JP3627855B2 - 工作機械用プローブアーム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、形成される回転位置に対する位置決めのための機構に関する。その発明は、工作機械におけるプローブを保持するためのアームにおいて使用され得る。
【0002】
【従来の技術】
工作機械に位置調整用のプローブを取り付けることは知られている。そのプローブは、切削用工具が移動せしめられ接触し得るような工作機械のベッドまたはテーブルに取付けられる。これにより、その工作機械における数値制御により使用される工具に関連するオフセット量を設定するために、工具の切削用チップについて位置決めすることが達成できる。
【0003】
数多くの機械において、位置調整用プローブは、要求される位置に永久的に取付けられるならば、邪魔となるだろう。従って、順に機械のベッドに取付けられる移動可能なアーム上にプローブを取り付けることは知られている。
【0004】
例えば、我々の米国特許第5,446,970号において、作動位置と非作動位置との間で回動可能なそのようなアームを開示している。その作動位置は、作動位置を越える回転運動に対しての停止位置を形成する部品により形成されている。これらの部品は、作動位置が正確に反復可能な方法で形成されるようにカイネマティックサポートとして配置されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
引張りスプリングの比較的複雑な装置が、円周方向に作用する付勢力をもたらし、ともに停止させる要素を付勢する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の一つの特徴である回転機構は、固定部材と、固定部材に対し軸線回りに回動可能な回動部材と、固定部材と回動部材との間に、回動部材の回動における位置決め位置を形成し該位置決め位置を過ぎてさらなる回転を防止する抑制装置とを備え、
前記回動部材が前記位置決め位置にあるとき、回動部材が抑制装置において固定部材に係合するように回動力により付勢され、回動力が軸線方向に作用する軸線方向付勢手段(48)により得られる。
【0007】
軸方向付勢手段は、プレーナスプリングのようなスプリングであってもよい。
【0008】
回動力は、デテント機構による軸力に起因し、デテント要素が、略半径方向に延在する周縁または面に対し軸線方向に付勢される。
【0009】
好ましくは、抑制装置は、回動部材において円周方向に沿って3つの離隔した各位置にある少なくともひとつの要素と、固定部材において円周方向に沿って3つの対応する離隔した各位置にある少なくともひとつの要素とを含み、固定部材および回動部材における各位置で要素は、回動力により共に付勢される。
【0010】
好ましくは、固定部材および回動部材における要素は、互いに協働し、運動学的に回動部材の自由度を抑制することによって、精度よく回動部材の位置決め位置を形成する。
【0011】
カイネマティックサポートを形成する固定部材および回動部材における2対以上の要素は、互いに軸線方向に対向し、軸線方向の付勢手段により係合するように付勢されてもよい。
【0012】
本発明のもうひとつの特徴である工作機械用のプローブアームは、上述の回転機構と、プローブが配されたアーム部材を運ぶ回動部材とを含んでなる。そのプローブは、例えば、位置調整用プローブであってもよい。
【0013】
この明細書中に使用される”カイネマティック”(kinematic)、”カイネマティカリー”(kinematically)などの言葉の意義についての説明として米国特許第5、446、970号を参照されるべきである。これらの言葉は、点接触が固定部材および回動部材における各一対の要素間にもたらされるカイネマティックサポートばかりでなく、各要素間にある小さな部分、即ち、線接触である部分的な、または擬カイネマティックサポートを含む。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1に示されるプローブアームは、固定された基盤部材10と、軸線14の回りに90°まで回転可能なハブ12とを含んで構成されている。基盤部材10は、旋盤のような工作機械におけるいずれかの適切な面に取付けられ得る。ハブ12は、そしてまた、その末端で、チップ20を備えるディフレクタブルスタイラスを有する位置調整用プローブ18を運ぶアーム部材16を保持している。ハブ12が90°まで回転可能なのでアーム16は図1に示されるような非作動位置(旋盤の通常の作動の邪魔とならない所)から作動位置(スタイラスチップ20が位置調整目的のために旋盤のタレット上の切削工具により接近し得る所)に回転せしめられ得る。アーム部材16は、スタイラスチップを都合の良く位置付けるために如何なる所望される形状(例えば、示されるような直角曲げを有する)を有するものであってもよい。
【0015】
アーム部材16およびプローブ18は、本出願人の同時係属国際出願第WO00/33149号に開示されるような種々の任意の特徴を有するものであってもよい。
【0016】
本実施例において、アーム部材16は、作動位置と非作動位置との間を手動で回転せしめられる。しかしながら、基盤部材10またはハブ12内にモータを備え、例えば、米国特許第5,446,970号のように、この操作を実行することも可能であろう。
【0017】
図2および図4において最もよく理解されるように、ハブ12は、基盤部材10内を貫通する穴24内を回転する特別な形状とされる部分22を有している。その部分22は、互いに120°間隔で離隔した3つの半径方向の突起26を有している。穴24は、120°間隔で3つの半径方向内側の突起30を有する縮径部28を有している。突起26は、突起30の内面を超えて半径方向に延在している。従って、突起26、30は、ともに、基盤部材19に対しハブ12の回転移動における各終端部に止め具を形成することとなる。
【0018】
さらに詳細には、非作動位置において、ハブ12における突起26の端部32が、基盤部材10における突起30の対応する端部34に当接する。作動位置においては、突起26の端部36が突起30の端部38に当接する。その突起32、34、36、38は、作動位置と非作動位置との間に90°の移動量があるように互いに対して位置付けられている。
【0019】
図3において最もよく理解されるように、各端部36、38は、45°で形成された個々の面36A、38Aを有している。突起30、26は、作動位置において接触するのがその突起の45°の面だけとなるように形成されている。さらに、図面に図示されていないが、それらの間に大きな接触領域でなく、接触線があるようにわずかに凸状に曲がった状態で各合わせ対の45°の面の一方を形成することは有益である。
【0020】
穴24には、縮径部28の一方側に、ほぼ環状であって軸線方向に向い合う棚状の突起40がある。その突起40は、また、軸線方向に向い合う3つの小さな隆起部42を有している。そのハブ12における形作られた部分22は、図3および図4において理解されるように、反対方向に軸線方向に向い合って突起40に対向する環状のショルダー44を有している。ショルダー44は、3つの小さな部分42により、作動位置および非作動位置において支持され、これらの二つの位置の間における回転運動中、その上を摺動する。
【0021】
作動位置においては、従って、ハブ12と基盤10との間に6つの小さな接触領域がある。これらは、45°の面38Aに当接する3つの45°の面、および、ショルダー44に当接する3つの部分42にある。同様に、非作動位置においても、6つの小さな接触領域がある。これらは、各端部32と各端部34との間と、さらにまた、ショルダー44に当接する領域42にある。
【0022】
端部36、38は、45°以外の角度で位置付けられた面を有してもよい。例えば、端部36、38の面が、軸線方向に向い合う突起40に対し、垂直に、即ち、90°に延在してもよい。
【0023】
作動位置および非作動位置双方において、これらの各接触領域は、後述されるように、付勢装置により互いに係合するように付勢されている。その結果として、その双方の位置において、ハブ12およびアーム16における高精度の位置決めを形成する部分的なまたは擬カイネマティックサポートがあることとなる。更に重要なことには、これが、作動位置において正確な位置調整のために重要であるプローブ18とそのスタイラスチップ20とのために定められた良好な位置をもたらす。
【0024】
作動位置においては、その45°の面36A、38Aは、特に、完全な係合を与え、上述したように、それらの一方が、わずかに凸面(理論上、線接触を生み出す)であり、接触領域を低減させる。従って、位置決め精度が特に、作動位置において必要に応じて良好に定められる。
【0025】
面接触の代わりに点接触にできるだけ近い接触を確保することにより、勿論、作動位置においてカイネマティックサポートを改良することも可能であろう。例えば、これは、突起40の表面から突出するボールを備える各領域42に置きかえることにより、または、各端部36からまたは、各端部38から突出するボールを相似に備えることによりなされ得るだろう。
【0026】
勿論、また、非作動位置ばかりでなく作動位置においても同様に端部32、34によりもたらされる形式の擬カイネマティックサポートを備えることも可能であろう。確かに、非作動位置においては、カイネマティックサポートまたは擬カイネマティックサポートは、あまり重要ではない。
【0027】
付勢装置は、図4、図5、および図6を参照して説明されるだろう。
【0028】
図5は、環状のデテントプレート46を示す。図4において理解されるように、これは、穴24内であって突起40に対向する縮径部28の一方側に取り付けられている。デテントプレート46は、二つの対のデテントホール58、60を有している。これらは、ほとんど(しかし、完全ではない)互いに90°に配置されている。
【0029】
図6は、ハブ12の部分22(必要ならばスペーサを介して)に対し図4に示されるように、取付けられる中央部を有するプレーナスプリング48を示す。プレーナスプリング48は、曲げられ得るように切欠き50、52を有し、要求される弾性力をもたらす。
【0030】
プレーナスプリング48は、各ボールベアリング56を緩く保持するように形作られる突出部54を有している(図6において、破線で示される位置)。ボールベアリング56は、従来のものであって、レース内に閉じ込められた複数のボールを含んで成るものである。その突出部54は、使用されているボールベアリング56の内径に円滑に係合するように丸みつけられた端部を有している。
【0031】
ハブ12が作動位置と非作動位置との間で回転するとき、ボールベアリング56は、それぞれ、デテント穴58とデテント穴60との間でデテントプレート46の回りを移動する。そのベアリングが移動するとき、プレーナスプリング48は曲げられた状態となり、また、ショルダー44を突起40の隆起部42に摺動させつつ係合させる軸線方向の付勢力をもたらす。
【0032】
作動位置および非作動位置において、ボールベアリング56は、デテント穴58、デテント穴60内に必ずしも落ちない。むしろ、ハブ12が擬カイネマティックストップとなるとき、ボールベアリング56は、穴の内側の一部であって略半径方向に延びる周縁58A、60A上に停止する。この状態において、プレーナスプリング48は、曲がったままであり、軸線方向の付勢力をもたらし続け、ショルダー44が部分42に接触するように付勢する。しかしながら、この軸力は、それぞれ、周縁58Aおよび60A上にボールベアリング56を介して作用するとき、また、その軸力は、接線方向に力の分力をもたらす。この接線力が、面36A、38Aを係合させるように(作動位置において)、また、端部32、34を係合させるように(非係合位置において)軸線14回りの回転力をもたらす。
【0033】
従って、説明される実施例は、米国特許第5,446,970号において説明されるプローブアームに対し同様な作動をもたらし、しかし、著しく簡単となり、従ってより安い製品となる。
【0034】
必要ならば、その一つのプレーナスプリング48は、互いの上部に置かれる複数のより薄いそのようなスプリングにより置き換え得る。例えば、厚さおよび必要とされる弾性に応じた3つのスプリングであってもよい。
【0035】
上述の実施例において、プレーナスプリング48は、その簡素化のために軸線方向の付勢力をもたらすためのものが好ましい。しかしながら、他の軸線方向の付勢手段は、他の形式のスプリング、または対等のマグネットのようなものを備え得る。
【0036】
ボールベアリング56は、個々の閉じ込められたデテントボールにより、またはさらに、プレーナスプリングからの適切に形作られた軸線方向の突起により置き換えられ得る。これらは、ボールベアリング56と同様な方法で作動位置、及び、非作動位置において周縁58A、60Aに係合するだろう。
【0037】
我々は、ハブ部22と基盤部材の穴24との間の空間に、制振用および潤滑用オイルまたは他の制振用流体を充填することは利点があることを見出した。そのオイルを収容するためにシールカバー62が、図4の最下端である穴24の端部上に備えられており、また、シール64が、穴24の他端とハブ12との間に備えられている。適切なオイルは、高い接触圧を受ける面、即ち、ギアボックス内のギアの歯面用のタイプである。その制振用オイルは、アーム部材16がプレーナスプリング48により作動位置および非作動位置に追い込まれるとき、その突起26、30がより静かに一緒になるようにする。これが、震動を低減し、その運動学的な接触面に対し摩耗および損傷を防止する手助けとなる。そのオイルが、また、使用者により感知されるように、プローブアームのより円滑な操作性を達成する。
【図面の簡単な説明】
本発明に従う好ましいプローブアームは、添付図面を参照して一例として説明されるだろう。
【図1】位置調整用のプローブアームの側面図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿った断面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿った図である。
【図4】II−II線で示される図2の断面線である図2におけるIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】デテントプレートの平面図である。
【図6】プレーナースプリングの平面図である。
【符号の説明】
10 固定部材
12 回動部材
14 軸線
16 アーム部材
18 プローブ
26,30 突起
42 部分
44 ショルダー
46 デテント機構
48 プレーナスプリング
56 ボールベアリング

Claims (10)

  1. 固定部材(10)と、
    前記固定部材に対し軸線(14)の回りに回動可能な回動部材(12)と、
    前記固定部材と前記回動部材との間に、前記回動部材の回動における位置決め位置を形成し該位置決め位置を過ぎてさらなる回転を防止する抑制装置(26,30、42、44)とを備え、
    前記回動部材が前記位置決め位置にあるとき、該回動部材が前記抑制装置において前記固定部材に係合するように回動力により付勢され、
    前記回動力が、軸線方向に作用する軸線方向付勢手段(48)により得られることを特徴とする回転機構。
  2. 前記軸線方向付勢手段は、スプリング(48)であることを特徴とする請求項1記載の機構。
  3. 前記スプリング(48)は、プレーナスプリングであることを特徴とする請求項2記載の機構。
  4. 前記回動力は、デテント機構(46)による軸力に起因し、デテント要素(56)が、略半径方向に延在する周縁または面(58A、60A)に対し軸線方向に付勢されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の機構。
  5. 前記抑制装置は、前記回動部材(12)において円周方向に沿って3つの離隔した各位置にある少なくともひとつの要素(26)と、前記固定部材(10)において円周方向に沿って3つの対応する離隔した各位置にある少なくともひとつの要素(30)とを含み、
    前記固定部材および回動部材における前記各位置で前記要素は、前記回動力により共に付勢されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の機構。
  6. 前記固定部材(10)および前記回動部材(12)における要素(26、30)は、互いに協働し、運動学的に該回動部材の自由度を抑制することによって、精度よく該回動部材の位置決め位置を形成することを特徴とする請求項5記載の機構。
  7. カイネマティックサポートを形成する前記固定部材(10)および前記回動部材(12)における2対以上の要素(26、30)は、互いに軸線方向に対向し、前記軸線方向の付勢手段(46、48)により係合するように付勢されることを特徴とする請求項6記載の機構。
  8. 空間が前記回動部材(12)と前記抑制装置の回りの前記固定部材(10)との間に形成され、制振用流体で満たされることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の機構。
  9. 前記制振用流体は、制振用オイルおよび潤滑用オイルであることを特徴とする請求項8記載の機構。
  10. 前記請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の回転機構を含む工作機械のためのプローブアームにおいて、
    前記工作機械に対する取付けのための固定基盤部材(10)である固定部材と、
    プローブ(18)を運ぶための移動可能なアーム部材(16)である回動部材と、
    前記固定部材と前記回動部材との間で、前記回動部材の回転における位置決め位置を形成するとともに、前記移動可能部材の移動における作動位置を形成し、該作動位置を過ぎてさらなる移動を防止する抑制装置と、
    を備えることを特徴とするプローブアーム。
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