JP3635069B2 - 乳化重合系ポリマーの製造方法および製造装置 - Google Patents

乳化重合系ポリマーの製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳化重合系ポリマーの製造方法および製造装置に関し、詳しくは、洗浄・脱水工程で発生する排水量が少なく、洗浄・脱水工程が簡略化され、洗浄・脱水工程の時間が短縮された乳化重合系ポリマーの製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、乳化重合系ポリマーは、乳化重合法によってポリマーを含むポリマーラテックスを製造する重合工程、ポリマーラテックス中のポリマーを凝集させてポリマースラリーとする凝固工程、洗浄と脱水を繰り返しながらポリマースラリーから水、凝集剤等を取り除き、最終的に含水率の低い脱水物を得る洗浄・脱水工程、脱水物を乾燥させて粉粒体にする乾燥工程を経て製造されている。
【0003】
図7は、従来の乳化重合系ポリマーの製造装置において前記洗浄・脱水工程を行う、洗浄・脱水手段を示す概略構成図である。この洗浄・脱水手段は、凝固工程から送られてきたポリマースラリーを洗浄、脱水して湿粉を得る真空濾過機11と、湿粉に水を加えて再度ポリマースラリーを得るリスラリー槽12と、リスラリー槽12から送液ポンプ13によって供給されたポリマースラリーを脱水して脱水物(脱水ケーキ)を得る遠心脱水機14とを具備して概略構成されるものである。
【0004】
ここで、真空濾過機11は、2本の平行なロール15,16と、ロール15およびロール16にかけられて、これらの間で循環する濾布17と、上側の濾布17の直下に濾布17の進行方向に沿って配置された真空引き口18,19,20と、真空引き口18,19,20に接続された真空ポンプ21,22,23と、真空引きが真空引き口18から真空引き口19に移った直後の濾布17上に洗浄水を供給する洗浄水供給口24と、真空引きが真空引き口19から真空引き口20に移った直後の濾布17上に洗浄水を供給する洗浄水供給口25とを具備して概略構成されるものである。
【0005】
この洗浄・脱水手段においては、凝固工程から送られてきたポリマースラリーは、真空濾過機11にて、真空引き口18からの真空引きにて脱水され、次いで、洗浄水供給口24からの洗浄水で洗浄されながら真空引き口19からの真空引きにて脱水され、さらに、洗浄水供給口25からの洗浄水で洗浄されながら真空引き口20からの真空引きにて脱水されて湿粉となり、この湿粉は、リスラリー槽12にて水を加えられて再度ポリマースラリーとなり、このポリマースラリーは、送液ポンプ13によって遠心脱水機14に供給された後、脱水されて脱水物(脱水ケーキ)となり、この脱水物は、次の乾燥工程へと送られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この洗浄・脱水手段においては、真空濾過機11で得られる湿粉に水を加えて再度ポリマースラリーとし、これをさらに脱水しているため、遠心脱水機14からの排水量が多いという問題があった。また、真空濾過機11で使用される洗浄水の量が多く、それに伴い排水量がさらに多くなるという問題があった。
【0007】
また、遠心脱水機14における脱水対象物であるポリマースラリーは、含水率が高く、脱水に時間がかかるため、時間当たりに得られる脱水物量が少ないという問題を有していた。時間当たりに得られる脱水物量を増やすために、遠心脱水機14に供給するポリマースラリーの量を増やすと、遠心脱水機14内でポリマースラリーにかかる遠心力が大きくなりすぎ、遠心脱水機14の回転筒(バスケット、図示略)が異常振動を起こすとともに、大きくなりすぎた遠心力によってポリマースラリー中のポリマーの微粉化が生じるため、最終的に得られる粉粒状の乳化重合系ポリマーのフリーフロー性が悪化し、微粉によるブロッキングが発生するなど、粉体性状が悪化することがあった。また、脱水物に微粉が含まれていると、乾燥工程で圧搾脱水を行った場合に、圧搾脱水機による乾燥効率が低下し、乳化重合系ポリマーの生産性が悪くなるという問題もあった。
【0008】
よって、本発明の目的は、洗浄・脱水工程で発生する排水量が少なく、洗浄・脱水工程が簡略化され、洗浄・脱水工程の時間が短縮された乳化重合系ポリマーの製造方法および製造装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、粉体性状が良好な粉粒状の乳化重合系ポリマーを、生産性よく製造する乳化重合系ポリマーの製造方法および製造装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の乳化重合系ポリマーの製造方法は、乳化重合法によって得られるポリマーラテックス中に含まれるポリマーを凝集させてなるポリマースラリーを、洗浄、脱水した後、乾燥させる乳化重合系ポリマーの製造方法において、前記ポリマースラリーを、真空濾過によって洗浄、脱水し、引き続き、真空濾過によって得られた湿粉を遠心脱水機によって脱水することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の乳化重合系ポリマーの製造方法においては、遠心脱水機において湿粉にかかる遠心力が、60〜250kNの範囲であることが望ましい。
また、本発明の乳化重合系ポリマーの製造方法においては、真空濾過による洗浄排水および/または脱水機からの排水を、真空濾過における洗浄水の一部として使用することが望ましい。
【0011】
また、本発明の乳化重合系ポリマーの製造装置は、乳化重合法によって得られるポリマーラテックス中に含まれるポリマーを凝集させてなるポリマースラリーを、洗浄、脱水する真空濾過機と、真空濾過機によって得られた湿粉を脱水する遠心脱水機とを具備することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の乳化重合系ポリマーの製造装置は、乳化重合法によってポリマーを含むポリマーラテックスを製造する重合手段、ポリマーラテックス中のポリマーを凝集させてポリマースラリーとする凝固手段、洗浄と脱水を繰り返しながらポリマースラリーから水、凝集剤等を取り除き、最終的に含水率の低い脱水物を得る洗浄・脱水手段、および脱水物を乾燥させて粉粒体にする乾燥手段を具備する製造装置において、前記洗浄・脱水手段に特徴を有するものである。
【0013】
図1は、本発明の乳化重合系ポリマーの製造装置における洗浄・脱水手段の一例を示す概略構成図である。この洗浄・脱水手段は、凝固工程から送られてきたポリマースラリーを洗浄、脱水して湿粉を得る真空濾過機30と、真空濾過機30から湿粉移送手段31によって供給された湿粉を脱水して脱水物(脱水ケーキ)を得る遠心脱水機14と、真空濾過機30の洗浄排水の一部を真空濾過機30に戻す回収流路32と、遠心脱水機14の排水を真空濾過機30に送る回収流路33を具備して概略構成されるものである。
【0014】
真空濾過機30は、2本の平行なロール15,16と、ロール15およびロール16にかけられて、これらの間で循環する濾布17と、上側の濾布17の直下に濾布17の進行方向に沿って配置された真空引き口18,19,20と、真空引き口18,19,20に接続された真空ポンプ21,22,23と、真空引きが真空引き口18から真空引き口19に移った直後の濾布17上に、真空ポンプ23および遠心脱水機14から回収流路32,33を通って戻された排水をリサイクル洗浄水として供給するリサイクル洗浄水供給口34と、真空引きが真空引き口19から真空引き口20に移った直後の濾布17上に洗浄水を供給する洗浄水供給口25とを具備して概略構成されるものである。
【0015】
遠心脱水機14としては、バスケット型、デカンタ型など、従来より公知の遠心脱水機、遠心分離機を用いることができる。図2は、遠心脱水機14の一例を示す断面図であり、この遠心脱水機14は、モータ(図示略)によって回転する回転主軸41と、回転主軸41の先端に、中心軸が回転主軸41と同一となるように固定された円筒形の回転筒42(バスケット)と、回転筒42の内壁面に沿って配置された、固液分離を行う円筒形のスクリーン43と、回転主軸41内に挿通され、ピストン(図示略)によって軸方向に摺動可能とされた押出軸44と、押出軸44の先端に固定され、スクリーン43の内壁面に堆積した脱水物(脱水ケーキ)を押し出す押出板45と、複数の支持棒46によって押出板45に平行に支持された分散板47と、回転筒42全体を覆い、下部に脱水された水を排出する排水口48および回転筒42から押し出された脱水物を排出する排出口49が設けられたケーシング50と、回転筒42内に脱水対象物(湿粉)を供給する供給管51とを具備して概略構成される押出式遠心脱水機である。
【0016】
遠心脱水機14のスクリーン43としては、例えば、円筒形ワイヤスクリーン、円筒形プレートスクリーンなど、従来の遠心脱水機、遠心分離機に用いられるスクリーンを用いることができる。また、遠心脱水機としては、特開平3−135459号公報に示されるような、回転筒(バスケット)が2重構造である、すなわち外円筒バスケットおよびこれと同軸に配設された内円筒バスケットとを有する遠心脱水機であってもよい。
【0017】
湿粉移送手段31は、真空濾過機30から遠心脱水機14へ湿粉を移送できるものであれば、特に限定はされない。湿粉移送手段31としては、例えば、スクリュコンベア、ベルトコンベアなどを用いることができる。
【0018】
本発明の乳化重合系ポリマーの製造装置における重合手段は、乳化重合法によってポリマーを含むポリマーラテックスを製造するものであればよく、特に限定はされない。このような重合手段としては、従来から公知の重合装置を用いることができ、例えば、攪拌機を備えた重合槽などが挙げられる。また、ゴム状重合体に硬質重合体形成性単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体を製造する場合には、例えば、ゴム重合槽および1つ以上のグラフト重合槽を具備した重合装置を用いることができる。
【0019】
本発明の乳化重合系ポリマーの製造装置における凝固手段は、ポリマーラテックス中のポリマーを凝集させてポリマースラリーとするものであればよく、特に限定はされない。このような凝固手段としては、従来から公知のものを用いることができ、例えば、攪拌機を備えた凝固槽などが挙げられる。また、凝固手段は、凝固槽を複数具備したものであってもよい。
【0020】
本発明の乳化重合系ポリマーの製造装置における乾燥手段は、洗浄・脱水された脱水物を乾燥させて粉粒体にするものであればよく、特に限定はされない。このような乾燥手段としては、従来から公知の乾燥機を用いることができ、例えば、気流乾燥機、流動乾燥機、熱風乾燥機、圧搾脱水押出機などが挙げられる。また、これら乾燥機を複数組み合わせて用いてもよい。
【0021】
次に、本発明の乳化重合系ポリマーの製造方法を、乳化重合系ポリマーとしてグラフト共重合体を例にとり説明する。
まず、ゴム重合槽において得られたゴム状重合体をグラフト重合槽に移し、ゴム状重合体に硬質重合体形成単量体を配合し、公知の乳化重合法によってグラフト共重合体ラテックスを得る。
【0022】
ついで、グラフト重合槽からグラフト共重合体ラテックスを、凝集工程の第一槽に供給し、これに凝集剤を加え、グラフト共重合体ラテックス中のグラフト共重合体を凝集させる。この凝集グラフト共重合体ラテックスを第二槽に供給し、1段目の凝集によって凝集しなかったグラフト共重合体を完全に凝集させるために必要な量の凝集剤を追加投入することによって、2段目の凝集を行わせて凝集を完結させ、グラフト共重合体スラリーを得る。
【0023】
さらに、第三槽、第四槽において加温し固化を行い、グラフト共重合体スラリーを得る。
【0024】
凝固工程から送られてきたグラフト共重合体スラリーを、真空濾過機30にて、真空引き口18からの真空引きにて脱水し、ついで、洗浄水供給口34からのリサイクル洗浄水で洗浄しながら真空引き口19からの真空引きにて脱水し、さらに、洗浄水供給口25からの洗浄水で洗浄しながら真空引き口20からの真空引きにて脱水し、湿粉を得る。引き続き、この湿粉を湿粉移送手段31によって遠心脱水機14に移送した後、脱水し、脱水物(脱水ケーキ)を得る。
ここで、真空濾過機30におけるリサイクル洗浄水としては、真空ポンプ23および遠心脱水機14から回収流路32,33を通って戻された排水を使用する。
【0025】
遠心脱水機14からの脱水物を、必要に応じてミル、解砕機等で粉砕した後、気流乾燥機で乾燥し、ついで、流動乾燥機でさらに乾燥することにより、粉粒状のグラフト共重合体を得る。
【0026】
ゴム重合槽で得られるゴム状重合体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ポリオルガノシロキサン等の単量体の単独重合体もしくは共重合体、または該単量体と共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。共重合可能な単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート等のアルキルの炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物;アリルアクリレート、アリルメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0027】
グラフト重合槽におけるグラフト重合に使用される硬質重合体形成性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物等が挙げられる。これらの単量体は、単独あるいは2種以上で用いられる。
【0028】
グラフト重合槽においては、ゴム状重合体100質量部に対して、乳化剤0.01〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部と、開始剤0.1〜10質量部を配合し、乳化重合することが好ましい。乳化剤としては、例えば、アルケニルコハク酸塩、リン酸エステル塩、脂肪酸塩、硫酸エステル塩、エーテルカルボン酸塩等が用いられる。また、開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸化合物;過塩素酸化合物、過ホウ酸化合物または過酸化物と還元性スルホキシ化合物との組み合わせからなるレドックス系開始剤等が用いられる。また、連鎖移動剤として、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類などを用いてもよい。
【0029】
凝固工程において、グラフト共重合体ラテックス中に含まれるグラフト共重合体を凝集させるために用いられる凝集剤としては、乳化剤の種類および量によって選択されるが、弱酸の塩を主体とする乳化剤の場合は、有機酸または無機酸が好適に用いられ、また、上述したもの以外を主体とする乳化剤の場合には、有機塩または無機塩が好適に用いられる。さらにこれらが、水溶液として用いられることが好ましい。有機酸としては、酢酸、ギ酸、アクリル酸等が挙げられ、無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等が挙げられる。また、有機塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、ギ酸カリウム、ギ酸カルシウム等が挙げられ、無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0030】
第三槽・第四槽における固化温度は、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上であり、熱処理時間は、好ましくは10分以上、さらに好ましくは20〜30分程度である。熱処理温度が80℃未満、もしくは熱処理時間が10分未満であると、得られる脱水物(脱水ケーキ)の含水率が高くなり、乾燥処理に長時間を要することになるため、生産効率に劣り、製造コストが高くなる等、生産性の低下を招くことがある。
【0031】
真空濾過機30における洗浄水の水量は、グラフト共重合スラリーの量、種類などによって適宜設定され、特に限定はされない。また、洗浄水の水温も、特に限定はされないが、通常20〜80℃の範囲である。
また、真空濾過機30における脱水は、得られる湿粉の含水率が、通常40〜150質量%の範囲となる条件で行われる。
【0032】
遠心脱水機14において湿粉にかかる遠心力は、60kN〜250kNの範囲であることが好ましく、より好ましくは100kN〜240kNの範囲であり、さらに好ましくは、120kN〜220kNの範囲である。遠心力が60kN未満では、脱水に時間がかかり、時間当たりに得られる脱水物量が少なくなる。一方、遠心力が250kNを超えると、遠心脱水機14内で湿粉にかかる遠心力が大きくなりすぎ、遠心脱水機14の回転筒42が異常振動を起こすとともに、大きくなりすぎた遠心力によって湿粉中のグラフト共重合体の微粉化が生じるため、最終的に得られる粉粒状のグラフト共重合体のフリーフロー性が悪化し、微粉によるブロッキングが発生するなど、粉体性状が悪化するおそれがある。また、脱水物に微粉が含まれていると、乾燥工程で圧搾脱水を行った場合に、圧搾脱水機による乾燥効率が低下し、グラフト共重合体の生産性が悪くなるおそれもある。ここで、微粉とは、相対的な位置づけになるが具体的には粒径が212μm以下あるいは80μm以下の粉体を指す。
【0033】
以上説明した乳化重合系ポリマーの製造装置および製造方法によれば、遠心脱水機14に供給される脱水対象物が、従来のように含水率のかなり高いポリマースラリーではなく、真空濾過機30によってあらかじめ予備脱水された比較的含水率の低い湿粉であるので、湿粉にかかる遠心力が従来と同じとなるような条件で遠心脱水機14を運転しても、時間当たりに得られる脱水物量は、従来のポリマースラリーの脱水によって得られる量よりも多くなり、洗浄・脱水工程の時間が短縮される。そして、従来のように時間当たりに得られる脱水物量を無理矢理多く設定し遠心脱水機14を運転する必要がなくなるので、湿粉にかかる遠心力が、回転筒42の異常振動や乳化重合系ポリマーの微粉化などの問題が発生する範囲、具体的には250kNを超える範囲になることはない。
【0034】
また、遠心脱水機14に供給される脱水対象物が、含水率のかなり高いポリマースラリーではなく、比較的含水率の低い湿粉であるので、遠心脱水機14からの排水が減る。また、リスラリー槽が不要となるので、洗浄・脱水工程が簡略化され、設備にかかるコストを削減できる。また、リスラリー槽にて湿粉を再びポリマースラリーにする必要がないので、リスラリー化の時間が不要となり、さらに洗浄・脱水工程の時間が短縮される。
また、真空ポンプ23および遠心脱水機14から回収流路32,33を通って真空濾過機30に戻された排水をリサイクル洗浄水として再利用しているので、真空濾過機30における洗浄水の使用量を減らすことができ、しかも、洗浄・脱水工程で発生する排水の量も減らすことができる。
【0035】
なお、本発明の乳化重合系ポリマーの製造装置における洗浄・脱水システムは、ポリマースラリーを、真空濾過によって洗浄、脱水し、引き続き、真空濾過によって得られた湿粉を遠心脱水機によって脱水するものであればよく、図示例のものに限定されない。例えば、遠心脱水機は、図示例の遠心脱水機に限定はされず、従来よりポリマースラリーの脱水に使用されている遠心脱水機であれば、どのようなものでも本発明に適用可能である
【0036】
また、真空濾過機も、ポリマースラリーを真空濾過によって洗浄、脱水するものであればよく、図示例のものに限定されない。図示例の真空濾過機は、真空引きによる脱水を3回および脱水の間で洗浄を2回行うものであるが、例えば、脱水を2回および脱水の間で洗浄を1回行うものであってもよく、脱水を4回以上および脱水の間で洗浄を3回以上行うものであってもよい。また、真空濾過機で使用される洗浄水にリサイクル洗浄水を必ずしも用いる必要はない。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、本実施例では、「部」および「%」は、特に断りがない限り、「質量部」および「質量%」を意味する。
また、本実施例においては、遠心脱水機で得られた脱水物の含水率、平均粒径、微粉の割合;圧搾脱水押出機の限界処理量;流動乾燥後の乳化重合系ポリマーのフリーフロー性および耐ブロッキング性を下記の方法で評価した。
【0038】
[含水率]
脱水物約5gを精秤(W )後、180℃にて1時間熱風乾燥して乾燥重量(W )を測定し、以下の式で求めた。
含水率(質量%)=〔(W −W )/W 〕×100
[平均粒径]
目開き63μm、106μm、212μm、300μm、500μm、850μm、1400μm、2000μmの篩いを目開きの大きいものが上となるように順に重ね、最下段に受け皿を置いた。脱水物を75℃で24時間乾燥させて得られた乾粉約10gを重ねた篩いの最上段に入れ、篩いを電動振動機にかけて乾粉の篩い分けを行った。その後、各段の篩いの上にある粉体の質量を測定し、篩いの目開き下を通過した質量を積算し試料質量に対する粒径平均値を求めた。
[微粉の割合]
平均粒径の測定と同じ手順で行い、目開き212μmの篩い、あるいは目開き80μmの篩いを通過した粉体質量から、試料質量に対する割合を求めた。
【0039】
[圧搾脱水押出機の限界処理量]
圧搾脱水押出時のスクリュー回転数を一定にして、徐々に脱水物の供給量を増やしていき、圧搾脱水押出機の脱水用スリットから排出される水が出なくなった時の脱水物処理量(ドライベース)を限界処理量とした。
【0040】
圧搾脱水押出機としては、東芝機械(株)製、TEM−35Bを使用した。(二軸型方式、バレル口径:35mm、スクリュー長:1244mm、スクリュー回転数:50〜400rpm、脱水用スリット間隙:0.2mm)
この二軸圧搾脱水押出機は、図3に示すような、総数10個のバレルブロックからなるバレル101の内部に、2本の同一形状を持つスクリューが互いに噛み合った状態で軸芯を平行にして挿入され、それらの基端は変速機能を備える駆動源に連結されている。
【0041】
バレル101における、バレルブロックNo.1、No.3、No.4、No.6、No.8、No.9およびNo.10は、通常の二軸押出機に使用されるものと同一構造のものであり、格別の構造を有しないバレルブロックである。バレルブロックNo.2、No.5およびNo.7の側面には液体のみを通すようなスリット間隔をもつ脱水用スリット104、105および106がそれぞれ形成されている。また、バレルブロックNo.8およびNo.10にはそれぞれ第1脱気口および第2脱気口が設けられている。そして、バレルブロックNo.1の上面の原料投入口102には、ホッパー103が取り付けられ、ホッパーの上方には原料投入装置(図示略)が配設されている。また、二軸圧搾脱水押出機の先端部にはダイス109が取り付けられている。また、図中、符号TR−1、TR−2およびTR−3は、樹脂温度測定用熱電対である。
【0042】
図4は、バレル101に挿入されるスクリュー110を示す図である。図中、Sはねじれ方向が右回りのスクリューブロック、Lはねじれ方向が左回りの逆ねじスクリューブロック、Nはねじれ方向が右回りのニーディングディスクブロックを示す。また、図中、ブロックの各数字は、スクリューブロックについては、上段/下段=ブロック長/リード長(個数)を示し、ニーディングディスクブロックについては、上段/下段=ブロック長/枚(個数)を示す。
【0043】
[フリーフロー性]
図5は、フリーフロー性の評価に使用された測定器であり、この測定器は、受け皿120がセットされる台座121と、筒口にシャッター122が設けられたロート123と、台座121の上方にロート123を保持する支持具124と、支持具124が固定された支柱125とから構成されるものである。この測定器を用いたフリーフロー性の評価は、以下のようにして行った。
まず、測定器を水平な場所に設置し、ロート123のシャッター122を閉じ、ロート123に100gの粉体を均一に入れた。
ついで、シャッターを開けて粉体を落下させ、すぐに台座121上にあらかじめ風袋が測定された受け皿120をセットした。受け皿120のセットと同時に、ストップウォッチで時間の計測を始め、10秒後に受け皿120を測定器から外した。粉体の入った受け皿を計量し、10秒間に落下した粉体の量を求めた。
以上の測定を2回行い、10秒間に落下した粉体の量の平均値を求め、これをフリーフロー性(g/10秒)とした。
【0044】
[耐ブロッキング性]
図6は、耐ブロッキング性評価用のサンプルを作製する器具である。試料20gを底フタ131を有する円筒状のケース132に入れ、試料の上に上フタ133を被せ、この上に、重り台134を介して5kgの重り135を乗せ、試料に重り135の荷重(圧力:20kPa/cm )をかけながら、サンプル作製器具ごと50℃のギアオーブンに入れて6時間加熱し、ブロック状のサンプルを作製した。サンプル作製後、室温まで冷まし、振とう機を用い、#10メッシュ(目開き1.7mm)の上にサンプルを載せて振とうさせた。振とうさせることでサンプルであるブロックを崩していき、時間とブロックの崩れた量(受け皿にある粉量)を測定した。60%のブロック(14g)が壊れた時間を60%破砕時間として、耐ブロッキング性を評価した。
【0045】
[ポリマースラリーの製造]
また、本実施例で使用したポリマースラリーは、以下のようにして製造した。
(ポリマースラリーA)
反応器内に、メチルメタクリレート85部、ブチルメタクリレート15部、tert−ドデシルメルカプタン0.003部、アルケニルコハク酸カリウム1.5部および脱イオン水190部を仕込み、反応器内を窒素で置換した後、反応器内を攪拌しながら昇温を開始した。反応器内の温度が40℃に到達した時点で、過硫酸カリウム2.0部および脱イオン水10部の混合物を反応器内に投入して重合を開始した。攪拌しながら重合を開始し、重合終了後200分保持した後、得られたポリマーラテックスを反応器から取り出した。
得られたポリマーラテックスに0.2%硫酸水溶液を添加してポリマーを凝集させ、90℃の熱処理にて凝固させてポリマースラリーAを得た。
【0046】
(ポリマースラリーB)
ステンレススチール製反応容器に脱イオン水300部を仕込んだ後、加熱し内温が80℃になった時点で下記組成割合の混合物(a)を投入した。
混合物(a):脱イオン水5.0部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート二水塩(以下、ロンガリットという)0.48部、硫酸第1鉄0.4×10−6部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム1.2×10−6
【0047】
15分間保持後、あらかじめ窒素置換しておいた下記組成割合の混合物(b)を2時間かけて滴下し、80℃に保ったまま1時間重合した。得られたラテックスの重合率は99%以上であった。
混合物(b):メチルメタクリレート21.6部(54.0%)、スチレン2.0部(5.0%)、n―ブチルアクリレート16.4部(41.0%)、1,3−ブチレンジメタクリレート1.2部、マレイン酸ジアリル0.14部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.08部、モノ−n−ペンチルフェニルヘキサオキシエチレンリン酸ナトリウムとジ−n−ペンチルフェニルヘキサオキシエチレンリン酸ナトリウムの1:1混合物(以下「乳化剤A」という)1.20部
【0048】
引き続き上記反応器内に下記組成割合の混合物(c)を投入し15分間保持した後、あらかじめ窒素置換しておいた下記組成割合の混合物(d)を3時間かけて滴下し、さらに3時間重合して多層構造のアクリル系ゴム状弾性体ラテックスを得た。得られたラテックスの重合率は99%以上で、粒子径は0.25μmであった。
混合物(c):ロンガリット0.2部、脱イオン水5.0部
混合物(d):スチレン10.0部(16.7%)、n―ブチルアクリレート50.0部(83.3%)、1,3−ブチレンジメタクリレート0.2部、マレイン酸ジアリル1.0部、クメンハイドロパーオキサイド0.17部、乳化剤A1.8部
【0049】
次に上記反応器内に下記組成割合の混合物(e)を投入し30分間保持した後、あらかじめ窒素置換しておいた下記組成割合の混合物(f)を2時間かけて滴下し、さらに1時間重合してアクリル系多層構造重合体ラテックス(L−1)を得た。得られたラテックス(L−1)の重合率は99%以上で、粒子径は0.27μmであった。
混合物(e):ロンガリット0.2部、脱イオン水5.0部
混合物(f):メチルメタクリレート95.0部(95%)、メチルアクリレート5.0部(5%)、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.15部、n−オクチルメルカプタン0.25部
ステンレス製容器に凝固剤溶液として1.8%酢酸カルシウム水溶液を仕込み、混合撹拌下90℃に昇温し、先に製造したラテックス(L−1)をこの容器内に連続的に添加し、その後30分間保持した。室温まで冷却しポリマースラリーBを得た。
【0050】
[実施例1]
真空濾過機として、図1に示す真空濾過機30を用いて、ポリマースラリーAの洗浄、脱水を行った。真空濾過機へのポリマースラリーAの供給量を1000kg/hrとし、1段階目のリサイクル洗浄水の水量を3000L/hr、2段階目の洗浄水の水量を2000L/hrとした。真空ポンプの運転は、100kPa減圧になるようにして行った。
リサイクル洗浄水としては、2段階目の洗浄の排水および後述の遠心脱水機の排水を用い、リサイクル洗浄水の温度は30〜50℃とした。また、2段階目の洗浄水としては、純水を用い、洗浄水の温度は20℃とした。
【0051】
真空濾過機で得られた湿粉を、スクリューコンベアで遠心脱水機に送り、5分間脱水を行った。遠心脱水機としては、バスケットの半径が0.8mである月島機械製のP−60/2型を用いた。脱水処理した湿粉の量は28kgであり、バスケットの回転数は1000rpmとした。脱水時に湿粉にかかる遠心力は、以下の式から計算した。
遠心力(N)=mrω =m×r×(2π×N/60)
m:湿粉量(kg)、r:回転半径(バスケット半径)(m)、ω(:角速度rad/sec)、N:バスケット回転数(rpm)
【0052】
得られた脱水物の量、含水率、平均粒径および微粉の割合を測定した。結果を表1に示す。
また、脱水物を、流動乾燥機を用いて乾燥した。流動乾燥機としては、床面積20m 、天井高さ2700mm、堰高さ38cm、堰の数8、入ブロア能力530m /min、出ブロア能力540m /min、実際の運転風量660m /min、能力310kg水/hrのものを用いた。乾燥させた脱水物の量は50kgであり、乾燥時間は60分とした。
流動乾燥後の乳化重合系ポリマーのフリーフロー性および耐ブロッキング性を評価した。結果を表1に示す。
【0053】
[実施例2]
遠心脱水機のバスケットの回転数を1200rpmとした以外は、実施例1と同様にして乳化重合系ポリマーを得た。
遠心脱水時の遠心力、遠心脱水機で得られた脱水物の含水率、平均粒径、微粉の割合;流動乾燥後の乳化重合系ポリマーのフリーフロー性および耐ブロッキング性を表1に示す。
【0054】
[実施例3]
遠心脱水機のバスケットの回転数を1400rpmとし、遠心脱水機に供給した湿粉の量を23kgに変更した以外は、実施例1と同様にして乳化重合系ポリマーを得た。
遠心脱水時の遠心力、遠心脱水機で得られた脱水物の含水率、平均粒径、微粉の割合;流動乾燥後の乳化重合系ポリマーのフリーフロー性および耐ブロッキング性を表1に示す。
【0055】
[比較例1]
実施例1と同様にして真空濾過機で得られた湿粉28kgを、リスラリー槽に送り、これに水72kgを加えてスラリーを得た。このスラリー100kgを遠心脱水機に供給し、5分間脱水を行った。また、バスケットの回転数は1500rpmとした。
遠心脱水時の遠心力、得られた脱水物の量、含水率、平均粒径および微粉の割合を測定した。結果を表1に示す。
【0056】
また、脱水物を、実施例1と同様にして流動乾燥機を用いて乾燥した。乾燥させた脱水物の量は20kgであり、乾燥時間は60分とした。
流動乾燥後の乳化重合系ポリマーのフリーフロー性および耐ブロッキング性を評価した。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0003635069
【0058】
[実施例4]
ポリマースラリーAの代わりにポリマースラリーBを用いた以外は、実施例1と同様にして、脱水物を得た。 遠心脱水時の遠心力、遠心脱水機で得られた脱水物の含水率、平均粒径、微粉の割合を表1に示す。
また、得られた脱水物を圧搾脱水押出機(東芝機械(株)製、TEM−35B)を用い、下記条件にて乾燥させ、その時の圧搾脱水押出機の限界処理量を測定した。結果を表2に示す。
(圧搾脱水押出機の運転条件)
シリンダー設定温度:
No.3(C1)=120℃
No.4(C2)=150℃
No.6(C3)=120℃
No.8(C4)=100℃
No.9(C5)=100℃
No.10(C6)=90℃
バレルブロック温度:No.1、No.2、No.5およびNo.7 常温、脱気圧力:第1脱気口および第2脱気口 常圧
【0059】
[実施例5]
遠心脱水機のバスケットの回転数を1200rpmとした以外は、実施例4と同様にして乳化重合系ポリマーを得た。
遠心脱水時の遠心力、遠心脱水機で得られた脱水物の含水率、平均粒径、微粉の割合;圧搾脱水押出機の限界処理量を表2に示す。
【0060】
[実施例6]
遠心脱水機のバスケットの回転数を1400rpmとし、遠心脱水機に供給した湿粉の量を23kgに変更した以外は、実施例4と同様にして乳化重合系ポリマーを得た。
遠心脱水時の遠心力、遠心脱水機で得られた脱水物の含水率、平均粒径、微粉の割合;圧搾脱水押出機の限界処理量を表2に示す。
【0061】
[比較例2]
実施例4と同様にして真空濾過機で得られた湿粉28kgを、リスラリー槽に送り、これに水72kgを加えてスラリーを得た。このスラリー100kgを遠心脱水機に供給し、5分間脱水を行った。バスケットの回転数は1500rpmとした。
遠心脱水時の遠心力、得られた脱水物の量、含水率、平均粒径および微粉の割合を測定した。結果を表2に示す。
また、脱水物を、実施例4と同様にして乾燥した。この時の圧搾脱水押出機の限界処理量を表2に示す。
【0062】
【表2】
Figure 0003635069
【0063】
比較例1および2で行われたポリマースラリーの洗浄、脱水では、時間当たりに得られる脱水物量を実施例1〜3および実施例4〜6に近付けようとしたため、ポリマースラリーが過剰に真空濾過機に供給され、ポリマースラリーにかかる遠心力が高くなりすぎ、遠心脱水機のバスケットが異常振動を起こした。
【0064】
また、比較例1については、脱水時にポリマースラリーAにかかる遠心力が高くなりすぎたため、ポリマーの微粉化が起こり、流動乾燥後の乳化重合系ポリマーのフリーフロー性および耐ブロッキング性は、実施例1〜3よりも劣っていた。
また、比較例2についても同様に、脱水時にポリマースラリーBにかかる遠心力が高くなりすぎたため、ポリマーの微粉化が起こり、圧搾脱水押出機の限界処理量は、実施例4〜6よりも劣っていた。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の乳化重合系ポリマーの製造方法は、乳化重合法によって得られるポリマーラテックス中に含まれるポリマーを凝集させてなるポリマースラリーを、洗浄、脱水した後、乾燥させる乳化重合系ポリマーの製造方法において、前記ポリマースラリーを、真空濾過によって洗浄、脱水し、引き続き、真空濾過によって得られた湿粉を遠心脱水機によって脱水する方法であるので、洗浄・脱水工程で発生する排水量が少なく、洗浄・脱水工程が簡略化され、洗浄・脱水工程の時間が短縮される。
【0066】
また、遠心脱水機において湿粉にかかる遠心力を、60〜250kNの範囲とすれば、粉体性状が良好な粉粒状の乳化重合系ポリマーを、生産性よく製造することができる。
また、真空濾過による洗浄排水および/または脱水機からの排水を、真空濾過における洗浄水の一部として使用すれば、真空濾過における洗浄水の使用量および洗浄・脱水工程で発生する排水量を減らすことができる。
【0067】
また、本発明の乳化重合系ポリマーの製造装置は、乳化重合法によって得られるポリマーラテックス中に含まれるポリマーを凝集させてなるポリマースラリーを、洗浄、脱水する真空濾過機と、真空濾過機によって得られた湿粉を脱水する遠心脱水機とを具備するものであるので、洗浄・脱水工程で発生する排水量が少なく、洗浄・脱水工程が簡略化され、洗浄・脱水工程の時間が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乳化重合系ポリマーの製造装置における洗浄・脱水手段の一例を示す概略構成図である。
【図2】遠心脱水機の一例を示す断面図である。
【図3】二軸圧搾脱水押出機のバレルの一例を示す概略図である。
【図4】二軸圧搾脱水押出機のスクリューの一例を示す概略図である。
【図5】フリーフロー性の評価に用いられる測定器を示す図である。
【図6】耐ブロッキング性評価用のサンプルを作製する器具を示す図である。
【図7】従来の乳化重合系ポリマーの製造装置における洗浄・脱水手段の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
14 遠心脱水機
30 真空濾過機

Claims (4)

  1. 乳化重合法によって得られるポリマーラテックス中に含まれるポリマーを凝集させてなるポリマースラリーを、洗浄、脱水した後、乾燥させる乳化重合系ポリマーの製造方法において、
    前記ポリマースラリーを、真空濾過によって洗浄、脱水し、引き続き、真空濾過によって得られた湿粉を遠心脱水機によって脱水することを特徴とする乳化重合系ポリマーの製造方法。
  2. 遠心脱水機において湿粉にかかる遠心力が、60〜250kNの範囲であることを特徴とする請求項記載の乳化重合系ポリマーの製造方法。
  3. 真空濾過による洗浄排水および/または脱水機からの排水を、真空濾過における洗浄水の一部として使用することを特徴とする請求項1または請求項2記載の乳化重合系ポリマーの製造方法。
  4. 乳化重合法によって得られるポリマーラテックス中に含まれるポリマーを凝集させてなるポリマースラリーを、洗浄、脱水する真空濾過機と、
    真空濾過機によって得られた湿粉を脱水する遠心脱水機とを具備することを特徴とする乳化重合系ポリマーの製造装置。
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