JP3630209B2 - ポリエステル樹脂、それから成るシート状物及び中空成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は透明性、ガスバリヤ−性、耐熱性、機械的特性および保香性に優れ、食品あるいは飲料用等の容器、包装材料として有利に使用しうるポリエステル樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂はその優れた透明性、機械的強度、耐熱性、ガスバリヤ−性等の特性により炭酸飲料、ジュ−ス、ミネラルウオ−タ等の容器の素材として採用されている。
しかし、エチレンテレフタレ−トを主たる繰り返し単位とするポリエステル樹脂は、副生物であるアセトアルデヒドを含有する。ポリエステル樹脂中のアセトアルデヒド含量が多い場合には、これから成形された容器やその他包装等の材質中のアセトアルデヒド含量も多くなり、該容器等に充填された飲料等の風味や臭いに影響を及ぼす。したがって、従来よりポリエステル樹脂中のアセトアルデヒド含量を低減させるために種々の方策が採られてきた。
近年、ポリエチレンテレフタレ−トを中心とするポリエステル樹脂製容器は、ミネラルウオ−タやウ−ロン茶等の低フレ−バ−飲料用の容器として使用されるようになってきた。このような飲料の場合は、一般にこれらの飲料を熱充填したりまたは充填後加熱して殺菌されるが、飲料容器のアセトアルデヒド含量の低減だけではこれらの内容物の風味や臭いが改善されないことがわかってきた。
また、飲料用金属缶については、工程簡略化、衛生性、公害防止等の目的から、その内面にエチレンテレフタレ−トを主たる繰り返し単位とするポリエステルフイルムを被覆した金属板を利用して製缶する方法が採られるようになってきた。この場合にも、内容物を充填後高温で加熱殺菌されるが、この際アセトアルデヒド含量の低いフイルムを使用しても内容物の風味や臭いが改善されないことが分かってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決することにあり、透明性、ガスバリヤ−性、耐熱性、機械的特性および保香性に優れ、食品あるいは飲料用等の容器、包装材料として有利に使用しうるポリエステル樹脂を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題点に鑑み鋭意研究の結果、本発明に到達した。
即ち、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成されるポリエステル樹脂において、遊離のエチレングリコ−ル含量が20ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量が70ppm以下、遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量が100ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量と遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量の合計が150ppm以下、および遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト2量体含量が350ppm以下であることを特徴とするポリエステル樹脂である。
【0005】
また、本発明のポリエステル樹脂は、極限粘度が0.65dl/g以上、密度が1.37g/cm3 以上であり、遊離のエチレングリコ−ル含量が20ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量が50ppm以下、遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量が70ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量と遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量の合計が100ppm以下、および遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト2量体含量が200ppm以下であることが好ましい。
【0006】
また、本発明のポリエステル樹脂は、アセトアルデヒド含量が10ppm以下、ホルムアルデヒド含量が7ppm以下であることが好ましい。
【0007】
また、本発明のポリエステル樹脂は、環状3量体含量が0.5重量%以下であることが好ましい。
さらに、本発明のポリエステル樹脂は、共重合されたジエチレングリコ−ル量がグリコ−ル成分の1.0〜5.0モル%であることが好ましい。
【0008】
前記の特性を持つポリエステル樹脂は、優れた透明性、耐熱性、機械的特性および保香性を持つ中空成形体、シ−ト状物や延伸フイルムおよびこれらからの容器や包装材料を与える。
【0009】
【発明の実施の形態】
主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成される本発明のポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレ−ト単位を85モル%以上含む線状ポリエステル樹脂であり、好ましくは、95モル%以上含む線状ポリエステル樹脂である。
【0010】
前記ポリエステル樹脂の共重合に使用されるジカルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
【0011】
前記ポリエステル樹脂の共重合に使用されるグリコ−ルとしては、ジエチレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコ−ルなどが挙げられる。
【0012】
さらに、前記ポリエステル樹脂中の多官能化合物からなるその他の共重合成分としては酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸を挙げることができ、グリコ−ル成分としてグリセリン、ペンタエリスリト−ルを挙げることができる。以上の共重合成分の使用量は、ポリエステル樹脂が実質的に線状を維持する程度でなければならない。
【0013】
本発明のポリエステル樹脂の極限粘度は0.55〜1.30dl/g、好ましくは0.60〜1.20 dl/g、さらに好ましくは0.65〜0.90dl/gの範囲である。0.55dl/g以下では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また、1.30dl/gを越える場合は、成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
【0014】
本発明のポリエステル樹脂は、その樹脂中に遊離のエチレングリコ−ルが20ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−トが70ppm以下、遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−トが100ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−トと遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−トの合計量を150ppm以下、および遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト2量体含量が350ppm以下含有することを特徴とするポリエステル樹脂である。遊離のエチレングリコ−ル含量は好ましくは18ppm以下、さらに好ましくは17ppm以下であり、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量が好ましくは60ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下、遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量が好ましくは90ppm以下、さらに好ましくは70ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量と遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量の合計が好ましくは145ppm以下、更に好ましくは140ppm以下、および遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト2量体含量が好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは250ppm以下である。
【0015】
前記のポリエステル樹脂の遊離のエチレングリコ−ル含量が20ppm以上、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量が70ppm以上、遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量が100ppm以上、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量と遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量の合計が150ppm以上、および遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト2量体含量が350ppm以下の場合には、このポリエステル樹脂から得られた容器等中の内容物の風味や香りが非常に悪くなる。これらの遊離のモノマ−等の低分子量化合物は、ポリエステル樹脂製容器等の材質より内容物中に極微量ではあるが溶出し、その結果内容物の風味等に影響を及ぼすと考えられる。
【0016】
また、本発明のポリエステル樹脂は、極限粘度が0.65dl/g以上、好ましくは0.68dl/g以上、さらに好ましくは0.70dl/g以上、密度が1.37g/cm3 以上、好ましくは1.38g/cm3 以上、更に好ましくは1.39g/cm3 以上で、遊離のエチレングコ−ルが20ppm以下、好ましくは18ppm以下、更に好ましくは15ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−トが50ppm以下、好ましくは40ppm以下、更に好ましくは30ppm以下、遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−トが70ppm以下、好ましくは60ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−トと遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−トの合計が100ppm以下、好ましくは80ppm以下、更に好ましくは60ppm以下、および遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト2量体含量が200ppm以下、好ましくは180ppm以下、さらに好ましくは150ppm以下を含有することを特徴とするポリエステル樹脂である。このポリエステル樹脂を包装材料に使用すると、その内容物の風味等がさらに改善される。
【0017】
また、本発明のポリエステル樹脂のアセトアルデヒド含量は10ppm以下、好ましくは8ppm以下、更に好ましくは5ppm以下、ホルムアルデヒド含量は7ppm以下、好ましくは6ppm以下、更に好ましくは4ppm以下である。アセトアルデヒド含量が10ppm以上、およびホルムアルデヒド含量が7ppm以上の場合は、このポリエステル樹脂から成形された容器等の内容物の風味や臭い等が悪くなる。特に、アセトアルデヒド含量が10ppm以下、ホルムアルデヒド含量が7ppm以下であると、内容物の風味や臭いがさらに一層改善される。本発明のポリエステル樹脂のアセトアルデヒド含有量を10ppm以下、またホルムアルデヒド含有量を7ppm以下にする方法は特に限定されるものではないが、例えば低分子量のポリエステル樹脂を減圧下または不活性ガス雰囲気下において195℃から230℃の温度範囲で固相重合する方法を挙げることが出来る。
【0018】
また、本発明のポリエステル樹脂のジエチレングリコ−ル量はグリコ−ル成分の1.0〜5.0モル%、好ましくは1.3〜4.5モル%、更に好ましくは1.5〜4.0モル%である。ジエチレングリコ−ル量が5.0モル%以上の場合は、熱安定性が悪くなり、成型時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデヒド含量やホルムアルデヒド含量の増加量が大となり好ましくない。
【0019】
また、本発明のポリエステル樹脂の環状3量体の含有量は0.50重量%以下、好ましくは0.45重量%以下、さらに好ましくは0.40重量%以下である。本発明のポリエステル樹脂から耐熱性の中空成形体等を成形する場合は加熱金型内で熱処理を行うが、環状3量体の含有量が0.50重量%以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマ−付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の透明性が非常に悪化する。
【0020】
本発明のポリエステル樹脂は、従来公知の製造方法によって製造することが出来る。即ち、テレフタ−ル酸とエチレングリコ−ル及び/又は第三成分を直接反応させて水を留去しながらエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法により製造される.更に極限粘度を増大させ、アセトアルデヒド含量等を低下させる為に固相重合を行ってもよい。
【0021】
前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いし、また連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
【0022】
本発明のポリエステル樹脂は、溶融重縮合を出来るだけ低温度で短時間に実施し、また溶融重縮合終了後チップ化するため、細孔から押し出すまでの間、出来るだけ低温度で短時間の条件下に溶融状態で保持することにより得られる。
【0023】
重縮合反応の温度は260〜285℃が好ましく、真空度は600〜0.1Torrである。回分式装置での重縮合の場合は、最終段階の重縮合反応を260〜285℃、5〜0.1Torrの減圧下に1.5時間以内に終了すべきである。また連続式装置で重縮合を行う場合は、最終の重縮合反応は260〜285℃、5〜0.1Torrの条件で2時間以内で終了することが重要である。また、溶融重縮合終了後の溶融状態での保持条件は、260〜285℃で20分以内、好ましくは15分以内、更に好ましくは10分以内にすべきである。285℃以上の高温度で重縮合を行ったり、2時間以上の長時間の重縮合を行う場合には、上記の遊離のモノマ−等の低分子化合物の含量が前記の制限量以上になり、得られたポリエステル樹脂からの包装材料の内容物の風味や臭いが非常に悪くなる。
【0024】
直接エステル化法による場合は、重縮合触媒としてGe、Sb、Tiの化合物が用いられるが、特にGe化合物が好都合である。Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレングリコ−ルのスラリ−、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液または これにエチレングリコ−ルを添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明のポリエステル樹脂を得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコ−ルを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。これらの重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができ、特に本発明のポリエステル樹脂を得るにはエステル化工程の初期段階に添加するのが好ましい。
【0025】
Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル樹脂中のGe残存量として20〜150ppm、好ましくは23〜100ppm、更に好ましくは25〜70ppmである。
また、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やトリメチルフォスフェ−ト等の燐酸エステル類等をポリエステル樹脂中残存燐含量として10〜100ppm使用するのが好ましい。これらの安定剤はテレフタル酸とエチレングリコ−ルのスラリ−調合槽からエステル化反応工程中に添加することができ、特に本発明のポリエステル樹脂を得るにはスラリ−調合槽やエステル化反応の中期までに添加するのが好ましい。
DEG含量を制御するためにエステル化工程に塩基性化合物、とえば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等を加えることが出来る。
【0026】
また、本発明のポリエステル樹脂には必要に応じて着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核剤、離型剤などを本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
本発明のポリエステル樹脂は、中空成形容器、トレ−、2軸延伸フイルム等の包装材、金属缶被覆用フイルム、シート状物等として好ましく用いることが出来る。
【0027】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこの実施例に限定されるものではない。
なお特性値の測定法は以下に示すとおりである。
1)ポリエステル樹脂(以下「PET樹脂」とする)の極限粘度(以下「IV」という)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノ−ル(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
2)ジエチレングリコ−ル含量(以下[DEG含量」という)
メタノ−ルにより分解し、ガスクロマトグラフィ−によりDEG量を定量し、全グリコ−ル成分に対する割合(モル%)で表した。
【0028】
3)遊離のエチレングリコ−ル含量(以下「EG含量]という)
樹脂ペレット試料をヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液に溶解し、次いで水を加えて均一化する。水相を濾過した溶液についてガスクロマトグラフ法によりEGを定量した。
4)遊離のモノマ−等低分子化合物含量
樹脂ペレット試料をヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液に溶解し、さらにクロロフルムを加え希釈する。これにメタノ−ルを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固しジメチルフォルムアミドで定容とし、液体クロマトグラフ法により定量した。
【0029】
5)アセトアルデヒド含量(以下「AA含量」という)
樹脂ペレット試料/蒸留水=1g/2mlを窒素置換したガラスアンプルに入れて上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィ−で測定し濃度をppmで表示した。6)ホルムアルデヒド含量(以下「FA含量」という)
樹脂ペレット試料1gを蒸留水2mlとともにガラスアンプルに入れ、窒素置換後上部を溶封し、160℃、1時間加熱処理した。冷却後、シクロヘキサン−1,3−ジオンとの蛍光誘導体に変換し、液体クロマトグラフ法にて測定しFAを求める。詳細は、分析化学、Vol.34、p.314(1985)に記載されている。
【0030】
7)PET樹脂の環状3量体含量
樹脂ペレット試料をヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加え希釈する。これにメタノ−ルを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミドで定容とし、液体クロマトグラフ法により定量した。
8)密度
四塩化炭素/n−ヘプタン混合溶媒の密度勾配管で25℃で測定した。
【0031】
9)官能試験
日精エ−エスビ−機械(株)の50T型延伸ブロ−成型機を用いて、ポリマ−温度275℃でパリソンを射出成形し、次いで延伸ブロ−し1.5Lの中空成形容器を成形した。これに70℃のイオン交換水を入れ30分保持後、室温へ冷却し1ケ月間放置し、開栓後風味、臭い等の試験を行った。比較用のブランクとして、イオン交換水を使用。官能試験は10人のパネラ−により次の基準により実施し、平均値で比較した。
0:異味、臭いを感じない。1:ブランクとの差をわずかに感じる。2:ブランクとの差を感じる。3:ブランクとのかなりの差を感じる。4:ブランクとの非常に大きな差を感じる。
【0032】
(実施例1)
連続重合設備により下記の要領にてPET樹脂を製造した。
予め反応物を含有している第1エステル化反応器に、毎時865重量部の高純度テレフタル酸と580重量部のエチレングリコ−ルとのスラリ−を連続的に供給し、攪拌下、約250℃、0.5kg/cm2 Gで平均滞留時間3時間反応を行った。また、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解し、これにエチレングリコ−ルを添加加熱処理した触媒溶液、および燐酸のエチレングリコ−ル溶液を別々にこの第1エステル化反応器に連続的に供給した。この反応物を第2エステル化反応器に送付し、攪拌下、約260℃、0.05kg/cm2 Gで所定の反応度まで反応を行った。このエステル化反応生成物を連続的に第1重合反応器に送り、攪拌下、約265℃、25torrで1時間、次いで第2重合反応器で攪拌下、約265℃、3torrで1時間、さらに第3重合反応器で攪拌下、約275℃、0.5〜1torrで1時間重合させた。重合反応物を約275℃で5分以内の滞留時間で細孔へ送り、ストランド状に押し出し水冷後、チップ状に切断した。得られたPET樹脂のIVは0.69、DEG含量は2.1モル%であった。このPET樹脂を、窒素雰囲気下で乾燥し中空成形容器の成形に供した。
表1に得られたPET樹脂の遊離の低分子化合物含量および中空成形容器の官能試験結果を示す。
表1に示すとうり本発明のPET樹脂は内容物の味覚を変化させることがない中空成形容器を与えることができる。
【0033】
(比較例1)
第2重合反応器での反応までは実施例1と同じ条件で実施し、第3重合反応器では約287℃、2〜3torrで1時間重合し、この反応物を約287℃で30分間で細孔へ送り、実施例1と同様にしてチップ化した。得られたPET樹脂のIVは0.60、DEGは2.2モル%であった。
表1に評価結果を示す。
【0034】
(実施例2)
二酸化ゲウマニウムの添加量を減らし、さらに第3重合反応器の温度を約272℃に変更する以外は実施例1とほぼ同一の反応条件のもとで重合し、IV=0.54のプレポリマ−を得た。この樹脂をひきつづき窒素雰囲気下、約155℃で結晶化し、さらに窒素雰囲気下で約200℃に予熱後、連続固相重合反応器に送り窒素雰囲気下で約205℃で固相重合した。得られたPET樹脂のIVは0.73、DEG含量は2.1モル%、密度は1.398g/cm3 、AA含量は4.0ppm、FA含量は2.1ppmであった。この樹脂を実施例1と同一条件で乾燥し、中空成型容器を得た。
表2に評価結果を示した。本発明のPET樹脂は内容物の味覚を変化させることがない中空成形容器を与えることが分かる。
【0035】
(実施例3)
固相重合を約210℃に変更する以外は実施例2と同一条件で重合し、IVが0.76、DEGが2.0モル%、密度が1.401g/cm3 、AA含量が3.5ppm,FA含量が1.5ppmのPET樹脂を得た。この樹脂を実施例1と同一条件で成形し中空成形容器を得た。
表2に得られたPET樹脂の遊離の低分子化合物含量および中空成形容器の官能試験結果を示す。
表2に示すとうり本発明のPET樹脂は内容物の味覚を変化させることがない中空成形容器を与えることがわかる。
【0036】
(比較例2)
DEG含量を変更するためにエステル化反応条件を変え、さらに第3重合反応器の温度を約287℃、減圧度を3〜5torrに変更する以外は比較例1とほぼ同一の反応条件のもとで重合し、この反応物を約295℃で30分の滞留時間で細孔へ送りチップ化した。得られたプレポリマ−のIVは0.52であった。この樹脂をひきつづき重合温度を190℃とする以外は実施例2と同様の条件で固相重合した。得られたPET樹脂のIVは0.68、DEGは7.2モル%、密度は1.396g/cm3 、AA含量は11.0ppm、FA含量は8.0ppmであった。この樹脂を実施例1と同一条件で乾燥し、中空成型用容器を得た。評価結果を表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂は、透明性、ガスバリヤ−性、耐熱性、機械的特性および保香性に優れ、食品あるいは飲料用等の容器、包装材料として有用である。
Claims (7)
- 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成されるポリエステル樹脂において、遊離のエチレングリコ−ル含量が20ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量が70ppm以下、遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量が100ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量と遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量の合計が150ppm以下、および遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト2量体含量が350ppm以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
- 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成されるポリエステル樹脂において、極限粘度が0.65dl/g以上、密度が1.37g/cm3 以上であり、遊離のエチレングリコ−ル含量が20ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量が50ppm以下、遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量が70ppm以下、遊離のモノヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量と遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト含量の合計が100ppm以下、および遊離のビスヒドロキシエチルテレフタレ−ト2量体含量が200ppm以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
- アセトアルデヒド含量が10ppm以下、ホルムアルデヒド含量が7ppm以下である請求項2記載のポリエステル樹脂。
- 環状3量体含量が0.5重量%以下である請求項2または3のポリエステル樹脂。
- 共重合されたジエチレングリコ−ル量がグリコ−ル成分の1.0〜5.0モル%である請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂を押出成形して成ることを特徴とするシート状物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂から成ることを特徴とする中空成形体。
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