JP3631779B2 - 写真カメラおよびレンズ付きフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は2群構成のズームレンズに関し、特に、レンズ付きフィルムやコンパクトカメラに使用するにあたって好適な、簡易な構成のズームレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ズームレンズに関し、移動レンズ群をできるだけ少なくしてズーム機構を簡素化しようとする試みは、光学補正式ズームレンズとして良く知られている。
【0003】
しかし、このズームレンズは少なくとも3群構成であることが必要であったため、レンズ系全長の短縮化には限界があり、それゆえコンパクト化に不向きであった。また、少なくとも2群以上の移動レンズ群が必要とされていたため、ズーム機構の簡素化も不十分であった。
【0004】
このことに鑑み、本発明者は、特開平5−164965に示されるような2群構成のズームレンズを提案した。これは、前群レンズが負の屈折力を有し、後群レンズが正の屈折力を有するズームレンズである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平5−164965は、簡易でコンパクトな構成を有する負正2群ズームレンズの基本的な構成を示したものに過ぎず、レンズ付きフィルムやコンパクトカメラに極めて好適なものは、必ずしも明確にされていなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、コンパクトで、かつ、簡素なズーム機構を備え、レンズ付きフィルムやコンパクトカメラに極めて好適なズームレンズを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために、本発明の写真カメラおよびレンズ付きフィルムは、2群構成のズームレンズを備えている。このズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と正の屈折力を有する第2レンズ群とが配された構成を有し、第1レンズ群を固定し、第2レンズ群を光軸に沿って移動させることにより焦点距離が変化するズームレンズであって、
(a) f・β1/2/(1+β1/2 ) < f≦ (2・F・D/1500)・β1/2/(1−β1/2
(fは広角端での全系の焦点距離、fは望遠端での全系の焦点距離、βはズーム比(=f/f)、fは第2レンズ群の焦点距離、Fは広角端での全系のFナンバー、Dは結像画面の対角寸法である。)を満足することを特徴としている。
【0008】
ここで、本発明のズームレンズにおいて、第1レンズ群は、物体側に凸面を向けた一枚の負メニスカスレンズからなり、第2レンズ群は、物体側に凸面を向けた一枚の正メニスカスレンズからなり、広角端における第1レンズ群の像側面と第2レンズ群の像側面との間隔をDとするとき、
(b) 0.2 < D/f < 0.6
を満足すると良い。このズームレンズにおいて、第2レンズ群たる正メニスカスレンズの物体側面および像側面がともに非球面であると、さらに良い。
【0009】
【作用】
図1は、本発明のズームレンズのズーム機構を説明する図である。図1で、Gは第1レンズ群、Gは第2レンズ群を示す。結像画面は、写真カメラにおいてはフィルム画面に相当する。
【0010】
図1に示されるように、本発明のズームレンズでは、ズーミングに際して物体側に配された負の第1レンズ群Gは固定されており、像側に配された正の第2レンズ群Gのみが光軸に沿って移動する。第2レンズ群Gが第1レンズ群G側に移動すると、レンズ系の合成焦点距離f、すなわちズームレンズの焦点距離fは、徐々に大きくなる。これにより、ズーミングが達成される。
【0011】
第1レンズ群Gを固定しているため、第2レンズ群Gの移動に応じて焦点距離fのみならずズームレンズの全長も変化し、焦点の位置が移動する。図1の右端の一点鎖線は、第2レンズ群Gの移動に応じた焦点位置の移動を示したものである。
【0012】
このように、本発明のズームレンズはズーミングの際に焦点移動が生じるものではあるが、広角端から望遠端へ、あるいは望遠端から広角端へ移行する途中は常にレンズ系の焦点が結像画面から焦点深度内の距離に位置するように設計されており、レンズ付きフィルムやコンパクトカメラ用として十分に好適な使用が可能である。
【0013】
本発明のズームレンズが満足する (a)式は、広角端と望遠端との間でレンズ系の焦点が結像画面から焦点深度内の距離に位置するようにして、写真レンズとして好適な使用を可能にするための条件式である。
【0014】
ここで、 (a)式のうち、
≦ (2・F・D/1500)・β1/2 /(1−β1/2
は、広角端と望遠端との間で結像画面から焦点深度内の距離にレンズ系の焦点が位置するための条件である。また、 (a)式のうち、
・β1/2 /(1+β1/2 ) < f
は、ズームレンズを構成するための前提条件である。
【0015】
以上のように、本発明のズームレンズは、2群構成という簡易な構成を有し、第1レンズ群を固定して第2レンズ群のみを移動させるだけでズーミング操作を行うという簡素なズーム機構を備えている。このため、このズームレンズをコンパクトで安価なものにすることが可能である。しかも、本発明のズームレンズは (a)式を満足しているので、レンズ付きフィルムやコンパクトカメラ用として十分な光学性能を有している。
【0016】
なお、 (a)式の導出方法は、以下に説明する通りである。
【0017】
( (a)式の導出方法)
負の第1レンズ群Gと正の第2レンズ群Gの主点間間隔をdとすると、全系の合成焦点距離fは、次のように示される。
【0018】
1/f=1/f+1/f−d/(f・f) … (1)
なお、fは第1レンズ群Gの焦点距離、fは第2レンズ群Gの焦点距離である。
【0019】
(1)式を変形すると、
=(1/f+1/f−1/f)・f・f … (2)
また、近軸計算上の全系のバックフォーカス長をlとすると、
l=f(1−d/f) … (3)
である。
【0020】
次に、近軸計算上のズームレンズの全長をLとし、(2)、(3) 式を用いると、
Figure 0003631779
と表される。なお、以上は薄肉レンズ系での関係式であるが、実際の厚肉レンズ系との違いはわずかであるので、実用上は(4) 式を用いて議論することに問題はない。
【0021】
広角端での全長Lと望遠端での全長Lが一致(L=L)するときを考えると、L=Lを(4) 式を用いて解くことにより、本発明のズームレンズは以下の式を満足することが分かる。
【0022】
=−(f・f1/2 … (5)
ここで、ズーム比(=f/f)をβとおくと、
=−f・β1/2 … (6)
ズームレンズが (6)式の条件を満足して広角端と望遠端とで全長が同一(L=L)になるときに、焦点が結像画面から物体側または像側へ向かって焦点深度内の距離に位置する条件式を求める。
【0023】
ズームレンズが広角端と望遠端の中間状態(f<f<f)にあるときの全長Lと広角端での全長L(=L)との差ΔL=L−Lは、 (4)式および (6)式を用いると次のように表される。
Figure 0003631779
ΔLの最大値を求めるために、 (7)式の両辺をfで微分すると、
d(ΔL)/df=(f/f)・{β・f /f−1}
ここで、d(ΔL)/df=0を解くことにより、ΔLが最大となるfが次のように求まる。
f=f・β1/2 … (8)
(8)式を、 (7)式に代入すると、ΔLの最大値ΔLは、
ΔL=−f・(1−β1/2 /β1/2 … (9)
と求まる。そして、焦点位置の結像画面からのずれ(以下、「結像位置ずれ」と呼ぶ。)の最大値は、ΔLの絶対値|ΔL|で表される。
【0024】
この結像位置ずれの最大値|ΔL|が全系の焦点深度以内となれば、焦点を焦点深度内に位置させることができる。
【0025】
ここで、写真レンズの焦点深度δは、レンズの明るさを表すFナンバーと許容錯乱円直径との積、すなわち、
δ=F・ε
(ここで、FはFナンバー、εは許容錯乱円直径を表す。)
の様に定義される。
【0026】
一般に、写真レンズの許容錯乱円直径εは結像画面の対角寸法、すなわちフィルム対角寸法Dの1/1500が適当とされている。この場合、焦点深度δは以下のように表される。
δ=F・ε=F・(D/1500) …(10)
なお、結像画面が35ミリサイズのフィルムの場合、対角寸法Dは約43.3mmとなる。
【0027】
広角端から望遠端までFは変化するが、広角端におけるFが最小である。したがって、焦点深度δを決定するにあたっては、広角端から望遠端まで常に結像位置ずれの最大値|ΔL|が全系の焦点深度以内となるように、Fとして広角端におけるFナンバーを用いることとし、以下、Fは広角端におけるFナンバーを示すものとする。
【0028】
(10) 式を用いると、結像位置ずれの最大値|ΔL|が焦点深度の2倍以内となる条件は以下のように表される。
|ΔL|≦2・δ=2・F・(D/1500)
(9)式を用いると、この条件式は、次のように表される。
≦(2・F・D/1500)・β1/2 /(1−β1/2 …(11)
一方、ズームレンズを構成するためには、少なくとも第1レンズ群と第2レンズ群の主点間間隔dが広角端において正でなければならない。広角端における主点間間隔をd(w)とおくと、この条件(d(w)>0)は、 (2)式
(w)=(1/f+1/f−1/f)・f・f … (2)
を用いて次のように表される。
(w)=(1/f+1/f−1/f)・f・f>0
<0、f>0、f・f>0を用いて、これを変形すると、
1/f>1/f+1/f
≦f≦fを考慮すると、ズームレンズがこの条件を常に満足するのは、以下の条件式を満足するときである。
1/f>1/f+1/f
(6)式のf=−f・β1/2 を用いてこれを変形すると、
>f・β1/2 /(1+β1/2 ) …(12)
こうして求めた(11)および(12)式から、本発明のズームレンズが満足する (a)式
(a) f・β1/2 /(1+β1/2 ) < f ≦ (2・F・D/1500)・β1/2 /(1−β1/2
(βはズーム比(=f/f)、fは望遠端での全系の焦点距離、fは広角端での全系の焦点距離、fは第2レンズ群の焦点距離、Fは広角端での全系のFナンバー、Dは結像画面の対角寸法である。)
が求まる( (a)式の導出終了。)。
【0029】
次に、本発明者の知見によれば、第1レンズ群および第2レンズ群がそれぞれ物体側に凸面を向けた一枚のメニスカスレンズで構成され、絞り位置が第2レンズ群の像側に配置され、さらに上記の (b)式を満足していると、ズームレンズをより安価でコンパクトなものにすることができる。
【0030】
ここで、上記の (b)式は、ズームレンズのコンパクト化および結像性能に関する条件式である。広角端における第1レンズ群(負メニスカスレンズ)の像側面と第2レンズ群(正メニスカスレンズ)の像側面との間隔をDとするとき、D/fが (b)式の上限を下回ると、極めてコンパクトなズームレンズとなる。一方、D/fが (b)式の下限を越えると、第1レンズ群と第2レンズ群との主点間間隔が実用上好適な長さを有することになり、ズーミング操作を行いやすく、各レンズ群の屈折力も適切な値に抑えられて良好な結像性能を有するズームレンズとなる。
【0031】
さらに、本発明者の知見によれば、第2レンズ群である正メニスカスレンズのに物体側面および像側面がともに非球面であると、球面収差、像面湾曲、歪曲収差等の諸収差をいずれも良好に補正することができる。
【0032】
【実施例】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0033】
実施例1
図2は、実施例1のズームレンズを示す断面図である。このズームレンズは、物体側から順に、負の第1レンズ群たる一枚のレンズLおよび正の第2レンズ群たる一枚のレンズLが配置され、さらに絞りDがレンズLの結像面(フィルム面)S側に配置されて構成されている。
【0034】
図2において、R〜RはレンズLおよびLの各レンズ面の曲率半径を示しており、Rの右下の面番号は各レンズ面に物体側から順に付したものである。d〜dは、右下の番号を面番号とするレンズ面と次の番号を面番号とするレンズ面との間隔を示している。例えば、dはレンズ面1とレンズ面2との間隔、すなわちレンズLのレンズ厚を示し、dはレンズ面2とレンズ面3との間隔、すなわちレンズLとレンズLとのレンズ間距離を示している。
【0035】
レンズLは物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズであり、レンズLは物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズである。レンズLの焦点距離fは−30.19mm、レンズLの焦点距離fは15.89mmであり、焦点距離の比(f/f)は−1.9000である。
【0036】
絞りDはレンズLの像側面(面番号4)から結像面S側へ向かって0.70mmの位置に配置されている。本実施例では結像面Sは平面となっている。
【0037】
本実施例のズームレンズの各パラメータの数値は以下の通りである。
【0038】
【表1】
Figure 0003631779
【0039】
表の左端の数字は曲率半径Rおよび面間隔dの右下に付した番号を示し、表の右端は屈折率Nおよびアッベ数νの数値がどのレンズに対応するものであるかを示している。
【0040】
レンズLの像側面(面番号2)、並びにレンズLの物体側面(面番号3)および像側面(面番号4)は非球面である。その形状は次の非球面式
【0041】
【数1】
Figure 0003631779
【0042】
において、各係数c,k,a,a,a,aの値を下記の表に示したもので表わされる。
【0043】
【表2】
Figure 0003631779
【0044】
また、広角端、中間位置、望遠端における全系の焦点距離f、バックフォーカス長l、Fナンバー、画角2ωなどを以下に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0003631779
【0046】
広角端(W)から望遠端(T)へのズーミングに際し、レンズLは固定し、レンズLおよび絞りDを一体的に物体側に向かって移動させると、レンズLとレンズLとのレンズ間距離dが漸次減少する。これにより、全系の焦点距離は徐々に長くなり、ズーミングが実行される。本実施例では、ズーム比β (=f/f)は1.3474である。
【0047】
本実施例では、結像画面の対角寸法Dは35ミリサイズのフィルムの43.267mm、広角端での全系のFナンバーFは9.60、広角端での全系の焦点距離fは25.99であり、上記 (a)式の左辺および右辺は、
・β1/2 /(1+β1/2 )=13.96
(2・F・D/1500)・β1/2 /(1−β1/2 =24.870
(単位はいずれもmm)
となる。f=15.89mmであり、本実施例のズームレンズは (a)式を満足している。
【0048】
また、広角端におけるレンズLの像側面とレンズLの像側面との間隔をD(=d+d)とおくと、本実施例では、
/f=0.317
であり、上記の (b)式の条件も満足されている。
【0049】
図3は、本実施例のズームレンズについて球面収差、像面湾曲、歪曲収差を示した収差図である。この収差図に示されるように、本実施例のズームレンズは、広角端から望遠端に至るまで、諸収差が良好に補正されており、写真レンズとして好適な使用が可能である。
【0050】
実施例2
図4は、実施例2のズームレンズを示す断面図である。実施例1と同様に、負の第1レンズ群は一枚のレンズLから、正の第2レンズ群たる一枚のレンズLから構成され、絞りDはレンズLの結像面S側に配置されている。レンズLは物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズであり、レンズLは物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズである。レンズLの焦点距離fは−30.19mm、レンズLの焦点距離fは15.79mmである。
【0051】
絞りDはレンズLの像側面(面番号4)から結像面S側へ向かって0.70mmの位置に配置されている。結像面Sは凹面となっており、その曲率半径は−100.0mmとなっている。
【0052】
本実施例のズームレンズの各パラメータの数値は以下の通りである。
【0053】
【表4】
Figure 0003631779
【0054】
表の左端の数字は曲率半径Rおよび面間隔dの右下に付した番号を示し、表の右端は屈折率Nおよびアッベ数νの数値がどのレンズに対応するものであるかを示している。
【0055】
レンズLの物体側面(面番号3)および像側面(面番号4)は非球面である。その形状は上記の非球面式において、各係数c,k,a,a,a,aの値を下記の表に示したもので表わされる。
【0056】
【表5】
Figure 0003631779
【0057】
また、広角端、中間位置、望遠端における全系の焦点距離f、バックフォーカス長l、Fナンバー、画角2ωなどを以下に示す。
【0058】
【表6】
Figure 0003631779
【0059】
本実施例でも、広角端(W)から望遠端(T)へのズーミングに際し、レンズLを固定し、レンズLおよび絞りDを一体的に物体側に向かって移動させることにより、全系の焦点距離が徐々に長くなり、ズーミングが実行される。本実施例では、ズーム比β(=f/f)は1.3465である。
【0060】
結像画面の対角寸法Dおよび広角端での全系のFナンバーFは、実施例1と同様に、43.267mmおよび9.60である。このとき、 (a)式の左辺および右辺は、
・β1/2 /(1+β1/2 )=13.965
(2・F・D/1500)・β1/2 /(1−β1/2 =24.982
(単位はいずれもmm)
となる。f=15.79mmであり、本実施例のズームレンズも (a)式を満足している。
【0061】
また、本実施例では、
/f=0.470
(但し、Dは広角端におけるレンズLの像側面とレンズLの像側面との間隔(=d+d)である。)
であり、 (b)式も満足されている。
【0062】
図5は、本実施例のズームレンズについて球面収差、像面湾曲、歪曲収差を示した収差図である。この収差図に示されるように、本実施例のズームレンズも、広角端から望遠端に至るまで、諸収差が良好に補正されている。
【0063】
実施例3
図6は、実施例3のズームレンズを示す断面図である。上記実施例と同様に、負の第1レンズ群は物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズLから、正の第2レンズ群は物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズから構成され、絞りDはレンズLの結像面S側に配置されている。レンズLはであり、レンズLはである。レンズLの焦点距離fは−27.62mm、レンズLの焦点距離fは14.42mmである。
【0064】
絞りDはレンズLの像側面(面番号4)から結像面S側へ向かって0.70mmの位置に配置されている。結像面Sは凹面となっており、その曲率半径は−100.0mmとなっている。
【0065】
本実施例のズームレンズの各パラメータの数値は以下の通りである。
【0066】
【表7】
Figure 0003631779
【0067】
表の左端の数字は曲率半径Rおよび面間隔dの右下に付した番号を示し、表の右端は屈折率Nおよびアッベ数νの数値がどのレンズに対応するものであるかを示している。
【0068】
レンズLの物体側面(面番号3)および像側面(面番号4)は非球面である。その形状は上記の非球面式において、各係数c,k,a,a,a,aの値を下記の表に示したもので表わされる。
【0069】
【表8】
Figure 0003631779
【0070】
また、広角端、中間位置、望遠端における全系の焦点距離f、バックフォーカス長l、Fナンバー、画角2ωなどを以下に示す。
【0071】
【表9】
Figure 0003631779
【0072】
上記実施例と同様に、広角端(W)から望遠端(T)へのズーミングに際しては、レンズLを固定し、レンズLおよび絞りDを一体的に物体側に向かって移動させることにより、ズーミングが実行される。ズーム比β(=f/f)は1.3333である。
【0073】
結像画面の対角寸法Dおよび広角端での全系のFナンバーFは、実施例1と同様に、43.267mmおよび9.60である。このとき、 (a)式の左辺および右辺は、
・β1/2 /(1+β1/2 )=12.86
(2・F・D/1500)・β1/2 /(1−β1/2 =26.726
(単位はいずれもmm)
となる。f=14.42mmであり、本実施例のズームレンズも (a)式を満足している。
【0074】
また、本実施例では、
/f=0.446
(但し、Dは広角端におけるレンズLの像側面とレンズLの像側面との間隔(=d+d)である。)
であり、 (b)式も満足されている。
【0075】
図7は、本実施例のズームレンズについて球面収差、像面湾曲、歪曲収差を示した収差図である。この収差図に示されるように、本実施例のズームレンズも、広角端から望遠端に至るまで、諸収差が良好に補正されており、好適な使用が可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した通り、本発明のズームレンズは、二つのレンズ群のみからなる簡易な構成を有し、しかも、第1レンズ群を固定して第2レンズ群のみを移動させるだけでズーミング操作を行うことのできる簡素なズーム機構を備えている。このため、コンパクトで安価なズームレンズを実現することができる。また、本発明のズームレンズは上記の (a)式を満足しているので、レンズ付きフィルムやコンパクトカメラ用として十分な光学性能を有している。したがって、本発明のズームレンズは、コンパクトで安価なズーム機能付きカメラあるいはレンズ付きフィルムを実現するにあたって極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のズームレンズのズーム機構を説明する図である。
【図2】実施例1のズームレンズを示す断面図である。
【図3】実施例1のズームレンズについての収差図である。
【図4】実施例2のズームレンズを示す断面図である。
【図5】実施例2のズームレンズについての収差図である。
【図6】実施例3のズームレンズを示す断面図である。
【図7】実施例3のズームレンズについての収差図である。
【符号の説明】
…第1レンズ、L…第2レンズ、R〜R…レンズ各面の曲率半径、d〜d…レンズ各面間の距離、D〜D…絞り、S〜S…結像面。

Claims (6)

  1. ズームレンズを備える写真カメラであって、
    前記ズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と正の屈折力を有する第2レンズ群とが配された構成を有し、前記第1レンズ群を固定し、前記第2レンズ群を光軸に沿って移動させることにより焦点距離が変化する2群構成のズームレンズであり、
    (a) f・β1/2/(1+β1/2 ) < f≦ (2・F・D/1500)・β1/2/(1−β1/2
    (fは広角端での全系の焦点距離、fは望遠端での全系の焦点距離、βはズーム比(=f/f)、fは前記第2レンズ群の焦点距離、Fは広角端での全系のFナンバー、Dは結像画面の対角寸法である。)
    を満足することを特徴とする写真カメラ
  2. 前記第1レンズ群は、物体側に凸面を向けた一枚の負メニスカスレンズからなり、
    前記第2レンズ群は、物体側に凸面を向けた一枚の正メニスカスレンズからなり、
    広角端における前記第1レンズ群の像側面と前記第2レンズ群の像側面との間隔をDとするとき、
    (b) 0.2 < D/f < 0.6
    を満足することを特徴とする請求項1記載の写真カメラ
  3. 前記正メニスカスレンズの物体側面および像側面がともに非球面であることを特徴とする請求項2記載の写真カメラ
  4. ズームレンズを備えるレンズ付きフィルムであって、
    前記ズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と正の屈折力を有する第2レンズ群とが配された構成を有し、前記第1レンズ群を固定し、前記第2レンズ群を光軸に沿って移動させることにより焦点距離が変化する2群構成のズームレンズであり、
    (a) ・β 1/2 /(1+β 1/2 ) < f ≦ (2・F ・D/1500)・β 1/2 /(1−β 1/2
    (f は広角端での全系の焦点距離、f は望遠端での全系の焦点距離、βはズーム比(=f /f )、f は前記第2レンズ群の焦点距離、F は広角端での全系のFナンバー、Dは結像画面の対角寸法である。)
    を満足することを特徴とするレンズ付きフィルム
  5. 前記第1レンズ群は、物体側に凸面を向けた一枚の負メニスカスレンズからなり、
    前記第2レンズ群は、物体側に凸面を向けた一枚の正メニスカスレンズからなり、
    広角端における前記第1レンズ群の像側面と前記第2レンズ群の像側面との間隔をD とするとき、
    (b) 0.2 < D /f < 0.6
    を満足することを特徴とする請求項4記載のレンズ付きフィルム。
  6. 前記正メニスカスレンズの物体側面および像側面がともに非球面であることを特徴とする請求項5記載のレンズ付きフィルム
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