JP3628988B2 - 書籍出版方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、書籍出版方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、個人的な研究成果や、小説、エッセイ、詩、自分史等を書籍として出版することにより、自己の足跡を後世に形として残しておきたいという要望が増えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般個人がこの種の要望を満足するには、自費出版をする必要がある。しかし、書籍を出版をするには、それなりの費用が必要になるため、誰でも簡単に自費出版をすることができるという訳ではないという問題がある。
【0004】
また、自費出版をするに当たって体裁の良い書籍を出版しようとすると、ある程度まとまったページ数の原稿を執筆する必要がある。しかし、文章を書くことに慣れていない者にとっては、まとまったページ数の原稿を執筆するのは困難であるといった問題もある。
【0005】
さらに、書籍を自費出版した場合、できるだけ多くの人に読んでもらいたいという要望がある。しかし、一個人が自費出版しても、せいぜい友人・知人や親戚に配る程度しかできないため、かかる要望に十分に応えることができないという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は、容易に書籍を出版をすることができ、しかも出版した書籍を多くの人に読んでもらえる様にすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1の書籍出版方法は、
原稿を執筆者毎に区別して蓄積していき、該蓄積された複数の執筆者の原稿の総ページ数が1冊の書籍を出版可能な所定のページ数になった場合に、該蓄積された複数の執筆者の原稿に基づいて所定部数の書籍を出版すると共に、該出版された書籍の内、一部又は全部の書籍を、各執筆者の原稿ページ数に応じた配分比で、各執筆者に対して分配する様にした書籍出版方法であって、
一般個人の自宅にあるパーソナルコンピュータと、印刷所にあるパーソナルコンピュータとを、インターネットを介して接続することによって構成され、
インターネット上のホームページを、氏名等の執筆者に関する情報と、投稿する原稿のタイトル名と、原稿ファイル名とを投稿希望者に入力させ、執筆者に関する情報及び投稿原稿のタイトル名からなるメール本文と、投稿原稿のファイル名に応じた添付ファイルとからなるe−mailを生成し、投稿希望者が選択したジャンルに応じたメールアドレス宛に送信する様に構成し、
印刷所のパーソナルコンピュータのハードディスクを、ジャンル別のフォルダを有する原稿蓄積用記憶装置を備えるものとして構成すると共に、
該印刷所のパーソナルコンピュータにおいて、予めインストールされたコンピュータプログラムを起動することによって、該パーソナルコンピュータが以下の処理を実行する様にしたことを特徴とする書籍出版方法。
(1) ジャンル別に設けられている投稿原稿受け付け用の各メールアドレスについて、e−mail受信処理を実行すると共に、新たなe−mailを受信したか否かを判断する処理。
(2) 前記(1)の処理を実行した結果、新たなe−mailを受信したと判断された場合には、このe−mailを受信したメールアドレスに応じて、受信トレイから当該印刷所のパーソナルコンピュータ自身のハードディスク内に設けられた前記原稿蓄積用記憶装置内に設けられている前記ジャンル別のフォルダへと移動する処理。
(3) 前記(2)の処理を実行した後、前記移動したe−mailの添付ファイルの原稿ページ数をカウントすると共に、得られたカウント値を、前記各ジャンル別のフォルダ毎の投稿原稿総ページ数に加算する処理。
(4) 前記(3)の処理が終了した後、又は前記(1)の処理において新たなe−mailを受信していないと判断されたときは、郵送原稿の有無をオペレータに問い合わせるメッセージを表示してオペレータに対して原稿の有無を問い合わせる処理。
(5) 前記(4)の問い合わせに対して、郵送原稿有りを意味する入力がなされた場合には、
(5−1) 原稿のジャンル、原稿のタイトル名、執筆者の氏名等の登録に必要な情報を入力するための入力画面を表示してオペレータによる入力の完了を待つ処理を実行し、
(5−2) オペレータによって入力完了が指示されたら、前記入力画面に従ってオペレータが入力した情報をテキストデータとして一時記憶すると共に、オペレータに対して原稿を原稿読み取り装置にセットして読み取りを実行すべき旨のメッセージをディスプレイに表示し、前記原稿読み取り装置による原稿読み取り動作が実行されるのを待つ処理を実行し、
(5−3) 原稿読み取りが実行されたら、前記原稿読み取り装置で読み取った紙原稿の画像データを一時記憶する処理を開始し、全ての紙原稿の読み取りが完了した後に、前記一時記憶された画像データのページ数をカウントする処理を実行すると共に、前記(5−2)の処理で一時記憶された情報に基づいて、ジャンルを判別する処理を実行し、
(5−4) 前記(5−3)の処理におけるジャンル判別の結果に応じて、前記(5−3)の処理で一時記憶した画像データ及び前記(5−2)の処理で一時記憶したテキストデータを対にして前記原稿蓄積用記憶装置内の該当するジャンルのフォルダに移動すると共に、当該フォルダ内の投稿原稿総ページ数に、前記(5−3)でカウントしたページ数を加算する処理。
(6) こうして、インターネットを介して投稿された電子データとしての原稿と、郵送により投稿された紙原稿の蓄積が完了したら、各ジャンル別のフォルダ毎に、投稿原稿総ページ数が所定ページ数を越えたフォルダがあるか否かを判断する処理。
(7) 前記(6)の判断の結果、投稿原稿総ページ数が前記所定ページ数を越えたフォルダがある場合には、当該フォルダ内に蓄積されているデータを受信日時又は投稿受付日の早いものから順番に読み出すという演算処理。
(8) 前記(7)の処理によって読み出したデータ中のテキスト情報から、タイトル名と、執筆者氏名とを抽出すると共に、原稿のページ数をカウントし、目次を作成する処理を実行すると共に、今回出版する書籍のメインタイトルを入力すべき旨のメッセージを表示してその入力を待つ処理。
(9) 今回出版する書籍のメインタイトルが入力されると、メインタイトル及び前記抽出した執筆者氏名に基づいて、メインタイトルと著者名とからなる表紙情報を作成すると共に、出版社名、出版社住所等の所定の情報と発行日及び定価とからなる奥付き情報を作成する処理。
(10) 前記(9)の処理によって作成された表紙情報、目次、奥付き情報と(7)の処理で読み出した原稿データとに基づいて、表紙情報、目次、読み出した原稿データ、奥付き情報と順番に並べた印刷情報を作成する処理。
(11) さらに、印刷情報中の各原稿のページ数に応じて、各執筆者毎の書籍引き取り数を算出する処理。
(12) 前記(11)の処理によって算出された書籍引き取り数に一冊の書籍の単価を乗算することにより、各執筆者毎の出版費用分担額を算出する演算処理。
【0008】
また、請求項2の書籍出版方法は、
請求項1記載の書籍出版方法において、
出版した書籍のメインタイトルと、その執筆者と、各執筆者の原稿ページ数と、この書籍の本文部分の総ページ数と、各執筆者の取引銀行口座情報とからなる著作権料支払い情報を作成し、これを印刷所側のパーソナルコンピュータ内の著作権料支払い情報データベースに登録しておき、
所定の販売期間が終了したときに、書籍販売により得られた販売収入がオペレータによって入力されると、
(21) 前記入力された販売収入に対して所定割合となる様に著作権料収入総額を算出する処理を実行し、
(22) 前記(21)の処理によって算出された著作権料収入総額を、前記著作権料支払い情報データベース内の当該書籍に対する本文部分の総ページ数で除算して、原稿1ページ当たりの著作権料を算出する処理を実行し、
(23) 前記(22)の処理によって算出された原稿1ページ当たりの著作権料に、各執筆者の原稿ページ数を乗算して、各執筆者毎の著作権料を算出する処理を実行し、
(24) 前記(23)の処理によって各執筆者毎の著作権料が算出できたら、著作権料支払いデータベース内の各執筆者の取引銀行口座情報に基づいて、各執筆者宛の著作権料振込情報を作成する処理を実行するためのコンピュータプログラムをも前記印刷所のパーソナルコンピュータに予めインストールしておき、当該コンピュータプログラムに基づく前記(21)〜(24)の処理をも実行させる様に構成したことを特徴とする。
【0009】
これらの書籍出版方法によれば、複数の執筆者の原稿を集めて、複数の執筆者の原稿を収録した一冊の書籍を出版することができる。そして、出版した書籍の一部又は全部を、各執筆者に対して原稿ページ数に応じた配分比で分配することにより、各執筆者は、自己の文章等が収録された書籍を所定部数手に入れることができる。こうして各執筆者が手に入れた書籍は、各執筆者がその友人・知人や親戚等に贈呈したり買い上げてもらったりすることにより、より多くの人にこれを読んでもらうことができる。
【0010】
また、複数の執筆者の原稿を集めて一冊の書籍を出版することができ、しかも、出版に要した費用については、各執筆者が、自己の原稿ページ数に応じた配分比で負担すればよいので、小さな負担で容易に出版をすることができる。そして、こうして出版された書籍は、複数の執筆者により執筆されたものであるから、各執筆者の友人・知人や親戚等に贈呈したり買い上げてもらうことで、より多くの人に読んでもらうことができる。
【0011】
請求項2の書籍出版方法によれば、出版した書籍を第三者に販売することにより著作権料収入が発生した場合には、各執筆者の原稿ページ数に応じた配分比で、各執筆者に対して著作権料を支払うことができる。従って、各執筆者は、一人だけではかなわなかった書籍の出版に加えて、適正な著作権料収入を得ることができ、出版をしようという意欲をより一層高めることになり、その結果として、印刷業・出版業の発展に寄与することができる。
【0012】
また、本発明の書籍出版方法によれば、ジャンル毎に区分して蓄積した原稿に基づいて書籍を出版することができる。この様に、ジャンルを区分することで、出版された書籍を読む者にとっては、書籍が読みやすくなり、また、第三者に販売するに当たっても、書籍を購入してもらい易くなる。例えば、自然科学の分野の個人的な研究成果について集めた原稿に基づいて書籍を出版した様な場合、一冊の学術論文集に匹敵する様な価値の高い書籍を出版することができる。この結果、この様な書籍は、入手希望者が多くなる可能性があり、場合によっては増刷によって第三者により多く販売することで、さらに多くの読者に書籍を読んでもらうことができ、これによって各執筆者はより多くの著作権料収入が得られることになり、投稿意欲を一層高めるといった結果が期待される。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、実施の形態としての書籍出版システム1の全体構成を示すものである。この書籍出版システム1は、一般個人の自宅にあるパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」という。)3,3,3,…と、印刷所にあるパソコン5とを、インターネット7を介して接続することによって構成される。印刷所側には、さらに、原稿蓄積用記憶装置9と、原稿読み取り装置11と、印刷・製本装置13と、プリンタ15とが備えられている。
【0015】
一方、インターネット7上では、この印刷所のホームページが閲覧可能になっている。まず、ホームページを閲覧すると、図2に示す様なトップページが表示される。このトップページからは、自費出版用の原稿を投稿する際に、どのジャンルに属するかを選択することができる様になっている。
【0016】
ここで、いずれかのジャンルを選択すると、図3に示す様に、投稿ページが表示される様になっている。この投稿ページにおいては、氏名、郵便番号、住所、電話番号、FAX番号、e−mailアドレス、本人確認のためのパスワード、クレジットカードの種類及び番号、取引銀行口座情報といった執筆者に関する情報の入力欄と、投稿する原稿のタイトル名入力欄と、原稿ファイル名入力欄とが表示される。
【0017】
自費出版のために原稿を投稿しようとする者は、氏名等を入力すると共に、投稿する原稿のタイトルを入力し、さらに原稿ファイル名を入力して投稿ボタンをクリックすることにより、この投稿ページから自費出版用の原稿を投稿することができる様になっている。ここで、投稿ボタンをクリックすると、氏名等の執筆者に関する情報及び投稿原稿のタイトル名からなるメール本文と、投稿原稿のファイル名に応じた添付ファイルとからなるe−mailが生成され、投稿に先立ってトップページで選んだジャンルに応じたメールアドレス宛に送信される。
【0018】
なお、自費出版のために原稿を投稿しようとする者は、予め、ワープロソフト等を用いて原稿を作成しておき、WORD(商標名)や一太郎(登録商標)等のワープロファイルや、PDFファイル等の所定のファイル形式にて固有のファイル名を付けて自己のパソコン3のハードディスク内に格納しておく。そして、投稿原稿のファイル名入力欄には、このハードディスクのディレクトリと投稿したい原稿のファイル名とを入力する。
【0019】
また、本実施の形態では、自費出版のための原稿を投稿しようとする者は、手書きの紙原稿やワープロで作成して出力した原稿の空欄に写真や図を貼り付けて作成した紙原稿を郵送により投稿することもできる様になっている。この場合、原稿を投稿しようとする者は、紙出力した原稿と、投稿しようとするジャンル、原稿のタイトル名、氏名、郵便番号、住所、電話番号、FAX番号、e−mailアドレス、本人確認のためのパスワード、クレジットカードの種類及び番号、取引銀行口座情報を記入した投稿申込み用紙とを印刷所宛に郵送する。
【0020】
次に、この書籍出版システム1において、印刷所のパソコン5において実行される制御処理の内容について説明する。この処理では、図4に示す様に、投稿原稿受け付け用としてジャンル別に設けられている各メールアドレスについて、e−mail受信処理を実行する(S10)。続いて、この受信処理の結果、新たなe−mailを受信したか否かを判断する(S20)。新たなe−mailを受信した場合には(S20:YES)、このe−mailを受信したメールアドレスに応じて、受信トレイから原稿蓄積用記憶装置9内に設けられているジャンル別のフォルダへと移動する(S30)。
【0021】
そして、S30で移動したe−mailの添付ファイルの原稿ページ数Pmailをカウントし(S40)、このカウント値Pmailを、各ジャンル別のフォルダ毎の投稿原稿総ページ数Ptotal に加算する(S50)。
【0022】
次に、「郵送により届いた紙原稿が有りますか?」というメッセージをパソコン5のディスプレイに表示し(S60)、郵送原稿の有無を問い合わせる(S70)。郵送により届いた紙原稿がある場合には、オペレータは、キーボード又はマウスを操作して、「YES」を入力する。すると、郵送原稿登録処理(S80)が実行される。
【0023】
郵送原稿登録処理(S80)では、図6に示す様に、原稿のジャンル、原稿のタイトル名、執筆者の氏名、郵便番号、住所、電話番号、FAX番号、e−mailアドレス、本人確認のためのパスワード、クレジットカードの種類及び番号、取引銀行口座情報を入力するための入力画面を表示し(S801)、オペレータによる入力の完了を待つ(S803)。オペレータは、この表示に従って、投稿者からの投稿申込み用紙に記載されている内容に従って、これらの情報をテキストデータとして入力する。こうして紙原稿を原稿蓄積用記憶装置9に蓄積するために必要な情報が入力されたら(S803:YES)、この情報をRAM内のワークエリアに一時記憶する(S805)。
【0024】
次に、紙原稿を原稿読み取り装置11にセットして読み取りを実行すべき旨のメッセージをディスプレイに表示し(S807)、原稿読み取り装置11による原稿読み取り動作が実行されるのを待つ(S809)。オペレータは、このディスプレイ表示の指示に従って、紙原稿を原稿読み取り装置11にセットして、原稿読み取り装置11による読み取り動作をスタートさせる。すると、S809がYESになり、パソコン5は、原稿読み取り装置11で読み取った紙原稿の画像データを、パソコン5内のRAMのワークエリアに一時記憶する(S811)。そして、全ての紙原稿の読み取りが完了したか否かを判断する(S813)。
【0025】
全ての紙原稿の読み取りが完了したら、ワークエリア内に一時記憶された画像データのページ数Ppaper をカウントする(S815)。続いて、S805で一時記憶された情報に基づいて、ジャンルを判別し(S817)、このジャンル判別の結果に応じて、S811で一時記憶した画像データ及びS805で一時記憶したテキストデータを対にして原稿蓄積用記憶装置9内の該当するジャンルのフォルダに移動すると共に(S819)、当該フォルダ内の投稿原稿総ページ数Ptotal に、S815でカウントしたページ数Ppaper を加算する(S821)。
【0026】
こうして、インターネット7を介して投稿された電子データとしての原稿と、郵送により投稿された紙原稿の蓄積が完了したら、図5に示す様に、各ジャンル別のフォルダ毎に、この投稿原稿総ページ数Ptotal が100ページを越えたフォルダがあるか否かを判断する(S90)。投稿原稿総ページ数Ptotal が100ページを越えたフォルダがある場合には(S90:YES)、当該フォルダ内に蓄積されているデータを受信日時又は投稿受付日の早いものから順番に読み出す(S100)。
【0027】
そして、読み出したデータ中のテキスト情報から、タイトル名と、執筆者氏名とを抽出すると共に(S110)、原稿のページ数をカウントし(S120)、目次を作成する(S130)。また、今回出版する書籍のメインタイトルを入力すべき旨のメッセージをディスプレイに表示し(S140)、その入力を待つ(S150)。オペレータは、この表示に従って、今回出版する書籍のメインタイトルを決定し、キーボードを操作してこれを入力する。すると、S150の判断がYESとなり、入力されたメインタイトル及びS110で抽出した執筆者氏名に基づいて、メインタイトルと著者名とからなる表紙情報を作成する(S160)。さらに、出版社名、出版社住所等の所定の情報と発行日及び定価とからなる奥付き情報を作成する(S170)。
【0028】
こうして表紙情報、目次、奥付き情報が作成できたら、表紙情報、目次、読み出した原稿データ、奥付き情報と順番に並べた印刷情報を作成する(S180)。なお、この際、原稿データの並べ方は、目次と一致する様に編集される。そして、この印刷情報を、印刷・製本装置13に対して出力する(S190)。
【0029】
続いて、印刷情報中の各原稿のページ数に応じて、各執筆者毎の書籍引き取り数を算出する(S200)。本実施の形態では、書籍の出版部数を500部に設定しており、書籍引き取り数は、原稿1ページに付き3部といった条件が設定されている。従って、S200の処理では、例えば、執筆者A氏の原稿が10ページで、執筆者B氏の原稿が8ページであれば、A氏の書籍引き取り数は30部となり、B氏の書籍引き取り数は24部となる。
【0030】
こうして各執筆者毎の書籍引き取り数が算出できたら、この書籍引き取り数に一冊の書籍の単価(例えば1000円)を乗算することにより、各執筆者毎の出版費用分担額を算出する(S210)。そして、各執筆者のクレジットカード情報に基づいて、この出版費用分担額の決済を実行すると共に(S220)、各執筆者に分配すべき書籍数と、書籍の送付先となる各執筆者の住所・氏名とをテーブル化した書籍分配表をプリンタ15から出力する(S230)。さらに、今回出版した書籍のメインタイトルと、その執筆者と、各執筆者の原稿ページ数と、この書籍の本文部分の総ページ数と、各執筆者の取引銀行口座情報とからなる著作権料支払い情報を作成し、これをパソコン5のハードディスク内の著作権料支払い情報データベースに登録する(S240)。
【0031】
以上の様にして本処理が終了する。なお、S90でNOと判断された場合は、以後のステップをパスして本処理を終了する。また、S20でNOと判断された場合は、郵送原稿の有無を判断し(S25)、郵送原稿有りの場合には(S25:YES)、S80の処理に進み、郵送原稿無しの場合には(S25:NO)、そのまま本処理を終了する。
【0032】
こうしてパソコン5から印刷情報を受け取った印刷・製本装置13は、500部の書籍の印刷及び製本を実行する。そして、出版された500部の書籍の内、S230で出力された書籍分配表に従って、各執筆者に対して分配すべき書籍を送付する。
【0033】
以上の様にして、本実施の形態によれば、複数の執筆者が投稿した原稿に基づいて、ジャンル別に編集された書籍を自費出版することができる。そして、この自費出版に要した費用は、原稿のページ数に応じて、各執筆者に負担してもらうことができる。この結果、印刷所は出版費用を確実に回収することができると共に、各執筆者は少ない負担で自費出版をすることができることになる。
【0034】
また、各執筆者には、原稿ページ数に応じた部数の書籍が分配される。こうして書籍の分配を受けた各執筆者は、各自の友人・知人や親戚に対して、書籍を贈呈したり買い上げてもらったりすることができる。この結果、一人の執筆者だけではさばききれない約300部の書籍が、いろいろな人に配られ、多くの人に読んでもらうことができる。なお、出版した500部の書籍の内、各執筆者に分配された約300部を除いた残りの約200部の書籍については、書店やインターネット上で販売することにより、さらに多くの人にこの書籍を読んでもらうことができる。
【0035】
次に、書店やインターネット上の販売サイトに置いた約200部の書籍について、これらが実際に販売できた場合の著作権料の支払い処理について説明する。なお、この処理は、例えば、半年とか一年といった所定の販売期間が終了したときに実行する。この著作権料支払い処理では、図7に示す様に、オペレータにより書籍販売により得られた販売収入が入力されるのを待つ(S310)。オペレータにより、販売収入が入力されると(S310:YES)、この販売収入に対して所定割合となる様に著作権料収入総額を算出する(S320)。続いて、この著作権料収入総額を、著作権料支払い情報データベース内のこの書籍に対する本文部分の総ページ数で除算して、原稿1ページ当たりの著作権料を算出する(S330)。そして、この原稿1ページ当たりの著作権料に、各執筆者の原稿ページ数を乗算して、各執筆者毎の著作権料を算出する(S340)。こうして、各執筆者毎の著作権料が算出できたら、著作権料支払いデータベース内の各執筆者の取引銀行口座情報に基づいて、各執筆者宛の著作権料振込情報を作成する(S350)。なお、この著作権料振込情報を作成する際には、振込手数料を差し引いた金額が実際の振込金額となる様にする。そして、この各執筆者宛の著作権料振込情報に基づいて、各執筆者の取引銀行口座に対する著作権料の振込を実行する(S360)。
【0036】
以上の様な処理を実行することにより、自費出版にて出版した書籍が一般に販売できた場合の著作権料を、各執筆者に対して的確な割合で支払うことができる。なお、この場合、この書籍の売れ行きが好調であり、追加注文がある様な場合には、印刷所では、この書籍を増刷し、これを書店やインターネット上のサイトで販売し、この販売収入に対しても上述の様な著作権料支払い処理を実行することにより、増刷分の書籍の販売により得られる著作権料をも各執筆者に的確に分配することができる。なお、この際には、増刷分の書籍の販売期間が終了した時点で、上述した様な著作権料支払い処理を実行することになる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明はこれに限られるものではない。
【0038】
例えば、郵送により手書きで送られてきた原稿については、これを活字化して原稿データを作成し、活字化した原稿により書籍を出版する様にしてもよい。また、書籍を出版する際に、各執筆者から集まった原稿のテキスト部分のフォントを統一する処理を施したり、装飾的な処理を施すなど、書籍を出版するに当たって所定の編集作業を実行する様にしてもよい。
【0039】
また、自費出版に限らず、例えば、学術論文集を出版しようとする場合に、複数の執筆者からの投稿を受け付け、これを蓄積しておいて、所定のページ数分の原稿が集まった時点で書籍を出版するといった場合にも本発明の方法及びシステムを採用することができる。この場合、出版に要する費用はこの学術論文集の出版を企画したスポンサーが負担することとし、出版した書籍の一部を執筆者に対して無償で分配し、残りを販売する様にしても構わない。執筆者に一部の書籍を分配することで、執筆者自身が友人・知人等に贈呈・販売することで、より多くの読者を確保することができるという点で、本発明の目的に合致している。
【0040】
さらに、本実施の形態では、原稿1ページ当たり3冊の書籍を執筆者に分配することとしたが、原稿が5ページ以下の執筆者には10冊、6〜10ページの執筆者には20冊、11〜15ページの執筆者には30冊といった様に分配することとしても構わない。
【0041】
また、上述の様にスポンサー付きで書籍を発行する様な場合であれば、原稿を募集する際に、例えば、5〜10ページといった形でページ数の指定をしておいても構わない。そして、この場合、原稿ページ数が5〜10ページという条件は各執筆者に対して同一であるので、各執筆者に対して一律に10冊の書籍を分配するといった方法を採用しても構わない。この様な方法もまた、書籍の分配条件が執筆者の原稿ページ数に基づいていることにわ変わりないからである。
【0042】
さらに、上述の実施の形態では、出版した書籍の内、一部だけを執筆者に買い取らせる様にしたが、全部を執筆者に買い取らせる様にしてもよい。
【0043】
また、各執筆者の負担すべき費用をクレジットカードで決済するのではなく、各執筆者に分配すべき書籍と共に請求書を送付して、銀行振込で支払ってもらう様にしてもよい。
【0044】
さらに、複数の印刷所がそれぞれ特定のジャンルの原稿を受け付ける様にしておき、各印刷所が特定のジャンルの書籍を出版するといった形で本発明を実施しても構わない。
【0045】
【発明の効果】
以上詳細に説明した様に、本発明によれば、容易に出版をすることができ、しかも出版した書籍を多くの人に読んでもらうことができ、印刷業・出版業の発展に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態としての書籍出版システムの構成を示す模式図である。
【図2】実施の形態の書籍出版システムにおける印刷所のホームページのトップページの内容を示す説明図である。
【図3】実施の形態の書籍出版システムにおける投稿ページの内容を示す説明図である。
【図4】実施の形態で実行される制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態で実行される制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態で実行される制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態で実行される制御処理の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・書籍出版システム、3・・・パソコン、5・・・パソコン、7・・・インターネット、9・・・原稿蓄積用記憶装置、11・・・原稿読み取り装置、13・・・印刷・製本装置、15・・・プリンタ。
Claims (2)
- 原稿を執筆者毎に区別して蓄積していき、該蓄積された複数の執筆者の原稿の総ページ数が1冊の書籍を出版可能な所定のページ数になった場合に、該蓄積された複数の執筆者の原稿に基づいて所定部数の書籍を出版すると共に、該出版された書籍の内、一部又は全部の書籍を、各執筆者の原稿ページ数に応じた配分比で、各執筆者に対して分配する様にした書籍出版方法であって、
一般個人の自宅にあるパーソナルコンピュータと、印刷所にあるパーソナルコンピュータとを、インターネットを介して接続することによって構成され、
インターネット上のホームページを、氏名等の執筆者に関する情報と、投稿する原稿のタイトル名と、原稿ファイル名とを投稿希望者に入力させ、執筆者に関する情報及び投稿原稿のタイトル名からなるメール本文と、投稿原稿のファイル名に応じた添付ファイルとからなるe−mailを生成し、投稿希望者が選択したジャンルに応じたメールアドレス宛に送信する様に構成し、
印刷所のパーソナルコンピュータのハードディスクを、ジャンル別のフォルダを有する原稿蓄積用記憶装置を備えるものとして構成すると共に、
該印刷所のパーソナルコンピュータにおいて、予めインストールされたコンピュータプログラムを起動することによって、該パーソナルコンピュータが以下の処理を実行する様にしたことを特徴とする書籍出版方法。
(1) ジャンル別に設けられている投稿原稿受け付け用の各メールアドレスについて、e−mail受信処理を実行すると共に、新たなe−mailを受信したか否かを判断する処理。
(2) 前記(1)の処理を実行した結果、新たなe−mailを受信したと判断された場合には、このe−mailを受信したメールアドレスに応じて、受信トレイから当該印刷所のパーソナルコンピュータ自身のハードディスク内に設けられた前記原稿蓄積用記憶装置内に設けられている前記ジャンル別のフォルダへと移動する処理。
(3) 前記(2)の処理を実行した後、前記移動したe−mailの添付ファイルの原稿ページ数をカウントすると共に、得られたカウント値を、前記各ジャンル別のフォルダ毎の投稿原稿総ページ数に加算する処理。
(4) 前記(3)の処理が終了した後、又は前記(1)の処理において新たなe−mailを受信していないと判断されたときは、郵送原稿の有無をオペレータに問い合わせるメッセージを表示してオペレータに対して原稿の有無を問い合わせる処理。
(5) 前記(4)の問い合わせに対して、郵送原稿有りを意味する入力がなされた場合には、
(5−1) 原稿のジャンル、原稿のタイトル名、執筆者の氏名等の登録に必要な情報を入力するための入力画面を表示してオペレータによる入力の完了を待つ処理を実行し、
(5−2) オペレータによって入力完了が指示されたら、前記入力画面に従ってオペレータが入力した情報をテキストデータとして一時記憶すると共に、オペレータに対して原稿を原稿読み取り装置にセットして読み取りを実行すべき旨のメッセージをディスプレイに表示し、前記原稿読み取り装置による原稿読み取り動作が実行されるのを待つ処理を実行し、
(5−3) 原稿読み取りが実行されたら、前記原稿読み取り装置で読み取った紙原稿の画像データを一時記憶する処理を開始し、全ての紙原稿の読み取りが完了した後に、前記一時記憶された画像データのページ数をカウントする処理を実行すると共に、前記(5−2)の処理で一時記憶された情報に基づいて、ジャンルを判別する処理を実行し、
(5−4) 前記(5−3)の処理におけるジャンル判別の結果に応じて、前記(5−3)の処理で一時記憶した画像データ及び前記(5−2)の処理で一時記憶したテキストデータを対にして前記原稿蓄積用記憶装置内の該当するジャンルのフォルダに移動すると共に、当該フォルダ内の投稿原稿総ページ数に、前記(5−3)でカウントしたページ数を加算する処理。
(6) こうして、インターネットを介して投稿された電子データとしての原稿と、郵送により投稿された紙原稿の蓄積が完了したら、各ジャンル別のフォルダ毎に、投稿原稿総ページ数が所定ページ数を越えたフォルダがあるか否かを判断する処理。
(7) 前記(6)の判断の結果、投稿原稿総ページ数が前記所定ページ数を越えたフォルダがある場合には、当該フォルダ内に蓄積されているデータを受信日時又は投稿受付日の早いものから順番に読み出すという演算処理。
(8) 前記(7)の処理によって読み出したデータ中のテキスト情報から、タイトル名と、執筆者氏名とを抽出すると共に、原稿のページ数をカウントし、目次を作成する処理を実行すると共に、今回出版する書籍のメインタイトルを入力すべき旨のメッセージを表示してその入力を待つ処理。
(9) 今回出版する書籍のメインタイトルが入力されると、メインタイトル及び前記抽出した執筆者氏名に基づいて、メインタイトルと著者名とからなる表紙情報を作成すると共に、出版社名、出版社住所等の所定の情報と発行日及び定価とからなる奥付き情報を作成する処理。
(10) 前記(9)の処理によって作成された表紙情報、目次、奥付き情報と(7)の処理で読み出した原稿データとに基づいて、表紙情報、目次、読み出した原稿データ、奥付き情報と順番に並べた印刷情報を作成する処理。
(11) さらに、印刷情報中の各原稿のページ数に応じて、各執筆者毎の書籍引き取り数を算出する処理。
(12) 前記(11)の処理によって算出された書籍引き取り数に一冊の書籍の単価を乗算することにより、各執筆者毎の出版費用分担額を算出する演算処理。 - 請求項1記載の書籍出版方法において、
出版した書籍のメインタイトルと、その執筆者と、各執筆者の原稿ページ数と、この書籍の本文部分の総ページ数と、各執筆者の取引銀行口座情報とからなる著作権料支払い情報を作成し、これを印刷所側のパーソナルコンピュータ内の著作権料支払い情報データベースに登録しておき、
所定の販売期間が終了したときに、書籍販売により得られた販売収入がオペレータによって入力されると、
(21) 前記入力された販売収入に対して所定割合となる様に著作権料収入総額を算出する処理を実行し、
(22) 前記(21)の処理によって算出された著作権料収入総額を、前記著作権料支払い情報データベース内の当該書籍に対する本文部分の総ページ数で除算して、原稿1ページ当たりの著作権料を算出する処理を実行し、
(23) 前記(22)の処理によって算出された原稿1ページ当たりの著作権料に、各執筆者の原稿ページ数を乗算して、各執筆者毎の著作権料を算出する処理を実行し、
(24) 前記(23)の処理によって各執筆者毎の著作権料が算出できたら、著作権料支払いデータベース内の各執筆者の取引銀行口座情報に基づいて、各執筆者宛の著作権料振込情報を作成する処理を実行するためのコンピュータプログラムをも前記印刷所のパーソナルコンピュータに予めインストールしておき、当該コンピュータプログラムに基づく前記(21)〜(24)の処理をも実行させる様に構成したことを特徴とする書籍出版方法。
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