JPH0245065Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、車両における燃料タンクのフイラ
ーチユーブ取付部構造に係り、更に詳しくはタン
クシエルに対するフイラーチユーブのシール性を
向上させて燃料洩れをなくするようにした燃料タ
ンクのフイラーチユーブ取付部構造に関する。

従来の燃料タンクのフイラーチユーブ取付部構
造としては、例えば第１図〜第３図に示すような
ものがある。

図中、符号１は車両の燃料タンクであり、燃料
タンク１の下部タンクシエル２の側壁２ａにフイ
ラーチユーブ３が取り付けられている。フイラー
チユーブ３にはフイラーキヤツプ４が被冠されて
いる。

次に、フイラーチユーブ３の下部タンクシエル
２への取り付けについて説明する。

下部タンクシエル２の側壁２ａには直角に折り
曲げられて外方に突出する開口周縁部５ａを有す
る開口部５が形成されている。開口周縁部５ａの
先端は内向きで水平となるよう直角に折り曲げら
れている。

下部タンクシエル２に形成された外方に突出す
る開口周縁部５ａには下部タンクシエル２より厚
肉の環状リテイナ６が嵌められ、環状リテイナ６
の裏面を開口部５の表面にプロジエクシヨン溶接
により全周溶接Ｗして環状リテイナ６が開口部５
に取り付けられている。環状リテイナ６には厚さ
方向に貫通するネジ穴６ａが環状列配置に適宜間
隔を置いて複数設けられている。

７は環状リテイナ６と外径が略同じ寸法の環状
フランジで、フイラーチユーブ３のタンク取付側
端部３ａの外周にプロジエクシヨン溶接により全
周溶接して固定状態に周設されている。環状フラ
ンジ７の断面はコ字状に形成されている。また、
環状フランジ７には環状リテイナ６の各ネジ穴６
ａと整合するボルト挿入穴７ａが複数設けられて
いる。８はゴムで形成された環状フランジ７より
外径がやや小さく、内径が大きい環状シーリング
材であり、環状シーリング材８には厚さ方向に貫
通し、環状リテイナ６の各ネジ穴６ａと整合する
ボルト貫通穴８ａが複数設けられている。

環状リテイナ６の表面と開口周縁部５ａの先端
とに環状シーリング材８が当接させられている。
更に、環状シーリング材８の表面に環状フランジ
７の凹部側表面が当接させられている。このと
き、環状リテイナ６のネジ穴６ａと環状シーリン
グ材８のボルト貫通穴８ａと、環状フランジ７の
ボルト挿入穴７ａとはそれぞれ整合させられてい
る。そして、各ボルト挿入穴７ａより挿入させら
れてボルト貫通穴８ａを貫通した取付ボルト９が
ネジ穴６ａに螺合させられて環状フランジ７が環
状シーリング材８を介して開口部５と一体の環状
リテイナ６に締め付け固定されている。１０はワ
ツシヤである。このとき、環状フランジ７の外周
端面７ｂは環状リテイナ６の外周縁６ｂに圧接さ
せられている。このように、下部タンクシエル２
の側壁２ａに形成された開口部５の表面と一体の
環状リテイナ６に環状シーリング材８を介してフ
イラーチユーブ３に固定された環状フランジ７が
取り付けられて下部タンクシエル２にフイラーチ
ユーブ３が接続されているので、環状リテイナ６
と環状フランジ７との接続部分が環状シーリング
材８によつてシールされることとなり、燃料洩れ
が生じないようになつている。

しかしながら、このような従来の燃料タンクの
フイラーチユーブ取付部構造にあつては、燃料タ
ンク１の下部タンクシエル２に形成された開口部
５の表面に全周溶接によつて固定された環状リテ
イナ６に、環状シーリング材８を介して、フイラ
ーチユーブ３に固定された環状フランジ７を、取
付ボルト９で締め付け固定して、環状リテイナ６
と環状フランジ７との接続部分にシール性を持た
せるようにしていたため、車両の衝突等によりフ
イラーチユーブ３に衝撃が加わつてフイラーチユ
ーブ３が曲げ、引張り、捩り等を受けた場合、例
えばフイラーチユーブ３が燃料タンク１を引張る
ような引張り力を受けたときには環状フランジ７
は第３図に示すように内周縁側部分が外方に向け
て折れ曲がるように変形する。このとき、環状シ
ーリング材８を環状フランジ７及び環状リテイナ
６との間にそれぞれ隙間が生じる。従つて、環状
シーリング材８のシール性が悪化し、環状リテイ
ナ６の外周縁６ｂ及び環状フランジ７の外周端面
７ｂ間と環状フランジ７のボルト挿入穴７ａ及び
取付ボルト９間とからそれぞれ燃料洩れを生じる
という問題点があつた。

この考案は、このような従来の問題点に着目し
てなされたもので、燃料タンクのタンクシエルに
設けられた開口部の開口周縁部に該タンクシエル
より厚肉の環状リテイナを全周溶接により固定
し、該環状リテイナに厚さ方向のネジ穴を環状列
配置に複数設けると共に、環状列の該ネジ穴より
内側の表面に環状のシーリング材収納用溝を設
け、フイラーチユーブの端部外周に周設された環
状フランジを前記環状リテイナの表面とシーリン
グ材収納用溝に配設した環状シーリング材とに当
接させ、前記環状フランジに前記環状リテイナと
は反対側から環状補強板を当接させ、該環状補強
板を貫通する取付ボルトを前記ネジ穴に螺合させ
て前記環状フランジを前記環状シーリング材に圧
接させると共に、前記環状リテイナと前記環状補
強板とで狭持固定させることにより、上記問題点
を解決したものである。

以下、この考案を図面に基づいて説明する。

４図及び第５図は、この考案の一実施例を示
す。

図において、従来例と同一ないし均等な部位又
は部材には同一符号を付して重複した説明を省略
する。

下部タンクシエル２の側壁２ａには周囲に環状
の段部１２が形成されて下部タンクシエル２の内
部に向つてへこんでいる開口周縁部１５ａを有す
る開口部１５が形成されている。開口周縁部１５
ａには開口部１５の中心寄り位置に下部タンクシ
エル２の内部に向つてへこむように折り曲げられ
て環状凹所１５ｂが形成されている。

下部タンクシエル２に形成された開口周縁部１
５ａには下部タンクシエル２より厚肉の環状リテ
イナ１６が固定されている。環状リテイナ１６は
その外周縁１６ａに環状フランジ部１６ｂを有し
ており、環状フランジ部１６ｂが段部１２を加締
めて段部１２の上縁１２ａと下縁１２ｂとの間に
抱持されるよう取り付けられている。また、環状
リテイナ１６の裏面内周縁側が開口周縁部１５ａ
の内周縁にプロジエクシヨン溶接により全周溶接
Ｗされて取り付けられている。

更に、環状リテイナ１６には外周縁１６ａ寄り
に厚さ方向に貫通するネジ穴１６ｃが環状列配置
に適宜間隔を置いて複数枚設けられている。ま
た、環状リテイナ１６の表面には内周縁１６ｄ寄
り即ち環状列のネジ穴１６ｃより内側に環状のシ
ーリング材収納用溝１６ｅが設けられている。

１７は環状リテイナ１６と外径が略同じ寸法の
環状フランジで、環状フランジ１７の内周縁１７
ａは直角に折り曲げられている。環状フランジ１
７は内周縁１７ａがフイラーチユーブ３のタンク
取付側端部３ａの外周にプロジエクシヨン溶接に
より全周溶接されてフイラーチユーブ３に固定状
態に周設されている。また、環状フランジ１７に
は環状リテイナ１６のネジ穴１６ｃと整合するよ
うにボルト貫通穴１７ｂが設けられている。１８
は断面略円形の環状シーリング材であり、環状リ
テイナ１６に設けられているシーリング材収納用
溝１６ｅ内に配設される。１９は環状フランジ１
７より内径が大きく、外径が同じで下部タンクシ
エル２より厚肉に形成された鋼製の環状補強板で
ある。環状補強板１９には厚さ方向に貫通し、環
状フランジ１７のボルト貫通穴１７ｂと整合する
ボルト挿入穴１９ａが複数設けられている。

フイラーチユーブ３のタンク取付側端部３ａの
外周に周設された環状フランジ１７の裏面が環状
リテイナ１６の表面とシーリング材収納用溝１６
ｅ内に配設された環状シーリング材１８とに当接
させられている。更に、環状フランジ１７の表面
に環状補強板１９が当接させられている。このと
き、環状リテイナ１６の各ネジ穴１６ｃと環状フ
ランジ１７の各ボルト貫通穴１７ｂと、環状補強
板１９の各ボルト挿入穴１９ａとがそれぞれ整合
させられている。そして、各ボルト挿入穴１９ａ
より挿入させられてボルト貫通穴１７ｂを貫通し
た取付ボルト２０がネジ穴１６ｃに螺合させられ
て環状リテイナ１６に環状フランジ１７が環状補
強板１９と共に締め付け固定即ち、環状フランジ
１７が環状リテイナ１６と環状補強板１９との間
に挟装状態に締め付け固定されている。２１はワ
ツシヤである。

次に作用を説明する。

車両等の衝突等により、フイラーチユーブ３に
衝撃が加わつてフイラーチユーブ３が曲げ、引張
り、捩り等を受けた場合、例えば、フイラーチユ
ーブ３が燃料タンク１を引張るような引張力を受
けたときには、環状リテイナ１６と厚肉の環状補
強板１９とに取付ボルト２０の締め付けにより挟
装された環状フランジ１７の外周縁１７ｃ側は剛
性の高い部材で挟装されることとなるので変形を
生ぜず、環状シーリング材１８のシール性に影響
を与えることはない。また、環状リテイナ１６に
環状シーリング材１９が配設されるシーリング材
収納用溝１６ｅがネジ穴１６ｃより内側に設けら
れているので、従来のようにネジ穴１６ｃから燃
料が洩れるおそれはない。更に、環状フランジ１
７の内周縁１７ａはフイラーチユーブ３のタンク
取付側端部３ａに全周溶接により固定され強度的
に強くなつているので、変形しにくい。従つて、
環状フランジ１７の内周縁１７ａと外周縁１７ｃ
側とを除いた強度的に弱い部分が外方に向つて折
れ曲がるように変形する。しかも、環状フランジ
１７は環状シーリング材１８と当接する以外の外
周縁１７ｃ側部分も環状リテイナ１６と環状補強
板１９とによつて挟装されているので、環状フラ
ンジ１７自体の変形は従来例に比べて小さくなつ
ている。

更に、下部タンクシエル２に形成された開口部
１５の開口縁部１５ａが環状リテイナ１６に環状
列配置に設けられたネジ穴１６ｃより内側に設け
られており、環状リテイナ１６の内周縁１６ｄに
全周溶接Ｗされているので、ネジ穴１６ｃから燃
料が洩れるおそれはないと共に、環状リテイナ１
６の環状フランジ部１６ｂを抱持している環状の
段部１２の加締めが外れたとしても燃料が洩れる
ことはない。

フイラーチユーブ３が曲げ、捩り等を受けたと
きにも上述と同様に環状フランジ１７の環状リテ
イナ１６と環状補強板１９とに挟装された外周縁
１７ｃ側は変形を生ぜず、環状シーリング材１９
のシール性に影響を与えないことは勿論である。

以上説明してきたように、この考案によれば、
その構成を、燃料タンクのタンクシエルに設けら
れた開口部の開口周縁部に該タンクシエルより厚
肉の環状リテイナを全周溶接により固定し、該環
状リテイナに厚さ方向のネジ穴を環状列配置に複
数設けると共に、環状列の該ネジ穴より内側の表
面に環状のシーリング材収納用溝を設け、フイラ
ーチユーブの端部外周に周設された環状フランジ
を前記環状リテイナの表面とシーリング材収納溝
に配設した環状シーリング材とに当接させ、前記
環状フランジに前記環状リテイナとは反対側から
環状補強板を当接させ、該環状補強板を貫通する
取付ボルトを前記ネジ穴に螺合させて前記環状フ
ランジを前記環状シーリング材に圧接させると共
に、前記環状リテイナと前記環状補強板とで狭持
固定させるようにしたため、車両等の衝突等によ
りフイラーチユーブに衝撃が加わつてフイラーチ
ユーブが曲げ、引張り、捩り等を受けた場合に
も、環状フランジの強度的に弱い部分は変形する
が、環状フランジのフイラーチユーブにおける端
部外周に全周溶接された強度的に強い内周縁と剛
性の高い環状フランジの環状リテイナと環状補強
板とに取付ボルトの締め付けにより挟装された外
周縁側は変形を生じないので、環状シーリング材
のシール性を良好に保ち燃料洩れを生じさせるこ
とがないという効果が得られる。

更に、環状リテイナに環状シーリング材が配設
されるシーリング材収納用溝はネジ穴より内側に
設けられているため、ネジ穴から燃料が洩れるお
それもないという効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は燃料タンクとフイラーチユーブとの取
り付け関係を示す燃料タンクの正面図、第２図は
従来例の燃料タンクのフイラーチユーブ付部構造
を示す断面図、第３図はフイラーチユーブが引つ
張られた時の状態を示す同フイラーチユーブ取付
部構造の断面図、第４図はこの考案の燃料タンク
の一実施例のフイラーチユーブ取付部構造を示す
断面図、第５図はフイラーチユーブが引つ張られ
た時の状態を示す同フイラーチユーブ取付部構造
の断面図である。 １……燃料タンク、２……タンクシエル、３…
…フイラーチユーブ、１５……開口部、１５ａ…
…開口周縁部、１６……環状リテイナ、１６ｃ…
…ネジ穴、１６ｅ……シーリング材収納用溝、１
７……環状フランジ、１８……環状シーリング
材、１９……環状補強板、２０……取付ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料タンクのタンクシエルに設けられた開口部
   の開口周縁部に該タンクシエルより厚肉の環状リ
   テイナを全周溶接により固定し、該環状リテイナ
   に厚さ方向のネジ穴を環状列配置に複数設けると
   共に、環状列の該ネジ穴より内側の表面に環状の
   シーリング材収納用溝を設け、フイラーチユーブ
   の端部外周に周設された環状フランジを前記環状
   リテイナの表面とシーリング材収納溝に配設した
   環状シーリング材とに当接させ、前記環状フラン
   ジに前記環状リテイナとは反対側から、前記ネジ
   穴と前記シーリング材との位置まで達する環状補
   強版を当接させ、該環状補強板を貫通する取付ボ
   ルトを前記ネジ穴に螺合させて前記環状フランジ
   を前記環状シーリング材に圧接させると共に、前
   記環状フランジを前記環状リテイナと前記環状補
   強版とで狭持固定させたことを特徴とする撚料タ
   ンクのフイラーチユーブ取付部構造。