JP3629247B2 - ダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ - Google Patents

ダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタに関し、さらに言えば、直流電流・電圧特性における立ち上がり特性を悪化させることなくオフセット電圧を完全に無くし、もって効率を向上させることができるダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、npn型バイポーラ・トランジスタのエミッタ接地直流電流利得βは、再結合電流が少ない場合、p型のベース領域からn型のエミッタ領域への正孔の逆注入量によって決まる。このため、エミッタ接地直流電流利得βは、エミッタ領域のn型不純物濃度とベース領域のp型不純物濃度の比に比例する。これに対し、当該トランジスタの最大発振周波数fmaxは、近似的にベース抵抗(これはベース領域のp型不純物濃度にほぼ逆比例する)の(1/2)乗に逆比例する。このことから、ベース領域のp型不純物濃度に関して、エミッタ接地直流電流利得βと最大発振周波数fmaxの間でトレードオフが生じる。
【0003】
ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタは、エミッタ・ベース接合をへテロ接合とすると共に、エミッタ領域のバンドギャップをベース領域のバンドギャップよりも広くすることにより、ベース領域の不純物濃度をエミッタ領域の不純物濃度より高くしても電流利得を稼げるようにしたものである。さらに、ベース領域の不純物濃度を高くすることによってベース抵抗の低減、ベース領域の薄層化、ベース走行時間の短縮が可能であるから、より高周波での動作ができるようになる。このため、ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタは、マイクロ波帯からミリ波帯に至る広周波数帯域において発振、高出力増幅、広帯域増幅用として用いられており、その高い電流駆動能力から次世代高速通信用のスイッチング・デバイス、あるいは次世代高速移動体通信用のパワー・デバイスとして期待されている。
【0004】
近年、パワー・デバイス用のヘテロ接合バイポーラ・トランジスタでは、効率を高めることが特に重要となってきているが、当該効率はトランジスタの直流電流・電圧特性において、コレクタ電流の立ち上がり特性を決めるオフセット電圧により制限されている。よって、当該効率を高めるためには、そのオフセット電圧を低減することが重要である。
【0005】
エミッタ領域がコレクタ領域よりも上位に配置されたエミッタ・トップ型のヘテロ接合バイポーラ・トランジスタでは、オフセット電圧が生じるのは、エミッタ・コレクタ間電圧が0[V]近傍にあるときに、エミッタ領域からベース領域に流れる電流よりも、コレクタ領域からベース領域に流れる電流の方が大きいためである。したがって、コレクタ領域からベース領域に流れる電流を減らすことにより、オフセット電圧を低減することができるが、その目的達成のためには通常、ベース・コレクタ接合の面積を大きくしてエミッタ・ベース接合の面積に近付ける方法が採られる。これは、ベース電極の幅を狭める、ベース電極をエミッタ領域に近付けて配置する、といった手法により実現できる。以下、これらの手法を「第1従来例」という。
【0006】
しかしながら、エミッタ・トップ型のヘテロ接合バイポーラ・トランジスタでは、ベース電極がベース領域の上に配置されるため、必然的にベース・コレクタ接合の面積がエミッタ・ベース接合の面積よりもベース電極の大きさに相当する分だけ大きくなる。このため、上記第1従来例に従ってエミッタ・ベース接合の面積をベース・コレクタ接合の面積に近付けようとしても限界がある。
【0007】
上記第1従来例とは別の方法でコレクタ領域からベース領域に流れる電流を減らすための「第2従来例」として、図12に示すように、コレクタ領域の内部に「伝導帯不連続」を形成する方法が開発・提案されている。この第2従来例は、例えば、「応用物理第66巻、第2号、1997年、p.156」に開示されている。図12には、横軸をエピタキシャル層の積層方向の距離として、ベース領域、コレクタ領域およびサブコレクタ領域にわたる伝導帯のエネルギー分布を示している。
【0008】
また、上記第1従来例とは別の方法でコレクタ領域からベース領域に流れる電流を減らすための「第3従来例」として、図13に示すように、ベース領域とコレクタ領域の界面に「伝導帯不連続」を形成する方法も開発・提案されている。この第3従来例は、例えば、「J.Appl.Phys.77(10)、1995年、p.5437」に開示されている。図13には、横軸をエピタキシャル層の積層方向の距離として、ベース領域、コレクタ領域およびサブコレクタ領域にわたる伝導帯のエネルギー分布を示している。
【0009】
図12及び図13に示した第2従来例および第3従来例では、「伝導帯不連続」が、コレクタ領域からベース領域へ伝導電子が流れ込むときのポテンシャル障壁となるため、コレクタ領域からベース領域へ流れる電流が抑制される。こうしてオフセット電圧が低減される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第2従来例および第3従来例では、オフセット電圧の低減のために設けた「伝導帯不連続」が、トランジスタ動作時にコレクタ抵抗を増加させるので、直流電流・電圧特性における立ち上がり特性が悪化する。この立ち上がり特性の悪化は、当該トランジスタをパワーアンプとして使用したときに効率の低下を引き起こすから、効率向上のために行うオフセット電圧の低減が却って効率低下を引き起こす、ということになってしまう。よって、上記第2従来例および第3従来例においても、ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタの効率向上には限界がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、直流電流・電圧特性における立ち上がり特性を悪化させることなくオフセット電圧をほぼ完全に無くし、もって効率を向上させることができるダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1) 上記目的を達成するために、本発明のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタは、
エミッタ領域およびコレクタ領域がベース領域よりも広いバンドギャップを持つと共に、エミッタ・ベース接合およびベース・コレクタ接合がヘテロ接合とされ、且つ前記エミッタ・ベース接合の面積と前記ベース・コレクタ接合の面積とが互いに異なるダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタにおいて、
前記ベース・コレクタ接合の近傍の不純物濃度と前記エミッタ・ベース接合の近傍の不純物濃度との比が、前記ベース・コレクタ接合の面積と前記エミッタ・ベース接合の面積との比にほぼ等しくなるように、前記ベース領域の不純物濃度分布が設定されていることを特徴とするものである。
【0015】
(2) 本発明のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタでは、次のようにして本発明の目的が達成される。
【0016】
まず、エミッタ・コレクタ間電圧が0[V]近傍にあるときに前記エミッタ領域から前記ベース領域に流れる電流は、前記ベース領域と前記エミッタ領域の接合(すなわちエミッタ・ベース接合)の面積に比例し、そのエミッタ・ベース接合の近傍における前記ベース領域の不純物濃度に反比例する関係にある。他方、前記コレクタ領域から前記ベース領域に流れる電流は、前記ベース領域と前記コレクタ領域の接合(すなわちベース・コレクタ接合)の面積に比例し、そのベース・コレクタ接合の近傍における前記ベース領域の不純物濃度に反比例する関係にある。
【0017】
上述のように、オフセット電圧は、エミッタ・コレクタ間電圧が0[V]近傍にあるときに前記エミッタ領域から前記ベース領域に流れる電流と、前記コレクタ領域から前記ベース領域に流れる電流との間に差があるために生じる。よって、このオフセット電圧を完全に無くすには、前記エミッタ領域から前記ベース領域に流れる電流と前記コレクタ領域から前記ベース領域に流れる電流とを等しくして、これらが互いに打ち消されるようにすればよい。
【0018】
そこで、本発明のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタのように、前記ベース・コレクタ接合の近傍の不純物濃度と前記エミッタ・ベース接合の近傍の不純物濃度との比が、前記ベース・コレクタ接合の面積と前記エミッタ・ベース接合の面積との比にほぼ等しくなるように、前記ベース領域の不純物濃度分布設定する。こうすることにより、上記の二つの電流がほぼ等しくなり、その結果、オフセット電圧をほぼ完全に無くすことができる。
【0019】
(3)本発明のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタを、前記エミッタ領域が前記コレクタ領域よりも上位に配置されたエミッタトップ型とする場合は、前記エミッタ・ベース接合の面積を前記ベース・コレクタ接合の面積よりも小さくするのが好ましい。この場合、前記ベース領域の不純物濃度分布が、前記ベース・コレクタ接合の近傍に比べて前記エミッタ・ベース接合の近傍の方が低くなるため、前記エミッタ領域から前記ベース領域に流れる電流を増加させて前記コレクタ領域から前記ベース領域に流れる電流にほぼ等しくすることができる。こうして、オフセット電圧をほぼ完全に無くすことができる。
【0020】
(4)本発明のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタを、前記コレクタ領域が前記エミッタ領域よりも上位に配置されたコレクタトップ型とする場合は、前記ベース・コレクタ接合の面積を前記エミッタ・ベース接合の面積よりも小さくするのが好ましい。この場合、前記ベース領域の不純物濃度分布が、前記ベース・コレクタ接合の近傍に比べて前記エミッタ・ベース接合の近傍の方が高くなるため、前記エミッタ領域から前記ベース領域に流れる電流を増加させて前記コレクタ領域から前記ベース領域に流れる電流にほぼ等しくすることができる。こうして、オフセット電圧をほぼ完全に無くすことができる。
【0021】
(5)なお、本発明のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタでは、上述した第2従来例と第3従来例のような「伝導帯不連続」を生成しないので、直流電流・電圧特性における立ち上がり特性を悪化させることがない。
【0023】
(6) 本発明のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタを、前記エミッタ領域が前記コレクタ領域よりも上位に配置されたエミッタトップ型とする場合、前記エミッタ・ベース接合の近傍にある前記ベース領域の不純物濃度が低い部分の幅は、ベース・エミッタ間電圧がゼロのときに前記ベース領域の内部に生成される空乏層の幅より大きくするのが望ましい。
【0025】
本発明のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタを、前記コレクタ領域が前記エミッタ領域よりも上位に配置されたコレクタトップ型とする場合、前記エミッタ・ベース接合の近傍にある前記ベース領域の不純物濃度が高い部分の幅は、ベース・エミッタ間電圧がゼロのときに前記ベース領域の内部に生成される空乏層の幅より大きくするのが望ましい。
【0026】
(7) なお、特開平5−129315号公報には、順方向動作型(またはラテラル型)のホモ接合バイポーラ・トランジスタにおいて、ベース領域内のコレクタ領域側の不純物濃度をエミッタ領域側の不純物濃度よりも高くすることにより、高速動作を図ったものが開示されている。当該公報の第2実施例では、擬似ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタへの適用も示されている。しかし、これらのバイポーラ・トランジスタの構造は、あくまでホモ接合の範疇を越えるものではなく、本発明のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタとは構造と目的が全く異なっている。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
〔第1実施形態〕
図2は、本発明の第1実施形態に係るnpn型のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタの断面構造を示す。
【0029】
本実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタでは、図2に示すように、半導体基板8の表面にn型のサブコレクタ領域7が形成され、そのサブコレクタ領域7の上にn型のコレクタ領域5とコレクタ電極6が形成されている。コレクタ電極6は、コレクタ領域5の全体を囲むように配置されている。
【0030】
コレクタ領域5の上には、p型のベース領域3が形成されている。ベース領域3の大きさは、コレクタ領域5のそれと同じである。
【0031】
ベース領域3の上には、n型のエミッタ領域1とベース電極4が形成されている。ベース電極4は、エミッタ領域1の全体を囲むように配置されている。
【0032】
エミッタ領域1の上には、エミッタ・コンタクト9と10が積層形成されている。上位にあるエミッタ・コンタクト9の上には、エミッタ電極2が形成されている。
【0033】
n型エミッタ領域1を形成する半導体材料は、p型ベース領域3を形成する半導体材料よりも広いバンドギャップを持っており、エミッタ領域1とベース領域3との接合(エミッタ・ベース接合)は、へテロ接合となっている。n型コレクタ領域5を形成する半導体材料も、p型ベース領域3を形成する半導体材料よりも広いバンドギャップを持っており、コレクタ領域5とベース領域3との接合(ベース・コレクタ接合)も、へテロ接合となっている。
【0034】
また、半導体基板8上にコレクタ領域5、ベース領域3、エミッタ領域1がこの順に積層されているので、エミッタ領域1がコレクタ領域5よりも上位に位置している。よって、このバイポーラ・トランジスタは、エミッタトップ型の構造を持つ。
【0035】
p型ベース領域3の不純物(アクセプタ)濃度の分布は、ベース・コレクタ接合の近傍に比べてエミッタ・ベース接合の近傍の方が低く設定されている(図1を参照)。
【0036】
以上の構成のバイポーラ・トランジスタは、サブコレクタ領域7とコレクタ領域5、ベース領域3、エミッタ領域1の形成時に、良く知られた有機金属分子線エピタキシャル法(Metal−Organic Molecular−Beam Epitaxy,MOMBE法)等の結晶成長法を用いて容易に製造できる。また、ベース領域3の所望の不純物(アクセプタ)濃度分布は、ベース領域3としての半導体結晶を成長させるに際して添加する不純物(アクセプタ)の量を適当に調整することにより、容易に実現することができる。よってそれらについての詳細な説明は省略する。
【0037】
以上の構成を持つ第1実施形態のnpn型バイポーラ・トランジスタの構成を、より具体的に説明すると、次の通りである。
【0038】
エミッタ・コンタクト領域9は、ドーピング量が3×1018[cm−3]のn型GaAs層により形成してある。エミッタ・コンタクト領域10は、ドーピング量が3×1017[cm−3]のn型GaAs層により形成してある。n型エミッタ領域1は、ドーピング量が3×1017[cm−3]のn型InGaP層により形成し、層厚は40[nm]としてある。n型コレクタ領域5は、ドーピング量が5×1015[cm−3]のn型InGaP層により形成し、層厚は800[nm]としてある。n型サブコレクタ領域7は、ドーピング量が3×1018[cm−3]のn型InGaP層により形成してある。p型ベース領域3は、p型GaAs層により形成し、その層厚は80[nm]としてある。エミッタ・ベース接合の面積SBEは120[μm]、ベース・コレクタ接合の面積SBCは240[μm]としてある。
【0039】
図1は、図2のA−A線に沿った断面についてベース領域3の不純物濃度分布を示す。図1において、縦軸はアクセプタ濃度であり、横軸はエピタキシャル層の積層方向(基板8に垂直な方向)の距離である。図1では、左側にコレクタ領域5があり、右側にエミッタ領域1がある。
【0040】
図1に示すように、ベース領域3内のアクセプタ濃度は、ベース・コレクタ接合面から幅Daが70[nm]の部分3aで4×1019[cm−3]とし、残りの幅Dbが10[nm]の部分3bでは2×1019[cm−3]に減らしてある。このため、第1実施形態におけるベース領域3のアクセプタ濃度分布は、エミッタ領域1との接合部(ベース・エミッタ接合)近傍のアクセプタ濃度がコレクタ領域5との接合部(ベース・コレクタ接合)近傍のアクセプタ濃度より低くなっている。
【0041】
ここで、ベース領域3の高アクセプタ濃度部分3aの幅Daは任意であるが、ベース領域3の低アクセプタ濃度部分3bの幅Dbは、ベース・エミッタ間電圧VBEが0[V]のときにベース領域3の内部に生成される空乏層の幅よりも大きくするのがよい。当該空乏層よりも小さいと、所望の電流抑制効果が得られないからである。本実施形態では、幅Dbを10[nm]としているので、当該空乏層の幅よりも十分広くなっている。
【0042】
次に、以上の構成を持つ第1実施形態のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、オフセット電圧が低減される理由について説明する。
【0043】
ベース領域3の内部のエミッタ領域1との接合部(エミッタ・ベース接合)の近傍にある低アクセプタ濃度部分3bは、コレクタ・エミッタ間電圧VCEが0[V]のときにエミッタ領域1からベース領域3へ流れる電流を増加させる。エミッタ領域1からベース領域3へ流れる電流IBEは、次の数式(1)で示される。
【0044】
【数1】
Figure 0003629247
数式(1)において、SBEはエミッタ・ベース接合の面積、JOBEはエミッタ・ベース接合の飽和電流密度、Tは絶対温度、VBEはベース・エミッタ間電圧、kはボルツマン定数、qは素電荷を示す。
【0045】
エミッタ・ベース接合の飽和電流密度JOBEは、次の数式(2)で与えられる。
【0046】
【数2】
Figure 0003629247
数式(2)において、Dはベース領域3での電子の拡散係数、NCBaseはベース領域3での伝導帯の有効状態密度、NVBaseはベース領域3での価電子帯の有効状態密度、EgBaseはベース領域3でのバンドギャップ、Lはベース領域3での電子の拡散長、PBEはベース領域3の低アクセプタ濃度部分3bのアクセプタ濃度を示す。
【0047】
数式(2)より、エミッタ・ベース接合の飽和電流密度JOBEは、ベース領域3の低アクセプタ濃度部分3bのアクセプタ濃度PBEに逆比例することが分かる。そこで、数式(1)と数式(2)より、エミッタ領域1からベース領域3へ流れる電流IBEを増加させるには、ベース領域3の低アクセプタ濃度部分3bのアクセプタ濃度PBEを減少させればよいことが分かる。
【0048】
ここで、第1実施形態のトランジスタのオフセット電圧は、エミッタ領域1からベース領域3へ注入される電流IBEが、コレクタ領域5からベース領域3へ注入される電流IBCよりも多いときに、トータルのコレクタ電流がマイナスになるために生じるものであるから、オフセット電圧を完全に無くすためには、コレクタ・エミッタ間電圧VCEが0[V]のときに、エミッタ領域1からベース領域3へ流れる電流IBEとコレクタ領域5からベース領域3に流れる電流IBCとが等しくなればよい。すなわち、VCE=0のときに、IBE=IBCが成立すればよい。
【0049】
ここで、コレクタ領域5からベース領域3に流れる電流IBCは、エミッタ領域1からベース領域3へ流れる電流IBEと同様に、次の数式(3)で示される。
【0050】
【数3】
Figure 0003629247
数式(3)において、SBCはベース・コレクタ接合の面積、JOBCはベース・コレクタ接合の飽和電流密度、VBCはベース・コレクタ間電圧、PBCはベース領域3の高アクセプタ濃度部分3aのアクセプタ濃度を示す。
【0051】
第1実施形態のトランジスタは、ダブルへテロ接合を持っているため、価電子帯不連続によりホール・バリアが生じてホールによる電流はほとんど流れない。このため、数式(1)および数式(3)において、ホールによる電流成分は無視している。
【0052】
したがって、上記の数式(1)、(2)および(3)と、IBE=IBCという条件から、オフセット電圧を完全に0[V]にする条件は、次の数式(4)で与えられる。
【0053】
【数4】
Figure 0003629247
つまり、ベース領域3の低アクセプタ濃度部分3bのアクセプタ濃度PBEを数式(4)を満たすように設定すれば、オフセット電圧を完全に無くすことができるのである。
【0054】
ところで、第1実施形態のトランジスタは、図2に示すように、コレクタ領域5、ベース領域3、エミッタ領域1がこの順に積まれたエミッタトップ型構造を持つので、ベース領域3上に形成されるベース電極4の面積に相当する分、エミッタ・ベース接合面積SBEがベース・コレクタ接合面積SBCよりも小さくなる。その結果、コレクタ領域5からベース領域3に流れる電流IBCと比較して、エミッタ領域1からベース領域3に流れる電流IBEの方が必然的に小さく(つまりIBC>IBE)なって、オフセット電圧が生じる。
【0055】
本実施形態では、エミッタ・ベース接合面積SBEのベース・コレクタ接合面積SBCに対する比が0.5で、1以下である(SBE/SBC=0.5<1)ので、オフセット電圧を抑制するには、式(4)から、ベース領域3の部分3aでのアクセプタ濃度PBEを部分3bでのアクセプタ濃度PBCよりも低く設定すればよい。本実施形態では、図1に示したように、ベース領域3の不純物濃度分布は、ベース・コレクタ接合側と比較して、ベース・エミッタ接合面側の方が低くなっており、オフセット電圧を抑制することができる。また、ベース領域3の部分3aのアクセプタ濃度PBE=2×1019[cm−3]、ベース領域3の部分3bのアクセプタ濃度PBC=4×1019[cm−3]であるので、PBE=PBC×(SBE/SBC)=0.5PBCとなって、数式(4)の条件を満たしている。よって、オフセット電圧は完全に無くなる。
【0056】
図3は、本発明の効果を確認するために発明者が行った試験の結果である。図3は、本発明の第1実施形態と従来例におけるβモードの直流電流・電圧特性を併せて示しており、第1実施形態の結果を実線で、従来例の結果を点線で示している。
【0057】
図3において、横軸はコレクタ・エミッタ間電圧VCEを、縦軸はコレクタ電流Iをそれぞれ示す。エミッタサイズSは120[μm]であり、ベース電流Iを30[μA]ステップで240[μA]まで変化させている。
【0058】
比較に用いた従来例におけるベース領域の不純物濃度分布を図14に示す。この従来例のベース領域のアクセプタ濃度は、一様に4×1019[cm−3]である。よって、PBE=PBC=4×1019[cm−3]である。
【0059】
図3の直流電流・電圧特性から明らかなように、従来例では0.3[V]のオフセット電圧が発生しているのに対して、本発明の第1実施形態ではオフセット電圧が完全に抑制されてゼロとなっている。
【0060】
以上説明したように、本発明の第1実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタでは、ベース領域3のアクセプタ濃度分布をコレクタ領域5との接合部の近傍3aのアクセプタ濃度PBCよりもエミッタ領域1との接合部の近傍3bのアクセプタ濃度PBEが低くなるように設定しているので、オフセット電圧を低減することができる。
【0061】
さらに、本実施形態では、ベース領域3の低アクセプタ濃度部分3bのアクセプタ濃度PBEを2×1019[cm−3]、それ以外の高アクセプタ濃度部分3aのアクセプタ濃度PBCを4×1019[cm−3]に設定して数式(4)の条件を満たしているので、エミッタ領域1からベース領域3に流れる電流IBEとコレクタ領域5からベース領域3に流れる電流IBCとが等しくなり、その結果、オフセット電圧を完全に無くすことができる。つまり、従来のように直流電流・電圧特性における立ち上がり特性を悪化させることなく、オフセット電圧を完全に無くすことができ、もって当該トランジスタの動作効率を向上させることができる。
【0062】
なお、本実施形態では、エミッタ領域1とコレクタ領域5をいずれもn型InGaPにより形成したが、ベース領域3よりもバンドギャップが広ければよいので、AlAs,AlGaAs,InGaAlP,InAlGaAsP等も使用可能である。また、ベース領域3にはGaAsを用いたが、InGaAs,InGaP,AlGaAs,InGaAsP等でもよい。さらに、ベース領域3にInGaAsを用いた場合には、基板8に対して垂直な方向に沿ってIn組成を傾斜させたものでもよい。
【0063】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るヘテロ接合バイポーラ・トランジスタについて説明する。本実施形態は、第1実施形態と同等の構造(図2参照)において、ベース領域3に図4に示す不純物濃度分布を持たせたものである。
【0064】
図4の不純物濃度分布においては、ベース領域3のアクセプタ濃度は、ベース・コレクタ接合面から幅Daが10[nm]の部分3aで4×1019[cm−3]とし、残りの幅Dbが70[nm]の部分3bを2×1019[cm−3]に低下させている。本実施形態のベース領域3の不純物濃度分布においても、数式(4)の条件を満たしているので、エミッタ領域1からベース領域3に流れる電流IBEとコレクタ領域5からベース領域3に流れる電流IBCとが等しくなり、その結果、オフセット電圧を完全に無くすことができる。つまり、従来のように直流電流・電圧特性における立ち上がり特性を悪化させることなく、オフセット電圧を完全に無くすことができ、もって当該トランジスタの動作効率を向上させることができる。
【0065】
〔第3実施形態〕
図5は、本発明の第3実施形態に係るヘテロ接合バイポーラ・トランジスタのベース領域3に使用された不純物濃度分布を示す。当該トランジスタの構造は、第1実施形態のそれと同じである。
【0066】
図5では、ベース領域3のアクセプタ濃度が、ベース・コレクタ接合面の4×1019[cm−3]からベース・エミッタ接合面の2×1019[cm−3]まで徐々に減少していく分布となっている。この第3実施形態においても、第1実施形態の場合と同じ効果が得られる。
【0067】
〔第4実施形態〕 図6は、本発明の第4実施形態に係るヘテロ接合バイポーラ・トランジスタのベース領域3に使用された不純物濃度分布を示す。当該トランジスタの構造は、第1実施形態のそれと同じである。
【0068】
図6の不純物濃度分布においては、ベース領域3のアクセプタ濃度が、ベース・コレクタ接合面から幅Daが10[nm]の部分3aで4×1019[cm−3]とし、ベース・エミッタ接合面から幅Dbが10[nm]の部分3bで2×1019[cm−3]とし、両者の間の部分3cでは第3実施形態の場合(図5参照)のように徐々に減少していく分布となっている。
【0069】
この第4実施形態のように、ベース・コレクタ接合面とベース・エミッタ接合面の近傍だけを均一にドープした分布でも、第1実施形態の場合と同じ効果が得られる。
【0070】
〔第5実施形態〕 図7は、本発明の第5実施形態に係るnpn型のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタの断面構造を示す。
【0071】
本実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタでは、図7に示すように、半導体基板28の表面にn型のサブエミッタ領域27が形成され、そのサブエミッタ領域27の上にn型のエミッタ領域25とエミッタ電極26が形成されている。エミッタ電極26は、エミッタ領域25の全体を囲むように配置されている。
【0072】
エミッタ領域25の上には、p型のベース領域23が形成されている。ベース領域23の大きさは、エミッタ領域25のそれと同じである。
【0073】
ベース領域23の上には、n型のコレクタ領域21とベース電極24が形成されている。ベース電極24は、コレクタ領域21の全体を囲むように配置されている。
【0074】
コレクタ領域21の上には、コレクタ・コンタクト29と30が積層形成されている。上位にあるコレクタ・コンタクト29の上には、コレクタ電極22が形成されている。
【0075】
n型コレクタ領域21を形成する半導体材料は、p型ベース領域23を形成する半導体材料よりも広いバンドギャップを持っており、コレクタ領域21とベース領域23との接合(コレクタ・ベース接合)は、へテロ接合となっている。n型エミッタ領域25を形成する半導体材料も、p型ベース領域23を形成する半導体材料よりも広いバンドギャップを持っており、エミッタ領域25とベース領域23との接合(エミッタ・コレクタ接合)も、へテロ接合となっている。
【0076】
また、半導体基板28上にエミッタ領域25、ベース領域23、コレクタ領域21がこの順に積層されているので、コレクタ領域21がエミッタ領域25よりも上位に位置している。よって、このバイポーラ・トランジスタは、コレクタトップ型の構造を持つ。
【0077】
p型ベース領域23の不純物(アクセプタ)濃度の分布は、ベース・コレクタ接合の近傍に比べてエミッタ・ベース接合の近傍の方が高く設定されている(図8を参照)。
【0078】
以上の構成を持つ第5実施形態のnpn型バイポーラ・トランジスタの構成を、より具体的に説明すると、次の通りである。
【0079】
コレクタ・コンタクト領域29は、ドーピング量が3×1018[cm−3]のn型GaAs層により形成してある。コレクタ・コンタクト領域30は、ドーピング量が3×1017[cm−3]のn型GaAs層により形成してある。n型コレクタ領域21は、ドーピング量が3×1017[cm−3]のn型InGaP層により形成し、層厚は40[nm]としてある。n型エミッタ領域25は、ドーピング量が5×1015[cm−3]のn型InGaP層により形成し、層厚は800[nm]としてある。n型サブエミッタ領域27は、ドーピング量が3×1018[cm−3]のn型InGaP層により形成してある。p型ベース領域23は、p型GaAs層により形成し、その層厚は80[nm]としてある。エミッタ・ベース接合の面積SBEは240[μm]、ベース・コレクタ接合の面積SBCは120[μm]としてある。
【0080】
図8は、図7のB−B線に沿った断面についてベース領域23の不純物濃度分布を示す。図8において、縦軸はアクセプタ濃度であり、横軸はエピタキシャル層の積層方向(基板28に垂直な方向)の距離である。図8では、右側にコレクタ領域21があり、左側にエミッタ領域25がある。
【0081】
図8に示すように、ベース領域23内のアクセプタ濃度は、ベース・コレクタ接合面から幅Db’が10[nm]の部分23bで2×1019[cm−3]とし、残りの幅Da’が70[nm]の部分23aでは4×1019[cm−3]に増やしてある。このため、第5実施形態におけるベース領域23のアクセプタ濃度分布は、エミッタ領域21との接合部(ベース・エミッタ接合)近傍のアクセプタ濃度がコレクタ領域25との接合部(ベース・コレクタ接合)近傍のアクセプタ濃度より高くなっている。
【0082】
ここで、ベース領域23の低アクセプタ濃度部分23b幅Db’は任意であるが、ベース領域23の高アクセプタ濃度部分23aの幅Da’は、ベース・エミッタ間電圧VBEが0[V]のときにベース領域23の内部に生成される空乏層の幅よりも大きくするのがよい。当該空乏層よりも小さいと、所望の電流抑制効果が得られないからである。本実施形態では、幅Da’を70[nm]としているので、当該空乏層の幅よりも十分広くなっている。
【0083】
以上の構成を持つ第5実施形態のヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、オフセット電圧が低減される理由は、第1実施形態において述べたのと同じであるから、その説明は省略する。
【0084】
本実施形態では、ベース・コレクタ接合面積SBCのエミッタ・ベース接合面積SBEに対する比が0.5で、1以下である(SBC/SBE=0.5<1)ので、オフセット電圧を抑制するには、数式(4)から、ベース領域3の部分3a’でのアクセプタ濃度PBEを部分3b’でのアクセプタ濃度PBCよりも高く設定すればよい。本実施形態では、図8に示したように、ベース領域23の不純物濃度分布は、ベース・コレクタ接合面側と比較して、ベース・エミッタ接合面側の方が高くなっており、オフセット電圧を抑制することができる。また、ベース領域23の部分23aのアクセプタ濃度PBE=4×1019[cm−3]、ベース領域23の部分23bのアクセプタ濃度PBC=2×1019[cm−3]であるので、PBE=PBC×(SBC/SBE)=0.5PBCとなって、数式(4)の条件を満たしている。よって、オフセット電圧は完全に無くなる。
【0085】
〔第6実施形態〕
図9は、本発明の第6実施形態に係るヘテロ接合バイポーラ・トランジスタのベース領域23に使用された不純物濃度分布を示す。当該トランジスタの構造は、第5実施形態のそれと同じである。
【0086】
図9の不純物濃度分布においては、ベース領域23のアクセプタ濃度は、ベース・コレクタ接合面から幅Db’が70[nm]の部分23bで2×1019[cm−3]とし、残りの幅Da’が10[nm]の部分23aでは4×1019[cm−3]に増加させている。本実施形態のベース領域23の不純物濃度分布においても、数式(4)の条件を満たしているので、エミッタ領域21からベース領域23に流れる電流IBEとコレクタ領域25からベース領域23に流れる電流IBCとが等しくなり、その結果、オフセット電圧を完全に無くすことができる。つまり、従来のように直流電流・電圧特性における立ち上がり特性を悪化させることなく、オフセット電圧を完全に無くすことができ、もって当該トランジスタの動作効率を向上させることができる。
【0087】
〔第7実施形態〕
図10は、本発明の第7実施形態に係るヘテロ接合バイポーラ・トランジスタのベース領域23に使用された不純物濃度分布を示す。当該トランジスタの構造は、第5実施形態のそれと同じである。
【0088】
図10では、ベース領域23のアクセプタ濃度が、ベース・コレクタ接合面の2×1019[cm−3]からベース・エミッタ接合面の4×1019[cm−3]まで徐々に増加していく分布となっている。この第7実施形態においても、第5実施形態の場合と同じ効果が得られる。
【0089】
〔第8実施形態〕
図11は、本発明の第8実施形態に係るヘテロ接合バイポーラ・トランジスタのベース領域23に使用された不純物濃度分布を示す。当該トランジスタの構造は、第5実施形態のそれと同じである。
【0090】
図11の不純物濃度分布においては、ベース領域23のアクセプタ濃度が、ベース・コレクタ接合面から幅Db’が10[nm]の部分23bで2×1019[cm−3]とし、ベース・エミッタ接合面から幅Da’が10[nm]の部分23aで4×1019[cm−3]とし、両者の間の部分23cでは第7実施形態の場合(図10参照)のように徐々に増加していく分布となっている。
【0091】
この第8実施形態のように、ベース・コレクタ接合面とベース・エミッタ接合面の近傍だけを均一にドープした分布でも、第5実施形態の場合と同じ効果が得られる。
【0092】
〔変形例〕 上述した第1〜第8の実施形態では、npn型のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタとしているが、本発明はこれに限定されず、pnp型のダブルヘテロ接合バイポーラトランジスタへの適用も可能であることは言うまでもない。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタによれば、直流電流・電圧特性における立ち上がり特性を悪化させることなくオフセット電圧をほぼ完全に無くし、もって効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタにおけるベース領域の不純物濃度分布を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタの構造を示す断面図である。
【図3】本発明と従来例におけるβモードの直流電流・電圧特性を示す説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタにおけるベース領域の不純物濃度分布を示す説明図である。
【図5】本発明の第3実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタにおけるベース領域の不純物濃度分布を示す説明図である。
【図6】本発明の第4実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタにおけるベース領域の不純物濃度分布を示す説明図である。
【図7】本発明の第5実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタの構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタにおけるベース領域の不純物濃度分布を示す説明図である。
【図9】本発明の第6実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタにおけるベース領域の不純物濃度分布を示す説明図である。
【図10】本発明の第7実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタにおけるベース領域の不純物濃度分布を示す説明図である。
【図11】本発明の第8実施形態のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタにおけるベース領域の不純物濃度分布を示す説明図である。
【図12】第2従来例のベース領域、コレクタ領域およびサブコレクタ領域にわたるエネルギー分布を示す説明図である。
【図13】第3従来例のベース領域、コレクタ領域およびサブコレクタ領域にわたるエネルギー分布を示す説明図である。
【図14】従来のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタにおけるベース領域の不純物濃度分布を示す説明図である。
【符号の説明】
1 エミッタ領域
2 エミッタ電極
3 ベース領域
3a ベース領域の高アクセプタ濃度部
3b ベース領域の低アクセプタ濃度部
3c ベース領域の中間アクセプタ濃度部
4 ベース電極
5 コレクタ領域
6 コレクタ電極
7 サブコレクタ領域
8 半導体基板
9,10 エミッタ・コンタクト
21 コレクタ領域
22 コレクタ電極
23 ベース領域
23a ベース領域の高アクセプタ濃度部
23b ベース領域の低アクセプタ濃度部
23c ベース領域の中間アクセプタ濃度部
24 ベース電極
25 エミッタ領域
26 エミッタ電極
27 サブエミッタ領域
28 半導体基板

Claims (7)

  1. エミッタ領域およびコレクタ領域がベース領域よりも広いバンドギャップを持つと共に、エミッタ・ベース接合およびベース・コレクタ接合がヘテロ接合とされ、且つ前記エミッタ・ベース接合の面積と前記ベース・コレクタ接合の面積とが互いに異なるダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタにおいて、
    前記ベース・コレクタ接合の近傍の不純物濃度と前記エミッタ・ベース接合の近傍の不純物濃度との比が、前記ベース・コレクタ接合の面積と前記エミッタ・ベース接合の面積との比にほぼ等しくなるように、前記ベース領域の不純物濃度分布が設定されていることを特徴とするダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ。
  2. 前記エミッタ領域が前記コレクタ領域よりも上位に配置され、前記エミッタ・ベース接合の面積が前記ベース・コレクタ接合の面積よりも小さいエミッタトップ型である請求項1に記載のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ。
  3. 前記コレクタ領域が前記エミッタ領域よりも上位に配置され、前記ベース・コレクタ接合の面積が前記エミッタ・ベース接合の面積よりも小さいコレクタトップ型である請求項1に記載のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ。
  4. 前記エミッタ・ベース接合の近傍にある前記ベース領域の不純物濃度が低い部分の幅が、ベース・エミッタ間電圧がゼロのときに前記ベース領域の内部に生成される空乏層の幅より大きい請求項1または2に記載のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ。
  5. 前記ベース領域が、前記エミッタ・ベース接合の近傍にある前記ベース領域の不純物濃度が低い部分に隣接して、前記ベース・コレクタ接合に向かって不純物濃度が徐々に増加する部分を含んでいる請求項1、2または4に記載のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ。
  6. 前記エミッタ・ベース接合の近傍にある前記ベース領域の不純物濃度が高い部分の幅が、ベース・エミッタ間電圧がゼロのときに前記ベース領域の内部に生成される空乏層の幅より大きい請求項1または3に記載のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ。
  7. 前記ベース領域が、前記エミッタ・ベース接合の近傍にある前記ベース領域の不純物濃度が高い部分に隣接して、前記ベース・コレクタ接合に向かって不純物濃度が徐々に減少する部分を含んでいる請求項1、3または6に記載のダブルヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ。
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