JP3632004B2 - ボールねじ装置、及び同装置を備えた射出成形機、及びボールねじ装置制御方法 - Google Patents
ボールねじ装置、及び同装置を備えた射出成形機、及びボールねじ装置制御方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転運動を直線運動に変換するボールねじ装置、又は逆に直線運動を回転運動に変換するボールねじ装置、及び同ボールねじ装置を組込んだ射出成形機(特に電動射出成形機の射出、型開閉、型締、エジェクタ等の直進駆動に使用するボールねじの片側方向の負荷を分担して支える複数のボールねじナットの支持構造)、及び同ボールねじ装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形機の直進移動軸の駆動源として、従来は主として油圧が用いられていたが、最近は作業環境の改善、電力エネルギー効率向上、作動部の速度、位置等の制御容易の利点を有する電気式駆動が多く用いられるようになってきている。即ち、射出スクリュの射出駆動、型締装置の型盤移動、型締、エジェクタ等の直進移動の駆動源には、電気サーボモータと、そのモータの回転を直線駆動に換える最も機械効率のよいボールねじ構造が使用されるようになっている。
【0003】
従来の射出成形機の電動射出駆動装置は、駆動モータが1個又は2個のものがあり、駆動モータが1個の場合、回転を直進運動に変えるためのねじとナットは駆動力のバランスを取るため、射出スクリュの両側に対称に一対設けられ、動力伝動は伝動用歯付きベルト、又は歯車トレーンに依っていた。(例えば、特公平8−9184号公報に開示された射出成形機の射出装置参照)。
しかし、上記従来の電動射出駆動装置は、小型の射出成形機に対しては問題ないが、中型以上の射出成形機になると、射出に要する射出時の圧力が非常に大きく、大きいトルクを出力するための特別仕様のモータが必要となるので、コストが高くなるのみならず、射出成形機の搭載時の配置バランスが悪くなるという問題がある。
【0004】
射出成形機の射出駆動において、射出スクリュの先端に貯溜した溶融樹脂を射出スクリュを前進させて急速に金型キャビティ内に押出すとき、射出スクリュは大きな押圧力を必要とするので、射出駆動にボールねじを用いるときは、ボールねじによる直線往復駆動の片側方向が高負荷になり、ボールねじの許容最大負荷力はこの射出駆動時の押圧力に対応できるように選定されている。また、ボールねじの負荷力はスクリュ溝とボールナット溝に挟まれているボールの転がり耐圧力で計算され、設計上の負荷能力はスクリュの作動螺旋上にある作動ボールに均等な圧力が作用するものとして計算される。
【0005】
小型の射出成形機の射出駆動にボールねじが用いられる場合は、ボールねじの許容力の限界サイズを上回るサイズを選定しても、市販の標準サイズから選べるので、ボールねじ装置のコストはあまり問題にならないが、中型以上の射出成形機で射出圧力が大きくなると、ボールねじのサイズが標準から外れるため、コストが大きな問題になり、限界設計が要求される。
【0006】
ボールねじ軸の軸方向に高い引張力が掛けられたとき、ボールねじ軸は固定側の軸受とボールナットとの間で伸び、ボールナットも軸方向の力を受けて伸縮するので、ボールねじのスクリュ側とボールナット側のねじピッチがずれて、ボールの受圧力が軸方向の位置によって変化する。
【0007】
図14に特開2000−108175号で公示されている従来のボールねじ装置を示す。このボールねじ装置の構成は、ボールねじ軸010が図示しない左方の固定側で駆動されて回転し、ボールねじ軸010の軸方向は強力なスラスト軸受で拘束され、ボールねじ軸010のボールねじにより射出スクリュに結合している移動フレーム06がボールねじナット011に押されて矢印で示す射出方向へ移動する。59はフランジ状の圧力検出センサ(ロードセル)である。このボールねじ装置の構成では、図15の模式図(I)及び軸方向ナット幅に対する荷重の特性グラフ(II)に示したように、ボールナット011の作用端部のボールほどボールの受圧荷重が大きくなる。ボールねじ050の容量を増加するためボールナット011の長さを長くしてもナット011の端部の方の変形が大きいため、作用端側の荷重が益々増加する傾向は避けられない。04は固定側部材で、ボールねじ軸010を軸受で回転自在に軸支している。
【0008】
特開2000−185339号に開示された射出成形機の射出駆動用のボールねじ装置は、図16に示すように、電動モータにより駆動されるボールねじ軸051に対して嵌合するボールナット052、053を一本のボールねじ軸について複数個直列に配設し、ボールナット052、053から電動式射出成形機の可動部材060に推力を伝達する流体圧シリンダ054、055をそれぞれボールナットに連結し、各々の流体圧シリンダ054、055のシリンダ室を連通管056により連通させた構成のボールねじ装置であり、ボールねじ軸への負荷荷重を複数個のボールナットで均等に分配させることにより、ボールねじ軸寿命を延ばすようにしたことを狙いとしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来例で説明したように、高負荷のボールねじナットを得るためにボールナットの長さを長くしようとすれば、ナットの端部の方の変形が大きいため、作用端側の荷重が益々増加する傾向となる。また、ボールねじ軸に直列に複数のボールナットを螺合して作用体とそれぞれのボールナットとを流体圧シリンダで連結し、それぞれの流体圧シリンダのシリンダ室を連通管で連通させた構成のボールねじ装置は、ナットに加わる負荷を均等に分担させることは可能であるが、流体圧シリンダから流体が漏れることによりボールナットの位置が変動して、射出スクリュが正しい射出始め又は射出終り位置をキープできなくなる可能性がある。本発明は、作用体に対するボールナットの取付け位置が変動しないで、複数のボールナットそれぞれに均等な荷重を分担負荷されるようなボールねじ装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点に対し本発明は、以下の各項の構成を特徴とする手段により課題の解決を図る。
(1) スラスト方向を固定部材に拘束しているボールねじ軸を回転駆動してボールねじに螺合するボールねじナットの直線移動に換え、ボールねじナットと結合している作用体を移動させるボールねじ装置において、前記ボールねじ軸に螺合する複数のボールねじナットと、同ボールねじナットの内の1個を作用体に取付けるセンサ担体フランジと、同センサ担体フランジに設けられた荷重検出センサと、前記1個以外のボールねじナットに取付けられた環状の流体圧ピストンと、前記作用体に取付けられ前記ピストンが液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有する片側開放の流体圧シリンダと、同流体圧シリンダに備えられ前記荷重検出センサの検出荷重に等しいピストン押力を生じる流体圧に制御する流体圧制御装置とで構成され、作用体に荷重が負荷されたとき、前記複数のボールねじナットに負荷荷重が均等に分担されるようにしたボールねじ装置。
【0011】
(2) スラスト方向を固定部材に拘束しているボールねじ軸を平行に複数組設け、前記複数のボールねじ軸を同期回転駆動して均等に負荷し、ボールねじに螺合するボールねじナットに結合している作用体を直線移動させる複列ボールねじ装置において、前記各ボールねじ軸のそれぞれに複数螺合するボールねじナットと、全数のボールねじナットの内の1個を作用体に取付けるセンサ担体フランジと、同センサ担体フランジに設けられた荷重検出センサと、前記荷重検出センサを有するボールねじナットが螺合するボールねじ軸以外のボールねじ軸上の複数のボールねじナットの内の1個を直接作用体に取付ける取付フランジと、前記以外のボールねじナットに取付けられた環状の流体圧ピストンと、前記流体圧ピストンが液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有していて作用体に取付けられる複数の流体圧シリンダと、前記荷重検出センサの検出荷重に等しいピストン押力が生じるように前記各流体圧シリンダ毎にそれぞれ流体圧を制御する流体圧制御装置と、同流体圧制御装置で制御された流体圧を前記複数の流体圧シリンダに伝える配管とで構成され、作用体に荷重が負荷されたとき、前記複数のボールねじナットに荷重が均等に分担されるようにしたボールねじ装置。
【0012】
(3) 上記(2)に記載するボールねじ装置において、前記各流体圧シリンダへ送られる流体圧は、前記荷重検出センサの検出荷重に等しいピストン押力が生じるように制御し、各シリンダへの流体圧配管を連通して各流体圧シリンダに同じ流体圧が掛かるようにして、作用体に荷重が負荷されたとき前記複数のボールねじナットに荷重が均等に分担されるようにしたボールねじ装置。
【0013】
(4) スラスト方向を固定部材に拘束しているボールねじ軸を回転駆動してボールねじに螺合するボールねじナットの直線移動に換え、ボールねじナットと結合している作用体を移動させるボールねじ装置において、前記ボールねじ軸に螺合する複数のボールねじナットと、前記作用体又は前記固定部材に取付けられ前記作用体に対する負荷荷重を検出する荷重検出センサと、前記複数のボールねじナットの内の1個を直接作用体に結合する取付フランジと、同取付フランジに結合したもの以外のボールねじナットに取付けられた環状の流体圧ピストンと、同ピストンが液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有していて前記作用体に取付けられている複数の流体圧シリンダと、前記荷重検出センサの検出荷重をボールねじナットの数で割った値に等しいピストン押力を生じるようにそれぞれの流体圧シリンダの流体圧を制御する流体圧制御装置とで構成され、作用体に荷重が負荷されたとき、前記複数のボールねじナットに荷重が均等に分担されるようにしたボールねじ装置。
【0014】
(5) スラスト方向を固定部材に拘束しているボールねじ軸を平行に複数組設け、前記複数のボールねじ軸を同期回転して均等に負荷駆動し、ボールねじに螺合するボールねじナットと結合している作用体を直線移動させる複列ボールねじ装置において、前記ボールねじ軸のそれぞれに螺合する複数のボールねじナットと、前記作用体又は前記固定部材に取付けられ、作用体に対する負荷荷重を検出する荷重検出センサと、前記各ボールねじ軸の同軸上にある複数のボールねじナットの内の1個を直接作用体に結合する取付フランジと、前記以外のボールねじナットに取付けられた環状の流体圧ピストンと、前記流体圧ピストンが液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有していて前記作用体に取付けられている複数の流体圧シリンダと、前記荷重検出センサの検出荷重をボールねじナットの全数で割った値に等しいピストン押力を生じるようにそれぞれの流体圧シリンダの流体圧を制御する流体圧制御装置とで構成され、作用体に荷重が負荷されたとき、前記複数のボールねじナットに荷重が均等に分担されるようにしたボールねじ装置。
【0015】
(6) 上記(5)に記載するボールねじ装置において、前記荷重検出センサの検出荷重をボールねじナットの全数で割った値に相当する流体圧を算出し、各流体圧シリンダへの流体圧配管を連通して各流体圧シリンダに同じ流体圧が掛かるようにして、前記荷重検出センサの検出荷重をボールねじナットの全数で割った値に制御し、作用体に荷重が負荷されたとき、前記複数のボールねじ軸及びボールねじナットに荷重が均等に分担されるようにしたボールねじ装置。
【0016】
(7) スラスト方向を固定部材に拘束しているボールねじ軸を回転駆動してボールねじに螺合するボールねじナットの直線移動に換え、ボールねじナットと結合している作用体を移動させるボールねじ装置において、前記ボールねじ軸に螺合する複数のボールねじナットと、同ボールねじナットの内の1個を作用体に取付ける固定フランジと、前記1個以外のボールねじナットに取付けられた環状の流体圧ピストンと、前記作用体に取付けられ前記流体圧ピストンが液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有する片側開放の流体圧シリンダと、該流体圧シリンダに流体圧を供給する流体圧供給源と、前記各ボールねじ軸のうちのいずれかに備えられて前記作用体に加わる荷重を検出する荷重検出センサ、または、前記作用体の変位を検出する変位検出センサのいずれか一方もしくは両方と、前記検出の結果を取り込んで、前記流体圧供給源から送り出される流体圧の制御及び、該流体圧の供給タイミングの制御を行う流体圧制御装置とを備え、前記流体圧制御装置は、前記検出の結果に基づいて、前記作用体に加わっている荷重がゼロであると判断した場合には、前記流体圧供給源からの流体圧供給を停止させ、前記検出の結果に基づいて、前記作用体に荷重が加わったと判断した場合には、前記固定フランジで前記作用体に固定されたボールねじ軸に加わる負荷が、前記荷重の値を全ボールねじナットの数で割った分担荷重に達する前に、前記各流体圧シリンダが前記分担荷重を生じるための流体圧を供給開始させるボールねじ装置。
【0017】
(8) 上記(7)に記載するボールねじ装置において、前記流体圧供給源には、前記流体圧を発生させるポンプと、該ポンプから前記各流体圧シリンダに向かう前記流体圧を、前記流体圧制御装置の指示に基づいて許可または遮断する電磁弁と、前記流体圧制御装置の指示に基づいて前記流体圧を減圧する減圧弁とが備えられているボールねじ装置。
【0018】
(9) 上記(7)に記載するボールねじ装置において、前記流体圧供給源には、前記流体圧を発生させるポンプと、該ポンプから前記各流体圧シリンダに向かう前記流体圧を、前記流体圧制御装置からの指示に基づいて調整するサーボ弁とが備えられていることを特徴とするボールねじ装置。
【0019】
(10) 上記(7)に記載するボールねじ装置において、前記流体圧供給源には、前記流体圧を発生させるポンプと、該ポンプを、前記流体圧制御装置からの指示に基づいて駆動するモータと、前記各流体圧シリンダが前記分担荷重を発生させるのに要する流体圧以上にならないように前記ポンプからの流体圧を制限するリリーフ弁とが備えられているボールねじ装置。
【0020】
(11) スラスト方向を固定部材に拘束しているボールねじ軸を平行に複数組設け、前記複数のボールねじ軸を同期回転駆動して均等に負荷し、ボールねじに螺合するボールねじナットに結合している作用体を直線移動させる複列ボールねじ装置において、前記各ボールねじ軸のそれぞれに複数螺合するボールねじナットと、全数のボールねじナットの内の1個を作用体に取付ける固定フランジと、該固定フランジで前記作用体に固定されたボールねじナットが螺合するボールねじ軸以外のボールねじ軸上の複数のボールねじナットの内の1個を直接、作用体に取付ける取付フランジと、前記以外のボールねじナットに取付けられた環状の流体圧ピストンと、該流体圧ピストンが液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有していて作用体に取付けられる複数の流体圧シリンダと、これら流体圧シリンダに流体圧を供給する流体圧供給源と、前記各ボールねじ軸のうちのいずれかに備えられて前記作用体に加わる荷重を検出する荷重検出センサ、または、前記作用体の変位を検出する変位検出センサのいずれか一方もしくは両方と、前記検出の結果を取り込んで、前記流体圧供給源から送り出される流体圧の制御及び、該流体圧の供給タイミングの制御を行う流体圧制御装置とを備え、前記流体圧制御装置は、前記検出の結果に基づいて、前記作用体に加わっている荷重がゼロであると判断した場合には、前記流体圧供給源からの流体圧供給を停止させ、前記検出の結果に基づいて、前記作用体に荷重が加わったと判断した場合には、前記固定フランジで前記作用体に固定されたボールねじ軸に加わる負荷が、前記荷重の値を全ボールねじナットの数で割った分担荷重に達する前に、前記各流体圧シリンダが前記分担荷重を生じるための流体圧を供給開始させるボールねじ装置。
【0021】
(12) 上記(11)に記載するボールねじ装置において、前記各流体圧シリンダは、流体圧配管を介して互いに連通しており、前記流体圧供給源からの流体圧が均等分配されるボールねじ装置。
【0022】
(13) 上記(11)又は(12)に記載するボールねじ装置において、前記流体圧供給源には、前記流体圧を発生させるポンプと、該ポンプから前記各流体圧シリンダに向かう前記流体圧を、前記流体圧制御装置の指示に基づいて許可または遮断する電磁弁と、前記流体圧制御装置の指示に基づいて前記流体圧を減圧する減圧弁とが備えられているボールねじ装置。
【0023】
(14) 上記(11)又は(12)に記載するボールねじ装置において、前記流体圧供給源には、前記流体圧を発生させるポンプと、該ポンプから前記各流体圧シリンダに向かう前記流体圧を、前記流体圧制御装置からの指示に基づいて調整するサーボ弁とが備えられているボールねじ装置。
【0024】
(15) 上記(11)又は(12)に記載するボールねじ装置において、前記流体圧供給源には、前記流体圧を発生させるポンプと、該ポンプを、前記流体圧制御装置からの指示に基づいて駆動するモータと、前記各流体圧シリンダが前記分担荷重を発生させるのに要する流体圧以上にならないように前記ポンプからの流体圧を制限するリリーフ弁とが備えられているボールねじ装置。
【0025】
(16) 射出成形機の射出スクリュの直進射出駆動用に、上記(2)、(3)、(5)、(6)及び(11)〜(15)のいずれかに記載する流体圧均等分担式の複数のナットを備えた複数のボールねじ装置を射出スクリュ軸に平行に設け、全部のボールねじナットに荷重が均等に分担されるようにした射出成形機。
【0026】
(17) 上記(1)〜(6)のいずれかに記載のボールねじ装置の制御方法において、前記作用体に加わっている荷重がゼロである場合には、前記流体圧シリンダへの流体圧供給を停止させ、前記作用体に荷重が加わった場合には、前記センサ担体フランジで前記作用体に固定されたボールねじ軸に加わる負荷が、前記荷重の値を全ボールねじナットの数で割った分担荷重に達する前に、前記各流体圧シリンダが前記分担荷重を生じるための流体圧を供給開始するボールねじ装置の制御方法。
【0027】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を図に基づいて説明する。本実施形態では作動流体に油類を使用し、油圧ポンプ、油圧制御弁等の油圧制御装置用機器を用いている。図1はボールねじ装置の側面断面図、図2は図1のボールねじ装置の油圧制御装置の模式図、図9は図1のボールねじ装置の模式図(I)と、ボールねじナットの軸方向に対するボールが受ける荷重を示したグラフ(II)、(III)である。
【0028】
図1に示すボールねじ装置20は、ボールねじ軸21と、移動フレーム6(作用体)の両側のボールねじナット取付部6a、6bにはこのボールねじ軸21に螺合する2組のボールねじナット22A、22Bとが取付けられ、ボールねじナット22Aを取付けるときに移動フレーム6との間に介在する荷重センサ担体フランジ31と、ボールねじナット22Bを取付けるときに移動フレーム6との間に介在する油圧シリンダ35と油圧ピストン36とで構成されている。荷重センサ担体フランジ31の適当な位置に、ボールねじナット22Aの負荷荷重を検出することができる荷重センサ(ロードセル)32が取付けてある。荷重センサ32が検出した荷重は制御装置34へ送られ、制御装置34で油圧に換算されて油圧制御弁43に伝えられる。このとき換算された油圧が油圧シリンダ35に加わったとき、油圧ピストン36の受ける力がセンサ32が検出した荷重と常に同じ値になるように制御されている。
【0029】
図2の模式図に示すように、サーボモータ11がボールねじ軸21を駆動し、ボールねじ軸21が回転してボールねじナット22Aとボールねじナット22Bを介して移動フレーム6を矢印で示した方向に引き寄せるとき、ボールねじナット22Aが取付けられている荷重センサ担体フランジ31の荷重センサ32が検出した荷重は、信号線51を介して制御装置34の油圧変換回路41により油圧信号に換えられ、PID制御回路42により油圧制御弁43を介して、油圧シリンダ35の作動油をこの油圧値(又はこの油圧値に比例した値とすることも可能)に制御し、配管52により油圧シリンダ35に送られる。従って、ボールねじナット22Aとボールねじナット22Bは均等に負荷荷重(又は一定比率の負荷荷重)を分担する。
【0030】
荷重センサ担体フランジ31は剛性が大きく軸方向に荷重が掛かっても殆ど変形しないので、このフランジ31に取付けられたボールねじナット22Aはボールねじ軸21との設定位置を維持することができる。また、ボールねじナット22Bが取付けられた油圧シリンダ35の油室はボールねじ軸21とボールねじナット22Bとのピッチのずれをカバーすることができる。
【0031】
図9−(I)に示したように、ボールねじ軸21にボールねじナット22Aと油圧シリンダ機能を介在したボールねじナット22Bを直列に配置し、移動フレーム6に取付けたときは、ボールねじナット22A、22Bの軸方向に対するボールの受ける荷重の計算値は図9−(II)、図9−(III)に示したようになり、ボールの受ける荷重を軸方向に積分した面積mとnは等しくなる。このボールの受ける荷重を示す図9−(II)、図9−(III)を、従来の図10に示すボールねじナット011の軸方向に対するボールの受ける荷重の計算値図11−(II)に比較すると、明らかにボールが受ける荷重の最大値が小さいことが分かる。
【0032】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態を図に基づいて説明する。図3は図1のボールねじ装置を使用した電動射出駆動装置を備えた射出成形機の全体側面図、図4は図3の射出成形機のA−A断面によるボールねじ部の拡大図、図5は図4のボールねじ装置の油圧制御装置の模式図である。図1のボールねじ装置20を2組、電動射出駆動に用いた射出成形機1の概略と、ボールねじ装置30(2組のボールねじ装置とその周辺を構成する部品を合わせてボールねじ装置30とする)の構成を説明する。この電動射出駆動装置は、射出スクリュ7の樹脂送り、可塑化を電動モータ8の駆動で行うと同時に、これと別に設けた2台の電動モータ11の回転を同期制御しつつ直進動作に変換し、この2つ直進動作を同時に射出スクリュ7に加えて射出前進及び後退するように構成した射出成形機の射出駆動装置である。
【0033】
図において、駆動装置台3に固設された固定側フレーム4の側面には射出シリンダ5の基部が取付けられている。移動フレーム6は、駆動装置台3の上面に敷設されたレール17上を、リニアベアリング18を介して水平に射出方向に移動可能である。移動フレーム6の後方には射出スクリュ回転駆動用(樹脂送り、可塑化用)減速機付のモータ8が取付けられている。
【0034】
固定側フレーム4の上部に、1対の射出駆動用モータ11、11が取付けられ、各モータ11の出力軸には小プーリー12が、キーにより回転方向を制止して取付けられている。射出駆動用モータ11は減速機付モータである。ボールねじ装置30のボールねじ軸21、21は回転可能に、また、大きなスラストを受け持ち可能なように、大容量のアンギュラコンタクトベアリング19を介して固定側フレーム4に取付けられている。また、この1対のボールねじ軸21、21の先端には、大プーリー13がキーで回転方向を制止して取付けられている。
【0035】
射出駆動用モータ11、11の回転は、それぞれ、小プーリー12と歯付ベルト14と大プーリー13を介して、ボールねじ軸21、21に伝達される。図示略の同期制御装置により、ボールねじ軸21、21は同期回転する。ボールねじ軸21、21と射出シリンダ5との軸距離は等しくしてあり、2本のボールねじ軸の駆動トルクも等しくなるように制御される。
【0036】
移動フレーム6の両側のボールねじナット取付部6a、6bには、それぞれ、ボールねじ軸21に螺合する一対のボールねじナット22A、22Bが取付けられ、ボールねじ装置20の場合と同じように、ボールねじナット22Aは荷重センサ担体フランジ31を介してボールねじナット取付部6aに取付けられ、ボールねじナット22Bは油圧シリンダ35Aと油圧ピストン36Aとを介在して取付部6bに取付けられている。図5の模式図と油圧制御装置46の制御回路が示すように、荷重センサ担体フランジ31に取付けられた荷重センサ32はボールねじナット22Aの負荷荷重を検出し、その検出値は油圧変換分配回路45により油圧信号に換えられ、PID制御回路42Aにより油圧制御弁43Aを介して、油圧シリンダ35Aの作動油をこの油圧値に制御し、配管52Aにより油圧シリンダ35Aに送られる。従って、ボールねじナット22Aとボールねじナット22Bは同じ負荷荷重を分担する。配管52Aには管内圧力を検出する油圧計38Aが設けられている。
【0037】
ボールねじナット取付部6cには、ボールねじナット22Cが荷重センサ担体フランジ31と同じ形状のフランジ33を介して取付けられ、ボールねじナット取付部6dには、ボールねじナット22Dが油圧シリンダ35Bと油圧ピストン36Bと介在して取付けられ、荷重センサ32の検出値から油圧変換分配回路45により変換し分配された油圧の信号に基づいて、PID制御回路42Bにより油圧制御弁43Bを介して、油圧シリンダ35Bの作動油をこの油圧値に制御し、配管52Bにより油圧シリンダ35Bに送られる。即ち、油圧シリンダ35Bに支えられたボールねじナット22Dが受け持つ荷重は、ボールねじナット22A、ボールねじナット22Bと同等である。配管52Bには管内圧力を検出する油圧計38Bが設けられている。
【0038】
片側のボールねじ軸21の駆動トルクと他の側のボールねじ軸21の駆動トルクは同じ値に制御されているので、ボールねじナット22Cの負荷荷重も上記3個のボールねじナット22A、22B、22Dと同等になり、射出駆動の押力を分担することができる。
【0039】
また、荷重センサ担体フランジ31は剛性が大きく軸方向に荷重が掛かっても殆ど変形しないので、このフランジ31に取付けられたボールねじナット22Aはボールねじ軸21との設定位置を維持することができる。また、ボールねじナット22Bが取付けられた油圧シリンダ35Aの油室はボールねじ軸21とボールねじナット22Bとのピッチのずれをカバーすることができる。
同様に、フランジ33も剛性が大きく負荷荷重に対して殆ど変形しないので、フランジ33に取付けられたボールねじナット22Cはボールねじ軸21との設定位置を維持することができる。また、ボールねじナット22Dが取付けられた油圧シリンダ35Bの油室はボールねじ軸21とボールねじナット22Dとのピッチのずれをカバーすることができる。
【0040】
ボールねじナット22が全て油圧シリンダ35とピストン36による油圧力で支えられているとすれば、ボールねじ軸21を逆回転し、ボールねじナット22A、22Bが図4の矢印に示す方向と反対方向に移動するとき、油圧が負圧となり、引き力が真空吸引力より大きくなれば、油圧ピストン36が抜け出すことを抑えることができなくなる。このボールねじ装置30の構成は2組のボールねじ軸21の各々に螺合する2個(複数)のボールねじナット22の内の1個は剛性の高い荷重センサ担体フランジ31、又は同フランジ31と同じ形状、従って、同等の剛性を有するフランジ33を介して移動フレーム6に取付けられているので、図4の矢印と反対方向に移動するとき、多少の負荷荷重があっても十分にその負荷に対応することができる。
【0041】
以上に述べた構成の射出成形機1の電動射出駆動とボールねじ装置30の作用を説明する。
樹脂送り、可塑化の工程においては(図4の実線の位置において)、モータ8を回転して射出スクリュ7を回し、ホッパ9から樹脂のペレットを導入して送りながら加熱し、樹脂を溶融可塑化する。同時に、2台の射出駆動用モータ11をゆっくり同期運転して移動フレーム6を後進し、射出スクリュ7をゆっくり後退させ、溶融樹脂を射出スクリュ7先端に溜める。
金型に対して1ショット分の樹脂が溜め終わったとき(移動フレーム6は、図4の2点鎖線で示した位置まで移動する)、射出スクリュ回転用モータ8を停止し、2台の射出駆動用モータ11を同期運転で高速回転し、射出スクリュ7を高速に移動させて樹脂を金型のキャビティ内に射出する(図4の実線の位置に戻る)。次のサイクルのための樹脂送り、可塑化の工程に移行し、同じ工程を繰り返す。
【0042】
大きな力が必要な射出工程のとき、ボールねじ軸21が引張り側となるように構成されているので、ボールねじ軸21は撓む恐れがない(ボールねじ軸21が圧縮側になっていると不安定な曲げ−バックリング(座屈変形)−が起こり易い)。また、移動フレーム6の戻り方向の作動力は、射出時の作動力に比べて遥かに小さいので、ボールねじ軸21の後端部に軸受の支持が無くても、安定に作動できる。
【0043】
このように、2組のボールねじ軸21に直列に配置したそれぞれ2組のボールねじナットの内の各1個のボールねじナット22C、22Dを油圧シリンダ機能を介在して移動フレーム6に取付けたとき、作動油の油圧を固定している荷重センサ担体フランジ31の負荷荷重と同じ荷重値に制御しているので、全部のボールねじナット22A、22B、22C、22Dを同負荷にすることができる。
【0044】
本実施形態では、1本のボールねじ軸21に2組のボールねじナット22を直列に配置したものを説明したが、1本のボールねじ軸21に3組以上のボールねじナット22を直列に配置し、増加分のボールねじナットに油圧シリンダ機能を介在して移動フレーム6に取付けたものでも、上記と同様の作用が得られ、ボールねじナット22にはボールねじナット22の数で等分された負荷が掛かる。また、射出駆動用に、ボールねじ軸21を3組以上を組み合わせ、その内の1つのボールねじ軸のボールねじナットの1つを荷重センサ担体フランジ31を介して移動フレーム6に取付け、その他のボールねじ軸のボールねじナットの1つをフランジ33を介して移動フレーム6に取付け、その他のボールねじナットを全て、油圧シリンダ機能を介在して移動フレーム6に取付けたものでも、上記と同様の作用が得られ、各ボールねじナット22にはボールねじナット22の合計数で等分された負荷が掛かる。各ボールねじナット22にはそれぞれを単独に油圧を制御するPID制御回路42が設けてあるので、必要に応じて油圧変換分配回路45において、荷重検出センサ32の検出値の換算率を換え、油圧シリンダ35Aと油圧シリンダ35Bと別の油圧を指定し、制御することも可能である。
【0045】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態を図6によって説明する。この実施形態は、第2の実施形態における油圧シリンダ機能を介在して移動フレーム6に取付けたボールねじナットの油圧制御回路と制御方法が異なっているものであり、その他の構成は全て第2の実施形態と同様であり、共通な構成は説明を省略する。
図6において、油圧変換回路41に続くPID制御回路42は1つだけ設けられ、油圧制御弁43、油圧計38も1つづつ設けられ、油圧配管53は油圧シリンダ35Aと油圧シリンダ35Bとに共通配管となっているので、油圧シリンダ35A、35Bには同じ油圧が送られる。
【0046】
第2の実施形態で説明したように、対称に置かれた一対のボールねじ軸には同じ負荷荷重が掛かるので、油圧変換回路41において、荷重検出センサ32の検出値を換算した油圧がボールねじナット22Aの負荷荷重とボールねじナット22Bの負荷荷重が等しくなるようにすれば、全てのボールねじナット22A、22B、22C、22Dの負荷荷重を均等にすることができる。この構成は油圧制御回路の構成が簡単になる。
【0047】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態を図7によって説明する。この実施形態は、第2の実施形態における荷重検出センサ32を備えた荷重検出センサ担体フランジ31を取り外してフランジ33で置き換え、固定フレーム4の射出シリンダ5を取付ける部分に、圧縮荷重を検出する荷重検出センサ(ロードセル)25を設けた構成としたものである。この荷重検出センサ25は射出シリンダ5を介して、射出スクリュ7の射出押出力を検出することができるので、各ボールねじナットが荷重検出センサ25の検出した押出力をボールねじナットの総数で割った負荷荷重がかかるように油圧を制御すればよい。この実施形態の油圧制御回路の構成は、第2の実施形態の制御回路と殆ど同じであり、共通な構成は説明を省略する。
【0048】
図7において、油圧変換分配回路45は、荷重検出センサ25で検出した射出押出力を、ボールねじナットの総数で割った負荷荷重がかかるような油圧に換算し、その油圧換算値(同じ値)をPID制御回路42A、PID制御回路42Bに送り、PID制御回路42Aは油圧制御弁43Aを介して油圧ポンプ39の油圧を制御して配管52Aを経て油圧シリンダ35Aへ伝える。油圧計38Aは配管52Aの油圧をPID制御回路42Aへフィードバックする。同様に、PID制御回路42Bは油圧制御弁43Bを介して油圧ポンプ39の油圧を制御して配管52Bを経て油圧シリンダ35Bへ伝える。油圧計38Bは配管52Bの油圧をPID制御回路42Bへフィードバックする。
【0049】
第2の実施形態で説明したように、対称に置かれた一対のボールねじ軸には同じ負荷荷重が掛かるので、油圧変換分配回路45において、荷重検出センサ25の荷重検出値をボールねじナット22の総数(図7では4)で割り、その値を換算した油圧を油圧シリンダ35A、油圧シリンダ35Bへ伝えれば、全てのボールねじナット22A、22B、22C、22Dの負荷荷重を均等にすることができる。
【0050】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態を図8によって説明する。この実施形態は、第4の実施形態における油圧シリンダ機能を介在して移動フレーム6に取付けたボールねじナットの油圧制御回路と制御方法が異なっているものであり、その他の構成は全て第4の実施形態と同様であり、共通な構成は説明を省略する。
図8において、油圧変換回路41に続くPID制御回路42は1つだけ設けられ、油圧制御弁43、油圧計38も1つづつ設けられ、油圧配管55は油圧シリンダ35Aと油圧シリンダ35Bと共通配管となっているので、油圧シリンダ35A、35Bには同じ油圧が送られる。
【0051】
上記の実施形態で説明したように、対称に置かれた一対のボールねじ軸には同じ負荷荷重が掛かるので、油圧変換回路41において、荷重検出センサ25の検出値をボールねじナット22の総数(図8では4)で割り、その値を換算した油圧をボールねじナット22Bの油圧シリンダ35A、ボールねじナット22Dの油圧シリンダ35Bに伝えるようにすれば、全てのボールねじナット22A、22B、22C、22Dの負荷荷重を均等にすることができる。この構成は油圧制御回路の構成が簡単になる。
【0052】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態を図10によって説明する。本実施形態も、本発明のボールねじ装置を、射出成形機の電動射出駆動装置に適用した場合を例として説明するものとする。なお、同図は、同電動射出駆動装置の概略構成を模式的に示す説明図であり、上記各実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、説明を省略する。
同図に示すように、本実施形態の電動射出駆動装置は、スラスト方向を前記固定側フレーム4(固定部材。図示せず)に拘束している2本のボールねじ軸21,21を互いに平行に設け、これらボールねじ軸21,21を同期回転駆動して均等に負荷し、これらボールねじ21,21に螺合する各ボールねじナット22A,22Bに結合している移動フレーム6(作用体)を直線移動させる複列ボールねじ装置として構成されている。
【0053】
この複列ボールねじ装置は、一対のボールねじ軸21,21と、これらボールねじ軸21,21それぞれに螺合する2個のボールねじナット22A,22Bと、これら4個(全数)のボールねじナット22A,22A,22B,22Bの内の1個であるボールねじナット22Aを移動フレーム6に対して相対移動不可に固定する固定フランジ22A1と、該固定フランジ22A1で移動フレーム6に固定されたボールねじナット22Aが螺合するボールねじ軸21とは別のボールねじ軸21(紙面上側の方のもの)上の2個のボールねじナット22A,22Bの内の1個であるボールねじナット22Aを直接、移動フレーム6に対して相対移動不可に固定する取付フランジ22A2と、ボールねじナット22A,22A以外のボールねじナット22B,22Bに取付けられた環状の流体圧ピストン36,36と、これら流体圧ピストン36,36が液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有していて移動フレーム6に取付けられる2個の流体圧シリンダ35,35と、これら流体圧シリンダ35,35に流体圧を供給する流体圧供給源100と、各ボールねじ軸21,21のうちの一方に備えられて移動体6に加わる荷重を検出する荷重検出センサ101と、移動フレーム6の変位を検出する変位検出センサ102zと、これら荷重検出センサ101及び変位検出センサ102zからの検出の結果を取り込んで、流体圧供給源100から送り出される流体圧の制御及び、該流体圧の供給タイミングの制御を行う制御装置102(流体圧制御装置とを備えて構成されている。
【0054】
前記流体圧供給源100は、流体圧を発生させるポンプ100aと、該ポンプ100aから各流体圧シリンダ35,35に向かう流体圧を、前記制御装置102の指示に基づいて許可または遮断する電磁弁100bと、制御装置102の指示に基づいて流体圧を減圧する減圧弁100cとを備えて構成されている。そして、ポンプ100aと電磁弁100bとの間が配管103aで接続されており、また、減圧弁100cと流体圧シリンダ35との間が配管103bで接続されている。さらに、各流体圧シリンダ35,35間は、流体圧配管103cを介して互いに連通しており、ポンプ100aからの流体圧が均等分配されるようになっている。
【0055】
前記制御装置102は、前記荷重検出センサ101の検出結果に基づいて、移動フレーム6に加わっている荷重がゼロであると判断した場合に、流体圧供給源100から各流体圧シリンダ35,35への流体圧供給を停止させるようになっている。
また、制御装置102は、荷重検出センサ101の検出結果に基づいて、移動フレーム6に荷重が加わったと判断した場合に、前記固定フランジ22A1で移動フレーム6に固定された一方のボールねじ軸21に加わる負荷F1が、同ボールねじ軸21に加わる全荷重F0を、同ボールねじ軸21における全ボールねじナット22A,22Bの数(すなわち2個)で割った分担荷重F2に達する前に、流体圧シリンダ35が分担荷重F2を生じるための流体圧を供給開始させるようになっている。
この時、他方のボールねじ軸21にも、前記一方のボールねじ軸21と同じ負荷F1が加わり、なおかつ、流体圧シリンダ35,35間が流体圧配管103cを介して流体圧が均等分配されるようになっているため、ボールねじナット22A,22A間の負荷も等しくなる。したがって、全てのボールねじナット22A,22A,22B,22Bに等しい分担荷重F2が均等に加わるものとなっている。
【0056】
このようにして、移動フレーム6に加わる全荷重を各ボールねじナット22A,22A,22B,22Bで支持するに際し、各流体圧シリンダ35,35への油圧供給タイミングを適切に行わないと、負荷荷重を支持開始する際に、瞬間的に負荷荷重の均等分配が適切になされない恐れがある。このような負荷荷重のばらつきが繰り返し生じると、各ボールねじナット22A,22A,22B,22Bの寿命を縮める問題を生じることになる。
【0057】
各流体圧シリンダ35,35への適切な油圧供給タイミングについて、図11を参照しながら以下に説明する。なお、同図において、(a)は、移動フレーム6に負荷が生じ始めた際に、片方のボールねじ軸21に螺着しているボールねじナット22A,22Bに加わる負荷の総和(すなわち、一方のボールねじ軸21に加わる負荷)の時間変化を示すものであり、横軸が時間、縦軸が負荷の総和を示している。また、(b)及び(c)は、同時刻におけるボールねじナット22A,22Bの負荷荷重の時間変化を示すものであり、横軸が時間、縦軸が負荷荷重を示している。
【0058】
移動フレーム6に作用する負荷荷重を2×Fとした場合、片方のボールねじ軸21が支持する負荷荷重は半分のFとなる(すなわち、前記負荷F1=F)。このF1=Fとなるまでの時間をt2とし、またその1/2であるF1=1/2・Fになるまでの時間をt1とした場合に、本実施形態では、前記制御装置102が、時間t1に達する前のタイミングで、ボールねじナット22Bの流体圧シリンダ35への油圧供給を開始する制御方法を採用している(図11(b)の実線参照)。このタイミングで油圧供給を行うと、図11(c)に示すように、時間t2に達した時点のボールねじナット22Aの負荷が、分担荷重であるF2=1/2・Fを越えることがないようになる。
【0059】
因みに、ボールねじナット22Bへの油圧供給タイミングが、時間t1になってから供給開始した場合が2点鎖線に示すものであり、ボールねじナット22Aにおける負荷が分担荷重であるF2=1/2・Fを瞬間的に越えてしまい、時間t2における負荷分担が均等にならなくなっている。また、時間t1を越えてから供給開始した場合が1点鎖線に示すものであり、同様に、時間t2における負荷分担が均等にならなくなっている。このような理由より、最適な油圧供給タイミングとして、時間t1よりも前に供給するタイミングが採用されている。
【0060】
この油圧供給タイミング及び供給圧の制御は、図10で示した前記制御装置102により行われる。すなわち、移動フレーム6に負荷が働いていない場合には、変位検出センサ102z及び荷重検出センサ101のいずれにも検出値の変動が生じないため、制御装置102は、移動フレーム6に負荷が働いていないと判断することができ、電磁弁100bを閉じさせる。これにより、流体圧シリンダ35,35への油圧供給が遮断されるため、ボールねじナット22B,22Bに対して無駄な負荷が加わるのを避け、これらの寿命を向上させることが可能となっている。
【0061】
移動フレーム6に負荷が働いた場合には、変位検出センサ102z及び荷重検出センサ101の両方に検出値の変動が生じるため、制御装置102は、移動フレーム6に負荷が働き始めた(図11(a)〜(c)における時間0の時点)と判断することができ、時間t1に達する前のタイミングで、電磁弁100bを開かせる。これにより、各流体圧シリンダ35,35への油圧供給を開始する。すなわち、制御装置102は、荷重検出センサ101の検出値をモニタリングし、その圧がF1=1/2・F近傍に近づいたことで、時間t1に至る直前であると感知し、電磁弁100bを開く。また、この時の油圧値調整は、配管103b内の圧力をモニタリングする圧力計105の検出結果を制御装置102が取り込み、これに基づいて減圧弁100cの開度を調整することによってなされる。
【0062】
以上説明の本実施形態の複列ボールねじ装置及びその制御方法によれば、各ボールねじナット22A,22A,22B,22Bそれぞれへの荷重分配を均等にすることが可能となる。
また、移動フレーム6に負荷が働いていないのに油圧供給してボールねじナット22B,22Bの寿命を縮めたり、または、油圧供給初期のボールねじナット22A,22Aに対して分担荷重を越える過大な荷重が瞬間的に加えてしまうことによる寿命低下を、防止することも可能となる。
【0063】
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態を図12によって説明する。本実施形態も、本発明のボールねじ装置を、射出成形機の電動射出駆動装置に適用した場合を例として説明するものとする。なお、本実施形態は、上記第6の実施形態の変形例に相当するので、上記第6の実施形態との相違点を中心に説明を行い、その他は同様であるとして説明を省略する。
【0064】
同図に示すように、本実施形態の電動射出駆動装置(複列ボールねじ装置)は、その流体圧供給源100が、前記電磁弁100b及び減圧弁100cの代わりに、ポンプ100aから各流体圧シリンダ35,35に向かう流体圧を流体圧制御装置102からの指示に基づいて調整するサーボ弁110a及びリリーフ弁110bを設けた点が特徴的となっている。
【0065】
本実施形態の複列ボールねじ装置によれば、移動フレーム6に負荷が働いていない場合には、変位検出センサ102z及び荷重検出センサ101のいずれにも検出値の変動が生じないため、制御装置102は、移動フレーム6に負荷が働いていないと判断することができ、サーボ弁110aを閉じさせる。これにより、流体圧シリンダ35,35への油圧供給が遮断されるため、ボールねじナット22B,22Bに対して無駄な負荷が加わるのを避け、これらの寿命を向上させることが可能となっている。
【0066】
移動フレーム6に負荷が働いた場合には、変位検出センサ102z及び荷重検出センサ101の両方に検出値の変動が生じるため、制御装置102は、移動フレーム6に負荷が働き始めた(図11(a)〜(c)における時間0の時点)と判断することができ、時間t1に達する前のタイミングで、サーボ弁110aを開かせる。これにより、各流体圧シリンダ35,35への油圧供給を開始する。すなわち、制御装置102は、荷重検出センサ101の検出値をモニタリングし、その圧がF1=1/2・F近傍に近づいたことで、時間t1に至る直前であると感知し、サーボ弁110aを開く。また、この時の油圧値調整は、前記圧力計105の検出結果を制御装置102が取り込み、これに基づいてサーボ弁110aの開度を調整することによってなされる。
【0067】
本実施形態の複列ボールねじ装置及びその制御方法においても、各ボールねじナット22A,22A,22B,22Bそれぞれへの荷重分配を均等にすることが可能となる。
また、移動フレーム6に負荷が働いていないのに油圧供給してボールねじナット22B,22Bの寿命を縮めたり、または、油圧供給初期のボールねじナット22A,22Aに対して分担荷重を越える過大な荷重が瞬間的に加えてしまうことによる寿命低下を、防止することも可能となる。
【0068】
[第8の実施形態]
本発明の第8の実施形態を図13によって説明する。本実施形態も、本発明のボールねじ装置を、射出成形機の電動射出駆動装置に適用した場合を例として説明するものとする。なお、本実施形態は、上記第6の実施形態の変形例に相当するので、上記第6の実施形態との相違点を中心に説明を行い、その他は同様であるとして説明を省略する。
【0069】
同図に示すように、本実施形態の電動射出駆動装置(複列ボールねじ装置)は、その流体圧供給源100が、前記ポンプ100a及び電磁弁100b及び減圧弁100cの代わりに、流体圧を発生させるポンプ120aと、該ポンプ120aを、制御装置102からの指示に基づいて駆動するモータ120bと、各流体圧シリンダ35,35が前記分担荷重を発生させるのに要する流体圧以上にならないようにポンプ120aからの流体圧を制限するリリーフ弁120cとを設けた点が特徴的となっている。
【0070】
本実施形態の複列ボールねじ装置によれば、移動フレーム6に負荷が働いていない場合には、変位検出センサ102z及び荷重検出センサ101のいずれにも検出値の変動が生じないため、制御装置102は、移動フレーム6に負荷が働いていないと判断することができ、モータ120bを停止させる。これにより、ポンプ120aから流体圧シリンダ35,35への油圧供給が遮断されるため、ボールねじナット22B,22Bに対して無駄な負荷が加わるのを避け、これらの寿命を向上させることが可能となっている。
【0071】
移動フレーム6に負荷が働いた場合には、変位検出センサ102z及び荷重検出センサ101の両方に検出値の変動が生じるため、制御装置102は、移動フレーム6に負荷が働き始めた(図11(a)〜(c)における時間0の時点)と判断することができ、時間t1に達する前のタイミングで、モータ120bを回転開始させる。これにより、ポンプ120aから各流体圧シリンダ35,35への油圧供給を開始する。すなわち、制御装置102は、荷重検出センサ101の検出値をモニタリングし、その圧がF1=1/2・F近傍に近づいたことで、時間t1に至る直前であると感知し、モータ120bを回転開始させる。また、この時の油圧値調整は、前記圧力計105の検出結果を制御装置102が取り込み、これに基づいてモータ120bの回転速度を調整することによってなされる。
【0072】
本実施形態の複列ボールねじ装置及びその制御方法においても、各ボールねじナット22A,22A,22B,22Bそれぞれへの荷重分配を均等にすることが可能となる。
また、移動フレーム6に負荷が働いていないのに油圧供給してボールねじナット22B,22Bの寿命を縮めたり、または、油圧供給初期のボールねじナット22A,22Aに対して分担荷重を越える過大な荷重が瞬間的に加えてしまうことによる寿命低下を、防止することも可能となる。
【0073】
なお、上記第6実施形態〜第8実施形態と同様の制御方法を、上記第1実施形態〜第5実施形態に適用しても良いことは勿論である。
また、上記第1実施形態〜第8実施形態における各ボールねじ軸の本数ならびにボールねじナットの個数は、一例であり、その他の数の組み合わせを適用しても良いことも勿論である。
また、上記第6実施形態〜第8実施形態においては、移動フレーム6への負荷をモニタリングする手段として、変位検出センサ102z及び荷重検出センサ101の両方を装備する装備するものとしたが、これに限らず、荷重検出センサ101のみを装備するものとしても良い。しかしながら、上記第6実施形態〜第8実施形態のように両方を装備した方が、ダブルチェック機能を働かすことができるので、より好ましいと言える。
【0074】
【発明の効果】
本発明は、単数又は複数のボールねじ軸とボールねじナットにより作用体を移動させる直線移動用のボールねじ装置において、同じボールねじ軸に複数のボールねじナットを螺合し、各ボールねじ軸の複数のボールねじナットの内の1個はセンサ担体フランジを介して作用体に取付け、単数又は複数個のセンサ担体フランジの1つに荷重検出センサを設け、その他のボールねじナットはシリンダ、ピストンによるボールねじナット流体圧支持機構として、その流体圧支持機構の支持力が前記荷重検出センサの検出押し力と等しくなるように流体圧を制御したものは、大きな負荷荷重に対して、これを各ボールねじナットに均等に分担させることができるので、小さく短い標準サイズのボールねじナットを使用することができ、コストを下げることができる。また、このボールねじナットの流体圧支持機構は、ボールねじとボールねじナットとのピッチのずれをカバーすることができ、ボールねじナットの信頼性、耐久性が向上する効果がある。また各ボールねじ軸の複数のボールねじナットの内の1個はセンサ担体フランジを介して作用体に取付けてあるので、作用体が戻ったときに、ボールねじ軸に対するボールねじナットの元の位置の再現性を確保できる効果がある(請求項1、2)。
【0075】
上記のボールねじナットの流体圧支持機構の作動流体配管を共通化したものは、流体圧制御回路が簡単になり、コスト低減効果がある(請求項3)。
【0076】
単数又は複数のボールねじ軸とボールねじナットにより作用体を移動させる直線移動用のボールねじ装置において、作用体又は作用体の駆動力を支える固定部材に全駆動力を検出する検出センサを設け、同じボールねじ軸に複数のボールねじナットを螺合し、各ボールねじ軸の複数のボールねじナットの内の1個は取付フランジを介して作用体に取付け、その他のボールねじナットはシリンダ、ピストンによるボールねじナット流体圧支持機構として、その流体圧支持機構の支持力が、前記駆動力検出センサの検出押し力をボールねじナットの全数で割った値と等しくなるように流体圧を制御したものは、大きな負荷荷重に対して、これを各ボールねじナットに均等に分担させることができるので、上記と同様の効果を奏する(請求項4、5)。
【0077】
前記のボールねじナットの流体圧支持機構の作動流体配管を共通化したものは、流体圧制御回路が簡単になり、コスト低減効果がある(請求項6)。
【0078】
前記ボールねじ装置の制御方法として、作用体に加わっている荷重がゼロであると判断した場合には、ボールねじナット流体圧支持機構への流体圧供給を停止させ、また、作用体に荷重が加わったと判断した場合には、固定フランジで作用体に固定されたボールねじ軸に加わる負荷が分担荷重に達する前のタイミングで流体圧を供給開始させるようにしたものは、ボールねじナット流体圧支持機構を介さずに作用体に固定されたボルトねじナットに対して、分担荷重を越える過大な荷重が瞬間的に加わるのを防ぐ効果を奏することが可能となる(請求項17)。
【0079】
単数又は複数のボールねじ軸とボールねじナットにより作用体を移動させる直線移動用のボールねじ装置において、各ボールねじナットのうちの1個を固定フランジを介して作用体に取り付け、その他のボールねじナットはシリンダ、ピストンによるボールねじナット流体圧支持機構とし、作用体に加わる荷重または変位のいずれか一方もしくは両方を検出し、この検出の結果に基づいて、作用体に加わっている荷重がゼロであると判断した場合には、ボールねじナット流体圧支持機構への流体圧供給を停止させ、また、作用体に荷重が加わったと判断した場合には、固定フランジで作用体に固定されたボールねじ軸に加わる負荷が分担荷重に達する前のタイミングで流体圧を供給開始させるようにしたものは、大きな負荷荷重に対して、これを各ボールねじナットに均等に分担させることができるので、上記と同様の効果を奏する。また、上記タイミングで油圧供給を行うことにより、ボールねじナット流体圧支持機構を介さずに作用体に固定されたボルトねじナットに対して、分担荷重を越える過大な荷重が瞬間的に加わるのを防ぐ効果を奏することも可能となる(請求項7、11)。
【0080】
前記ボールねじナット流体圧支持機構への流体圧供給源として、流体圧を発生させるポンプと、各流体圧シリンダに向かう流体圧を、流体圧制御装置の指示に基づいて許可または遮断する電磁弁と、流体圧を減圧する減圧弁とを備えたものは、ボールねじナット流体圧支持機構を介さずに作用体に固定されたボルトねじナットに対して、分担荷重を越える過大な荷重が瞬間的に加わるのを確実に防ぐことが可能になる(請求項8、13)。
【0081】
前記ボールねじナット流体圧支持機構への流体圧供給源として、流体圧を発生させるポンプと、各流体圧シリンダに向かう流体圧を、流体圧制御装置からの指示に基づいて調整するサーボ弁とを備えたものは、ボールねじナット流体圧支持機構を介さずに作用体に固定されたボルトねじナットに対して、分担荷重を越える過大な荷重が瞬間的に加わるのを確実に防ぐことが可能になる(請求項9、14)。
【0082】
前記ボールねじナット流体圧支持機構への流体圧供給源として、流体圧を発生させるポンプと、該ポンプを、流体圧制御装置からの指示に基づいて駆動するモータと、各流体圧シリンダが分担荷重を発生させるのに要する流体圧以上にならないようにポンプからの流体圧を制限するリリーフ弁とを備えたものは、ボールねじナット流体圧支持機構を介さずに作用体に固定されたボルトねじナットに対して、分担荷重を越える過大な荷重が瞬間的に加わるのを確実に防ぐことが可能になる(請求項10、15)。
【0083】
上記のボールねじナットの流体圧支持機構の作動流体配管を共通化したものは、流体圧制御回路が簡単になり、コスト低減効果がある(請求項12)。
【0084】
本発明のボールねじ装置は、射出駆動のような、往復移動の片側方向だけに大きな押圧力を必要とする電動力駆動に採用して好適である(請求項16)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るボールねじ装置の側面断面図である。
【図2】図1のボールねじ装置の油圧制御装置の模式図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る電動射出駆動装置を備えた射出成形機の全体側面図である。
【図4】図3の射出成形機のA−A断面によるボールねじ部の拡大図である。
【図5】図4のボールねじ装置の油圧制御装置の模式図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る油圧制御装置の模式図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る油圧制御装置の模式図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る油圧制御装置の模式図である。
【図9】図1のボールねじ装置の模式図(I)と、ボールねじナットの軸方向に対するボールが受ける荷重を示したグラフ(II)、(III)である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る油圧制御装置の模式図である。
【図11】同油圧制御装置における油圧供給タイミングを説明するグラフであり、(a)は、全ボールねじナットに加わる負荷総和の時間変化を示し、(b)は油圧機構を備えたボールねじナットにおける負荷の時間変化を示し、(c)は固定式のボールねじナットにおける負荷の時間変化を示している。
【図12】本発明の第7の実施形態に係る油圧制御装置の模式図である。
【図13】本発明の第8の実施形態に係る油圧制御装置の模式図である。
【図14】従来のボールねじ装置を示す断面側面図である。
【図15】図14の従来のボールねじ装置の模式図(I)と、ボールねじナットの軸方向に対するボールが受ける荷重を示したグラフ(II)である。
【図16】他の従来のボールねじ装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 射出成形機
4 固定フレーム(固定部材)
5 射出シリンダ
6 移動フレーム(作用体)
7 射出スクリュ
20、30 ボールねじ装置
21 ボールねじ軸
22、22A、22B、22C、22D ボールねじナット
22A1 固定フランジ
25、32 荷重検出センサ
34、46 制御装置
35 油圧シリンダ(流体圧シリンダ)
36 油圧ピストン(流体圧ピストン)
31 センサ坦体フランジ
100 流体圧供給源
100a ポンプと
100b 電磁弁
100c 減圧弁
101 荷重検出センサ
102z 変位検出センサ
102 流体圧制御装置(制御装置)
110a サーボ弁
120a ポンプ
120b モータ
120c リリーフ弁
Claims (17)
- スラスト方向を固定部材に拘束しているボールねじ軸を回転駆動してボールねじに螺合するボールねじナットの直線移動に換え、ボールねじナットと結合している作用体を移動させるボールねじ装置において、
前記ボールねじ軸に螺合する複数のボールねじナットと、同ボールねじナットの内の1個を作用体に取付けるセンサ担体フランジと、同センサ担体フランジに設けられた荷重検出センサと、前記1個以外のボールねじナットに取付けられた環状の流体圧ピストンと、前記作用体に取付けられ前記ピストンが液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有する片側開放の流体圧シリンダと、同流体圧シリンダに備えられ前記荷重検出センサの検出荷重に等しいピストン押力を生じる流体圧に制御する流体圧制御装置とで構成され、作用体に荷重が負荷されたとき、前記複数のボールねじナットに負荷荷重が均等に分担されるようにしたことを特徴とするボールねじ装置。 - スラスト方向を固定部材に拘束しているボールねじ軸を平行に複数組設け、前記複数のボールねじ軸を同期回転駆動して均等に負荷し、ボールねじに螺合するボールねじナットに結合している作用体を直線移動させる複列ボールねじ装置において、
前記各ボールねじ軸のそれぞれに複数螺合するボールねじナットと、全数のボールねじナットの内の1個を作用体に取付けるセンサ担体フランジと、同センサ担体フランジに設けられた荷重検出センサと、前記荷重検出センサを有するボールねじナットが螺合するボールねじ軸以外のボールねじ軸上の複数のボールねじナットの内の1個を直接作用体に取付ける取付フランジと、前記以外のボールねじナットに取付けられた環状の流体圧ピストンと、前記流体圧ピストンが液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有していて作用体に取付けられる複数の流体圧シリンダと、前記荷重検出センサの検出荷重に等しいピストン押力が生じるように前記各流体圧シリンダ毎にそれぞれ流体圧を制御する流体圧制御装置と、同流体圧制御装置で制御された流体圧を前記複数の流体圧シリンダに伝える配管とで構成され、作用体に荷重が負荷されたとき、前記複数のボールねじナットに荷重が均等に分担されるようにしたことを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項2に記載するボールねじ装置において、前記各流体圧シリンダへ送られる流体圧は、前記荷重検出センサの検出荷重に等しいピストン押力が生じるように制御し、各シリンダへの流体圧配管を連通して各流体圧シリンダに同じ流体圧が掛かるようにして、作用体に荷重が負荷されたとき前記複数のボールねじナットに荷重が均等に分担されるようにしたことを特徴とするボールねじ装置。
- スラスト方向を固定部材に拘束しているボールねじ軸を回転駆動してボールねじに螺合するボールねじナットの直線移動に換え、ボールねじナットと結合している作用体を移動させるボールねじ装置において、
前記ボールねじ軸に螺合する複数のボールねじナットと、前記作用体又は前記固定部材に取付けられ前記作用体に対する負荷荷重を検出する荷重検出センサと、前記複数のボールねじナットの内の1個を直接作用体に結合する取付フランジと、同取付フランジに結合したもの以外のボールねじナットに取付けられた環状の流体圧ピストンと、同ピストンが液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有していて前記作用体に取付けられている複数の流体圧シリンダと、前記荷重検出センサの検出荷重をボールねじナットの数で割った値に等しいピストン押力を生じるようにそれぞれの流体圧シリンダの流体圧を制御する流体圧制御装置とで構成され、作用体に荷重が負荷されたとき、前記複数のボールねじナットに荷重が均等に分担されるようにしたことを特徴とするボールねじ装置。 - スラスト方向を固定部材に拘束しているボールねじ軸を平行に複数組設け、前記複数のボールねじ軸を同期回転して均等に負荷駆動し、ボールねじに螺合するボールねじナットと結合している作用体を直線移動させる複列ボールねじ装置において、
前記ボールねじ軸のそれぞれに螺合する複数のボールねじナットと、前記作用体又は前記固定部材に取付けられ、作用体に対する負荷荷重を検出する荷重検出センサと、前記各ボールねじ軸の同軸上にある複数のボールねじナットの内の1個を直接作用体に結合する取付フランジと、前記以外のボールねじナットに取付けられた環状の流体圧ピストンと、前記流体圧ピストンが液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有していて前記作用体に取付けられている複数の流体圧シリンダと、前記荷重検出センサの検出荷重をボールねじナットの全数で割った値に等しいピストン押力を生じるようにそれぞれの流体圧シリンダの流体圧を制御する流体圧制御装置とで構成され、作用体に荷重が負荷されたとき、前記複数のボールねじナットに荷重が均等に分担されるようにしたことを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項5に記載するボールねじ装置において、前記荷重検出センサの検出荷重をボールねじナットの全数で割った値に相当する流体圧を算出し、各流体圧シリンダへの流体圧配管を連通して各流体圧シリンダに同じ流体圧が掛かるようにして、前記荷重検出センサの検出荷重をボールねじナットの全数で割った値に制御し、作用体に荷重が負荷されたとき、前記複数のボールねじ軸及びボールねじナットに荷重が均等に分担されるようにしたことを特徴とするボールねじ装置。
- スラスト方向を固定部材に拘束しているボールねじ軸を回転駆動してボールねじに螺合するボールねじナットの直線移動に換え、ボールねじナットと結合している作用体を移動させるボールねじ装置において、
前記ボールねじ軸に螺合する複数のボールねじナットと、同ボールねじナットの内の1個を作用体に取付ける固定フランジと、前記1個以外のボールねじナットに取付けられた環状の流体圧ピストンと、前記作用体に取付けられ前記流体圧ピストンが液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有する片側開放の流体圧シリンダと、該流体圧シリンダに流体圧を供給する流体圧供給源と、前記各ボールねじ軸のうちのいずれかに備えられて前記作用体に加わる荷重を検出する荷重検出センサ、または、前記作用体の変位を検出する変位検出センサのいずれか一方もしくは両方と、前記検出の結果を取り込んで、前記流体圧供給源から送り出される流体圧の制御及び、該流体圧の供給タイミングの制御を行う流体圧制御装置とを備え、
前記流体圧制御装置は、前記検出の結果に基づいて、前記作用体に加わっている荷重がゼロであると判断した場合には、前記流体圧供給源からの流体圧供給を停止させ、
前記検出の結果に基づいて、前記作用体に荷重が加わったと判断した場合には、前記固定フランジで前記作用体に固定されたボールねじ軸に加わる負荷が、前記荷重の値を全ボールねじナットの数で割った分担荷重に達する前に、前記各流体圧シリンダが前記分担荷重を生じるための流体圧を供給開始させることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項7に記載するボールねじ装置において、
前記流体圧供給源には、前記流体圧を発生させるポンプと、該ポンプから前記各流体圧シリンダに向かう前記流体圧を、前記流体圧制御装置の指示に基づいて許可または遮断する電磁弁と、前記流体圧制御装置の指示に基づいて前記流体圧を減圧する減圧弁とが備えられていることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項7に記載するボールねじ装置において、
前記流体圧供給源には、前記流体圧を発生させるポンプと、該ポンプから前記各流体圧シリンダに向かう前記流体圧を、前記流体圧制御装置からの指示に基づいて調整するサーボ弁とが備えられていることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項7に記載するボールねじ装置において、
前記流体圧供給源には、前記流体圧を発生させるポンプと、該ポンプを、前記流体圧制御装置からの指示に基づいて駆動するモータと、前記各流体圧シリンダが前記分担荷重を発生させるのに要する流体圧以上にならないように前記ポンプからの流体圧を制限するリリーフ弁とが備えられていることを特徴とするボールねじ装置。 - スラスト方向を固定部材に拘束しているボールねじ軸を平行に複数組設け、前記複数のボールねじ軸を同期回転駆動して均等に負荷し、ボールねじに螺合するボールねじナットに結合している作用体を直線移動させる複列ボールねじ装置において、
前記各ボールねじ軸のそれぞれに複数螺合するボールねじナットと、全数のボールねじナットの内の1個を作用体に取付ける固定フランジと、該固定フランジで前記作用体に固定されたボールねじナットが螺合するボールねじ軸以外のボールねじ軸上の複数のボールねじナットの内の1個を直接、作用体に取付ける取付フランジと、前記以外のボールねじナットに取付けられた環状の流体圧ピストンと、該流体圧ピストンが液密に嵌合して流体圧アクチュエータを形成するような環状の溝部を有していて作用体に取付けられる複数の流体圧シリンダと、これら流体圧シリンダに流体圧を供給する流体圧供給源と、前記各ボールねじ軸のうちのいずれかに備えられて前記作用体に加わる荷重を検出する荷重検出センサ、または、前記作用体の変位を検出する変位検出センサのいずれか一方もしくは両方と、前記検出の結果を取り込んで、前記流体圧供給源から送り出される流体圧の制御及び、該流体圧の供給タイミングの制御を行う流体圧制御装置とを備え、
前記流体圧制御装置は、前記検出の結果に基づいて、前記作用体に加わっている荷重がゼロであると判断した場合には、前記流体圧供給源からの流体圧供給を停止させ、
前記検出の結果に基づいて、前記作用体に荷重が加わったと判断した場合には、前記固定フランジで前記作用体に固定されたボールねじ軸に加わる負荷が、前記荷重の値を全ボールねじナットの数で割った分担荷重に達する前に、前記各流体圧シリンダが前記分担荷重を生じるための流体圧を供給開始させることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項11に記載するボールねじ装置において、
前記各流体圧シリンダは、流体圧配管を介して互いに連通しており、前記流体圧供給源からの流体圧が均等分配されることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項11又は12に記載するボールねじ装置において、
前記流体圧供給源には、前記流体圧を発生させるポンプと、該ポンプから前記各流体圧シリンダに向かう前記流体圧を、前記流体圧制御装置の指示に基づいて許可または遮断する電磁弁と、前記流体圧制御装置の指示に基づいて前記流体圧を減圧する減圧弁とが備えられていることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項11又は12に記載するボールねじ装置において、
前記流体圧供給源には、前記流体圧を発生させるポンプと、該ポンプから前記各流体圧シリンダに向かう前記流体圧を、前記流体圧制御装置からの指示に基づいて調整するサーボ弁とが備えられていることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項11又は12に記載するボールねじ装置において、
前記流体圧供給源には、前記流体圧を発生させるポンプと、該ポンプを、前記流体圧制御装置からの指示に基づいて駆動するモータと、前記各流体圧シリンダが前記分担荷重を発生させるのに要する流体圧以上にならないように前記ポンプからの流体圧を制限するリリーフ弁とが備えられていることを特徴とするボールねじ装置。 - 射出成形機の射出スクリュの直進射出駆動用に、請求項2、3、5、6及び11〜15のいずれかに記載する流体圧均等分担式の複数のナットを備えた複数のボールねじ装置を射出スクリュ軸に平行に設け、全部のボールねじナットに荷重が均等に分担されるようにしたことを特徴とする射出成形機。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のボールねじ装置の制御方法において、
前記作用体に加わっている荷重がゼロである場合には、前記流体圧シリンダへの流体圧供給を停止させ、
前記作用体に荷重が加わった場合には、前記センサ担体フランジで前記作用体に固定されたボールねじ軸に加わる負荷が、前記荷重の値を全ボールねじナットの数で割った分担荷重に達する前に、前記各流体圧シリンダが前記分担荷重を生じるための流体圧を供給開始することを特徴とするボールねじ装置の制御方法。
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