JP3634562B2 - 貨幣選別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、貨幣選別装置に関し、特に、偽貨投入の連続試行による偽貨受入率を低減することのできる貨幣選別装置に関する。
【0002】
【従来技術】
一般に、自動販売機や両替機、サービス機器等に使用される貨幣選別装置では、貨幣投入口から投入された貨幣を正貨と偽貨とに振り分け、更にこの振り分けられた正貨を金種別に振り分けて受け入れるように構成されている。
【0003】
また、貨幣選別装置における正貨と偽貨との振り分けは、貨幣の特徴を検出する特徴センサにより、貨幣投入口から投入された貨幣の特徴を検出し、その検出結果と所定の判定データを比較し、この比較結果に基づいて行われる。
【0004】
特徴センサによる検出結果は、同種の貨幣であっても貨幣の汚れ等の影響により一定にはならないため、正貨と偽貨との振り分けは判定データに上限値と下限値を設定し、検出結果がこの範囲内にあるときに正貨と判定する。
【0005】
したがって、正貨と偽貨との選別は完全に成功するわけではなく、偽貨を正貨として受け入れてしまうこともあり、例え偽貨の受入率が数パーセント以下であっても、偽貨投入の連続試行により偽貨を正貨として受け入れてしまうことになる。
【0006】
特に、硬貨の場合には材質や外径、厚みが類似した外国貨が多々存在するため、このような外国貨を変造して金品を搾取する犯罪が近年多発している。
【0007】
また、このような偽貨の受け入れを防止するために、正貨と偽貨との選別基準を厳しくすると、軽度に汚れた正貨も偽貨と判定されてしまい、結果的に貨幣選別装置として機能が低下したことと同一になってしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、貨幣選別装置においては、貨幣の汚れ等による影響を考慮して正貨と偽貨の選別を行っているため、偽貨投入の連続試行が行われると偽貨を正貨として受け入れてしまうことになり、偽貨の使用による被害が生じていた。
【0009】
そこで、この発明は、偽貨投入の連続試行による被害を低減することのできる貨幣選別装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、請求項1の発明は、投入された貨幣の特徴を検出する特徴検出手段と、前記特徴検出手段の検出結果に基づき前記貨幣の正偽を判定する判定手段と、前記判定手段により正と判定された前記貨幣を受け入れ、前記判定手段により偽と判定された前記貨幣を返却する貨幣振分手段とを具備する貨幣選別装置において、前記投入された貨幣が前記判定手段により偽と判定された場合に該偽と判定された貨幣が投入された時点からの所定の時間を計測するタイマ手段と、前記タイマ手段が動作している場合は後続する貨幣の受け入れを禁止する貨幣受入禁止手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記判定手段による過去の判定結果を所定の数だけ記憶する記憶手段を更に具備し、前記タイマ手段は、前記記憶手段に偽と判定された貨幣が所定の数以上ある場合に動作することを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記タイマ手段は、該タイマ手段が動作している場合に貨幣が投入されると前記所定の時間を延長する計測時間延長手段を具備することを特徴とする。
【0013】
更に、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記タイマ手段および前記貨幣受入禁止手段は、前記貨幣の金種別に設けられ、前記投入された貨幣の金種毎に動作することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係わる貨幣選別装置の一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、この発明に係わる貨幣選別装置の構成を示すブロック図である。
【0020】
図1において、貨幣選別装置100は、投入された貨幣の選別制御を行う制御部1、貨幣の投入口である貨幣投入部2、貨幣の特徴を検出する特徴センサ3、制御部1による制御に基づき投入された貨幣を振り分ける貨幣振分部4、投入された貨幣を返却する貨幣返却部5、投入された貨幣を受け入れる貨幣受入部6、投入された貨幣が移動する貨幣搬送路7(7−1、7−2、7−3、7−4)で構成される。
【0021】
また、制御部1は、特徴センサ3の出力を所定のデータに変換する検出手段11、検出手段11の出力やその他の情報を記憶するメモリ12、貨幣選別の基準となる判定データを格納する判定データ格納手段13、検出手段11の出力と判定データ格納手段13に格納される判定データを比較して投入された貨幣の正偽を判定する比較手段14、貨幣の受入を禁止する時間を計測する受入禁止タイマ15、比較手段14の比較結果と受入禁止タイマ15の状態に基づき貨幣振分部4を制御する貨幣振分制御手段16で構成される。
【0022】
この制御部1は、実装に際してはCPU等の演算装置とメモリ等の記憶装置で構成され、符号11乃至16で示す各部は、この演算装置および記憶装置上で形成される。
【0023】
ここで、貨幣選別装置100に投入された貨幣の流れを図2を参照して説明する。
【0024】
図2は、貨幣選別装置100における貨幣の流れを示す略図である。
【0025】
図2に示す貨幣選別装置においては、投入された貨幣を金種別に受け入れることができるように貨幣受入部6を貨幣受入部6a乃至6dに区分している(図1では省略している)。
【0026】
また、図1には示していない貨幣払出制御部8を付加して、貨幣受入部6a乃至dに受け入れられた貨幣を払い出しできるように構成している。
【0027】
さて、貨幣投入部2から投入された貨幣は、貨幣搬送路7を介して貨幣振分部4まで搬送されるが、搬送途中に特徴センサ3により当該貨幣の特徴が検知される。
【0028】
この特徴センサ3の出力は制御部1に入力され、制御部1では特徴センサ3の出力に基づき、当該貨幣の正偽と金種を選別し貨幣振分部4を制御する。
【0029】
貨幣振分部4は、貨幣搬送路7を介して搬送された貨幣を制御部1からの制御信号に基づき振り分ける。
【0030】
このとき、制御部1により当該貨幣が偽貨であると認められた場合には、当該貨幣を貨幣返却部5へ振り分け、当該貨幣は貨幣返却口から投入者に返却される。
【0031】
また、制御部1により当該貨幣が正貨であると認められた場合には、当該貨幣を貨幣受入部6に振り分けるが、この場合には、更に金種別に貨幣受入部6a乃至6dのいずれかに当該貨幣を振り分ける。
【0032】
貨幣振分部6a乃至6dに振り分けられた貨幣は、釣り銭の払い出し等、必要に応じて貨幣払出制御部8の制御により、貨幣払出口から払い出される。
【0033】
次に、制御部1における貨幣選別処理の流れを図3を参照して説明する。
【0034】
図3は、制御部1における貨幣選別処理の流れを示すフローチャートである。
なお、この貨幣選別処理の流れの説明中、特に明記しない変数やカウンタ等の値はメモリ12内に形成および保持されるものである。
【0035】
さて、貨幣選別処理が開始され(ステップ101)、特徴センサ3が貨幣の投入を検知すると(ステップ102でYES)、検出手段11が特徴センサ3の出力に基づいて貨幣の特徴を検出し、変数DATAに検出結果を格納する(ステップ103)。
【0036】
次に、変数DATAの値と各金種の判定データとの比較を行う準備として金種カウンタiを0にセットする(ステップ104)。この金種カウンタiの値は、金種を示しており、例えば0が10円硬貨、1が50円硬貨、2が100円硬貨、3が500円硬貨を示す。
【0037】
金種カウンタiのセットが終了すると各金種の判定データPKIN(i)と変数DATAの絶対差を取り、これを変数REF(i)に格納する(ステップ105)。
【0038】
次に、比較手段14で変数REF(i)と許容限界値MAX(i)の比較を行い(ステップ106)、変数REF(i)の方が小さい、つまり、判定データPKIN(i)と変数DATAの絶対差が許容限界値MAX(i)以内である場合には(ステップ106でNO)、投入された貨幣が金種iの正貨であると判断し、ステップ125へ進む。
【0039】
また、変数REF(i)が許容限界値MAX(i)よりも大きい場合には(ステップ106でYES)、投入された金種が金種カウンタiの示す金種ではないと判断し、金種カウンタiをインクリメントする(ステップ107)。
【0040】
このステップ105からステップ107の処理は、投入された貨幣が金種iであると判断されるか(ステップ106でNO)、金種カウンタiの値が最大金種KINMAXの値(500円硬貨を最大と設定するならば3)を越えるまで、つまり、全ての金種との比較が行われるまで繰り返される(ステップ108でNO)。
【0041】
さて、ステップ105からステップ108までの処理で、どの金種にも該当しない偽貨であると判断されると(ステップ108でYES)、変数MINに変数MINの最大の値9999を格納するとともに、金種カウンタiの値をクリアする(ステップ109)。
【0042】
次にステップ110からステップ113の処理で、投入された偽貨が正貨のどの金種に最も近いかを判定する。
【0043】
この処理は、変数REF(i)と変数MINの値を比較し(ステップ110)、REF(i)の方が小さければ、変数REF(i)の値を変数MINの新たな値として格納するとともに、変数BIに当該金種を示す値であるiを格納し(ステップ111)、金種カウンタiをインクリメントする(ステップ112)。
【0044】
このステップ110からステップ112までの処理は、金種カウンタiの値が最大金種KINMAXの値を越えるまで、つまり、全金種の変数REF(i)のうち最も小さい値が変数MINに格納されるまで繰り返される(ステップ113でNO)。
【0045】
全金種の変数REF(i)のうち最も小さい値が変数MINに格納されると(ステップ113でYES)、金種BIのリングカウンタPNT(BI)の示す最新の受入記憶PAS(BI,PNT(BI))に偽貨が投入されたことを示す1を格納する(ステップ114)。リングカウンタPNT(BI)は、0乃至7のいずれかの値を保持しており、そのため、受入記憶PAS(BI,PNT(BI))は過去8回の投入に対する記憶を正貨の投入を0、偽貨の投入を1として保持している。
【0046】
次に、変数CNTおよび変数nの値を0に設定し(ステップ115)、ステップ116からステップ118の処理で変数CNTに当該金種の受入記憶PAS(BI,n)の値を過去8回分加算した値を格納する。
【0047】
この結果、CNTの値が4よりも大きい場合(ステップ119でYES)は、過去8回の投入の5回以上が偽貨の投入であったため、受入禁止タイマ15内のタイマTM(BI)を1分に設定し(ステップ120)、貨幣振分手段16が投入された偽貨を返却するように貨幣振分部4を制御して(ステップ127)、ステップ102に戻り次の貨幣投入に備える。
【0048】
また、CNTの値が4以下の場合に(ステップ119でNO)、受入禁止タイマ15内のタイマTM(BI)が作動していれば、つまり、タイマTM(BI)の値が0でなければ(ステップ121でNO)、タイマTM(BI)を再度1分に設定し(ステップ120)、貨幣振分手段16が投入された偽貨を返却するように貨幣振分部4を制御して(ステップ127)、ステップ102に戻り次の貨幣投入に備える。
【0049】
また、ステップ121で受入禁止タイマ15内のタイマTM(BI)が作動していなければ(ステップ121でNO)、リングカウンタPNT(BI)をインクリメントし(ステップ122)、リングカウンタPNT(BI)の値が7を越えていれば(ステップ123でYES)、これをクリアし(ステップ124)、貨幣振分手段16が投入された偽貨を返却するように貨幣振分部4を制御して(ステップ127)、ステップ102に戻り次の貨幣投入に備える。
【0050】
一方、ステップ106で投入された貨幣が金種iの正貨であると判断された場合には(ステップ106でNO)、貨幣振分制御手段16は金種iの受入禁止タイマ15内のタイマTM(i)が作動中か否かをチェックし(ステップ125)、タイマTM(i)の値が0でない場合、すなわち、タイマTM(i)が作動中ならば(ステップ125でNO)、タイマTM(i)を再度1分に設定し(ステップ126)、投入された貨幣を偽貨とみなして返却するように貨幣振分部4を制御して(ステップ127)、ステップ102に戻り次の貨幣投入に備える。
【0051】
また、タイマTM(i)が作動していなければ(ステップ125でYES)、金種iのリングカウンタPNT(i)の示す最新の受入記憶PAS(i,PNT(i))に正貨受入を意味する0を格納し(ステップ128)、リングカウンタPNT(i)をインクリメントし(ステップ129)、リングカウンタPNT(i)の値が7を越えていれば(ステップ130でYES)、これをクリアし(ステップ131)、貨幣振分手段16が投入された貨幣を受け入れるように貨幣振分部4を制御して(ステップ132)、ステップ102に戻り次の貨幣投入に備える。
【0052】
つまり、制御部1は貨幣投入部2から投入された貨幣の特徴を特徴センサ3の出力に基づき検出し、投入された貨幣が正貨であるか偽貨であるかを判断し、偽貨が投入された場合にはその偽貨を返却し、かつ、過去8回の貨幣投入で5回以上の偽貨投入があった場合には受入禁止タイマ15を作動させる。
【0053】
また、正貨が投入された場合には受入禁止タイマ15が作動していないことを条件にその正貨を受け入れる。
【0054】
受入禁止タイマ15が作動している場合には、投入された貨幣が正貨、偽貨にかかわらず受け入れを拒否し、受入禁止タイマ15の作動時間を延長する。
【0055】
このように投入された貨幣の受け入れの可否を金種毎に行うことで、連続試行による偽貨の受入率を低減させる。
【0056】
なお、リングカウンタPNT(i)の最大値(本実施例では8)、ステップ119での判定基準(本実施例では4)、ステップ120およびステップ127でのタイマセット時間(本実施例では1分)は、任意に設定できる値である。
【0057】
また、ステップ110からステップ113の処理で投入された偽貨を最も近い金種に選別しているが、投入された偽貨があまりにも正貨とかけ離れているものは、許容値を設けることで処理対象外とすることもできる。
【0058】
更に、本実施例においては、硬貨を対象とした貨幣選別方法と装置について説明したが、これは一例であり、紙幣を対象とした貨幣選別装置の受入制御も同様に行うこともできる。
【0059】
また、証券類や金券類などの受入制御も同様に行うこともできる(本明細書中で使用する貨幣は、硬貨および紙幣に加えて、証券類や金券類などを含むものとする)。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、貨幣投入部から投入された貨幣が偽貨と判定された場合にはその偽貨を返却するとともに受入禁止タイマを作動させ、受入禁止タイマが作動している場合には、投入された貨幣が正貨、偽貨のいずれの場合も受け入れを拒否するように構成したので、連続試行による偽貨の受入率を低減させることができる。
【0061】
また、正貨と偽貨との選別基準を厳しくした場合とは異なり、汚れた正貨を受け入れることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる貨幣選別装置の構成を示すブロック図。
【図2】貨幣選別装置における貨幣の流れを示す略図。
【図3】制御部における貨幣選別処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
1 制御部
2 貨幣投入部
3 特徴センサ
4 貨幣振分部
5 貨幣返却部
6、6a、6b、6c、6d 貨幣受入部
7、7−1、7−2、7−3、7−4 貨幣搬送路
8 貨幣払出制御部
11 検出手段
12 メモリ
13 判定データ格納手段
14 比較手段
15 受入禁止タイマ
16 貨幣振分制御手段
100 貨幣選別装置
Claims (4)
- 投入された貨幣の特徴を検出する特徴検出手段と、前記特徴検出手段の検出結果に基づき前記貨幣の正偽を判定する判定手段と、前記判定手段により正と判定された前記貨幣を受け入れ、前記判定手段により偽と判定された前記貨幣を返却する貨幣振分手段とを具備する貨幣選別装置において、
前記投入された貨幣が前記判定手段により偽と判定された場合に該偽と判定された貨幣が投入された時点からの所定の時間を計測するタイマ手段と、
前記タイマ手段が動作している場合は後続する貨幣の受け入れを禁止する貨幣受入禁止手段と
を具備することを特徴とする貨幣選別装置。 - 前記判定手段による過去の判定結果を所定の数だけ記憶する記憶手段を更に具備し、
前記タイマ手段は、前記記憶手段に偽と判定された貨幣が所定の数以上ある場合に動作する
ことを特徴とする請求項1記載の貨幣選別装置。 - 前記タイマ手段は、該タイマ手段が動作している場合に貨幣が投入されると前記所定の時間を延長する計測時間延長手段を具備することを特徴とする請求項1記載の貨幣選別装置。
- 前記タイマ手段および前記貨幣受入禁止手段は、前記貨幣の金種別に設けられ、前記投入された貨幣の金種毎に動作することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の貨幣選別装置。
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1997
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