JP3629845B2 - チップ状電子部品の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、チップ状電子部品の製造方法に関するもので、特に、チップ状電子部品の外部電極の形成において電気めっきが適用される、チップ状電子部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえばチップコイル、チップ抵抗器、チップコンデンサのようなチップ状電子部品を製造する場合、多数のチップ状電子部品を能率的に得るため、一般に、図10に示すようなマザー構造物1が用意される。マザー構造物1は、複数の互いに平行な第1の分割線2およびこれら第1の分割線2に対して直交する複数の互いに平行な第2の分割線3に沿って分割することにより、複数のチップ状電子部品のための素体4を与えるものである。
【0003】
また、チップ状電子部品には、たとえば外部回路要素との接続のための端子となる外部電極が、典型的には、図10に示した素体4の両端部上に形成される。このような外部電極において、下地となる金属膜が、まず、ドライめっきまたは焼付け等により、素体4上に形成され、その上に、半田拡散防止や半田付け性を高める等の目的でニッケルや錫または半田等の電気めっき膜が形成されるものがある。
【0004】
上述した電気めっきには、図11に示すようなバレル方式が採用されることがある。すなわち、めっき液5内には、軸6を中心として矢印7で示すように回転するバレル8が配置されるとともに、バレル8に対向するように陽極9が配置される。バレル8側は、公知の手段で陰極とされる。また、バレル8は、めっき液5の通過を許容する構造を有しており、その内部には、上述のように下地となる金属膜が既に形成された複数の素体4とともに、たとえばスチールボールからなる導電性の複数のメディア10が投入される。
【0005】
このようなバレル方式により電気めっきを実施するとき、ある素体4上の金属膜が、メディア10および/または他の素体4上の金属膜を介して、陰極側に接続されたバレル8の電極とある確率で電気的に導通し、それによって、陽極9側から供給された金属が金属膜上に析出する。なお、バレル方式による電気めっきの場合、主として、バレル8内の表面部にある素体4に対して、めっきが施されるが、バレル8の回転により複数の素体4が攪拌されるため、結果として、すべての素体4に対してめっきが施されることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、個々の素体4について見たとき、それが表面部に出てくる確率は、素体4とメディア10との投入比、素体4の投入数量、バレル8の大きさ等により左右するものであるが、いずれにしてもそれほど高くはなく、また、素体4上の金属膜だけでなくメディア10上にもめっき膜が析出するため、所望のめっきを終えるのに比較的長時間要する、という問題がある。
【0007】
また、バレル方式の場合、素体4がばらばらの状態で取り扱われるので、たとえば薄膜でコイル導体を形成したチップコイルの場合のように、素体4が方向性を有している場合には、後工程において方向を合わせるための操作が必要となり、このことがコストアップの原因となっている。
さらに、素体4上の下地金属膜がメディア10と接している時は導通しているが、浮きが発生した場合は導通が遮断され、めっき膜厚のばらつきが発生するという問題もある。
【0008】
そこで、この発明の目的は、外部電極となる上述したような下地の金属膜の表面に電気めっきによりめっき膜を形成する方法が能率化され、かつコストアップの要因を低減できる、チップ状電子部品の製造方法を提供しようとすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るチップ状電子部品の製造方法では、上述の技術的課題を解決するため、分割することにより複数のチップ状電子部品のための素体が得られるように複数の当該素体を長手方向に配列したものであって、その長手方向に延びかつ互いに対向する両側面にチップ状電子部品の外部電極となる金属膜が形成された、スティック状ブロックと、このスティック状ブロックを保持するものであって、外部から金属膜へのめっき液の到達を許容する経路を有するとともに、少なくとも一方の金属膜に導電的に接触する導電面を備える、ホルダとがそれぞれ用意される。そして、このホルダにスティック状ブロックを保持させ、このようにスティック状ブロックを保持したホルダをめっき液内に浸漬し、かつ導電面を陰極側に接続した状態で、電気めっきが実施される。次いで、複数の素体を得るため、スティック状ブロックが分割される。
【0010】
この発明において用いられるホルダの形式に関して、次のような態様のものがある。第1に、ホルダは、スティック状ブロックを収納するキャビティを備え、このキャビティの少なくとも一部は、スティック状ブロックの前記両側面に対してそれぞれクリアランスを介して対向する壁面によって規定され、金属膜へのめっき液の到達を許容する通路の一部は、これらクリアランスによって与えられる。第2に、ホルダは、スティック状ブロックを収納するキャビティを備え、このキャビティは、スティック状ブロックの前記両側面をそれぞれ露出させる開口を形成している。
【0011】
上述の第2の態様のホルダを用いるとき、電気めっきする工程において、好ましくは、めっき液内には、2つの陽極が互いに対向するように配置され、スティック状ブロックの前記両側面をそれぞれ陽極に対向させるように、ホルダが2つの陽極の間に配置される。
また、スティック状ブロックの両側面に形成された金属膜が、当該スティック状ブロックを介して互いに導通されることもある。この場合には、ホルダにスティック状ブロックを保持させたとき、ホルダに備える導電面が一方の金属膜に接触するだけで、他方の金属膜も導電面に対して導通状態となる。このように、スティック状ブロックの両側面に形成された金属膜が当該スティック状ブロックを介して互いに導通される一態様としては、2つの金属膜がスティック状ブロックから得られる各チップ状電子部品の内部に形成されるコイル導体によって互いに導通される態様がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3は、この発明の一実施形態によるチップ状電子部品の製造方法を説明するためのものである。
この実施形態では、図10に示すように、マザー構造物1が第1の分割線2に沿って1次分割されることによって得られたスティック状ブロック11の形態で以下の工程が実施される。スティック状ブロック11は、最終的には、第2の分割線3に沿って2次分割することにより複数の素体4が得られるように複数の素体4を長手方向に配列したものである。
【0013】
このようなスティック状ブロック11の長手方向に延びかつ互いに対向する両側面には、図1および図2に示すように、得ようとするチップ状電子部品の外部電極の下地となる金属膜12が形成される。これら金属膜12は、スティック状ブロック11の両側面上だけでなく、これら側面に隣接する面の一部をも覆う位置まで延びている。金属膜12は、たとえば、ドライめっきにより形成されたり、導電性ペーストの塗布、焼付けによって形成されたりする。ドライめっきにより形成される場合、たとえば、ニクロムからなる層とモネルからなる層との2層構造であったりする。また、焼付けの場合、たとえば、Ag−Pdを導電成分とする金属膜12が形成される。
【0014】
なお、素体4すなわちスティック状ブロック11の材質は、セラミックであっても、樹脂であってもよいが、金属膜12の形成に焼付けが適用される場合には、耐熱性が要求されるので、セラミックであることが好ましい。
このようなスティック状ブロック11を保持するため、ホルダ13が用意される。ホルダ13は、ホルダ本体14と、その両主面上にそれぞれ重ねられるカバー板15および16とを備える。
【0015】
ホルダ本体14には、複数のスティック状ブロック11をそれぞれ個別に収納する複数のキャビティ17が設けられる。各キャビティ17内にスティック状ブロック11が収納されたとき、スティック状ブロック11の厚みがホルダ本体14の厚みの範囲内に納まるように、ホルダ本体14の厚みが決められる。また、スティック状ブロック11がキャビティ17内で動き得るように、スティック状ブロック11の両側面とこれらに対向するキャビティ17の各壁面との間には、それぞれ、クリアランス18が形成される。
【0016】
カバー板15および16は、互いに実質的に同様の構成を有している。カバー板15および16は、上述のようにキャビティ17内に収納されたスティック状ブロック11がキャビティ17内において適正な姿勢を維持しながら留められるようにするためのものである。カバー板15および16には、上述したクリアランス18にそれぞれ連通するスリット状の透孔19および20が設けられる。この実施形態では、1つのキャビティ17に関して、2つずつの透孔19および20が位置するようにされ、また、透孔19および20の各々の近傍に金属膜12が位置するようにされる。
【0017】
図1に示すように、ホルダ13に複数のスティック状ブロック11を保持させた状態としてから、ホルダ13は、図3に示すように、めっき液21内に浸漬される。ホルダ13には、その外部から金属膜12へのめっき液21の到達を許容する経路が形成されている。すなわち、この経路は、上述した透孔19および20ならびにクリアランス18によって与えられる。
【0018】
この実施形態では、ホルダ13に備えるホルダ本体14ならびにカバー板15および16は、ともにステンレス鋼のような導電性材料から構成され、めっき液21中において、このホルダ13が陰極側に接続される。したがって、キャビティ17内において、スティック状ブロック11上の金属膜12は、ホルダ13に接触することにより、陰極側の電位を有するようにされる。他方、ホルダ13に対向するように、めっき液21内には、たとえば錫またはニッケルからなる陽極22が配置される。このようにして、電気めっきが進められ、金属膜12上に、所望の金属からなるめっき膜が析出する。
【0019】
なお、ホルダ13において、ホルダ本体14ならびにカバー板15および16のすべてが導電性材料から構成されるのではなく、金属膜12に接触する部分のみが導電性材料から構成されてもよい。たとえば、この実施形態では、カバー板16を下方に向けて、ホルダ13が水平姿勢に配置されるので、このカバー板16のみが導電性材料から構成されてもよい。要するに、ホルダ13は、陰極側に接続されかつ金属膜12に導電的に接触する導電面を少なくとも備えていればよいことになるので、ホルダ13の、金属膜12に接触する面のみが導電性を有するようにされてもよく、ホルダ13自身の材料は任意に選ぶことができる。
【0020】
図3に示しためっき工程において、好ましくは、めっき液21は適当に攪拌され、透孔19および20ならびにクリアランス18によって与えられる経路を通ってめっき液21が良好に循環するようにされる。また、ホルダ13は、図3において矢印23で示すように、めっき液21中にて、前後、左右または上下に揺動または振動されるのが好ましい。これによって、スティック状ブロック11はキャビティ17内で動くので、上述しためっき液21の循環が一層促進されるとともに、金属膜12上へめっき膜がより均一に析出するようになり、また、めっき膜の析出によりホルダ13とスティック状ブロック11とがくっつくことがない。
【0021】
次いで、金属膜12上に所望の金属からなるめっき膜が形成されたスティック状ブロック11は、図10に示すように、ここから複数の素体4または完成品としてのチップ状電子部品を得るため、第2の分割線3に沿って2次分割される。この分割後の姿勢を崩さないように、複数の素体4を取り扱うようにすれば、素体4の方向性を合わせるための再整列工程を不要とすることができる。
【0022】
図4および図5は、この発明の他の実施形態によるチップ状電子部品の製造方法を説明するためのものである。
この実施形態では、まず、用いられるホルダ13aが前述した実施形態におけるホルダ13と異なっている。図4に示すように、ホルダ13aは、ホルダ13の場合と同様、ホルダ本体14aと、その両主面上にそれぞれ重ねられるカバー板15aおよび16aとを備える。
【0023】
ホルダ本体14aには、複数のスティック状ブロック11をそれぞれ個別に収納する複数のキャビティ17a(1つのみが図示されている。)が設けられる。各キャビティ17a内にスティック状ブロック11が収納されたとき、スティック状ブロック11の幅がホルダ本体14aの厚みの範囲内に納まるように、ホルダ本体14aの厚みが決められる。キャビティ17aは、ここに収納されたスティック状ブロック11の両側面をそれぞれ露出させる開口24および25を形成している。
【0024】
カバー板15aおよび16aは、互いに実質的に同様の構成を有している。カバー板15aおよび16aには、上述した開口24および25の位置にそれぞれ対応する位置に透孔26および27が設けられる。なお、カバー板15aおよび16aは、詳細には図示しないが、スティック状ブロック11の長手方向両端部において、スティック状ブロック11を覆う壁部28および29を有していて、これによって、上述のようにキャビティ17a内に収納されたスティック状ブロック11がキャビティ17a内において適正な姿勢を維持しながら留められるようにされる。
【0025】
このようにして、この実施形態では、外部から金属膜12へのめっき液30の到達を許容する経路は、透孔26および27と開口24および25を含むキャビティ17aの一部とによって与えられる。
また、この実施形態では、図4および図5に示すように、ホルダ13aがその面方向を垂直に向けてめっき液30中に配置される。また、めっき液30内には、垂直方向に延びる2つの陽極31および32が互いに対向するように配置される。そして、ホルダ13aは、スティック状ブロック11の両側面をそれぞれ陽極31および32に対向させるように、2つの陽極31および32の間に配置される。
【0026】
このようにして、めっき操作が実施されたとき、スティック状ブロック11の両側面すなわち金属膜12が、開口24および25ならびに透孔26および27を介して、陽極31および32とそれぞれ正面で対向しているので、金属膜12上により効率的にめっき膜を析出させることができる。
この実施形態においても、ホルダ本体14aならびにカバー板15aおよび16aのすべてが導電性材料から構成されるのではなく、金属膜12に接触する部分のみが導電性材料から構成されてもよい。たとえば、この実施形態では、ホルダ13aが垂直姿勢に配置されるので、ホルダ本体14aのみが導電性材料から構成されてもよい。また、ホルダ13aの、金属膜12に接触する面のみが導電性を有するようにされてもよい。
【0027】
また、この実施形態においても、好ましくは、めっき液30は適当に攪拌され、透孔26および27ならびに開口24および25を通ってめっき液30が良好に循環するようにされる。また、ホルダ13aは、図5において矢印33で示すように、めっき液30中にて、前後、左右または上下に揺動または振動されるのが好ましい。これによって、スティック状ブロック11はキャビティ17a内で動くので、上述しためっき液30の循環が一層促進されるとともに、金属膜12上へめっき膜がより均一に析出するようになり、また、めっき膜の析出によりホルダ13aとスティック状ブロック11とがくっつくことがない。
【0028】
次いで、前述した実施形態の場合と同様、金属膜12上に所望の金属からなるめっき膜が形成されたスティック状ブロック11は、図10に示すように、第2の分割線3に沿って分割され、それによって複数の素体4または完成品としてのチップ状電子部品が与えられる。
図6ないし図8は、この発明のさらに他の実施形態によるチップ状電子部品の製造方法を説明するためのものである。ここで、図6は、前述した図1に対応する図であって、ホルダ13bを分解してスティック状ブロック11aとともに示す斜視図である。また、図7は、図6の線VII−VIIに沿う断面をもってホルダ13bをスティック状ブロック11aとともに示す拡大断面図であり、図8は、同じく線VIII−VIIIに沿う断面をもって示したものである。
【0029】
この実施形態では、用いられるホルダ13bの形態およびホルダ13b内でのスティック状ブロック11aの保持姿勢が、前述した実施形態の場合とは異なっている。ホルダ13bは、ホルダ本体14bと、その両主面上にそれぞれ重ねられるカバー板15bおよび16bとを備える。
ホルダ本体14bには、複数のスティック状ブロック11aをともに収納するキャビティ17bが設けられる。キャビティ17bは、上下方向に貫通している。キャビティ17bを規定する周面上であって、対向する1対の内側面の各々上には、複数の位置決め凹部34および35が等間隔に配列されて設けられる。スティック状ブロック11aは、各々の長手方向の各端部が位置決め凹部34および35内に位置決めされた状態で、キャビティ17b内に収納される。キャビティ17b内では、スティック状ブロック11aは、その両側面に形成された金属膜12aおよび12bが上下方向に向くようにされ、このような姿勢にあるスティック状ブロック11aの上下方向寸法がホルダ本体14bの厚みの範囲内に納まるように、ホルダ本体14bの厚みが決められる。
【0030】
スティック状ブロック11aは、位置決め凹部34および35内において、幅方向クリアランス36(図7参照)、長手方向クリアランス37(図8参照)および上下方向クリアランス38(図7および図8参照)を形成して位置され、そのため、これらクリアランス36〜38の分だけ、キャビティ17b内で幅方向、長手方向および上下方向に動くことができる。
【0031】
カバー板15bおよび16bは、互いに実質的に同様の構成を有している。カバー板15bおよび16bには、上述したキャビティ17bの位置に対応して透孔39および40が設けられる。透孔39および40は、スティック状ブロック11aの両側面に形成された金属膜12aおよび12bをそれぞれ露出させる。また、カバー板15bおよび16bは、図7および図8によく示されているように、スティック状ブロック11aの長手方向両端部において、スティック状ブロック11aを覆う壁部41および42を有していて、これによって、上述のようにキャビティ17b内に収納されたスティック状ブロック11aがキャビティ17b内において適正な姿勢を維持しながら留められるようにされる。
【0032】
このようにして、この実施形態では、外部から金属膜12aおよび12bへのめっき液の到達を許容する経路は、透孔39および40とキャビティ17bの一部とによって与えられる。
この実施形態では、スティック状ブロック11aは、下方の導電膜12bにおいてのみ、ホルダ13b、より特定的には下のカバー板16bに接触しており、この状態で、めっき液中に配置され、下方の導電膜12bに対してだけでなく上方の導電膜12aに対しても電気めっきが施される。
【0033】
このことを可能にするため、この実施形態では、スティック状ブロック11aを分割して得られるチップ状電子部品は、内部にコイル導体43を形成するインダクタンス素子すなわちチップコイルであり、このスティック状ブロック11aの両側面に形成された金属膜12aおよび12bは、コイル導体43によって互いに導通されている。したがって、ホルダ13bに一方の金属膜12bを接触させるだけで、他方の金属膜12aにも陰極側の電位が与えられ、双方の金属膜12aおよび12bに対する電気めっきを同時に達成することができる。
【0034】
なお、双方の金属膜12aおよび12bを互いに導通する状態にするのは、上述したコイル導体43以外のものであってもよい。たとえば金属皮膜抵抗体のような抵抗体であってもよい。また、この導通手段は、上述したコイル導体43のように、スティック状ブロック11aの内部に形成されるものに限らず、外表面上に形成されるものであってもよい。また、導電手段は、得ようとするチップ状電子部品のための電気的要素となるものを兼ねるのではなく、たとえば、スティック状ブロック11aの長手方向端部であって、チップ状電子部品を取り出す部分ではない部分に形成された導電手段であってもよい。
【0035】
この実施形態においても、ホルダ本体14bならびにカバー板15bおよび16bのすべてが導電性材料から構成されるのではなく、下方の金属膜12bに接触する部分のみが導電性材料から構成されてもよい。たとえば、この実施形態では、下方のカバー板16bのみが導電性材料から構成されても、また、カバー板16bの、金属膜12bに接触する面のみが導電性を有するようにされてもよい。
【0036】
また、この実施形態においても、好ましくは、めっき液は適当に攪拌され、透孔39および40を通ってめっき液が良好に循環するようにされる。また、ホルダ13bは、めっき液中にて、前後、左右または上下に揺動または振動されるのが好ましい。これによって、スティック状ブロック11aはキャビティ17b内で動くので、上述しためっき液の循環が一層促進されるとともに、金属膜12aおよび12b上へめっき膜がより均一に析出するようになり、また、めっき膜の析出によりホルダ13bとスティック状ブロック11aとがくっつくことがない。
【0037】
スティック状ブロック11aを特に長手方向に揺らすと、スティック状ブロック11aは、ホルダ13bに対して図8において左右方向に往復変位する。これによって、クリアランス37の大きさおよびスティック状ブロック11aの長手方向端部における金属膜12bが形成されない領域の大きさを適当に選べば、カバー板16bに接触する金属膜12bの端部においてもめっき液に接触する機会が与えられ、めっき膜の形成が阻害されない。
【0038】
なお、カバー板16bに接触する金属膜12bの端部においては、上述のように、めっき液に接触する機会が与えられるとしても、金属膜12bの他の部分に比べると、めっき液に接触している総時間が短く、析出するめっき膜の膜厚も薄くなることは避けられない。したがって、この問題を懸念するならば、金属膜12bの端部が位置するスティック状ブロック11aの端部には、コイル導体43を形成せず、金属膜12bのみを形成し、この端部からはチップ状電子部品を取り出さないようにすればよい。
【0039】
次いで、前述した実施形態の場合と同様、金属膜12aおよび12b上に所望の金属からなるめっき膜が形成されたスティック状ブロック11aは、図10に示すように、第2の分割線3に沿って分割され、それによって複数の素体4または完成品としてのチップ状電子部品が与えられる。
図9は、この発明のさらに他の実施形態を説明するためのものである。図9に示した実施形態は、前述した各実施形態におけるホルダ13、13aおよび13bのいずれに対しても適用することができる。したがって、図9では、これらホルダ13、13aおよび13bを総括して、「13c」の参照符号をもってホルダが示されている。
【0040】
図9に示すように、複数のホルダ13cが、互いの間に間隔を置いた状態となるように、スペーサ部材44により保持される。このような保持状態のまま、複数のホルダ13cは、めっき液内に浸漬され、各ホルダ13cによって保持された複数のスティック状ブロックの金属膜に対してめっきが施される。このとき、複数のホルダ13cの互いの間にもめっき液が円滑に流通するので、各ホルダ13c間でめっき膜析出量に差が生じることはない。
【0041】
このように、複数のホルダ13cを一緒に取り扱えば、めっき工程の能率が高められるので、チップ状電子部品の生産能力が高められ、結果として、チップ状電子部品のコストダウンを図ることができる。
以上、この発明を図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他、種々の変形の実施形態が可能である。
【0042】
たとえば、ホルダは、スティック状ブロック11または11aを保持することができ、外部からスティック状ブロック11または11a上の金属膜12または12aおよび12bへのめっき液の到達を許容する経路を有するとともに、金属膜12または少なくとも一方の金属膜12bに導電的に接触する導電面を備える、という条件を満たす限り、どのような形態のものでもよく、その形状、構造、分割構成等は種々に変更することができる。
【0043】
【発明の効果】
このように、この発明によれば、外部から金属膜へのめっき液の到達を許容する経路を有するとともに、少なくとも一方の金属膜に導電的に接触する導電面を備えるホルダを用い、このホルダによってスティック状ブロックを保持しかつ導電面を陰極側に接続した状態で、スティック状ブロックをホルダとともにめっき液に浸漬して電気めっきを実施するので、金属膜上へのめっき膜の析出が、めっき操作中において、常に進行する。したがって、バレル方式に比べて、より短時間でめっき工程を終えることができ、めっきに必要な電力の節減を図ることができる。
【0044】
また、個々の素体の形態ではなく、分割することにより複数の素体が得られるスティック状ブロックの形態で、外部電極のための金属膜上への電気めっき膜の形成が行なわれるので、その後の工程にまで素体を一定の方向に向けた整列状態で取り扱うことが可能となり、バレル方式の場合に必要であった素体の再整列工程が不要となる。したがって、このことは、特に方向性のあるたとえばチップコイルのようなチップ状電子部品の製造にとって有利であり、このような再整列のためのコストの削減に伴い、全体としてのチップ状電子部品の製造コストを低減することができる。
【0045】
この発明において、ホルダとして、スティック状ブロックを収納するキャビティが、スティック状ブロックの金属膜が形成された両側面をそれぞれ露出させる開口を形成しているものを用いるとともに、電気めっきするとき、めっき液内に2つの陽極を互いに対向するように配置し、スティック状ブロックの上述の両側面をそれぞれ陽極に対向させるように、ホルダを2つの陽極の間に配置すれば、各金属膜上に、より能率的にめっき膜を析出させることができる。
【0046】
また、スティック状ブロックの両側面に形成された金属膜が、当該スティック状ブロックを介して互いに導通される場合には、ホルダにスティック状ブロックを保持させたとき、ホルダに備える導電面が一方の金属膜に接触するだけで、他方の金属膜も導電面に対して導通した状態となる。したがって、この実施形態によれば、ホルダに備える導電面を両方の金属膜に接触させるための配慮が不要となるので、ホルダの設計が容易になる。このような効果は、得ようとするチップ状電子部品がたとえばチップコイルである場合のように、スティック状ブロックから得られる各チップ状電子部品の内部に形成されるコイル導体によって、2つの金属膜が互いに導通されている場合などにおいて期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態によるチップ状電子部品の製造方法において用いられるホルダ13の一部を拡大してスティック状ブロック11とともに示す断面図である。
【図2】図1に示したホルダ13を分解してスティック状ブロック11とともに示す斜視図である。
【図3】図1に示すようにスティック状ブロック11を保持したホルダ13をめっき液21内に浸漬して電気めっきを実施している状態を示す図解的正面図である。
【図4】この発明の他の実施形態によるチップ状電子部品の製造方法において用いられるホルダ13aの一部を拡大してスティック状ブロック11とともに示す断面図であり、併せて陽極31および32の各一部を示している。
【図5】図4に示した実施形態を説明するための図3に相当の図である。
【図6】この発明のさらに他の実施形態によるチップ状電子部品の製造方法において用いられるホルダ13bを分解してスティック状ブロック11aとともに示す斜視図である。
【図7】図6の線VII−VIIに沿う断面をもってホルダ13bをスティック状ブロック11aとともに示す拡大断面図である。
【図8】図6の線VIII−VIIIに沿う断面をもってホルダ13bをスティック状ブロック11aとともに示す拡大断面図である。
【図9】この発明のさらに他の実施形態によるチップ状電子部品の製造方法において適用される複数のホルダ13cの配置状態を示す正面図である。
【図10】チップ状電子部品の製造工程において、複数の素体4を得るために用意されるマザー構造物1を示す斜視図である。
【図11】この発明にとって興味あるバレル方式によるめっき工程を図解的に示す正面図である。
【符号の説明】
1 マザー構造物
2,3 分割線
4 素体
11,11a スティック状ブロック
12,12a,12b 金属膜
13,13a,13b,13c ホルダ
17,17a,17b キャビティ
18,36,37,38 クリアランス
19,20,26,27,39,40 透孔
21,30 めっき液
22,31,32 陽極
24,25 開口
43 コイル導体

Claims (6)

  1. 分割することにより複数のチップ状電子部品のための素体が得られるように複数の当該素体を長手方向に配列したものであって、その長手方向に延びかつ互いに対向する両側面にチップ状電子部品の外部電極となる金属膜が形成された、スティック状ブロックを用意し、
    前記スティック状ブロックを保持するものであって、外部から前記金属膜へのめっき液の到達を許容する経路を有するとともに、少なくとも一方の前記金属膜に導電的に接触する導電面を備える、ホルダを用意し、
    前記ホルダに前記スティック状ブロックを保持させ、
    前記スティック状ブロックを保持した前記ホルダをめっき液内に浸漬し、かつ前記導電面を陰極側に接続した状態で、電気めっきを行ない、
    次いで、複数の前記素体を得るため、前記スティック状ブロックを分割する、各工程を備える、チップ状電子部品の製造方法。
  2. 前記ホルダは、前記スティック状ブロックを収納するキャビティを備え、前記キャビティの少なくとも一部は、前記スティック状ブロックの前記両側面に対してそれぞれクリアランスを介して対向する壁面によって規定され、前記金属膜へのめっき液の到達を許容する通路の一部は、前記クリアランスによって与えられる、請求項1に記載のチップ状電子部品の製造方法。
  3. 前記ホルダは、前記スティック状ブロックを収納するキャビティを備え、前記キャビティは、前記スティック状ブロックの前記両側面をそれぞれ露出させる開口を形成している、請求項1に記載のチップ状電子部品の製造方法。
  4. 前記電気めっきする工程において、前記めっき液内には、2つの陽極が互いに対向するように配置され、前記スティック状ブロックの前記両側面をそれぞれ前記陽極に対向させるように、前記ホルダが2つの前記陽極の間に配置される、請求項3に記載のチップ状電子部品の製造方法。
  5. 前記スティック状ブロックの両側面に形成された前記金属膜は、当該スティック状ブロックを介して互いに導通されており、前記ホルダに前記スティック状ブロックを保持させたとき、前記ホルダに備える前記導電面は一方の前記金属膜に接触する、請求項1ないし4のいずれかに記載のチップ状電子部品の製造方法。
  6. 前記スティック状ブロックの両側面に形成された前記金属膜は、当該スティック状ブロックから得られる各チップ状電子部品の内部に形成されるコイル導体によって互いに導通されている、請求項5に記載のチップ状電子部品の製造方法。
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