JP3631511B2 - 加圧成形体製造装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は加圧成形体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来の積層体の一例として積層コンデンサが知られている。この積層コンデンサはセラミックユニットの内部に複数層の内部電極が形成され、その両端部に内部電極と電気的に接続された外部電極とを形成してなる。
【0003】
このような積層コンデンサを製造する方法として、従来では、セラミック製のグリーンシートを複数枚積層してなる積層シートを剛体プレスで圧着する方法が知られている。剛体プレスによる圧着工程では、金型における下型内に積層した積層体成形用試料を装填し、上型で積層シートを加圧することにより、内部電極を有するグリーンシート同士あるいは内部電極を有しないグリーンシートとを圧着し、これを一体化する。圧着一体化した後は、得られたセラミックス積層体を所定の形状例えば直方体に切断してチップにし、これを焼成した後に両側に外部電極を形成している。
【0004】
しかしながら、内部電極の形成された部分と形成されていない部分とでシートの厚みに差が生じるので、剛体プレスを用いて圧着する方法では、内部電極の形成されていない部分の成形密度が上がらず、この部分で層剥れが生じ易いという問題がある。
【0005】
特に、グリーンシートの積層枚数が増える程、圧着時における密度差が顕著になるので、その影響が大きい。このために、多層の積層コンデンサなどの積層体を製造する場合には、圧着不良による不良品が数多く生じ易く、歩留が悪くなるという問題がある。
【0006】
また、剛体プレスによる圧着方法は、加圧した時に金型に歪みを生じるので、上型と下型との作用位置によって力の加わり方が異なることになり、加圧力の不均一を生じ易くなり、これまた層剥れの原因になっている。
【0007】
さらに、剛体プレスで圧着すると、焼成後のチップがほぼ完全な直方体になるので、これに外部電極を形成すると外部電極の厚み分だけ直方体から突出するようになるから、基板への実装性が低下するという問題もある。
【0008】
この発明者は、このような問題点を解消する加圧成形体製造装置として、凹陥部を有する圧力容器本体と、前記凹陥部に密嵌される突出部を備えた蓋部材と、前記凹陥部に張設され、突出部側に形成されたところの、積層シートを収容する積層シートを収容する積層シート収容空間と圧力媒体収容空間とに区画する弾性部材と、加圧成形時に突出部が凹陥部から飛び出ることがないように蓋部材を規制あるいは固定する固定部材とを備えてなる加圧成形体製造装置について検討し、その改良を鋭意行っている。なお、この従来技術の欄において以下に説明する加圧成形体製造装置は、この出願時において未だ公知になっていない。
【0009】
この加圧成形体製造装置においては、前記積層シート収容空間内に複数のグリーンシートからなる積層シートを収容し、前記圧力媒体収容空間内に圧力媒体を圧入することにより、前記弾性部材と突出部の前記弾性部材に対面する面とで前記積層シートが加圧され、所定時間の加圧の後に積層体が形成される。
【0010】
このような加圧成形体製造装置で製造される積層体の厚みは、その一例を挙げると、1〜5mmであり、積層体の一辺の長さは50〜300mmである。したがって、このような大きさの積層体を製造するための前記凹陥部の直径は、装置規模により変化するものの、多くの場合、7〜50cmである。またその凹陥部の深さは1〜7cmである。このような規模の凹陥部に密嵌される突出部を備えた蓋部材の外径は通常10〜70cmである。この蓋部材は、片持ち状態で支持され、しかもこの蓋部材は支持部材を中心にして前記圧力容器本体の開口部上方からそれを退避した位置へと、またその逆方向に回動することができるようになっている。
【0011】
蓋部材が片持ち状態で支持されているから、蓋部材はごくわずかに傾斜した状態になることが多い。片持ち状態で支持されることによりごくわずかに傾斜した状態となっている蓋部材を下降させて、突出部を凹陥部内に挿入しようとすると、突出部が円滑に凹陥部内に挿入されず、突出部の縁が凹陥部の内周面にぶつかることが多々あった。突出部の縁が凹陥部の内周面にぶつかったまま無理に突出部を凹陥部内に挿入すると凹陥部の内周面に傷がついて、凹陥部に突出部を装着したときの密嵌性が損なわれると言う問題を生じる。
【0012】
また、凹陥部内に突出部を装着する場合、凹陥部内の空気の逃げ場がないので、凹陥部内の空気が突出部の挿入により圧縮されることになる。この圧縮空気の抵抗が大きくて、突出部を凹陥部内に完全に挿入するのに相当の力を要し、その分装置の大型化を余儀なくされる。凹陥部内に突出部を完全に挿入し終えたとしても、次に凹陥部から突出部を引き抜くときに、突出部の引き抜きにより凹陥部内が減圧になるから、突出部の引き抜きが非常に困難になる。
【0013】
凹陥部内に圧力媒体収容空間と積層シート収容空間とを形成するために凹陥部内に弾性部材が張設されている場合に、凹陥部内から突出部を引き抜くときに、積層シート収容空間内が減圧になることと、圧力媒体収容空間内に収容されている圧力媒体に残圧があることとによって、弾性部材が積層シート収容空間側に膨れ上がり、この膨れ上がりによって弾性部材がしばしば亀裂してしまうことがある。この凹陥部内から突出部を引き抜く毎に弾性部材が亀裂を生じると、引き続いて積層体を製造するために、破損した弾性部材を凹陥部内から取りはずし、新たな弾性部材を凹陥部内に張設し直さねばならない。したがって、弾性部材の亀裂は、次々と積層体を製造しようとする場合には、作業の大幅な遅延の原因になる。
【0014】
このようなことから、この発明者らは、この種の加圧成形体製造装置においては、蓋部材における突出部を圧力容器本体における凹陥部内への装着および脱着を容易にするために、積層シート収容空間内を減圧にすることができるように蓋部材に気体導入排出手段を設ける工夫を行った。この気体導入排出手段は、具体的には、蓋部材における突出部を圧力容器本体における凹陥部内に装着する際、あるいは装着した後に、積層シート収容空間内の気体を排気することができるように蓋部材に形成された手段である。この気体導入排出手段の具体的な一例としては、気体を圧送することのできる気体送出ポンプ、気体送出ポンプから送出される気体を素材収容空間内に導入し、素材収容空間内の気体を排出するように形成された気体導入排出路、および素材収容空間内の気体を吸引する吸引ポンプ等を備えてなる。
【0015】
この気体導入排出路を通じて積層シート収容空間内の圧力を減少させつつ、突出部材を凹陥部内に装着させようとすると、その装着が非常に円滑に行うことができ、また、この気体導入排出路を通じで積層シート収容空間内の圧力を増加させつつ、凹陥部に装着された突出部を脱着しようとすると、その脱着が非常に円滑に行われることができる。この気体導入排出路は、前述のように、蓋部材における突出部を圧力容器本体における凹陥部に装着し、あるいは脱着するときにのみ有用であるのではなく、加圧成形処理に際しても有用である。
【0016】
つまり、加圧成形の際に、加圧積層シートから加熱により発生するガスを前記気体導入排出路から除去することができるので、得られる積層体にガス発生による気泡痕やボイドの発生がなく、非常に良好な積層体が得られるはずである。
【0017】
ところが、この発明者らにより開発途上にある加圧成形体製造装置においては、加圧成形時に、加圧により膨れ上がった弾性部材が気体導入排出手段による気体排気を疎外することのあることが、判明した。
【0018】
この発明は前記事情に基づいて完成された。
【0019】
すなわち、この発明の目的は、前記問題点を解決することにある。
【0020】
この発明の目的は、装置トラブルを起こすことなく、加圧成形体例えば積層体の製造を迅速にしかも繰り返して行うことのできる加圧成形体製造装置を提供することにある。
【0021】
この発明の目的は、圧力容器本体における凹陥部つまり素材収容空間内に蓋部材の突出部を装着し、あるいは脱着する際にトラブルを生じることがなく、前記凹陥部への蓋部材の装着および脱着を容易かつ円滑に行うことのできる加圧成形体製造装置を提供することにある。
【0022】
この発明の目的は、前記素材収容空間内に蓋部材の突出部を装着するに当たり、あるいは素材収容空間内に蓋部材の突出部を装着してから、素材収容空間内を円滑に減圧状態にすることのできる加圧成形体製造装置を提供することにある。
【0023】
この発明の目的は、素材収容空間内に蓋部材の突出部を装着してから素材収容空間内を減圧状態にしても、素材収容空間内に設けられた弾性部材の破損を生じることなく、しかもボイドや気泡などの傷のない積層体を製造することのできる加圧成形体製造装置を提供することにある。
【0024】
【前記課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための加圧成形体製造装置は、素材収容空間と圧力媒体収容空間とを備えてなり、かつ前記素材収容空間と圧力媒体収容空間とを隔絶し、圧力媒体収容空間内に圧入された圧力媒体の圧力を素材収容空間内に配置された素材に伝達する弾性部材を有する圧力伝達手段を備えてなる圧力容器本体と、
前記圧力容器本体内を加熱する加熱手段と、
前記素材収容空間に挿入される突出部、および前記素材収容空間内に圧入気体を導入し、かつ排出する気体導入排出手段を備えてなる蓋部材と、
前記素材収容空間内を気体導入排出手段により減圧にするときに、前記素材収容空間に収容された素材の前記圧力伝達手段に向かう面と、前記圧力伝達手段の前記素材収容空間に向かう面との間に気体の排出を可能にする空間を確保し、素材収容空間内の気体を前記気体導入排出手段により排出可能にする通気確保手段と、
素材の加圧成形時に圧力容器本体に装着された蓋部材を、前記素材収容空間内から突出部が突出不可能に、固定する固定手段とを備えてなることを特徴とする。
【0025】
前記加圧成形体製造装置の一態様として、圧力伝達手段が、前記素材収容空間と圧力媒体収容空間とを隔てて配設され、かつ多数の貫通穴を備えてなる支持部材と、前記支持部材の素材収容空間側の表面に配設されたシール部材と、前記シール部材の表面に配設された弾性部材とを備えてなるところの、加圧成形体製造装置があり、
前記加圧成形体製造装置の一態様として、前記通気確保手段が、前記圧力伝達手段の前記素材収容空間に向かう面に形成された溝であるところの、加圧成形体製造装置があり、
前記加圧成形体製造装置の一態様として、前記通気確保手段が、前記圧力伝達手段の前記素材収容空間に向かう面であって、素材の載置される領域以外の領域に形成された溝であるところの、加圧成形体製造装置があり、
前記加圧成形体製造装置の一態様として、前記通気確保手段が、素材を収容可能とした開口空間部を備えて前記素材収容空間内で前記圧力伝達手段の上面に配置可能に形成されたスペーサの蓋部材に向かう面に形成された溝であるところの、加圧成形体製造装置があり、
前記加圧成形体製造装置の一態様として、前記通気確保手段が、素材を収容可能とした開口空間部を備えて前記素材収容空間内で前記圧力伝達手段の上面に配置可能に形成されたスペーサの蓋部材に向かう面に設けられた網部材であるところの、加圧成形体製造装置がある。
【0026】
【作用】
この加圧成形体製造装置を用いて以下のようにして加圧成形体例えば積層体が製造される。
【0027】
素材収容空間における圧力伝達手段に素材を載置する。次いで素材収容空間に蓋部材における突出部を挿入する。この突出部を挿入する際に、気体導入排出手段により圧力伝達手段と蓋部材の突出部で挟まれてなる素材収容空間内を排気する。この排気により素材収容空間内が減圧状態になるので、大気圧に押された蓋部材における突出部が素材収容空間内に円滑に、迅速にしかも完全に挿入される。
【0028】
蓋部材における突出部が素材収容空間内に装着された後において、前記気体導入排出手段により素材収容空間内の気体を排気し続ける場合に、前記圧力伝達手段における弾性部材が圧力媒体収容空間内の圧力が素材収容空間内の減圧度と同じ減圧状態ではないから、むしろ、圧力媒体収容空間内に圧力媒体が圧入されていない状態では少なくとも1気圧の圧力がかかっているから、圧力伝達手段における弾性部材が圧力媒体収容空間側の圧力に押されて前記弾性部材が突出部に向かって膨満する。
【0029】
ところで、素材を収容し、これを所定の箇所に配置してなる素材収容空間内においては、後述するスペーサを設けていない場合と、スペーサを設ける場合とがある。
【0030】
いずれの場合においても、前記圧力伝達手段として、前記素材収容空間と圧力媒体収容空間とを隔てて配設され、かつ多数の貫通穴を備えてなる支持部材と、前記支持部材の素材収容空間側の表面に配設されたシール部材と、前記シール部材の表面に配設された弾性部材とを備えてなる構成を採用することができる。
【0031】
前記支持部材が存在すると、素材は確固として支持され、シール部材があるので素材収容空間と圧力媒体収容空間とが液密に隔絶され、圧力媒体収容空間内の圧力媒体が素材収容空間内に漏洩することがない。圧力媒体収容空間内に圧入された加圧媒体の圧力が前記支持部材における多数の貫通穴を通じて、前記シール部材および弾性部材に加わり、このシール部材および弾性部材を介して素材に圧力媒体の圧力が伝達される。
【0032】
さて、素材収容空間内にスペーサを設けていないときには、突出部を素材収容空間内に装着した場合に、素材が配置されていない前記圧力伝達手段の領域と突出部との間に空間が存在する。
【0033】
このとき、蓋部材を素材収容空間内に装着する場合に、気体導入排出手段により素材収容空間内の気体を排気すると、弾性部材が突出部に向かって膨満し、弾性部材が突出部材に接触することになっても、この発明に係る加圧成形体製造装置においては、通気確保手段が設けられているので、気体導入排出手段による素材収容空間内の気体排気が阻害されることがない。
【0034】
この通気確保手段としては、前記弾性部材の素材空間に向かう面に設けられた溝を挙げることができる。弾性部材の素材空間に向かう面に溝が設けられていると、気体導入排出手段により素材空間内が減圧になった場合に、膨満する弾性部材が突出部に接触しても、弾性部材における溝を通じて、素材の存在する部位の気体が気体導入排出手段により排気される。この状態のまま、圧力媒体収容空間内に圧力媒体を圧入することにより、素材を圧力伝達部材と突出部とで加圧しても、加圧成形時に加熱手段による加熱により発生する素材からのガスが、前記溝を通して気体導入排出手段により、排気される。したがって、加圧成形時に発生するガスが残留することにより発生するボイドのない積層体が製造される。
【0035】
積層体を加圧成形するとき、圧力媒体収容空間内に圧入される圧力媒体の高圧力により、素材収容空間内に装着されている突出部が素材収容空間内から押し出される力を受けるのであるが、固定手段により蓋部材が固定された状態になっているので、素材収容空間から突出部が押し出され、これによって蓋部材が素材収容空間から脱出することが、防止される。また見方を変えると、この固定手段が存在するから、圧力媒体収容空間ない圧入された圧力媒体の圧力を伝達する圧力伝達部材と、固定手段で規制された蓋部材における突出部とで、素材が加圧成形され、積層体が製造されるのである。
【0036】
加熱手段により素材空間内に配置された素材が加熱され、また圧力媒体収容空間内に圧入される圧力媒体による加圧力および固定手段により固定された蓋部材による加圧力によって、素材が加熱加圧されて加圧成形体が形成される。
【0037】
素材収容空間内にスペーサを設ける場合、このスペーサは圧力伝達手段の素材収容空間に向かう面に配置され、換言すると、素材収容空間内において、圧力伝達手段と蓋部材の突出部とに挟まれた状態で配置されるので、加圧成形時に、圧力伝達手段における弾性部材全体の膨満を有効に防止し、しかも素材の加圧を効率的に行うことができるようになる。
【0038】
この発明においては、通気確保手段として、このスペーサの蓋部材における突出部に向かう面に設けられた溝で、構成することができる。
【0039】
スペーサの表面に溝を設けておくと、蓋部材を素材収容空間内に装着するとき、および素材を加圧成形するときに、気体導入排出手段で、素材収容空間内を高減圧にしても、素材収容空間内の排気状態を有効に確保することができる。
【0040】
また、通気確保手段として、このスペーサの蓋部材における突出部に向かう面に配置された網部材で構成することもできる。
【0041】
網部材においても前記溝と同様の作用効果を奏することができる。
【0042】
【実施例】
以下にこの発明の一実施例を図面を用いて説明する。この発明は以下の実施例に限定されず。この発明の要旨の範囲内で適宜に設計変更をすることができることは言うまでもない。
【0043】
(実施例1)
図1に示すように、加圧成形体製造装置は、圧力容器本体1と、蓋部材2と、弾性部材3と、スペーサ4と、固定手段であるヨーク5とを有する。
【0044】
圧力容器本体1の外径は、その高さに比してはるかに大きく、全体として円盤状である。もっとも、この圧力容器本体1は円盤状である必要は特になく、設計上四角盤状であっても良い。
【0045】
圧力容器本体1は、第1本体6を第2本体7の上に重ね合わせて構成され、内部に凹陥部を有する。
【0046】
図2に示すように、第1本体6は内部に円盤状空間8を備え、上端および下端に開口部を有する。
【0047】
図2に示すように、第2本体7は、第1本体6を積み重ねることができるように形成され、しかも前記第1本体6の円盤状空間8と同じ直径を有する開口部を備えた凹部9を有する。この第2本体7に第1本体6を積み重ねたときに第1本体6の下端面に接触する第2本体7の上端面には、図2に示すように、凹部9側に向かって傾斜し、凹部9を囲繞するように環状に形成された環状テーパ面10と、その環状テーパ面10の下端から水平に前記凹部9に連続するように環状に形成された環状水平面11とが設けられている。この第2本体7の上端に第1本体6の下端を乗せるように第2本体7に第1本体6を積み重ねると、図2に示すように、その縦断面において、第1本体6の下端面とその下端面に対して平行になっている環状水平面11、および環状テーパ面10とで間隙が形成される。第1本体6の下端面と第2本体7の上端に形成された前記環状テーパ面10とで、縦断面がくさび型になったバックアップリング装着部12が形成され、第1本体6の下端面と第2本体7の上端に形成された前記環状水平面11とでシール部材装着部13が形成される。
【0048】
前記バックアップリング装着部12には断面くさび型のバックアップリング14が装着される。このくさび型のバックアップリング14は、加圧成形時に塑性変形可能な、あるいは弾性変形可能な材質で形成されていれば特にその材質に制限があるわけではない。断面くさび型のバックアップリング14の材質として、各種の熱可塑性樹脂、各種の金属、各種のゴムなどを挙げることができる。そして、加圧力に応じてその適正な材質が適宜に選択される。この実施例においては金属製のバックアップリングが使用される。
【0049】
前記シール部材装着部13には弾性部材15Aの周縁部が装着される。シール部材15としては、弾性および耐圧性を有し、加圧媒体による圧力を伝達可能な材質であれば特に制限がないのであるが、通常はゴム製である。
【0050】
このシール部材15は、その平面形状が円形であり、その周縁部が裏側に折り返されてなる。そしてそのシール部材15の折り返し部分に、円盤状の支持部材16の縁が装着されることにより、シール部材15と支持部材16とが一体になっている。この支持部材16は、多数の開口部17を有する。この支持部材16は、シール部材15を圧力容器本体1内の凹陥部に張設したときにその中央部が下方に垂れ下がり、あるいは下方に湾曲するのを防止し、圧力媒体収容空間18に圧入された圧力媒体19の圧力を前記開口部17を介してシール部材15に伝達するために設けられる。
【0051】
支持部材16を一体に有するこのシール部材15はその周縁部を前記シール部材装着部13に装着することにより、圧力容器本体1内に張設される。
【0052】
このシール部材15の上面には、更に弾性部材15Aが載置される。この弾性部材15Aは、弾性および耐圧性を有し、加圧媒体の圧力を伝達することのできる限りその材質に特に制限がなく、例えばゴムで形成することができる。
【0053】
弾性部材15Aは、図3および図4にも示すように、円盤状をなし、その上面に、すなわち後述する突出部28に向かう面に、この円盤状の弾性部材15Aの中心点から放射状に配列された溝15Bを有する。この溝15Bは、円盤状の弾性部材15Aの周縁部からの所定の長さLを有する。換言すると、この弾性部材15Aの上面に、加圧成形する素材である積層シート24を載置する領域以外の領域に形成されるように前記長さLが決定されている。
【0054】
なお、この発明においては、前記支持部材16、シール部材15および弾性部材15Aにより圧力伝達手段が形成されているが、場合によっては、前記弾性部材15Aを省略して、前記支持部材16およびシール部材15とで圧力伝達手段が形成されることもある。この場合、前記シール部材15がこの発明における圧力伝達手段における弾性部材となる。
【0055】
圧力伝達手段である支持部材16、シール部材15および弾性部材15Aを設けることにより、第1本体6と第2本体7とで形成される圧力容器本体1における凹陥部が二分され、第2本体7の凹部9と弾性部材15Aとで圧力媒体収容空間18が形成され、第1本体6の円盤状空間8と弾性部材15Aとで素材収容空間20が形成される。
【0056】
図1に示すように、この圧力容器本体1には、第2本体7の凹部9の底面において開口する圧力媒体導入排出路21が設けられる。
【0057】
更に詳述すると、図1および図3に示すように、圧力容器本体1を構成する第2本体7には、その底面に開口する第1開口部22と第2本体7の外周面に開口する第2開口部23とを連絡する圧力媒体導入排出路21と、図5に示すように、圧力容器本体1の外部に設置された、たとえば圧力媒体貯留槽21Aと、圧力媒体貯留槽21Aから第2開口部23へ圧力媒体を導入する配管P、およびこの配管Pの途中に設けられ、圧力媒体19を前記圧力媒体導入排出路21に圧送し、および強制排出する第1ポンプ21Bと、前記配管Pの途中で分岐し、前記圧力媒体貯留槽21Aに連絡する第2配管P2 と、この第2配管P2 の途中に設けられたバルブVと第2ポンプ21Cとを備えた圧力媒体供給手段21Eにより、圧力媒体収容空間18内に圧力媒体19が圧入されるようになっている。
【0058】
この実施例においては、素材収容空間20にはスペーサが配置されていない。
【0059】
蓋部材2は、図1および図6に示すように、蓋部材本体29と突出部28とを有する。
【0060】
蓋部材本体29は、平面が円盤状である。蓋部材本体29の上面における所定周縁部で、蓋部材本体29は支持体30に結合される。この支持体30は、更に垂直に立設する支持棒体31に、ベアリング32を介して回動可能に保持される。この支持棒体31は、これを支持する基礎部材33に立設する。この基礎部材33は、シリンダー34に装着されたプランジャー35に結合され、プランジャー35の垂直昇降により上下動可能になっている。また、この基礎部材33は、垂直に立設するレール(以下において垂直レール36と称する。)に跨座するガイド37を有する。
【0061】
このような構造により、前記プランジャー35が上昇あるいは下降すると、ガイド37に案内されて基礎部材33が昇降し、基礎部材33の昇降により蓋部材本体29が昇降するようになっている。蓋部材本体29は、手動操作により、水平面内で支持棒体31を中心にして回動することができるようにもなっている。なお、この蓋部材本体29は手動により水平面内で回動することができるのであるが、モータなどの駆動手段を設けることにより、自動的かつ電動的に回動させることができるようにしても良い。
【0062】
蓋部材本体29の上面は平らに形成されている。蓋部材本体29の上面が平らであると、後述するヨーク5で蓋部材2を固定するのに都合が良い。
【0063】
突出部28は、蓋部材本体29の下面に設けられ、円盤状をなす。突出部28の直径、厚み等の寸法は、突出部28を圧力容器本体1の凹陥部に挿入したときに、突出部28の下面、凹陥部の内周面と弾性部材15Aおよびシール部材15とにより形成される素材収容空間20が、突出部28の外周面に設けられたOリング38と相俟って気密構造になるように、しかも、突出部28の下面が、シール部材15上に配置された積層シート24の上面に接するように、他の部材の寸法等を考慮して、適宜に設計される。なお、この突出部28を素材収容空間20に挿入した場合、この突出部28の外周面と第1本体6における内周面とでは極めてわずかのクリアランス(加工精度によってはミクロンオーダのクリアランス)が生じている。
【0064】
この実施例においては、図1および図3に示すように、突出部28の外周面にOリング38が装着されていて、突出部28を圧力容器本体1の凹陥部に挿入したときにおける、突出部28の下面、凹陥部の内周面およびシール部材15により形成される素材収容空間20の気密性が確保されている。
【0065】
図1および図3に示すように、突出部28には、第1本体6の内周面に向かうように突出部28の周面において開口する第3開口部39と蓋部材本体29の外周面に開口する第4開口部40とを連絡する気体導入排出路41が設けられ、この気体導入排出路41には、前記第4開口部40に接続された配管P1 、その配管P1 の一端に接続されたところの、気体を送り出し、また気体を排出することのできるポンプ(図示せず。)を備えた気体供給排出装置(図示せず。)が結合されている。この実施例では、気体導入排出手段が、気体供給排出装置および気体導入排出路41を有して形成される。
【0066】
前記第3開口部39は、突出部28が素材収容空間20内に挿入されたときに、素材収容空間20内に装着したスペーサ4における環状溝26に臨むように開設される。
【0067】
図1および図7に示すように、前記ヨーク5は、垂直に立設された一対の垂直部42と、その垂直部42の上部および下部で水平に架け渡すように平行に設けられた上部水平部43および下部水平部44とを有し、これら一対の垂直部42、上部水平部43および下部水平部44は一体になっている。この上部水平部43および下部水平部44と一対の垂直部42で形成される開口部(以下においてこの開口部を作用開口部45と称する。)は、蓋部材2を装着した圧力容器本体1を収容するに必要な大きさを有する。換言すると、蓋部材2を装着した圧力容器本体1をこの作用開口部45内に収容した場合に、上部水平部43の下面が蓋部材2の上面よりわずかのクリアランスをもって高い位置にあり、下部水平部44の上面が圧力容器本体1の下面に位置し、一対の垂直部42の相互の間隔が前記圧力容器本体1の直径よりも十分に大きな長さになるように設計される。なお、圧力容器本体1は、適宜の手段例えばフレーム(図示せず。)などによって支持される。
【0068】
このヨーク5は、図7に示すように、たとえば水平に配置された一対のレール(以下において水平レール46と称する。)上を跨座して摺動するガイド47を備えることなどによって水平移動自在に構成される。そして、圧力容器本体1の素材収容空間20内に積層シート24を配置するときには、圧力容器本体1から蓋部材2を取り外す必要から、この圧力容器本体1から退避した位置にヨーク5が待機し、加圧成形をするときにはこのヨーク5の作用開口部45に、蓋部材2を装着した圧力容器本体1を収容するようにヨーク5が移動する。このヨーク5の駆動源としては、特に制限がないのであるが、この実施例においては、シリンダー48が使用される。このヨーク5の駆動源として、電動モータを使用しても差し支えない。
【0069】
このヨーク5には、加熱手段が設けられる。加熱手段としては、圧力容器本体1内に収容された積層シート24を加圧操作する間に、この積層シート24を加熱することができるように構成される限り、その構造には特に制限がない。この実施例においては、ヨーク5における一対の垂直部42、上部水平部43および下部水平部44に電熱ヒータ(図示せず。)を設けることにより加熱手段が構成される。
【0070】
なお、図7において、49は装置全体を支持し、固定するための基礎フレームであり、50は装置全体の動作を制御し、また動作制御を支持するため操作ボックスである。
【0071】
以上構成の加圧成形体製造装置を用いた積層体の製造について以下に説明する。
【0072】
まず、初期状態としてヨーク5は圧力容器本体1から退避した位置に待機している。
【0073】
図7に示すように、圧力容器本体1の上面から蓋部材2を取り外しておくことにより、圧力容器本体1の凹陥部を開口し、露出させておく。次いで、圧力容器本体1の素材収容空間20におけるシール部材15上に弾性部材15A上に安置する。このとき、シール部材15は、円盤状の支持部材16と一体になっているので、シール部材15上に弾性部材15Aを安置しても、シール部材15が下方に下がることもなく、確固としてシール部材15上に安置される。次いで、弾性部材15A上に積層シート24を挿入する。
【0074】
ここで、積層シート24は、表面に導電性層を設けたセラミック製のグリーンシートを所定枚数重ねてなり、多くの場合、複数枚のグリーンシートを圧着するなどして、各グリーンシートが分離しないように処理されている。もっとも、複数のグリーンシートを分離しないように仮圧着をせずに、それぞれ分離して存在するグリーンシートを一枚一枚弾性部材15A上に配置しても良い。
【0075】
このグリーンシートは、通常、セラミックスとバインダーとを有する坏土を所定の厚みに成形してから所定の大きさに切り出すなどして得られた所定形状の(多くの場合は、方形あるいは長方形である。)セラミックスシートの表面に、導電性塗料などで導電性層を形成してなる。
【0076】
また別の態様としての積層シート24として、セラミックス製の薄いシートを積み重ね、必要に応じて軽く押圧することによりシート相互を接着させてなり、あるいは必要に応じて軽く焼成することによりシート相互を結着させてなり、あるいはシートの形成に使用されたバインダーによってシート相互が軽く接着されてなる積層物を挙げることができる。
【0077】
スペーサ4の開口部25内に積層シート24を収容した後に、蓋部材2を回動して蓋部材2を圧力容器本体1の上方に位置させる。
【0078】
シリンダーを駆動することによりプランジャー35を下降させ、これによって蓋部材2を下降させる。このとき、気体供給排出手段を駆動することにより、気体導入排出路41を通じて、気体を吸引排気する。突出部28材の下端部が圧力容器本体1の凹陥部に嵌め込まれると、突出部28の下端面、第1本体6の内周面および弾性部材15Aで形成される素材収容空間20内の気体が、気体導入排出路41を通じて排気される。素材収容空間20内の気体が排気されると、素材収容空間20内が減圧になるので、蓋部材2が大気圧に押圧されて、直ちに突出部28が圧力容器本体1の凹陥部内に引き込まれ、突出部28の凹陥部内への装着が直ちに完了する。
【0079】
またこのとき、素材収容空間8内が減圧になることにより弾性部材15Aが、突出部28に向かって膨満し、場合によっては弾性部材15Aの上表面が突出部28の下面に接着することすらある。その場合、弾性部材15Aの上面には溝15Bが形成されているから、例えば弾性部材15Aの上表面が突出部28の下面に接着することがあっても、この溝15Bを通じて素材収容空間8内全体にわたって気体が円滑に支障なく排気される。
【0080】
さらに、気体導入排出路41の第3開口部39が突出部28の外周面に開口しているので、膨満する弾性部材15Aが突出部28の下面に接着することがあったとしても、素材収容空間内を有効に排気することができる。換言すると、第3開口部38が突出部28の下面に開口しているとすれば、膨満する弾性部材15Aが第3開口部38を閉塞したであろう不都合が、突出部38の周面に第3開口部39を開口することにより解消される。
【0081】
突出部28の凹陥部内への装着が完了した後においても、気体導入排出路41を通じて素材収容空間20内の気体を排気し続ける。
【0082】
気体を排気し続ける場合、前述したように、弾性部材15Aの上表面が突出部28の下面に接着していたとしても、弾性部材15Aの上面に形成してなる溝15Bにより、素材収容空間8内の気体が円滑に排気される。
【0083】
次に、ヨーク5を移動させて、ヨーク5の作用開口部45に、蓋部材2を装着した圧力容器本体1を配置する。この配置状態では、ヨーク5における上部水平部43の下面が蓋部材2の上面に殆ど接する位に近接した状態にあり、またヨーク5の下部水平部44の上面は圧力容器本体1の下面に殆ど接する位に近接した状態にある。
【0084】
この状態で次のようにして、積層シート24の加圧成形を行う。
【0085】
圧力媒体供給手段により圧力媒体導入排出路21を介して圧力媒体収容空間18内に圧力媒体19を圧入する。圧力媒体収容空間18内の圧力が所定圧力に到達すると、圧力媒体供給手段による圧力媒体収容空間18内への圧力媒体19の圧入を停止する。圧力媒体19の所定圧力は、支持部材16における開口部17を通して弾性部材15Aに印加される。圧力媒体19の所定圧力は、弾性部材15A及び積層シート24を介して蓋部材2を押し上げるように作用するが、蓋部材2は、ヨーク5に規制されているので上昇することができない。したがって、圧力媒体19の所定圧力により、積層シート24は、弾性部材15Aと蓋部材2、特に突出部28の下端面とで加圧されることになる。この加圧中において、前述したように、加熱されたヨーク5の熱が、蓋部材2及び圧力容器本体1に伝導し、これによって積層シート24が加熱される。
【0086】
積層シート24の加熱により、積層シート24中からガスが発生することがある。前述したように、気体供給排出装置により素材収容空間20内の気体を排気しているので、発生したガスは、弾性部材15Aの上表面に形成された溝15Bおよび気体導入排出路41を通じて系外に排出される。したがって、加熱加圧中に積層シート24内で発生するガスが残留することによりボイドや亀裂などを有する積層体の不良品発生が防止される。
【0087】
このような加圧加熱処理をすることにより、積層シート24が一体に圧着して積層体が形成される。
【0088】
所定時間の加圧加熱処理が終了すると、シリンダー48を再び駆動することにより、ヨーク5を退避させる。ヨーク5の退避により蓋部材2の上面の規制がなくなる。
【0089】
次いで、圧力媒体供給装置を駆動することにより、圧力媒体導入排出路21を通じて圧力媒体収容空間18内に圧入されている圧力媒体19を、圧力媒体収容空間18内の圧力が常圧に戻るまで、排出する。この圧力媒体19の排出と共に、あるいは圧力媒体収容空間18内の圧力が常圧に戻ってから、気体供給排出装置を駆動することにより、素材収容空間20内に気体を圧入する。詳述すると、気体供給排出装置により供給される気体が、気体導入排出路41、環状溝26および直線溝27を通じて、積層体の収容されている空間に導入される。
【0090】
この気体の導入により、素材収容空間20側に膨満していた弾性部材15Aが支持部材16側に押し戻され、もとの平坦な上平面を有するように、元に戻る。
【0091】
また、シリンダー34を駆動することにより蓋部材2を上方に持ち上げるようにすると、素材収容空間20内が気体により加圧状態になっているので、極めて簡単に突出部28が凹陥部内から抜け出て、蓋部材2の脱着が短時間の内に完了する。この突出部28が凹陥部内から抜け出る際に、凹陥部内には気体が圧入されているので、突出部28が抜け出るときに弾性部材15Aが凹陥部側に引っ張られることもないので、弾性部材15Aの亀裂を生じることもない。
【0092】
蓋部材2を取り外すと、スペーサ4および積層体が露出するので、これらを取り出す。
【0093】
スペーサ4および積層体を凹陥部内から取り出した状態においては、弾性部材15Aの凹陥部側平面が膨れ上がっていず、平らな平面状態になっており、また亀裂等の損傷もないので、直ちに次の積層体の製造工程が開始される。
【0094】
以上に説明したように、上記実施例の加圧成形体製造装置には、(1) 蓋部材を圧力容器本体に装着するのが容易であり、短時間の内に(瞬時と言っても良い。)突出部を凹陥部内に挿入することができ、(2) 突出部を凹陥部内に挿入する際、片持ちの蓋部材によりわずかに蓋部材が傾斜していても、凹陥部の内周面を傷つけることがなく、(3) 弾性部材の上表面に溝を設けているので、素材収容空間内を減圧にすることにより弾性部材が膨満して弾性部材の上表面が蓋部材における突出部の下面に接着するようなことがあったとしても、素材を収容した空間を有効に所定の減圧度にすることができ、(4) 加圧成形の際に加熱により発生するガスが、弾性部材に設けた溝を通じて除去されるので、ボイドや気泡のない積層体を製造することができ、(5) 加圧操作の後に蓋部材を容易に脱着することができ、(6) 蓋部材における突出部を凹陥部から引き抜くときに、弾性部材を引っ張ることにより弾性部材を破損すると言う不都合がなく、(7) 加圧操作の終了後には、弾性部材の加圧操作による膨れが解消しているので、弾性部材を交換することなく次の積層シートの加圧成形操作を開始することができ、したがって、多数の積層シートを次々に加圧処理をして多数の積層体を迅速に製造することができるなどの数々の優れたメリットがある。
【0095】
(実施例2)
この実施例に係る加圧成形体製造装置は、前記実施例1に係る装置とは異なり、蓋部材が下方に、圧力容器本体が上方に位置する態様を有する。
【0096】
図8に示すように、加圧成形体製造装置は、圧力容器本体1と、蓋部材2と、弾性部材3と、固定手段であるヨーク5とを有する。
【0097】
圧力容器本体1の形状は前記実施例1に係る加圧成形体製造装置における圧力容器本体1と同様である。ただし、この実施例においては、圧力容器本体における凹陥部の開口部は下方に向かって開口していることが前記実施例1におけるのと大きく異なる。この圧力容器本体1は、前記実施例1におけるのと同様の第1本体6に第2本体7が積み重ねられた構成となっている。
【0098】
第1本体6および第2本体7の構成は、前記実施例1におけるのと同様である。また、第2本体7に設けられた環状テーパ面および環状水平面、ならびにバックアップリング装着部および弾性部材装着部についても前記実施例1におけるのと同様である。前記バックアップリング装着部に設けられる断面くさび型のリングについても前記実施例1におけるのと同様である。
【0099】
ただし、この実施例2における圧力伝達手段も、前記実施例1におけるのと同様に、支持部材、シール部材および弾性部材にて構成される。その構成は、前記実施例1におけるのと同様である。もっとも、シール部材の端縁部に形成されたシール部材装着部に支持部材の端縁部が装着されることにより、シール部材が支持部材の下面に張りつけられ、シール部材の下面に弾性部材が装着されている。これを更に簡単に言うと、前記実施例1における圧力伝達手段は、支持部材の上面にシール部材が張設され、シール部材の上面に弾性部材が設けられてなる構造を有するが、実施例2における圧力伝達手段は、支持部材の下面にシール部材が張設され、シール部材の下面に弾性部材が設けられてなる構造を有するのである。また、前記実施例1においては、通気確保手段である溝が弾性部材の上表面に形成されているが、この実施例2においては、弾性部材の下表面に溝が形成されている。
【0100】
なお、図8においては圧力伝達手段を具体的に描いていないけれど、図2および図3を参照することにより、容易にその構造を理解することができる。
【0101】
前記弾性部材の材質等に関しては、前記実施例1におけるのと同様である。
【0102】
この弾性部材が圧力容器本体内の凹陥部内に張設されることにより、第1本体6と第2本体7とで形成される圧力容器本体1における凹陥部が二分され、第2本体7の凹部9と弾性部材15Aとで圧力媒体収容空間18が形成され、第1本体6の円盤状空間8と弾性部材15Aとで素材収容空間20が形成される。
【0103】
蓋部材2は、図8および図9に示すように、蓋部材本体29と突出部28とを有し、蓋部材本体29の上面に突出部28が突出形成されていることが、前記実施例1における蓋部材と相違する。
【0104】
その余の点に関し、この蓋部材2は前記実施例1におけるのと同様である。
【0105】
ヨーク5は、前記実施例1におけるのと同様の構成を有する。
【0106】
簡単かつ大まかに言うと、この実施例2に係る加圧成形体製造装置が実施例1に係る加圧成形体製造装置と大きく異なるところは、蓋部材が、蓋部材本体とその上面に突出形成された突出部とを備え、圧力容器本体が、その凹陥部の開口部が下に向けて開口するように設置固定されてなことである。
【0107】
図8、9および図10において、前記実施例1における各部と同様の部材については前記実施例1におけるのと同じ番号を付してある。
【0108】
以上構成の加圧成形体製造装置の作用を以下に説明する。
【0109】
まず、初期状態としてヨーク5は圧力容器本体1から退避した位置に待機している。
【0110】
圧力容器本体1の下面から蓋部材2を取り外しておき、蓋部材2を圧力容器本体1の下方から退避した位置に回動しておくことにより、圧力容器本体1の凹陥部を開口し、露出させておく。次いで、突出部28の上面に積層シート24を安置する。この突出部28の上面に積層シート24を安置する操作は、前記実施例1における積層シート24の安置操作に比べて非常に容易である。窪んだ場所に複数枚の積層シート24を揃えてこれらを安置する場合と、平らなオープンの状態になった所に複数枚の積層シート24を安置する場合とを想起するとその理由を容易に理解することができる。
【0111】
突出部28を水平に回動して、圧力容器本体1の真下に位置させる。
【0112】
シリンダーを駆動することによりプランジャー35を上昇させ、これによって蓋部材2を上昇させる。このとき、気体供給排出手段を駆動することにより、気体導入排出路41を通じて、気体を吸引排気する。突出部28の下端部が圧力容器本体1の凹陥部に嵌め込まれると、突出部28の下端面、第1本体6の内周面および弾性部材15Aで形成される素材収容空間20内の気体が、気体導入排出路41を通じて排気される。素材収容空間20内の気体が排気されると、素材収容空間20内が減圧になるので、蓋部材2が大気圧に押圧されて、直ちに突出部28が圧力容器本体1の凹陥部内に引き込まれ、突出部28の凹陥部内への装着が直ちに完了する。
【0113】
突出部28が凹陥部内に挿入された状態においては、突出部28と、第1本体6の内周面と、弾性部材15Aを有する圧力伝達手段とで形成される空間が減圧になっているので、図10に示すように、膨満した弾性部材15Aの下面が突出部28の上面に接着することがある。弾性部材15Aの下面が突出部28の上面に接着したとしても、弾性部材15Aの下面に溝が形成されているので、この溝を通じて素材収容空間内の気体が有効に排気される。
【0114】
また、第3開口部38が突出部28の周側面に開口しているので、前記弾性部材15Aの下面が突出部38の上面に接着するとしても、素材収容空間内の排気になんらの支障も生じない。
【0115】
突出部28の凹陥部内への装着が完了した後においても、気体導入排出路41を通じて素材収容空間20内の気体を排気し続ける。このとき、弾性部材15Aの下面に溝が設けられているので、素材収容空間20内の排気を支障なく継続することができる。
【0116】
ヨーク5を移動させて、ヨーク5の作用開口部45に、蓋部材2を装着した圧力容器本体1を配置する。この配置状態では、ヨーク5における下部水平部44の上面が蓋部材2の下面に殆ど接する位に近接した状態にあり、またヨーク5の上部水平部43の下面は圧力容器本体1の上面に殆ど接する位に近接した状態にある。
【0117】
この状態で次のようにして、積層シート24の加圧成形を行う。
【0118】
圧力媒体供給手段により圧力媒体導入排出路21を介して圧力媒体収容空間18内に圧力媒体19を圧入する。圧力媒体収容空間18内の圧力が所定圧力に到達すると、圧力媒体供給手段による圧力媒体収容空間18内への圧力媒体19の圧入を停止する。圧力媒体19の所定圧力は、弾性部材15Aに印加される。図10に示すように、スペーサの存在しない部位では、弾性部材15Aは圧力媒体19により突出部28に向かって膨張し、突出部28と密着する。圧力媒体19の所定圧力は、弾性部材15A及び積層シート24を介して蓋部材2を押し下げるように作用するが、蓋部材2は、ヨーク5に規制されているので下降することができない。したがって、圧力媒体19の所定圧力により、積層シート24は、弾性部材15Aと蓋部材2、特に突出部28の上面とで加圧されることになる。この加圧中において、前述したように、加熱されたヨーク5の熱が、蓋部材2及び圧力容器本体1に伝導し、これによって積層シート24が加熱される。
【0119】
積層シート24の加熱により、積層シート24中からガスが発生することがある。前述したように、気体供給排出装置により素材収容空間20内の気体を排気しているので、また、弾性部材15Aの下面に溝を形成しているので、発生したガスは、溝15Bおよび気体導入排出路41を通じて系外に排出される。したがって、加熱加圧中に積層シート24内で発生するガスが残留することによりボイドや亀裂などを有する積層体の不良品発生が防止される。
【0120】
このような加圧加熱処理をすることにより、積層シート24が一体に圧着して積層体が形成される。
【0121】
所定時間の加圧加熱処理が終了すると、シリンダー48を再び駆動することにより、ヨーク5を退避させる。ヨーク5の退避により蓋部材2の上面の規制がなくなる。
【0122】
次いで、圧力媒体供給装置を駆動することにより、圧力媒体導入排出路21を通じて圧力媒体収容空間18内に圧入されている圧力媒体19を、圧力媒体収容空間18内の圧力が常圧に戻るまで、排出する。圧力媒体収容空間18内の圧力が常圧に戻ってから、好ましくはこの圧力媒体19の排出と共に、気体供給排出装置を駆動することにより、素材収容空間20内に気体を圧入する。詳述すると、気体供給排出装置により供給される気体が、気体導入排出路41および溝15Aを通じて、積層体の収容されているスペーサ4の開口部25内に導入される。
【0123】
この気体の導入により、弾性部材15Aにおける突出部28の上面に密着していた部分が支持部材16側に押し戻され、もとの平坦な状態になり、元に戻る。
【0124】
また、シリンダー34を駆動することにより蓋部材2を下方に下げるようにすると、素材収容空間20内が気体により加圧状態になっているので、極めて簡単に突出部28が凹陥部内から抜け出て、蓋部材2の脱着が短時間の内に完了する。この突出部28が凹陥部内から抜け出る際に、凹陥部内には気体が圧入されているので、突出部28が抜け出るときに弾性部材15Aが素材収容空間20側に引っ張られることもないので、弾性部材15Aの亀裂を生じることもない。
【0125】
蓋部材2を下降させて圧力容器本体1から取り外すと、積層体が露出するので、これらを取り出す。
【0126】
積層体を凹陥部内から取り出した状態においては、弾性部材15Aの凹陥部側平面が膨れ上がっていず、平らな平面状態になっており、また亀裂等の損傷もないので、直ちに次の積層体の製造工程が開始される。
【0127】
以上に説明したように、この加圧成形体製造装置には、(1) 蓋部材を圧力容器本体に装着するのが容易であり、短時間の内に(瞬時と言っても良い。)突出部を凹陥部内に挿入することができ、(2) 突出部を凹陥部内に挿入する際、片持ちの蓋部材によりわずかに蓋部材が傾斜していても、凹陥部の内周面を傷つけることがなく、(3) 弾性部材の下面に溝を設けているので、素材収容空間内を減圧に排気する際、弾性部材の膨満により排気が阻害されることがなく、(4) 加圧成形の際に加熱により発生するガスが前記溝を通じて除去されるので、ボイドや気泡のない積層体を製造することができ、(5) 加圧操作の後に蓋部材を容易に脱着することができ、(6) 蓋部材における突出部を凹陥部から引き抜くときに、弾性部材を引っ張ることにより弾性部材を破損すると言う不都合がなく、(7) 加圧操作の終了後には、弾性部材の加圧操作による膨れが解消しているので、弾性部材を交換することなく次の積層シートの加圧成形操作を開始することができ、したがって、多数の積層シートを次々に加圧処理をして多数の積層体を迅速に製造することができ、(8) 蓋部材における突出部の上面に、被加圧処理物である積層シートを載置する方式を採用しているので、前記実施例1におけるような凹陥部内に積層シートを嵌め込む方式に比べて、操作が容易であり、例えば自動搬送装置により搬送されてきた積層シートを、自動ハンドリング装置により把持して突出部の上面に載置し、積層シートの加圧成形処理により得られた積層体を、突出部の上面から自動ハンドリング装置により他の搬送装置に移送するようにすると、全自動の積層体製造装置を組み上げることができる。つまり、突出部の上面に積層シートを載置して加圧成形処理をするこの実施例装置は、全自動化を容易に達成することができる。
【0128】
(実施例3)
この実施例は、スペーサを有する加圧成形体製造装置に関する。この実施例3に係る加圧成形体製造装置は、弾性部材15Aの突出部28に向かう面に溝が形成されていないこと、突出部28を素材収容空間内に挿入あるいは装着した場合に、弾性部材15Aの上面と突出部28とに挟まれた空間内の、積層シート24が占めていない領域に、スペーサ4が介装されていること、およびこのスペーサ4の突出部28に向かう面に溝4Aが設けられていることが、前記実施例1に係る加圧成形体製造装置の構成と異なるところである。
【0129】
このスペーサ4は図11および図12にも示すように、環状の板状体であり、その表面に断面V字形の溝4Aを有する。そして、このスペーサ4は、積層シート24の平面形状よりも大きな平面形状たとえば方形あるいは円形(この実施例では円形である。)の収容開口部4Bを備えてなる。このスペーサ4の材質としては硬質ゴムなどを挙げることができる。また、溝4Aは、素材を収容する空間、換言すると収容開口部4Bから気体を有効に排除することのできる機能を有する限り、どのような断面形状を有していようが、スペーサ4の表面に何本形成されようがそれは問題にならない。例えばスペーサ4の表面に、内側から外側に向かって放射状に複数本の溝が形成されていても良く、また、溝4Aの断面は、図13に示すように方形であっても半円形であっても良い。
【0130】
このようにスペーサ4を設けておくと、前記実施例1におけるように、素材収容空間内を減圧にし、加圧成形時に加圧媒体収容空間内に加圧媒体を圧入することにより、弾性部材15Aが膨満し、膨満した弾性部材15Aが突出部28の下面に接着する程の過度の変形を受けることが、防止される。スペーサ4を介装することにより、弾性部材15Aが過度の変形あるいは歪みを生じないので、弾性部材15Aの破損をそれだけ少なくすることができる。
【0131】
スペーサ4の上面には溝4Aが設けられているので、素材収容空間内を減圧にすることにより、スペーサ4の上面と突出部28の下面とが密着するとしても、溝4Aを通じて、積層シート24の存在する領域の気体を有効に排出することができる。これによって、加熱加圧成形時に、積層シート24から発生するガスを有効に系外に排出することができ、ボイドや亀裂のない積層体を容易に製造することができる。
【0132】
(実施例4)
図14に示すように、この実施例に係る加圧成形体製造装置は、積層シート24の平面形状と実質的に同じ平面形状の収容空間4Bを有するスペーサ4を使用することの外は、前記実施例3に係る加圧成形体製造装置と、実質的に同じ構成を有する。
【0133】
この実施例装置においても、スペーサ4に溝4Aを設けているので、前記実施例3におけるのとほぼ同様の作用効果が奏される。
【0134】
この実施例装置において特筆する作用効果は、弾性部材15Aと突出部28とにより挟まれた空間全体が実質的に積層シート24とスペーサ4とで占められているので、加圧成形時あるいは、非加圧成形時における減圧操作時に、弾性部材15Aの膨満が極力抑制されるから、弾性部材15Aの変形疲労による破損が極力少なくなる。換言すると、この実施例装置においては、弾性部材の破損が極めて少なく、弾性部材15Aを長持ちさせることができる。
【0135】
(実施例5)
図15および図16に示すように、この実施例に係る加圧成形体製造装置は、積層シート24の平面形状と実質的に同じ平面形状の収容空間4Bを有するスペーサ4として、外側スペーサ4Cと内側スペーサ4Dとの二枚一組からなる。そして、内側スペーサ4Dは、積層シート24の平面形状と実質的に同じ平面形状を有する収容空間4Bを有し、円形盤状体である。この内側スペーサ4Dの上面に複数の溝4aが刻設されてなる。一方、外側スペーサ4Cは、前記内側スペーサ4Dの平面形状と実質的に同じ円形の開口部を有する環状盤体である。この外側スペーサ4Cにおいてもその上面に複数の溝4Aが刻設されてなる。そして、この溝4aおよび溝4Aは、外側スペーサ4Cの開口部に内側スペーサ4Dを嵌め込んだときに、一連の溝となるように、設けられている。
【0136】
この二枚一組のスペーサ4の利点は、次のとおりである。収容空間4Bの異なる複数種の内側スペーサ4Dを多数用意しておくと、外側スペーサ4Cの開口部に適宜に選択した内側スペーサ4Dを取り替えるだけで、同じ加圧成形体製造装置を使用して大きさの異なる積層体を製造することができる。
【0137】
(実施例6)
この実施例が前記実施例5に係る加圧成形体製造装置と異なるところは、溝を備えた内側スペーサを使用する代わりに、溝を設けていない内側スペーサ4Fを使用し、その内側スペーサ4Fの、突出部28に向かう面に網部材4G例えば金網を配置したことである。
【0138】
この網部材4gおよび外側スペーサ4Cにおける溝4Aは通気確保手段を構成する。
【0139】
この網部材4gの利点は、溝を設けた内側スペーサと溝を設けた外側スペーサとを使用するときには、溝の位置合わせが必要であるが、網部材4Gを設けることによりそのような位置合わせが不溶になることである。
【0140】
(実施例7)
この実施例7に係る加圧成形体製造装置が前記実施例1における加圧成形体製造装置と異なるところは、実施例1における加圧成形体製造装置における圧力媒体供給手段21Eが2基のポンプ21B,21Cを使用するに対し、この実施例7に係る加圧成形体製造装置における圧力媒体供給手段21Fは1基のポンプを使用するという点である。
【0141】
この実施例7に係る加圧成形体製造装置における圧力媒体供給手段21Fは、第2開口部23に接続されて圧力媒体貯留槽21Aに至る配管Pの途中に第1ポンプ21Bを介装し、その第1ポンプ21Bと前記第2開口部23との間の配管Pに第1バルブV1 を介装し、その第1ポンプ21Bと圧力媒体貯留槽21Aとの間の配管に第2バルブV2 を介装し、第1バルブV1 と第2開口部23との間の配管Pに、第3バルブV3 を介装する迂回管P3 の一端を接続し、その迂回管P3 の他端は、第1ポンプ21Bと第2バルブV2 との間の配管Pに接続し、第1ポンプ21Bと第1バルブV1 との間の配管Pには、先端を圧力媒体貯留槽21Aに引き込み、かつ途中に第4バルブV4 を介装する支管P4 を結合してなる。
【0142】
このような圧力媒体供給手段21Aにおいては、圧力媒体収容空間18内に圧力媒体19を圧入するときには、第1バルブV1 および第2バルブV2 を開放状態にし、その余のバルブV3 ,V4 を閉鎖状態にする。そして、第1ポンプ21Bを駆動すると、配管Pを介して圧力媒体収容空間18内に圧力媒体19が圧入される。圧力媒体収容空間18内に圧入されている圧力媒体19を排出するには、第1バルブV1 および第2バルブV2 を閉鎖状態にし、その余のバルブV3 およびV4 を開放状態にする。そうすると、圧力媒体19は迂回管P3 、第1ポンプ21Bおよび支管P4 を通って圧力媒体貯留槽21Aに排出される。
【0143】
この実施例に示されるような圧力媒体供給手段を採用すると、ポンプの数を1基にすることができるので、装置構成の簡単化および装置の小型化を達成することができる。
【0144】
以上の実施例においては、素材として積層シートを取り上げて説明したが、この発明の加圧成形体製造装置は、粉体の成形にも適する。
【0145】
【発明の効果】
この発明に係る加圧成形体製造装置によると、(1) 蓋部材の圧力容器本体への装着あるいは脱着が容易であり、短時間の内に(瞬時と言っても良い。)突出部を凹陥部内に挿入し、あるいは挿入された突出部を取り出すことができ、(2) 突出部を凹陥部内に挿入する際、わずかに蓋部材が傾斜していても、凹陥部の内周面を傷つけることがなく、蓋部材の突出部を圧力容器本体の凹陥部内に挿入させることができ、逆に、凹陥部から突出部を引き抜くときにおいても凹陥部の内周面を傷付けることがなく、(3) 蓋装着の際あるいは加圧成形の際に素材収容空間内を支障なく減圧にし、あるいは減圧状態を支障なく維持することができ、(4) 加圧成形の際に発生するガスが除去されるので、ボイドや気泡のない積層体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の一実施例である加圧成形体製造装置を示す概略断面説明図である。
【図2】図2はこの発明の一実施例である加圧成形体製造装置における第1本体と第2本体との重ね合わせ部分を示す部分断面説明図である。
【図3】図3は、弾性部材を装着した状態を示す一部断面説明図である。
【図4】図4は、上表面に溝を刻設してなる弾性部材の一部を示す斜視図である。
【図5】図5は、2基のポンプを採用してなる圧力媒体供給手段を示す説明図である。
【図6】図6は、この発明の一実施例である加圧成形体製造装置における蓋部材とこの蓋部材を支持し、上下動を可能にする機構とを合わせ示す概略正面図である。
【図7】図7は、この発明の一実施例である加圧成形体製造装置を示す概略平面図である。
【図8】図8は、この発明の他の実施例である加圧成形体製造装置を示す概略断面説明図である。
【図9】図9は、この発明の他の実施例である加圧成形体製造装置における蓋部材とこの蓋部材を支持し、上下動を可能にする機構とを合わせ示す概略正面図である。
【図10】図10は、この発明の他の実施例である加圧成形体製造装置の作用を示す概略断面説明図である。
【図11】図11は、この発明の他の実施例であり、溝を有するスペーサを使用した加圧成形体製造装置を示す断面説明図である。
【図12】図12は、溝を有するスペーサを示す一部斜視図である。
【図13】図13は、スペーサに設けられた溝の形態を示す断面説明図である。
【図14】図14は、この発明の他の実施例であり、他の形態のスペーサを使用した加圧成形体製造装置を示す断面説明図である。
【図15】図15は、溝を有する内側スペーサと外側スペーサとからなる2枚一組のスペーサを使用した加圧成形体製造装置を示す断面説明図である。
【図16】図16は、前記2枚一組のスペーサを示す斜視部分図である。
【図17】図17は、溝を有する外側スペーサと網部材を有する内側スペーサとからなるスペーサを示す斜視部分図である。
【図18】図18は、1基のポンプを採用してなる圧力媒体供給手段を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・圧力容器本体、2・・・蓋部材、3・・・弾性部材、4・・・スペーサ、5・・・ヨーク、6・・・第1本体、7・・・第2本体、8・・・円盤状空間、9・・・凹部、10・・・環状テーパ面、11・・・環状水平面、12・・・リング状装着部、13・・・弾性部材装着部、14・・・くさび形のリング、15・・・シール部材、16・・・支持部材、17・・・開口部、18・・・圧力媒体収容空間、19・・・圧力媒体、20・・・素材収容空間、21・・・圧力媒体導入排出路、22・・・第1開口部、23・・・第2開口部、P・・・配管、24・・・積層シート、25・・・方形開口部、26・・・環状溝、27・・・直線状溝、28・・・突出部、29・・・蓋部材本体、30・・・支持体、31・・・支持棒体、 32・・・ベアリング、33・・・基礎部材、34・・・シリンダー、35・・・プランジャー、36・・・垂直レール、37・・・ガイド、38・・・Oリング、39・・・第3開口部、40・・・第4開口部、41・・・気体導入排出路、42・・・垂直部、43・・・上部水平部、44・・・下部水平部、45・・・作用開口部、46・・・レール、47・・・ガイド、48・・・シリンダー。
Claims (6)
- 素材収容空間と圧力媒体収容空間とを備えてなり、かつ前記素材収容空間と圧力媒体収容空間とを隔絶し、圧力媒体収容空間内に圧入された圧力媒体の圧力を素材収容空間内に配置された素材に伝達する弾性部材を有する圧力伝達手段を備えてなる圧力容器本体と、
前記圧力容器本体内を加熱する加熱手段と、
前記素材収容空間に挿入される突出部、および前記素材収容空間内に圧入気体を導入し、かつ排出する気体導入排出手段を備えてなる蓋部材と、
前記素材収容空間内を気体導入排出手段により減圧にするときに、前記素材収容空間に収容された素材の前記圧力伝達手段に向かう面と、前記圧力伝達手段の前記素材収容空間に向かう面との間に気体の排出を可能にする空間を確保し、素材収容空間内の気体を前記気体導入排出手段により排出可能にする通気確保手段と、
素材の加圧成形時に圧力容器本体に装着された蓋部材を、前記素材収容空間内から突出部が突出不可能に、固定する固定手段とを備えてなることを特徴とする加圧成形体製造装置。 - 圧力伝達手段が、前記素材収容空間と圧力媒体収容空間とを隔てて配設され、かつ多数の貫通穴を備えてなる支持部材と、前記支持部材の素材収容空間側の表面に配設されたシール部材と、前記シール部材の表面に配設された弾性部材とを備えてなる前記請求項1に記載の加圧成形体製造装置。
- 前記通気確保手段が、前記圧力伝達手段の前記素材収容空間に向かう面に形成された溝である前記請求項1または2に記載の加圧成形体製造装置。
- 前記通気確保手段が、前記圧力伝達手段の前記素材収容空間に向かう面であって、素材の載置される領域以外の領域に形成された溝である前記請求項1〜3のいずれかに記載の加圧成形体製造装置。
- 前記通気確保手段が、素材を収容可能とした開口空間部を備えて前記素材収容空間内で前記圧力伝達手段の上面に配置可能に形成されたスペーサの蓋部材に向かう面に形成された溝である前記請求項1または2に記載の加圧成形体製造装置。
- 前記通気確保手段が、素材を収容可能とした開口空間部を備えて前記素材収容空間内で前記圧力伝達手段の上面に配置可能に形成されたスペーサの蓋部材に向かう面に設けられた網部材である前記請求項1または2に記載の加圧成形体製造装置。
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