JP3630996B2 - 圧縮膨張装置および冷凍装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、スターリング冷凍装置やスターリングエンジン等で代表される気体の圧縮膨張装置および冷凍装置に関する。詳しくは、圧縮シリンダと膨張シリンダとクランク室とを含み、作動ガスが、前記圧縮シリンダと前記膨張シリンダとの間を移動しながら前記圧縮シリンダ内で縮小して前記膨張シリンダ内で膨張する、圧縮膨張装置、および、該圧縮膨張装置を有する冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の圧縮膨張装置および冷凍装置において、従来から一般的に知られているものに、たとえば、スターリング冷凍装置がある。
【0003】
この従来のスターリング冷凍装置の一例として、ディスプレーサタイプのスターリング冷凍装置の概略の構造について、図5を参照して説明する。このスターリング冷凍装置は、主に、膨張シリンダ2と圧縮シリンダ3とクランク室12とに分けられている。クランク室12内には、駆動源としての電動モータ40とその電動モータ40の駆動力によって回転するクランクシャフト5とが設けられている。またこのクランク室12内には、潤滑油10が貯留されている。
【0004】
圧縮シリンダ2内には、ディスプレーサ6が設けられている。このディスプレーサ6とクランクシャフト5とが、コネクティングロッド16b,ロッド16aを介して連動連結されており、クランクシャフト5が回転することによりディスプレーサ6が上下方向に反復運動するように構成されている。このディスプレーサ6内には、蓄冷材14が設けられている。この蓄冷材14は、焼結金属からなる熱交換材で構成されており、ディスプレーサ6の一方の開口から流入した作動ガスがこの蓄冷材14の内部を通過して他方の開口から流出するまでの過程で、この蓄冷材14と熱交換されるように構成されている。なお、図5中15はコールドヘッドである。
【0005】
前述した圧縮シリンダ3は、前述した膨張シリンダ2に対しほぼ90°の角度差で取付けられている。この圧縮シリンダ3内には、圧縮ピストン7が設けられている。この圧縮ピストン7は、クランクシャフト5に対しコネクティングロッド17b,ロッド17aを介して連動連結されており、クランクシャフト5が回転することにより圧縮ピストン7が左右方向に反復運動するように構成されている。クランクシャフト5が回転することにより、ディスプレーサ6と圧縮ピストン7とが互いにほぼ90°位相差がずれた状態で反復運動する。
【0006】
ディスプレーサ6よりもクランク室12寄りの箇所にシール部8が設けられ、膨張シリンダ2とクランク室12とがシール部8により仕切られている。また、圧縮ピストン7よりもクランク室12寄りの箇所にシール部9が設けられ、このシール部9により、圧縮シリンダ3とクランク室12とが仕切られている。このシール部8,9により、クランク室12内の潤滑油10が圧縮シリンダ2内や膨張シリンダ3内に入り込むことが極力防止できる。
【0007】
膨張シリンダ2の基端部と圧縮シリンダ3の圧縮空間部とは、作動ガス通路4によって互いに連通されている。これにより、圧縮シリンダ3に形成される圧縮空間13と膨張シリンダ2に形成される膨張空間11とが蓄冷材14を介して作動ガス通路4によって連通されることになる。
【0008】
前述したシール部8,9よりもさらにクランク室12寄りの箇所には、クロスガイド18,19が設けられている。このクロスガイド18,19は、コネクティングロッド16b,17bから受ける力のうち反復運動方向の力に直交する方向の分力を負担してシリンダ内壁に伝達し、その直交方向の分力がディスプレーサ6や圧縮ピストン7に伝わらないように構成するためのものである。つまり、クランクシャフト5の回転に伴ってコネクティングロッド16b,17bは揺動しながら上下方向に反復運動するのであり、そのコネクティングロッド16b,17bの揺動に伴って反復運動方向の力ばかりでなくそれに交差する方向の分力が発生する。その分力が直接ディスプレーサ6や圧縮ピストン7に伝わったのでは、ディスプレーサ6の外周面のシールあるいは圧縮ピストン7の外周面のシールがその分力により変形するという不都合が生ずる。そこで、そのような分力を負担してシリンダ内壁に伝達するためのクロスガイド18,19が設けられている。
【0009】
次に、図6を参照して、前述した構成からなるスターリング冷凍装置の動作について説明する。なお、図6は、横軸に時間T、縦軸にストロークSをとっている。
【0010】
スターリング冷凍装置においてディスプレーサ6が、図6の曲線B、Cのごとく反復運動すると同時に、圧縮ピストン7が図6の曲線Dのごとく反復運動することによって、膨張シリンダ2の膨張空間11は、図6の直線Aと曲線Bに挟まれた幅領域で容積変化し、圧縮シリンダ3の圧縮空間13は、図6の曲線Cと曲線Dに挟まれた幅領域で容積変化する。
【0011】
この結果、図6の▲1▼の工程では、圧縮空間13内の作動ガスが圧縮され、作動ガス通路4を経て圧縮シリンダ2内へ流入する(理想的には等温圧縮)。この作動ガスは、図6の▲2▼の工程でディスプレーサ6内の蓄冷材14を通過し、蓄冷材14と熱交換を行なって温度低下する(定積冷却)。蓄冷材14を通過した作動ガスは図6の▲3▼の工程で膨張シリンダ2の膨張空間11へ流入し、その後、圧縮ピストン7の降下に伴って膨張する(理想的には等温膨張)。次に、図6の▲4▼の工程では、膨張空間11内の作動ガスがディスプレーサ6の上昇に伴って蓄冷材14を通過し、蓄冷材14と熱交換を行なって温度上昇した後、作動ガス通路4を経て再び圧縮空間13へ導入される(定積加熱)。
【0012】
この結果、膨張シリンダ2頭部に設けられたコールドヘッド15が冷却される。
【0013】
なお、スターリング冷凍装置としては他に2ピストンタイプのものもあるが、冷熱発生の原理は、基本的には前述したディスプレーサタイプのものと同じである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
この従来のスターリング冷凍装置では、クランク室12内の潤滑油10が圧縮シリンダ3および膨張シリンダ2内に侵入して作動ガスに混じった場合には、作動ガスとともに潤滑油が循環して、熱交換器としての蓄冷材14に潤滑油が付着する。その結果、蓄冷材14の熱交換機能が低下して冷却機能が失われる不都合が生ずるばかりでなく、蓄冷材14が潤滑油で目詰まりを起こし、作動ガスが蓄冷材14を通過しにくくなるという欠点も生ずる。
【0015】
そこで、従来のスターリング冷凍装置においては、前述したように、圧縮ピストン7とクロスガイド19との間およびディスプレーサ6とクロスガイド18との間にそれぞれシール部9,8を設け、クランク室12内の潤滑油が圧縮シリンダ3および膨張シリンダ2内に侵入することを防止できるようにしている。このシール部9,8は、ロッド17a,16aと摺動するため、摺動に伴うシール部9,8の摩耗を防止するべく、潤滑油の一部がこのシール部9,8に供給されるように構成して、摩耗箇所から潤滑油がシリンダ内に侵入することを防止できるようにしている。
【0016】
具体的には、クランクシャフト5内に潤滑油経路を形成するとともにコネクティングロッド16b,17b内にも潤滑油供給経路を形成し、クランクシャフト5の回転に伴う遠心力により潤滑油をクランクシャフト5内の潤滑油供給経路からコネクティングロッド16b,17b内の潤滑油供給経路に送り出し、そのコネクティングロッド16b,17b内の潤滑油供給経路からクロスガイド18,19内に潤滑油が供給されるように構成されている。クロスガイド18,19には、シール部8,9とクロスガイド間に存在する空間内のガスの圧力を抜くための連通孔が形成されており、クロスガイド18,19が反復運動することに伴い、その慣性力によりクロスガイド18,19内の潤滑油がこの連通孔を通ってシール部8,9にまで供給されるように構成されている。
【0017】
しかし、クランクシャフト5の遠心力やクロスガイド18,19の反復運動に伴う慣性力を利用して潤滑油がシール部8,9に供給されるために、圧縮ピストン7の反復運動ストロークとディスプレーサ6の反復運動ストロークとが異なることに起因して遠心力や慣性力の大きさも異なり、一方のシール部8には潤滑油の供給過多が生じ、他方のシール部9には潤滑油の供給不足が生ずるという問題が発生する。その結果、潤滑油が供給過多となる方のシール部8では余った潤滑油が作動空間内に侵入する不都合が生ずるおそれがある一方、潤滑油が供給不足となる方のシール部9では摩耗が発生してその摩耗部分から潤滑油が作動空間内に侵入する不都合が生ずるおそれがある。
【0018】
このようなシール部への潤滑油の不均一な供給に起因した潤滑油の作動空間内への侵入の問題は、スターリング冷凍装置に限らず、たとえばスターリングエンジンの場合でも同様に発生する。すなわち、従来の圧縮膨張装置においては、作動空間とクランクシャフト室とを仕切る複数のシール部への潤滑油の不均一な供給に起因して、潤滑油が作動空間内に侵入して作動ガスがその潤滑油で汚染されてしまうという問題があった。
【0019】
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、潤滑油の不均一な供給に起因した潤滑油の作動空間内への侵入に伴う不都合を防止することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、圧縮シリンダ内での作動空間および膨張シリンダ内での作動空間それぞれとクランク室とを仕切る複数のシール部と、その複数のシール部へ潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、複数のシール部のうち、潤滑油の供給過多となったシール部の余剰潤滑油を他のシール部に移すための連通経路とを含んでいる。
【0021】
これにより、余剰潤滑油が連通経路を通って他のシール部に移る。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、圧縮シリンダ内を反復運動する反復運動部材および膨張シリンダ内を反復運動する反復運動部材とを含む複数の反復運動部材をさらに含み、その複数の反復運動部材は、第1の反復運動ストロークで反復運動する第1の反復運動部材と、その第1の反復運動ストロークとは異なる第2の反復運動ストロークで反復運動する第2の反復運動部材とを含んでおり、前記連通経路は、第1の反復運動部材が反復運動する作動空間とクランク室とを仕切る第1のシール部と、第2の反復運動部材が反復運動する作動空間とクランク室とを仕切る第2のシール部との間にわたって、余剰潤滑油を移すことができるように構成されている。
【0022】
これによって、複数のシール部において、ストロークの違いによって生ずる潤滑油の供給量の差が抑制される。
【0023】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の圧縮膨張装置を含む冷凍装置であって、作動ガスが冷媒ガスであり、その冷媒ガスが、前記圧縮シリンダ内で圧縮された後に放熱されて前記膨張シリンダ内へ移動し、その膨張シリンダ内で膨張されて冷熱を発生させることを特徴としている。
【0024】
これにより、冷凍装置に用いられている圧縮膨張装置のシール部に供給される潤滑油のうちの余剰潤滑油が連通経路を介して他のシール部に移る。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、前述の従来技術と同じ構成については同一符号を付して示しており、これらの部分の詳細な説明は省略する。
【0026】
図1は、本発明に係る実施の形態の一例である2ピストンタイプのスターリング冷凍装置の概略構成を示す概略構成図である。ディスプレーサタイプのスターリング冷凍装置との主な相違点は、ディスプレーサの代わりに膨張ピストン6aを用い、蓄冷材14が作動ガス通路4の途中箇所に設けられている点である。この2ピストンタイプのスターリング冷凍装置は、冷熱を発生させる膨張機21と、その膨張機21により膨張させた作動ガスを受取り圧縮して戻す圧縮機22とが並列状態に設けられている。また膨張機21と圧縮機22とを駆動する駆動源としての電動モータ40はクランク室12に設けられている。このクランク室12には、さらにクランクシャフト5が設けられており、電動モータ40の駆動力によってこのクランクシャフト5が回転する。
【0027】
クランクシャフト5には、コネクティングロッド16b,17bが設けられており、クランクシャフト5が回転することによりこのコネクティングロッド16b,17bが揺動しながら上下方向に反復運動する。コネクティングロッド16b,17bの上端部にはクロスガイド18,19が設けられている。コネクティングロッド16b,17bの揺動に伴って生ずる反復運動方向に交差する方向の分力が、このクロスガイド18,19を介してシリンダ内壁に伝達され、その分力が膨張ピストン6aや圧縮ピストン7に伝達されないように構成されている。クロスガイド18,19の上方には、ロッド16a,17aが設けられており、上下方向の力がこのロッド16a,17aを介して膨張ピストン6a,圧縮ピストン7へ伝達される。
【0028】
膨張ピストン6aとクロスガイド18との間および圧縮ピストン7とクロスガイド19との間にシール部8,9が設けられている。シール部8により、膨張シリンダ2内の膨張空間11とクランク室12とが仕切られ、シール部9により、圧縮シリンダ3内の圧縮空間13とクランク室12とが仕切られる。これらシール部8,9よりもクランク室12寄りの箇所に、潤滑油が移動可能な連通経路30が設けられている。図1中4は、膨張シリンダ2と圧縮シリンダ3とを連通する作動ガス通路である。
【0029】
次に、この冷凍装置の動作について説明する。ユーザの操作により電動モータ40が駆動すると、その電動モータ40で発生した駆動力により、クランクシャフト5が回転する。クランクシャフト5の回転によりコネクティングロッド16b,17bが揺動しながら上下方向に反復運動する。このコネクティングロッド16b,17bの駆動に伴って、クロスガイド18,19およびロッド16a,17aが上下方向に反復運動する。その結果、ロッド16aに取付けられている第1の反復運動部材としての膨張ピストン6aが反復運動し、かつ、ロッド17aに取付けられている第2の反復運動部材としての圧縮ピストン7が反復運動する。その結果、膨張機21と圧縮機22とが駆動され、圧縮空間13内で圧縮された作動ガスが作動ガス通路4を通って蓄冷材14で熱交換された後膨張空間11内で膨張し、図6に基づいて前述した熱サイクルに従って冷熱が発生してコールドヘッド15が冷却される。
【0030】
図2は、シール部8,9への潤滑油の供給経路を説明するための断面図である。電動モータ40の端部には、電動モータ40の回転とともに回転して潤滑油10をはね上げるはね上げ部材50が設けられている。このはね上げ部材50によりはね上げられた潤滑油は、オイル溜51に落入してそのオイル溜51で貯留される。クランクシャフト4内には、潤滑油を誘導するための潤滑油経路52が形成されており、この潤滑油経路52とオイル溜51とが連通されている。クランクシャフト4の所定の複数箇所には、小孔53a,53b,53c,53dが設けられており、この小孔により、潤滑油経路52とクランクシャフト4の外周部とが連通された状態となる。このように構成されたクランクシャフト4が回転することにより、その遠心力によりオイル溜51内の潤滑油が、図示矢印で示すように、潤滑油経路52を通って小孔53a〜53dから外方に送り出される。
【0031】
クランクシャフト4のクランク部4aに外嵌しているコネクティングロッド17bにも、潤滑油経路54が形成されており、小孔53dから送り出されてきた潤滑油がこの潤滑油経路54を通ってクロスガイド19の上方部分にまで誘導される。そして、クロスガイド19の反復運動に伴う慣性力により、潤滑油が図示矢印で示すように、シール部9の方に放出される。なお、クランク部4bにも小孔が形成されており、かつ、コネクティングロッド16bにも潤滑油経路55が形成されており(図面上小孔および潤滑油経路55の一部が見えない状態となっている)、その小孔と潤滑油経路55を通って潤滑油がクロスガイド18の上部まで誘導される。そして前述と同様に、クロスガイド18の反復運動に伴う慣性力により潤滑油がシール部8の方に放出される。
【0032】
図3は、コネクティングロッド17bに形成された潤滑油経路54を説明するための斜視図である。図3では、コネクティングロッド17b,16bのうちの一方のコネクティングロッド17bの方を代表として示しており、他方のコネクティングロッド16bについては、同様の構成であるために、図示およびその説明を省略する。
【0033】
図3では、コネクティングロッド17bを縦方向に分断した片方の斜視図が示されている。ハッチングで示した部分が分断された断面部分である。コネクティングロッド17bは、クランクシャフト4のクランク部4aに外嵌する軸受56と、クロスガイド19に設けられたクロスガイドピン(図示省略)に外嵌する軸受57と、それら両軸受56,57を連結する連結部58とから構成されている。軸受56の内周面には、潤滑油を誘導するための溝59が形成されている。軸受57の方にも、同様に、潤滑油を誘導するための溝60が形成されている。そして、連結部58にはオイル供給経路61が形成されており、そのオイル供給経路61により、前述した両溝59,60が連通されている。さらに、溝60の上端には、オイル放出口62が形成されている。
【0034】
そして、クランクシャフト4に形成された小孔53aと溝59とが連通しており、小孔53aから放出された潤滑油が溝59,オイル供給経路61,溝60,オイル放出口62を通ってクロスガイド19の上方部分にまで誘導される。
【0035】
図4は、クロスガイド19の構造を説明するための一部切欠斜視図である。その切欠部分がハッチングで示されている。
【0036】
クロスガイド19には、クロスガイドピン(図示せず)が挿入されるピン孔63が形成されている。図3に示したコネクティングロッド17bの軸受57をこのクロスガイド19内に挿入して軸受57とピン孔63とが連通した状態で、クロスガイドピンをピン孔63,軸受57,ピン孔63に挿入する。この状態で、クロスガイドピンを揺動中心としてコネクティングロッド17bが揺動可能にクロスガイド19と連結される。
【0037】
クロスガイド19の上方部分には、切欠64a,64bが形成されている。この切欠64a,64bが形成されているために、シール部9とクロスガイド19との間の空間内に溜まっている作動ガスがこの切欠64a,64bを通過可能となり、クロスガイド19が反復運動したとしても、クロスガイド19とシール部9との間の空間内の作動ガスが圧縮されることがない。
【0038】
一方、前述したように、コネクティングロッド17bのオイル放出口62から放出された潤滑油は、反復運動するクロスガイド19の慣性力により、前述した切欠64a,64bからシール部9へ放出される。その結果、シール部9への潤滑油の供給が可能となり、シール部9とロッド17aとの摺動に伴うシール部9の摩耗が防止される。なお、図4においては、クロスガイド19の上部に設けられているロッド17aは図示を省略した。
【0039】
図1に示したスターリング冷凍装置では、第1の反復運動部材である膨張ピストン6aのストローク(第1の反復運動ストローク)は、第2の反復運動部材である圧縮ピストン7のストローク(第2の反復運動ストローク)に比べて長く構成されている。潤滑油のシール部8,9への供給量は、クランクシャフト5の回転に伴う遠心力とクロスガイド18,19の慣性力とに比例し、ストロークの長い方が潤滑油の供給量が多くなる。このため、シール部8近辺にはねかけられる潤滑油の量は、シール部9近辺にはねかけられる潤滑油の量よりも多い。よって、一般的に、シール部9への潤滑油の供給量が適量である場合にはシール部8への潤滑油の供給量が多すぎる結果となり、逆に、シール部8の潤滑油の供給量が適量である場合にはシール部9への潤滑油の供給量が不足した状態となる。しかし、図1に示すように、潤滑油が通過可能な連通経路30が設けられているために、供給過多となったシール部8への余剰潤滑油がこの連通経路30を通ってシール部9へ移動することとなり、前述したシール部へ供給される潤滑油の過不足に起因した不都合が防止され、余剰潤滑油がシール部を越えて作動空間内に侵入するという不都合も抑制される。
【0040】
以上説明した実施の形態の変形例や特徴点とを以下に列挙する。
本実施の形態では、膨張機21と圧縮機22とが並列して設けられていたが、膨張機21と圧縮機22とはほぼ90°の角度を有して設けられていてもよい。
【0041】
また、本実施の形態では、膨張ピストン6aのストロークが圧縮ピストン7のストロークよりも長い構成となっていたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、圧縮ピストン7のストロークの方が長い構成にしてもよい。
【0042】
さらに、連通経路30は、シール部8,9とクロスガイド18,19の上死点に設けられるのが好ましい。このような位置に設けることにより、クロスガイド18,19が移動したとしてもそのクロスガイド18,19により連通経路30が塞がれてしまうことがなく、余剰潤滑油を移動しやすい構成となる。
【0043】
本実施の形態では、反復運動部材は膨張ピストン6aと圧縮ピストン7の2個であったが、さらに多くの反復運動部材を有する圧縮膨張装置であってもよい。また、圧縮膨張装置の一例として、スターリング冷凍装置を採り上げたが、本発明はそれに限定されるものではなく、たとえば、スターリングエンジン等であってもよく、潤滑油が作動空間内に混入することを防止するためのシール部が設けられたものであればどのようなものであってもよい。
【0044】
以上の実施の形態で示した技術はすべて例示にすぎず、本発明はこの例示に限定されるものではない。本発明の範囲は、あくまで特許請求の範囲に基づいて定められ、特許請求の範囲と均等の範囲内のすべての変更が含まれる。
【0045】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明によれば、潤滑油の供給過多となったシール部の余剰潤滑油が連通経路を通って他のシール部に移されるため、潤滑油の過不足に伴って潤滑油が作動空間内に侵入する不都合が極力防止でき、高性能な圧縮膨張装置を提供することができる。
【0046】
請求項2に記載の本発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、反復運動ストロークの違いによって生ずる潤滑油の供給量の差を軽減することができ、反復運動ストロークの差に起因して潤滑油の供給量の過不足が発生しやすいシール間での潤滑油の供給量の調整が可能となる。
【0047】
請求項3に記載の本発明によれば、余剰潤滑油が連通経路を介して他のシール部に移るために、シール部への潤滑油の供給量の過不足に伴い潤滑油が作動空間内に侵入する不都合が極力防止でき、潤滑油が冷媒ガスに混入して蓄冷材等による熱交換が妨害されてしまうという不都合が減少され、効率よく冷熱を取り出すことのできる冷凍装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧縮膨張装置の一例であるスターリング冷凍装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】潤滑油の供給経路を説明するための断面図である。
【図3】コネクティングロッドの分断斜視図である。
【図4】クロスガイドの一部切欠斜視図である。
【図5】従来のスターリング冷凍装置の構成を示す概略構成図である。
【図6】スターリング冷凍装置における熱サイクルの工程を説明するための説明図である。
【符号の説明】
2 膨張シリンダ
3 圧縮シリンダ
4 作動ガス通路
5 クランクシャフト
6a 膨張ピストン
7 圧縮ピストン
8,9 シール部
10 潤滑油
11 膨張空間
12 クランク室
13 圧縮空間
14 蓄冷材
15 コールドヘッド
18,19 クロスガイド
30 連通経路
40 駆動源の一例の電動モータ
Claims (3)
- 圧縮シリンダと膨張シリンダとクランク室とを含み、作動ガスが、前記圧縮シリンダと前記膨張シリンダとの間を移動しながら前記圧縮シリンダ内で縮小して前記膨張シリンダ内で膨張する、圧縮膨張装置であって、
前記圧縮シリンダ内での作動空間および前記膨張シリンダ内での作動空間それぞれと前記クランク室とを仕切る複数のシール部と、
該複数のシール部へ潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、
前記複数のシール部のうち、前記潤滑油の供給過多となったシール部の余剰潤滑油を他の前記シール部に移すための連通経路とを含む、圧縮膨張装置。 - 前記圧縮シリンダ内を反復運動する反復運動部材および前記膨張シリンダ内を反復運動する反復運動部材とを含む複数の反復運動部材をさらに含み、
前記複数の反復運動部材は、第1の反復運動ストロークで反復運動する第1の反復運動部材と、前記第1の反復運動ストロークとは異なる第2の反復運動ストロークで反復運動する第2の反復運動部材とを含み、
前記連通経路は、前記第1の反復運動部材が反復運動する作動空間と前記クランク室とを仕切る第1のシール部と、前記第2の反復運動部材が反復運動する作動空間と前記クランク室とを仕切る第2のシール部との間にわたって、余剰潤滑油を移すことができるように構成されている、請求項1に記載の圧縮膨張装置。 - 請求項1または請求項2に記載の圧縮膨張装置を含む冷凍装置であって、
前記作動ガスが冷媒ガスであり、
前記冷媒ガスが、前記圧縮シリンダ内で圧縮された後に放熱されて前記膨張シリンダ内へ移動し、該膨張シリンダ内で膨張されて冷熱を発生させる、冷凍装置。
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