JP3630583B2 - フェールセーフスイッチのオンライン診断方法および装置 - Google Patents

フェールセーフスイッチのオンライン診断方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプラントの操作端など、稼動状態の機器の「非常停止」や「フェールセーフ」を行うスイッチ(本明細書では、フェールセーフスイッチと総称する)に係わり、特にFET(Field Efect Transistor)などの半導体素子を用いるフェールセーフスイッチのオンライン故障診断に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラントなど複数の機器を連係動作させるやシステムでは、異常発生に伴う事故の拡大を防止するため、関連機器に対して所定のロジックに従った「非常停止」や「フェールセーフ」を行うためのフェールセーフスイッチを設けている。例えば、電源と機器間に接続したFET素子を、常時は導通状態(オン状態)で使用し、異常時は制御指令によりオフ状態として、機器を電源から切り離す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
常時オン、非常時オフで使用するフェールセーフスイッチは、異常時に正しくオフできるかを日頃から確認しておく必要がある。従来は定検などのオフライン時に、人手によって点検していた。
【0004】
しかし、オフライン点検ではプラントの点検周期が長くなる場合に、スイッチの健全性に問題が生じる。また、操作端とスイッチが離れている場合など、複数の人手による点検作業が行われることもある。
【0005】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を克服し、フェールセーフスイッチのオンライン点検を自動的に行える故障診断方法および装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、常時は交流電源から機器への通電を行い、「非常停止」または「フェールセーフ」の指令によって前記機器への通電を断つスイッチ(以下、フェールセーフスイッチと呼ぶ)のオンライン診断方法において、前記機器へ通電中の前記スイッチを、所定時間だけオン状態からオフ状態に遷移するように制御し、前記交流電源の通常の変化(正弦波)に応じた制御前(オン状態)の負荷電流または負荷電圧の検出値が制御中(オフ状態)に特異変化をするか否かを検出して、前記スイッチの健全性を判定することを特徴とする。
【0007】
前記所定短時間は、前記検出値がゼロから最大値未満の基準値(Reff)まで増加したときを基点に、前記スイッチのオン・オフ応答特性より定まる必要時間とする。たとえば、FETの応答特性であれば、必要時間は数マイクロ秒程度で十分である。なお、この所定時間は負荷動作に影響を与えない範囲とする。
【0008】
本発明の方法を実現するフェールセーフスイッチのオンライン診断装置は、前記機器の負荷電流または負荷電圧を検出する検出手段と、診断指令がオンの場合に、前記検出手段からの検出値が所定の基準値(Reff)を越えるタイミングで前記スイッチをオフ状態に制御する診断信号を発生する診断信号生成手段と、前記タイミングで保持されたホールド検出値と直後の検出値を比較し、前者が上回る場合は前記スイッチがオフ状態に遷移したと判定する判定手段と、を設けることを特徴とする。
【0009】
また、人手またはソフトウエアによって発行される診断指令情報と、前記検出値が負から正に変わるゼロクロス点の検出情報とのANDにより、前記診断指令を発行する診断指令発行手段を設けることを特徴とする。
【0010】
また、前記オンライン診断装置がプロセス入出力装置または前記機器に付設してなることを特徴とする。
【0011】
本発明の作用を説明する。本発明は、交流電源からフェールセーフスイッチを介して通電される機器の負荷電流または負荷電圧の検出値が、スイッチをオフ状態としたときに、オン状態の正弦波とは異なる変化を生じることを利用する。
【0012】
フェールセーフスイッチにFETを使用する場合、その応答特性は速いもので数ナノ秒となる。一方、負荷として接続される機器(例えば、電磁弁)を動かすのに必要な電磁力Fと電圧V、電流Iの関係は数1で表される。
【0013】
【数1】
F=K×I=1/L・∫Vdt
I=1/L・Vdt
従って、微小な時間での負荷電流(電圧)の変化は、電磁弁を開または閉するための電磁力Fに影響を及ぼさない。すなわち、FETのオン/オフ動作は数ナノ秒から数マイクロ秒で行われ、一方、機器の電磁力Fは数十ミリ秒から数秒の電源断によっても誤動作することはない。この特性差を利用すれば、瞬間的にFETをオフ制御し、負荷電流(電圧)の変化の挙動からその健全性を確認することができる。
【0014】
本発明により、フェールセーフスイッチのオンライン診断が可能になるので、短い点検周期で信頼性の高い健全性チエックができ、スイッチの閉故障による事故の発生や拡大を防止できる。また、点検が簡単で、作業時間を大幅に削減できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。図2は本発明の診断装置の一適用例となるプラント制御装置の概略構成を示す。全体の監視・制御を行う計算機2と複数の制御用コントローラ3はネットワークで結ばれ、計算機室などに配置される。各コントローラ3はプロセス入出力装置(PI/O)4、あるいはデバイスネット5を介して現場の操作端(機器)7を制御する。「非常停止」や「フェールセーフ」のためのフェールセーフスイッチにはFET10を使用し、交流電源6と機器7の間に常時導通状態で接続する。FET10の状態遷移の健全性をオンラインで確認するFET診断回路1が本発明の対象となる。
【0016】
図1は、一実施例によるFET診断装置の構成図である。本実施例では、操作端の電磁弁7の「フェールセーフスイッチ」となるFET10が診断回路1と共にPI/O4に設置されている。FET10のドレインDが電源2に、ソースSが電磁弁7側に接続され、ゲートGはスイッチ制御回路12を介して駆動回路11に接続されている。
【0017】
駆動回路11はFET10をオン/オフする制御信号を発生する。たとえば、接合型のFET10をアナログスイッチとして使用する場合、ゲートGを0Vにして(またはフローティング)オン状態(導通状態)とする。また、ゲートGにピンチオフ電圧Vpより高い電圧Vgsを印加してオフ状態とする。したがって、駆動回路11からVgsを発生し、常時はスイッチ制御回路12のIN−OUT間を開いてFET10をオン状態にする。一方、コントローラ3から非常停止やフエールセーフの制御指令が制御端子121に印加されると、IN−OUT間を閉じてFET10をオフ状態にし、電磁弁7への通電を遮断する。さらに、本実施例ではスイッチ制御回路12にテスト端子122を設け、後述する診断パルスの印加でIN−OUT間を閉じて、FET10をオフ状態にする。
【0018】
診断回路1は、交流電源2から電磁弁7に供給している負荷電流の検出回路20と、その検出値に基づくタイミングで診断パルスを発生する診断タイミング生成回路30と、診断結果を判定・出力する判定回路40を設けている。電流検出回路20は負荷電流を検出するCT21と、この検出電流を電圧に変換する電圧検出回路22からなる。
【0019】
診断タイミング生成回路30は、検出電圧Vと基準値Vreff(例えば、10v)を比較し、V≧Vreffで”1”を出力、V<Vreffで”0”を出力する比較回路34と、この比較回路34の1/0出力と診断指令出力回路33の1/0出力とのANDを行うAND回路35と、AND回路35の”1”出力により診断パルスを発生する診断パルス生成回路36からなる。
【0020】
診断指令出力回路33は、人手またはソフトウエアにより少なくとも電源の1周期以上に亘って”1”を出力する診断指示情報31と、検出電圧V(負荷電流I)が負から正になるゼロクロス点(t0)を検出して”1”を出力するゼロクロス検出回路32からの情報を入力し、両情報のANDが成立したt0からT1までの期間、論理”1”の出力を行う。
【0021】
判定回路40は検出電圧Vを入力し、上記診断パルスのタイミングで検出値(=Vreff)を保持するホールド回路41と、ホールド回路41の出力値と検出電圧Vを比較しVreff≧Vで”1”を出力する比較回路42と、比較回路42の出力”1”を診断パルスの立ち下がりでラッチするフリップフロップ43、ラッチした出力”1”を表示する表示器(たとえば、LED)44からなる。
【0022】
次に、本診断装置の動作を説明する。図3はFET診断装置の各部の信号変化を示すタイムチャートである。aは負荷電流Iを変換した検出電圧Vの波形で、通常は交流電源2の正弦波(50/60Hz、周期20ms)と同じである。
【0023】
bは診断指令情報31、cは検出電圧Vの負⇒正のゼロクロス点t0の検出情報、dは比較回路34の出力で、検出電圧Vが基準値Vref(10v)に到達した時点t1から”1”となる。なお、ゼロクロス検出情報bは時刻t0で開始して時刻t1を含み、それより若干長い信号幅T1として出力される。
【0024】
診断指令b、ゼロクロス検出情報c及び比較回路34の出力dの3つのAND条件が成立すると、診断パルスeがt1より若干遅れたタイミングで出力される。なお、診断パルスeのパルス幅はFET10の状態遷移に必要で、かつ電磁弁7の動作に影響を生じない時間で、数μs〜1ms程度となる。この診断パルスeが制御回路12のテスト端子121に入力されると、駆動回路11からのターンオフ信号fがゲートGに印加される。FET10が正常であればT2の期間、FET状態gはオン状態からオフ状態に遷移する。そして、診断パルスeが消失すると、FET状態gはオフ状態からオン状態に復旧する。
【0025】
診断パルスeはHOLD端子にも印加されるので、ホールド回路41はそのタイミングの検出電圧(ほぼ、Vreff)をホールド出力hとして、比較回路42の+側入力とする。一方、FET10のオフ状態により電磁弁7の通電が断たれると、比較回路42の−側入力の検出電圧Vが急降下し、t1から僅か後のt2ではVref≧Vとなり、検出V低下情報iが出力される。比較回路42からの低下情報iはt2からt4までおよそT2期間続き、F/F回路43に入力される。また、F/F回路43のLATCH端には診断パルスeの立ち下がりが印加され、このタイミングt3(t4より前)で低下情報iをラッチし、FETオフ検出情報jを表示器44に出力する。つまり、診断パルスeの発生でFET10が正常にオフ状態に遷移したことが、表示器44の表示(点灯)より確認できる。
【0026】
ところで、比較回路34の出力dはFETがオン状態に復帰すると、再び”1”を出力し始める。しかし、次の電源周期まで負から正に変わるゼロクロス点は出現しないので、診断パルスeが発行されることはない。もし、診断指令bが数周期に亘って持続していれば、上記した正常な診断動作が繰り返されるので、表示器44を点滅表示させることも可能である。
【0027】
また、診断中のFETに閉故障がある場合にも誤検出の恐れがない。すなわち、タイミングt1で診断パルスeを印加してFETがオフ状態に遷移しない場合、検出電圧Vは負荷電流Iに準じて変化する。この間、ホールド回路41はタイミングt1でVreffをホールドしているので、検出電圧VがVref⇒Vmax⇒Vrefの間は比較回路42の出力が”0”となる。また、F/F43のラッチは診断パルスeの立ち下がり(t3)で行われる。この結果、表示器44に誤って”1”が出力されることが二重に防止できる。
【0028】
このように、本実施例のFET診断装置によれば、常時オン状態のFETに対するオフ状態遷移への診断をオンラインで行えるので、短い点検周期でFETの健全性の確認が可能になり、FETの故障によるプラント事故の発生や拡大を確実に防止できる。また、点検作業は点検の指示と表示器の確認のみとなるので、簡単かつ短時間で行える。さらに、診断時の誤検出を二重に防止しているので、診断結果に対する信頼性が高い。
【0029】
なお、本実施例の診断回路1はPI/O4に組み込まれているが、図2の一部に示すように、操作端の機器7に付設する構成としてもよい。また、診断指令情報31の入力や診断結果の表示は、計算機2の入出力装置によってもよい。
【0030】
次に、本発明の他の実施例を説明する。図4は、他の実施例によるFET診断装置の構成図で、図1と同一部分には同一符号を付している。上記実施例との相違は、診断回路1を機器(電磁弁)7に付設し、かつ電流検出回路20に代えて電圧検出回路25を設けた点にある。
【0031】
図4に示すように、電磁弁7の電磁力Fを発生するコイル71の両端電圧(負荷電圧)をPT26により検出し、AMP27で増幅して図3と同じ検出電圧Vを得ている。以後の診断動作は、図1、図3で説明した方法と同様となるので、説明を省略する。
【0032】
以上、2つの実施例を通して本発明のフェールセーフスイッチの診断方法と診断装置を説明した。上記の実施例ではフェールセーフスイッチにFETを使用したがこれに限られるものではない。オン抵抗小、オフ抵抗大で、かつ電源波形の正負に関係なく双方向性を有する電子的スイッチ素子であれば(リードリレーなどの機械的接点では応答速度の点で問題がある)、広く適用可能である。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、プラントの制御端末等の機器に付設されその非常停止やフェールセーフを行うフェールセーフスイッチを、常時オン状態において瞬時オフ状態に遷移するよう制御し、制御前(オン状態)に前記スイッチを介して交流電源から通電される負荷電流または負荷電圧の検出値が、制御中(オフ状態)に生じる特異変化(正常な電源変化とは異なる変化)から、前記スイッチの正常なオフ動作を確認するので、スイッチの健全性をオンラインで診断できる。この結果、診断周期を大幅に短縮できるので、スイッチの信頼性が顕著に向上し、スイッチ不良による事故発生を回避できる。また、点検作業が簡単で人手を要しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるFETオンライン診断装置の構成図。
【図2】本発明を適用するプラント制御装置の概略図。
【図3】図1のオンライン診断装置の動作を示すタイムチャート。
【図4】本発明の他の実施例によるFETオンライン診断装置の構成図。
【符号の説明】
1…FET診断回路、3…コントローラ、4…プロセス入出力装置(PI/O)、7…電磁弁(機器)、71…コイル、10…FET、11…駆動回路、12…スイッチ制御回路、20…電流検出回路、21…CT、22…電圧検出回路、25…電圧検出回路、26…PT、30…診断タイミング生成回路、31…診断指示情報、32…ゼロクロス検出回路、33…診断指令出力回路、34…比較回路、35…AND回路、36…診断パルス生成回路、40…判定回路、41…ホールド回路、42…比較回路、43…フリップフロップ(F/F)、44…表示器(LED)。

Claims (4)

  1. 常時は交流電源から機器への通電を行い、「非常停止」または「フェールセーフ」の指令によって前記機器への通電を断つスイッチ(以下、フェールセーフスイッチと呼ぶ)のオンライン診断方法において、
    前記フェールセーフスイッチのオフ動作が前記機器の動作に影響を及ぼさない所定時間に行われるものであって、
    前記機器へ通電中の検出値が基準値を超えたとき、前記フェールセーフスイッチを前記所定時間だけオン状態からオフ状態に遷移するように診断パルスを与え、前記診断パルスにより前記所定時間だけ前記フェールセーフスイッチをオン状態からオフ状態に駆動し、前記オフ状態で前記機器を流れる検出値が前記基準値を下回るのを検出して、前記フェールセーフスイッチの健全性を判定することを特徴とするフェールセーフスイッチのオンライン診断方法。
  2. 常時は交流電源から機器への通電を行い、「非常停止」または「フェールセーフ」の指令によって前記機器への通電を断つスイッチ(以下、フェールセーフスイッチと呼ぶ)のオンライン診断装置において、
    前記機器の負荷電流または負荷電圧を検出する検出手段と、診断指令がオンの場合に、前記検出手段からの検出値が所定の基準値(Reff)を越えるタイミングで前記スイッチをオフ状態に制御する診断信号を発生する診断信号生成手段と、前記タイミングで保持されたホールド検出値と直後の検出値を比較し、前者が上回る場合は前記スイッチがオフ状態に遷移したと判定する判定手段を設けることを特徴とするフェールセーフスイッチのオンライン診断装置。
  3. 請求項2において、人手またはソフトウエアによって発行される診断指令情報と、前記検出値が負から正に変わるゼロクロス点の検出情報とのANDにより、前記診断指令を発行する診断指令発行手段を設けることを特徴とするフェールセーフスイッチのオンライン診断装置。
  4. 請求項2または3において、前記オンライン診断装置がプロセス入出力装置または前記機器に付設してなるフェールセーフスイッチのオンライン診断装置。
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