JP3629639B2 - エアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家屋等の外壁面に沿って配設されたエアコン用冷媒配管の屈曲部を覆って保護するエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーに関するもので、特に、冷媒配管の屈曲部の屈曲角度に柔軟に対応するエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エアコン用の冷媒配管は、図10に示すように、室内機から家屋の外壁面52を貫通して室外に取出された後、外壁面52に沿って配管し、室外機53に接続されている。この場合、配管経路中に窓54或いは戸袋等がある場合には、例えば90度に屈曲迂回させて配管している。
【0003】
一方、家屋の外壁面52に配設されたエアコン用の冷媒配管51は保護上及び美観上の観点から、その外部を覆う半割筒形状或いは筒形状の枠体からなる保護カバーが取付けられている。前記保護カバーは取出口カバー体55と冷媒配管51の直線部分に取付けられた直状枠体56と屈曲部に取付けられた屈曲枠体1とで構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のこの種の保護カバーは、窓54或いは戸袋等を迂回して配設されているものにあっては、家屋ごとに配設状態が異なるため、室外取出口、窓54或いは戸袋等の取付位置、室外機の設置場所などとの関係から、冷媒配管51の曲がりの角度は常に一定の例えば90度になるとは限らない。一方、保護カバーは、通常、塩ビなどの合成樹脂で形成されているため、屈曲枠体1の屈曲角度を施工現場の冷媒配管51の屈曲角度に対応して変位させることができない。したがって、そのような場合には、屈曲枠体1の取付けが困難または不能となっていた。
【0005】
また、建物外壁のコーナー部の冷媒配管51にはこれを覆う出ズミ、入ズミの保護カバーが取付けられている。しかし、建物のデザイン或いは建物の変形等、建物構造に基づいて外壁コーナー部の角度が一定値例えば正確な直角になっていない場合がある。この場合も、上記冷媒配管51の屈曲角度と同様の問題が生じ、屈曲枠体1の保護カバーが曲がり角度を変化させることができないため、屈曲枠体1の取付けが困難または不能となっていた。
【0006】
そこで、これらの不具合を解消するべく、実開平6−16800号公報、特開平7−208682号公報に掲載の技術が開示されている。これらの公報に掲載の技術は、冷媒配管1のコーナー部に取付けられる屈曲枠体1の屈曲角度を変位できるため、家屋ごとの施工状況によってコーナー部の屈曲角度が異なっていても柔軟に対応して取付けることができる。
【0007】
しかし、これらの公報に掲載されている屈曲枠体1は多数の部品を組合わせて構成されているので、構造が複雑であり、コスト高ともなっている。
【0008】
そこで、本発明は、建物の壁面に配設された冷媒配管の屈曲部における屈曲角度が建物ごとに異なったり、建物のコーナー部における角度が直角などの一定値になっていない場合にも簡単な構成でかつ柔軟に対応して取付けできるエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーの提供を課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかるエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーは、壁面に沿って配設された冷媒配管を包被する二つの中空枠部がその周壁の一部のみでまたは壁面に取付けるためのフランジの一部のみで連結されてなり、該一部を除いて前記中空枠部の端部相互が離間した状態で一体形成された屈曲枠体からなり、前記屈曲枠体が、前記連結された一部を軸に、両中空枠部の端部が相互に重合し合うよう回動させた状態で、離間した端部間相互の係合により両者が略90度の屈曲角度で組付けられてなり、前記軸を中心とする更なる回動によって、両者の屈曲角度が略90度の前記組付状態から更にその屈曲角度を変移可能に形成されたものである。
【0010】
請求項2の発明にかかるエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーは、請求項1に記載された両中空枠部が、屈曲部の内周側において連結されてなり、屈曲部の外周側において係合して両者が略90度の屈曲角度で組付けられたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1及び図3に基づいて説明する。
図において、屈曲枠体1は全体が略90度の屈曲角度で屈曲形成された中空枠形状をなし、図10に示す家屋の外壁面52に配設された冷媒配管51の屈曲部に覆設されたものであり、塩ビなどの合成樹脂によって一体に形成されている。前記屈曲枠体1は断面略コ字状の半割筒形状に形成された中空枠部11と、同じく半割筒枠形状に形成された中空枠部21とがヒンジ31によって直角方向に連結された構造となっている。ヒンジ31は中空枠部11及び中空枠部21の同側の側面のみにおいて一体成形によって中空枠部11及び中空枠部21とともに一体に形成されており、その部分のみが薄肉形成されている。そして、それによって、中空枠部11及び中空枠部21はヒンジ31を軸として所定範囲内で左右方向に回動して屈曲枠体1の屈曲角度を変位できる。
【0012】
また、中空枠部11及び中空枠部21はヒンジ31を軸に互いに回動したときに、対向する端面部が干渉するのを防止するべく、中空枠部21の端部内に中空枠部11の端部を格納できるよう内側寸法を大きくしてあり、中空枠部11及び中空枠部21の端部にはそれぞれこの部分において重合し合う重合部12及び重合部22が形成されている。そして、中空枠部11及び中空枠部21の両側の開口縁部にはそれぞれ家屋の外壁面52と当接するフランジ13及びフランジ23が一体に形成されており、各フランジには外壁面52に取付けるためのタッピングねじ等が挿通される取付孔14及び取付孔24が穿設されている。
【0013】
更に、屈曲枠体1の屈曲外側においては、図2及び図3に示すように、中空枠部11及び中空枠部21に、回動したときに互いに重合するフランジ15及びフランジ25が形成されており、フランジ15には回動方向に沿って長孔16が、フランジ25の裏面側には前記長孔16と対応する位置に係合爪26が設けられている。即ち、屈曲枠体1がヒンジ31を軸に屈曲変位したときに、中空枠部21の係合爪26は中空枠部11の長孔16内を移動できるようになっている。なお、屈曲枠体1は冷媒配管51を覆ったときに、外壁面52との間に形成される空間内に一側開口端部から他側開口端部に向けて冷媒配管51を挿通し、収容できる大きさに形成されている。
【0014】
ここで、屈曲枠体1の成形及び成形品の保管、運搬について説明する。
屈曲枠体1は中空枠部11と中空枠部21とが重合しておらず、長孔16に係合爪26が係合していない状態、即ち、中空枠部11と中空枠部21の端部が僅かに離間した状態で射出成形によって一体に形成することができる。ここで、係合爪26の上部は一体成形のために貫通する角孔が形成されている。
【0015】
このようにして形成した後は、係合爪26を長孔16内に嵌合させる。この組付状態においては、中空枠部11及び中空枠部21が相互に離間することがなく、がたつきがないとともに、係合爪26によって抜け止めとなっているから、組付状態が解除されることがない。このため、安定した状態となり、成形品を安全に保管及び運搬することができる。また、所定長さの長孔16によってこれと係合する係合爪26の移動距離が規制されるので、中空枠部11及び中空枠部21が一定以上の角度に開いたり、閉じ合わされたりすることがなく、その結果、屈曲枠体1がヒンジ31等において破損するのが防止される。
【0016】
次に、上記のように構成された本実施例のエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーを家屋の外壁面に取付ける作業を説明する。
【0017】
家屋の外壁面52には、図10に示すように、冷媒配管51が配設されており、この屈曲部に屈曲枠体1を取付けるには、まず、中空枠部11、中空枠部21のいずれか一方を一側の直状枠体56の端部に保持させ、中空枠部11のフランジ13の取付孔14または中空枠部21のフランジ23の取付孔24に図示しないタッピングねじを挿通して外壁面52に螺着して固定する。次に、他方をヒンジ31を介して屈曲枠体1の屈曲角度を調整しながら他側の直状枠体56の端部に保持し、同様に、タッピングねじを使用して外壁面52に固定する。このとき、中空枠部11及び中空枠部21は長孔16と係合爪26との係合によって回動方向を案内されて薄肉形成されたヒンジ31を軸にして確実に回動し、任意の屈曲角度に変移させることができる。このようにして、中空枠部11及び中空枠部21はそれぞれ別個独立に外壁面52に取付けられるとともに、屈曲角度は一定値に安定して保持される。その結果、たとえ物が当たるなどの外力によって連結部が破壊されたとしても、全体形状を維持でき、保護カバーとしての機能が保持される。
【0018】
ところで、上記実施例では、中空枠部21の係合爪26を中空枠部11の長孔16に係合させて回動方向を案内するとともに、一定以上の角度変移を防止して保管或いは運搬時の破損を防止するようにしているが、図4及び図5に示すように、中空枠部11のフランジ15に貫通しない長溝状の係合凹部16aを設け、中空枠部21のフランジ25に前記係合凹部16aと係合する短柱状の係合突起26aを形成することによって回動方向の案内と一定角度以上の移動を防止することもできる。
【0019】
また、前記長孔16と係合爪26との係合に代えて、或いは、これと併用して、中空枠部11と中空枠部21とが相互に摺動する上面或いは側壁面に凹凸状の溝及び突起を形成することによって中空枠部11と中空枠部21との間の摺動を案内させ、更には、一定角度以上の移動を規制することもできる。そして、更に他の手段を講じることを妨げるものではない。
【0020】
このように、上記実施例のエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーは、二つの中空枠部がヒンジ31によって連結すべく一体形成された屈曲枠体1からなり、前記屈曲枠体1は、前記ヒンジ31を軸として両中空枠部が相互に重合し合うよう回動することにより、その屈曲度を変移可能とするものであって、両中空枠部が、長溝としての長孔16と係合突起としての係合爪26とによって形成された係合部を備えたものである。
【0021】
したがって、屈曲枠体1を任意の屈曲角度に調整できるので、冷媒配管51のコーナー部の屈曲角度が家屋ごとに異なって正確に一定角度例えば直角度が出ていなくても簡単に対応して最適な状態で取付けることができる。
【0022】
本実施例においては、一体成形によって形成したものであるため、部品点数が少なく、きわめて簡単な構造で覆設できる。
【0023】
次に、本発明の別の実施例を図6及び図7に基づいて説明する。
図6及び図7に示す屈曲枠体1は、中空枠部11と中空枠部21との連結部としてのヒンジ31を一方の側面ではなく、上面に設けたものである。即ち、図1乃至図5に示す屈曲枠体1が一側面に設けたヒンジ31を軸に図において左右方向に回動するものであるのに対して、図6及び図7に示す屈曲枠体1は、上面に設けたヒンジ31を軸として図において上下方向に回動するようにしたものである。この屈曲枠体1においては、中空枠部11及び中空枠部21の重合部12及び重合部22は左右両側面に形成されている。この屈曲枠体1は二つの直交する外壁面52の奥側コーナー部等に入ズミとして取付けられるのに適し、直交する二つの外壁面52間に形成される直角度が正確に90度になっていないときに特にその効果を発揮する。
【0024】
次に、本発明の更に別の実施例を図8及び図9に基づいて説明する。
図8及び図9に示す屈曲枠体1は、ヒンジ31が中空枠部11及び中空枠部21の開口縁部に設けられたフランジ13及びフランジ23の連結部分において形成されたものである。この屈曲枠体1における中空枠部11及び中空枠部21は、上記各実施例と同様に、断面略コ字状に形成され、重合部12及び重合部22は対向する端部において上面及び両側面の3面において重合する。この屈曲枠体1は直交する二つの外壁面52の外側角部に出ズミとして取付ける場合などに適用される。
【0025】
ところで、上記各実施例の屈曲枠体1は、家屋の外壁面52に限らず、ビルディングや倉庫などの建物の外壁面などに配設された空調機器関連の配管の屈曲部などにおいても適用し得る。そして、屈曲枠体1は冷媒配管1に限らず、ドレンチューブなどの管材の屈曲部に覆設する場合にも適用できる。ドレンチューブはドレン排水のために傾斜させることによって屈曲部の開き角度が相違し易いので、同様に、本発明の効果が得られる。
【0026】
そして、中空枠部11及び中空枠部21は、断面略コ字状に形成された一面開口のものとしているが、その形状に限るものではなく、また、四角筒、六角筒などの筒形状の枠体であってもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本願発明のエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーは、壁面に沿って配設された冷媒配管を包被する二つの中空枠部がその周壁の一部のみでまたは壁面に取付けるためのフランジの一部のみで連結されてなり、該一部を除いて前記中空枠部の端部相互が離間した状態で一体形成された屈曲枠体からなり、前記屈曲枠体が、前記連結された一部を軸に、両中空枠部の端部が相互に重合し合うよう回動させた状態で、離間した端部間相互の係合により両者が略90度の屈曲角度で組付けられてなり、前記軸を中心とする更なる回動によって、両者の屈曲角度が略90度の前記組付状態から更にその屈曲角度を変移可能に形成されたものである。したがって、家屋等ごとに冷媒配管の屈曲角度が相違していても、屈曲角度を連続的かつ任意に変移できて柔軟に対応して取付けることができ、しかも、簡易な構造でかつ簡単に取付けできるとともに、一体成形できるため、安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーを屈曲内側方向から見た斜視図である。
【図2】図1のエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーを屈曲外側方向から見た斜視図である。
【図3】図2のA−A切断線による断面図である。
【図4】図2の係合部の変形例を示す斜視図である。
【図5】図4のB−B切断線による断面図である。
【図6】本発明の別の実施例によるエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーを示す斜視図である。
【図7】図6のエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーを示す正面図である。
【図8】本発明の更に別の実施例によるエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーを示す斜視図である。
【図9】図8のエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーを示す正面図である。
【図10】家屋の外壁面に配設した冷媒配管の保護カバーを示す正面図である。
【符号の説明】
1 屈曲枠体
11、21 中空枠部
12、22 重合部
16 長孔
16a 係合凹部
26 係合爪
26a 係合突起
31 ヒンジ
51 冷媒配管
52 外壁面
Claims (2)
- 建物の壁面に取付けられ、前記壁面に沿って配設された冷媒配管をその屈曲部において保護するエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバーであって、
前記冷媒配管を包被する二つの中空枠部がその周壁の一部のみでまたは壁面に取付けるためのフランジの一部のみで連結されてなり、該一部を除いて前記中空枠部の端部相互が離間した状態で一体形成された屈曲枠体からなり、
前記屈曲枠体は、前記連結された一部を軸に、両中空枠部の端部が相互に重合し合うよう回動させた状態で、離間した端部間相互の係合により両者が略90度の屈曲角度で組付けられてなり、前記軸を中心とする更なる回動によって、両者の屈曲角度が略90度の前記組付状態から更にその屈曲角度を変移可能に形成されたことを特徴とするエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバー。 - 両中空枠部は、屈曲部の内周側において連結されてなり、屈曲部の外周側において係合して両者が略90度の屈曲角度で組付けられてなることを特徴とする請求項1に記載されたエアコン用冷媒配管屈曲部の保護カバー。
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