JP3630787B2 - 空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、膜分離法による窒素ガス発生機に供給する原材料を作る空気圧縮機を、窒素ガス発生機と共に内蔵してパッケージセットとした空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
混合気体を分離するガス分離装置には、吸着剤を用いて分離する圧力変動吸着方式(PSA方式)と、微細透過孔膜を用いた膜分離方式があり、原料気体を空気として、窒素または、酸素を分離していずれかを発生させて利用する装置が一般的に知られている。前記二つの方式はいずれの場合も圧縮気体を供給する必要があり、種々の圧縮機を用いた圧縮気体が使用されている。
圧縮空気が工場配管されている場合は、配管から供給される圧縮空気をガス発生装置に接続することで原材料は得られるが、しかし、小規模工場、研究所等の場合は、ガス発生装置と共に空気圧縮機を同時に設備しなければならない。一方圧縮空気は、エア駆動型機械の動力源として、二流体噴霧の一方の流体源として、また、除塵等のエア源としてなど生産工場に置いて欠かすことのできない必要設備となっている。
【0003】
前記ガス発生装置において、従来は、ガス発生装置と空気圧縮機を別体で設備するかまたは、ガス発生装置に見合う圧縮機を併設して設備され、併設して設備する場合は、ガス発生装置専用の圧縮機となっているのが通例となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、空気圧縮機を併設する窒素ガス発生装置において、空気圧縮機と窒素ガス発生機を一体の台枠上に固定し、両者を囲繞する箱体を形成するパッケージ内に収納し、収納する空気圧縮機には、ガス分離に支障が少なく、かつ、騒音、振動の少ない無給油式回転スクロール圧縮機を用い、窒素ガスの発生に膜分離方式による窒素ガス発生機を採用し、不活性ガスとしての窒素ガスの利用と、窒素ガスを使用しない場合または、余分に圧縮される空気を、圧縮空気で取出せるようにする
空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置を得ようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、空気圧縮機と窒素ガス発生機を併設するガス発生装置において、空気圧縮機と窒素ガス発生機を一体の台枠上に共有して併設し、前記両機を囲繞するパッケージ内に収納するガス発生装置であって、窒素ガス発生機の吐出口側に配設される圧力検知装置によって、窒素ガスが設定圧力に達したことを検知し、該検知信号によって、窒素ガス発生機の圧縮空気供給側に付設される第一の自動弁を閉じ、空気圧縮機の吐出側に付設される第二の自動弁を開く制御回路をもち、かつ、該自動制御回路を、手動切換えにより、窒素ガス発生機からの窒素ガスまたは、空気圧縮機からの空気のいずれかを単独に使用することを可能にした空気圧縮機内臓形窒素ガス発生装置である。そして、前記パッケージ外面に圧縮空気取出口と、窒素ガス取出口を設けて、圧縮空気と窒素ガスの両者を使用可能にしたものである。
【0006】
また、空気圧縮機と窒素ガス発生機を一体の台枠上に併設して搭載する時、搭載する窒素ガス発生機は、膜分離法による窒素ガス発生方式である装置を採用し、搭載する空気圧縮機は、無給油式スクロール圧縮機を採用した空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置である。
【0007】
【作用】
無給油式スクロール圧縮機で発生した圧縮空気は、アフタークーラ,水分離器を経て、空気タンクに一旦貯溜される。該空気タンクからの取出口は二つに分岐され一方の取出口は直接パッケージ外面に付設される圧縮空気取出口に接続される。そして、タンク取出口と圧縮空気取出口との間に第二の自動弁が配設される。二つに分岐されたもう一方のタンク取出口から窒素ガス発生機に原材料としての圧縮空気が供給される。そして、窒素ガス発生機の直前に第一の自動弁が配設される。第一の自動弁を経て供給される圧縮空気は、残存水分を排除するためのミクロフィルタを経て分子活動の活発化と、ガス供給温度を一定に保つためのヒーターで昇温させて、微細孔膜からなるガス分離筒で、酸素,水,二酸化炭素等の透過速度の早い分子からなる酸素富化空気と、窒素,アルゴン等の透過速度の遅い分子からなる不活性ガスに分離され、窒素を主体とする不活性ガスが分離筒取出口から吐出される。分離筒取出口からの窒素ガスは、パッケージ外面に付設される窒素ガス取出口から吐出され窒素ガスタンクに貯溜される。
【0008】
窒素ガスタンクまたは、ガス分離筒取出口から窒素がタンクの経路中には、窒素ガスタンク用圧力計と所定圧力で作動する窒素ガス圧力スイッチが付設されている。窒素ガスタンクまたは、ガス分離筒取出口から窒素ガスタンク迄の経路中で所定圧力を検知した圧力スイッチの信号によって、窒素ガス発生機直前の第一の自動弁が閉じられ、同時に二つに分岐された圧縮空気取出口側の第二の自動弁が開かれ圧縮空気の使用を可能にする。
【0009】
圧縮空気を使用しないか、または使用量が少ないと、通常の圧縮機の運転制御と同じように、空気タンク圧力が上昇し空気圧縮機側に付設される圧力スイッチにより上限圧力を検知し、空気圧縮機の運転を停止させる。圧縮空気が使用されて空気タンク圧力が低下すると空気圧縮機は再運転する。そして、窒素ガスタンク圧力が低下した場合には、圧縮空気取出口側の第二の自動弁は窒素ガスタンク等に付設される圧力スイッチの信号によって閉じられ、第一の自動弁が開かれて窒素ガス発生機に圧縮空気が供給される。
【0010】
窒素ガスが常時使用される場合と、時間的制限をもって使用される場合がある。同じように圧縮空気の場合も同様な場合がある。このような場合に、第一の自動弁と第二の自動弁を作動させる電気回路中に別体の手動切換装置を設けることによって空気圧縮機または、第二の自動弁が開かずに、窒素ガス発生装置として単独の運転が可能となっている。このことによって、例えば不活性ガス利用による食品等の酸化防止用気体、危険物のタンク圧送用加圧気体または、防爆ガス供給等の窒素ガスの微小量使用の場合には、圧縮空気と窒素ガスの併用使用が可能となり、時間制限でガスが使用される場合は、それぞれ単独で運転させ一台二役の役目をさせることができる。
【0011】
【実施例】
本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1はパッケージ方式による空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置の側面構造図である。図1において、空気圧縮機10と窒素ガス発生機11は一体の台枠3上に併設して固定され、前記両機を、防音材が貼付けられた組立式のパネル板13で、箱型に囲繞してパッケージとしている。そして空気圧縮機10と窒素ガス発生機11の間には、熱が直接窒素ガス発生機側に影響しないための、仕切板14で区画されている。図中1は、無給油式スクロール圧縮機本体で、該圧縮機本体1は空気タンク2上のベース2aに固定されていて圧縮機本体1上の全閉外扇モータ4によって駆動される。吸込フィルタ5から吸引した空気は圧縮機本体1で圧縮され、渦巻形の圧縮室の中心部より吐出され吐出管6を介して、アフタークーラ7で空冷される。空冷された圧縮空気は導入管8を介して、水分離器9で凝縮した水を遠心分離や、フィルタによって分離し排出する。水分が除去された圧縮空気は、導入管を介して空気タンク2に貯溜される。該空気タンク2には窒素ガス発生機11に供給する吐出ジョイント2bと、吐出ジョイント2bから分岐されるかまたは、空気タンクで分岐して直接圧縮空気を取出す圧縮空気取出口19に接続されている。
【0012】
窒素ガス発生機11には、空気タンク2の吐出ジョイント2bから供給される圧縮空気を、開閉する第一の電磁弁(不図示)(本実施例では自動弁として電磁弁が使用されているので以下電磁弁と称する)が付設されている。第一の電磁弁を介した圧縮空気は、微細な水分を除去するミクロフィルタ(不図示)と、ガス分子を活性化と、供給温度を一定に保つための加温ヒーター(不図示)を介して窒素ガス分離筒12に導入され、ガス分子の透過度の相違によって酸素ガス等と、窒素ガス等に分離され、窒素ガス等が窒素ガス取出口18より吐出される。酸素ガス等の酸素富化空気は本装置ではそのまま大気に還元される。
【0013】
図2は、空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置の正面図を示す。図1と同一構成部品には同一符号を付して説明する。
図2において、13aはパッケージの組立式パネル板の一部を前面扉としているもので、内部点検等のために手動開閉可能な扉となっている。15は、前記アフタークーラ7を空冷するためのファンである。前面扉13a上のパネル板13bに本装置を制御する制御基盤16があり、圧縮機の運転制御,窒素ガス発生装置の運転制御,第一第二の電磁弁自動制御,手動切換え制御等の制御が一括して行えるようになっている。その他、パネル板13b上には、窒素ガスおよび、圧縮空気の圧力を表示する圧力計、取り出される窒素ガスの純度を判定する酸素濃度計17等が配設されている。
【0014】
図3は、空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置のフロー図である。図3において図1,図2と同一構成要素には同一符号を付して説明する。また、実線は配管回路を示し、斜線付実線は制御回路を示したものである。
図3において、空気圧縮機10から吐出された圧縮空気はアフタークーラ7で冷却され、圧縮空気の冷却によって凝縮した空気中の水分を、水分離器9によって分離排除した空気が、空気タンク2に貯溜される。空気タンク2には空気タンクの底部に蓄積するドレン水を自動的に排水するためのオートドレン20が付設されている。空気タンク2より吐出される圧縮空気は、二つに分岐され一つは第二の電磁弁21を介してパッケージ外面に付設される圧縮空気取出口19に接続されている。
【0015】
分岐された一方の圧縮空気が窒素ガス発生機11に供給される。供給される直前に第一の電磁弁22が配設される。第一の電磁弁22を介して供給される圧縮空気は、まず一定圧力で供給するためのリリーフ弁23からマフラー24を介して常時空気を排出して供給圧力が厳密に一定して供給されるように配慮されている。これは、供給圧力が変動すると分離膜を通過するガス流速が異なり、ガス分離濃度が変動するのを避けるためである。一定圧力で供給される圧縮空気は空気中の残余の水分,塵埃等を完全に除去するための除去効率の高いミクロフィルタ25が配設されている。ミクロフィルタ25を経た供給空気は、供給空気の温度を高めて分子活動を活発にするためと、空気中の残余の水分を完全に気化して分離効率を高めるために、ヒーター28が配設され、所定の一定温度に制御して供給される。ヒーター28による温度上昇は、供給温度変化は分離濃度に影響することと、上昇温度が高すぎると分離膜に悪影響を及ぼすので通常70℃以下の適当な温度に一定に制御される検知体と制御回路を内蔵している。
【0016】
ヒーター28で一定温度に制御された一定圧力の圧縮空気が、微細孔膜で作られる細い糸状のチューブの集合体からなる窒素ガス分離筒12で酸素等のガスと、窒素ガス等に分離される。窒素ガス分離筒12は必要とするガス容量および、ガス濃度または、供給する原材料の量に適応する本数が付設される。図3フロー図で点線で示す12Aは、空気圧縮機の出力が大きく吐出量の多い場合に追加される窒素ガス分離筒12Aを示したものである。
【0017】
窒素ガス分離筒12から吐出する窒素ガス回路に、必要に応じて電磁弁35を開いて、窒素ガス等の中に含まれる酸素の濃度または、有無を検知する酸素濃度計が配設され、窒素ガスの純度が計算される。三個の流量調整弁26,26a,26bおよび、これに接続される電磁弁27,27a,27bは、窒素ガスの純度を設定するための流量調節弁で、例えば窒素ガスの濃度を99.9%,99%,97%の三段階に設定し、必要とする窒素ガスの濃度によって、電磁弁27,27a,27bのいずれかを選択して弁が開かれる。これは、流量調整弁26の流量を厳密に調整して、窒素ガス分離筒12内のガス通過速度を調節することによって調整される。
【0018】
所定の濃度で吐出される窒素ガスは逆止弁31を介して窒素ガスタンク32に貯溜される。逆止弁31の前に分岐配管によって付設される電磁弁29,マフラー30は、始動時または、再起動時の第一の電磁弁が開かれた時、窒素ガス分離機の回路中に滞留している残留ガスを制御基盤16の中に配設されるタイマーによって一定時間マフラー30から排出し、窒素ガスが所定濃度になってから窒素ガスタンク32に貯溜させるためのものである。
【0019】
窒素ガスタンク32には、ガス圧力計34と圧力スイッチ33が取付けられている。窒素ガスタンク32の圧力が設定された所定の圧力に上昇すると、検知体である圧力スイッチを作動させて、リレー、タイマー等の制御回路を経て第一の電磁弁22を閉じ、第二の電磁弁21が開かれる。窒素ガスタンク32に付設される圧力計34および、圧力スイッチ33は直接窒素ガスタンク32に付設されずに窒素ガスタンク前の管路に付設されても同じ構成となるものである。
【0020】
図4は膜分離法によるガス分離筒12の原理を示す模式図である。図4において、ガス分離筒12の一方の端部に圧縮空気供給口12aがあり、筒の中央部に微細孔膜で作られた細いチューブ12bが多数本あり、多数本のチューブの両端を多孔板12cの孔に接続し、多数本のチューブ12b内を圧縮空気を流すことによってチューブ側壁の微細孔より酸素,ヘリュウム,水等の速度の早い分子がチューブ外に透過し、酸素富化空気孔12dより排出する。そして窒素,アルゴン等の速度の遅い分子はチューブ内をそのまま通過し、ガス分離筒端部の窒素ガス取出口12eより窒素ガスを主体とする不活性ガスが吐出される。
【0021】
【発明の効果】
空気圧縮機と窒素ガス発生装置を台枠上に共有して併設し、パッケージ外面に圧縮空気取出口と窒素ガス取出口を設け、両者を使用可能にする制御回路を配設したことによって、空気圧縮機を別途に設備する必要のないコンパクトな装置となると共に、窒素ガスと圧縮空気と共に使用できる一台二役の、用途範囲の広い空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置となる。
【0022】
膜分離法による窒素ガス発生機構の採用によって、吸着方式に比べて制御機構が簡単な装置となる。
【0023】
空気圧縮機に無給油式スクロール圧縮機を用いたことによって、給油式に比較して、油分離の必要がなく、スクロール圧縮機であることから、運転中に吐出される空気圧力の変動が少なく、かつ、騒音,振動が低いことから空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置として、分離効率が高く低騒音の装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置の側面構造図である。
【図2】図1の空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置の正面構造図である。
【図3】本発明の空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置の全体構成を模式的に示すフロー図である。
【図4】膜分離法によるガス分離を説明するための原理図である。
【符号の説明】
1 スクロール圧縮機本体
2 空気タンク
3 台枠
7 アフタークーラ
9 水分離器
10 空気圧縮機
11 窒素ガス発生機
12,12A 窒素ガス分離筒
13 パネル板
14 仕切板
16 制御基盤
17 酸素濃度計
18 窒素ガス取出口
19 圧縮空気取出口
21 第二の電磁弁(第二の自動弁)
22 第一の電磁弁(第一の自動弁)
26,26a,26b流量調整弁
28 ミクロフィルタ
33 圧力スイッチ
Claims (5)
- 空気圧縮機と窒素ガス発生機を併設するガス発生装置において、空気圧縮機と窒素ガス発生機を一体の台枠上に共有して併設し、前記両機を囲繞するパッケージに収納するガス発生装置であって、窒素ガス発生機の吐出口側に配設される圧力検知装置によって、窒素ガスが設定圧力に達したことを検知し、該検知信号によって、窒素ガス発生機の圧縮空気供給側に付設される第一の自動弁を閉じ、空気圧縮機の吐出側に付設される第二の自動弁を開く制御回路をもつ空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置。
- 空気圧縮機と窒素ガス発生機を一体の台枠上に併設し、前記両機を囲繞するパッケージに収納する請求項1記載の装置であるとき、該パッケージ外面に圧縮空気取出口と、窒素ガス取出口をそれぞれ設けて、圧縮空気と窒素ガスの両者を使用可能にした空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置。
- 空気圧縮機と窒素ガス発生機を一体の台枠上に併設して搭載する時、搭載する窒素ガス発生機は、膜分離法による窒素ガス発生方式である請求項1記載の空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置。
- 空気圧縮機と窒素ガス発生機を一体の台枠上に併設して搭載する時、搭載する空気圧縮機が無給油式スクロール圧縮機である請求項1記載の空気圧縮機内蔵形窒素ガス発生装置。
- 請求項1記載の圧縮空気供給側に付設される第一の自動弁および、空気圧縮機の空気タンク吐出側に付設される第二の自動弁を開閉する自動制御回路を、手動切換えにより、窒素ガス発生機または、空気圧縮機のいずれかから発生した窒素ガス又は空気を単独に使用することを可能にした空気圧縮機内臓形窒素ガス発生装置。
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