JP3631732B2 - 電流計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、測定対象内を流れる電流によって作られる磁場を測定することによってその測定対象の電流を測定する電流計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、測定対象内を流れる電流によって作られる磁場を測定することによってその測定対象の電流を測定する電流計測装置として、クランプ電流計が知られている。このクランプ電流計には、例えば測定対象である電線内を流れる電流によって作られる磁場をホール素子で検出して測定するようにしたタイプのものがある。そして、このクランプ電流計を用いて精度良く測定を行うには、ホール素子駆動回路に8mA(ミリアンペア)〜10mAの電流を流す必要があった。また、他の回路も含めると、クランプ電流計は全体として常時9mA〜15mAの電流を消費していた。
【0003】
一方、携帯用としてクランプ電流計を小型軽量化するためには、電池を小型化し、その重量も軽くすることが要求され、かつ電池寿命も長いことが要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のクランプ電流計のように、常時9mA〜15mAの電流を消費していると、その電流を確保するために電池のサイズ小型化、軽量化が困難であり、したがって、クランプ電流計の小型化および軽量化も困難であった。
【0005】
また、常時9mA〜15mAの電流消費があるため、電池寿命が短くなり、電池交換の時期が早くなって維持コストがかかっていた。
【0006】
この発明は上記に鑑み提案されたもので、装置全体の小型化および軽量化を実現することができ、また電池の長寿命化による維持コストの低減をも実現することのできる電流計測装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、測定対象内を流れる電流によって作られる磁場を測定することによってその測定対象の電流を測定する電流計測装置において、上記磁場を検出しその磁場に応じた電気信号を出力する磁場検出素子を備えた磁場検出素子駆動手段と、上記磁場検出素子駆動手段から出力された電気信号に、サンプリング処理とホールド処理とを施すことによりその電気信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換手段と、上記磁場検出素子駆動手段に供給する電源を周期的にオンオフ制御する電源制御手段と、上記電源制御手段による電源オン時において、電源オンから所定の待機時間経過後にA/D変換手段に対して、その電源オンによって磁場検出素子駆動手段から出力された電気信号に対するサンプリング処理開始を指令するとともに、所定のサンプリング時間経過後にサンプリング処理からホールド処理への切り替えを指令するA/D変換動作指令手段と、上記A/D変換手段でのホールド処理の時間をカウントし、そのカウント値に基づいて測定対象内を流れる電流値を演算し表示する電流表示手段と、を備え、上記電源制御手段は、A/D変換手段での所定のサンプリング時間に渡るサンプリング処理が終了した後、所定の時間経過後に、磁場検出素子駆動手段に供給する電源をオフとする、ことを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の構成に加えて、上記磁場検出素子駆動手段から出力された電気信号が交流の場合、AC/DC変換部で直流に変換した後、A/D変換手段に出力する、ことを特徴としている。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、上記した請求項1または2に記載の発明の構成に加えて、上記磁場検出素子駆動手段に供給する電源を、DC/DCコンバータで作成するとともに、そのDC/DCコンバータでの出力抵抗を1Ω以下とした、ことを特徴としている。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、上記した請求項1から3の何れかに記載の発明の構成に加えて、上記磁場検出素子はホール素子であり、上記A/D変換手段でのサンプリング処理は積分処理、ホールド処理は逆積分処理であり、上記電流計測装置はクランプ電流計である、ことを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明の電流計測装置の構成例としてクランプ電流計を挙げて説明する。
【0015】
図1はこの発明のクランプ電流計の全体構成を概略的に示す図である。図において、この発明のクランプ電流計1は、AC/DC両用の電流測定用センサであり、開閉する磁束捕捉用コア3a,3bが形成する中央空部30に測定対象の電線を貫通させ、その電線を流れる電流Iにより電線の周囲に形成される磁場(磁束)を磁束捕捉用コア3a,3bで捕捉するとともに、その磁束をホール素子で検出し、電流値としてディジタル表示するものである。
【0016】
このクランプ電流計1は、図1に示すように、定電圧回路2と、ホール素子駆動回路3と、AC/DC変換回路4と、ゼロクロス検出部5と、A/D変換回路6と、計測制御部7と、表示部8とから構成されている。
【0017】
定電圧回路2は、DC/DCコンバータを含めて構成され、装置全体を動作させるために電池から安定した駆動電源、例えば±3Vや±5Vを作り出し、その直流駆動電源を、電源スイッチ部S1を介してホール素子駆動回路3、AC/DC変換回路4およびゼロクロス検出部5に供給し、また、A/D変換回路6および計測制御部7に直接供給している。この駆動電源供給により、ホール素子駆動回路3には通常約8mA〜10mAの電流が流れ、またA/D変換回路6や計測制御部7には、常時約1mA〜3mAの電流が流れている。
【0018】
そして、この定電圧回路(DC/DCコンバータ)2においては、その出力抵抗ROは1Ω以下となるように極力小さくし、また平滑用のコンデンサC1を33μF以上と十分大きくした。
【0019】
図2は出力抵抗ROの従来例の場合と本発明の場合との比較を示す図である。図において、(a)は従来例で出力抵抗ROが2Ωの場合、(b)は本発明で出力抵抗ROが1Ωの場合であり、(a)(b)の各上段はスイッチオン時の定電圧回路の出力波形を、各下段はスイッチオン時にホール素子に掛かる駆動電源波形をそれぞれ示している。出力抵抗ROが2Ωの場合、定電圧回路2の出力は波形が乱れており((a)上段)、それに応じてホール素子に掛かる駆動電源波形の乱れも大きくなっている((a)下段)。これに対し、本発明では出力抵抗ROを小さくしたので、定電圧回路2の出力は抑えられて滑らかな波形となり((b)上段)、それに応じてホール素子に掛かる駆動電源波形も乱れがほとんど見られず滑らかになっている((b)下段)。これは出力抵抗ROに電流が流れるために発生する電圧降下によるものである。出力抵抗の下限については、0Ωに近いほど良いが、1Ω以下であれば大きな問題はない。
【0020】
このように、この発明では、出力抵抗ROを1Ω以下としたので、ホール素子に掛かる駆動電源波形を滑らかなものとし、それによってホール素子を精度良く動作させることができる。したがって、電流計測の精度も向上させることができる。
【0021】
図1に戻って説明を続けると、上記したように、ホール素子駆動回路3、AC/DC変換回路4およびゼロクロス検出部5には、上記の定電圧回路2からの駆動電源が電源スイッチ部S1を介して供給され動作する。
【0022】
この電源スイッチ部S1は、例えばFETで構成され、計測制御部7からのオンオフ指令信号に基づいて動作する。電源スイッチ部S1の出力端子側はコンデンサC2を介して接地されている。このコンデンサC2は、この実施形態では、0.2μF以下と小さく設定されており、電源スイッチ部S1のオンオフ切り替えによって発生するホール素子駆動回路3での電源のリンギングを小さく抑えている。
【0023】
ホール素子駆動回路3は、開閉する2つの磁束捕捉用コア3a,3bを有し、この磁束捕捉用コア3a,3bにはその各々の内部にホール素子31a,31b(図3)が収納されている。電流測定時には、オペレータは2つの磁束捕捉用コア3a,3bを閉じてその中央に形成される中央空部30に、測定対象の電線を貫通させる。磁束捕捉用コア3a,3bは、その測定対象の電線を流れる電流Iにより電線の周囲に形成される磁束を磁束捕捉用コア3a,3bで捕捉し、ホール素子31a,31bはその磁束を検出し、磁束に応じた電気信号に変換する。
【0024】
図3はホール素子駆動回路3の回路構成例を示す図である。図において、このホール素子駆動回路3は、上記した2つのホール素子31a,31bを備えたブリッジ回路32と、ブリッジ回路32から取り出した信号を適正レベルにするための増幅回路33とから構成されている。
【0025】
ホール素子駆動回路3の最終段の増幅回路33から出力された電気信号は、図1に示すように、切り替えスイッチ部S2を介して直接に、あるいはAC/DC変換回路4および切り替えスイッチ部S2を介して、それぞれA/D変換回路6に出力される。また、この電気信号は、ゼロクロス検出部5に出力される。
【0026】
なお、測定対象の電線を流れる電流が直流の場合、切り替えスイッチ部S2はDC側に切り替えられ、電流が交流の場合は、AC側に切り替えられる。この切り替えスイッチ部S2での切り替えは、オペレータのボタン操作に応じて計測制御部7から出力される指令によって行われる。
【0027】
AC/DC変換回路4は、測定対象の電線を流れる電流が交流の場合、ホール素子駆動回路3からの出力も交流となるので、その交流を直流に変換してA/D変換回路6で信号処理できるようにするためのものである。
【0028】
また、ゼロクロス検出部5は、測定対象の電線を流れる電流が交流の場合に動作し、ホール素子駆動回路3から送られてきた交流の入力信号に対し、そのゼロクロスタイミングを検出して計測制御部7に出力する。計測制御部7は、詳細は後述するように、そのゼロクロスタイミングに基づいてサンプリングの開始時期と終了時期を決定し、所定の電流計測制御を行う。
【0029】
A/D変換回路6は、切り替えスイッチ部S2を介して入力されたアナログの電気信号を、その電気信号に比例したディジタル値に変換するためのものである。
【0030】
図4はA/D変換回路の回路構成例を示す図、図5は積分器出力を示す説明図である。この実施形態ではA/D変換回路6に二重積分回路が用いられる。このA/D変換回路6は、図4に示すように、積分器61、コンデンサC3、コンパレータ62および切り替えスイッチ部S3から構成されている。このA/D変換回路6において、先ず切り替えスイッチ部S3が入力信号の端子Aに切り替えられると、アナログの電気信号が入力信号として入力され、その電流はすべてコンデンサC3に充電される。このとき、積分器61の出力電圧(コンデンサC3の両端電圧)U1は、図5に示すように、その充電時間(積分時間)に比例し、コンデンサC3の容量と入力信号の大きさで決定される勾配で増加するとともに、所定の積分時間tsが経過して切り替えスイッチ部S3が基準電圧側の端子Bに切り替えられると、その後は基準電圧と所定の積分時間tsで決定される勾配でU10からゼロになるまで下降する。すなわち、時間tsの期間は積分処理(サンプリング処理、サンプル処理)が行われ、時間txの期間は逆積分処理(ホールド処理)が行われる。そして、このような動作を行うA/D変換回路6では、入力信号の大きさは、逆積分時間txに相当しており、したがって、この逆積分時間txをカウントすることで、アナログの入力信号をディジタル値に変換可能となる。
【0031】
図1に戻って、計測制御部7は、CPU、ROM、RAMを中心とするマイコンとして構成され、そのROMに記憶されている所定のプログラムに従ってこのクランプ電流計1の全体動作を制御するとともに、この発明に係る省電力タイプの電流計測制御を実行している。なお、本発明の請求項1に記載の電源制御手段、A/D変換動作指令手段および電流表示手段は、この計測制御部7が本発明に係るプログラムに従って動作する機能を含めて構成されている。
【0032】
次に、この計測制御部7が実行する本発明に係る電流計測制御の動作について、図6〜図8を用いて説明する。
【0033】
図6はこの発明に係る電流計測制御を説明するためのタイミングチャートであり、(a)は電源制御信号STを、(b)はA/D変換回路の積分器出力波形をそれぞれ示している。この発明では、先ず測定対象の電流が直流であれば、オペレータによって直流用ボタンが選択されるので、それに応じて計測制御部7が、切り替えスイッチ部S2をDC端子に接続し、一方交流であれば、交流用ボタンが選択されるので、それに応じて切り替えスイッチ部S2をAC端子に接続する。
【0034】
次に、計測制御部7は、電源スイッチ部S1に対して、図6(a)に示すような、矩形状の電源制御信号STを出力する。この電源制御信号STは、例えば500ミリ秒毎に、すなわち1秒間に2回宛、Δtmの時間幅に渡って出力される。
【0035】
計測制御部7はこの電源制御信号STを出力すると、さらに所定の待機時間Δtaの経過を待って、A/D変換回路6の切り替えスイッチ部S3に対して切り替え指令を行い、切り替えスイッチ部S3を端子Aに接続する。これによって、A/D変換回路6は、ホール素子駆動回路3から直接送られてきた、あるいはAC/DC変換回路4を経由して送られてきたアナログ電気信号に、所定の積分時間tsにわたって積分処理を施す。そして、所定の積分時間tsが経過すると、再度切り替えスイッチ部S3に対して切り替え指令を行い、今度は切り替えスイッチ部S3を端子Bに接続する。これによって、A/D変換回路6では時間Δtsに渡る積分処理が終了し、引き続き逆積分処理が開始する(図6(b))。
【0036】
また、計測制御部7は、端子Bへの切り替え時点からさらに所定の時間Δtbが経過すると、電源制御信号STを立ち下げてオフとする。すなわち、(待機時間Δta+積分時間ts+時間Δtb)=電源制御信号STの時間幅Δtmが成立するようになっている。
【0037】
この電源制御信号STのオフによって、ホール素子駆動回路3、AC/DC変換回路4およびゼロクロス検出部5への電源供給が停止するが、A/D変換回路6や計測制御部7には引き続き定電圧回路2から電源電圧が供給されている。このため、電源制御信号STのオンオフに関係なく、A/D変換回路6は、上記の逆積分処理を積分器61の出力電圧がゼロになるまで継続して行い(図6(b))、出力電圧がゼロとなった時点で逆積分処理を終了するとともにその時刻を計測制御部7に出力する。
【0038】
計測制御部7は、上記の逆積分開始時刻(切り替えスイッチ部S3に指令して端子Bに切り替えた時刻)と、上記の逆積分終了時刻(出力電圧がゼロとなった時刻)との差分(逆積分時間)txを求め、測定対象のディジタル電流値として、表示部8に出力する。表示部8ではそのディジタル電流値をLCD画面に表示し、オペレータに知らせる。
【0039】
図7はこの発明に係る電流計測制御による消費電流低減効果の説明図であり、(a)は従来の場合を、(b)は本発明の場合をそれぞれ示している。従来のクランプ電流計では、(a)に示すように、ホール素子駆動回路3以外の各回路に流れる電流の合計電流Im(例えば3mA)に、ホール素子駆動回路3に流れる電流Ih(例えば10mA)が加算され、常時(Im+Ih)の電流が消費されていた。これに対し、本発明のクランプ電流計では、(b)に示すように、ホール素子駆動回路3以外の各回路に流れる電流の合計電流Imは従来と同一であるが、ホール素子駆動回路3を流れる電流Ihは、電源制御信号STの時間幅Δtmの間だけ存在し、それ以外の時間帯では電流Ihは流れない。例えば電源制御信号STが500ミリ秒毎に時間幅100ミリ秒でオンすると、電流Ihは500ミリ秒毎に100ミリ秒間だけ流れることとなり、この場合、ホール素子駆動回路3では、従来に比べて消費電流を1/5に低減でき、またクランプ電流計の全体に対しても、従来に比べて1/3〜1/4に低減することができる。
【0040】
この消費電流の大幅な低減効果は、電池寿命にも影響し、電池寿命を従来の約3倍〜4倍と大幅に延ばすことができる。例えば単三電池を2本使った場合、従来の平均寿命は約80時間であったのに対し、本発明によれば、その4倍の約320時間と飛躍的に電池寿命を延ばすことが可能となる。また、一回り小さい単四電池を2本使った場合、従来の平均寿命は約40時間で実用的でなかったが、本発明では約160Hと延ばすことができ、単四電池でも十分に実用に供せるようになり、それだけクランプ電流計を軽量化し小型化することができる。
【0041】
また、電池交換の時期を大幅に遅くすることができるので、それだけ維持コストを低くすることができる。
【0042】
さらに、上記の電流計測に際しては、電源制御信号STの立ち上がりから所定の待機時間taの経過後に積分処理を開始させるようにしたので、ホール素子31a,31bの検出信号も安定したものとなり、したがって、良好な精度で電流計測を行うことができる。
【0043】
ところで、測定対象の電流が交流の場合、直流に変換しその直流の電気信号に対してA/D変換回路6が積分処理を施しているが、その積分処理開始時刻および積分処理終了時刻が、本来の交流波形の何れのポイントに相当しているかで、積分時間tsに誤差が生じ、その結果逆積分時間txにも誤差が発生してしまう。そこで、この発明の実施形態では、本来の交流波形のゼロクロスタイミングをゼロクロス検出部5が検出して計測制御部7に出力し、計測制御部7がそのゼロクロスタイミングに基づいて、アナログ電気信号に対する積分処理の開始時期と終了時期、すなわちサンプリング時期を決定する処理を行っている。次に、このサンプリング時期決定処理について説明する。
【0044】
図8は本発明に係るサンプリング時期決定処理を説明するためのタイミングチャートであり、(a)は電源制御信号STを示し、(b)は積分処理の開始時刻と終了時刻、およびその時間幅を示し、(c)はゼロクロス検出部での交流波形を示している。横軸は時刻である。
【0045】
ここでは、測定対象の電流が50Hzの正弦波形であるとする。先ず、電源制御信号STが時刻t1で立ち上がると、ゼロクロス検出部5は交流から直流への変換前の交流波形を監視し、時刻t2で最初のゼロクロスを検出し、次に時刻t3で逆エッジのゼロクロスを検出する。そして、この時刻t2,t3から交流波形の周波数を求める。この場合は50Hzなので、一波長分は20ミリ秒となり、時刻t2から20ミリ秒後の時刻t4での3つ目のゼロクロスから積分処理を開始する。したがって、この場合の待機時間taは、電源制御信号STの立ち上がりから3つ目のゼロクロス検出までの時間となる。そして、ここでは所定の積分時間tsとして80ミリ秒(4波長分)を確保し、時刻t5で積分処理を終了する。また、時刻t5から時間tb経過した時刻t6で電源制御信号STをオフする。
【0046】
このように、測定対象の電流が交流の場合は、交流波形のゼロクロスを検出し、そのゼロクロスタイミングを用いて、A/D変換回路6でのアナログからディジタルへの変換を行うようにしたので、電流値を高精度に測定することができ、また測定の度に電流値がばらつくようなことを防止でき、したがって、計測信頼性をより向上させることができる。
【0047】
また、交流波形の周波数を求めるようにしたので、測定対象の交流電流が種々の周波数を有していても、それらの周波数に的確に対応することができ、周波数に関係なく精度の良い測定を行うことができる。
【0048】
さらに、電源制御信号STの立ち上がりから少なくとも3つ目のゼロクロスを検出してから積分処理を開始するようにしたので、待機時間を十分に確保することができ、ホール素子31a,31bの検出信号も安定したものとなり、この点からも計測精度を向上させることができる。
【0049】
なお、上記の説明では、測定対象の電流が直流か、交流かをオペレータが事前に判別し、ボタン操作を行うようにしたが、この判別を計測制御部が自動的に行い、その判別結果に基づいて、切り替えスイッチ部S2への切り替え指令等を行うように構成してもよい。
【0050】
また、上記の説明では、測定対象の電流によって作られる磁場を検出する素子として、ホール素子を用いるようにしたが、ホール素子以外の、例えばMR(磁気抵抗)素子やMI(磁気インダクタンス)素子等を使用するようにしてもよい。
【0051】
また、A/D変換回路として、積分処理と逆積分処理を行う二重積分方式の回路を用いるようにしたが、他の方式、例えば逐次比較方式や、Δ−Σ変調方式、フラッシュ方式の回路を用い、その各回路に配置したサンプル&ホールド回路を利用して本発明を構成するようにしてもよい。この各回路でのサンプル&ホールドに要する時間は、逐次比較方式で数十μsec〜数msec、Δ−Σ変調方式で数百μsec〜数msec、フラッシュ方式で数μsec〜数百μsecであり、二重積分方式よりも短く、高速にA/D変換がなされる。しかも、この発明では、サンプル&ホールドのうち、サンプルに相当する時間だけ、電源をオンとするので、これらの方式の各回路では、二重積分方式の回路に比べて、電源オンの時間をより一層短時間とすることができ、それに応じて消費電流も一層低減することができる。また、これらの回路を用いると、複数回サンプリングした後、平均処理をしても、十分100ミリ秒(msec)以内とすることができ、データの高精度化を維持しつつ消費電流低減効果を得ることができる。
【0052】
また、上記の説明では、磁場を検出して電気信号に変換する磁気検出方式としては、ホール素子を使った直接磁気検出方式を採用したが、その他の検出方式、例えば磁気増幅方式、磁気平衡方式などの間接的な方式を採用してもよい。
【0053】
さらに、上記の説明では、本発明をクランプ電流計に適用するようにしたが、本発明は種々の電流計測装置に適用することができ、例えば、記録計やDMMその他の制御機器と組み合わせて用いられるクランプ電流センサに適用するようにしてもよいし、オシロスコープで大きな電流波形を観測するために使用するクランプ電流アダプタに適用するようにしてもよい。さらに、電流計以外の計測装置に適用するようにしてもよい。
【0054】
【発明の効果】
この発明は上記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。
【0055】
請求項1に記載の発明では、電源制御信号によって磁場検出素子駆動手段に供給する電源を周期的にオンオフ制御し、その電源オンの期間内に電流計測を行うようにしたので、従来常時通電されていた磁場検出素子駆動手段の電流が、その電源オン時のみに限定することができ、したがって、磁場検出素子駆動手段での消費電流を大幅に低減でき、また電流計測装置の全体に対しても消費電流を大幅に低減することができる。
【0056】
また、この消費電流の大幅な低減効果により、電池寿命も大幅に延ばすことができる。例えば単三電池を2本使った場合、従来の平均寿命は約80時間であったのに対し、本発明によれば、その4倍の約320時間と飛躍的に電池寿命を延ばすことが可能となる。また、一回り小さい単四電池を2本使った場合、従来の平均寿命は約40時間で実用的でなかったが、本発明では約160Hと延ばすことができ、単四電池でも十分に実用に供せるようになり、それだけ電流計測装置を軽量化し小型化することができる。
【0057】
また、電池交換の時期を大幅に遅くすることができるので、それだけ維持コストを低くすることができる。
【0058】
また、この発明では、電流計測に際して、電源制御信号の立ち上がりから所定の待機時間の経過後に積分処理を開始させるようにしたので、磁場検出素子の検出信号も安定したものとなり、したがって、良好な精度で電流計測を行うことができる。
【0061】
さらに、この発明では、出力抵抗を1Ω以下としたので、磁場検出素子に掛かる駆動電源波形を滑らかなものとすることができ、それによって磁場検出素子を精度良く動作させることができる。したがって、電流計測の精度も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るクランプ電流計の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】出力抵抗ROの従来例の場合と本発明の場合との比較を示す図である。
【図3】ホール素子駆動回路3の回路構成例を示す図である。
【図4】A/D変換回路の回路構成例を示す図である。
【図5】積分器出力を示す説明図である。
【図6】この発明に係る電流計測制御を説明するためのタイミングチャートであり、(a)は電源制御信号STを、(b)はA/D変換回路の積分器出力波形をそれぞれ示している。
【図7】この発明に係る電流計測制御による消費電流低減効果の説明図であり、(a)は従来の場合を、(b)は本発明の場合をそれぞれ示している。
【図8】本発明に係るサンプリング時期決定処理を説明するためのタイミングチャートであり、(a)は電源制御信号STを示し、(b)は積分処理の開始時刻と終了時刻、およびその時間幅を示し、(c)はゼロクロス検出部での交流波形を示している。
【符号の説明】
1 クランプ電流計
2 定電圧回路(DC/DCコンバータ)
3 ホール素子駆動回路
3a,3b 磁束捕捉用コア
30 中央空部
31a,31b ホール素子
32 ブリッジ回路
33 増幅回路
5 ゼロクロス検出部
6 A/D変換回路
61 積分器
62 コンパレータ
7 計測制御部
8 表示部
C1 コンデンサ
C2 コンデンサ
C3 コンデンサ
RO 出力抵抗
S1 電源スイッチ部
S2 切り替えスイッチ部
S3 切り替えスイッチ部
ST 電源制御信号
Claims (4)
- 測定対象内を流れる電流によって作られる磁場を測定することによってその測定対象の電流を測定する電流計測装置において、
上記磁場を検出しその磁場に応じた電気信号を出力する磁場検出素子を備えた磁場検出素子駆動手段と、
上記磁場検出素子駆動手段から出力された電気信号に、サンプリング処理とホールド処理とを施すことによりその電気信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換手段と、
上記磁場検出素子駆動手段に供給する電源を周期的にオンオフ制御する電源制御手段と、
上記電源制御手段による電源オン時において、電源オンから所定の待機時間経過後にA/D変換手段に対して、その電源オンによって磁場検出素子駆動手段から出力された電気信号に対するサンプリング処理開始を指令するとともに、所定のサンプリング時間経過後にサンプリング処理からホールド処理への切り替えを指令するA/D変換動作指令手段と、
上記A/D変換手段でのホールド処理の時間をカウントし、そのカウント値に基づいて測定対象内を流れる電流値を演算し表示する電流表示手段と、を備え、
上記電源制御手段は、A/D変換手段での所定のサンプリング時間に渡るサンプリング処理が終了した後、所定の時間経過後に、磁場検出素子駆動手段に供給する電源をオフとする、
ことを特徴とする電流計測装置。 - 上記磁場検出素子駆動手段から出力された電気信号が交流の場合、AC/DC変換部で直流に変換した後、A/D変換手段に出力する、請求項1に記載の電流計測装置。
- 上記磁場検出素子駆動手段に供給する電源を、DC/DCコンバータで作成するとともに、そのDC/DCコンバータでの出力抵抗を1Ω以下とした、請求項1または2に記載の電流計測装置。
- 上記磁場検出素子はホール素子であり、上記A/D変換手段でのサンプリング処理は積分処理、ホールド処理は逆積分処理であり、上記電流計測装置はクランプ電流計である、請求項1から3の何れかに記載の電流計測装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002228499A JP3631732B2 (ja) | 2002-08-06 | 2002-08-06 | 電流計測装置 |
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