JP3633650B2 - 薄膜形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、薄膜形成方法および薄膜形成装置に関し、特に、微小ノズルより溶液状物質を吐出させ、基板等に薄膜(広義には100μm以下、一般には10μm以下の膜厚)を形成する方法に関するものであり、例えば、ハイブリッドIC回路や半導体回路あるいはマイクロマシン製作に好適な薄膜形成工程に用いられ得るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、プリンティング用装置として、微小ノズルを用いてインクを吐出させる液滴吐出装置の開発が盛んであるが、近年、その液滴吐出装置の応用として吐出させる溶液を、インク以外の、例えばレジストを溶液として用い、IC回路等の作成に適用させる液滴吐出装置あるいは回路形成方法の開発がなされるようになってきている。
【0003】
以下、従来技術として特開平5−104052号公報の液状物質塗布装置を例にして説明する。
【0004】
は、特開平5−104052号の開示する構成を示すものである。
において、101は液状物資供給部、102は液状物質供給部101に接続された吐出ヘッド、103は被塗布部材(以下基板と記す。)、104は吐出ヘッド102と基板103とを対向位置決めするXYステージを示している。
【0005】
また、吐出ヘッド102は、液状物質供給部101に連通し液状物質105が満たされる圧力室106と、圧力室106の長手方向中途部に設けられ吐出ヘッド102に下端面に開口するノズル107と、圧電素子108によって変位が与えられその変位を増幅する変位増幅室109と、圧力室106と変位増幅室109との境界に設けられたダイヤフラム110とを有する。
【0006】
そして、圧電素子108は、制御部111により駆動され、それによって発生した変位が変位増幅室109、ダイヤフラム110を経て、圧力室106内の液状物質105に伝達され、圧力室106内の液状物質105を加圧して、ノズル107から液状物質105を液滴105aにして下方に飛ばすことになる。
【0007】
このような構成をとることにより、ノズル107内の液状物資105を液滴105aにして基板103上に飛ばし、液状物質105を基板103上に任意のパターンで塗布することを可能としている。
【0008】
なお、XYステージ104は、制御部111により所望の位置に制御される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の従来の構成では、吐出の方法として主に圧電効果を利用しているため、以下に示すような克服すべき課題がある。
【0010】
すなわち、圧電効果を用いた圧力印加式(以下圧電式と記す。)による吐出方法では、吐出される溶液は、ノズル径の2倍から3倍の直径の吐出液滴となってしまうため、吐出液によって形成される回路パターンの微細化や精度に制限を受けてしまう。
【0011】
次に、回路パターンの微細化や精度を高めるためには、ノズル径を小さくしなければならないが、ノズル径を小さくしていくと、圧電式の吐出方法では、ノズル部での粘着損失が大きいため、特に高粘度の溶液においては、ノズル径を小さくすることに限界がある。
【0012】
そして、圧電式の吐出方法では、溶存空気量の多い有機溶剤などを吐出溶液として用いると、キャビテーション現象が生じてしまい、吐出の安定性がなくなるため、吐出できる溶液の種類が大幅に制限されてしまう等である。
【0013】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するもので、溶液吐出装置を用いて、溶液の種類の制約を受けずに、薄膜を形成する薄膜形成方法および薄膜形成装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、薄膜形成材料と前記薄膜形成材料を溶解する溶媒とを含み比抵抗が10Ωcm以上の溶液状物質を吐出用のノズル内に案内する工程と、金属膜が形成された被形成部材を前記ノズルの軸線方向に設置する工程と、前記金属膜を一方の電極として発生させる静電力を前記ノズル内の溶液状物質に対して前記ノズルの軸線方向に作用させて前記ノズルから被形成部材に向かって前記溶液状物質を曳糸状で吐出する工程とを有する薄膜形成方法である。
【0015】
このとき、溶液状物質が、さらに比抵抗が調節可能な溶媒をも含んでもよい。または、高分子樹脂を含む溶液状物質を吐出用のノズル内に案内する工程と、金属膜が形成された被形成部材を前記ノズルの軸線方向に設置する工程と、前記金属膜を一方の電極として発生させる静電力を前記ノズル内の溶液状物質に対して前記ノズルの軸線方向に作用させて前記ノズルから被形成部材に向かって前記溶液状物質を曳糸状で吐出する工程とを有する薄膜形成方法であってもよい。
【0016】
または、金属微粒子と分散剤とを含み比抵抗が105Ωcm以上の溶液状物質を吐出用のノズル内に案内する工程と、金属膜が形成された被形成部材を前記ノズルの軸線方向に設置する工程と、前記金属膜を一方の電極として発生させる静電力を前記ノズル内の溶液状物質に対して前記ノズルの軸線方向に作用させて前記ノズルから被形成部材に向かって前記溶液状物質を曳糸状で吐出する工程とを有する薄膜形成方法であってもよい。
【0017】
このとき、溶液状物質が、さらに保護膠質または乳化安定剤をも含んでもよい。 そして、以上の構成において、溶液状物質を曳糸状で吐出する工程が、さらに圧力波を作用させる工程をも含んでもよい。
【0018】
さらに、以上の構成において、被形成部材上に吐出された溶液状物質を加熱する工程を有していてもよい。
【0019】
さらに、被形成部材上に吐出された溶液状物質の周囲に不活性ガスを供給する工程を有していてもよい。
【0021】
【作用】
以上の本発明の構成をとることにより、吐出できる溶液の種類に実質的に制約を受けることがない。
【0022】
さらに、吐出溶液が、確実に曳糸状態(糸を曳いて吐出する状態をいう。)となるため、微細な薄膜形成をする。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
参考例1)
まず、本発明の参考例として、比抵抗が105Ωcm以上の溶液を使用した薄膜形成方法について説明する。
【0025】
図1は、静電力を用いて溶液を吐出させた場合の、吐出状態を示す説明図である。
【0026】
図1において、1、4、6はノズル、2は被塗布部材、3から7は溶液の吐出状態を示す。
【0027】
静電力を用いて溶液を吐出させると、その吐出状態は大別すると図1に示すような形態が考えられる。
【0028】
すなわち、(a)ノズル1から独立した液滴3となって吐出し被塗布部材2に付着する状態、(b)ノズル4から5に示す糸を曳くように曳糸現象を生じて吐出し被塗布部材2に付着する状態、または(c)ノズル6から7に示すように噴霧状に吐出し被塗布部材2に付着する状態、の3つの形態である。
【0029】
微細な薄膜形成を行うためには、上記(b)の曳糸現象を生じる状態で溶液を吐出させる必要があるが、発明者の実験により、吐出状態は、溶液の比抵抗に依存することが判明した。
【0030】
以下、その実験内容について説明する。
図2は、溶液が静電力により吐出され、塗布されるための基本的構成を示す構成図である。
【0031】
図2において、8は溶液供給口、9は溶液吐出口、10は溶液、11は付着された溶液により薄膜が形成される被塗布部材、12は被塗布部材11の背面に設置された背面電極、13はノズル、14は高圧電源を示す。
【0032】
この構成において、溶液10は、背面電極12とノズル13の間に高圧電源14により電圧印加を行って発生した電界により、ノズル13より被塗布部材11の方向に吐出される。
【0033】
図3は、図2は示した構成で静電力を利用して溶液を吐出した場合における溶液の吐出状態を、比抵抗と印加電圧との関係で示したものである。
【0034】
図3において、横軸が溶液の比抵抗を、縦軸が静電力による電界の強さを示しており、a部は溶液が吐出しない状態、b部は独立した液滴となって吐出する状態(図1(a)の状態)、c部は噴霧状に吐出する状態(図1(c)の状態)、d部は溶液が曳糸状に吐出する状態(図1(b)の状態)を示している。
【0035】
前述したように、微細なパターンの薄膜を形成するためには、吐出溶液の制御が可能な、曳糸状態で溶液を吐出する必要がある。
【0036】
従って、図3のd部の状態になるように、まず、溶液の比抵抗が10Ωcm以上であるものを選択することが前提で、更に、溶液に対し与えるエネルギー(電界の強さ)を曳糸状となる大きさに調整すれば、良好な薄膜形成が可能な吐出状態となることがわかる。
【0037】
例えば、近年、DRAM用キャパシタや不揮発性メモリ用材料として開発の進められているMOD(Metallo−Organic Deposition)溶液や、ゾルゲル溶液等は、一般にエタノール、メタノール等の炭化水素系の有機溶剤が溶媒として加えられており、これらの溶液の比抵抗は、一般的に10Ωcm以上である。
【0038】
これらの溶液を従来の圧電素子を用いた吐出方法で吐出を行うと、キャビテーションが生じてしまい良好な溶液吐出ができないが、本実施例の構成で溶液を吐出すれば、図3からも明らかなように、溶液が10Ωcm以上の高い比抵抗を有するため、安定した曳糸状態での溶液吐出が可能であり、露光工程やエッチング工程を用いることなく、基板の任意の場所に、圧電体薄膜や誘電体薄膜等を直接に形成することができる。
【0039】
(実施例1)
実施例1では、図2の構成ではなく、図4に示すような構成で溶液を吐出させる
【0040】
この構成は、溶液を静電力で吐出する原理は図2の構成と同様であるが、電界を発生させるための片方の電極として、被塗布部材15の上面に形成してある金属膜15aを利用していることが異なっている
【0041】
続いて、以上の薄膜形成方法を実際に適用した薄膜形成装置について詳細に説明する。
【0042】
図5は、本発明の薄膜形成装置の構成を示すものである。
図5において、17は溶液を吐出させる溶液吐出部、18は溶液が吐出されることにより薄膜が形成される被塗布部材、19は被塗布部材を加熱するヒータブロック、20は被塗布部材上の任意の場所に溶液を吐出させ薄膜を形成するために被塗布部材を移動ならしめるX−Yステージ、21はヒータブロック19から発生する熱の伝導を防ぐために配置された断熱板、22は溶液吐出部17の上下方向の位置決めを可能ならしめるZステージ、23は吐出する溶液を蓄えかつ溶液吐出部17に溶液を供給する溶液供給部を示す。
【0043】
また、24は、溶液吐出部17の溶液吐出量制御、ヒータブロック19の温度制御、およびX−Yステージ20とZステージ22の移動距離制御を行う制御部を示す。
【0044】
このような装置構成において、Zステージ22で溶液吐出部17の位置決めがなされた後、溶液は溶液吐出部17から被塗布部材18に向かって、上記の吐出原理に従って吐出される。この場合、必要に応じてX−Yステージ20を、吐出途中又は吐出完了後に、移動することになる。
【0045】
そして、被塗布部材18を加熱する加熱機構であるヒータブロック19が設けられているために、溶液を被塗布部材18上に吐出した後、被塗布部材18を加熱することにより、溶媒を速やかに蒸発させて薄膜を形成することが可能となり、薄膜を形成するために要する時間を短縮することができる。
【0046】
なお、加熱方法としてランプを用いて加熱する方法等を採用しても同様な効果を得られることはむろんである。
【0047】
もちろん、室温下での乾燥で時間的に充分である場合には、加熱しなくてもかまわない。
【0048】
また、基板が平板に限らず、曲面状のもの等であっても、同様な方法で薄膜形成が可能である。
【0049】
さらに、図5に示す装置構成に加えて、薄膜を形成する場の雰囲気を不活性ガスで満たす機能を付加することにより、大気中の水分等と反応してしまいそれ自身が持つ特性を劣下してしまうような溶液を吐出しても、大気の影響を受けることなく特性を保持することができるようになる。
【0050】
この薄膜を形成する場の雰囲気を不活性ガスで満たすための手段としては、例えば、薄膜を形成する場を容器で囲い、その中に大気よりも高い圧力で不活性ガスを導入してもよいし、また、真空ポンプ等を用いて薄膜を形成する場と大気中とに圧力差を設けて、薄膜を形成する場を不活性ガスで満たしてもよい。
【0051】
また、溶液を吐出する溶液吐出部17のヘッドを、ノズルを複数にしたマルチノズルヘッドとすることもでき、異なる溶液による薄膜形成を同時に行ったり、一定間隔をもった複数の回路パターンを同時に作成することが可能となり、生産性の向上が図れることになる。
【0052】
(実施例2)
以下、本発明の第2実施例について説明する。
【0053】
実施例1では、比抵抗が高い(10Ωcm以上)溶液について述べたが、本実施例では比抵抗が低い溶液(10Ωcm以下)の場合について、吐出する場合について述べる。
【0054】
ゾルゲル溶液で市販されているものの中で一部のもの、例えば酢酸を主溶媒とするSrTiOゾルゲル溶液等は、その比抵抗が約4×10Ωcmと低いため、静電力によって曳糸現象を生じず、実施例1の原理に従った吐出では、安定した溶液吐出を実現することはできなかった。
【0055】
この原因は、酢酸塩が、溶媒中で解離したイオンとなって比抵抗を下げているいるためと考えられる。
【0056】
そこで、比抵抗を上昇させる目的で、この溶液に疎水性の有機溶媒であるイソブチルベンゼンを第2の溶媒として1:1の割合で混合したところ、図3の領域d部に含まれるように、比抵抗が10Ωcmに上昇して、良好な溶液吐出が可能となった。
【0057】
このように、媒質を良く溶解させる第1の溶媒に加えて、比抵抗調整することを目的とする第2の溶媒を用いることによって、静電力によって良好な吐出が可能な溶液を作製することができる。
【0058】
一般にこの第2の溶液は、第1の溶液よりも極性が低い有機溶媒で、かつ第1の溶液と良く解け合う物が良く、たとえば、脂肪族炭化水素、ナフテン系炭化水素、モノまたはジアルキルナフタレン、フェネチルクメン等の芳香族炭化水素等の有機溶媒が好適である。
【0059】
そして、吐出後の工程は、実施例1と同様な工程で、薄膜を形成することができる。
【0060】
(実施例3)
以下、本発明の第3の実施例について説明する。
【0061】
本実施例では、粘度が比較的高い(10〜20cp以上)溶液、特に樹脂溶液の吐出について説明をする。
【0062】
樹脂を溶解した溶液を被塗布部材上に吐出させ、その後乾燥させることにより樹脂薄膜を得る薄膜の形成方法については、例えば電子部品回路製作時のマスク材として用いることができる等、種々の用途が考えられる。
【0063】
そして、これらの溶液は一般に粘度が高く、10〜20cp以上の場合が多いため、従来の圧電式の吐出方法を用いた場合には、吐出不可能であるか不安定であることが多かった。
【0064】
しかしながら、静電力を利用した吐出方法を用いれば、20〜30cpの粘度でも、樹脂溶液であれば高精度のパターンを作製することができることが判明した。
【0065】
なお、樹脂溶液の中には、溶液の比抵抗が10Ωcmよりも低い溶液も存在する。
【0066】
図3を参照すると、これら比抵抗の低い樹脂溶液を吐出することは不可能であると思われるが、樹脂溶液についての本発明者の検討によれば、例外的に、比抵抗が低い場合でも曳糸状態を生み出せることが判明した。
【0067】
例えば、PVA(ポリビニルアルコール)を5%添加したPVA水溶液の比抵抗は、500Ωcm程度であるが、静電力を用いた吐出方法を用いることによって曳糸状態の溶液吐出を確認することができた。
【0068】
この理由は、静電力によって曳糸現象を生じさせる物性値的な要因として、比抵抗値のみならず、溶質自体の分子量の大きさも影響をする場合があることが考えられる。
【0069】
樹脂溶液が曳糸現象を生じ易いことについては、必ずしも原因が明らかになっているとはいえないが、高分子のタンパク質が糸を曳くのと同様に、高分子の樹脂が曳糸現象を起こしやすいと考える。
【0070】
そして、吐出後の工程は、実施例1と同様な工程で、薄膜を形成することができる。
【0071】
以上より、吐出溶液として樹脂を吐出溶液に用いた場合には、比抵抗値の使用可能範囲を実質的に拡大した薄膜形成が行えるため、通常の電子部品回路製作時のマスク形成が、樹脂の塗布、露光、エッチング等の複数の工程を必要とするのに対し、本発明の吐出原理に従って樹脂溶液からの薄膜形成を行うことにより、1回の工程のみでマスク形成が可能となり、回路製作時の工程数の削減や回路の低価格化等に大きな効果をあげることができる。
【0072】
(実施例4)
以下、本発明の第4の実施例について説明する。
【0073】
本実施例では、金属薄膜を形成させる方法について説明する。
金属の微粉末を含有する溶液を直接被塗布部材上に吐出して薄膜を形成することができれば、微細な配線の直接形成が可能となるので、回路の小型化や、低価格化に大きな効果をあげることとなる。
【0074】
この金属の微粉末を安定に含有した溶液を製造する場合には、分散剤を使用して懸濁させればよいと考えられる。
【0075】
分散剤の例としては界面活性剤があり、固−液界面に吸着して界面エネルギーを低下安定させるものである。
【0076】
つまり、この界面活性剤は、微粒子表面に吸着保護皮膜を形成するため、安定に分散された懸濁液では、個々の微粒子間で直接接触・衝突を起こさないので、電気伝導度の低い、すなわち、比抵抗が10Ωcm以上の溶液とすることができる。
【0077】
また、吸着保護膜は界面活性剤のみでも形成させることができるが、表面皮膜をさらに強固にする物質も存在する。
【0078】
一般的にそれらの物質は、保護膠質または乳化安定剤と呼ばれていが、このような物質を添加することによって微粉末同士の衝突が確実に避けられ、電気的な特性の安定した懸濁液を作製することができる。
【0079】
保護膠質としては、植物ゴム、澱粉、アルギン酸塩、蛋白質、レシチン、繊維系エーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸誘導体、膠質珪酸等が知られている。
【0080】
なお、一般に、微粒子の分散液は、その微粒子の大きさが0.1μm以下のときはコロイドと呼ばれ、数μmより0.1μm程度の大きさであるときはエマルジョンあるいは乳剤と称されている。
【0081】
このような微粒子の分散液はすでに市販されており、本実施例では、真空冶金(株)製の銀微粒子をトルエンの溶剤に分散させたAg30wt%の独立分散超微粒子溶液を用いた。
【0082】
この分散微粒子は、ガス中蒸発法によって生成されたもので、粒径は0.1μm以下であり、コロイド状に分散された個々の粒子は凝集することなく独立に分散されているため、溶液の比抵抗が約10Ωcmと高い。
【0083】
この微粒子の分散液を、静電力を用いて被塗布部材上状に吐出させたところ、良好に曳糸現象が生じて吐出が可能であった。
【0084】
その後、被塗布部材上に吐出した分散液を300℃で加熱すると、分散液は電気伝導性を持った銀薄膜となった。
【0085】
これは、銀微粒子を覆っていた界面活性剤または保護膠質が熱によって溶けて蒸発し、銀微粒子同士の接触凝集が成されたためであると考えられる。
【0086】
もちろんこの加熱工程は、場合によっては、上述したように省略してもかまわない。
【0087】
このように、微粒子自体が比抵抗の低い性質を持つものであっても、絶縁性材料で被膜された微粒子にして吐出溶液とすれば、静電力によって良好に吐出でき薄膜形成が可能であり、微細な配線の直接形成を行うことができるため、回路の低価格化や曲面を持った被塗布部材上への配線において、大きな効果を挙げることができる。
【0088】
(実施例5)
以下、本発明の第5の実施例について説明する。
【0089】
実施例1から4では、溶液を吐出させる方法として静電力のみを用いる場合を示したが、本実施例では、静電力に加え、さらに圧電素子等による振動を溶液に補助的に印加する
【0096】
電力のみの場合と圧力波を併用した場合の溶液の吐出について検討した結果を図に示す。
【0097】
に示された曲線は、溶液の吐出開始点を結んだものであり、圧電効果による圧力波を溶液に与えない場合には、C点の静電力(図3の電界の強さの2kV/mmに相当する)が必要であったものが、溶液に圧力波を加えることによって、D点までは、圧力波が大きければ大きいほど静電力を相対的に小さくすることができることを示している。
【0098】
このとき、溶液に与える圧力波の大きさは、ピエゾの材質、寸法、液室形状、ノズル径、吐出液の物性値等によって異なるが、一般にピエゾに印加する電圧値でいうと50Vから500V程度である。
【0099】
この実験結果は、溶液の吐出方法として、溶液に対し静電力のみを作用させる場合よりも、静電力に圧力波を補助的に加えることによって、図3に示した吐出開始電圧を下げることができ、曳糸現象を生じる状態の領域を広くとれることを示している。
【0100】
上記について、図を用いて説明する。
は、溶液に対し図のE点で示される静電力と圧力波を加えた場合の、溶液の比抵抗値と吐出開始時の印加電圧のとの関係を示すものである。
【0101】
において、破線Fは、静電力のみの吐出方式における吐出開始電圧であり(図3の曲線Aに相当)、曲線Gは、静電力に圧力波を加えたときの吐出開始電圧を示している。
【0102】
吐出手段に、静電力に圧力波を加えることにより、溶液の吐出開始電圧が下がるため、溶液が曳糸現象を生じる状態の領域が、静電力のみの場合のd部の領域に付加して、e部に示す部分を追加することができ、比抵抗値の低い溶液も使用可能となり、結果として吐出溶液の選択の幅を広げることとなる。
【0103】
そして、吐出後の工程は、実施例1と同様な工程で、薄膜を形成することができる。
【0104】
このように、吐出溶液に対し静電力のみならず圧力波を加えれば、静電力のみの溶液吐出方法と比べて、さらに吐出溶液の種類を広げることとなるので、形成できる薄膜の種類が広がり、回路部品あるいはマイクロマシンの製作に大きな効果をあげることが可能となる。
【0105】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、従来の薄膜形成方法に比べて吐出できる溶液の種類に対し実質的には制約を受けることがなく、かつ吐出溶液が曳糸状態となるため微細な薄膜形成が可能であり、各種回路やデバイスの作製時にもたらす利便性はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吐出原理を説明する説明図
【図2】同吐出原理を具体化した溶液の吐出のための参考
【図3】同吐出原理を具体化した構成により得られた比抵抗−電界の関係で決まる溶液の吐出の特性図
【図4】同吐出原理を具体化した溶液の吐出のための構成図
【図5】同吐出原理を具体化した薄膜形成装置の全体構成図
【図6】同吐出原理を具体化した他の構成により得られた圧力波−静電力の関係で決まる溶液の吐出の特性図
【図7】同吐出原理を具体化した構成により得られた比抵抗−電界の関係で決まる溶液の吐出の特性図
【図8】従来例を示す構成図
【符号の説明】
17 溶液吐出部
18 被塗布部材
19 ヒータブロック
20 X−Yステージ
22 Zステージ
23 溶液供給部
24 制御部

Claims (8)

  1. 薄膜形成材料と前記薄膜形成材料を溶解する溶媒とを含み比抵抗が105Ωcm以上の溶液状物質を吐出用のノズル内に案内する工程と、金属膜が形成された被形成部材を前記ノズルの軸線方向に設置する工程と、前記金属膜を一方の電極として発生させる静電力を前記ノズル内の溶液状物質に対して前記ノズルの軸線方向に作用させて前記ノズルから被形成部材に向かって前記溶液状物質を曳糸状で吐出する工程とを有する薄膜形成方法。
  2. 溶液状物質が、さらに比抵抗が調節可能な溶媒をも含む請求項1記載の薄膜形成方法。
  3. 高分子樹脂を含む溶液状物質を吐出用のノズル内に案内する工程と、金属膜が形成された被形成部材を前記ノズルの軸線方向に設置する工程と、前記金属膜を一方の電極として発生させる静電力を前記ノズル内の溶液状物質に対して前記ノズルの軸線方向に作用させて前記ノズルから被形成部材に向かって前記溶液状物質を曳糸状で吐出する工程とを有する薄膜形成方法。
  4. 金属の微粉末と分散剤とを含み比抵抗が105Ωcm以上の溶液状物質を吐出用のノズル内に案内する工程と、金属膜が形成された被形成部材を前記ノズルの軸線方向に設置する工程と、前記金属膜を一方の電極として発生させる静電力を前記ノズル内の溶液状物質に対して前記ノズルの軸線方向に作用させて前記ノズルから被形成部材に向かって前記溶液状物質を曳糸状で吐出する工程とを有する薄膜形成方法。
  5. 溶液状物質が、さらに保護膠質または乳化安定剤をも含む請求項4記載の薄膜形成方法。
  6. 溶液状物質を曳糸状で吐出する工程が、さらに圧力波を作用させる工程をも含む請求項1から5のいずれか記載の薄膜形成方法。
  7. さらに、被形成部材上に吐出された溶液状物質を加熱する工程を有する請求項1から6のいずれか記載の薄膜形成方法。
  8. さらに、被形成部材上に吐出された溶液状物質の周囲に不活性ガスを供給する工程を有する請求項1から7のいずれか記載の薄膜形成方法。
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