JP3634890B2 - 置換ヒドラジンガスの精製方法 - Google Patents
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Description
【産業状の利用分野】
本発明は置換ヒドラジンガスの精製方法に関し、さらに詳細にはメチルヒドラジン、エチルヒドラジンなどの置換ヒドラジンガス中に不純物として含有される水分を極低濃度まで除去しうる置換ヒドラジンガスの精製方法に関する。
【0002】
ヒドラジンおよびその誘導体はロケットの燃料などとして古くから知られているが、最近に至りメチルヒドラジン、エチルヒドラジン、ジメチルヒドラジンなどヒドラジンの水素がアルキル基、アリール基などで置き換えられたいわゆる置換ヒドラジンが、ガリウム−窒素(GaN)のような光半導体素子、窒化チタン(TiN)のような絶縁膜などの原料として使用され始め、その量が年々増加すると同時に不純物の含有量の極めて低いものが要求されている。
【0003】
これらの置換ヒドラジンは一般的には常温で液体であり、ステンレス製ドラムなどの容器に充填されて市販されているが、上記のような目的で半導体や絶縁膜のなどの製造プロセスに供給する場合には、これら液体の置換ヒドラジンを適当な温度に加温しながら水素、窒素などの希釈ガスでバブリングすることによって気化させ、置換ヒドラジンガスとして流量を制御しながら装置に供給する方法などが採られてる。
しかしながら、一般的に市販されている置換ヒドラジン中には水分、酸素などが不純物として含有されているため、使用に際してはこれらを確実に除去する必要がある。
【0004】
【従来の技術】
従来、ガス中に含まれる水分を除去する方法としては、ガスを活性アルミナ、シリカゲル、ゼオライトおよび塩化カルシウムなどの脱湿剤と接触させる方法が知られているが、取扱いおよび再生が容易なことなどから合成ゼオライトが多く用いられている。中でも吸着力の強さから、特にモレキュラーシーブ4A、5A(米、ユニオンカーバイド社)、あるいはハイシリカゼオライトTSZ−600HOE(東ソー(株))など細孔径の大きめのものが主流であり、これらの吸着剤によって一般的なガスについては露点が−80℃、さらにはそれ以下のような低い値になるまで水分を除去することが可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの吸着剤は水分を効率よく除去しうる反面、精製の対象となる置換ヒドラジンガスをも同時に相当量吸着するため、精製の開始時には精製筒出口ガス中の置換ヒドラジン濃度が一時的に低下し、本来の濃度(精製筒入口と同じ濃度)に回復するまでにかなりの時間を要するという問題点がある。
そして、原料ガス中の置換ヒドラジンの濃度が低いほど回復には長時間を要し、また、吸着剤の交換操作時などには多量に吸着された置換ヒドラジンが脱着する虞れがあるため、これらの取扱に対する安全上の問題点もあった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、置換ヒドラジンガス中に含有される水分を極低濃度まで効率よく除去するとともに精製を始めてから短時間で出口ガス中の置換ヒドラジンを本来の濃度に回復させるべく鋭意研究を重ねた結果、特定の細孔径の合成ゼオライトを用いることにより、水分は吸着するが置換ヒドラジンガスを吸着し難いことを見出し本発明を完成した。
すなわち本発明は、置換ヒドラジンガスを細孔径が3Å相当の合成ゼオライト系の吸着剤と接触させて、該置換ヒドラジンガス中に含有される水分を除去することを特徴とする置換ヒドラジンガスの精製方法である。
【0007】
本発明は置換ヒドラジン単独、あるいは、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオンのような不活性ガスおよび水素などで希釈された置換ヒドラジン(以下総称して置換ヒドラジンガスと記す)中に含有される水分の除去に適用される。
【0008】
本発明において、精製の対象となる置換ヒドラジンとしてはヒドラジン〔N2 H4 〕の水素がアルキル基またはアリール基で置換された一般化学式〔Rn N2 H4−n ;式中「R」はアルキル基またはアリール基、「n 」は1〜4の正の整数〕で示されるものあるが、主に一置換ヒドラジン(RN2 H3 )および二置換ヒドラジン(R2 N2 H2 )である。
【0009】
一置換ヒドラジンとしては、例えばメチルヒドラジン〔CH3 N2 H3 〕、エチルヒドラジン〔C2 H5 N2 H3 〕、フェニルヒドラジン〔C6 H5 N2 H3 〕など、また、二置換ヒドラジンとしては、例えば、1,2ジメチルヒドラジン〔CH3 N2 H2 CH3 〕、1,1ジメチルヒドラジン〔(CH3 )2 N2 H2 〕、1,2ジエチルヒドラジン〔C2 H5 N2 H2 C2 H5 〕、1,1ジエチルヒドラジン〔(C2 H5 )2 N2 H2 〕などがある。これらのうちでも比較的沸点が低く気化しやすく、また、入手も容易なことなどから前記のような用途に対しては、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、1,2ジメチルヒドラジンおよび1,1ジメチルヒドラジンなどが一般的に多く用いられる。
【0010】
本発明に使用される吸着剤は化学的には合成結晶アルミノ・シリケート含水ナトリウム塩のナトリウムの一部をカリウムで置換した合成ゼイライト(通称、モレキュラーシーブ)であり、その細孔径が3Å(オングストローム)にほぼ揃っていることが特徴である。このため、ヒドラジンガスをほとんど吸着することなく水分のみを選択的に、かつ、低濃度まで吸着除去することができる。
この条件に適合する市販の合成ゼオライトとしては、モレキュラーシーブ3A(米、ユニオンカーバイド社またはユニオン昭和(株))、ゼオラム3A(東ソー(株))などが挙げられる。
【0011】
置換ヒドラジンガスの発生およびユースポイントへの供給方法としては、例えば、▲1▼液体の置換ヒドラジンをボトルなどの容器に入れ、恒温槽に浸して適当な温度に加温し、気化させたガスをそのまま、または、気化ガスを水素、窒素などで希釈し、マスフローコントローラーなどで流量を制御しながら供給する方法、あるいは、▲2▼置換ヒドラジンをバブラーに入れ、所定の温度に保ちながら水素、窒素、アルゴンなどによりバブリングしながら気化させ、置換ヒドラジンガスとして流量を制御しながら供給する方法などがある。
置換ヒドラジンを半導体製造工程などに供給する場合には▲2▼のバブリングにより不活性ガスや水素などで希釈する方法が一般的に用いられる。
【0012】
置換ヒドラジンガスの精製は、通常は、吸着剤が充填された精製筒に置換ヒドラジンガスを流すことによっておこなわれ、ガス中に不純物として含有される水分が合成ゼオライト系の吸着剤によって除去される。
精製筒に充填される吸着剤の充填長は、実用上通常は50〜1500mmである。充填長が50mmよりも短くなると水分除去率が低下する虞れがあり、一方1500mmよりも長くなると圧力損失が大きくなる虞れがある。
【0013】
精製時の置換ヒドラジンガスの空筒線速度は(LV)供給される置換ヒドラジンガス中に含まれる水分の濃度および操作条件などによって異なり一概に特定はできないが、通常は10cm/sec以下、好ましくは3cm/sec以下とされる。
置換ヒドラジンガスと吸着剤の接触温度は通常は常温でよく、特に加熱や冷却は必要としない。
また、精製時の圧力は20Kg/cm2 abs以下、好ましくは0.1〜10Kg/cm2 abs程度で操作される。
【0014】
本発明において、合成ゼオライトによる水分除去工程に、必要に応じてニッケル、銅など金属系の脱酸素触媒を用いた酸素除去工程を適宜組み合わせることも可能であり、これによって水分と同時に酸素も完全に除去され、極めて高純度の精製置換ヒドラジンガスを得ることができる。
【0015】
【実施例】
実施例1〜4
吸着剤として市販のモレキュラーシーブ3A〔ユニオン昭和(株)製、(1/16in.φ)ペレット品、細孔径約3Å〕を使用した。
この吸着剤42.2mlを内径16.4mm、長さ400mmのSUS316製の吸着筒に200mm(充填密度0.70g/ml)充填し、これに、乾燥窒素ガスを温度250℃、流量633ml/min(LV=5cm/sec)で3時間流して活性化処理をおこない、吸着されている水分を除去した後、常温に冷却した.
【0016】
この精製筒に不純物として水分を含有する種々の置換ヒドラジンガスを室温下(20〜25℃) に窒素でバブリングし、2.0vol%になるように希釈しながら、全流量633ml/min(LV=5.0cm/sec)で流して出口ガス中の置換ヒドラジンガスの濃度を測定したところ、いずれも20分以内で本来の濃度(入口と同じ2.0vol%)に達した。
同時に出口精製ガスの露点を静電容量式露点計で測定したところ、露点はいずれも−85℃以下であり、この状態で30分間精製を続けたが露点は変化しなかった。それぞれの結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
比較例1〜4
モレキュラーシーブ5A〔ユニオン昭和(株)製、(1/16in.φ)ペレット品、細孔径約5Å〕42.2mlを実施例におけると同じ精製筒に200mm充填(充填密度0.70g/ml)し、乾燥窒素ガスを350℃で3時間流して活性化処理をおこなった後、常温に冷却した。
この精製筒に実施例1で用いたと同じ窒素ベースの種々の置換ヒドラジンガス(2vol%)を633ml/min(LV=5.0cm/sec)で流して出口ガス中の置換ヒドラジンが本来の濃度(2vol%)に達するまでの時間を測定したところ1〜3時間を要した。結果を第2表に示す。
【0019】
比較例5〜8
ハイシリカゼオライト〔東ソー(株)製、TSZ−600HOE(1.8mmφ)ペレット品〕42.2mlを実施例と同様の精製筒に200mm充填(充填密度0.73g/ml、細孔径5Å)し、乾燥窒素ガスを350℃で3時間流して活性化させた後室温に冷却した。
この精製筒に不純物として水分を含有する2vol%の種々の置換ヒドラジンガス(窒素ベース)633ml/min(LV=5.0cm/sec)流して出口精製ガス中の置換ヒドラジンが本来の濃度に達するまでの時間と露点を測定した。 結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】
本発明は、吸着剤に細孔径が3Å相当の合成ゼオライトを使用するものであり、置換ヒドラジンガスはほとんど吸着されることがなく、精製筒出口の精製置換ヒドラジンは短時間で所定の濃度に達し、しかも、水分を効率よく除去することができる。
Claims (4)
- 置換ヒドラジンガスを細孔径が3Å相当の合成ゼオライト系の吸着剤と接触させて、該置換ヒドラジンガス中に含有される水分を除去することを特徴とする置換ヒドラジンガスの精製方法。
- 置換ヒドラジンが、一般化学式RN2 H3 で示される一置換ヒドラジンおよび一般化学式R2 N2 H2 で示される二置換ヒドラジン〔各式中Rはアルキル基またはアリール基を示す〕から選ばれる一種または二種以上である請求項1に記載の精製方法。
- 置換ヒドラジンがメチルヒドラジン、エチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、1,2ジメチルヒドラジン、1,1ジメチルヒドラジン、1,2ジエチルヒドラジンまたは1,1ジエチルヒドラジンである請求項2に記載の精製方法。
- 置換ヒドラジンガスが置換ヒドラジンを窒素、アルゴン、ヘリウムまたは水素で希釈したガスである請求項1に記載の精製方法。
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