JP3629353B2 - 燃料タンクのチューブ接続構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車等の車両に搭載される燃料タンクのベントチューブ、フィードチューブ、リターンチューブ、およびエバポチューブ等の各種チューブの接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7〜9は従来の自動車用燃料タンクのベントチューブの接続構造を示すもので、図7に示す構造にあっては、タンク本体20内の上部空間とフィラーチューブ21のネック部とを連通するベントチューブ22はその下端部をタンク本体20の上壁23に設けた開口24に挿通し、該下端部外周に嵌合してロー付け26により固定したフランジ25を前記上壁23外面にプロジェクション溶接によって固定したリテーナプレート27にボルト28により締結して固定してあり、このフランジ25のリテーナプレート27への締結固定によってこれら両者間に介装したシールリング29を上下方向に圧縮させて、これら両者間をシールしている(特開昭64−67420号公報参照)。
【0003】
図9の鎖線で示すようにタンク本体20が扁平で長大なタイプの場合、ベントチューブ22はタンク本体20外に配置される部分がレイアウト上フィラーチューブ21の近傍に制約される一方、ベント機能を良好にするためにはベントチューブ22の下端開口部をタンク本体20内の略中央部分に配置する必要があるため、該ベントチューブ22をタンク本体20外に配置されるアウタチューブ22Aと、タンク本体20内に配置されるインナチューブ22Bとで構成される。
【0004】
図8はこのようなアッパチューブ22Aとロアチューブ22Bとからなるベントチューブ22の接続構造を示すもので、アッパチューブ22Aの下端部外周にはフランジ部30で抜止めされたユニオンナット31を遊装してある一方、ロアチューブ22Bの上端部外周には接続用短管32を嵌合してロー付け33によって固定してあり、この接続用短管32をタンク本体20の上壁23の開口24に下側から挿通してタンク本体20外に突出させると共に、その下端フランジ32aを上壁23の内面にプロジェクション溶接によって固定してある。
【0005】
アッパチューブ22Aは、その下端末部を接続用短管32の上端部に内接嵌合し、ユニオンナット31を接続用短管32の上端部外周部32bに螺合することによってロアチューブ22Bと接続し、アッパチューブ22Aのフランジ部30と接続用短管32の上端部内周縁のテーパ部32cとでシールリング34を圧縮して、これらアウタチューブ22Aとインナチューブ22Bとの接続部分をシールしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示す構造にあっては、シールリング29はタンク本体20の上壁23とフランジ25との間をシールしているのみであるから、ベントチューブ22の接続部分におけるタンク本体20内とタンク本体20外とベントチューブ22内との3つの空気エリアを遮断するためには、シールリング29を用いているのにも拘らずベントチューブ22のフランジ25のロー付け26を全周に亘って施してシールする必要があってコスト的に不利となってしまうことは否めない。
【0007】
また、図8に示す構造にあっては、シールリング34によってアウタチューブ22Aとインナチューブ22Bとの継目部分をシールすることができるが、タンク本体20の内,外の空気エリアを遮断するためには、接続用短管32の下端フランジ32aのプロジェクション溶接を全周に亘って施す必要があって、この場合もコスト的に不利となってしまう。
【0008】
そこで、本発明は1つのシールリングでチューブの貫通接続部分におけるタンク本体内とタンク本体外とチューブ内との3つのエリアを遮断することができて、シール構造を簡単にすることができる燃料タンクのチューブ接続構造を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1にあっては、タンク本体の壁部にチューブを貫通接続し、このチューブ貫通部分に配置した1つのシールリングのシールラインが、タンク本体の壁部外面と、チューブを該タンク本体の壁部に締結固定するフランジのタンク本体壁部側の側面と、チューブ外周面とに形成されるようにした燃料タンクのチューブ接続構造において、
これらチューブとフランジとタンク本体壁部とで囲繞された前記シールリングを配設する空間部を断面略3角形状に形成して、前記チューブをタンク本体の壁部に設けた開口に同心的に配置し、かつ、該チューブに接合したフランジを前記タンク本体の壁部外面に接合したリテーナプレート上に締結固定して、前記空間部に配置したシールリングをチューブ軸方向、及びチューブ径方向に圧縮して、該タンク本体壁部外面とチューブ外周面とフランジのタンク本体壁部側面との3面に密接配置し、チューブ貫通部分のタンク本体内とタンク本体外とチューブ内との3つのエリアを遮断すると共に、
前記タンク本体の壁部に接続されたチューブは、
タンク本体外に配置された第1チューブと、短管部を有し、該短管部を第1チューブのタンク本体側端末に嵌合して接合固定されて、タンク本体壁部外面に接合配置したリテーナプレートにタンク本体外側から締結固定される第1チューブ側のフランジと、
タンク本体内に配置された第2チューブと、短管部を有し、該短管部を第2チューブの端末に嵌合して接合固定されて、タンク本体壁部の内面に接合固定された第2チューブ側のフランジとを備え、前記第2チューブの上端部をタンク本体壁部の開口に挿通配置して第1チューブと連通接続し、シールリングを該タンク本体壁部外面と第2チューブの外周面と第1チューブ側のフランジのタンク本体壁部側の側面との3面に密接配置したことを特徴としている。
【0010】
請求項2にあっては、請求項1に記載のシールリングの配設部分に対応するフランジのタンク本体壁部側の側面に傾斜部を設けて、前記空間部分を断面略3角形状に形成したことを特徴としている。
【0011】
請求項3にあっては、請求項1に記載のシールリングの配設部分に対応するタンク本体壁部外面に傾斜部を設けて、前記空間部分を断面略3角形状に形成したことを特徴としている。
【0012】
請求項4にあっては、請求項1に記載のシールリングの配設部分に対応するフランジのタンク本体壁部側の側面と、タンク本体壁部外面にそれぞれ傾斜部を設けて、前記空間部分を断面略3角形状に形成したことを特徴としている。
【0013】
請求項5にあっては、請求項1,2に記載のタンク本体壁部の開口のエッジ部をタンク本体内側に向けて曲折形成したことを特徴としている。
【0016】
請求項6にあっては、請求項1に記載の第1チューブ側のフランジの短管部を、第1チューブのタンク本体側端末に内接嵌合したことを特徴としている。
【0017】
請求項7にあっては、請求項1,6に記載の第2チューブの上端末部に挿通ガイドを設けたことを特徴としている。
【0018】
請求項8にあっては、請求項1,6,7に記載の第2チューブ側のフランジには、タンク本体壁部の開口のエッジ部に対応する部分に逃げ部を環状に形成したことを特徴としている。
【0019】
請求項9にあっては、請求項1,6〜8に記載の第1チューブ側のフランジのシールリング配設部分に対応するタンク本体側の側面に傾斜部を設け、該フランジには他のチューブを貫通して接合して、該他のチューブの下端部をタンク本体壁部に設けたもう一つの開口に挿通配置してタンク本体内側に突出配置したことを特徴としている。
【0020】
【発明の効果】
請求項1によれば、チューブ貫通部分に配置した1つのシールリングで、タンク本体内とタンク本体外とチューブ内との3つのエリアを遮断することができるから、シール構造を徒らに複雑化することがなくコスト的に有利に得ることができるのは勿論、リテーナプレートによってシールリングの圧縮量を規制して、シールリングのチューブ軸方向、およびチューブ径方向の圧縮変形によるシール反力を適正にすることができる。
また、請求項1によれば、タンク本体壁部外面と第2チューブ側のフランジとの接合部分のシールが不要となるため、該第2チューブ側のフランジは前述のように接合強度を確保できる程度に部分的にプロジェクション溶接すればよく、従来の分割タイプのチューブの接続構造に較べて構造を簡単にできてコストダウンを図ることができる。
【0021】
請求項2によれば、請求項1の効果に加えて、シールリングの配設部分に対応するフランジのタンク本体側の側面に傾斜部を設けてあるため、フランジでのシール面積を拡大でき、該フランジとチューブとの間のシール性を高めることが出来る。
【0022】
請求項3によれば、請求項1の効果に加えて、シールリングの配設部分に対応するタンク本体壁部外面に傾斜部を設けてあるため、タンク本体壁部外面でのシール面積を拡大でき、該タンク本体壁部外面とチューブとの間のシール性を高めることが出来る。
【0023】
請求項4によれば、請求項1の効果に加えて、シールリングの配設部分に対応するタンク本体壁部外面、およびフランジのタンク本体側の側面にそれぞれ傾斜部を設けてあるため、これらタンク本体壁部,フランジでのシール面積を拡大でき、タンク本体壁部,フランジとチューブ外周面とのシール性を高めることが出来る。
【0024】
請求項5によれば、請求項1,2の効果に加えて、タンク本体壁部の開口のエッジ部によってシールリングが損傷するのを回避でき、シール性を向上できることは勿論、品質感および信頼性を高めることができる。
【0027】
請求項6によれば、請求項1の効果に加えて、第1チューブと第1チューブ側のフランジとの接続部に施すロー付けのローによってシールリングが損傷するのを回避でき、品質感および信頼性を高めることができる。
【0028】
請求項7によれば、請求項1,6の効果に加えて、第2チューブの上端末部に挿通ガイドを設けてあるので、第1チューブを第2チューブに連通接続する際の取り付け作業性を高めることができる。
【0029】
請求項8によれば、請求項1,6,7の効果に加えて、第2チューブ側のフランジがタンク本体壁部の開口のエッジ部とエッジ当りすることがなく、該第2チューブ側のフランジとタンク本体壁部との面整合性が良好となって、第2チューブ側のフランジのプロジェクション溶接を確実に行うことができる。
【0030】
請求項9によれば、第1チューブと他のチューブとを第1チューブ側のフランジを介して一体にしてあっても、該第1チューブ側のフランジのタンク本体側の側面に傾斜部を設けてあるため、該傾斜部がチューブを接続する際の挿通ガイドとして働くので、該傾斜部により取り付け誤差を吸収して位置決めを行うと共に、取り付け作業性を高めることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態をチューブとしてベントチューブを例に採って図面と共に詳述する。
【0032】
図1はシングルタイプのベントチューブの接続構造を示すもので、1はタンク本体、2はタンク本体1の上壁でその任意の部位にベントチューブ配設用の開口3を形成してあり、そのエッジ部3aは下側、つまり、タンク本体1の内側に向けてカーリング成形してある。
【0033】
タンク本体1の上壁2の外面には、開口3と同心的に環状のリテーナプレート4をスポット的にプロジェクション溶接によって接合してある。
【0034】
リテーナプレート4は複数個のねじ孔4aを備えており、上壁2のねじ孔4aに対応する部分にはボルト8の端部を受容するための凹部2aをエンボス成形してある。
【0035】
5はチューブとしてのベントチューブを示し、その下端部外周にはフランジ6の短管部6aを嵌合して部分的にロー付け7して固定してあり、前記リテーナプレート4のねじ孔4aに対応して複数個のボルト挿入孔6bを形成してある。
【0036】
特にこの実施形態にあっては、フランジ6に後述するシールリング9の配設部分に対応して傾斜部6cを設けてある。
【0037】
このベントチューブ5は、フランジ6よりも下方に突出した下端部を前記上壁2の開口3に挿通し、フランジ6をリテーナプレート4上に重合してボルト挿入孔6bにボルト8を挿入し、該ボルト8をリテーナプレート4のねじ孔4aに螺合して締結することによってタンク本体1の上壁2に接続固定してある。
【0038】
ベントチューブ5の貫通接続部分には、該ベントチューブ5の外周面と、タンク本体1の上壁2の外面およびフランジ6の傾斜部6c下面とに囲繞された断面略3角形状の空間部に円形断面のシールリング9を配置してある。
【0039】
このシールリング9は耐油、耐熱、耐候性のゴム等の弾性材からなり、リング高をフランジ6の傾斜部6c下面とタンク本体1の上壁2外面との間の間隔よりも大きく、また、内径をベントチューブ5の外径よりも小さく形成してあって、前記フランジ6のリテーナプレート4へのボルト8による締結固定によってチューブ軸方向である上下方向に圧縮変形されると共に、チューブ径方向にも圧縮変形されて、フランジ6の傾斜部6c下面と上壁2外面およびベントチューブ5外周面とに密接してシールラインS1 ,S2 ,S3 を形成し、タンク本体1内とタンク本体1外とベントチューブ5内の3つの空気エリアをこの1つのシールリング9で遮断している。
【0040】
このように本実施形態の構造によれば、1つのシールリング9でベントチューブ5の貫通接続部分におけるタンク本体1内とタンク本体1外とベントチューブ5内の3つの空気エリアを遮断できるため、フランジ6の短管部6aとベントチューブ5の外周面との接合部分のシールが不要となり、前述のようにフランジ6は接合強度を確保できる程度に部分的にロー付け7を施して接合するだけでよく、従って、従来のシングルタイプのベントチューブの接続構造に較べて構造を簡単にできてコストダウンを実現することができる。
【0041】
また、リテーナプレート4へのボルト8による締結固定によってシールリング9の圧縮量を規制して、シールリング9のチューブ軸方向、およびチューブ径方向の圧縮変形によるシール反力を適正化を図ることができる。
【0042】
特に、本実施形態によれば、シールリング9の配設部分に対応するフランジ6に傾斜部6cを設けてあるため、フランジ6の傾斜部6c下面でのシール面積を拡大でき、フランジ6の傾斜部6c下面とベントチューブ5の外周面との間のシール性を高めることが出来る。
【0043】
また、タンク本体1の上壁2の開口3のエッジ部3aを下向きにカーリング成形して、シールリング9に対するエッジ当りを回避しているため、該シールリング9の破損を防止してシール性の向上と品質感および信頼性の向上を図ることができる。
【0044】
更に、このように開口3のエッジ部3aを下向きにカーリング成形することによって、上壁2の開口3の実質開口径を小さくすることができるため。タンク本体1の上壁2の剛性を確保することもできる。
【0045】
図2,3は分割タイプのベントチューブの接続構造を示すもので、チューブとしてのベントチューブ5は、タンク本体1外に配置される第1チューブ5Aと、タンク本体1内に配置される第2チューブ5Bとに分割されている。
【0046】
10は第1チューブ側のフランジで、該第1チューブ側のフランジ10は短管部11を有し、該短管部11を第1チューブ5Aの下端外周に嵌合して、全周に亘ってロー付け7を施して固定してある。
【0047】
この第1チューブ側のフランジ10には図1に示した実施形態と同様に、タンク本体1の上壁2外面にプロジェクション溶接によって接合固定したリテーナプレート4のねじ孔4aに対応して複数個のボルト挿入孔10aを形成して、該ボルト挿入孔10a,ねじ孔4aにボルト8を螺装して該フランジ10をリテーナプレート4に締結固定してあり、さらにシールリング9の配設部分に対応した部分には傾斜部10cを形成してある。
【0048】
特にこの実施形態では該第1チューブ側のフランジ10にはさらに、フィラーチューブ17を貫通して全周に亘ってロー付けを施して接合してあり、前述のようにタンク本体1の上壁2外面に接合固定したリテーナプレート4にボルト8により締結固定する際、該フィラーチューブ17の下端部をタンク本体2の上壁2に設けたもう一つの開口18に挿通配置して、該下端部をタンク本体2内側に突出配置するようにしてある。
【0049】
このとき、このフィラーチューブ17を挿通配置したもう一つの開口18ではシールリング19をタンク本体1の上壁2外面と第1チューブ側のフランジ10との間に配設してシールラインをこれらタンク本体1の上壁2外面と第1チューブ側のフランジ10下面とに形成して、タンク本体1内とタンク本体1外とを遮断するようにしてある。
【0050】
12は第2チューブ側のフランジで、該第2チューブ側のフランジ12はタンク本体1内側に向けて突出する短管部13を有し、該短管部13を第2チューブ5Bの端末外周に部分的にロー付け14して固定してある。
【0051】
この第2チューブ側のフランジ12は一体に接続した第2チューブ5Bの上端末部をタンク本体1の上壁2の開口3に下側から挿通し、その上面を該上壁2の内面に重合してスポット的にプロジェクション溶接により固定してある。
【0052】
また、第2チューブ側のフランジ12にはタンク本体1の上壁2にエンボス成形したボルト端受容用の凹部2aに対応する部位に、非干渉用の切欠部12aを形成してある。
【0053】
特にこの実施形態では前記第2チューブ5Bの上端末部に挿通ガイド16を設けて、該第2チューブ5Bの上端末部を第1チューブ5Aに挿入して連通接続してある。
【0054】
そして、シールリング9を第1チューブ側のフランジ10の傾斜部10c下面とタンク本体1の上壁2との間でチューブ軸方向に圧縮変形させると共に、第2チューブ5Bの外周面との間でチューブ径方向に圧縮変形させて、第1チューブ側のフランジ10下面と上壁2外面と第2チューブ5Bの外周面とに密接させることによってタンク本体1内とタンク本体1外とをシールするシールラインS2 と、ベントチューブ5内とタンク本体1外とをシールするシールラインS1 と、タンク本体1内と分割したベントチューブ5内とをシールするシールラインS3 とを形成し、タンク本体1内とタンク本体1外とベントチューブ5内の3つの空気エリアをこの1つのシールリング9で遮断している。
【0055】
また、この実施形態の場合も前記開口3のエッジ部3aを下向きにカーリング成形してシールリング9へのエッジ当りを回避するようにしていると共に、第2チューブ側のフランジ12の短管部13の成形基部には逃げ部15を環状に形成して、前記エッジ部3aがフランジ12に干渉しないようにしてある。
【0056】
従って、この実施形態の構造によれば、基本的には前記図1に示した実施形態と同様のシール効果が得られる他、タンク本体1の上壁2と第2チューブ側のフランジ12との接合部分のシールが不要となるため、該第2チューブ側のフランジ12は前述のように接合強度を確保できる程度に部分的にプロジェクション溶接すれはばよく、従来の分割タイプのベントチューブの接続構造に較べて構造を簡単にできてコストダウンを図ることができる。
【0057】
また、第2チューブ5Bの上端末部に挿通ガイド16を設けてあるので、第1チューブ5Aをタンク本体1に接続する際、該第2チューブ5Bと第1チューブ側のフランジ10との接続を容易にして、取り付け作業性を高めることができる。
【0058】
しかも、第2チューブ側のフランジ12の逃げ部15によって、該フランジ12がタンク本体1の上壁2の開口3のエッジ部3aとエッジ当りすることがないから、これらフランジ12と上壁2との面整合性が良好となって、シール性を更に向上することができると共にフランジ12のプロジェクション溶接を確実に行うことができる。
【0059】
さらに、前述のように第1チューブ側のフランジ10にフィラーチューブ17を貫通して接合して一体構造としてあるので、チューブを接続するの際にはフィラーチューブ17を先に開口18に挿通し、第1チューブ5Aを後から開口3から突出した第2チューブ5Bに接続することになるが、該第1チューブ側のフランジ10のシールリング9配設部分に対応する部分には傾斜部10cを設けてあるため、該傾斜部10cが第1チューブ5Aを第2チューブ5Bに接続する際の挿通ガイドとして働き、取り付け誤差を吸収して位置決めを行うと共に、取り付け作業性を高めることができる。
【0060】
一方、図4は上記第2実施形態であるベントチューブ5の分割タイプにおいて、第1チューブ5Aと第1チューブ側のフランジ10との接合部の構造の異なる第3実施例を示すもので、具体的には、1チューブ側のフランジ10の短管部11を第1チューブ5Aの下端内周に嵌合して、全周に亘ってロー付け7を施して固定してある。
【0061】
これにより、該第1チューブと第1チューブ側のフランジ11との接合に施すロー付けのロー7がシールリング9の配設空間、特に傾斜部10cの下面のシールリング9とのシール面に流れ込んで、シール面の平滑性が損なわれることによりシール性に支障をきたしたり、あるいは、該ロー7によりシールリング9が損傷するのを回避でき、品質感および信頼性を高めることができる。
【0062】
ここで、上記実施形態は何れもフランジ6,第1チューブ側のフランジ10に傾斜部を設け、シールリング9を配設するベントチューブ5の外周面とタンク本体1の上壁2の外面およびフランジ6,第1チューブ側のフランジ10の傾斜部6c,10c下面とに囲繞された断面略3角状の空間部にシールリング9を配設した例を示したが、タンク本体1の上壁2の外面に傾斜部2cを形成したものや、フランジ6,第1チューブ側のフランジ10とタンク本体1の上壁2外面との双方に傾斜部6c,10cおよび2cを形成して断面略3角形状の空間部を形成し、そこにシールリング9を配設して同様の効果を得ることもできる。
【0063】
具体的にベントチューブ5を分割した分割タイプを例に取って以下に示すと、図5はタンク本体1の上壁2に傾斜部2cを設け、該傾斜部2cと第1チューブ側のフランジ10の下面および第2チューブ5Bの外周面とで断面略3角形状の空間部を形成し、そこに断面略円形のシールリング9を配設するようにしたもので、これによるとタンク本体1の上壁2の外面でのシール面積が拡大でき、該上壁2の外面とベントチューブ5Bの外周面との間のシール性を高めることができる。
【0064】
これに対し、図6はタンク本体1の上壁2と第1チューブ側のフランジ10との双方に傾斜部2c,10cを設けるようにしたもので、これによるとタンク本体1の上壁2の外面および該第1チューブ側のフランジ10下面でのシール面積を拡大でき、これら上壁2の外面,第1チューブ側のフランジ10下面と第2チューブ5Bの外周面との間のシール性を高めることができる。
【0065】
なお、前記実施形態ではチューブとしてベントチューブ5を例示したが、この他、フィードチューブ、リターンチューブ、およびエバポチューブの接続構造に適用して前述と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図。
【図2】本発明の第2実施形態を示す断面図。
【図3】図2の実施形態の要部を示す断面図。
【図4】本発明の第3実施形態を示す断面図。
【図5】本発明の第4実施形態を示す断面図。
【図6】本発明の第5実施形態を示す断面図。
【図7】従来のチューブ接続構造を示す断面図。
【図8】従来のチューブ接続構造の異なる例を示す断面図。
【図9】本発明の対象とする自動車用燃料タンクの概略図。
【符号の説明】
1 タンク本体
2c 傾斜部
3 開口
3a エッジ部
4 リテーナプレート
5A 第1チューブ
5B 第2チューブ
6 フランジ
6a 短管部
6c 傾斜部
9 シールリング
10 第1チューブ側のフランジ
10c 傾斜部
11 短管部
12 第2チューブのフランジ
13 短管部
15 逃げ部
16 挿通ガイド
17 フィラーチューブ(他のチューブ)
18 開口(もう一つの開口)
Claims (9)
- タンク本体の壁部にチューブを貫通接続し、このチューブ貫通部分に配置した1つのシールリングのシールラインが、タンク本体の壁部外面と、チューブを該タンク本体の壁部に締結固定するフランジのタンク本体壁部側の側面と、チューブ外周面とに形成されるようにした燃料タンクのチューブ接続構造において、
これらチューブとフランジとタンク本体壁部とで囲繞された前記シールリングを配設する空間部を断面略3角形状に形成して、前記チューブをタンク本体の壁部に設けた開口に同心的に配置し、かつ、該チューブに接合したフランジを前記タンク本体の壁部外面に接合したリテーナプレート上に締結固定して、前記空間部に配置したシールリングをチューブ軸方向、及びチューブ径方向に圧縮して、該タンク本体壁部外面とチューブ外周面とフランジのタンク本体壁部側面との3面に密接配置し、チューブ貫通部分のタンク本体内とタンク本体外とチューブ内との3つのエリアを遮断すると共に、
前記タンク本体の壁部に接続されたチューブは、
タンク本体外に配置された第1チューブと、
短管部を有し、該短管部を第1チューブのタンク本体側端末に嵌合して接合固定されて、タンク本体壁部外面に接合配置したリテーナプレートにタンク本体外側から締結固定される第1チューブ側のフランジと、
タンク本体内に配置された第2チューブと、
短管部を有し、該短管部を第2チューブの端末に嵌合して接合固定されて、タンク本体壁部の内面に接合固定された第2チューブ側のフランジとを備え、
前記第2チューブの上端部をタンク本体壁部の開口に挿通配置して第1チューブと連通接続し、シールリングを該タンク本体壁部外面と第2チューブの外周面と第1チューブ側のフランジのタンク本体壁部側の側面との3面に密接配置したことを特徴とする燃料タンクのチューブ接続構造。 - シールリングの配設部分に対応するフランジのタンク本体壁部側の側面に傾斜部を設けて、前記空間部分を断面略3角形状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の燃料タンクのチューブ接続構造。
- シールリングの配設部分に対応するタンク本体壁部外面に傾斜部を設けて、前記空間部分を断面略3角形状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の燃料タンクのチューブ接続構造。
- シールリングの配設部分に対応するフランジのタンク本体壁部側の側面と、タンク本体壁部外面にそれぞれ傾斜部を設けて、前記空間部分を断面略3角形状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の燃料タンクのチューブ接続構造。
- タンク本体壁部の開口のエッジ部をタンク本体内側に向けて曲折形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料タンクのチューブ接続構造。
- 第1チューブ側のフランジの短管部を、第1チューブのタンク本体側端末に内接嵌合したことを特徴とする請求項1に記載の燃料タンクのチューブ接続構造。
- 第2チューブの上端末部に挿通ガイドを設けたことを特徴とする請求項1又は6に記載の燃料タンクのチューブ接続構造。
- 第2チューブ側のフランジには、タンク本体壁部の開口のエッジ部に対応する部分に逃げ部を環状に形成したことを特徴とする請求項1,6,7の何れか1項に記載の燃料タンクのチューブ接続構造。
- 第1チューブ側のフランジのシールリング配設部分に対応するタンク本体側の側面に傾斜部を設け、該フランジには他のチューブを貫通して接合して、該他のチューブの下端部をタンク本体壁部に設けたもう一つの開口に挿通配置してタンク本体内側に突出配置したことを特徴とする請求項1,6〜8の何れか1項に記載の燃料タンクのチューブ接続構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21510497A JP3629353B2 (ja) | 1997-08-08 | 1997-08-08 | 燃料タンクのチューブ接続構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP21510497A JP3629353B2 (ja) | 1997-08-08 | 1997-08-08 | 燃料タンクのチューブ接続構造 |
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