JP3631614B2 - セラミックヒータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックヒータに関し、特に、CVD、PVD、スパッタリングなどの成膜装置用として使用されるセラミックヒータ、その中でも半導体製造装置用セラミックヒータとして好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体装置の製造工程において、半導体ウエハ(以下、ウエハと称す。)に薄膜を形成するCVD、PVD、スパッタリングなどの成膜装置にはウエハを各種処理温度に加熱するための熱源としてステンレスヒータが使用されていた。
【0003】
しかしながら、成膜装置では、デポジション用ガスやクリーニング用ガスとして塩素系やフッ素等の腐食性の強いハロゲン系ガスが使用されるため、これらのハロゲン系ガスに曝されるとパーティクルが発生したり、熱効率が悪くなるため、成膜する膜質や膜厚みに悪影響を与えるといった問題点があった。
【0004】
こうした問題点を解決するために、耐食性に優れた緻密なセラミック体中に抵抗発熱体を埋設してなるセラミックヒータが提案されている。
【0005】
図5(a)(b)にセラミックヒータ11の一般的な構造を示すように、11はセラミックヒータで、円盤状をした緻密なセラミック体12からなり、その内部には例えば図6に示すような渦巻き状をした発熱パターンPを有する抵抗発熱体14が埋設され、該抵抗発熱体14はタングステンやモリブデンなどの単一の材料からなり、同一線幅、同一線厚みに構成されていた。また、上記セラミック体12の上面はウエハ等の被加熱物Wを載置しつつ所定の温度に加熱するための載置面13とし、上記セラミック体12の下面中央にはセラミックヒータ11を反応処理室(不図示)内に設置するためのセラミックスからなる筒状支持体16が接合してあり、該筒状支持体16により反応処理室の内外を気密にシールするとともに、上記筒状支持体16の内側より前記抵抗発熱体14に通電するための給電端子15を反応処理室外へ取り出するようになっていた(特公平6−28258号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、成膜工程ではこれまでウエハに成膜する膜材質としてW膜が用いられていたが、近年、膜材質の多様化によりTi膜、SiO2 膜、WSix膜が使用されるようになり、これに伴ってこれまで処理温度が400℃程度であったものが500℃〜900℃の処理温度で成膜することが要求されている。また、生産性を高めるためには処理時間、特にセラミックヒータ11を所定の処理温度に加熱するまでの昇温時間を極力短くする必要があり、これまで5〜10℃/minの昇温速度であったものを20℃/min以上の急速昇温が要求されていた。
ところが、上記セラミックヒータ11を発熱させると、筒状支持体16を介して反応処理室へ熱が逃げる熱引けが起こるため、筒状支持体16が位置するセラミックヒータ11の中央における熱容量が周縁より小さくなり、載置面13の均熱性が阻害されるといった課題があった。その為、成膜毎に膜質や膜厚みが異なり、一定品質の薄膜を安定して成膜することができなかった。
【0007】
しかも、この熱引けが大きくなるとセラミックヒータ11に大きな熱応力が発生し、セラミックヒータ11にクラックが発生して割れてしまうといった問題点もあった。特に、この問題点はセラミックヒータ11の大型化、昇温速度の向上によりますます顕著な問題となっていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、略同心円状又は略渦巻き状をした発熱パターンを有する抵抗発熱体を埋設してなるセラミック体の上面を被加熱物の載置面とし、上記セラミック体の下面にセラミックスからな筒状支持体を接合してなるセラミックヒータにおいて、上記発熱パターンのうち筒状支持体より内側に位置する領域の面積をS1、該筒状支持体より内側に位置する領域における抵抗発熱体の抵抗値をR1とし、上記発熱パターンのうち筒状支持体より外側に位置する領域の面積をS2、該筒状支持体より外側に位置する領域における抵抗発熱体の抵抗値をR2とした時、R1/S1をR2/S2に対して3〜60%の範囲で大きくしたことを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明によれば、筒状支持体より内側に位置する領域における抵抗発熱体の単位面積当たりの抵抗値(R1/S1)を、筒状支持体より外側に位置する領域における抵抗発熱体の単位面積当たりの抵抗値(R2/S2)より大きくしてあることから、筒状支持体を介して熱引きされる温度を補い載置面の温度分布を均一化することができる。また、その抵抗値(R1/S1)は抵抗値(R2/S2)に対して3〜60%としてあることから、20℃/min以上の速度で急速に昇温しても割れないセラミックヒータを実現することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1(a)は本発明のセラミックヒータを示す斜視図、(b)は(a)のX−X線断面図であり、抵抗発熱体4を埋設してなる円盤状をしたセラミック体2からなり、該セラミック体2の上面を被加熱物Wの載置面3としてある。また、上記セラミック体2の下面中央にはセラミックヒータ1を反応処理室(不図示)内に設置するためのセラミックスからなる筒状支持体6を接合してあり、該筒状支持体6によって反応処理室の内外を気密にシールするとともに、上記筒状支持体6の内側より前記抵抗発熱体4へ通電するための給電端子5を反応処理室外へ取り出するようになっている。
【0012】
また、上記セラミック体2中に埋設する抵抗発熱体4の発熱パターンは、例えば、図2に示すような略同心円状としてあり、上記発熱パターンQが占める面積をSとした時、面積Sは載置面3全体の80%以上となるようにしてある。なお、発熱パターンQのパターン形状としては図2に示したものだけに限定されるものではなく、図6に示す渦巻き状をしたものなど載置面3を均一に加熱できるパーン形状であれば良い。
【0013】
そして、本発明は、上記発熱パターンQのうち筒状支持体6の最外周より内側に位置する領域Q1の面積をS1、上記筒状支持体6の最外周より内側に位置する領域Q1における抵抗発熱体4aの抵抗値をR1とするとともに、上記発熱パターンQのうち筒状支持体6の最外周より外側に位置する領域Q2の面積をS2、上記筒状支持体6の最外周より外側に位置する領域Q2における抵抗発熱体4bの抵抗値をR2とした時、上記筒状支持体6の内側に位置する領域Q1における抵抗発熱体4aの単位面積当たりの抵抗値(R1/S1)を、上記筒状支持体6の外側に位置する領域Q2における抵抗発熱体4bの単位面積当たりの抵抗値(R2/S2)より大きくしたことを特徴とする。
【0014】
即ち、上記セラミックヒータ1を発熱させると、筒状支持体6を介して反応処理室側へ熱が奪われて熱引けが発生し、載置面3の均熱化が阻害されるとともに、特に昇温時において、筒状支持体6が接合されているセラミックヒータ1の中央と、筒状支持体6が接合されていないセラミックヒータ1の周縁との境界に大きな熱応力が発生し、セラミックヒータ1が割れてしまうといった恐れがあるが、本発明では、発熱パターンQの筒状支持体6より内側に位置する領域Q1における抵抗発熱体4aの単位面積当たりの抵抗値(R1/S1)を、筒状支持体6より外側に位置する領域Q2における抵抗発熱体4bの単位面積当たりの抵抗値(R2/S2)より大きくし、筒状支持体6が接合されているセラミックヒータ1の中央の発熱量を周縁より大きくしてあることから、熱引けに伴う温度損失を補い、載置面6の温度分布を均一化することができるとともに、昇温時においてセラミックヒータ1の中央の発熱量を周縁より大きくできるため、セラミックヒータ1に発生する熱応力を緩和し、急速昇温によるセラミックヒータ1の破損を防ぐことができる。
【0015】
ただし、上記抵抗値(R1/S1)は抵抗値(R2/S2)に対して3〜60%の範囲で大きくすることが重要であり、好ましくは5〜20%の範囲で大きくすることが良い。
【0016】
これは抵抗値(R1/S1)が抵抗値(R2/S2)に対して3%未満であると、筒状支持体6からの熱引けに伴う温度損失を補えず、載置面3の中央における温度が周縁より低くなり、均一な温度分布を得ることができなくなるとともに、昇温時にセラミックヒータ1に大きな熱応力が発生し、割れてしまう恐れがあるからであり、逆に、抵抗値(R1/S1)が抵抗値(R2/S2)に対して60%より大きくなると、筒状支持体6からの温度損失より抵抗発熱体4aによる発熱量が大きくなり過ぎるために、載置面3の中央における温度が周縁より高くなり、均一な温度分布を得ることができなくなるとともに、昇温時に発生する熱応力が非常に大きくなりセラミックヒータ1が割れてしまうからである。
【0017】
なお、筒状支持体6が接合されたセラミックヒータ1から抵抗値(R1/S1)と抵抗値(R2/S2)を求める方法としては、例えば、図2に示す発熱パターンQを有するセラミックヒータ1の場合、まず、筒状支持体6を切除し、X線を当ててセラミック体2中に埋設されている発熱パターンQの形状を解析し、筒状支持体6より内側に位置する領域Q1の面積をS1、上記筒状支持体6外側に位置する領域Q2の面積をS2として算出する。
【0018】
一方、筒状支持体6より内側に位置する領域Q1における抵抗発熱体4aの抵抗値R1と筒状支持体6より外側に位置する領域Q2における抵抗発熱体4bの抵抗値R2は、セラミック体2を筒状支持体6の最外周が位置していた部分で円板状のセラミック体とリング状のセラミック体に2分割し、円板状のセラミック体に埋設されている抵抗値をR1、リング状のセラミック体に埋設されている抵抗値をR2としてそれぞれ測定し、これらの値から抵抗値(R1/S1)と抵抗値(R2/S2)を算出すれば良い。
【0019】
ところで、抵抗発熱体4a,4bの単位面積当たりの抵抗値(R1/S1),(R2/S2)を変化させるには以下の方法がある。
【0020】
〔抵抗発熱体4をスクリーン印刷にて形成する場合〕
▲1▼ 抵抗発熱体4a,4bの厚みを一定とし、抵抗発熱体4aと抵抗発熱体4bの線幅を異ならせる方法。即ち、抵抗発熱体4aの線幅を抵抗発熱体4bの線幅より細くする。
【0021】
▲2▼ 抵抗発熱体4a,4bの線幅を一定とし、抵抗発熱体4aと抵抗発熱体4bの厚みを異ならせる方法。即ち、スクリーン印刷にて抵抗発熱体4と抵抗発熱体4bを印刷したあと、抵抗発熱体4bに相当する部分に再度スクリーン印刷にて抵抗発熱体を重ねる。
【0022】
▲3▼ 抵抗発熱体4a,4bの厚み、線幅とも一定とし、抵抗発熱体4aと抵抗発熱体4bの組成を異ならせる方法。例えば、抵抗発熱体を主にタングステンよって形成する場合、抵抗発熱体4bに含有させる炭化タングステンの添加量を抵抗発熱体4aに含有させる炭化タングステンの添加量より多くすることにより、抵抗発熱体4aの単位面積当たりの抵抗値(R1/S1)を抵抗発熱体4bの単位面積当たりの抵抗値(R2/S2)より大きくできる。
【0023】
〔抵抗発熱体4に線材を用いる場合〕
▲4▼ 抵抗発熱体4a,4bの線径を一定とし、抵抗発熱体4aと抵抗発熱体4bの巻き数を変更する方法。即ち、抵抗発熱体4aの巻き数を抵抗発熱体4bより多くする。
【0024】
また、上記方法による抵抗発熱体4を埋設するセラミックヒータ1の製造方法としては次の2つの方法がある。
【0025】
まず、第一の方法は、高融点金属や導電性セラミックスを含む導体インクを作製し、これをセラミック体2を構成するセラミックグリーンシート上に例えば図2に示す発熱パターンQを▲1▼〜▲3▼の方法を用いてスクリーン印刷したあと、上記発熱パターンQを覆うように上記セラミックグリーンシート上に他のセラミックグリーンシートを積み重ねてグリーンシート積層体を製作する。そして、このグリーンシート積層体に切削加工を施して所定形状に形成したものを各種セラミック原料を焼結させることができる温度にて焼成することにより、抵抗発熱体4を埋設してなるセラミック体2を形成する。
【0026】
第二の方法は、抵抗発熱体4として高融点金属からなる線材を用い、該線材を▲4▼の方法にて螺旋状に巻線したものを例えば図2に示す発熱パターンQに配置してセラミック原料中に埋置し、ホットプレス法にて焼結一体化したあと、研削加工を施して所定形状に形成することにより、抵抗発熱体4を埋設してなるセラミック体2を形成する。
【0027】
これらの方法により得られたセラミック体2は、一方の主面に研磨加工を施して載置面3を形成するとともに、他方の主面に抵抗発熱体4に連通する凹部を穿設し、該凹部に給電端子5をロウ付け等の方法にて接合することによりセラミックヒータ1を形成する。
【0028】
一方、筒状支持体6は、セラミック原料を射出成形法、押し出し成形法、静水圧プレス成形法など通常のセラミック成形法にて所定の筒状に形成したあと、上記セラミック原料を焼結させることができる温度にて焼成して形成する。
【0029】
そして、上記セラミック体2の給電端子5を内包するように上記セラミック体2の下面中央に筒状支持体6をガラス接合や拡散接合にて接合するか、あるいは上記セラミック体2と筒状支持体6とが同種のセラミックスからなる場合、上記セラミック原料の泥漿をセラミック体2と筒状支持体6の接合面間に介在させ、焼結一体化することによりセラミックヒータ1を得ることができる。
【0030】
ただし、上記発熱パターンQにおいて、筒状支持体6より内側に位置する領域Q1における抵抗発熱体4aの単位面積当たりの抵抗値(R1/S1)と筒状支持体6より外側に位置する領域Q2における抵抗発熱体4bの単位面積当たりの抵抗値(R2/S2)を前記範囲で設定したとしてもセラミック体2の熱伝導率が40W/mk未満であると、抵抗発熱体4の発熱を効率良くセラミック体2全体に伝えることができないために、セラミック材料による均熱化作用が無くなり、特に大型のセラミックヒータ1では載置面3の均熱化が達成できない。しかも、セラミック体2の厚みが厚くなると、セラミック体2の厚み方向に温度分布が生じ、熱応力が発生して抵抗発熱体4を埋設した界面からクラックが発生することもある。
【0031】
しかも、成膜装置ではデポジション用ガスやクリーニング用ガスとして塩素系やフッ素等の腐食性の強いハロゲン系ガスが使用されているため、これらのハロゲン系ガスに対して耐食性の高いことが必要となる。
【0032】
その為、セラミック体2を構成するセラミックスとしては熱伝導率が40W/mk以上でかつハロゲン系ガスに対する優れた耐食性を有するセラミックスにより形成することが重要であり、可能な限り熱伝導率の高いものが望ましい。
【0033】
具体的には、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化硼素を主成分とするセラミックスを用いることができ、これらの中でも窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスが好ましい。
【0034】
また、上記セラミック体2に接合する筒状支持体6の熱伝達率は、セラミック体2の熱伝達率と同等あるいはそれ以上とすることが望ましい。これは、筒状支持体6の熱伝達率がセラミック体2よりも極端に低いと、セラミックヒータ1を発熱させたときの熱伝搬が非常に少なく、セラミック体2と筒状支持体6との接合界面に熱応力が集中して筒状支持体6が接合界面より剥離してしまうからである。なお、筒状支持体6を構成するセラミックスとしては、セラミック体2と同様のアルミナ、窒化アルミニウム、窒化硼素を主成分とするセラミックスを用いることができ、特に、接合強度を高める観点からセラミック体2と同種のセラミックス、さらにはセラミック体2と同一のセラミックスにより形成することが良い。なお、同種のセラミックスとは、主成分が同じであることを言い、同一のセラミックスとは主成分は勿論のこと組成や特性が同じセラミックスのことを言う。
【0035】
さらに、上記セラミック体2中に埋設する抵抗発熱体4としては、タングステン、モリブデン、白金、レニウム等の高融点金属やこれらの合金、あるいは周期律表第4a,5a,6a族元素の炭化物や窒化物を用いることができ、セラミック体2を構成するセラミックスとの熱膨張差が近似したものを適宜選択して用いれば良い。
【0036】
かくして、本発明のセラミックヒータ1を用いれば、処理温度での温度バラツキが10%以内となるような均一な温度分布を得ることができるとともに、従来では成し得なかった20℃/min以上の急速な昇温においても割れることがない。
【0037】
(実施例)
純度99.9%のAlN粉末に対してバインダー、溶剤、可塑剤等を加え、回転ミルにて24時間程度混合することにより泥漿を製作したあと、ドクターブレード法にてAlNのグリーンシートを複数枚形成する。
【0038】
一方、抵抗発熱体4として、タングステン粉末に溶剤、可塑剤、分散材等を加えて回転ミルにて混合粉砕したあと、バインダーを加えてさらに混合し、真空脱脂することにより導体インクを製作する。
【0039】
そして、前記AlNのグリーンシートを数枚積み重ねた上に、上記導体インクをスクリーン印刷にて図2に示すような略同心円状をなし、抵抗発熱体4の厚みはほぼ一定とした状態で中央に位置する抵抗発熱体4aの線幅を周縁に位置する抵抗発熱体4bの線幅より狭くした発熱パターンQを敷設し、該発熱パターンQを覆うように残りのAlNのグリーンシートを積み重ね、熱圧着によりグリーンシート積層体を形成した。そして、このグリーンシート積層体に切削加工を施して円盤状に形成したあと、数百℃の窒素雰囲気にて脱脂し、次いで窒素雰囲気中にて2000〜2010℃の温度にて焼成することにより、外径が約300mm、厚みが約15mmの円盤状をした窒化アルミニウム製のセラミック体2を製作した。なお、上記セラミック体2を構成する窒化アルミニウムの組成についてICPにて測定したところ、窒化アルミニウムの含有量が99.8重量%の高純度窒化アルミニウムセラミックスからなるものであった。
【0040】
また、セラミック体2中に埋設する発熱パターンQのうち、後述にて接合する筒状支持体6より内側に位置する領域Q1における抵抗発熱体4aの単位面積当たりの抵抗値(R1/S1)と、上記筒状支持体6より外側に位置する領域Q2における抵抗発熱体4bの単位面積当たりの抵抗値(R2/S2)をそれぞれ測定したところ、0.48Ω/cm2 と0.36Ω/cm2 であり、抵抗値(R1/S1)が抵抗値(R2/S2)に対して33%高かった。
【0041】
次に、得られたセラミック体2の一方の主面を中心線平均粗さ(Ra)で0.1μmに研磨して載置面3を形成するとするとともに、上記セラミック体2の他方の主面に抵抗発熱体4に連通する2つの凹部を穿設したあと、該凹部にFe−Co−Ni合金からなる給電端子5を銀銅ロウにてロウ付け固定してセラミックヒータ1を得た。
【0042】
そして、このセラミックヒータ1の下面に、外径70mm、厚み10mmの円筒状をした上記セラミック体2と同一の窒化アルミニウムセラミックスからなる筒状支持体6を拡散接合した。
【0043】
そこで、このセラミックヒータ1に170Vの直流電圧を印加して載置面3を設定温度で700℃に発熱させ、載置面3の温度を放射温度計(商品名:サーモビュアー)にて測定したところ、図3に示すように、載置面3の平均温度が694℃、最も低いところでも設定温度に対して15℃以内とすることができ、設定温度700℃に対して2%以内の温度バラツキに抑えることができ、優れた均熱性が得られた。
【0044】
一方、比較のために、発熱パターンの形状は図2と同一で、抵抗調整していない抵抗発熱体14をセラミック体12中に埋設する以外は実施例と同様の方法にて製作したセラミックヒータ11を試作し、170Vの直流電圧を印加して載置面13を発熱させたところ、図4に示すように、載置面13の平均温度が654℃、最も低いところでは設定温度に対して114℃も低くなっており、設定温度700℃に対して16.2%と温度分布が大きくばらついていた。
【0045】
(実験例1)
そこで、実施例におけるセラミックヒータ1において、筒状支持体6より内側に位置する領域Q1における抵抗発熱体4aの単位面積当たりの抵抗値(R1/S1)と筒状支持体6より外側に位置する領域Q2における抵抗発熱体4bの単位面積当たりの抵抗値(R2/S2)を異ならせた時の載置面3における温度分布を確認する実験を行った。
【0046】
それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0047】
この結果、抵抗値(R1/S1)を抵抗値(R2/S2)に対して3%以上、60%以下とすることにより、載置面3の温度バラツキを10%以内に抑えられることが判る。特に、抵抗値(R1/S1)を抵抗値(R2/S2)に対して5%以上、50%以下とすれば、載置面3の温度バラツキを5%以内に抑えることができ、優れた均熱性が得られた。
【0048】
【表1】
【0049】
(実験例2)
次に、実験例1で用いたセラミックヒータ1の昇温速度を異ならせた時のセラミックヒータ1の耐久性について調べる実験を行った。
【0050】
それぞれの結果は表2に示す通りである。
【0051】
この結果、抵抗値(R1/S1)を抵抗値(R2/S2)に対して3%以上、60%以下とすることにより、20℃/minの昇温速度としてもセラミックヒータ1に割れを生じることがなく、特に抵抗値(R1/S1)を抵抗値(R2/S2)に対して5%以上、20%以下とすることにより、50℃/minの昇温速度においてもセラミックヒータ1に割れを生じることがなく優れていた。
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、略同心円状又は略渦巻き状をした発熱パターンを有する抵抗発熱体を埋設してなるセラミック体の上面を被加熱物の載置面とし、上記セラミック体の下面にセラミックスからな筒状支持体を接合してなるセラミックヒータにおいて、上記発熱パターンのうち筒状支持体より内側に位置する領域の面積をS1、該筒状支持体より内側に位置する領域における抵抗発熱体の抵抗値をR1とし、上記発熱パターンのうち筒状支持体より外側に位置する領域の面積をS2、該筒状支持体より外側に位置する領域における抵抗発熱体の抵抗値をR2とした時、R1/S1をR2/S2に対して3〜60%の範囲で大きくしたことから、筒状支持体を介して熱引きされる温度を補い載置面の温度分布を均一化することができるとともに、20℃/min以上の速度で急速に昇温しても割れない信頼性の高いセラミックヒータを提供することができる。
【0054】
しかも、セラミックヒータを構成するセラミック体や筒状支持体はハロゲン系ガスやプラズマに対して優れた耐食性、耐プラズマ性を有するセラミックスからなるため、成膜装置やエッチング装置に用いたとしても長期使用が可能であるとともに、腐食や摩耗に伴う塵の発生が少ないことから、例えば半導体製造装置用として用いたとしても半導体ウエハに悪影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のセラミックヒータを示す一部を破断した斜視図、(b)は(a)のX−X線断面図である。
【図2】図1のセラミックヒータに埋設してなる発熱パターンを示す図である。
【図3】本発明のセラミックヒータの載置面における温度分布を示す図である。
【図4】従来のセラミックヒータの載置面における温度分布を示す図である。
【図5】(a)は従来のセラミックヒータを示す一部を破断した斜視図、(b)は(a)のY−Y線断面図である。
【図6】図5のセラミックヒータに埋設してなる発熱パターンを示す図である。
【符号の説明】
1,11 ・・・セラミックヒータ
2,12 ・・・セラミック体
3,13 ・・・載置面
4(4a,4b),14・・・抵抗発熱体
5,15 ・・・給電端子
6,16 ・・・筒状支持体
Q,P ・・・発熱パターン
Q1 ・・・筒状支持体より内側に位置する領域
Q2 ・・・筒状支持体より外側に位置する領域
S ・・・発熱パターンの全面積
S1 ・・・筒状支持体より内側に位置する領域の面積
S2 ・・・筒状支持体より外側に位置する領域の面積
R1 ・・・領域S1における抵抗発熱体の抵抗値
R2 ・・・領域S2における抵抗発熱体の抵抗値
W ・・・被加熱物
Claims (1)
- 略同心円状又は略渦巻き状をした発熱パターンを有する抵抗発熱体を埋設してなるセラミック体の上面を被加熱物の載置面とし、上記セラミック体の下面にセラミックスからなる筒状支持体を接合してなるセラミックヒータにおいて、上記発熱パターンのうち筒状支持体より内側に位置する領域の面積をS1、該筒状支持体より内側に位置する領域における抵抗発熱体の抵抗値をR1とし、上記発熱パターンのうち筒状支持体より外側に位置する領域の面積をS2、該筒状支持体より外側に位置する領域における抵抗発熱体の抵抗値をR2とした時、R1/S1をR2/S2に対して3〜60%の範囲で大きくしたことを特徴とするセラミックヒータ。
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