JP3628102B2 - 熱転写画像受容シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印字性、防水性、耐候性、耐薬品性、耐擦過性に優れた溶融熱転写記録用画像受容シートに関するものである。このものは、航空タッグ、バーコード、缶ラベル、記録用紙として有用である。
【0002】
【従来の技術】
熱転写記録法には、▲1▼昇華転写方式と▲2▼溶融転写方式に分けられる。
▲1▼の昇華転写方式は、昇華性又は気化性染料を含有する色材層及びそれを支持する基体からなる熱転写インクリボンを加熱して、色材層中に含まれる染料を昇華又は気化させ、これらを画像受容記録シートを染着させ、それにより染料画像を形成させることによって行われている。
【0003】
具体的には、図1に示すように、昇華性又は気化性染料を含有する色材層(5)及びそれを支持する基体(4)からなる熱転写インクリボン(1)と、熱転写画像受容層(6)及びその支持体(7)からなる熱転写画像受容記録シート(2)とを、プラテンロール(8)と熱源(3)との間に挟着させて、サーマルヘッド等の電気信号にて制御可能な熱源(3)によって色材層(5)を加熱すれば、色材層(5)中に含まれる染料が昇華又は気化して、熱転写画像受容記録シート(2)の画像受容層(6)上に染着し、感熱記録転写が行われる。
【0004】
▲2▼の溶融転写方式は、図2に示すように熱溶融性インク(5)及びそれを支持する基体(4)からなる熱転写インクリボン(1)と、熱転写画像受容記録シート(2)とを、プラテンロール(8)と熱源(3)との間に挟着させて、サーマルヘッド等の電気信号にて制御可能な熱源(3)によって熱溶融性インク(5)を加熱すれば、溶解したインクが直接熱転写画像受容記録シート(2)に転写されたインク(5’)として転写されるものである。
【0005】
この溶融転写方式の場合、支持体(7)そのものを熱転写画像受容記録シート(2)の画像受容層(6)として用いても良いが、支持体(7)の表面にインク(5’)と密着性の良好な脂肪族ポリエステル、エポキシ樹脂の層やポリビニルアルコールの層を設けることが多い。
これら熱転写画像受容記録シート(2)の支持体(7)としては、パルプ抄造紙や、焼成クレイや炭酸カルシウム等の無機微細粉末を含有するプロピレン系樹脂の延伸フィルムよりなる不透明の合成紙、或いは透明なポリエチレンテレフタレート延伸フィルム又は透明なポリオレフィンフィルムの表面に白色の無機微細粉末と樹脂バインダーを含有するピグメント塗工剤を塗布し、それにより白色度及び染着性を高めたピグメント塗工タイプの合成紙が用いられている。
【0006】
しかし、感熱転写後の熱転写画像受容記録シートのアフターユース(複写、鉛筆筆記性、保存性等)を考慮した場合、支持体としては、強度、耐水性、寸法安定性、印字ヘッドとの密着性等の面から、無機微細粉末含有ポリオレフィン樹脂フィルムを延伸することにより得られる、内部にマイクロボイドを多数有する合成紙であることが好ましいとされている(特開昭60−245593号、特開昭61−112693号、特開昭63−193836号、特開昭63−222891号、特開平1−115687号、特開平3−216386号、特開平5−305780号各公報)。
これらの合成紙は、不透明性及びソフト感を出し、印字ヘッドとの密着性、給排紙性を良好なものにするために、素材のポリオレフィン樹脂の融点よりも低い温度でフィルムを延伸してフィルム内部にマイクロボイドを形成させている。
【0007】
又、熱転写画像受容層(6)としては、ポリエステル系樹脂バインダーや水系アクリル系樹脂エマルジョンにワックス、変性シリコン油、ロジンエステル等の滑剤を配合した塗工剤(特開平6−40167号公報、特開昭62−261486号公報、特開平6−320879号公報、同6−320880号公報等)、ポリビニルアルコールにコロイダルシリカを配合した塗工剤(特開平5−78439号公報)、ポリビニルアルコール、ラテックスの混合系バインダーに合成ゼオライトを配合した塗工剤(特開平5−19919号公報)、水系ラテックスにカオリナイトクレーを配合した塗工剤(特開平6−286348号公報、同6−297873号公報等)から形成される。
【0008】
これら塗工剤に使用される樹脂バインダーは、熱転写インクリボン(1)からのインクの転写を容易とするため、融点が70〜110℃と低い極性基を有する樹脂である。
そして、塗工剤には、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の樹脂バインダーを溶解する有機溶剤が配合されることが多く、塗工剤を支持体(7)の表面に塗工し、乾燥して画像受容層(6)が形成される。
【0009】
更に、感熱転写画像受容シートがドラム缶や容器のラベル、航空タッグとして用いられる場合には、支持体(7)の画像受容層(6)とは反対面(裏面)に感圧粘着剤が塗布され、更にこれを離型紙で被い、ラベル貼着時、或いは航空タッグの旅行鞄への貼着時に離型紙を剥し、ラベル、航空タッグを貼着して使用している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、画像記録受容層(6)と支持体(7)間の接着性が優れ、かつ、印字の密着性、耐候性、耐擦過性、耐水性に優れた熱転写画像受容シートの提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムよりなる支持体(I)の表面に、(a)脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂バインダー30〜80重量%、(b)シリカ粒子14〜40重量%および(c)硫酸バリウム粒子6〜30重量%を含有する画像記録受容層(II)を設けた構造の熱転写画像受容シート、を提供するものである。
【0012】
【作用】
画像記録受容層(II)のバインダー樹脂がインクの吸収性の良好な脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂であり、耐水性、耐候性に優れた硫酸バリウム粒子が配合されているので耐候性がより優れている記録用紙である。又、画像記録受容層(II)には、シリカ粒子が配合されているので印字のインクの吸収が速く、かつ、印字の密着力が強固となり、指で擦っても印字がボヤケたり脱落することがない。
又、支持体(I)が耐水性に優れる熱可塑性樹脂フィルムを基材とするので、耐水性が良好である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の熱転写画像受容シートについて、更に詳細に説明する。
支持体(I):
画像記録受容層が設けられる支持体は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリスルホン樹脂等の熱可塑性樹脂フィルム、またはその延伸物を素材とするもので、好ましくは、無機微細粉末、有機フィラーを含有しており、延伸によりフィルム内部に微細なボイドを有する不透明度(JIS
P−8138)が65%以上、好ましくは85%以上の延伸フィルムである。この微多孔性延伸フィルムはパルプ抄造紙、平織織布(ポンジー)または不織布(スパンボンド)との積層品であってもよい。
かかるフィルム内部に微細なボイドを有する微多孔性延伸樹脂フィルムは、次式(1)で算出される空孔率が10〜60%、好ましくは15〜45%、肉厚が30〜300μm、好ましくは50〜150μmの合成紙が挙げられる。
【0014】
【式1】
Figure 0003628102
かかる微多孔性合成紙としては、例えば次の▲1▼〜▲3▼のものが挙げられる。
【0015】
▲1▼ 無機又は有機充填剤を8〜65重量%の割合で含有する微多孔を有する熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルム(特公昭54−31032号公報、米国特許第3775521号明細書、米国特許第4191719号明細書、米国特許第4377616号明細書、米国特許第4560614号明細書等)。
▲2▼ 二軸延伸熱可塑性フィルムを基材層とし、無機微細粉末を8〜65重量%含有する熱可塑性樹脂の一軸延伸フィルムを紙状層とする合成紙(特公昭46−40794号公報、特開昭57−149363号公報、同57−181829号公報等)。
【0016】
この合成紙は、2層構造であっても、基材層の表裏面に一軸延伸フィルムの紙状層が存在する3層構造(特公昭46−40794号公報)であっても、紙状層と基材層間に他の樹脂フィルム層が存在する3層〜7層の合成紙(特公昭50−29738号公報、特開昭57−149363号公報、同56−126155号公報、同57−181829号公報)であっても、裏面がプロピレン・エチレン共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(Na、Li、Zn、K)、塩素化ポリエチレン等の基材層樹脂よりも低融点の樹脂よりなるヒートシール層を有する3層以上の合成紙であってもよい(特公平3−13973号公報)。
【0017】
3層構造の合成紙の製造方法は、例えば、無機微細粉末を0〜30重量%、好ましくは8〜25重量%含有する熱可塑性樹脂フィルムを、該樹脂の融点より低い温度で一方向に延伸して得られる一軸方向に配向したフィルムの両面に、無機微細粉末を8〜65重量%含有する熱可塑性樹脂の溶融フィルムを積層し、次いで前記方向と直角の方向にこの積層フィルムを延伸することにより得られる紙状層が一軸方向に配向し、微細な空隙を多数有するフィルムであり、基材層は二軸方向に配向した積層構造物である。
【0018】
▲3▼ 上記▲2▼の合成紙の紙状層側に、更に、無機微細粉末を含有しない肉厚0.1〜20μmの透明な熱可塑性樹脂ラミネート層が設けられた構造の高い光沢の印刷が可能な合成紙(特公平4−60437号公報、同1−60411号公報、特開昭61−3748号公報)、例えば、熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを基材層とし、無機微細粉末を8〜65重量%含有する熱可塑性樹脂の一軸延伸フィルムよりなる表面層と裏面層を有する複層フィルムを支持体とし、この支持体の表面層側に無機微細粉末を含有しない熱可塑性樹脂の透明フィルム層を設け、更に帯電防止機能を有するプライマー塗布層が設けられた合成紙(特開昭61−3748号公報)、あるいは、熱可塑性樹脂フィルムの二軸延伸フィルムを基材層とし、この基材層の少なくとも片面に、無機微細粉末を8〜65重量%の割合で含有する熱可塑性樹脂の一軸延伸フィルムよりなる紙状層と、熱可塑性樹脂フィルムの一軸延伸フィルムよりなる表面層とのラミネート物が備えられている合成紙であって、前記表面層の肉厚(t)は、紙状層に存在する無機微細粉末の平均粒径を(R)としたとき、次式(2)を満足することを特徴とする複層樹脂フィルムよりなる合成紙(特公平1−60411号公報)。
【0019】
【数1】
R≧t≧(1/10)×R ・・・ (2)
この複層構造の合成紙▲3▼も、▲2▼の合成紙と同じくヒートシール層が表裏面に設けられたものであっても良い。
合成紙の素材である熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン類、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1);ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分加水分解物、エチレン−アクリル酸共重合体およびその塩、塩化ビニリデン共重合体たとえば塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、その他、およびこれらの混合物を例示することができる。これらの中でも耐水性、耐薬品性の面からポリプロピレン、ポリエチレンが好ましい。また、基材層にポリプロピレンを用いる場合は、延伸性を良好とするためポリエチレン、ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリプロピレンよりも融点が低い熱可塑性樹脂を3〜25重量%配合するのがよい。
【0020】
また、無機微細粉末としては炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等、粒径が0.03〜16ミクロンのものが使用される。延伸倍率は縦、横方向とも4〜10倍が好ましく、延伸温度は樹脂がホモポリプロピレン(融点164〜167℃)の場合は145〜162℃、高密度ポリエチレン(融点121〜124℃)の場合は110〜120℃、ポリエチレンテレフタレート(融点246〜252℃)の場合は104〜115℃である。また、延伸速度は50〜350m/分である。
【0021】
合成紙の空孔率が10%未満では、支持体の軽量化が乏しく、逆に空孔率が60%を越えては、合成紙の強度(引張強度、曲げ強度)が低くなり、実用的ではない。
合成紙の肉厚は、20〜300μmの範囲であり、20μm未満では微多孔性の合成紙を製造することが困難であり、300μmを越えては合成紙の市場への供給がA3、菊判サイズ等のシート状に裁断し、これを梱包して輸送するものに限られ、巻きロールとしての供給が困難となる。
【0022】
接着剤:
熱可塑性樹脂フィルム、微多孔性樹脂延伸フィルムをパルプ抄造紙(坪量20〜200g/m)、織布、不織布等の他の基材と貼合するのに接着剤が用いられる。かかる接着剤としては液状のアンカーコート剤、例えばポリウレタン系アンカーコート剤としては東洋モートン(株)のEL−150(商品名)またはBLS−2080AとBLS−2080Bとの混合物が、ポリエステル系アンカーコート剤としては、同社製のAD−503(商品名)が挙げられる。アンカーコート剤は、坪量が0.5〜25g/m の範囲となるように塗布される。
【0023】
また、エチレン・酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(いわゆるサーリン)、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のホツトメルト接着剤を用いる場合には、延伸樹脂フィルム製造時の延伸温度より低い融点を有する熱可塑性樹脂を用いる。
微多孔性樹脂延伸フィルムとこれらパルプ抄造紙、織布又は不織布との貼合品よりなる支持体(I)の肉厚は、80〜500μm、好ましくは100〜300μmの範囲である。貼合構造は、例えば、合成紙/パルプ抄造紙/合成紙、合成紙/平織織布、合成紙/平織織布/合成紙、合成紙/不織布、合成紙/不織布/合成紙である。
【0024】
熱転写画像受容シートに抗引裂性と耐熱カール性を付与するのに用いられる織布は、40〜150デニール、好ましくは50〜100デニールの経糸と緯糸とを、それぞれ2.54cm当たり、50〜140本の割合で1本おきに交差させる平織法で織った坪量が50〜200g/m、好ましくは、50〜200g/mの平織織布(ポンジー)が好ましい。
平織りの織布の経糸、緯糸の素材としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ポリエチレンテレフタレート、木綿、レーヨン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化エチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン等が利用できる。
【0025】
経糸、緯糸の径は、それぞれ40〜150デニールで、同一径であっても、異なった径であっても良いが、同一径の方が平滑性の面から好ましい。また、補強のために2.54cm幅当たり、1〜2本の割合で経糸および/または緯糸に他より太めの糸を用いてもよい。
同じく、不織布としては、スパンボンド法で製造された坪量が12〜80g/mの不織布が好ましく、これらは帝人(株)よりスパンボンド#ユニセルの商品名で販売されており、同じく、抗引裂性と耐熱カール防止性を付与する。
【0026】
画像記録受容層(II):
前記支持体層(I)の熱可塑性樹脂フィルムあるいは合成紙の表面上に設けられる画像記録受容層(II)は、(a)脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂バインダー3865重量%、(b)シリカ粒子14〜40重量%および(c)硫酸バリウム粒子6〜25重量%を含有する画像記録受容層である。
この画像記録受容層(II)は、ウレタン樹脂マトリックスと、その膜中に分散したフィラー(多孔性シリカ粉末および硫酸バリウム粒子)とからなるものである。
【0027】
(a)脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂:
脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂は、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコール、必要により脂肪族オキシ酸との重縮合物である脂肪族ポリエステルに、ポリイソシアネートを反応させて得られることにより製造される。
脂肪族多価カルボン酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の炭素数が3〜8の有機酸が挙げられる。又、一部をテレフタル酸のような芳香族多価塩基酸に置き代えてもよい。
【0028】
脂肪族多価アルコールとしては、グリセリン、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、重縮合度が5〜400のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上混合して用いられる。中でもポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の高分子量のポリエーテルポリオールとグリセリン、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、トリエチレングエリコール、1,4−ブタンジオール等の低分子量物との混合物が好ましい。
脂肪族オキシ酸としては、乳酸、クエン酸等が利用できる。
【0029】
ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ヘキナフェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールとアジピン酸とグリセリンとを反応させて得られる脂肪族ポリエステル・ポリエーテルポリオールに、イソホロンジイソシアネートを反応させて得られるウレタン樹脂が好ましい。
【0030】
又、ウレタン樹脂は、これら脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂の末端のイソシアネート基に、更に水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるアクリルウレタン樹脂であってもよい(特公昭53−32386号公報、特公昭52−73985号公報)。
このアクリルウレタン樹脂のエチレン性結合を重合させることによりウレタン結合によって架橋された(メタ)アクリル酸エステル重合体が得られる。
【0031】
上記(メタ)アクリル酸エステル重合体としては、エステルのアルコール部分に少なくとも1個(好ましくは1個)の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合又は共重合体である。
このような水酸基を含有する重合体としては、水酸基価が20〜200、好ましくは60〜130のものである。ここで水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数によって表された値である。
【0032】
このような重合体を与える水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、少なくとも2個(好ましくは2個)の水酸基を有するアルコール化合物のモノエステルである。ここで「アルコール化合物」は典型的なアルカノールの他に、ポリオキシアルキレングリコール(アルキレンはC〜C程度)をも包含するものである。このような(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−ないしポリ−エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0033】
硬化後の塗工剤の硬度、強靱性、弾性のバランス面からこの(メタ)アクリル酸エステル重合体は共重合体の方が好ましい。上記のような(メタ)アクリル酸エステルと共重合し得る単量体には各種のものがあって、合目的的な任意のものを使用することができる。具体的には、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニルなどを挙げることができる。該共重合体を水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを共重合することによって製造する代わりに、水酸基に変換し得る基を持つ重合体を処理して水酸基を持つに至らせることによって製造することもできる。重合は溶液重合によって行なうのが便利である。
【0034】
バインダーであるウレタン樹脂の一部(5〜40重量%)を、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、SBR等の低融点樹脂に置き換えてもよい。特に、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体は、耐候性、充填剤の分散性の面で良好である。
【0035】
(b)シリカ粒子(SiO
シリカ粒子としては、平均粒径が0.03〜2μmのコロイダルシリカ、平均粒子直径が2〜50μm、平均細孔直径80〜500Å、細孔容積0.8〜2.5cc/g程度の多孔性シリカ粒子が単独で、または併用して用いられる。
このものは色素吸収性に寄与する。
(c)硫酸バリウム粒子
耐候性の向上、塗工層の光沢の向上の目的で配合される硫酸バリウム粒子は、平均粒径が0.05〜1.2μm、好ましくは、0.1〜0.5μmのものが使用される。
【0036】
(d)他の任意成分
必要により他の白色顔料、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、活性白土、カオリンクレー、炭酸カルシウム等を配合してもよい。又、塗工液は、耐光性を高めるために紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含有することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−t−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。
【0037】
光安定剤としては、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジノニルフェニルペンタエリスリトールジフォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルフォスファイト)、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどを挙げることができる。
【0038】
これら紫外線吸収剤、光安定剤の添加量は、画像受容層を構成するウレタン樹脂100重量部に対して、それぞれ0.05〜10重量部、好ましくは0.5〜3重量部である。
熱転写シート(インクリボン)と重ね合わせられて加熱された際の熱転写シートとの離型性を向上せしめるために、画像受容層(II)中に離型剤を含有せしめることができる。このような離型剤としては、ポリエチレンワックス、アミドワックス、ポリ四弗化エチレンパウダーなどの固形ワックス類、弗素系、燐酸エステル系の界面活性剤、シリコーンオイルなどを挙げることができる。これらの中でもシリコーンオイルを用いることが好ましい。該シリコーンオイルとしては、油状のものも用いることができるが、硬化型のものを用いることが望ましい。また、ウレタン樹脂を溶解するためにはトルエンやメチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ブタノール等の有機溶剤を配合することもある。
【0039】
画像受容層(II)組成:
画像受容層は、(a)バインダーとしての脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂を3865重量%、好ましくは45〜65重量%、(b)シリカ粒子を14〜40重量%、好ましくは25〜35重量%、(c)硫酸バリウム粒子を6〜25重量%、好ましくは15〜25重量%、を含有する。
画像受容層(II)中、脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂(a)が38重量%未満では、耐擦過性、耐水性の良好な溶融転写方式に用いられる熱転写記録用画像受容シートを得ることができない。又、65重量%を越えては印字性の良好な溶融熱転写記録用画像受容シートを得ることができない。
【0040】
又、画像受容層(II)中、シリカ粒子(b)が14重量%未満では、塗工層表面に微細な空隙を多数形成することができず、溶融インクの投錨効果が発揮されないためインクの転写性が低下する。また、40重量%を越えては、相対的にバインダーの配合量が少なくなるため塗工層と支持体(I)との密着力が低下し耐擦過性が悪化する。
更に画像受容層(II)中、硫酸バリウム粒子(c)の含量が6重量%未満では、印字画像の耐候性、光沢の向上、インクリボンの剥離性の改良効果が望めない。逆に25重量%を越えては、上記と同様、印字の耐擦過性が悪化する。
シリカ粒子(b)と硫酸バリウム粒子(c)との混合比は、1/0.2〜1/1(重量比)が好ましい。
【0041】
塗工
支持体(I)上への熱転写受容層形成用塗工液の塗工は、一般にグラビアロール方式、メイヤーバー方式、ダイコーター方式などの手段により塗布し、使用した溶媒が揮発或いは蒸発するような温度で乾燥することによって行なわれる。
具体的には、例えば、前記ローラーにより塗工する場合は、溶剤に溶かした塗工液を貯蔵する貯槽液中に一部分を浸漬したロールと接触させて回転するロールによって支持体(I)に塗布することによって行なわれる。
塗布量としては、乾燥後の固形分量で一般に0.5〜10g/m、好ましくは1〜3g/mの範囲の量である。
必要により乾燥した塗工層の表面にスーパーカレンダー処理を行って塗工層(画像記録受容層)を平滑にすることができる。
【0042】
熱転写シート
上記熱転写受容層(II)に転写インキを転写して画像を形成するために用いられる溶融熱転写シート(インクリボン)としては、種々のものを用いることができる。具体的には、バインダ成分、着色成分などを主成分とし、必要に応じて、柔軟剤、可塑剤、融点調節剤、平滑化剤、分散剤などを添加剤成分として構成された組成物を、ポリエステルフィルムなどよりなる基材層上に積層してなるものである。
【0043】
上記主成分の具体例としては、バインダー成分にパラフィンワックス、カルナウバワックス、エステルワックスなどの周知のワックス類や低融点の各種高分子類が有用であり、着色成分にカーボンブラックや各種の有機、無機顔料ないしは染料が有用である。
応用
熱転写画像受容シートを、航空タッグ、バーコードラベル、ドラム缶用ラベル等の感圧粘着ラベルとして用いる場合は、支持体(II)の裏面に感圧粘着剤を塗布し、これを離型紙で被覆する。
【0044】
上記感圧性粘着剤としては、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、これらの混合物をベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンのような有機溶剤に溶解したゴム系粘着剤、あるいはこれらゴム系粘着剤にアビエチレン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体などの粘着付与剤を配合したもの、あるいは2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸n−ブチル共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体などのガラス転移点が−20℃以下のアクリル系共重合体を有機溶剤で溶解したアクリル系粘着剤などを挙げることができる。
【0045】
該感圧性粘着剤の塗工量としては、固形分量で3〜40g/m、好ましくは10〜30g/mである。
上記塗工・乾燥後の感圧性粘着剤の肉厚は、アクリル系粘着剤の場合で10〜50μm、ゴム系粘着剤の場合で10〜50μmとするのが一般的である。
上記感圧性粘着剤を支持体(I)上に塗工する前に、アンカーコート剤を塗布してもよい。
かかるアンカーコート剤としては、ポリウレタン、ポリイソシアネート・ポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート・ポリエステルポリオール、ポリエチレンイミン、アルキルチタネートなどが使用でき、これらは一般に、メタノール、水、酢酸エチル、トルエン、ヘキサンなどの有機溶剤に溶解して使用する。
【0046】
基体へのアンカーコート剤の塗布量は、塗布・乾燥後の固形分量で0.01〜5g/m、好ましくは0.05〜2g/mの範囲である。
離型紙
離型紙としては、シリコン油をコーティングしたパルプ紙、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が利用できる。
ドラム缶用ラベル
得意先より受注を受けた後、パーソナルコンピューターに注文を入力し、ラベルプリンタを用いてドラム缶用ラベルの画像受容層(II)に予じめ、品名、バーコード、ロット番号、製造元等をプリントし、このプリントされたラベルより離型紙を引き剥し、ドラム缶に貼着し、スキャニングでバーコードを読み取り、在庫、出荷の管理に用い、注文日に合せてドラム缶を出荷する。ラベルは耐水性、耐候性、耐薬品性に優れ、かつ、印字の耐擦過性に優れるので、ラベル印字の判別が容易である。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
延伸樹脂フィルムの製造例
(例 1)
(1)メルトフローレート(MFR)が0.8g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)81重量%に、高密度ポリエチレン3重量%及び平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム16重量%を混合した組成物(A)を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、更に冷却装置により冷却して、無延伸シートを得た。
【0048】
そして、このシートを150℃の温度にまで再度加熱した後、縦方向5倍の延伸を行って5倍縦延伸フィルムを得た。
(2)MFRが4g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)54重量%と、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム46重量%とを混合した組成物(B)を別の押出機にて210℃で混練させた後、これをダイによりシート状に押し出し、これを上記(1)の工程で得られた5倍縦延伸フィルムの両面に積層し、三層構造の積層フィルムを得た。次いで、この三層構造の積層フィルムを60℃の温度にまで冷却した後、再び約155℃の温度にまで加熱してテンターを用いて横方向に7.5倍延伸し、165℃の温度でアニーリング処理し、60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして三層構造(一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸)の肉厚80μm(B/A/B=10μm/60μm/10μm)の積層フィルムで、不透明度87%、空孔率31%、密度0.79g/cm 、クラーク剛度(S値)が縦方向13、横方向23の延伸樹脂フィルムを得た。
【0049】
(例 2)
(1)メルトフローレート(MFR)が1g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)81重量%に、高密度ポリエチレン3重量%及び平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム16重量%を混合した組成物(A)を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、更に冷却装置により冷却して、無延伸シートを得た。そして、このシートを140℃の温度にまで再度加熱した後、縦方向5倍の延伸を行って5倍縦延伸フィルムを得た。
【0050】
(2)MFRが4.0g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)84重量%と、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム16重量%とを混合した組成物(B)を別の押出機にて混練した後、これをダイによりシート状に押し出し、これを上記(1)の工程で得られた5倍縦延伸フィルムの片面に積層し、一方、MFRが4g/10分のポリプロピレン54重量%と、炭酸カルシウム46重量%を混合した組成物(C)を別の押出機で混練後、これをダイよりシート状に押し出し、これを5倍縦延伸フィルムの反対面に積層し、三層構造の積層フィルムを得た。
【0051】
次いで、この三層構造の積層フィルムを60℃の温度にまで冷却した後、再び約160℃の温度にまで加熱して、テンターを用いて横方向に7.5倍延伸し、165℃の温度でアニーリング処理して、60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして、密度が0.77g/cm 、不透明度94%の三層構造(一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸)の肉厚80μm(B/A/C=15μm/50μm/15μm)、の延伸樹脂フィルムを得た。また、各層の空孔率は(B/A/C=16%/33.7%/30%)であった。
【0052】
(例 3)
(1)メルトフローレート(MFR)が4.0g/10分のポリプロピレン(融点約164〜167℃)55重量%に、高密度ポリエチレン25重量%及び平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム20重量%を混合した組成物を270℃の温度に設定した押出機にて混練した後、シート状に押し出し、更に冷却装置により冷却して、無延伸シートを得た。
そして、このシートを150℃の温度にまで再度加熱させた後、縦方向5倍の延伸を行って5倍縦延伸フィルムを得た。
(2)次いで、このフィルムを再び155℃の温度にまで加熱して、テンターを用いて横方向に7.5倍延伸し、165℃の温度でアニーリング処理して、60℃の温度にまで冷却し、耳部をスリットして密度が0.88g/cm 、不透明度86%、クラーク剛度(縦方向)8、横方向9の肉厚45μm、空孔率37%の二軸延伸フィルムよりなる微多孔性延伸樹脂フィルムを得た。
【0053】
(例 4)
例1で得た複層延伸樹脂フィルムの片面に東洋モートン(株)のポリウレタン系アンカーコート剤「BLS−2080A」と「BLS−2080B」の混合物85重量部に、酸化チタン15重量部を混合した接着剤を4g/m(固型分の割合)で塗布し、ついで東レ(株)の平織りの織布「ポンジー#6575」(商品名;経糸の径75デニール、緯糸の径75デニール、織り込み数254cm当たり、経糸90本、緯糸85本、坪量71g/m、白色度90%、不透明度80%)を圧着ロールを用いて貼着し、平織織布/隠蔽層/延伸樹脂フィルムからなる支持体(I)を得た。このものの肉厚は126μm、不透明度は100%であった。
【0054】
(例 5)
王子油化合成紙(株)の微多孔性ポリプロピレン系合成紙“ユポ KPK−80”(商品名;肉厚80μm、密度0.91g/cm、空孔率11%)を用いた。
(実施例1〜5)
例1〜5で得た支持体(I)の延伸樹脂フィルム側に、下記の方法で調製した画像受容層用塗工液を下記に示す塗工方法により塗布し、乾燥した後、スーパーカレンダーで平滑処理を行って熱転写記録用画像シートを得た。
【0055】
画像受容層用塗工液の調製方法
(1) A液の調製
Figure 0003628102
上記各素材を混合して、サンドミルにて粉砕した。
【0056】
(2) B液(硬化剤)の調製
Figure 0003628102
上記素材を混合しサンドミルにて粉砕した。
【0057】
(3) 塗液調製
A液90部、B液27部、酸化珪素顔料(ミズカルシルP−527;商品名、平均粒子径:1.6μm、吸油量:180cc/100g、水澤化学社製沈降性シリカ)30部、硫酸バリウム(B−32;商品名、平均粒子径0.3μm、堺化学工業社製)15部、10%ポリビニルアルコール水溶液50部、及び水10部を混合、攪拌し塗工液とした。
【0058】
塗工方法
ポリエチレンイミン系のアンカーコート剤とブロッキング防止のためのシリカを混合した水系コート液を支持体(I)の延伸樹脂フィルム側に塗布することによってアンカーコート層を設けた後、上記のように調製した画像記録層用の塗液を乾燥後の塗布量が1g/mとなるように塗布して乾燥させ、更に、スーパーカレンダー掛けして溶融熱転写画像受容シートを得た。
【0059】
評価
上記溶融熱転写記録用画像受容シートを以下のように評価した。
(1) 溶融熱転写印字性
熱転写画像受容シートの片面に、東京電気(株)製印字装置「バーコードプリンター B−30−S5」と(株)リコーの熱溶融型インキリボン「ワックス型B110A」又は「樹脂型B110C」(商品名)を用い、23℃、50%相対湿度の恒温室と、35℃、相対湿度85%の恒温室でバーコードの印字を行なった。
【0060】
〔印字評価〕
印字の外観を目視で次のように評価分けした。
5:良好・・・鮮明な画像が得られる。
4:可 ・・・文字にかすれ等が見られるが、実用レベルは維持している。
3:不可・・・バーコード印字等に線切れが生じる。
2:不可・・・印字文字の読み取りが困難。
1:不可・・・ほぼインキが転写しない。
【0061】
〔インキ転写性〕
T&K TOKAのUVインキ「L−カートン墨」(商品名)を用い、RI転色機で転色(1.5g/mの量)させた後、UV照射機で乾燥させ、目視で転写性を評価して次のように評価分けした。
○:均一に高濃度で転写しているものを良好とした。
△:均一に転写しているが、濃度が普通のものを可とした。
×:均一に転写されず、かすれがあるものを不良とした。
【0062】
〔耐擦過性評価〕
スガ試験機(株)製摩擦試験機“FR−2”(商品名)の摩擦子摺動面に白綿布を当て、固定する。台上に印字された画像受容シートの印字面上に摩擦子摺動面が当たるようにのせ、さらに500gの錘で荷重し、ついで500回擦った後の印字の汚れ、白綿布の汚れを次の基準で評価した。
○:印字、白綿布共、ほとんど変化なし。
△:白綿布が汚れる。
×:印字、白綿布共、汚れる。
【0063】
〔耐薬品性〕
印字したサンプルをケロシンに1時間浸漬して画像の変化を観察した。
○:浸漬前後で画像に変化無し
△:画像の一部が滲んだ
×:画像の一部が消滅した
【0064】
〔耐候性〕
天暴試験を一か月間実施し、画像の変化を観察した。
○:天暴試験前後で画像に変化無し
△:画像が退色し、やや薄くなった
×:画像の退色が著しく、薄くなった
得られた結果を表1に示す。
【0065】
(実施例6)
実施例1において、画像受容層の塗工量を3.0g/m(固型分)となるように変えた他は同様にして熱転写画像受容シートを得た。得られた熱転写像受容シートを同様に評価した。
得られた結果を表1に示す。
(比較例1〜6、実施例7〜10)
実施例1において、画像記録受容層の組成を表1又は表2に示す組成のものに代える他は同様にして熱転写画像受容シートを得た。
評価結果を表1または表2に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0003628102
【0067】
【表2】
Figure 0003628102
【0068】
〔表1および表2の注釈〕
* 実施例7の塗工剤は次の製造法により得た。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部、メチルメタクリレート50部、エチルアクリレート35部及びトルエン100部を、攪拌機、還流冷却管及び温度計を装着した三ッ口フラスコに仕込み、窒素置換後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.6部を開始剤として80℃で4時間重合させた。得られた溶液は、水酸基価65の水酸基含有メタクリル酸エステル重合体の50%トルエン溶液であった。
【0069】
次いで、これにヘキサメチレンジイソシアネート・ブタンジオール・ポリエチレングリコール縮合ウレタンプレポリマーの75%酢酸エチル溶液20部、平均粒径1.6μmの沈降性シリカおよび硫酸バリウム粉末を固形分比で表2の割合で配合し、酢酸ブチルで固形分40%に調製した。
** 脂肪族ポリエステル樹脂
東洋紡績(株)のバイロン200(商品名)
*** 中央理化(株)製品
【0070】
【発明の効果】
印字性、防水性、耐候性、耐薬品性、耐擦過性に優れた溶融熱転写記録用画像受容シートを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像受容シート上に印字を施こす昇華転写方式の熱転写記録方法を示す断面図である。
【図2】画像受容シート上に印字を施こす溶融転写方式の熱転写記録方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1 熱転写インクリボン
2 画像受容シート
3 サーマルヘッド等の熱源
4 基体
5 熱溶融性インク
5’ 転写されたインク
6 熱転写画像受容層
7 支持体
8 プラテンロール

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムよりなる支持体(I)の表面に、(a)脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂バインダー3865重量%、(b)シリカ粒子14〜40重量%及び(c)硫酸バリウム粒子6〜25重量%を含有する画像記録受容層(II)を設けた構造の熱転写画像受容シート。
  2. シリカ粒子と硫酸バリウム粒子との混合比が1/0.2〜1/1である請求項1記載の熱転写画像受容シート。
  3. 脂肪族ポリエステル系ウレタン樹脂バインダーが、アジピン酸とポリプロピレングリコールとを反応させたポリエステル・ポリエーテルポリオールにポリイソシアネートを反応させて得た脂肪族ポリエステル・ポリエーテル系ウレタン樹脂である請求項1記載の熱転写画像受容シート。
  4. 画像記録受容層(II)が、更に、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体バインダーを樹脂バインダー中の5〜40重量%の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の熱転写画像受容シート。
  5. 支持体(I)が、無機微細粉末を含有するポリオレフィンフィルムの延伸物よりなる不透明度が85%以上の微多孔性合成紙である請求項1または4記載の熱転写画像受容シート。
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