JP3627996B2 - 管用しごき加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管用しごき加工装置に関し、詳しくは、プレスパンチ及びダイススリーブの交換作業を精度良く且つ簡単に行うことが出来る様に改良された管用しごき加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体用の円筒状基体の様に、高い寸法精度が要求されるアルミニウム又はアルミニウム合金製の薄肉管は、例えば、管用しごき加工装置を使用して製造される。管用しごき加工装置は、円筒状に成形された厚肉短管をプレスパンチにより押圧しつつその外周にダイスによってしごき加工を施して薄肉長尺管を成形する装置である。斯かる管用しごき加工装置は、厚肉短管内に挿入されるプレスパンチと、厚肉短管の外周に順次しごき加工を施す複数のダイスを同芯状で且つ多段に収容するダイススリーブとを備えている。そして、プレスパンチは上下に昇降駆動されるスライドベース側に固定され、また、ダイススリーブはボルスター側に固定されており、両者は同芯状に配置されている。
【0003】
前記プレスパンチは、異なる内径の薄肉長尺管を製造する場合、その内径に応じて交換する必要がある。また、外周が摩耗した場合にも随時交換する必要がある。従って、プレスパンチはスライドベース側にボルトによって着脱自在に固定されている。一方、ダイススリーブも各ダイスを交換し得る様にボルスター側に着脱自在に固定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記プレスパンチは、スライドベース側に対して平面接触により固定される構造であるため、交換作業に際し、ダイススリーブとの同芯性を確保するのが難しい。従って、従来の管用しごき加工装置においては、プレスパンチの交換作業に長時間を要するという問題の他、プレスパンチとダイススリーブとの同芯精度が低下し、その結果、製造される薄肉長尺管に偏肉が生じて製品精度が低下する惧れがあった。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、その目的は、プレスパンチ及びダイススリーブの交換作業を精度良く且つ簡単に行うことが出来る管用しごき加工装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明の管用しごき加工装置は、スライドベース側に固定されるプレスパンチとボルスター側に固定されるダイススリーブとを備え、円筒状の厚肉短管を薄肉長尺管に成形する管用しごき加工装置において、少なくともプレスパンチは、テーパ嵌合によって芯出し可能な状態で且つ着脱自在に固定されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の管用しごき加工装置は、スライドベース(5)側に固定されるプレスパンチ(1)とボルスター(15)側に固定されるダイススリーブ(3)とを備え、円筒状の厚肉短管を薄肉長尺管に成形する管用しごき加工装置において、プレスパンチ(1)及びダイススリーブ(3)は、各々、テーパ嵌合によって芯出し可能な状態で且つ着脱自在に固定されていることを特徴とする。
【0008】
前記の手段を採用した本発明では、プレスパンチの交換作業に際し、プレスパンチは、テーパ嵌合によって芯出し可能な状態でスライドベース側に固定されるため、ボルスター側に固定されたダイススリーブとの同芯性が確保される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。本発明の管用しごき加工装置は、図1に示す様な下端部が絞り加工されたアルミニウム合金製の厚肉短管(A)を図2に示す様な薄肉長尺管(B)に成形する装置である。斯かる管用しごき加工装置は、図1に示す様に、厚肉短管(A)内に挿入されてこれを下方に押し出すプレスパンチ(1)と、厚肉短管(A)の外周に順次しごき加工を施す第1ダイス(2a)、第2ダイス(2b)及び第3ダイス(2c)を同芯状で且つ上下3段に収容したダイススリーブ(3)とを備えている。
【0010】
プレスパンチ(1)は、SKD11等を素材として外径10〜80mm、全長1000〜2000mm程度に形成され、基端部には、例えばMT3のモールステーパ部(1a)が形成されている。斯かるプレスパンチ(1)は、モールステーパ部(1a)がホルダ装置(4)を介してスライドベース(5)に固定されることにより、その先端部を下方に向けて鉛直に吊持されている。なお、スライドベース(5)は、アッパプレート(6)に固定された油圧シリンダ(7)の伸縮に応じ、支柱を兼用する4本のガイドポール(8)に沿って昇降する様に構成されている。
【0011】
ホルダ装置(4)は、プレスパンチ(1)のモールステーパ部(1a)に装着されるモールスホルダ(9)と、ボルトによってスライドベース(5)に固定されるクイックチェンジホルダ(10)と、斯かるクイックチェンジホルダ(10)にモールスホルダ(9)を着脱自在に固定するロックナット(11)とで構成されている。
【0012】
モールスホルダ(9)は、プレスパンチ(1)のモールステーパ部(1a)にテーパ嵌合してボルトにより着脱自在に連結される部材で、例えばAST50の外テーパ部(9a)と、ロックナット(11)に係合するフランジ部(9b)とを有する。また、クイックチェンジホルダ(10)は、モールスホルダ(9)の外テーパ部(9a)に嵌合するテーパ孔(10a)と、ロックナット(11)が螺合するねじ部(10b)とを有する。
【0013】
一方、ダイススリーブ(3)は、下端部にフランジ部(3a)が形成された円筒状の部材で、上端部にはスリーブナット(12)が螺合され、下端部にはフランジ付きカラー(13)が嵌合してフランジ部(3a)にねじ止めされている。そして、フランジ付きカラー(13)とスリーブナット(12)との間には、ガイドカラー(14a)、スペーサカラー(14b)、スぺーサカラー(14c)等を介在させて前記の各ダイス(2a)、(2b)、(2c)が位置決めされている。
【0014】
フランジ付きカラー(13)には、下方に突出する外テーパ部(13a)が一体に形成されている。これに対応してボルスター(15)の上面には、上記外テーパ部(13a)が嵌合するテーパ孔(16a)を備えたテーパフランジ(16)がねじ止めされている。そして、ボルスター(15)には、ダイススリーブ(3)のフランジ部(3a)を押さえる例えば2基の油圧式クランパ(17)がフランジ部(3a)の周方向に等間隔に設置されている。
【0015】
また、ボルスター(15)には、ダイススリーブ(3)内に通ずる受孔(15a)が設けられており、この受孔(15a)内には、成形された薄肉長尺管(B)を受ける管受け治具(18)が設置されている。
【0016】
なお、図示省略したが、ボルスター(15)上には、油圧式クランパ(17)がクランプを解除した状態でダイススリーブ(3)を若干上方に持ち上げ、これを横方向に移動して交換するダイススリーブ(3)の自動交換装置が付設されている。
【0017】
次に、以上のように構成された本発明の管用しごき加工装置の使用例を説明する。先ず、図1に示す様に、素材となる厚肉短管(A)及び製造すべき薄肉長尺管の寸法仕様に応じてプレスパンチ(1)及びダイススリーブ(3)を選択する。そして、プレスパンチ(1)をホルダ装置(4)によりスライドベース(5)に固定し、ダイススリーブ(3)を油圧式クランパ(17)によりボルスター(15)に固定する。
【0018】
スライドベース(5)にプレスパンチ(1)を固定する場合、そのモールステーパ部(1a)にモールスホルダ(9)を装着し、モールスホルダ(9)をクイックチェンジホルダ(10)のテーパ孔(10a)内に挿入する。そして、クイックチェンジホルダ(10)のねじ部(10b)にロックナット(11)をねじ込み、クイックチェンジホルダ(10)のテーパ孔(10a)にモールスホルダ(9)の外テーパ部(9a)を緊密に嵌合する。その結果、パンチプレス(1)はダイスリーブ(3)との同芯性を確保して精度良くスライドベース(5)に固定され、その作業は極めて短時間に且つ簡単に終了する。
【0019】
一方、ボルスター(15)にダイススリーブ(3)を固定する場合、その下端に固定されたフランジ付きカラー(13)の外テーパ部(13a)をボルスター(15)上に固定されたテーパフランジ(16)のテーパ孔(16a)内に嵌合し、油圧式クランパ(17)によってダイススリーブ(3)のフランジ部(3a)をクランプする。これにより、ダイススリーブ(3)も極めて短時間の簡単な作業によってプレスパンチ(1)との同芯性を確保して精度良くボルスター(15)上に固定することが出来る。
【0020】
スライドベース(5)にプレスパンチ(1)を固定し、ボルスター(15)にダイススリーブ(3)を固定した後、図1に示す様に、ダイススリーブ(3)内の上部中央に位置するガイドカラー(14a)上に素材である厚肉短管(A)をセットする。そして、油圧シリンダ(7)を伸張作動させてスライドベース(5)と共にプレスパンチ(1)を下降させる。
【0021】
プレスパンチ(1)の下降に伴い、厚肉短管(A)は下方に押し出され、その外周には第1ダイス(2a)、第2ダイス(2b)、第3ダイス(2c)によって順次しごき加工が施される。そして、図2に示すように、薄肉長尺管(B)がプレスパンチ(1)の先端に密着した状態で成形される。
【0022】
その際、前述のようにプレスパンチ(1)とダイススリーブ(3)とは同芯性を確保して固定されているため、成形される薄肉長尺管(B)には偏肉が無く、高い寸法精度の薄肉長尺管(B)を得ることが出来る。
【0023】
なお、成形された薄肉長尺管(B)は、油圧シリンダ(7)の収縮作動によるプレスパンチ(1)の上昇に伴い、ダイススリーブ(3)内に設置されたストリッパによりプレスパンチ(1)から抜き出され、ボルスター(15)の受孔(15a)内に設置された管受け治具(18)に受け渡される。
【0024】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、プレスパンチの交換作業に際し、交換されるプレスパンチは、テーパ嵌合によって芯出し可能な状態でスライドベース側に固定され、ボルスター側に固定されたダイススリーブとの同芯性を確保する。また、ダイススリーブもテーパ嵌合によって芯出し可能な状態でボルスター側に固定され、プレスパンチとの同芯性を確保する。従って、プレスパンチとダイススリーブとのうち、少なくともプレスパンチの交換作業を精度良く且つ簡単に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による管用しごき加工装置の一実施形態の全体構造を示す要部破断の正面図である。
【図2】一実施形態の使用例を示す要部破断の正面図である。
【符号の説明】
1 :プレスパンチ
1a :モールステーパ部
2a :第1ダイス
2b :第2ダイス
2c :第3ダイス
3 :ダイススリーブ
3a :フランジ部
4 :ホルダ装置
5 :スライドベース
6 :アッパプレート
7 :油圧シリンダ
8 :ガイドポール
9 :モールスホルダ
9a :外テーパ部
9b :フランジ部
10 :クイックチェンジホルダ
10a :テーパ孔
10b :ねじ部
11 :ロックナット
12 :スリーブナット
13 :フランジ付きカラー
13a :外テーパ部
14a :ガイドカラー
14b、14c :スぺーサカラー
15 :ボルスター
15a :受孔
16 :テーパフランジ
16a :テーパ孔
17 :油圧式クランパ
18 :管受け治具
Claims (2)
- スライドベース(5)側に固定されるプレスパンチ(1)とボルスター(15)側に固定されるダイススリーブ(3)とを備え、円筒状の厚肉短管を薄肉長尺管に成形する管用しごき加工装置において、少なくともプレスパンチ(1)は、テーパ嵌合によって芯出し可能な状態で且つ着脱自在に固定されていることを特徴とする管用しごき加工装置。
- スライドベース(5)側に固定されるプレスパンチ(1)とボルスター(15)側に固定されるダイススリーブ(3)とを備え、円筒状の厚肉短管を薄肉長尺管に成形する管用しごき加工装置において、プレスパンチ(1)及びダイススリーブ(3)は、各々、テーパ嵌合によって芯出し可能な状態で且つ着脱自在に固定されていることを特徴とする管用しごき加工装置。
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