JP3634530B2 - 位置決め装置および露光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体ウエハまたは液晶パネル等の平板状物体にパターンを形成するための露光装置などに用いられる位置決め装置に関し、特に半導体メモリや演算素子等の高密度集積回路チップの製造の際に回路パターンの焼付けを行うべきウエハ等の被露光体の姿勢を的確に保持して高精度な露光を行うことのできる位置決め装置および露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、露光装置などに用いられる位置決め装置は、一般にXY平面内をX方向およびY方向に移動・位置決めするXYステージと、そのXYステージ上に設置され、Z方向の移動・位置決めおよびZ軸に対する回転・位置決めおよびX・Y両軸に対する回転・位置決めを行う微動ステージと、ウエハの露光領域の高さおよび傾きを検出する面位置検出装置から構成されている。このような位置決め装置を備えた露光装置においては、XY平面内を所定距離だけ高速に移動しウエハの露光領域の面位置を検出して微動ステージでこれを補正した後に露光動作する、いわゆるステップアンドリピートを行って半導体の回路パターンの焼付けが行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例ではステップ動作の開始時および終了時に、進行方向に対するピッチング(縦揺れ)が避けられなかった。特にステップ動作終了時のピッチングは、ウエハ面が露光面に対して傾くように作用するので、面位置の検出はピッチングの収束を待ってから開始せざるを得なかった。また、基準面自体も加工精度の限界から面のゆがみがあり、またその上をある重量を持ったステージが移動するので移動荷重による変形の発生も無視できないため、所定の位置への移動が完了した後に面位置の検出を開始せざるを得なかった。
【0004】
そして、その後に測定された面位置を補正するように微動ステージが駆動し、それが完了してから始めて露光動作が開始できた。すなわち、XYステージの移動とウエハ面位置の測定と微動ステージの補正駆動が並行にできず、順次行う必要があったため、結果として微動も含めたステージの移動動作に要する時間が長くなり、ひいては装置全体のスループットを悪化させるといった問題点があった。
【0005】
また、上記問題点に対処するために、微動ステージの基準面に対する傾きを検出するための角変位センサを設けたり、微動ステージの傾き変化を検出するための角加速度計や角速度計等を設け、その信号をもとにして微動ステージのチルティング制御を行うことで上記ピッチングの影響を補正する方法も考えられるが、検出器をつけることによって移動部の重量が増してステージの高速性が損なわれたり、検出手段の検出動作、演算動作および制御手段への通信動作などが追加になるためにステップ時間が長くなったり、コストが上昇するといった問題点があった。
【0006】
本発明は、上述の従来例における問題点に鑑みてなされたもので、半導体ウエハまたは液晶パネル等の平板状物体(以下、基板という)にパターンを形成するための露光装置等に用いられる位置決め装置において、基板を搭載する移動体の重量やコストを増加させることなく、さらには測定精度を維持したまま位置決め時間を短縮し、このような位置決め装置を適用した装置全体のスループットを向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の構成では、予め基板を保持する保持面を定盤に対してX及びY軸方向に移動可能なXYステージの移動時に生じるX及びY軸回りの回転情報を記憶し、そのXYステージの実際の移動時にX及びY軸回りの回転による基板の姿勢変動を前記回転情報に基づいて打ち消すように静圧軸受への供給圧力を制御することを特徴とする。
【0008】
前記回転情報としては、例えば前記XYステージの移動量に応じたX及びY軸回りの回転方向の最大回転角およびその減衰特性に関する数値を、予め計算または測定によって求めておき、それを前記XYステージの移動量を変数としたテーブルまたは関数として記憶させる。この場合、さらに、前記XYステージのXY座標に応じた前記X及びY軸回りの回転方向の最大回転角およびその減衰特性の補正値を、予め計算または測定によって求めておき、それを前記XYステージのXY座標を変数としたテーブルまたは関数として記憶させることが好ましい。
【0009】
また、本発明の第2の構成では、予めステージのピッチング量や基準面の変形量を求めて、これに起因する基板の露光領域における高さと傾きの変化値等の面位置の変化量を記憶しておき、面位置検出装置の出力値に上記記憶した値を補正することで、特別な検出手段を追加することなく、ステージがまだ移動している時でも上記面位置検出装置による正確な検出ができるように面位置検出手段の検出信号または計測値を補正することを特徴としている。
【0010】
前記面位置の変化量としては、例えば前記XYステージの移動量、もしくは移動量および移動方向に応じたX及びY軸回りの回転方向の回転角およびZ方向変位に関する数値を、前記XYステージの移動量、もしくは移動量および移動方向を変数としたテーブルまたは関数として記憶させる。この場合にも、さらに、前記XYステージのXY座標に応じた前記X及びY軸回りの回転角およびZ方向変位の補正値を、予め計算または測定によって求めておき、それを前記XYステージのXY座標を変数としたテーブルまたは関数として記憶させることが好ましい。
【0011】
また、本発明の露光装置は、パターンを被露光基板に露光するための露光装置であって、上述の第1および/または第2の構成の位置決め装置により被露光基板の位置決めを行うことを特徴とする。
【0012】
【作用】
上記第1の構成によれば、基板を保持するXYステージの移動時に生じるX及びY軸回りの回転による基板の姿勢変動を、予め記憶しているXYステージの移動時に生じるX及びY軸回りの回転情報に基づいて打ち消すため、XYステージの位置決め時間を短縮でき、このような位置決め時間を適用された装置全体のスループットを向上させることができる。
【0013】
基板の姿勢変動は、例えばX及びY軸回りに回転可能でかつZ方向に移動可能な微動ステージを前記XYステージに搭載しその微動ステージ上に基板を保持しているときは、その微動ステージを前記回転情報に基づき基板の姿勢変動を打ち消すように補正駆動することで、また、前記XYステージを定盤に対して所定量だけ浮上させる静圧軸受を備えているときはその静圧軸受の供給圧力を前記姿勢変動を打ち消すように制御することで補償することができる。
【0014】
また、上記第2の構成によれば、基板を保持するXYステージの移動時に生じるX及びY軸回りの回転による基板の姿勢変動に起因する面位置検出装置の測定誤差を、予め記憶しているXYステージの移動時に生じる基板の面位置の変化量に基づいて補正するため、XYステージの位置決め時間を短縮でき、このような位置決め時間を適用された装置全体のスループットを向上させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態に係る装置は、予めピッチング量を求めておき、ステップ動作終了時に上記ピッチング量を補正するよう微動ステージのチルティング動作を制御するように構成したものである。また、上記の予め求めるピッチング量をステップ移動の距離に応じたテーブルとして記憶しておくように構成したものである。
【0016】
【実施例】
(第1の実施例)
図1は本発明の第1の実施例に係る位置決め装置の構成を示す。図中、1はステージ定盤であり、2(2a,2b)はY方向の駆動を行うYリニアモータ、3はY方向の直動ガイドを行うYガイド、4(4a,4b)はY方向のみの移動を行い、後述のXステージを搭載するYステージである。5はX方向の駆動を行うXリニアモータ、6はX方向の直動ガイドを行うXガイド、7はX方向に移動するXステージである。これらのXリニアモータ5およびXガイド6はYステージ4に結合されているので、Xステージ7はX方向およびY方向の両方に自在に動作可能である。8はエアパッドであり、上記Yステージ4およびXステージ7を上記ステージ定盤1に対して数μmないし数十μm浮上させている。9はZ方向の移動およびXYZの各軸回りの回転方向に可動な微動ステージであり、10はウエハを真空吸着で設置するウエハチャックである。
【0017】
図2は図1の装置の動作を示す説明図である。なお、以下の全ての図において、同一番号を付したものは同一の要素を示している。図2において、15(15a,15b)はZアクチュエータであり、チルティング用アクチュエータも兼用している。すなわち、それぞれのZ方向の変位を相対的に増減することでXおよびY軸回りの回転方向(チルティング)の変位も同時に得られる。16はこれらステージ全体を制御する制御ボックス(制御手段)である。
【0018】
ここで、例えば図1におけるX方向にステップ動作をする場合、Xリニアモータ5はXステージ7に対して推力を与え、Xステージ7はXガイド6に沿って直線状に移動し、所定距離だけ移動した後、Xリニアモータ5はXステージ7に対して制動力を与え、所定位置に停止する。ところが、Xリニアモータの発生力は、その作用線と、Xステージ7、Zアクチュエータ15および微動ステージ9からなる移動体の重心位置とが必ずしも一致しないため、加速時および減速時には図2に示すようにモーメント力として作用する。一方、エアパッド8(8a,8b)は原理的にステージ定盤1とのギャップが狭まれば浮上力は増大し、広がれば減少するという特性を持っているので、Xステージ7の傾きを水平位置に復元する復元力として作用する。すなわち、Xステージの加減速時には、上記Xリニアモータ5によるモーメント力と上記エアパッド8による復元力のつり合う角度のピッチング角φが生じることになる。
【0019】
この現象は、Y方向のステップ動作をする場合もまったく同様に生じる。
【0020】
その後、リニアモータによる加減速がなくなった後もこのピッチング方向の変位が振動として残留し、収束まである程度の時間を要する。特にステップ動作終了時のピッチングは、ウエハ面が露光面に対して傾くように作用するので、ピッチングの収束を待ってから露光を開始せざるを得ず、結果としてステップ動作に要する時間が長くなり、ひいては装置全体のスループットを悪化させるといった問題点があった。
【0021】
ところが、このピッチング量とその減衰特性は、リニアモータによる加速度および加速時間と、エアパッドによる復元力および粘性抵抗と、移動体の重心位置および慣性モーメントとで決定される。このうち加速度および加速時間以外は装置固有の値である。また、リニアモータによる加速度と加速時間はステップ移動量によって決定されるので、ステップ移動量さえ分かっていれば、予めピッチング量と減衰特性は一意に求めることができる。
【0022】
本実施例は、この点に着目したものであり、予めステップ移動量に応じたピッチング量とその減衰特性をテーブルまたは関数の形で保持しておき、それを打ち消すように駆動制御するものである。
【0023】
すなわち、各種のステップ移動量に応じたピッチング量とその減衰特性を予め計算で求めておき、テーブルまたは関数の形で制御ボックス12に保持しておく。そして図2に示すように、ステップ動作の終了時に、その保持されたピッチング量とその減衰動作を丁度打ち消すようにZアクチュエータ15(15a,15b,15c)を駆動制御することで、Xステージ7がピッチングを行っていても微動ステージ9は常に像面と平行を保つことができるので、ピッチングの収束を待つことなく露光動作に入ることができる。
【0024】
また、ピッチング量とその減衰特性を計算で求めておくのではなく、工場出荷時に各種のステップ移動量に対応したステップ動作を行ってそのときのピッチングを測定する方法をとってもよく、これにより装置の機差も加味した、より正確な補正動作を行うことができる。
【0025】
また上記ピッチングの測定を、装置の現地設置の際に行ったり、実運用の中での初期動作シーケンスの1つとして行ってもよく、これにより装置の設置の状態も加味した、より正確な補正動作を行うことができる。
【0026】
本実施例によれば、ステップ動作の移動量に応じたピッチング量を予め求めておき、ステップ動作終了時に上記ピッチング量を補正するように微動ステージのチルティング動作を制御するので、位置決め時間を短縮でき、装置全体のスループットも向上させることができる。また、変位センサや角加速度計や角速度計等も設ける必要がないため移動体の重量を増加させたりコストを増加させることもない。
【0027】
(第2の実施例)
図3は本発明の第2の実施例に係る図2と同様の図である。
【0028】
第2の実施例は、上記のピッチングの補正動作としてZアクチュエータ15を用いるのではなく、エアパッド8に供給する空気圧力を動的に変化させることにより行うものである。
【0029】
すなわち図3に示すように、進行方向のエアパッド8aとその反対側のエアパッド8bとの供給圧力をそれぞれ個別に動的に調整可能にする。そして、第1の実施例と同様に、予め計算で求めるか、工場出荷時または現地設置時または初期動作シーケンスにおいて測定で求めておいたピッチング量とその減衰特性を、制御ボックス12に保持しておき、ステップ動作終了時にそのピッチングを打ち消すように制御ボックス12の制御のもとにエアパッド8a,8bの供給空気圧をダイナミックに変化させるものである。
【0030】
(第3の実施例)
本発明の第3の実施例は、上記ピッチングおよびその減衰特性データを、ステップ移動量のみをパラメータとしたテーブルまたは関数として保持するのではなく、ステージのXY座標に応じたテーブルまたは関数としても保持するものである。
【0031】
各リニアモータの発生推力ムラや、位置による推力バランスの違いから、XY座標によってピッチングの状態が異なる場合がある。これを補償するために、ステップ移動量およびXY座標をパラメータとしたピッチング量およびその減衰特性を、予め計算で求めるか、工場出荷時または現地設置時または初期動作シーケンスにおいて、測定で求め、テーブルまたは関数の形で制御ボックス12に保持しておき、ステップ動作終了時に第1の実施例と同様にZアクチュエータ15の動作で補償するか、第2の実施例と同様にエアパッド8の動作で補償するものである。
【0032】
(第4の実施例)
図4は本発明の第4の実施例を示す図である。図中、19は真空吸着で吸着固定されたウエハである。11はウエハ19面位置測定用の光照射手段であり、12はこの手段からの照射光をウエハ19の露光領域およびその周辺に導くための反射ミラーである。13はウエハ19の露光領域の高さおよび傾きを検出する面位置検出手段、14はウエハ19からの面位置測定用の光束の反射を面位置検出手段13に導く反射ミラーである。
【0033】
図5は図4の装置の動作を示す説明図である。図中、アクチュエータ15(15a,15b)は簡略化のため2個のみ記載したがXY両軸回りの回転方向に可動にするためには、少なくとも3個またはそれ以上のアクチュエータが当然必要である。16はこれらステージ全体を制御するボックスである。17は面位置検出手段13の検出信号をもとにウエハ19の露光領域の高さと傾きを求めるフォーカス制御ボックスである。18は予め求めておいた、ステップ量およびXY座標とウエハ19の像画に対する高さおよび傾きの変動量との関係を保持しておく参照テーブルである。
【0034】
また、111は白色ランプなどの光源であり、112は光源111からの光束を断面の強度分布が略均一の平行光束として射出するコリメーターレンズである。113はプリズム形状のスリット部材であり、複数の開口部(例えば5個のピンホールなど)を有している。114は投光レンズ系であり、両テレセントリック系より成りスリット部材113の複数の開口部を通過した複数の光束をミラー12を介してウエハ19面上の複数の測定点に導光している。これら111,112,113,114から上記光照射手段11が構成されている。131は受光レンズであり、両テレセントリック系より成りウエハ19からの複数の測定点をミラー14を介して受光する。132は受光レンズ131によってウエハ19上の各測定点に対して形成される複数のピンホール像を示す。133は複数のピンホール像132からの光束を、後述する光電変換手段の検出面上に互いに同一の大きさになるように再結像させる複数の補正光学系(図では簡略化のために代表して1個のみ記載)である。134は2次元CCDなどの光電変換手段である。これら131,133,134から上記面位置検出手段13が構成されている。
【0035】
つぎに本実施例における位置決め装置の動作を順に説明する。
たとえば図4におけるX方向にステップ動作をする場合、Xリニアモータ(図示せず)はXステージ7に対して推力を与え、Xステージ7はXガイド6に沿って直線上に移動し、所定距離だけ移動した後、XリニアモータはXステージ7に対して制動力を与え、所定位置に停止する。次に光源111から投光された光束はコリメータレンズ112により略平行光束として射出され、スリット部材を透過して複数の独立した測定用光束となり、投光レンズ系114およびミラー12を介してウエハ19の露光領域およびその周辺の測定点に投光される。複数の測定光はウエハ19の面上で反射ミラー14および受光レンズ131により各測定点に対して複数のピンホール像132が形成され、これはさらに補正光学系133によって光電変換手段134上に再結像され、光電変換手段134はこれを各測定点のそれぞれの高さに関する信号として複数の電気信号に変換する。これらの信号はフォーカス制御ボックス17に入力され、ある所定の基準面に対する各測定点の高さが求められ、次に各測定点の高さの平均値から露光領域の基準面に対する高さが計算され、各測定点の高さの相対差から露光領域のXおよびY軸回りの回転方向(チルティング)の変位すなわち傾きが計算される。このようにしてウエハ19の厚さばらつきや楔形状や反りに起因する、露光領域の投影レンズ(図示せず)の像面に対する高さおよび傾きが求められる。
【0036】
ところが、第1の実施例と同様に、Xリニアモータの発生力は、その作用線と、Xステージ7の重心位置とは必ずしも一致しないため、加速時および減速時には図2に示すようにモーメント力として作用する。一方、エアパッド8は原理的にステージ定盤1とのギャップが狭まれば浮上力は増大し、広がれば減少するという特性を持っているので、Xステージ7の傾きを水平位置に復元する復元力として作用する。すなわち、Xステージ7の加減速時には、上記Xリニアモータ5によるモーメント力と上記エアパッド8による復元力のつりあう角度のピッチング角が生じることになる。
【0037】
また、同じ原理で微動ステージ9のXステージに対する相対変位についても同様の現象が生じる。すなわち微動ステージ9は一般にフィードバック制御によってステージ7の移動中であっても常に一定の高さおよび傾きを保つように保持されているが、一方Xステージ7の加減速時には上記Xリニアモータによって発生したモーメント力が発生し、このモーメント力は構造上微動ステージ9の重心とXリニアモータの作用線より離れているためにより大きいモーメント力として作用する。従って、このモーメント力と上記フィードバック制御による復元力とがつりあう角度のピッチング角がここでも生じることになる。
【0038】
これらの現象は、Y方向のステップ動作をする場合もまったく同様に生じる。さらに、ステージ定盤はその加工精度の限界から面のゆがみが避けられないため、ステージの位置によって上面の傾きがわずかに異なり、当然ステージ定盤を基準とするXステージもある傾き誤差を持つことになる。
【0039】
またステージ定盤の上をある重量を持ったXステージ、Yステージ、微動ステージの各ステージが移動するので、この移動荷重による面歪みも避けられない。従って、上記ウエハ19の露光領域の高さおよび傾きの測定を行うには、ステップ動作が完了してステージ定盤1に対するXステージ7のピッチングと、Xステージ7に対する微動ステージ9のピッチングが解消している必要があった。またステージ定盤1の加工精度に起因する面歪みや移動荷重による面歪みがあるために、高さおよび傾きの測定を行う位置と露光位置とを一致しなければならず、結局ステップ動作が完了している必要があった。あるいは、完全にステップ動作が完了しない状態であっても、これら測定誤差が所定の許容値以内になると予想されるステップ動作完了の若干手前において、高さおよび傾きを測定する必要があった。すなわち、XYステージの移動とウエハ面位置の測定と微動ステージの補正駆動が並行にできず、順次行う必要があったため、ステージの移動動作に要する時間が長くなり、結果としてステップ開始から露光動作に入れるまでに要する時間が長くなり、装置全体のスループットを悪化させるといった問題点があった。
【0040】
また、上記問題点に対処するために、Xステージ7や微動ステージ9の基準面に対する傾きを検出するための角変位センサーを設けたり、微動ステージの傾き変化分を検出するための角加速度計や角速度計等を設け、その信号をもとにしてウエハ19の高さおよび傾きの測定値を補正をする方法も考えられるが、検出器をつけることによって移動部の重量が増してステージの高速性が損なわれたり、検出手段の検出動作や演算動作や制御手段への通信動作などが追加になるためにステップ時間が長くなったり、コストが上昇するといった問題点があった。また、この場合でもステージ定盤の加工精度に起因する傾きや、移動荷重によるステージ定盤の変形に起因する傾きは、検出することが困難であった。
【0041】
ところが、ステージ定盤1とXステージ7との相対的なピッチング量は、リニアモータによる加速度および加速時間と、エアパッドによる復元力および粘性抵抗と、Xステージ7とZリニアモータ15a,15bと微動ステージ9およびその搭載物からなる移動体の重心位置および慣性モーメントとで決定される。このうち加速度および加速時間以外は装置固有の値である。また、リニアモータによる加速度と加速時間はステップ移動量によって決定されるので、ステップ移動量さえわかっていれば、予めピッチング量と減衰特性は一意に求めることができる。
【0042】
また、同様にXステージ7と微動ステージ9との相対的なピッチング量は、リニアモータによる加速度および加速時間と、フィードバック制御による復元力などの制御特性と、微動ステージ9およびその搭載物の重心位置および慣性モーメントとで決定されるため、これもまたステップ移動量さえわかっていれば、予めピッチング量と減衰特性は一意に求めることができる。
【0043】
次に、ステージ定盤1の加工精度による面歪みや移動荷重による面歪みに起因するXステージ7の傾きは予め測定などによって求めておけば、XYステージの位置によってのみ決定されるため、XY座標がわかっていれば一意に求めることができる。
【0044】
さらに、これらステージの傾きによるウエハ19の露光領域の高さ誤差もウエハ19と投影レンズ光軸との位置関係、すなわちステージのXY座標によって決定されるため、XY座標がわかれば一意に求めることができる。
【0045】
本実施例は、この点に着目したものであり、ウエハ19の高さおよび傾きの測定をステージの移動途中の比較的早い段階、例えば定速度移動段階や減速段階などで行い、これにより発生する測定値の誤差を、予めステップ移動量とXY座標に関するテーブルまたは関数の形で保持しておき、それを測定値に対して補正することで測定精度を維持しつつ、全体のステップ時間の短縮をはかるものである。
【0046】
すなわち、例えば定速度移動段階や減速段階などにおける、各種のステップ移動量に応じたステージ定盤1とXステージ7との相対的なピッチング量およびXステージ7と微動ステージ9との相対的なピッチング量を予め計算で求めておくか、または工場検査時等に上記の各ピッチング量を測定しておいて、テーブルまたは関数の形で参照テーブル18に保持しておく。つぎに同様にして工場検査時等にXY座標に応じたステージ定盤1の加工精度による面歪みや移動荷重による面歪みに起因するXステージ7の傾きを測定し、テーブルなどの形で参照テーブル18に保持しておく。
【0047】
実際の装置の運用時においては、ステージの移動途中例えば定速度移動段階や減速段階において、上述した一連の動作でウエハ19の露光領域の高さおよび傾きを測定する。フォーカス制御ボックス17は得られた高さおよび傾き値を制御ボックス16に通知する。そして、参照テーブル18から上記保持しておいた測定誤差に関する諸数値を制御ボックス16に通知する。これは、ステップ駆動のたびに行ってもよく、あるいは予め一連の露光動作の開始時に一括して行ってもよい。制御ボックス16はこの測定された高さおよび傾き値と、予め保持されていた諸数値から、露光動作を行う位置におけるウエハ19の露光領域の高さおよび傾きを投影レンズの像面に正確に一致させるようなZアクチュエータ15(15a,15b)の駆動量を算出して駆動指令を与える。Zアクチュエータ15が微動ステージ9の高さおよび傾きを変化させ、露光動作を行う位置におけるウエハ19の露光領域が完全に投影レンズの像面に一致するようにする。
【0048】
ただし、この段階においては上述したようなステージの移動に伴う各種のピッチング誤差がまだ残っているから、必ずしもその瞬間のウエハ19の高さや傾きが像面に一致している必要はない。そして、相前後してXステージ7の移動が完了し、目標位置すなわち露光動作するべき位置に達し静定が完了する。その後ただちに露光動作が行われ、その完了後、次のステップ動作が開始される。すなわち、XYステージの移動とウエハ面位置の測定と微動ステージの補正駆動が並行動作できるため、結果として微動も含めたステージの移動動作に要する時間が短くなり、ひいては装置全体のスループットを向上させることができる。
【0049】
上記の例では、ステージ定盤1とXステージ7との相対的なピッチング量およびXステージ7と微動ステージ9との相対的なピッチング量を、ステップ移動量に応じたテーブルまたは関数の形で保持するとしたが、ステージのXY座標も付け加えたテーブルまたは関数としてもよい。この場合は各リニアモータの発生推力ムラや、位置による推力バランスの違いから、XY座標によってピッチングの状態の変化を加味した、より精度のよい補正動作が期待できる。
【0050】
また上記各種の測定を、装置の現地設置の際に行なったり、実運用の中での初期動作シーケンスの一つとして行ってもよく、これにより装置の設置の状態も加味した、より正確な補正動作を行うことができる。
【0051】
また、上記の例では、各項目によるピッチング量を個別に計算または測定して保持しておく例について述べてきたが、個別に計算または測定した値をもとに、最終的にウエハ面の面位置測定値に対して補正するべき補正値を計算しておき、これを補正テーブル18に保持してもよい。また、ピッチング量を個別に計算または測定するのではなく、工場検査時や装置の現地設置の際や実運用の中での初期動作シーケンスの中で、各種のステップ量やXY座標に関するウエハ面位置測定の高さおよび傾きの定常的な誤差として一括して測定し、これを保持してもよい。この場合、測定項目が減少し、保持しておくデータ量も削減できることから、より簡便な補正動作が実現できる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基板を保持するXYステージの移動時に生じるXYの各軸回りの回転による基板の姿勢変動を打ち消すために、予め記憶しているXYステージの移動時に生じるXYの各軸回りの回転情報に基づいて静圧軸受への供給圧力を制御する制御手段、あるいは、XYステージの移動時に生じる基板の姿勢変動による面位置の変化量を予め記憶しておき、この記憶した変化量を用いて面位置検出手段の検出信号または計測値を補正して制御する制御手段を設けたため、XYテーブルの位置決め時間を測定精度を落とさずに短縮でき、装置全体のスループットを向上させることができる。
【0053】
また、これらはソフトウエアで実現でき、変位センサや角加速度計や角速度計等のハードウエアを設ける必要がないため移動体の重量を増加させたりコストを増加させることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る位置決め装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1の装置の動作を示す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係る位置決め装置の動作を示す説明図である。
【図4】本発明の第4の実施例に係る位置決め装置の構成を示す斜視図である。
【図5】図4の装置の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
1:ステージ定盤、2(2a,2b):Yリニアモータ、3:Yガイド、4(4a,4b):Yステージ、5:Xリニアモータ、6:Xガイド、7:Xステージ、8(8a,8b):エアパッド、9:微動ステージ、10:ウエハチャック、11:光照射手段、12:反射ミラー、13:面位置検出手段、14:反射ミラー、15:(15a,15b):Zアクチュエータ、16:制御ボックス、17:フォーカス制御ボックス、18:参照テーブル、19:ウエハ。
Claims (8)
- 基板を定盤に対してX及びY軸方向に移動可能なXYステージと、前記XYステージを前記定盤に対して浮上させる静圧軸受と、前記静圧軸受への供給圧力を制御する制御手段とを備えた位置決め装置において、前記制御手段は、前記XYステージの移動時に生じるX及びY軸回りの回転による前記基板の姿勢変動を打ち消すために、予め記憶しているX及びY軸回りの回転情報に基づいて前記静圧軸受への供給圧力を制御することを特徴とする位置決め装置。
- 前記制御手段は、予め計算または測定によって求められた前記XYステージの移動量もしくは移動量と移動方向に応じたX及びY軸回りの回転方向の最大回転角及びその減衰特性に関する数値を、前記XYステージの移動量もしくは移動量と移動方向を変数としたテーブルまたは関数として記憶することを特徴とする請求項1記載の位置決め装置。
- 前記制御手段は、予め計算または測定によって求められた前記XYステージのXY座標に応じたX及びY軸回りの回転方向の最大回転角およびその減衰特性に関する数値を、前記XYステージのXY座標を変数としたテーブルまたは関数として記憶することを特徴とする請求項1記載の位置決め装置。
- パターンを被露光基板に露光するための露光装置であって、前記被露光基板の位置決めに請求項1記載の位置決め装置を用いた露光装置。
- 基板をX及びY軸回りに回転可能で且つZ方向に移動可能な微動ステージと、前記微動ステージをX及びY軸方向に移動可能なXYステージと、前記微動ステージを制御する制御手段と、前記基板の面位置を検出する面位置検出手段とを備えた位置決め装置において、前記制御手段は、前記XYステージの移動時に生じる前記基板の姿勢変動による前記面位置の変化量を予め記憶しておき、この記憶した変化量を用いて前記面位置検出手段の検出信号または計測値を補正して制御することを特徴とする位置決め装置。
- 前記制御手段は、予め計算または測定によって求められた前記XYステージの移動量もしくは移動量と移動方向に応じたX及びY軸回りの回転方向の回転角及びZ方向変位に関する数値を、前記XYステージの移動量もしくは移動量と移動方向を変数としたテーブルまたは関数として記憶することを特徴とする請求項5記載の位置決め装置。
- 前記制御手段は、予め計算または測定によって求められた前記XYステージのXY座標に応じたX及びY軸回りの回転角およびZ方向変位の補正値を、前記XYステージのXY座標を変数としたテーブルまたは関数として記憶することを特徴とする請求項5に記載の位置決め装置。
- パターンを被露光基板に露光するための露光装置であって、前記被露光基板の位置決めに請求項5に記載の位置決め装置を用いた露光装置。
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