JP3634513B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱調理器に関し、特に、必要に応じて音声を出力することが可能な誘導加熱調理器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁調理器では、コイルに高周波電圧が印加され高周波磁界が発生し、この高周波磁界がステンレス、鉄等の強磁性体の容器に印加されることによって容器には渦電流が発生し、この際容器に発生する熱によって容器内の食材が調理される。
【0003】
このような電磁調理器は、容器が強磁性体でなければならないという制約があることを欠点としつつも、炎や赤熱部を持たず安全で清潔であること、原理的に高い熱効率を有し省エネルギ性があること等の長所を有し、ガスこんろや電気こんろに代わる調理器として期待を集めている。特に、このような安全性の高い電磁調理器は、福祉関連あるいは老年者向け等の調理器としても適している。
【0004】
このような用途で用いられる際からの要請もあって、特に、電磁調理器において、加熱状態を音声で報知する技術が知られている。
【0005】
特開平7−073963号公報に開示された技術は、所定のスイッチを押すことによって加熱の状態を報知するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電磁調理器では、コイルでは200〜1200Wの電力が消費され、音声が出力される際に雑音を発生させる原因となっている。雑音による音声内容をユーザが誤認識すること等は、時として、危険性をはらむものでもある。
【0007】
また、従来の電磁調理器では、音声の出力を要求する音声出力キーの近傍に、電磁調理器の加熱を操作する操作キーが多数設けられており、ユーザの誤動作を招く原因となっている。これらについても上記と同様、危険性をはらむものであることが推察される。
【0008】
さらに、また、特に、加熱を終了する際天板等は加熱していることが多いが、従来の電磁調理器では、ユーザがこれらの加熱部に触れる危険性に対する処置が施されておらず、ユーザが誤ってこれらの加熱部に接触することがある。
【0009】
本発明は、これらのような問題点を解決するためになされたもので、その目的は、より利便性、安全性が高く、ユーザが快適な操作をすることのできる電磁調理器を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、磁性体の容器を載置するセラミック製の天板と、前記天板の温度を検出するサーミスタと、コイルを含む電気回路とを有し、コイルに磁界を発生させることにより磁性体の容器に発生する熱を用いて、容器内に収容された食品を加熱し調理する誘導加熱調理器である。
【0011】
本誘導加熱調理器の電気回路は、加熱を終了するための切キーを含むユーザからの操作を入力するための操作パネルと、前記操作パネルから入力に応じて前記コイルを用いて加熱の状態を制御する主制御手段と、前記加熱の状態に基づいて音声を出力する音声出力手段と、前記音声出力手段によって音声を出力する際、前記コイルで消費される電力を低下させると共に、音声出力後に低下させた電力を復帰させるよう制御する副制御手段とを有し、また前記音声出力手段は、前記切キーが操作されたとき、前記天板が所定の温度以上なら音声による注意が報知されることを特徴とする。
【0012】
請求項1に記載の発明によると、音声が出力される際に、コイルで消費される電力が低下され、音声出力に伴う雑音の発生が防止される。これにより、より利便性、安全性は高くなり、ユーザは快適な操作をすることができる。
【0013】
また、加熱を終了する際、天板が所定の温度に達している場合に音声による注意が報知され、加熱された天板に対する危険が報知される。これにより、より利便性、安全性は高くなり、ユーザは快適な操作をすることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記操作パネルが、加熱の状態を設定するキーと、前記音声出力手段からの音声の出力を要求する確認キーとを含み、前記確認キーは前記加熱状態を設定するキーと離れた位置に設けられる誘導加熱調理器である。
【0015】
請求項2に記載の発明によると、加熱の状態を設定するキーとは離れた位置に、前記音声出力手段からの音声の出力を要求する確認キーが設けられ、押し間違える等の誤動作が防止される。これにより、より利便性、安全性は高くなり、ユーザは快適な操作をすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態の1つである、電磁調理器について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態の1つである、電磁調理器の外観を示す図である。本電磁調理器は、容器5内の食材を加熱し調理するための制御を行なう制御部を含む調理器本体1と、調理器本体1へのユーザからの操作を入力するための操作パネル2と、容器5と接触によって容器5を保持するセラミック製の天板3と、家庭用電源から調理器本体1へ電力を導く電源コード4と、内部に調理をすべき食材を入れることのできる容器5と、容器5を覆うことにより加熱を補助するふた6とからなる。
【0018】
図2は、操作パネル2の構成を示す図である。操作パネル2は、火かげんキー16またはあげものキー18を押すことによって出力される音声の内容等を再度出力させる確認キー11と、時間キー12と分キー13とによるタイマの設定を表示するタイマ表示器14と、火かげんキー16またはあげものキー17による加熱の状態の設定を表示する火力・温度ランプ15と、火かげんキー16が押されたことを示す火かげん状態指示ランプ17と、あげものキー18が押されたことを示すあげもの状態指示ランプ19と、加熱を終了するための切キー20と、加熱中であることを示す加熱ランプ21とからなる。
【0019】
図2に示されるように確認キー11を他のキーから離れた位置に配置することによって、火かげんキー16またはあげものキー17等の加熱の状態を設定するキーと、確認キー11とを押し間違える等の誤動作が防止される。これにより、より利便性、安全性は高くなり、ユーザは快適な操作をすることができる。
【0020】
本電磁調理器を用いての調理を説明する。ユーザは、ふた6をして調理すべき食材を入れた容器5を、電源コード4を接続した調理器本体1の天板3上に載せる。続いて、ユーザは、火かげんキー16またはあげものキー18のいずれかを押すことによって調理をスタートさせる。火かげんキー16は加熱を火かげん状態に設定し、あげものキー18は加熱をあげもの状態に設定する。切キー20を押すと加熱は終了する。
【0021】
ここで、火かげん状態では加熱のもととなるコイルでの電力の消費量が制御され、あげもの状態ではサーミスタによって温度が一定となるよう制御される。また、切キー20を押すことによって一度加熱を終了しない限り、火かげん状態からあげもの状態への変更はできない。
【0022】
図3は、各操作キーの押下によって出力される音声の内容を示す図である。これらの図は、また、火かげんキー16、あげものキー18による加熱状態の設定内容をも説明する。
【0023】
たとえば、図3において、(切状態からの)火かげん状態において、火かげんキー16を1度押すことによって加熱状態は「火かげん強」に設定され、「火かげん強」との音声が報知される。この後、確認キー11を押すと「火かげん強で加熱中」との音声が報知される。
【0024】
また、続いて、火かげんキー16を押すと加熱状態は「火かげん強」に設定されたままであるが、報知される音声は「強」である。この後に、確認キー11を1度押すと「火かげん強で加熱中」との音声が報知される。
【0025】
さらに続いて、火かげんキー16を押すことによって加熱状態は「火かげんやや強」に設定され、「やや強」との音声が報知される。この後に、確認キー11を押すと「火かげんやや強で加熱中」との音声が報知される。
【0026】
火かげんキー16のさらなる押下、あげものキー18についてもこれらと同様に加熱の状態が設定され、音声が報知される。
【0027】
切キー20を押すと加熱を終了し、「加熱を終わります。」との音声が報知される。この際天板3が70度以上の温度に達していると、これを検知し「天板が熱くなっています。気をつけてください。」との音声が報知される。
【0028】
また、調理器本体1は、小物検知として天板3に載せる容器5の負荷が小さい場合、回路を保護すべき場合、温度が異常に上昇する場合を検知し、それぞれこれらを報知する音声を出力することができる。
【0029】
図4は、本電磁調理器の制御部の構成を示すブロック図である。
本電磁調理器の制御部は、操作パネル2の確認キー11、あげものキー18、火かげんキー16、切キー20の操作を検知し加熱出力、すなわち天板の下部に配置したコイル37の入力電力を設定する入力電力設定部31、これらの設定と、天板3に設けられたサーミスタからの検知に基づいて、操作パネル2上の各ランプ、音声発生回路34を介してスピーカ35、インバータ回路36を制御してコイル37への入力電力(加熱出力)を制御する制御回路33からなる。
【0030】
図5は、制御部で実行される制御の手順を示すメインルーチンのフローチャートである。
【0031】
まず、ステップ1(以下、ステップをSと略す)で、各キーによって操作が入力されたか否かが判断される。操作が入力されなければ(S1にて、NO)、処理はS1に止まり、操作が入力されると(S1にて、YES)、S2で、火かげんキー16が押されたか否かが判断される。
【0032】
火かげんキー16が押されると(S2にて、YES)、S3で、先述のような音声出力を含む火かげん状態の加熱が設定され、S4で加熱の動作が開始される。
【0033】
次に、S5で天板3に載せられる容器5の付加の判定、S6で天板3のサーミスタによる温度の判定、S7で回路保護条件の判定が行なわれる。それぞれ、不適正負荷(S5にて、NO)、異常温度(S6にて、NO)、異常(S7にて、NO)のいずれかが判定されると、S20で動作が停止された後、S21で先述のように異常状態が報知され、処理はS1に戻される。
【0034】
それぞれ適正負荷(S5にて、YES)かつ正常温度(S6にて、YES)かつ正常(S7にて、YES)の場合に限り、S8で、確認キー11が押されたか否かが判断される。確認キー11が押されると(S8にて、YES)、S9で後述する動作状態報知ルーチンが実行され、確認キー11が押されなければ(S8にて、NO)、S9はスキップされる。
【0035】
続いて、S10で、切キー20が押されたか否かが判断される。切キー20が押されなければ(S10にて、NO)、加熱動作を継続するためS4へと処理は移され、切キー20が押されると(S10にて、YES)、S11で加熱動作は停止され、S12で先述のように終了が報知される。
【0036】
このS12での処理が終わると、S13では、70度以上の温度が天板に設けられたサーミスタによって検出されているか否かが判断される。70度以上の温度が検出されると(S13にて、YES)、S14で先述のような注意が報知され、70度以上の温度が検出されなければ(S13にて、NO)、処理はS1に移される。
【0037】
以上のような処理によって、加熱を終了する際天板3が70度以上に達している場合に音声が出力され、加熱された天板3に対する危険が報知される。これにより、より利便性、安全性は高くなり、ユーザは快適な操作をすることができる。
【0038】
火かげんキー16が押されなければ(S2にて、NO)、S15であげものキー18が押されたか否かが判断される。あげものキー18が押されると(S15にて、YES)、S16で、先述のような音声出力を含むあげもの状態の加熱が設定され、S4で加熱の動作が開始される。
【0039】
あげものキー18が押されなければ(S15にて、NO)、S17、S18で、確認キー11が3秒間連続で押されているか否かが判断される。確認キー11が3秒間連続で押されている場合に限り(S17、S18にてそれぞれYES)、S19で音量が調節され、S1に処理は移される。確認キー11が3秒間連続で押されている場合でなければ(S17、S18にていずれかがNO)、そのままS1へと処理は移される。
【0040】
図6は、図5に示されるS9の動作状態報知ルーチンでの手順を示すフローチャートである。S91でコイルへの入力電力が低下され、S92で先述のように状態が報知された後、S93で再び入力電力が復帰される。
【0041】
以上のような処理によって、音声が出力される際、コイル37で消費される電力が低下され、音声出力に伴う雑音の発生が防止される。これにより、より利便性、安全性は高くなり、ユーザは快適な操作をすることができる。
【0042】
図4、図5、図6において、制御部とフローチャートに示されるS1、S2、S15でのキー入力の判定、S3、S16での各キー入力に対する設定、S4での加熱動作による制御とは請求項1に示される主制御手段を実現する1つの例であり、制御部とフローチャートに示されるS9の動作状態報知ルーチンよる制御とは請求項1内の副制御手段を実現する1つの例である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1つである、電磁調理器の外観を示す図である。
【図2】操作パネル2の構成を示す図である。
【図3】各操作キーの押下によって出力される音声の内容を示す図である。
【図4】本電磁調理器の制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】制御部で実行される制御の手順を示すメインルーチンのフローチャートである。
【図6】図5に示されるS9の動作状態報知ルーチンでの手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 調理器本体
2 操作パネル
3 天板
5 容器
11 確認キー
16 火かげんキー
18 あげものキー
20 切キー
31 入力電力設定部
33 制御回路
34 音声発生回路
35 スピーカ
36 インバータ回路
37 コイル
Claims (2)
- 磁性体の容器を載置するセラミック製の天板と、前記天板の温度を検出するサーミスタと、コイルを含む電気回路とを有し、前記コイルに磁界を発生させることにより前記容器に発生する熱を用いて、前記容器内に収容された食品を加熱し調理する誘導加熱調理器であって、
前記電気回路は、加熱を終了するための切キーを含むユーザからの操作を入力するための操作パネルと、前記操作パネルから入力に応じて前記コイルを用いて加熱の状態を制御する主制御手段と、前記加熱の状態に基づいて音声を出力する音声出力手段と、前記音声出力手段によって音声を出力する際、前記コイルで消費される電力を低下させると共に、音声出力後に低下させた電力を復帰させるよう制御する副制御手段とを有し、
また、前記音声出力手段は、前記切キーが操作されたとき、前記天板が所定の温度以上なら音声による注意が報知されることを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記操作パネルは、加熱の状態を設定するキーと、前記音声出力手段からの音声の出力を要求する確認キーとを含み、前記確認キーは前記加熱状態を設定するキーと離れた位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。
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