JP3628520B2 - インクジェット記録シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録シートに関するものである。更に詳しくは、インクの吸収性が良く、ドットの径が小さく形状が真円に近く、且つ粉落ちの少ないインクジェット記録シート及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像、文字などの記録を行うものであり、高速で低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要、などの特長があり、漢字を含め各種図形およびカラー画像などの記録装置として種々の用途に急速に普及している。
【0003】
このインクジェット記録方式で使用される記録シートとして、通常の印刷や筆記に使われている上質紙やコート紙を使うことができるように、装置やインクの面から種々の努力がなされてきた。しかし、印字の高速化・フルカラー化・写真ライクの高精細化などのインクジェット記録装置の性能の向上と用途の拡大が進み、画像品質の高級感が求められるようになり、次のような高度な特性を併せ持つインクジェット記録シートが要求されるようになった。
(1)画像濃度が高いこと。
(2)インク吸収性が良いこと。
(3)ドットの径が小さく、形状が真円に近いこと。
(4)コートタイプ記録シートでは、インク受理層の接着性が高く、粉落ちが少ないこと。
【0004】
インクジェット記録シートとして要求される特性では、画像品質が良く、滲みがないことが最も重要視される。そのためには、吸収性を上げ、ドット径を小さくすることが必要である。インクジェット記録シートとしては、パルプを主原料として抄造した原紙の上に、多孔性合成非晶質シリカ等の吸収性の優れた白色無機質顔料をインク受理層中の主体成分として塗工したものが主流である。インク受理層中の合成非晶質シリカの平均粒子径を小さくすればドット径を小さくすることができ、優れた画像品質とすることは出来る。しかし、原紙とインク受理層の接着性が低下し、粉落ちが多くなる。
【0005】
また、特開昭58−132586号公報または特開昭59−35977号公報の様に、原紙のサイズ度を高くすることにより、インク受理層が原紙に吸収されないために印字濃度が高く、鮮明な画像が得られ、インク受理層の水溶性バインダーが原紙に吸収されなくなるため、粉落ちを少なくすることができる旨記載されている。高精細で鮮明な画像をつくるには、インク量が多いため、インクの一部を原紙で吸収することにより滲みを少なくし、ドット径を小さくする方法がある。その場合には、原紙にサイズ性を持たせると不利であった。
【0006】
原紙とインク受理層のバリアーの接着性などの性質を改良するため、原紙にコロナ放電処理を行う方法は既に報告されている。特開平4−345883号公報には、インク受理層との接着性を上げるため、パルプ抄造した原紙にコロナ放電処理を行っても良いと記載されている。しかし、原紙に含まれるサイズ剤にコロナ放電処理が与える影響に関しては何も記載されていない。
【0007】
インクジェット記録シートのインク受理層の水溶性バインダー・耐水化剤などの添加により、接着性を上げ、吸収性を下げて、粉落ちを抑える方法があるが、この場合には、ドット径を小さくすることは出来ない。インクジェット記録シートの粉落ちを抑え、且つ吸収性を向上させ、ドット径を小さくさせる手段は原紙と塗工組成物の検討以外になかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、インクジェット記録シートの原紙とインク受理層の構成において、パルプを主原料とする原紙のサイズ度を高くし、インク受理層が原紙へ浸透することを抑え、原紙とインク受理層の接着性を上げる様にした上で、原紙と塗工組成物の検討以外による方法によって、インクの吸収性が良く、ドットの径が小さく形状が真円に近く、且つ粉落ちの少ないインクジェット記録シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、インクジェット記録シートの原紙とインク受理層との関係を種々検討した結果、本発明のインクジェット記録シート及びその製造方法を発明するに至った。
即ち、本発明のインクジェット記録シートの製造方法は、パルプを主原料とし、サイズ剤を対パルプ0.1%以上含む原紙の表面に、被処理能70〜150W/m/分でコロナ放電処理を施して後、60分以内にコロナ放電処理面にインク受理層を塗工することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のインクジェット記録シートの製造方法は、コロナ放電処理をインク受理層塗工の直前に行うオンコーターコロナ放電処理を特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のインクジェット記録シートは、パルプを主原料とし、サイズ剤を対パルプ0.1%以上内添した原紙表面にインク受理層を設けたインクジェット記録媒シートに於いて、被処理能70〜150W/m 2 /分となる様にコロナ放電処理してサイズ剤を破壊した該原紙表面のヌレ性を未処理原紙に比べて3〜5ダイン/cm2向上させたことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェツト記録シートを詳細に説明する。本発明における原紙は、各種パルプと各種填料、サイズ剤、定着剤、染料、歩留向上剤その他の補助材料からなり、サイズプレス等でデンプン、耐水化剤を塗布していてもよい。各種パルプとはLBKP又はNBKP、NBSP、GPなどの木材パルプのほか、麻・バガス・竹などの非木材パルプでもよく、古紙の脱墨パルプなどを含んでもよい。更に、合成繊維、合成パルプなどを使用してもよい。各種填料とはタルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムカオリン、チタンなどでどれを含んでもよく、特に限定はしない。サイズ剤とはロジンサイズ、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸など、酸性サイズ剤でもアルカリサイズ剤でもよい。サイズプレスで各種填料・顔料・表面サイズ剤・バインダーの塗工を行ってもよく、サイズプレスの有無には制限はしない。
【0013】
本発明における原紙は、酸性抄造でもアルカリ抄造でも良く、抄造時の白水pHは特に限定はしないが、パルプに対して、サイズ剤を少なくとも0.1%以上含んでいる。サイズ剤をパルプに対して0.1%未満では、原紙の撥水性が不足し、インク受理層の塗液を原紙に塗抹したとき塗液中に含まれる水溶性バインダーが原紙に浸透し、インク受理層に含まれる水溶性バインダーが少なくなるので、原紙とインク受理層の接着性が弱くなり、インクジェット記録シートとして粉落ち等の不都合が起こり、好ましくない。また、後に述べるコロナ放電処理の効果が出ないので好ましくない。
【0014】
本発明におけるコロナ放電処理について述べる。高周波インパルス電子照射法によって、5〜30kVの電圧にて20〜100kHzの周波数の条件下で行った。先ず、30kVに近い1.0マイクロ秒以下の点弧電圧をかけ、原紙の表面と最初の接触をした後、6〜10kVの比較的低い電圧が続き、原紙の内部に一定の高周波電流を形成することを可能にしている。このシステムで1秒当たり数百万回と小さく、しかし有効なスパークが生じ、原紙の表面の下およそ0.001mmまで電流ビームが浸透し、その部分に原紙を構成する組成の分子構造に変化が起き原紙に含まれるサイズ剤が破壊される。原紙の表面に一様な大きさ、密度で深さ0.001mmほどのピンホールが形成され、その部分のサイズ剤が破壊されていることにより、原紙の表面のヌレ性が向上する。パルプを主原料とする原紙のサイズ剤がパルプに対し0.1%以上含まれていれば、コロナ放電処理によって原紙の表面のヌレ性は向上する。0.1%未満では原紙のヌレ性の向上が不十分なので好ましくない。
【0015】
本発明において、コロナ放電処理してサイズ剤を破壊した原紙表面のヌレ性が未処理原紙に比べて3〜5ダイン/cm向上させている理由を述べる。本発明では、該原紙表面の一部にインクが吸収されるためには、原紙のヌレ性を向上させることが必要と考えた。一般的に、インクのヌレ性は30〜37ダイン/cm、一方、パルプを主原料として抄造した原紙のそれは30〜60ダイン/cmであって、原紙のヌレ性がインクのヌレ性に比べて高くなるほど、インクの吸収性が良くなる。該原紙表面のヌレ性の向上が、未処理原紙に比べて5ダイン/cmを超えると、吸収性は良くなるが原紙とインク受理層の接着性は低下し、粉落ちが多くなるので好ましくない。3ダイン/cm未満では、インクの吸収性の向上が不十分で、ドット径はあまり小さくならず、滲みも良くならないので好ましくない。
【0016】
本発明では、コロナ放電処理してサイズ剤を破壊した原紙表面のヌレ性が未処理原紙に比べて3〜5ダイン/cm向上されるように、コロナ放電処理の被処理能を決めた。コロナ放電処理の条件において、電流ビームの照射の強度が原紙の表面のピンホールの数・深さ・密度、サイズ剤の破壊度、ヌレ性に影響する。そこで、即ち、これは時間当たり面積当たりのワット数であるので、電力と処理幅と処理速度で決められ、パルプを主原料とし、サイズ剤をパルプに対し0.1%以上含む原紙に、被処理能70〜150W/m/分となる様にコロナ放電処理を行った時、原紙の表面のヌレ性が3〜5ダイン/cm向上することを見出した。被処理能が70W/m/分未満では、サイズ剤の破壊が不十分のため吸収性の向上も不足し、印字後のドット径が小さくならず、滲みも改善されないため好ましくない。被処理能150W/m/分を超えると、吸収性の向上は十分だがサイズ剤が過剰に破壊され、原紙の中にインク受理層の水溶性バインダーが浸透するので、原紙とインク受理層の接着性が弱くなり、粉落ちが多くなり好ましくない。
【0017】
原紙の表面にコロナ放電処理を施した後は、コロナ放電処理効果が経時によって減衰し、ヌレ性が下がってくるので、できるだけ速やかにインク受理層の塗工を行うことが必要である。本発明では、原紙の表面にコロナ放電処理後、60分以内にインク受理層の塗工を行えば、ヌレ性が下がらず問題はないことを見出した。コロナ放電処理をインク受理層の塗工の直前に行うオンコーターコロナ放電処理が最も好ましい。コロナ放電処理とインク受理層の塗工をそれぞれ別々のマシンで行ってもよいが、コロナ放電処理後60分以内にインク受理層の塗工が行われる必要がある。60分以上の時間が経過すると、ヌレ性を得た原紙の表面から水分が吸収され、コロナ放電処理の効果は減衰し、ヌレ性は下がり、インクの吸収性が低下するので好ましくない。
【0018】
本発明では、原紙の表面にコロナ放電処理を施した後、60分以内にインク受理層を塗工する。ここで、インク受理層は少なくとも1層以上で、白色無機顔料、水溶性高分子バインダー、カチオン性染料定着剤、酸性型コロイダルシリカ、アルカリ土類金属の水酸化物などからなる。吸収性と原紙との接着性がバランスがとれていれば、層の数、塗工組成物について特に制限はない。塗工方法は、エアナイフ、ブレードコーター、カーテンコーターなどを用いた方法が考えられるが特に制限はしない。塗工組成は吸収性を優先する場合は塗液の表面張力が高いものとなり、接着性を優先する場合は塗液の表面張力が低いものとなる。
【0019】
本発明のインクジェット記録シートのインク受理層に用いる白色無機顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料が挙げられる。この中でも、インク受理層中に主体成分としては多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。
【0020】
本発明のインク受理層に用いられる水溶性高分子バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール、またはシリル変成ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系(共)重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス;あるいはこれらの各種(共)重合体のカルボキシ基などの官能基含有単量体による官能基変性(共)重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性接着剤;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体または共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂を挙げることができる。
これらの水性高分子バインダーのうち、接着力の点から、ポリビニルアルコール、またはシラノール変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体が好ましい。
【0021】
本発明のインク受理層に用いられるカチオン性染料定着剤としては、水に溶解したときに解離してカチオン性を呈する1級〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマーを挙げることができ、好ましくは、オリゴマーまたはポリマーである。特に、コロイド滴定法によるカチオン荷電量が、1〜10meq./gのカチオン性染料定着剤である。1meq./g未満では、インク中の水溶性染料の定着性能が劣り、記録画像の耐水性が低下する。また、10meq./gを超えた場合には、少量で記録画像の耐水性を向上できるが、記録画像の耐光性や耐オゾン性が劣り、インクジェット記録シートが黄変しやすくなる。
【0022】
本発明におけるインク受理層に用いられる酸性型コロイダルシリカは、白色無機顔料100重量部に対して10〜50重量部含まれていることが好ましく、さらに好ましくは20〜50重量部である。水溶性高分子バインダーは10〜100重量部、そしてカチオン性染料定着剤は0.1〜5g/m、カチオン荷電量として0.1〜50meq/m含まれていることが好ましい。
【0023】
本発明のインクジェット記録シートは、インク受理層を塗工した後、カレンダー仕上げを行い、水溶性バインダーとカチオン性定着剤・白色顔料を圧着することにより印字面を平滑にし、且つ粉落ちの出ない様にする。
【0024】
本発明において、インク受理層の塗工量には特に制限はないが、乾燥塗工量で5〜15g/mの範囲が望ましい。インク受理層の塗工量が5g/m未満であると画像濃度、色彩性、鮮明性が低く、フェザリングが発生する場合がある。塗工量が15g/mを超えると塗工後の乾燥負荷が高まり、塗工速度の低下に伴う生産性の低下ばかりでなく、高負荷の乾燥ではインク受理層中のバインダーが、蒸発する溶媒と共にインク受理層表面に移動して、その表面の空隙量を減少させ、記録時のインク吸収を阻害し、地汚れなどの発生を生じ好ましくない。
【0025】
本発明のインクジェット記録シートにおける支持体、インク受理層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、染料等を適宜配合することもできる。
【0026】
本発明でいうインクとは、着色剤、溶媒、その他の添加剤からなる記録液体である。着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料あるいは着色顔料が挙げられる。その他の添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤および防錆剤が挙げられる。なお、本発明のインクジェット記録シートに於いて、油性インク、いわゆる疎水性有機溶媒を含む染料あるいは顔料インクで記録しても構わない。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り重量部および重量%を示す。
【0028】
<原紙1の作製>
本発明のインクジェット記録シートの支持体として、原紙1を作製した。
濾水度470mlCSFのLBKP50部、濾水度480mlCSFのNBKP50部からなるパルプスラリーを最終濾水度380mlcsfに叩解し、重質炭酸カルシウム5部、タルク5部を添加し攪拌後、カチオン澱粉0.6部、アルキルケテンダイマー0.15部、歩留向上剤0.002部を順次添加して、パルプスラリーのpHを8.2に調節し、長網抄紙機で抄造乾燥し、続けて溶解したタピオカ酸化澱粉水溶液をサイズプレスで固形分で両面5g/mとなるように含浸、乾燥し、さらにマシンカレンダー仕上げをして坪量75g/mの原紙1を得た。得られた原紙1のステキヒトサイズ度は40秒、ヌレ性は53ダイン/cmであった。
【0029】
<原紙2〜7の作製>
本発明のインクジェット記録シートの支持体として、原紙2〜7を作製した。
パルプの配合・濾水度、填料の種類と比率、サイズ剤の種類と比率などの条件を変化させたほかは原紙1と同様に、原紙2〜6を作製した。原紙1〜4はアルカリ抄造原紙であり表1に示す。原紙5〜7は酸性抄造原紙であり表2に示す。
【0030】
<塗液1の作製>
本発明のインクジェット記録シートのインク受理層となる塗液1を下記の手順で作製した。
水500部に濃度25%苛性ソーダ水溶液2部(固形0.5部)を添加した後、非晶質シリカ(ミズカシルP78D、水澤化学社製)100部を添加し攪拌・分散し、先ず濃度16.6%のシリカ分散スラリーを調製した。これに、ポリビニルアルコール(Rポリマー1130、クラレ社製)の10%水溶液を200部(固形20部)を添加し弱攪拌し、その後順次エチレン酢酸ビニル共重合体水性エマルジョン(OM6000、クラレ社製)を10部(固形5部)、アクリルアシドシアリルアミン塩酸塩共重合物(スミレッツレジン1001、住友化学社製)を100部(固形30部)、スチレン・アクリル酸エステル共重合物ディスパージョン(バソプラスト265D、BASF社製)25部(固形5部)、ポリオキシエチレン(オルフィンE1010、日信化学社製)0.05部を添加しては弱攪拌し、濃度15%、PH5.6、粘度100cps(15℃)の塗液1を作製した。
塗液1の表面張力を測定すると39ダイン/cmであった。
【0031】
<塗液2の作製>
本発明のインクジェット記録シートのインク受理層となる塗液2を下記の手順で作製した。表3に示す配合にて濃度19%、PH6.2、粘度190cps(15℃)の塗液2を作製した。配合と濃度は異なるが攪拌方法は塗液1と同様に行った。非晶質シリカとしてファインシールX−60(トクヤマ社製)、蛍光染料としてケイコールBBL(日本曹達社製)を用いた。塗液2の表面張力を測定すると44ダイン/cmであった。
【0032】
【表1】
Figure 0003628520
【0033】
【表2】
Figure 0003628520
【0034】
【表3】
Figure 0003628520
【0035】
比較例1
原紙1の表面に、塗液1をエアナイフ塗工により塗工固形分量7g/mで塗工しインク受理層を設け、乾燥し、その後カレンダーに10kg/cmで通し、比較例1のインクジェット記録シートを得た。
【0036】
比較例2
原紙1の表面に、巾0.7m、コロナ放電処理装置からエアナイフ塗工部までの距離が4mのオンコーターコロナ放電処理装置で、100kHzの高周波数インパルス電子照射を電圧2.2kV、電流0.8A、マシン速度50m/分でコロナ放電処理を行い、その直後に塗液1をエアナイフ塗工により塗工固形分量7g/mで塗工し、インク受理層を設け、乾燥した。この時のコロナ放電被処理能は、下記数式1で計算される。
【0037】
【数1】
コロナ放電処理能(W/m/分)=(電圧V)×(電流A)÷(巾m)÷(マシン速度m/分)(数式1)
コロナ放電処理されてからインク受理層を塗工するまでの時間は下記数式2で計算される。
【0038】
【数2】
T=D/S (数式2)
ここで、Tはコロナ放電処理されてからインク受理層を塗工するまでの時間、Dはコロナ放電処理装置からインク受理層塗工部までの距離、Sはマシン速度を表す。
【0039】
コロナ放電被処理能は数式1により50W/m/分、コロナ放電処理されてからインク受理層を塗工するまでの時間は数式2により4.8秒であった。
その後、スーパーカレンダーに10kg/cmで通し、比較例2のインクジェット記録シートを得た。
【0040】
実施例1〜3、比較例3
オンコーターコロナ放電処理装置の電圧を3.1kV、4.4kV、6.5kV、7.5kVとすること以外は比較例2と全く同様に、実施例1〜3、比較例3のインクジェット記録シートを得た。この時のコロナ放電被処理能は、比較例2と同様に計算し、それぞれ71、101、149、171W/m/分であった。
【0041】
比較例4〜12、実施例4〜10
原紙及びインク受理層の塗工液の組み合わせを変更し、また、コロナ放電処理の有無、コロナ放電処理の被処理能、コロナ放電処理されてからインク受理層を塗工するまでの時間を変更し、比較例4〜12、実施例4〜10のインクジェット記録シートを得た。この中で、コロナ放電処理を行うインクジェット記録シートのうち、実施例10と比較例8はコロナ放電処理とインク受理層の塗工はそれぞれ別のマシンで行い、その他は全てオンコーターコロナ放電処理装置で行った。コロナ放電処理装置の条件は電圧のみを変更することとし、それ以外の条件は比較例2と全く同様とした。
【0042】
表4に、比較例1〜12、実施例1〜10の原紙、コロナ放電処理能、コロナ放電されてからインク受理層の塗工を行うまでの経過時間、インク受理層の塗液を示す。
比較例1〜12、実施例1〜10のインクジェット記録シートのインク受理層の塗工固形分量は7g/m、カレンダー圧は10kg/cmで全て同じとした。
【0043】
【表4】
Figure 0003628520
【0044】
上記のインクジェット記録シートについて、下記の評価項目について試験し、その結果を表5に示した。
【0045】
〈評価項目〉
(1)ヌレ性
インクジェット記録シートの原紙の表面のヌレ性を測定した。該原紙についてはコロナ放電処理の前後で測定した。先ず、エチレングリコールモノエチルエーテル水溶液で、濃度だけを変化させて作製してある水ヌレ性試薬No30〜No60を用意する。例えば、水ヌレ性試薬No30とはヌレ性が30ダイン/cmであることを示す。綿棒の先に水ヌレ性試薬No30をつけて濡らし、紙の表面を綿棒の先でなぞる。この時、試薬がはじかず、染み込んだ時は、ヌレ性が30ダイン/cmを超えていることを示すので、No31以上の水ヌレ性試薬で同様に行う。
試薬がはじいた時には水ヌレ性試薬のNoを下げて同様に行う。試薬がはじかず、染み込んだものの中で最もNo数の大きい水ヌレ性試薬のヌレ性が、紙のヌレ性と同じ値であるとみなし、この値を紙のヌレ性とした。ヌレ性については、インクジェット記録シートの原紙のコロナ放電処理前を(A)、コロナ放電処理後を(B)とし、ヌレ性の向上として(B−A)を示した。
【0046】
(2)印字濃度
BJC610Jインクジェットプリンター(キャノン社製)を使用して印字し、ブラックベタ印字部をマクベスRD−918型濃度計を用いて測定した。光学濃度が1.5以上であれば実用上問題なく、更に好ましくは1.7以上である。1.5未満では、実用上問題である。
【0047】
(3)吸収性
BJC610Jインクジェットプリンターを用いて、イエローのベタ印字部にブラックの文字を印字し、文字の滲み具合を以下の3段階で評価した。
A:滲みは殆ど見られず、文字は鮮鋭である。
B:滲みが若干見られるが、文字のつぶれは見られない。
C:滲みによる文字のつぶれが一部に見られる。
AまたはBであれば、実用上差し支えない。Cでは、実用上問題である。
【0048】
(4)ドット径
BJC610Jインクジェットプリンターを用いて印字し、隣同志のドツトが重なり合わない様にブラックの単色ドットを印字した部分のドット36ケ(縦6ケ×横6ケ)を光学顕微鏡で観察しながら画像解析装置で測定した円相当径平均値をドット径とした。
【0049】
(5)真円度
上記のブラックの単色ドットの印字部のドット36ケ(縦6ケ×横6ケ)を光学顕微鏡で観察しながら画像解析装置により、各ドットの周囲長L及び面積Aを測定し、下記の数式3により定義する形状係数Cを算出し、その平均値を真円度とした。真円度が1.0から離れ、大きくなるほど、ドットの滲み出し等により、ドット形状が悪く、画質が悪化することを示す。
【0050】
【数3】
C=L/(4π×A) (数式3)
ここで、Cはドット形状係数、Lはドットの周囲長、Aはドットの面積を表す。
評価基準;
A:真円度が1.2未満。
B:平均値が1.2以上。
Aであれば、実用上差し支えない。Bは実用上問題がある。
【0051】
(6)粉落ち
インクジェット記録シートの表面上に黒布を置き、その上に20g/cm荷重の錘を載せ、布を一定速度で60cm引っ張ったときの黒布への粉の付着量で評価した。
評価基準;
A:粉の付着が殆ど認められない。
B:錘を載せていた部分の一部に粉の付着が認められる。
C:錘を載せていた部分全体に粉の付着が認められる。
AまたはBであれば実用上差し支えない。Cは実用上問題がある。
【0052】
【表5】
Figure 0003628520
【0053】
【発明の効果】
表1〜5より、本発明によりサイズ性を付与してある原紙の表面にコロナ放電処理を行うと、原紙の表面のヌレ性が向上し、該原紙の表面にインク受理層を塗工しインクジェット記録シートを製造した場合、印字後のドット径が小さくなり、吸収性が改善される。原紙とインク受理層の接着性は低下するので粉落ちは若干悪くなるが、コロナ放電処理の被処理能を150W/m/分以下に調節すれば問題はない。コロナ放電処理による吸収性の向上の効果は被処理能を70W/m/分以上で行えば得られる。また、コロナ放電処理には経時による減衰効果があるので、オンコーターコロナ放電処理装置でインク受理層塗工の直前にコロナ放電処理を行う方法が最善である。オンコーターコロナ放電処理装置がない場合には、コロナ放電処理後60分以内にインク受理層の塗工を行う必要がある。従来の技術では、インク受理層の塗液の処方によって、インクジェット記録シートとしての吸収性が弱く接着性が強いという偏りが生じる場合があったが、本発明の製造方法によれば、コロナ放電処理の効果で原紙の表面のサイズ剤を破壊し、原紙の表面の一部の層にインクを吸収される様にヌレ性を改質できるので、ドット径の大きさ・吸収性・接着性とバランス良く調節がし易くなった。

Claims (3)

  1. パルプを主原料とし、サイズ剤を対パルプ0.1%以上内添した原紙の表面にコロナ放電処理を被処理能70〜150W/m/分で施して後、60分以内に原紙のコロナ放電処理面にインク受理層を塗工することを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法。
  2. コロナ放電処理をインク受理層塗工直前に行うオンコーターコロナ放電処理を特徴とする請求項1記載のインクジェット記録シートの製造方法。
  3. パルプを主原料とし、サイズ剤を対パルプ0.1%以上内添した原紙表面にインク受理層を設けたインクジェット記録シートに於いて、被処理能70〜150W/m 2 /分となる様にコロナ放電処理してサイズ剤を破壊した該原紙表面のヌレ性を未処理原紙に比べて3〜5ダイン/cm2向上させたことを特徴とするインクジェット記録シート。
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