、例えば日立製作所で開発された633nmに主たる発振波長域を有するもので、バーコードリーダー用に商品名HL6312Gで知られている。
【0046】
以下前記本発明に係る感光体及び可視光半導体レーザーを組み込んだ図3の画像形成装置による画像形成方法を説明する。
【0047】
図中10は前記CGMとして特定のペリレン顔料を用いた感光層を有し、矢印方向に回転するドラム状感光体、20は該感光体表面に一様帯電する帯電器、21は図2の可視光半導体レーザー露光装置からの露光レーザービームである。前記レーザー露光装置の変調器12には、例えばY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)及びBK(黒)の各信号Sが像形成体(感光体)の1回転毎に順次出力され、レーザー発振装置11からのレーザービームを変調し、変調されたレーザービームは前記コリメーターレンズ18、ポリゴンミラー13、f−θレンズ14を介して感光体上に順次書き込まれて対応する静電潜像が形成される。前記潜像は感光体10の1回転毎にY,M,C及びBKの各色現像器22,23,24及び25により順次非接触反転現像方式で現像されて前記感光体上にY,M,C及びBKの各トナー像が重ね合わせて形成され、転写除電器26及び露光ランプ27により転写され易くされた後、転写極28により転写紙Pに転写され、定着されてカラー画像が形成される。
【0048】
転写後の感光体10は除電装置29により除電された後クリーニング装置30により除電され次の像形成に備えられる。
【0049】
以上は1例としてカラー画像形成装置を用いて本発明の画像形成方法を説明したが、モノクロ画像形成方法であってもよい。
【0050】
また前記カラー画像形成方法では反転現像方式としたが、正規現像であってもよく、モノクロ画像形成方法では正規現像、反転現像のいずれでもよく、かつ接触現像、非接触現像のいずれであってもよい。
【0051】
なお前記画像形成方法において本発明に係る特定のペリレン顔料は図4に示すように可視域全域に感光性を有するため、半導体レーザーとして前記青色光、緑色光又は赤色光のいずれのレーザーであってもよく、高感度かつ高耐久性で疲労劣化のないシャープなドット画像を形成することができる。
【0052】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明の実施の態様がこれにより限定されるものではない。
【0053】
〔感光体の作製〕
(例示化合物A−1の合成)
ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物39.2g、o-フェニレンジアミン32.4g、α-クロルナフタレン800mlを混合し、260℃で6時間反応させた。放冷後、析出晶を濾取しメタノールで繰り返し洗浄した。加熱乾燥して例示化合物A−1を合成した。
【0054】
(昇華精製処理)
前記のようにして得られた例示化合物A−1は5×10-4〜5×10-3torrの圧力下において500℃の加熱条件下で昇華精製を行った。揮発性の不純物はシャッターを用いて除去した。得られた精製結晶はもう一度同様の昇華処理を行ってさらに高純度化した。このような昇華精製操作を2回繰り返して行ったものを例示化合物A−1の昇華品(SUB)と称する。
【0055】
(アシッドペースト処理)
前記昇華精製された例示化合物A−1 20gを600mlの濃硫酸に溶解した溶液をガラスフィルターで濾過した後、1200mlの純水中に滴下して析出させた。これを濾取し、純水で十分に洗浄してから乾燥させた。こうして得られたものを例示化合物A−1のアシッドペースト処理品(AP品)と称する。
【0056】
(感光体1の作製)
共重合ポリアミド樹脂CM8000(東レ(株))30gをメタノール900mlと1-ブタノール100mlの混合溶媒中に投入し溶解した。この液を用いて、外径181.9mm、長さ353mmのアルミニウムドラム上に、浸漬塗布し、厚さ0.5μmの中間層を形成した。続いて、ポリビニルブチラール樹脂エスレックBLS(積水化学(株))6gをメチルエチルケトン(関東化学(株))1000ml中に溶解し、更に前述の方法で得た例示化合物A−1のAP品28gを混合した後、直径1mmのガラスビーズ2000gと共にサンドミル(SD)を用いて15時間分散を行い、分散液を得た。この分散液を用いて前記中間層上に浸漬塗布して厚さ0.5μmのCGLを形成した。
【0057】
この時、得られた分散液をガラスプレート上に複数回塗布し、乾燥させることにより約200μmの厚さを持つ乾固膜を作成し、CuKα線を用いたX線回折測定を行ったところブラッグ角2θが、6.3°,12.4°,25.3°,27.1°にピークを有し12.4°のピーク強度が最大であると同時に同ピークの半値幅が0.65°であり、かつ11.5°に明瞭なピークを示さない結晶であることがわかった。
【0058】
その後、下記化合物T 200gと重合体B 200gをジクロロメタン(関東化学(株))1000ml中に溶解した。この液を用いて、前記CGL上に浸漬塗布により厚さ20μmのCTLを形成した。
【0059】
最後に、100℃で1時間加熱乾燥し、中間層、CGL、CTLを順次積層してなる感光体1を作製した。なお前記X線回折スペクトル(XRD)は図5(イ)に示される。
【0060】
【化4】
【0061】
(感光体2の作製)
前記分散液1の溶媒メチルエチルケトンに代えて1,2-ジクロルエタンを用いると共に、分散用サンドミルのガラスビーズ量を2500gとし、20時間分散して得た分散液2を用いてCGLを形成した他は感光体1と同様にして感光体2を得た。
【0062】
前記分散液2のX線回折スペクトルを測定したところ、表1の如く12.4°のピーク強度が最大であり、該ピークの半値幅が0.94°であり、かつ11.5°に明瞭なピークを示さないことがわかった。
【0063】
(感光体3の作製)
前記分散液1の溶媒メチルエチルケトンに代えてテトラハイドロフランを用いると共に分散用サンドミルのガラスビーズの量を1500gとし、10時間分散して得た分散液3を用いてCGLを形成した他は感光体1と同様にして感光体3を得た。
【0064】
前記分散液3のX線回折スペクトルを測定したところ、表1の如く12.4°のピーク強度が最大であり、該ピークの半値幅が0.68°であり、かつ11.5°に明瞭なピークを示さないことがわかった。
【0065】
(感光体4の作製)
前記分散液1の分散手段であるサンドミルに代えて超音波分散器(US)を用いて5時間分散を行い、得られた分散液4を用いてCGL形成した他は感光体1と同様にして比較用感光体4を得た。
【0066】
前記分散液4のX線回折スペクトルを測定したところ、表1の如く12.4°のピーク強度が最大であり、該ピークの半値幅が0.60°である外、11.5°に明瞭なピークを示すことがわかった。
【0067】
(感光体5の作製)
前記分散液1の例示化合物A−1のAP品に代えて例示化合物A−1の昇華品(SUB)を含有させた分散液5を用いてCGLを形成した他は感光体1と同様にして比較用感光体5を得た。
【0068】
前記分散液5のX線回折スペクトルを測定したところ、表1の如く12.4°に最大ピーク強度を有せず、27.1°に最大ピーク強度を有し、前記12.4°ピークの半値幅が0.68°で、11.5°には明瞭なピークを示さないことがわかった。
【0069】
なお分散液5を用いて感光体1の場合と同様にして測定されたX線回折スペクトル(XRD)が図5(ロ)に示されている。
【0070】
【表1】
【0071】
〔像形成テスト〕
〈電位特性測定〉
レーザー装置に青色半導体レーザーL1を用い、感光体として感光体1を装着してなるKonica9028(コニカ(株)社製)の改造機を用い、10万回に亘り繰り返し帯電→露光→除電を行ったときの1回目と10万回目の電位特性の測定を行った。
【0072】
この測定は20℃、RH60%の雰囲気下で行われ、Y,M,C及びBKの各現像器を取りはずし、転写装置、クリーニング装置を不作動とし、Y現像器の位置に電位計プローブを設置して暗部電位VH、明部電位VL及び残留電位Vrを測定し、その結果を表2に示した。
【0073】
〈解像力の測定〉
前記改造機の変調器(図2参照)に図6(イ)の1画素毎のON-OFF(400dpiのとき黒線約8本mm)、2画素毎のON-OFF(黒線約6本/mm)及び3画素毎のON-OFF(黒線約4本/mm)の3種のパターン信号を外部メモリーから出力し、該信号により変調された前記レーザーL1により前記感光体1をビーム走査して前記3種のパターン信号に対応する静電潜像を形成し、該潜像をBK現像器により現像してプリント像を形成した。このプロセスを1万回に亘って繰り返し行い、1プリント目と1万プリント目のプリント像の解像力(MTF)を測定した。
【0074】
前記MTFは図6(ロ)に示すようにプリント像の最低濃度D1と最高濃度D2をMacbeth社製マイクロデンシトメーターにより測定し、
式 MTF={(D2−D1)/(D1+D2)}×100%により求めた。
【0075】
なお前記D1、D2の測定は、プリント像2mm幅内の全黒線について測定し、その平均値からMTFを求めた。
【0076】
また感光体1の解像力の評価は前記のようにして得られた各コピー像のMTFの値が図6(ハ)のように50%以上を「○」とし、50%未満を「×」とし、「○」,「×」方式で行われ、その結果を表2に示した。
【0077】
〈カラー画質の測定〉
前記改造機の原稿台にカラー原稿を載置し、1万回に亘りカラーコピーを行い、1コピー目と1万コピー目の画質を「○」,「×」方式で目視判定し、その結果を表2に示した。
【0078】
(実施例2〜5及び比較例1〜3)
感光体及び半導体レーザーを表2の如く変化した他は実施例1と同様にして繰り返し帯電、露光、除電を行ったときの電位特性の測定、解像力の測定及びカラー画像実写テストを行い、その結果を表2に示した。
【0079】
【表2】
【0080】
表2から本発明の感光体と可視光レーザーを組み合わせて用いた実施例では電位特性、解像力、カラー画質のいづれもすぐれているが、本発明に属さない感光体を用いるか又は赤外光レーザーを用いた比較例では、電位特性が悪く、かつ特に繰り返し使用後の解像力及びカラー画質が悪いことが理解される。
【0081】
【発明の効果】
本発明の感光体及び該感光体と可視光半導体レーザーを用いる本発明の画像形成方法によれば、像形成の過程で、感光体の高電位、高感度の特性が持続され、残留電位の増大がなく、長期に亘り高解像力で良質の画像が安定して得られる等の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】感光体の層構成を示す断面図。
【図2】レーザー装置の概略図。
【図3】画像形成装置の1例を示す断面図。
【図4】ペリレン顔料の分光吸収特性を示すグラフ。
【図5】(イ)本発明のペリレン顔料のX線回折スペクトル図。
(ロ)比較用ペリレン顔料のX線回折スペクトル図。
【図6】(イ)MTF測定用テストパターン。
(ロ)MTF測定用テストパターンのプリント像。
(ハ)画素密度とMTFとの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 電荷発生層(CGL)
3 電荷輸送層(CTL)
4,4′,4″ 感光層
10 感光体
11 レーザー発振装置
12 変調器
13 ポリゴンミラー
14 f−θレンズ
20 帯電器
22,23,24,25 現像器
26 除電器
27 除電ランプ
28 転写極
29 除電装置
30 クリーニング装置
Claims (6)
- 電子写真感光体上に帯電、露光、現像及び転写の各工程を含むプロセスを繰り返して像形成を行う画像形成方法において、前記感光体として、導電性支持体上に下記一般式〔1〕又は一般式〔2〕で表され、かつ下記結晶型を有するペリレン顔料を含有する感光層を設け、かつ前記露光が400〜700nmに主たる発振波長を有するレーザービームを出力する半導体レーザーにより、10万回に亘り繰り返し帯電、露光、除電を行ったときの1回目と10万回目の電位特性の相違が、暗部電位で10V以内である感光体を用い、
前記露光が可視光を出力する半導体レーザーにより行われることを特徴とする画像形成方法。
- 前記露光が、400〜500nmに主たる発振波長を有するレーザービームを出力する半導体レーザーにより行われることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 前記露光が、501〜600nmに主たる発振波長を有するレーザービームを出力する半導体レーザーにより行われることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 前記露光が、601〜700nmに主たる発振波長を有するレーザービームを出力する半導体レーザーにより行われることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 前記ペリレン顔料が前記一般式〔1〕及び一般式〔2〕で表される化合物の混合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記電子写真感光体上に帯電、露光、現像及び転写の各工程を含むプロセスを繰り返してカラー像形成を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成方法。
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