JP3634542B2 - 密閉型二次電池用電槽 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉型二次電池用電槽に関し、詳しくは、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を成形してなる複数の部品を接着して形成された密閉型二次電池用電槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
蓄電池は、自動車、大型車、特殊車両等の車両や、各種電気製品、産業機器の動力源として幅広く使われている。また、鉛蓄電池を始め、ニッケルーカドミウム電池、リチウム電池等各種二次電池の需要が大きくなってきている。それに伴い、蓄電池電槽の大型化、デザインの多様化、軽量化、薄肉化等の要求が出ており、それに使われる材料にも、成形性、強度、耐熱性といった要求が厳しくなってきている。
【0003】
従来、蓄電池電槽向け樹脂としては、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体)が使われている。ABS樹脂は、成形性に優れ、剛性、強度、寸法精度のバランスにも優れた樹脂であり、この為、蓄電池電槽用樹脂として多くの実績がある。しかしながら、ABS樹脂は水蒸気バリヤー性に劣り、水蒸気を透過してしまうという欠点がある。これは、蓄電池の中に含まれる電解液中の水分が、長期間の使用中に、水蒸気として蒸発し、蓄電池電槽を透過し、外部に散逸してしまう現象である。
【0004】
蓄電池の使用環境が高温かつ低湿度になり、期待される寿命も長くなる傾向の中で蓄電池の電解液が減少する傾向はますます増加する方向にある。電解液が減少すると、蓄電池の内部抵抗は大きくなり、放電性能に重大な支障をきたす為、極力、水蒸気の透過の少ない樹脂の使用が望まれている。
【0005】
ポリフェニレンエーテル樹脂は、その優れた機械的強度、耐熱性、寸法安定性により電子部品、電気製品、自動車部品をはじめとして多くの産業分野にて幅広く使われており、最近ではこれらの物性に加え、その優れた水蒸気バリヤー性、耐酸性を活かした分野として、密閉型二次電池の電槽としての検討が行われている。密閉型二次電池は、通常、電槽本体とふた等の複数の部品からなっており、使用にあたっては密閉状態を得るために接着剤にてこれらの部品を接着することが必要である。接着剤に対しては、強度、耐熱性といった性能に加え、電解液として酸、アルカリが用いられているため、耐酸性、耐アルカリ性といった要求がある。
【0006】
しかしながら、ポリフェニレンエーテル系樹脂を蓄電池用電槽に用いる場合には、ポリフェニレンエーテル系樹脂はABS樹脂に比べ接着性が劣るので、充放電時に電槽に内圧がかかると、接着部分で剥離してしまったり、製品を落下させた時に接着部分から破壊してしまうといった問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、長期にわたり二次電池の性能を十分に発揮できる密閉型二次電池の電槽を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その要旨は、(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、(b)下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物を1〜30重量部含む樹脂組成物からなる密閉型二次電池用電槽であって、該電槽が2つ以上の部品からなり、該部品が硬化剤としてトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールおよび/またはトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの有機酸塩を用いたエポキシ樹脂により接着されていることを特徴とする密閉型二次電池用電槽に存する。
【0009】
【化2】
Figure 0003634542
【0010】
(式中、R、R、RおよびRは、それぞれ、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基、ハロゲン置換アリール基、アリール置換アルキル基、ハロゲンまたは水素を表わし、Xはアリーレン残基を表わし、nは1以上の整数を表わす。)
【0011】
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明における(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、ポリフェニレンエーテル、またはポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂の混合物が挙げられる。ポリフェニレンエーテルとしては、下記一般式(2)で示される構造を有する単独重合体又は共重合体である。
【0012】
【化3】
Figure 0003634542
【0013】
(式中、Qは各々ハロゲン原子、第一級若しくは第二級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化水素オキシ基を表し、Qは各々水素原子、ハロゲン原子、第一級若しくは第二級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化水素オキシ基を表し、mは10以上の数を表す。)
【0014】
及びQの第一級アルキル基としては、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−アミル、イソアミル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、2,3−ジメチルブチル、2−、3−若しくは4−メチルペンチル又はヘプチル等が挙げられる。第二級アルキル基としては、好ましくは、イソプロピル、sec−ブチル又は1−エチルプロピル等が挙げられる。多くの場合、Qはアルキル基又はフェニル基、特に炭素数1〜4のアルキル基であり、Qは水素原子である。
【0015】
ポリフェニレンエーテルの単独重合体としては、好ましくは、例えば、2,6―ジメチル―1,4―フェニレンエ−テル単位からなる重合体が挙げられる。共重合体としては、好ましくは、上記単位と2,3,6―トリメチル―1,4―フェニレンエ−テル単位との組合せからなるランダム共重合体等が挙げられる。多くの好適な、単独重合体又はランダム共重合体が、特許及び文献に記載されている。例えば、分子量、溶融粘度及び/又は耐衝撃強度等の特性を改良する分子構成部分を含むポリフェニレンエーテルもまた好適である。
【0016】
ポリフェニレンエーテルの固有粘度は、クロロホルム中30℃で測定した固有粘度で、好ましくは、0.2〜0.8dl/gである。固有粘度が0.2dl/g未満では組成物の耐衝撃性が不足し、0.8dl/gを越えると成形性が不十分である。ポリフェニレンエーテルの固有粘度としては、より好ましくは、0.2〜0.7dl/gであり、更に好ましくは、0.25〜0.6dl/gである。
本発明における(c)スチレン系樹脂としては、下記一般式(3)で示される芳香族ビニル化合物繰り返し単位からなる重合体、及び該繰り返し単位を50重量%以上含む他の共重合可能なモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0017】
【化4】
Figure 0003634542
【0018】
(式中Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、Zは水素、炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲンを表し、pは1〜5の整数である。)
【0019】
スチレン系樹脂としては、スチレン、αーアルキル置換スチレン、核アルキル置換スチレン、およびこれらの混合物の重合体、並びに、ポリブタジエン、スチレンーブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレンープロピレン共重合体等のゴムによって変性されたスチレン系重合体が挙げられ、好ましくは、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレンまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との配合比率は、重量比率で95/5〜5/95である。スチレン系樹脂の割合が5重量%未満であると成形性が不十分であり、95重量%を越えると耐熱性が低下する。ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との配合比率は、好ましくは、重量比率で90/10〜10/90であり、より好ましくは、重量比率で85/15〜15/85である。
【0021】
本発明におけるリン酸エステル化合物としては、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物である。
【0022】
【化5】
Figure 0003634542
【0023】
式中、R、R、R、Rは、それぞれ、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基、ハロゲン置換アリール基、アリール置換アルキル基、ハロゲンまたは水素を表わし、好ましくは、R、R、R、Rのうち少なくとも一つはアリール基であり、特に好ましくは、R、R、R、Rの全てがアリール基である。アリール基としては、好ましくは、フェニル基、キシレニル基、クレジル基及びこれらのハロゲン化誘導体が挙げられる。Xはアリーレン残基を表わす。アリーレン残基としては、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビフェノール及びこれらのハロゲン化誘導体の残基が挙げられる。nは1以上の整数を表し、好ましくは1〜5である。上記一般式で表されるリン酸エステル化合物が縮合物である場合、多くは異なるnの値を有する化合物のブレンド物であり、その場合はnの平均値が、好ましくは1〜5である。
【0024】
一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物におけるリン含有量は、好ましくは3%以上であり、より好ましくは5%以上である。リン含有量が3%未満であると難燃効果が不十分である。
【0025】
樹脂組成物における、一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、1〜30重量部である。一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物の含有量が1重量部未満であると、難燃性が不十分であり、30重量部を越えると耐熱性が低下する。樹脂組成物における、一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、好ましくは3〜27重量部であり、より好ましくは5〜25重量部である。
【0026】
本発明においては、樹脂組成物に、耐衝撃性の向上を目的として、熱可塑性エラストマーを添加することが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンー共役ジエンブロック共重合体及びそれらの水素添加物、エチレンーαーオレフィン共重合ゴム、ナイロンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ウレタンエラストマー、シリコンエラストマー、フッ素エラストマー等が挙げられる。熱可塑性エラストマーの配合量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、好ましくは0〜30重量部であり、更に好ましくは1〜30重量部である。
【0027】
本発明の樹脂組成物においては、必要に応じ、他の成分を添加できる。他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂用として周知の酸化防止剤、耐候性改良剤、増核剤、耐衝撃改良剤、可塑剤、流動性改良剤等が挙げられる。また、有機充填剤、補強剤、無機充填剤、例えば、ガラス繊維、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ、クレー等の添加は剛性、耐熱性寸法特性等の向上に有効である。実用のために、各種着色剤、およびそれらの分散剤なども使用できる。
【0028】
本発明の樹脂組成物においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリレンスルフィド等の他の熱可塑性樹脂を添加することができる。ポリフェニレンエーテル系樹脂およびスチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂の配合量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、好ましくは、0〜30重量部である。
【0029】
本発明の樹脂組成物を得るための方法としては、各種混練機、例えば、一軸および多軸混練機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラム等で、上記成分を混練した後、冷却固化する方法や適当な溶媒、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素およびその誘導体に上記成分を添加し、溶解する成分同志あるいは、溶解する成分と不溶解成分を懸濁状態でまぜる溶液混合法等が用いられる。工業的コストからは、溶融混練法が好ましい。
【0030】
本発明の密閉型二次電池用電槽は、電槽が2つ以上の部品からなり、これらの部品がエポキシ樹脂にて接着されている。本発明の密閉型二次電池用電槽を得るには、本発明の樹脂組成物を用いて、2つ以上の電槽部品を成形する。2つ以上の電槽部品は、同時に成形して得ることもできるが、通常は、別々に成形する。成形方法は、特に限定されるものでなく、樹脂組成物について一般に用いられている成形法、例えば、射出成形、中空成形、押し出し成形、シート成形、熱成形、回転成形、積層成形等の成形方法が適用できる。
【0031】
本発明におけるエポキシ樹脂接着剤としては、エポキシ構造を主骨格とする樹脂からなる接着剤であり、主剤と硬化剤とからなる二液型である。主剤/硬化剤の2液混合タイプの接着剤は、強度、耐熱性、耐薬品性、耐酸性、耐アルカリ性に優れている。二液型においては、主剤のエポキシ樹脂は常温で液状あるいは低融点の固体であり硬化剤を配合し塗布接着して硬化させる。
【0032】
主剤としては、フェノール−ホルムアルデヒド、クレゾール−ホルムアルデヒド等のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール、レゾルシノール等のポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンから得られるエポキシ樹脂、ダイマー酸のジグリシジルエステル等が挙げられる。これらの主剤は、単独または2種類以上混合して用いることができる。また、反応性希釈剤を併用することもできる。
【0033】
本発明における硬化剤としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールおよび/またはトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの有機酸塩であり、好ましくは、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールとトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの有機酸塩との混合物である。トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの有機酸塩としては、好ましくは、トリ・アルキルカルボン酸塩が挙げられ、より好ましくは、下記式で示されるトリ・ジエチルヘキソエート塩が挙げられる。
【0034】
【化6】
Figure 0003634542
【0035】
トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールとトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの有機酸塩との混合割合は重量比で、好ましくは10/1〜1/10であり、より好ましくは7/1〜1/7であり、最も好ましくは5/1〜1/7である。主剤と硬化剤との配合割合は重量比で、好ましくは100/1〜100/50であり、より好ましくは100/3〜100/30であり、最も好ましくは100/5〜100/25である。本発明における接着においてはエポキシ樹脂を硬化するのに加熱することが好ましく、加熱の温度は、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは50℃以上であり、最も好ましくは60℃以上である。
【0036】
エポキシ接着剤としては、例えば、セメダイン工業社より「セメダイン」、日本チバガイギー社より「アラルダイト」、コニシ社より「ボンド」、油化シェルエポキシ社より「エピコート」等が市販されており、硬化剤としては、油化シェルエポキシ社より「エピキュア」、大都産業社より「ダイトクラール」等が市販されている。
【0037】
本発明の密閉型二次電池用電槽は、特定のリン酸エステル化合物を含有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を成形してなる複数の部品を、特定の硬化剤を用いたエポキシ樹脂により接着することにより、部品間の接着強度に優れている。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例においては、各成分として、次に示すものを用いた。
【0039】
(1)ポリフェニレンエーテル:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、三菱ガス化学社製、30℃クロロホルム中で測定した固有粘度が0.46dl/g。(以下、PPEと略記する。)
(2)ポリスチレン:三菱化学社製、商品名ダイヤレックスHT478、ゴム強化ポリスチレン。(以下、PSと略記する。)
(3)レゾルシノール・ポリフェニルフォスフェート(以下、リン酸エステル化合物−1と略記する。)
(4)ビスフェノールA・ポリクレジルフォスフェート(以下、リン酸エステル化合物−2と略記する。)
(5)トリフェニルフォスフェート(以下、リン酸エステル化合物−3と略記する。)
【0040】
(6)難燃ABS樹脂:三菱化学社製、商品名タフレックスTFX−SI。(以下、ABS樹脂と略記する。)
(7)エポキシ樹脂の主剤:油化シェルエポキシ社製、商品名エピコート828。
(8)エポキシ樹脂の硬化剤−1:2,4,6ートリス(ジメチルアミノメチル)フェノールと2,4,6ートリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのトリ・ジエチルヘキソエート塩の50重量%/50重量%の混合物である硬化剤(以下、硬化剤−1と略記する。)、使用時の主剤/硬化剤の重量比率は、100/15とした。
(9)エポキシ樹脂の硬化剤−2:ジアミノジフェニルメタンにベンジルアルコールを希釈剤として40重量%配合した硬化剤。(以下、硬化剤−2と略記する。)、使用時の主剤/硬化剤の重量比率は、100/50とした。
【0041】
物性測定は、以下に示す方法で行った。
(8)アイゾット衝撃試験:ASTM D256に従い、切り欠き付きアイゾット衝撃試験を行った。
(9)曲げ弾性率:ASTM D790による曲げ試験法に従い三点曲げ試験を行った。
(10)熱変形温度:ASTM D648に従い、18.6kg/cmの条件で、荷重たわみ試験を行った。
【0042】
(11)透湿度:シリンダー温度240℃、金型温度60℃の条件で、厚み1mmのシートを 射出成形し、40℃においてJIS K7129Bに基づき、湿度90%の 評価を行った。
(12)接着性評価:ASTM引張りダンベルを中心部で2つに切断し、エタノールで接着面の脱脂を行った後、先に調製したエポキシ接着剤を直線部分に均一に塗布して、重ね合わせ長さ20mmとなる様に重ね合わせた。次いで接着部分をクリップにて固定して、80℃で1時間オーブンにて硬化、常温にて24時間放置後、引張り試験機を用いて試験速度5mm/minにて引張り試験を行い、得られた破断荷重を接着面積で除し剪断強度を求め、接着強度とした。
【0043】
〔実施例1〜4〕
表−1に示す配合で、二軸押出機(日本製鋼所製)を用いて、シリンダー温度210℃、スクリュー回転数250rpmで溶融混練し、樹脂組成物を得た。次にこの樹脂組成物を、シリンダー温度240℃、金型温度60℃の条件で射出成形し成形品を作成し、各種評価を行った。結果を表−1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003634542
【0045】
〔比較例1〜3〕
表−2に示す配合で、二軸押出機(日本製鋼所製)を用いて、シリンダー温度210℃、スクリュー回転数250rpmで溶融混練し、樹脂組成物を得た。次にこの樹脂組成物を、シリンダー温度240℃、金型温度60℃の条件で射出成形し成形品を作成し、各種評価を行った。結果を表−2に示す。
〔比較例4〕
難燃性ABSを、シリンダー温度220℃、金型温度60℃の条件で射出成形し成形品を作成し、各種評価を行った。結果を表−2に示す。
【0046】
【表2】
Figure 0003634542
【0047】
【発明の効果】
本発明の密閉型二次電池用電槽は、剛性、衝撃強度といった機械的強度、耐熱性、耐水蒸気透過性に優れ、かつエポキシ樹脂による電槽部品間の接着性に優れる為、本電槽を用いた密閉型二次電池は、内圧、衝撃に対して優れた構造体として有用であり、二次電池としての性能を長期間十分に発揮できる。

Claims (8)

  1. (a)ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、(b)下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物を1〜30重量部含む樹脂組成物からなる密閉型二次電池用電槽であって、該電槽が2つ以上の部品からなり、該部品が硬化剤としてトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールおよび/またはトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの有機酸塩を用いたエポキシ樹脂により接着されていることを特徴とする密閉型二次電池用電槽。
    Figure 0003634542
    (式中、R、R、RおよびRは、それぞれ、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基、ハロゲン置換アリール基、アリール置換アルキル基、ハロゲンまたは水素を表わし、Xはアリーレン残基を表わし、nは1以上の整数を表わす。)
  2. ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂からなり、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との重量比率が90/10〜10/90であることを特徴とする請求項1に記載の密閉型二次電池用電槽。
  3. 硬化剤が、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールとトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの有機酸塩との混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の密閉型二次電池用電槽。
  4. トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの有機酸塩が、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのトリ・アルキルカルボン酸塩であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の密閉型二次電池用電槽。
  5. (a)ポリフェニレンエーテル系樹脂100重量部に対して、(b)下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物を1〜30重量部 含む樹脂組成物からなる2つ以上の部品を、硬化剤としてトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールおよび/またはトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの有機酸塩を用いたエポキシ樹脂により接着してなることを特徴とする成形品。
    Figure 0003634542
    (式中、R およびR は、それぞれ、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキル置換アリール基、ハロゲン置換アリール基、アリール置換アルキル基、ハロゲンまたは水素を表わし、Xはアリーレン残基を表わし、nは1以上の整数を表わす。)
  6. ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂からなり、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂との重量比率が90/10〜10/90であることを特徴とする請求項5に記載の成形品。
  7. 硬化剤が、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールとトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの有機酸塩との混合物であることを特徴とする請求項5または6に記載の成形品。
  8. トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの有機酸塩が、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのトリ・アルキルカルボン酸塩であることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の成形品。
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