JP3633334B2 - シートベルト用リトラクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車等のシートベルトに使われるリトラクタに係り、特にELR(Emergency Locking Retractor)と称される緊急時ロック機能を備えたシートベルト用リトラクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両に装備されるELR付きのシートベルトにおいて、ELRはウェビングを巻取る機能を有するとともに、緊急時にウェビングの引出しをロックして乗員を拘束する機能も有している。
【0003】
例えば図4と図5に示す従来のシートベルト装置1は、ウェビング2と、このウェビング2を巻取るリトラクタ(ELR)3を備えている。リトラクタ3は、ウェビング2の巻取軸にトルクを与えるリターンスプリング(図示せず)や、巻取軸に連動するロックギヤ(図示せず)およびこのロックギヤと摩擦係合しているイナーシャギヤ4と、ビークルセンサ5などを有している。イナーシャギヤ4は比重の大きい金属などからなり、質量体(マス)としての機能も担うようにしている。前記リターンスプリングやロックギヤはフレーム6の内側に収容されている。
【0004】
ビークルセンサ5は、支軸7を中心に上下方向に揺動可能に設けたアクチュエータレバー8と、アクチュエータレバー8の下方に設けたウエイト9などを備えている。アクチュエータレバー8の先端部には、イナーシャギヤ4の歯4aに臨む位置に係止爪部10が設けられている。ウエイト9の上面にすり鉢状の凹部11が形成されており、この凹部11にアクチュエータレバー8の下面側に設けた凸部12が入り込み、凸部12の下面が凹部11の底面に接した状態となっている。ウエイト9は、センサケース13のウエイト支持座14の上に前後方向および横方向に揺動可能に乗っている。
【0005】
このリトラクタ3は、通常時にはリターンスプリングの弾性復元力によってウェビング2がフレーム6の内部に引き込まれており、図4中の矢印F方向にゆっくりとウェビング2を引出すときにはウェビング2の引出しが許容されつつ、イナーシャギヤ4が矢印R方向に回転する。また、衝突等によってウェビング2が比較的高速で引出される際に、その引出し速度がある一定のレベルを越えると、イナーシャギヤ4とロックギヤとの間に回転速度差が生じ、その速度差が設定値を越えた時点でロック機構が作動することにより、ロックギヤがロックされてウェビング2の引出しが阻止されるようになっている。
【0006】
また、衝突等によってウエイト9に前後方向あるいは横方向の加速度が加わったとき、その加速度の方向に応じてウエイト9が動く。ウエイト9が動くと、ウエイト9の凹部11に接している凸部12が押上げられることによってアクチュエータレバー8が押上げられるため、係止爪部10がイナーシャギヤ4の歯4aに噛合い、イナーシャギヤ4の回転が止まることになる。イナーシャギヤ4の回転が止まると、イナーシャギヤ4と前記ロックギヤとの間に前記回転速度差が生じてロック機構が作動することにより、ウェビング2の引出しが阻止される。
【0007】
すなわちこの種のリトラクタ3は、ウエイト9に加速度が作用したときにウェビング2の引出しをロックするメカニズムと、ウェビング2の引出し速度に基いてウェビング2の引出しをロックするメカニズムとの二重のロック機能を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来のリトラクタ3のビークルセンサ5は、車体に下方への加速度が作用する特殊な状況を想定した場合(例えば図6に2点鎖線Mで示すように車体15が大きく傾いた状態から水平な姿勢に戻るときなど)に、ウエイト9の慣性力がウエイト支持座14の上方から矢印Aで示す方向に加わる可能性も考えられる。その場合に、ウエイト9はアクチュエータレバー8を押上げる力を発揮しなくなり、係止爪部10とイナーシャギヤ4の歯4aとの噛合いを維持しにくくなる。
【0009】
従ってこの発明の目的は、車体下方に加わる加速度に対してもアクチュエータレバーをロック方向に作動させることができるようなシートベルト用リトラクタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を果たすため、請求項1に記載した本発明のシートベルト用リトラクタは、緊急時に前後方向あるいは横方向に加わる加速度に対して第1ウエイトがアクチュエータレバーの係止爪部をギヤに向って押上げる方向に動くため、前記ギヤがロックされ、ウェビングの引出しが阻止される。また、車体下方に加わる加速度に対しては、第2ウエイトがその慣性力によってレバー延出部を押下げる方向に動き、アクチュエータレバーの係止爪部を前記ギヤに向って押上げるため、前記ギヤがロックされ、ウェビングの引出しが阻止される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の一実施形態について、図1から図3に示すシートベルト装置20に用いるリトラクタ23について説明する。この実施形態のシートベルト装置20は、ウェビング22と、ウェビング22を巻取るリトラクタ(ELR)23等を備えている。リトラクタ23は、ウェビング22の巻取軸に巻取トルクを与えるためのリターンスプリング(図示せず)や、巻取軸に連動するロックギヤ(図示せず)およびこのロックギヤと摩擦係合するイナーシャギヤ24と、ビークルセンサ25などを有している。イナーシャギヤ24は鉛などの比重の大きい金属材料を有し、質量体(マス)としての機能も担うようにしている。前記リターンスプリングやロックギヤはフレーム26の内側に収容されている。フレーム26は車体に固定される。
【0012】
ビークルセンサ25は、支軸27を中心に上下方向に揺動可能に設けたアクチュエータレバー28と、アクチュエータレバー28の下方に設けた第1ウエイト29などを備えている。アクチュエータレバー28の先端部には、イナーシャギヤ24の歯24aに臨む位置に係止爪部30が設けられている。第1ウエイト29の上面にすり鉢状の凹部31が形成されており、この凹部31にアクチュエータレバー28の下面側に設けた凸部32が入り込み、凸部32の下面が凹部31の底面に接した状態となっている。第1ウエイト29は、センサケース33のウエイト支持座34の上に前後方向および横方向に揺動可能に乗っている。
【0013】
またアクチュエータレバー28の他端側には、支軸27を挟んで係止爪部30と反対側に延びるレバー延出部28aが設けられている。そしてレバー延出部28aの上方に第2ウエイト40が設けられている。この第2ウエイト40はフレーム26に設けた取付部41にばね等の支持部材42によって上下方向に移動可能に支持されており、第2ウエイト40に下方への加速度が加わったとき、第2ウエイト40が慣性力によって下方に移動してレバー延出部28aを押下げることにより、係止爪部30がイナーシャギヤ24の歯24aに向って押上げられるようになっている。なお、アクチュエータレバー28は、自重により係止爪部30がイナーシャギヤ24から離隔するように軸支される。また、支軸27をイナーシャギヤ24から離隔するよう、かつ、第1ウエイト29および第2ウエイト40の作動を妨げないようにばねで付勢してもよい。
【0014】
次に、前記構成のリトラクタ23の作用について説明する。
このリトラクタ23は、通常時にはリターンスプリングの弾性復元力によってウェビング22がフレーム26の内部に引き込まれ、図1中の矢印F方向にゆっくりとウェビング22を引出すときにウェビング22の引出しが許容されつつ、イナーシャギヤ24がロックギヤと一体に矢印R方向に回転する。そして衝突等によってウェビング22が比較的高速で引出される際に、その引出し速度がある一定のレベルを越えると、イナーシャギヤ24とロックギヤとの間に回転速度差が生じ、その速度差が設定値を越えた時点でロック機構が作動することにより、ロックギヤがロックされてウェビング22の引出しが阻止される。
【0015】
また、図2に示すように、衝突等によって第1のウエイト29に前後方向あるいは横方向の加速度が加わったとき、その加速度の方向に応じてウエイト29が倒れるように動く。こうしてウエイト29が動くと、第1ウエイト29の凹部31に接する凸部32が凹部31の底面に押されて上昇することにより、アクチュエータレバー28が押上げられるため、係止爪部30がイナーシャギヤ24の歯24aに噛合い、イナーシャギヤ24の回転が止まることになる。イナーシャギヤ24の回転が止まると、イナーシャギヤ24と前記ロックギヤとの間に前記回転速度差が生じてロック機構が作動することにより、ウェビング22の引出しが阻止される。
【0016】
すなわちこのリトラクタ23は、第1ウエイト29に加速度が作用したときにウェビング22の引出しをロックするメカニズムと、ウェビング22の引出し速度に基いてウェビング22の引出しをロックするメカニズムとの二重のロック機能を有している。
【0017】
そしてこのリトラクタ23は、図3に示すように、車体に対しその下方(矢印A方向)への加速度が加わったとき、第1ウエイト29はウエイト支持座34上に上方から押付けられるため実質的に移動せず、アクチュエータレバー28の係止爪部30をイナーシャギヤ24の歯24aに係合させることができないが、第2ウエイト40がレバー延出部28aに対して上方から当接するとともにレバー延出部28aを押下げるため、アクチュエータレバー28の係止爪部30がイナーシャギヤ24の歯24aに係合する。このためイナーシャギヤ24の回転がロックされ、ウェビング22の引出しが阻止されるようになる。
【0018】
第2ウエイト40を支持する手段としては、前記実施形態のようなばねを用いた支持部材42の代りに、摩擦等を利用した保持手段によって第2ウエイト40をレバー延出部28aの上方の所定位置に保持するとともに、第2ウエイト40をレバー延出部28aに向って移動できるようにしてもよい。
【0019】
この発明は前記実施形態のみに制約されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、アクチュエータレバーやギヤ、第1ウエイト、第2ウエイトあるいはレバー延出部をはじめとして、この発明の構成要素を適宜変更して実施できることは言うまでもない。
【0020】
【発明の効果】
請求項1に記載した本発明のシートベルト用リトラクタによれば、車体前方や横方向に加わる加速度だけでなく、車体下方に加わる加速度に対してもアクチュエータレバーをロック方向に作動させることができ、車体の姿勢等に左右されることなくウェビングの引出しをロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すシートベルト用リトラクタの側面図。
【図2】図1に示されたリトラクタの第1ウエイトが作動した状態を示す側面図。
【図3】図1に示されたリトラクタの第2ウエイトが作動した状態を示す側面図。
【図4】従来のシートベルト用リトラクタの側面図。
【図5】図4に示されたリトラクタの斜視図。
【図6】加速度が加わる方向を示す車両の正面図。
【符号の説明】
22…ウェビング
23…シートベルト用リトラクタ
24…ギヤ(イナーシャギヤ)
24a…ギヤの歯
28…アクチュエータレバー
28a…レバー延出部
29…第1ウエイト
30…係止爪部
40…第2ウエイト

Claims (1)

  1. ウェビングの巻取軸に連動して回転するギヤと、
    支軸を中心に上下方向に揺動可能に設けられかつ前記ギヤの歯に臨む位置に係止爪部と前記支軸を挟んで前記係止爪部の反対側に延出するレバー延出部とを有するアクチュエータレバーと、
    前記アクチュエータレバーの下方に設けられかつ前後あるいは横方向の加速度が加わったときに慣性により前記アクチュエータレバーの係止爪部を前記ギヤに向って押上げる方向に動く第1ウエイトと、
    前記レバー延出部の上方に設けられかつ下方への加速度が加わったときに慣性により前記レバー延出部を押下げる方向に移動することにより前記係止爪部を前記ギヤに向って押上げる第2ウエイト、
    を具備したことを特徴とするシートベルト用リトラクタ。
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