JP3630180B2 - ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電気光学的表示材料として有用なネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子の代表的なものにTN−LCD(ツイスティッド・ネマチック液晶表示素子)があり、時計、電卓、電子手帳、ポケットコンピュータ、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータなどに使用されている。一方、OA機器の処理情報の増加に伴い、一画面に表示される情報量が増大しており、シェファー(Scheffer)等[SID ’85 Digest, 120頁(1985年)]、あるいは衣川等[SID ’86 Digest, 122頁(1986年)]によって、STN−LCD(スーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示素子)が開発され、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータなどの高情報処理用の表示に広く普及しはじめている。
【0003】
更に、その表示品質が優れていることから、アクティブ・マトリクス形液晶表示装置が液晶テレビ、プロジェクター表示、コンピューター等のディスプレイの応用分野に有力なものとして市場に出されている。アクティブ・マトリクス表示方式は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)あるいはMIM(メタル・インシュレータ・メタル)等のスイッチング素子が使われており、この方式には漏れ電流の小さいこと、即ち高電圧保持率であることが重要視されている。(以下、これらアクティブ・マトリクス表示方式の液晶表示素子を総称してTFT−LCDと呼称する)従って、この様な表示素子に対応するために、現在も新しい液晶化合物あるいは液晶組成物の提案、例えば特公表5−501735号公報、特公表5−500681号公報、特公表5−500682号公報等の提案がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
TN−LCDやSTN−LCDには、液晶材料の化学的安定性、液晶表示装置の低電圧駆動性等の課題がある。
【0005】
例えば、高時分割数で良好な駆動特性が要求されているワードプロセッサ、パーソナルコンピューター等の情報量の多いSTN−LCDには駆動電圧を低減させる必要から、CN基を有する誘電異方性の大きな液晶材料が用いられている。しかしながら、このような液晶材料は粘性の増加により、良好な応答特性を得ることを困難にさせる、あるいは各画素毎のキャパシタンス成分の増加により表示可能な駆動周波数範囲を狭め、クロストーク現象を発生させる等の問題を有している。
【0006】
また、低電圧で駆動可能な従来の液晶材料の場合、調製された初期あるいは促進テスト後の抵抗値が低いことが多く、時分割数の増大に伴う表示のちらつきやコントラストの低下等を引き起こす原因となったり、暗い画質を補う目的でバックライトを利用したSTN−LCDに用いられる場合、耐熱性及び耐光性等の化学的安定性が新たに要求されている。
【0007】
これらの要求特性に加えて、特にアクティブ・マトリクス方式においては、均一で高いコントラストを得るために、漏れ電流が小さく、高い電圧保持率を有することが重要である。この様な特性を得るために、例えば、下記のような一般式(2−a)の化合物が用いられてきた。
【0008】
【化6】
Figure 0003630180
【0009】
(式中、Rはアルキル基を表わし、
【0010】
【化7】
Figure 0003630180
【0011】
は重水素原子(D)を含有しない1,4−シクロヘキシレン基であることを表わす。以下同様。)
しかしながらこれらの化合物を用いても、広い温度範囲においてネマチック液晶性を保持することと、アクティブ・マトリクス方式に要求されるしきい値電圧及び飽和電圧を充分に低減させることとを両立させるには問題があった。特に、飽和電圧はコントラストを向上させる目的で、従来行われてきた透過率が10%となる電圧より更に厳しい評価方法として、透過率が1%となる電圧が重視されている。以下、飽和電圧Vsatをこの意味で用いる。
【0012】
更に加えて、均一で高いコントラストの液晶表示特性を得るために、液晶パネルの液晶層の厚みdと液晶材料の複屈折率△nとの積△n・dを0.35〜0.55(以下このことをファーストミニマムと呼称する)とするのが好ましいとされている。現在の液晶パネルの作製工程で行われている厚みdは約4.5μm以上であることから、液晶材料の複屈折率△nを0.07〜0.10とすることが要求されている。しかし、より小さい複屈折率とより低い駆動電圧の特性は、相反する傾向のため両者を同時に満足させることが困難であった。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題に応えることにあり、広い温度範囲で液晶性を示し、駆動電圧特に飽和電圧Vsatが低くしかも充分に高い電圧保持率を有し、0.07〜0.10の複屈折率Δnを有する液晶組成物を提供し、更にこの液晶組成物を用い、フリッカが発生せずコントラストに優れた液晶表示装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、以下に示すネマチック液晶組成物を提供する。
【0015】
即ち、(1)一般式(I)
【0016】
【化8】
Figure 0003630180
【0017】
(式中、Rは炭素原子数が2、4又は6の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、2つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる第1の化合物及び(2)一般式(II)〜(IV)
【0018】
【化9】
Figure 0003630180
【0019】
(式中、R〜Rはそれぞれ独立的に炭素原子数が2、4又は6の直鎖状アルキル基を表わし、各化合物における2つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる化合物からなる第2群から選ばれる化合物を含有することを特徴とするネマチック液晶組成物を提供する。
【0020】
上記の一般式(I)〜(IV)で表わされる化合物において、各化合物における2つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)が重水素原子(D)で置換された化合物としては、例えば、以下のような一般式(I−1)〜(IV−1)で表わされる化合物を使用することができる。
【0021】
【化10】
Figure 0003630180
【0022】
(式中、Rは炭素原子数が2、4又は6の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R〜Rはそれぞれ独立的に炭素原子数が2、4又は6の直鎖状アルキル基を表わし、X〜Xはそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水素原子(D)を表わすが、各化合物におけるX〜X又はX〜Xのうちの少なくとも1個は重水素原子(D)を表わす。)
また、本発明の液晶組成物はこの一般式(I−1)〜(IV−1)表わされる化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することが好ましいが、一般式(I−1)〜(III−1)で表わされる化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することが特に好ましい。
【0023】
また、第2群から選ばれる化合物としては、一般式(II−1)、一般式(III−1)及び一般式(IV)で表わされる化合物を含有することが好ましく、特に一般式(IV)の化合物については、重水素原子(D)を有していないものが好ましい。
【0024】
本発明は、上記の第1の化合物及び第2群の化合物を含有する液晶組成物に加える成分として、(3)一般式(V)〜(VII)
【0025】
【化11】
Figure 0003630180
【0026】
(式中、R〜Rはそれぞれ独立的に炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、Y〜Yはそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わすが、少なくとも1個はフッ素原子を表わし、各化合物における1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる化合物からなる第3群から選ばれる化合物を併用して用いることが好ましい。
【0027】
この第3群から選ばれる化合物としては、▲1▼一般式(VII)で表わされる化合物、▲2▼一般式(V)及び一般式(VI)で表わされる化合物、▲3▼一般式(V)及び一般式(VII)で表わされる化合物の組み合わせが好ましい。また、一般式(VII)の化合物のうち、特に重水素原子(D)を有する化合物としては、一般式(VII−1)
【0028】
【化12】
Figure 0003630180
【0029】
(式中、Rは炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、X〜Xはそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水素原子(D)を表わすが、少なくとも1個は重水素原子(D)を表わす。)で表わされる化合物を用いることができる。
【0030】
更に本発明は上記のネマチック液晶組成物を用いたアクティブ・マトリクス液晶表示装置、ツイスティッド・ネマチック又はスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置を提供する。
【0031】
以下、本発明を詳述するにあたり、一般式(I)〜(VII)の各化合物における全ての1,4−シクロヘキシレン基が、前述の式(2−b)で定義した1,4−シクロヘキシレン基である化合物の例を、下記一般式(Iー0)〜(VII−0)で表わす。
【0032】
【化13】
Figure 0003630180
【0033】
(式中、R01〜R07及びY01〜Y03は、各々前記したR〜R及びY〜Yと同じ意味である。)
【0034】
本発明に係わる一般式(I)〜(IV)で表わされる代表的な化合物として、化合物(1−1)〜(1−5)とその相転移温度を下記第1表に示す。下記表中、m.p.は結晶相から液晶相又は等方性液体相に相転移する温度を、c.p.は液晶相から等方性液体相に相転移する温度をそれぞれ表わす。また、各液晶化合物は、蒸留、カラム精製、再結晶等の方法を用いて不純物を除去し、充分精製したものを使用した。
【0035】
【表1】
Figure 0003630180
【0036】
本発明の液晶組成物の特徴は、一般式(I)で表わされる第1の化合物と一般式(II)〜(IV)で表わされる第2群の化合物において、側鎖基の炭素原子数を2、4又は6に特定した点にある。この様に、側鎖基を偶数に差別化した化合物を選択して組み合わせて得られる本発明の液晶組成物は、従来駆動電圧、特に飽和電圧Vsatが3.0V以上であった問題を解決することができる。即ち、本発明のネマチック液晶組成物は、飽和電圧Vsatを3.0V以下あるいは2.5V前後に低減させる効果を有する。
【0037】
本発明は、一般式(I)で表わされる第1の化合物及び一般式(II)〜(IV)で表わされる第2の化合物群から選ばれる化合物を組み合わせることにより、好適なネマチック液晶組成物を得られることを見いだした。本発明者らはこの特徴を例えば、特願平6−202039号明細書で明らかにしている。即ち、一般式(I)で表わされる第1の化合物と一般式(II)〜(IV)で表わされる第2の化合物群から選ばれる化合物を組み合わせて得られた液晶組成物は、特に低温においてネマチック相を誘起拡大させる性質があり、また低温に保存してもネマチック液晶性をより長期に保持できるものである。
【0038】
第1の化合物において、一般式(I)のRが直鎖状のアルケニル基で表わされる化合物は、本発明に係わる他の化合物と組み合わせた時、低温側においてネマチック相を誘起拡大させる相溶性を示し、電圧保持率を低下させることなく駆動電圧を維持あるいは低減させる効果がある。特に、相溶性については、一般式(2−a)の化合物と比較した結果から、1,4−シクロヘキシレン基の水素原子(H)が重水素原子(D)で置換されているかいないか、あるいは側鎖基がアルケニル基かアルキル基かの僅かな差異によって特段の効果を示すことが明らかにされた。また、この化合物は、表示特性に重要な役割を果たす弾性定数比(K33/K11)が他の化合物に比べて大きいあるいは小さい。従って、用途に応じた弾性定数比を示すネマチック液晶組成物を調製することができるものである。更に、ネマチック液晶組成物の粘性を低下させるものであり、他の化合物と組み合わせることによって広い温度範囲で高速応答性を有する液晶材料を容易に得ることができる。一般式(I)で表わされる化合物としては特に下記のものが優れている。
【0039】
【化14】
Figure 0003630180
【0040】
第2の化合物群の中の一般式(II)〜(IV)で表わされる化合物は、−C−、−C−の連結基を有しており、3,4,5−トリフルオロフェニル基を有しているものである。これらの化合物は、複屈折率△nが他の化合物に比べ小さいので、用途に応じた複屈折率のネマチック液晶組成物を調整することができ、また電圧保持率を低下させることなく駆動電圧を維持あるいは低減させる効果を有していることを見いだした。
【0041】
しかしながら、スメクチック相を示し易い傾向があり、例えばこれらの化合物のみからなる組成物では、スメクチック相の存在に依ってネマチック相が非常に狭く、特に室温から低温で駆動可能なネマチック液晶組成物を調製することは困難であった。本発明者等は、種々の組み合わせを検討した結果、一般式(I)で表わされる化合物と一般式(II)〜(IV)で表わされる化合物群から選ばれる化合物を用いることにより、各々の化合物が有している優れた特性を損なうことなく、広い温度範囲で使用できるネマチック液晶組成物を調製できることを見いだした。
【0042】
本発明の液晶組成物の第2の特徴は、一般式(I)〜(IV)で表わされる化合物から選ばれた1種又はそれ以上の化合物において、1,4−シクロヘキシレン基の1個又はそれ以上の水素原子(H)を重水素原子(D)に置換した化合物を含有していてもよい点にある。この様にして得られた液晶組成物は、低温でのネマチック相を安定化させる性質があり、特に低温に保存してもネマチック液晶性をより長期に保持できるものである。本発明者らは、重水素原子(D)で置換した1,4−シクロヘキシレン基を有する化合物を用いたこの様な効果を特願平5−104144号明細書、特願平5−182734号明細書等で明らかにした。即ち、本発明の液晶組成物の中でも、低温に保存してもネマチック性を長時間有することができるものである。また、重水素原子(D)で置換した1,4−シクロヘキシレン基を有する一般式(I−1)〜(IV−1)で表わされる化合物は、重水素原子(D)で置換されていない1,4−シクロヘキシレン基を有する一般式(Iー0)〜(VIIー0)で表わされる化合物と比較して、有為さのある弾性定数及びそれらの比、あるいは有利なしきい値電圧を示しており、用途に応じた電気光学特性に調整できるものである。
【0043】
本発明のネマチック液晶組成物に用いる一般式(V)〜(VII)で表わされる第3群の化合物は、上述の特性及びTN−LCD、STN−LCD、TFT−LCD等に要求される特性を維持向上する効果を有し、これらの化合物を使用する場合、側鎖基R〜Rがそれぞれ独立的に炭素原子数2又は4の直鎖状アルキル基である化合物を含有することが好ましい。また、一般式(V)の化合物を含有する場合は、Yがフッ素原子であり、且つY及びYが共に水素原子である化合物が好ましい。
【0044】
一般式(V)で表わされる化合物は、液晶組成物の複屈折率(△n)を大きくして調整でき、更にしきい値電圧や飽和電圧を低減させるのに有用なものである。一般式(VI)、(VII)で表わされる化合物は、−C−の連結基を有し他の液晶化合物との相溶性にも優れ、液晶組成物のネマチック相温度範囲を高温側及び低温側に拡大させる効果を有し、液晶表示装置の駆動可能な温度範囲を拡大することができ、しきい値電圧の低減にも有効である。
【0045】
更に、本発明の液晶組成物は、一般式(I)〜(VII)の化合物に加えて、液晶組成物の他の特性を改善するために、液晶化合物として認識される通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶などを含有してもよい。
【0046】
本発明の液晶組成物における各化合物の含有量は、一般式(I)で表わされるRがアルケニル基の化合物を0〜30重量%、Rがアルキル基の化合物を0〜10重量%の範囲で含有することが好ましい。また、一般式(II)で表わされる化合物をそれぞれ0〜25重量%、一般式(III)で表わされる化合物をそれぞれ0〜25重量%、一般式(IV)で表わされる化合物をそれぞれ0〜20重量%の範囲で含有することが好ましい。一般式(V)で表わされる化合物をそれぞれ0〜15重量%、一般式(VI)で表わされる化合物をそれぞれ0〜15重量%、一般式(VII)で表わされる化合物をそれぞれ0〜15重量%の範囲で含有することが好ましい。
【0047】
また、液晶組成物における各化合物の総含有量は、一般式(I)で表わされる化合物を5〜60重量%の範囲で含有することが好ましい。また、一般式(II)で表わされる化合物を5〜40重量%、一般式(III)で表わされる化合物を5〜40重量%、一般式(IV)の化合物を5〜40重量%の範囲で含有することが好ましい。一般式(V)の化合物を0〜20重量%、一般式(VI)の化合物を0〜25重量%、一般式(VII)の化合物を0〜25重量%の範囲で含有することが好ましい。
【0048】
この様にして得られた本発明の液晶組成物は、後述の実施例に示したように、80〜90℃のネマチック相−等方性液体相転移温度(TN−I)のものでは1.1〜1.3Vのしきい値電圧(Vth)、約2.5〜2.6Vの飽和電圧(Vsat)の特性を得ることができた。
【0049】
また、本発明のネマチック液晶組成物は、後述の実施例に示した加熱促進テスト、紫外線照射促進テストを行ったところ、各促進テスト後も98%以上の高い電圧保持率を有することや化学的にも非常に安定で高い抵抗値を有することが確認された。
【0050】
この様に、本発明のネマチック液晶組成物は、広い温度範囲で液晶性を示し、しきい値電圧および飽和電圧が低く、充分に高い電圧保持率を有する液晶組成物である。また、アクティブ・マトリクス液晶表示装置を作製したところ、フリッカが発生せずコントラストに優れた液晶表示装置を作製することができた。更に、TN−LCDやSTN−LCD液晶表示パネルを作製したところ、広範な駆動周波数で表示可能であることが確認された。
【0051】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中、測定した特性の各記号の意味は以下の通りである。
【0052】
N−I : ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
th : パネル液晶層の厚みをdとしファーストミニマム△n・d=0.5のTN−LCDを構成した時のしきい値電圧(V)
sat : パネル液晶層の厚みをdとしファーストミニマム△n・d=0.5のTN−LCDを構成し、光透過率1%となる飽和電圧(V)
△ε : 誘電異方性
△n : 複屈折率
又、組成物の促進テストは、液晶組成物2gをアンプル管に入れ、真空脱気後、窒素置換の処理をして封入し、180℃、1時間の加熱促進テスト、及び10時間の紫外線照射促進テスト「SUNTEST」(オリジナルハナウ社製)で行った。液晶組成物の比抵抗と電圧保持率は促進テスト前後で測定した。
【0053】
(実施例1)
【0054】
【化15】
Figure 0003630180
【0055】
からなるネマチック液晶組成物(3−1)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 59.1 ℃
th : 1.07 V
sat : 2.55 V
△ε : 8.1
△n : 0.067
テスト前の比抵抗 : 5.8×1013Ω cm
加熱促進テスト後比抵抗 : 3.6×1013Ω cm
紫外線照射促進テスト後比抵抗: 2.5×1013Ω cm
テスト前の電圧保持率 : 98.4%(測定温度80℃)
加熱促進テスト後電圧保持率 : 98.0%(測定温度80℃)
紫外線照射促進テスト後電圧保持率: 98.0%(測定温度80℃)
このネマチック液晶組成物(3−1)を構成材料とするアクティブ・マトリクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さくフリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。
【0056】
(実施例2)
【0057】
【化16】
Figure 0003630180
【0058】
からなるネマチック液晶組成物(3−2)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 84.3 ℃
th : 1.22 V
sat : 2.76 V
△ε : 8.8
△n : 0.073
【0059】
(比較例1)
【0060】
【化17】
Figure 0003630180
【0061】
からなるネマチック液晶組成物(3−a)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 88.1 ℃
th : 1.39 V
sat : 3.10 V
△ε : 9.1
△n : 0.077
以上のことから、本発明の液晶組成物(3−1)は、液晶組成物(3−a)と比較して、従来駆動電圧特に飽和電圧Vsatが3.0V以上であった問題を解決し、飽和電圧Vsatを2.5V前後に低減させる効果を有することが明らかである。本発明の液晶組成物(3−2)は、液晶組成物(3−1)に一般式(VI)を添加して液晶組成物(3−a)とほぼ同じTN−Iとなるように調整したものである。本発明の液晶組成物(3−2)も、液晶組成物(3−a)と比較して、飽和電圧Vsatが低減されていることが判る。これは、一般式(I)で表わされる第1群の化合物と一般式(II)〜(IV)で表わされる第2群の化合物において、側鎖基の炭素原子数が2、4又は6の化合物に特定し、側鎖基を偶数に差別化した化合物を選別して組み合わせたことによる特段の効果である。また、電気光学特性における急峻性も相乗効果として働いていると思われる。
【0062】
(実施例3)
【0063】
【化18】
Figure 0003630180
【0064】
からなるネマチック液晶組成物(3−3)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 91.7 ℃
ーn : −36.0 ℃
th : 1.20 V
sat : 2.55 V
△ε : 9.9
△n : 0.085
テスト前の比抵抗 : 5.7×1013Ω cm
加熱促進テスト後比抵抗 : 3.6×1013Ω cm
紫外線照射促進テスト後比抵抗: 2.2×1013Ω cm
テスト前の電圧保持率 : 98.5%(測定温度80℃)
加熱促進テスト後電圧保持率 : 98.0%(測定温度80℃)
紫外線照射促進テスト後電圧保持率: 98.1%(測定温度80℃)
このネマチック液晶組成物(3−3)を構成材料とするアクティブ・マトリクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さくフリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。
【0065】
またこのネマチック液晶組成物(3−3)にカイラル物質「S−811」(メルク社製)を添加して混合液晶を調製した。一方、対向する平面透明電極上に「サンエバー150」(日産化学社製)の有機膜をラビングして配向膜を形成し、ツイスト角220度のSTN−LCD表示用セルを作製した。上記の混合液晶をこのセルに注入して液晶表示装置を構成し、表示特性を測定した。その結果、しきい値電圧が低く、高時分割特性に優れ、表示画面のちらつきやクロストーク現象が改善されたSTN−LCD表示特性を示す液晶表示装置が得られた。
【0066】
(実施例4)
【0067】
【化19】
Figure 0003630180
【0068】
からなるネマチック液晶組成物(3−4)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 85.9 ℃
ーn : −30.0 ℃
th : 1.20 V
sat : 2.59 V
△ε : 9.1
△n : 0.084
【0069】
【発明の効果】
本発明のネマチック液晶組成物は、広い温度範囲でネマチック相を示し、しきい値電圧および飽和電圧が低く、更に複屈折率が小さく、高い電圧保持率を有す。しかも化学的安定性が高い。従って、これを用いた本発明の液晶表示装置は、均一で高いコントラストが得られ、表示画面のちらつき、クロストーク現象を改善することができ、情報量の多いTN−LCD、STN−LCDあるいはアクティブ・マトリクス方式において良好な駆動特性及び表示特性が得られる。

Claims (18)

  1. (1)一般式(I)
    Figure 0003630180
    (式中、R1は炭素原子数が2、4又は6の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、2つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる第1の化合物化合物を少なくとも5%含有し、(2)一般式(II)〜(IV)
    Figure 0003630180
    (式中、R2〜R4はそれぞれ独立的に炭素原子数が2、4又は6の直鎖状アルキル基を表わし、各化合物における2つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる化合物からなる第2群から選ばれる化合物を少なくとも5%含有し、一般式( I )〜( IV )で表される化合物の合計が66%以上であることを特徴とするネマチック液晶組成物。
  2. 一般式(I-1)〜(IV-1)
    Figure 0003630180
    (式中、R1は炭素原子数が2、4又は6の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R2〜R4はそれぞれ独立的に炭素原子数が2、4又は6の直鎖状アルキル基を表わし、X1〜X7はそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水素原子(D)を表わすが、各化合物におけるX1〜X4又はX5〜X7の少なくとも1個は重水素原子(D)を表わす。)で表わされる化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項1記載のネマチック液晶組成物。
  3. 一般式(I-1)〜(III-1)で表わされる化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項2記載のネマチック液晶組成物。
  4. 第2群から選ばれる化合物が、一般式(II-1)、一般式(III-1)及び一般式(IV)の化合物であることを特徴とする請求項3記載のネマチック液晶組成物。
  5. 一般式(IV)において、2つの1,4−シクロヘキシレン基が重水素原子(D)で置換されていないことを特徴とする請求項4記載のネマチック液晶組成物。
  6. (3)一般式(V)〜(VII)
    Figure 0003630180
    (式中、R5〜R7はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、Y1〜Y3はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わすが、少なくとも1個はフッ素原子を表わし、各化合物における1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる化合物からなる第3群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項1又は3記載のネマチック液晶組成物。
  7. 第3群から選ばれる化合物が、一般式(VII)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項記載6記載のネマチック液晶組成物。
  8. 第3群から選ばれる化合物が、一般式(V)及び一般式(VI)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項6記載のネマチック液晶組成物。
  9. 第3群から選ばれる化合物が、一般式(V)及び一般式(VII)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項6記載のネマチック液晶組成物。
  10. 一般式(VII-1)
    Figure 0003630180
    (式中、R7は炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、X1〜X4はそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水素原子(D)を表わすが、少なくとも1個は重水素原子(D)を表わす。)で表わされる化合物を含有することを特徴とする請求項7又は9記載のネマチック液晶組成物。
  11. 一般式(V)〜(VII)において、R5〜R7はそれぞれ独立的に炭素原子数が2又は4の直鎖状アルキル基を表わす化合物を含有することを特徴とする請求項6記載のネマチック液晶組成物。
  12. 一般式(V)において、Y1がフッ素原子を表わし、Y2及びY3は共に水素原子を表わすことを特徴とする請求項8又は9記載のネマチック液晶組成物。
  13. 一般式(I)で表わされる化合物を5〜60重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1又は6記載のネマチック液晶組成物。
  14. 一般式(II)で表わされる化合物を5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1又は6記載のネマチック液晶組成物。
  15. 一般式(III)で表わされる化合物を5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1又は6記載のネマチック液晶組成物。
  16. 一般式(IV)で表わされる化合物を5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1又は6記載のネマチック液晶組成物。
  17. 請求項1乃至16記載のネマチック液晶組成物を用いたアクティブ・マトリクス形液晶表示装置。
  18. 請求項1乃至16記載のネマチック液晶組成物を用いたツイスティッド・ネマチック又はスーパ・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置。
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