JP3632244B2 - カラー画像形成装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、プリンターやファクシミリや複写機等に用いられる電子写真方式によるカラー画像形成装置に関し、さらに詳しくは、ベルト状の像担持体の外周に複数の現像装置を有するカラー画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカラー画像形成装置は、一般に、ドラム状の像担持体の周りに帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段を配置したものが多く用いられており、現像手段の色を切り替えるために、ロータリ式に複数の現像手段を配置したものやリニア式に複数の現像手段をスライドさせるものが知られている。 これに対して、実開昭63−39239号公報に開示される自動多色複写機では、ベルト状の感光体の内部にアームに支持された移動ローラを設けて、この移動ローラにより感光体の移動及び感光体の任意の現像スリーブへの近接移動を行って、複数の現像手段の占有スペースを低減する技術が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来一般的に用いられていた移動式の現像手段により色切り替えを行うようなカラー画像形成装置では、現像手段の移動時に振動や衝撃の発生が免れず、現像手段からトナーが漏れて画像上に飛散したり装置内をトナー粉末で汚染するなどの問題があり、複数の現像手段を個々に離接する際に開閉式のシール機構を新たに加えたりして装置を無用に大型化するだけでなく、装置の清掃や部品の交換といったメンテナンスを必要としていた。
【0004】
一方、現像手段の移動をなくし、ベルト状の像担持体を用いる上述の公報に開示されるようなカラー画像形成装置では、ベルト状の像担持体を多数のローラにより支持する装置構成は複雑で大型であるだけでなく、各色のカラー像を順次現像し、順次転写する色重ねを行うと、選択された現像手段により像担持体ベルトの張力が変動し、露光位置から転写位置までの周長が変化するため、色重ね時に色ズレを生じていた。
【0005】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、現像手段の離接移動によるトナー飛散を防止できるカラー画像形成装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、ベルト状の像担持体の張力変動によらず高精度な色重ねを行い、色間の位置ズレを防止して色再現性に優れたカラー画像形成装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のカラー画像形成装置は、ベルト状の像担持体と、前記像担持体を支持する支持ローラと、前記像担持体を帯電する帯電手段と、画像形成情報に従って前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体上の静電潜像を複数色のトナーにより順次顕像化する複数の現像手段と、前記像担持体を前記現像手段に付勢する移動可能な当接ローラと、現像されたトナー像を転写する転写手段とを有し、前記像担持体を前記支持ローラに巻きかけた部分に対向して前記帯電手段を配設し、前記像担持体を前記支持ローラに巻きかけた部分で露光するべく前記露光手段を配設し、前記支持ローラから前記当接ローラの外径以上離間させて前記現像手段を配設すると共に前記当接ローラにより前記現像手段を選択して所定の色のトナー像を形成し、前記像担持体を前記支持ローラに巻きかけた部分に対向して前記転写手段を配設してトナー像を転写するカラー画像形成装置であって、前記当接ローラと前記像担持体との接触幅を前記現像手段の有効現像幅よりも大きく、かつ、前記現像手段の接触幅よりも小さくすることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のカラー画像形成装置は、当接ローラを弾性体を含む弾性ローラで形成することを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明のカラー画像形成装置は、当接ローラの外径を支持ローラの外径より小径とすることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明のカラー画像形成装置は、当接ローラを第一当接ローラと第二当接ローラとで構成し、第一当接ローラから第二当接ローラに至る領域で、像担持体を現像手段の少なくとも一部に接触させることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明のカラー画像形成装置は、当接ローラを像担持体の移動方向に移動可能とすると共に、像担持体の非画像領域で像担持体を現像手段に対して離接することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明のカラー画像形成装置は、像担持体の移動方向に対して支持ローラから当接ローラに至る領域または当接ローラから支持ローラに至る領域に、像担持体に張力を印加する張力印加手段を配設することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のカラー画像形成装置は、支持ローラが像担持体に駆動力を伝達することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明のカラー画像形成装置は、現像手段が支持ローラに対して固定された位置に配設されることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記像担持体を前記現像手段に付勢する移動可能な当接ローラは、現像手段と同数設けられ、選択した当接ローラを移動させて像担持体を現像手段に接触させることを特徴とする。
【0017】
【作用】
本発明の上記の構成によれば、像担持体を支持ローラに巻きかけた部分に対向して帯電手段を配設し、像担持体を支持ローラに巻きかけた部分で露光するべく露光手段を配設し、支持ローラから当接ローラの外径以上離間させて現像手段を配設すると共に当接ローラにより現像手段を選択して所定の色のトナー像を形成し、像担持体を支持ローラに巻きかけた部分に対向して転写手段を配設してトナー像を転写することにより、当接ローラの移動により現像手段の選択を行うため現像手段の離接移動が不要であり現像手段に与える振動や衝撃を最小限にすることができ、帯電及び露光及び転写の位置を支持ローラに対して正確に位置決めすることができる。
【0018】
また、当接ローラを弾性体を含む弾性ローラで形成することにより、当接ローラの移動による振動や衝撃の発生を低減すると共に、像担持体と現像手段との現像ニップを十分大きく確保することができる。
【0019】
さらに、当接ローラの外径を支持ローラの外径より小径とすることにより、帯電、露光、転写、クリーニング、除電といった各プロセスを支持ローラの周囲に位置決めして構成することができる。
【0020】
さらに、当接ローラを第一当接ローラと第二当接ローラとで構成し、第一当接ローラから第二当接ローラに至る領域で、像担持体を現像手段の少なくとも一部に接触させることにより、像担持体ベルトの弛み部で現像ニップを形成することができるため、現像手段に対して低圧力で像担持体を付勢することができると共に、現像ニップを十分大きく確保することができる。
【0021】
さらに、当接ローラを像担持体の移動方向に移動可能とすると共に、像担持体の非画像領域で像担持体を現像手段に対して離接することにより、画像領域に離接によるトナー付着を起こさない。
【0022】
さらに、像担持体の移動方向に対して支持ローラから当接ローラに至る領域または当接ローラから支持ローラに至る領域に、像担持体に張力を印加する張力印加手段を配設することにより、現像手段の位置ズレによるベルトの弛み長さの変動を張力印加手段により吸収して、露光位置から転写位置に至る像担持体ベルトの長さを一定にすることができる。
【0023】
さらに、支持ローラが像担持体に駆動力を伝達することにより、像担持体を安定して走行させることができる。
【0024】
さらに、現像手段が支持ローラに対して固定された位置に配設されることにより、現像手段をカラー画像形成装置本体に対して位置固定して使用することができるため、現像手段の離接移動が不要であり、トナー補給が容易であり、現像手段の着脱交換も容易である。
【0025】
さらに、当接ローラと像担持体との接触幅を現像手段の有効現像幅よりも大きくすることにより、有効現像領域での像担持体と現像手段との接触状態もしくは近接状態を一定に保つことができる。
【0026】
さらに、当接ローラと像担持体との接触幅を現像手段の有効現像幅よりも大きく、かつ、現像手段の接触幅よりも小さくすることにより、現像手段の端部コーナーを像担持体に強く当接させることがない。
【0027】
さらに、像担持体の肉厚を当接ローラの外径に対して2桁以上小さくすることにより、繰り返し曲げによる像担持体の割れや変形を防止することができる。
【0028】
【実施例】
以下、図面に基づき本発明を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明のカラー画像形成装置の一実施例を示す要部断面図である。
【0030】
図において符号10は、ベルト状に形成された像担持体を示し、この像担持体10はニッケル電鋳チューブ上に電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に形成した可撓性を持つ有機感光体である。この像担持体10は、像担持体10を駆動し矢印B方向に回転する支持ローラ11と像担持体10の移動に伴って従動回転し像担持体10を選択された現像手段に向かって付勢する当接ローラ13との間に張架される。特に、当接ローラ13については、現像するべきトナー色に応じて、像担持体10の非画像部で矢印C方向に移動して、所定の現像手段に向かって像担持体10を付勢するものである。但し、図中の二点鎖線で示す円弧は、当接ローラ13が現像手段に対応して位置決めされる位置を示す。このようにして張架され移動する像担持体10に対して、帯電、露光、現像、転写等の電子写真プロセスにより各色順次トナー像が形成される。
【0031】
図において符号20は、帯電手段である帯電ローラを示し、帯電ローラ20は、像担持体10を支持ローラ11に巻きかけた部分に対向して、像担持体10と軽圧で接触するように配設され、像担持体10に従動して回転する。この帯電ローラ20にDC(−)1200V程度のバイアスを印加して、像担持体10の表面を順次(−)650V程度の帯電電位に均一に帯電させることができる。
【0032】
次に、帯電された像担持体10は、像担持体10を支持ローラ11に巻きかけた部分で露光手段30により像露光され、像露光部の電位は(−)50V〜(−)150Vになる。露光手段30は、図示しない半導体レーザ、ポリゴンミラー31、結像レンズ32、ミラー33等で構成され、半導体レーザから出射されたビーム34は、ポリゴンミラー31で偏光走査され、結像レンズ32で補正され、ミラー33で反射されて、像担持体10に照射される。このようにして、像担持体10上に静電潜像が形成される。
【0033】
続いて、静電潜像が形成された像担持体10は、像担持体10の矢印A方向に移動して、当接ローラ13により像担持体10を選択された現像手段に向かって付勢して画像部にトナーが現像され、静電潜像は顕像化される。この現像手段は、イエローのトナーを現像するイエロー現像ローラ45を有するイエロー現像器41、マゼンタのトナーを現像するマゼンタ現像ローラ46を有するマゼンタ現像器42、シアンのトナーを現像するシアン現像ローラ47を有するシアン現像器43、ブラックのトナーを現像するブラック現像ローラ48を有するブラック現像器44、により構成され、画像の色データにより、それぞれの現像器を作動させて像担持体10の静電潜像を1色づつ現像する。尚、各現像器41〜44は、ハウジング40に着脱可能に位置決め固定され、各現像ローラ45〜48の位置は、当接ローラ13を移動可能とするように支持ローラ11に対して当接ローラ13の外径以上の空隙を隔てて配設され、各現像ローラ45〜48は、現像時に、像担持体10に対して接触、非接触の何れの位置に配置されても良い。
【0034】
引き続いて、所定色のトナーにより形成されたトナー像は、転写手段である一次転写ローラ50により、像担持体10から中間転写媒体51に転写される。この一次転写ローラ50は、中間転写媒体51を挟んで、像担持体10を支持ローラ11に巻きかけた部分に対向して配設される。尚、転写時には、除電ランプ60により、像担持体10上の残留電荷を除去して、画像エッジ部の転写残りを低減する。
【0035】
像担持体10上に転写後残留した転写残りのトナーは、次に、クリーニング手段70へ送られ、クリーニングブレード71により掻き落とされ、クリーニング手段70の内部空間に排出される。クリーニングブレード71が像担持体10に接触する部分は、像担持体10を支持ローラ11に巻きかけた部分に対向して配設され、クリーニングブレード71と像担持体10との相対位置関係を一定に保っている。
【0036】
この後、再度、帯電、露光、現像を行って形成された次の色のトナー像は、一次転写ローラ50により像担持体10から中間転写媒体51に転写され、中間転写媒体51上で色重ねされる。ここで、中間転写媒体51は、駆動ローラ52と第一従動ローラ53と第二従動ローラ54との間に張架されると共に、一次転写ローラ50を内部に有し、矢印F方向に回転する駆動ローラ52により駆動され、第一従動ローラにより張力を与えられて、矢印E方向に移動する。尚、中間転写体51の周長は、転写の位置精度を向上するために、像担持体10の周長の整数倍か整数分の1にするのが好ましい。また、中間転写媒体51を用いずに、記録材を保持する転写ドラムや紙搬送ベルトを用いても同様な色重ねを行いカラー画像を形成することが可能である。
【0037】
このような動作を所定色分繰り返して形成されたカラートナー像は、矢印G方向に離接動作を行って第二従動ローラ54に向かって付勢された二次転写ローラ55により、画像の先端に合わせて搬送されてきた記録材80に一括して二次転写される。
【0038】
一方、中間転写媒体51上に二次転写後残留した転写残りのトナーは、第二クリーニング手段56へ移送され、第二クリーニングブレード57により掻き落とされ、第二クリーニング手段56の内部空間に排出される。尚、第二クリーニング手段56は、トナー像を記録材80に転写する動作に対応して、矢印H方向に中間転写媒体51に向かって移動しクリーニングを行うが、それ以外では中間転写媒体51に対して離間した位置に保持される。
【0039】
他方、記録材80は、カラートナー像の二次転写に応じて紙パス81に沿って給送されるが、多数枚の紙等の記録材80を収納する給紙トレー82から、矢印I方向に回転する給紙ローラ83により取り出され、ゲートローラ対84、85に送られる。このゲートローラ対84、85で先端を揃えられた記録材80は、色重ねされたカラートナー像を記録材80の所定の位置に一括転写するべく、ゲートローラ84を矢印J方向に回転駆動させて、二次転写ローラ55に向けて給送され、中間転写媒体51上のカラートナー像は一括して記録材80上に二次転写される。さらに、記録材80は、定着手段90へと搬送され、トナー像を加熱定着された後、図示しない排紙トレーに排出される。尚、定着手段90は、加熱ローラ91と加圧ローラ92とで構成され、加熱ローラ91を矢印K方向に回転し、加熱ローラ91の内部に配設されたヒータを熱源として、記録材80上のカラートナー像を加熱定着するものである。
【0040】
このようにして、記録材80上に複数色のトナーによるカラートナー像が定着され、一連のカラー画像形成動作が完了する。また、連続してカラー画像を形成する場合には、同様の画像形成プロセスを繰り返し、モノカラーの画像を形成する場合には、一色分の画像形成プロセスのみを行う。
【0041】
上述したように、像担持体10を支持ローラ11に巻きかけた部分に対向して帯電手段である帯電ローラ20を配設し、像担持体10を支持ローラ11に巻きかけた部分で露光するべく露光手段30を配設し、支持ローラ11から当接ローラ13の外径以上離間させて現像手段41〜44を配設すると共に当接ローラ13により現像手段41〜44を選択して所定の色のトナー像を形成し、像担持体10を支持ローラ11に巻きかけた部分に対向して転写手段である一次転写ローラを配設してトナー像を転写することにより、当接ローラの移動により現像手段の選択を行うため現像手段の離接移動が不要であり現像手段に与える振動や衝撃を最小限にすることができ、帯電及び露光及び転写の位置を支持ローラに対して正確に位置決めすることができるため、装置内のトナー汚染を防止すると共に、飛散トナーによる画像劣化を防止することができ、解像度が高く色ズレのないカラー画像を形成することができる。尚、支持ローラ11や当接ローラ13は、金属のスリーブ等にフランジを嵌合したものを用い、外周面を粗面化処理したものや外周面に樹脂を被覆したものを用いることができる。また、露光手段30が像担持体10を支持ローラ11に巻きかけた部分で露光するべく配設され、転写手段である一次転写ローラ50が像担持体10を支持ローラ11に巻きかけた部分に対向して配設されることにより、像担持体10のベルト張力変動が少ない位置で露光することができ、たとえ像担持体のベルト張力が変動しても、現像位置や転写位置と同様なベルト張力状態となる位置で露光することができると共に、安定して一定の位置で転写することができるため、露光位置から一次転写位置に至るまでの像担持体10のベルト長を一定に保つことができるので、色ズレのない色再現性に優れたカラー画像を形成することができる。さらに、当接ローラ13の外径を支持ローラ11の外径より小径とすることにより、帯電、露光、転写、クリーニング、除電といった各プロセスを支持ローラ11の周囲に位置決めして構成することができるため、解像度が高く色ズレのないカラー画像を形成することができる。
【0042】
特に、当接ローラ13を矢印C方向に移動させる場合には、像担持体10の非画像領域で像担持体10を各現像ローラ45〜48に対して離接することにより、画像領域に離接によるトナー付着を起こさないので、色純度の高いカラー画像を形成することができる。
【0043】
また、像担持体10の移動方向Aに対して支持ローラ11から当接ローラ13に至る領域または当接ローラ13から支持ローラ11に至る領域に、像担持体10に張力を印加する張力印加手段を配設することにより、各現像器41〜44の位置ズレによるベルトの弛み長さの変動を張力印加手段により吸収して、露光位置から転写位置に至る像担持体ベルトの長さを一定にすることができるため、現像位置のマージンが大きく、色再現性に優れたカラー画像形成装置を提供することができる。尚、張力印加手段は、回転可能なローラをバネ等により移動可能に付勢するもので構成しているが、張力印加手段はベルトの巻きかけ角を小さくするように配設して付勢力を小さくすることが望ましく、ローラやベルトと摺接するバネ等で構成するのが望ましい。
【0044】
さらに、支持ローラ11が像担持体10に駆動力を伝達することにより、像担持体10を安定して走行させることができ、露光位置から転写位置に至る像担持体10の長さを一定にして、色ズレのない色再現性に優れたカラー画像を形成することができる。尚、像担持体10の端部は蛇行を防止するために支持ローラ11にガイドされ、像担持体10が支持ローラ11に対してスリップしないように粗面化等の高摩擦係数化処理を施すのが望ましい。
【0045】
さらにまた、各現像器41〜44が支持ローラ11に対して固定された位置に配設されることにより、各現像器41〜44をカラー画像形成装置本体に対して位置固定して使用することができるため、各現像器41〜44の離接移動が不要であり、トナー補給が容易であり、各現像器41〜44の着脱交換も容易であって、トナー補給や現像器の交換をユーザーメンテナンス化することができる。同様に、各現像手段41〜44の離接移動がないため、離接移動に伴うトナー飛散を防止できるだけでなく、小型軽量の当接ローラ13の移動により色切り替えが可能なため、色切り替えを高速に行うことができ、カラー画像形成装置の高速化にも有用である。
【0046】
次に、当接ローラ13と各現像ローラ45〜48の位置関係について、図2及び図3を用いて説明する。
【0047】
図2は、非接触現像を行う場合の当接ローラの作動状態を示す要部断面図であって、ベルト状の像担持体210は、当接ローラ213を現像ローラ240に向かって付勢することにより、現像ローラ240の両端にそれぞれ配設されたギャップコロ241に接触し、ギャップコロ241の外径と現像ローラ240の外径とによって決まる空隙を介して現像ローラ240に対して位置決めされる。現像ローラ240上には、この空隙よりも薄い厚みでトナー層が形成され、トナーは静電潜像及び現像バイアス電圧により飛翔現像される。このような非接触現像は、トナー層を介して現像ローラ240を像担持体210に擦りつけることがないため、像担持体210の摩耗がなく耐久性に優れている。また、当接ローラ213の前後には第一テンションローラ214と第二テンションローラ215とがそれぞれ当接ローラ213に張力印加手段である板バネ216、217とで懸架されて配設され、像担持体210の弛みを防止している。
【0048】
図3は、接触現像を行う場合の当接ローラの作動状態を示す要部断面図であって、当接ローラ313を金属のシャフト311の周りにゴム等の弾性層312を形成した弾性ローラとすることにより、ベルト状の像担持体310は、当接ローラ313を現像ローラ340に向かって付勢することにより、当接ローラ313は像担持体310の張力による変形を受けると同時に現像ローラ340との間接的な接触による変形を受ける。こうして、像担持体310と現像ローラ340との間には接触ニップが形成され、現像ローラ340上のトナーは静電潜像及び現像バイアス電圧により現像される。このような接触現像は、像担持体310と現像ローラ340とがトナー層を介するだけの微小空隙で近接するため、現像ローラ340による現像電極効果が顕著に得られ高解像な画像を形成することができるだけでなく、現像ローラ340のほぼ全幅に渡って接触しているため、像担持体310及び現像ローラ340の振動を吸収してジッタの少ない高精細な画像を形成することができる。尚、弾性層312は、ゴム硬度(JIS A)が60度以下の柔軟な弾性体で形成されることが望ましく、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、エラストマーフォーム、ゴムフォーム等の軟質フォーム材料や、天然ゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ネオプレンゴム、NBR等のゴム材料や、スチロール樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、メタクリル樹脂等を含むエラストマー材料を用いることができる。但し、発泡部材については、単泡、連泡の何れも使用することができるが、像担持体310の当接ローラ313への巻きかけ角を50度以下にすると小さい付勢力で大きな接触幅を形成し、発泡部材の圧縮永久歪を低減することができ好ましい。
【0049】
図4は、本発明のカラー画像形成装置で現像手段と同数の当接ローラを設けた他の実施例を示す要部断面図であって、ベルト状の像担持体410を各色の現像ローラ445〜448に付勢する当接ローラ421〜424は、像担持体410を支持ローラ411に巻きかけていない部分に現像ローラの数と同数配設され、現像するトナーの色を選択すると各当接ローラ421〜424の内で選択されたものは、ソレノイド等により何れか一つを選択し矢印M1〜M4の何れか一つの方向にバネ等により付勢される。このように、現像ローラに応じた当接ローラを設けることにより、現像手段のトナー色毎の粒径や帯電量或いは現像ローラの外径といった現像パラメータに応じて当接ローラの外径または圧力または硬度を選択して、現像パラメータの不揃いによる濃度変動を防止して、画像濃度変動が少なく色再現性に優れたカラー画像を形成することができる。
【0050】
図5は、本発明のカラー画像形成装置で当接ローラを分割して設けた更に他の実施例を示す要部断面図であって、当接ローラは第一当接ローラ521と第二当接ローラ522とで構成され、像担持体510は第一当接ローラ521と第二当接ローラとにより現像ローラ540に向けて付勢される。第一当接ローラ521及び第二当接ローラ522は、それぞれバネ等で構成される第一付勢力印加手段523及び第二付勢力印加手段524に懸架され、第一付勢力印加手段523及び第二付勢力印加手段524は、スライド台525に固定される。従って、第一当接ローラ521から第二当接ローラ522に至る領域で、像担持体510を現像ローラ540の少なくとも一部に接触させることができ、像担持体510の弛み部で現像ニップを形成することができるため、現像ローラ540に対して低圧力で像担持体を付勢することができると共に、現像ニップを十分大きく確保することができ、像担持体510と現像ローラ540との間で生じる振動を吸収してジッタの少ない高解像なカラー画像を形成し、像担持体の摩耗が少なく耐久性に優れたカラー画像形成装置を提供することができる。尚、現像ローラ540の周速は、像担持体510の周速以上、望ましくは1〜3倍の周速で移動させると高濃度で非画像部へのトナー付着(カブリ)が少ない画像を形成することができるが、像担持体510と現像ローラ540との間の周速差により振動を発生するので、像担持体510をできるだけ低圧力で現像ローラ540に接触させるという点でこのような構成は好ましい。
【0051】
これまで述べてきたように、上述の各実施例によれば、ベルト状の像担持体を用いて、色ズレのないカラー画像を形成することができるものであるが、ベルトを支持するローラの本数は、可能な限り少なくすることが望ましい。このような小型化を進める場合に、像担持体の繰り返し曲げによる疲労破壊に注意する必要がある。そこで、本発明に用いる像担持体は、その肉厚を最も外径の小さいローラである当接ローラの外径に対して2桁以上小さくすることが望ましく、こうすることにより、十万回〜百万回程度の繰り返し曲げによる像担持体の割れや変形を防止することができ、耐久性に優れ、信頼性の高いカラー画像形成装置を提供することができる。
【0052】
図7は、本発明の図1に示すような実施例におけるカラー画像形成装置に用いる各部材の幅を説明する図であって、像担持体ベルト幅を基準にして、感光層幅はこれ以下の幅に、支持ローラ幅は、これ以上の幅で構成される。その他、画像形成に関わるプロセスの幅は前述の感光層幅よりも小さい幅が望ましく、幅の広いものから順に、クリーニング幅、帯電ローラ幅、現像ローラ幅、当接ローラ幅、一次転写ローラ幅、有効現像幅、有効露光幅となる構成としている。
【0053】
このような構成とすることにより、まず、当接ローラと像担持体とが接触する当接ローラ幅を現像ローラ上にトナー層を形成する有効現像幅よりも大きくすることにより、有効現像領域での像担持体と現像手段との接触状態もしくは近接状態を一定に保つことができるため、現像濃度の変動を防止することができ、階調性に優れたカラー画像を形成することができる。また、当接ローラと像担持体とが接触する当接ローラ幅を現像ローラ上にトナー層を形成する有効現像幅よりも大きく、かつ、現像ローラが像担持体に接触する現像ローラ幅よりも小さくすることにより、現像ローラの端部コーナーを像担持体に強く当接させることがないため、像担持体ベルトに損傷を与えることがなく、カラー画像形成装置の耐久性、信頼性を向上することができる。
【0054】
従って、本実施例によれば、ベルト状の像担持体を安定に走行させ、像担持体の耐久性に優れた小型のカラー画像形成装置で、色再現性に優れたカラー画像を形成することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、像担持体を支持ローラに巻きかけた部分に対向して帯電手段を配設し、像担持体を支持ローラに巻きかけた部分で露光するべく露光手段を配設し、支持ローラから当接ローラの外径以上離間させて現像手段を配設すると共に当接ローラにより現像手段を選択して所定の色のトナー像を形成し、像担持体を支持ローラに巻きかけた部分に対向して転写手段を配設してトナー像を転写することにより、当接ローラの移動により現像手段の選択を行うため現像手段の離接移動が不要であり現像手段に与える振動や衝撃を最小限にすることができ、装置内のトナー汚染を防止すると共に、飛散トナーによる画像劣化を防止することができる。また、帯電及び露光及び転写の位置を支持ローラに対して正確に位置決めすることができるため、色ズレの少ないカラー画像を形成することができる。
【0056】
また、当接ローラを弾性体を含む弾性ローラで形成することにより、当接ローラの移動による振動や衝撃の発生を低減すると共に、像担持体と現像手段との現像ニップを十分大きく確保することができ、一成分非磁性のトナーを圧接現像して高精細、高解像なカラー画像を形成することができる。
【0057】
さらに、当接ローラの外径を支持ローラの外径より小径とすることにより、帯電、露光、転写、クリーニング、除電といった各プロセスを支持ローラの周囲に位置決めして構成することができるため、解像度が高く色ズレのないカラー画像を形成することができる。
【0058】
さらに、当接ローラを第一当接ローラと第二当接ローラとで構成し、第一当接ローラから第二当接ローラに至る領域で、像担持体を現像手段の少なくとも一部に接触させることにより、像担持体ベルトの弛み部で現像ニップを形成することができるため、現像手段に対して低圧力で像担持体を付勢することができると共に、現像ニップを十分大きく確保することができ、像担持体の振動を吸収してジッタの少ない高解像なカラー画像を形成し、像担持体の摩耗が少なく耐久性に優れたカラー画像形成装置を提供することができる。
【0059】
さらに、当接ローラを像担持体の移動方向に移動可能とすると共に、像担持体の非画像領域で像担持体を現像手段に対して離接することにより、画像領域に離接によるトナー付着を起こさないので、色純度の高いカラー画像を形成することができる。
【0060】
さらに、像担持体の移動方向に対して支持ローラから当接ローラに至る領域または当接ローラから支持ローラに至る領域に、像担持体に張力を印加する張力印加手段を配設することにより、現像手段の位置ズレによるベルトの弛み長さの変動を張力印加手段により吸収して、露光位置から転写位置に至る像担持体ベルトの長さを一定にすることができるため、現像位置のマージンが大きく、色再現性に優れたカラー画像形成装置を提供することができる。
【0061】
さらに、支持ローラが像担持体に駆動力を伝達することにより、像担持体を安定して走行させることができ、露光位置から転写位置に至る像担持体の長さを一定にして、色ズレのない色再現性に優れたカラー画像を形成することができる。
【0062】
さらに、現像手段が支持ローラに対して固定された位置に配設されることにより、現像手段をカラー画像形成装置本体に対して位置固定して使用することができるため、現像手段の離接移動が不要であり、トナー補給が容易であり、現像手段の着脱交換も容易であって、トナー補給や現像手段の交換をユーザーメンテナンス化することができる。
【0063】
さらに、当接ローラと像担持体との接触幅を現像手段の有効現像幅よりも大きくすることにより、有効現像領域での像担持体と現像手段との接触状態もしくは近接状態を一定に保つことができるため、現像濃度の変動を防止することができ、階調性に優れたカラー画像を形成することができる。
【0064】
さらに、当接ローラと像担持体との接触幅を現像手段の有効現像幅よりも大きく、かつ、現像手段の接触幅よりも小さくすることにより、現像手段の端部コーナーを像担持体に強く当接させることがないため、像担持体ベルトに損傷を与え装置の信頼性を低下させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラー画像形成装置の一実施例を示す要部断面図である。
【図2】本発明のカラー画像形成装置で非接触現像を行う場合の当接ローラの作動状態を示す要部断面図である。
【図3】本発明のカラー画像形成装置で接触現像を行う場合の当接ローラの作動状態を示す要部断面図である。
【図4】本発明のカラー画像形成装置で現像手段と同数の当接ローラを設けた他の実施例を示す要部断面図である。
【図5】本発明のカラー画像形成装置で当接ローラを分割して設けた更に他の実施例を示す要部断面図である。
【図6】本発明の一実施例におけるカラー画像形成装置に用いる各部材の幅を説明する図である。
【符号の説明】
10、210、310、410、510 像担持体
11、411 支持ローラ
13、213、313、421、422、423、424 当接ローラ
20 帯電ローラ
30 露光手段
40 ハウジング
41 イエロー現像器
42 マゼンタ現像器
43 シアン現像器
44 ブラック現像器
45 イエロー現像ローラ
46 マゼンタ現像ローラ
47 シアン現像ローラ
48 ブラック現像ローラ
50 一次転写ローラ
51 中間転写媒体
52 駆動ローラ
53 第一従動ローラ
54 第二従動ローラ
55 二次転写ローラ
56 第二クリーニング手段
57 第二クリーニングブレード
60 除電ランプ
70 クリーニング手段
71 クリーニングブレード
214、215 テンションローラ
240、340、445、446、447、448、540 現像ローラ
241 ギャップコロ
311 シャフト
312 弾性層
521 第一当接ローラ
522 第二当接ローラ
523 第一付勢力印加手段
524 第二付勢力印加手段
525 スライド台
Claims (9)
- ベルト状の像担持体と、前記像担持体を支持する支持ローラと、前記像担持体を帯電する帯電手段と、画像形成情報に従って前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記像担持体上の静電潜像を複数色のトナーにより順次顕像化する複数の現像手段と、前記像担持体を前記現像手段に付勢する移動可能な当接ローラと、現像されたトナー像を転写する転写手段とを有し、
前記像担持体を前記支持ローラに巻きかけた部分に対向して前記帯電手段を配設し、前記像担持体を前記支持ローラに巻きかけた部分で露光するべく前記露光手段を配設し、前記支持ローラから前記当接ローラの外径以上離間させて前記現像手段を配設すると共に前記当接ローラにより前記現像手段を選択して所定の色のトナー像を形成し、前記像担持体を前記支持ローラに巻きかけた部分に対向して前記転写手段を配設してトナー像を転写するカラー画像形成装置であって、
前記当接ローラと前記像担持体との接触幅を前記現像手段の有効現像幅よりも大きく、かつ、前記現像手段の接触幅よりも小さくすることを特徴とするカラー画像形成装置。 - 前記当接ローラを弾性体を含む弾性ローラで形成することを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
- 前記当接ローラの外径を前記支持ローラの外径より小径とすることを特徴とする請求項1または2記載のカラー画像形成装置。
- 前記当接ローラを第一当接ローラと第二当接ローラとで構成し、前記第一当接ローラから前記第二当接ローラに至る領域で、前記像担持体を前記現像手段の少なくとも一部に接触させることを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
- 前記当接ローラを前記像担持体の移動方向に移動可能とすると共に、前記像担持体の非画像領域で前記像担持体を前記現像手段に対して離接することを特徴とする請求項1または2または4記載のカラー画像形成装置。
- 前記像担持体の移動方向に対して前記支持ローラから前記当接ローラに至る領域または前記当接ローラから前記支持ローラに至る領域に、前記像担持体に張力を印加する張力印加手段を配設することを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
- 前記支持ローラは前記像担持体に駆動力を伝達することを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
- 前記現像手段は前記支持ローラに対して固定された位置に配設されることを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
- 前記像担持体を前記現像手段に付勢する移動可能な当接ローラは、現像手段と同数設けられ、選択した当接ローラを移動させて像担持体を現像手段に接触させることを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
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