JP3627704B2 - 高周波スイッチ回路 - Google Patents

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尚典 宇田
宏明 林
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P1/00Auxiliary devices
    • H01P1/10Auxiliary devices for switching or interrupting
    • H01P1/15Auxiliary devices for switching or interrupting by semiconductor devices

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  • Waveguide Switches, Polarizers, And Phase Shifters (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号を通過させたり遮断したりする高周波スイッチ回路に関する。
本発明は、例えば、数10GHz帯域の高周波信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路に応用することができる。又、高周波信号の分岐、合成に用いることができる。
【0002】
【従来技術】
従来から、コプレーナ、又は、マイクロストリップ等の高周波伝送線路とスイッチング素子にPINダイオード等を用いて信号の遮断や分岐を行う高周波スイッチ回路として、MMIC(monolithic microwave integrated circuits)として構成されたものが知られている。
【0003】
この高周波スイッチ回路の特性においては、高周波信号の通過時の挿入損失が小さく、高周波信号の遮断時の信号の漏れ量が小さいこと、即ち、アイソレーションが大きくなることが要求される。伝送線路とグランド間に挿入されるスイッチング素子のオン抵抗が小さい程、アイソレーションは大きくなる。又、スイッチング素子のオフ時の容量が小さい程、一般的には、挿入損失は小さくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スイッチング素子のオン抵抗とオフ時の容量との関係は、相反関係にあり、オン抵抗も容量も共に小さくすることは、素子構造上不可能である。従って、従来は、挿入損失を低減するために極力容量を小さくしていた。その結果として、スイッチング素子のオン抵抗の低減が犠牲となり、ある程度のアイソレーション特性の劣化と反射特性の劣化を容認していた。
【0005】
したがって、本発明の目的は、アイソレーション特性を最大限に向上させるために、スイッチング素子のオン抵抗を小さくした状態であって、オフ時の容量が大きくなる場合にも、高周波スイッチ回路の入力端から出力端を見たインピーダンスや出力端から入力端を見たインピーダンスがこれらの反対側を見たインピーダンスに等しくなるように、インピーダンス整合回路を設けることで、入力端と出力端でのインピーダンス整合を図ることで、挿入損失及び反射損失を低下させることである。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の作用、効果】
請求項1に係る発明は、高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、スイッチング素子がオフ状態の時(信号の通過時)に高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、スイッチング素子がオン状態(信号の遮断時)の時に高周波スイッチ回路の接続端からスイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、接続端とスイッチング素子との間にインピーダンス整合回路を設けた。
【0007】
尚、この高周波スイッチ回路における信号の伝送方向は、いずれの方向も可能である。即ち、接続端を入力端として、この入力端から高周波スイッチ回路側へ信号を伝送させる方向と、接続端を出力端として高周波スイッチ回路側から出力端側へ信号を伝送させる方向と、両方向に使用可能である。例えば、信号を複数の分岐線路のうち1本の経路を選択する場合と、複数の分岐線路からの信号のうち1本だけ経路を選択して1つの線路に伝送する場合との両者において使用可能である。経路の選択数は予め決定しておけば、複数本でも良い。
接続端においてインピーダンス整合がとれた状態とは、高周波スイッチ回路の接続端と反対側の端子に負荷や信号源が接続された状態で、インピーダンス整合がとれていることを意味する。
接続端から反対側を見たインピーダンスとは、接続端からスイッチング素子が配設されていない側の伝送路を見たインピーダンスを意味する。さらに、このインピーダンスは、システムの特性インピーダンスであっても、それ以外のインピーダンスであっても良い。それ以外のインピーダンスとは、例えば、接続端に対して反対側に特性インピーダンスからそのインピーダンスに変換するインピーダンス変換器が設けられている場合である。
【0008】
この構成によれば、スイッチング素子のオン抵抗を極力小さく設計することができる。オン抵抗を小さくすればするほど、オフ状態の容量値は大きくなる。このオフ状態の容量値が存在する状態で接続端においてインピーダンス整合が実現されているので、挿入損失は小さくなる。又、スイッチング素子がオン状態の場合には、小さいオン抵抗で短絡された状態となり、接続端からスイッチング素子側を見たインピーダンスが反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるため、接続端において大きな反射係数が得られる。この結果、アイソレーション特性は、スイッチング素子のオン抵抗を小さくする程、改善される。
【0009】
更に、インピーダンス整合回路は、伝送信号の波長/4の長さを有するλ/4伝送線路と、接続端とλ/4伝送線路との間において、直列に挿入された容量素子とからなる。
即ち、λ/4伝送線路の一端とグランド間にスイッチング素子が配設され、他端に伝送線路に直列に容量素子が配設されている。
この構成により、スイッチング素子がオフ状態の時に、接続端でのインピーダンス整合が実現できる。よって、スイッチング素子のオン抵抗をできるだけ小さくすることで、スイッチング素子がオン状態の時に、接続端から高周波スイッチ回路側を見たインピーダンスを反対側を見たインピーダンスに比べて十分に大きくすることができる。よって、上記したように、挿入損失及び反射損失を低減し、アイソレーション特性を改善することができる。
【0010】
更に、容量素子の容量値Cを、スイッチング素子がオフ状態の時の容量値をCdとする時、C=1/(ω2d2)とした。但し、Zはλ/4伝送線路の線路インピーダンスであって接続端からスイッチング素子と反対側を見たインピーダンスであり、ωは角周波数である。
直列に挿入される容量素子の容量値を与えたことを特徴とする。
この構成により、スイッチング素子の容量値が大きくなっても、挿入損失を低減でき、且つ、容量値を大きくする代償としてオン抵抗を小さくできる結果、アイソレーション特性を向上させることができる。
【0011】
又、請求項2に係る発明は、高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、スイッチング素子がオフ状態の時に高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、スイッチング素子がオン状態の時に高周波スイッチ回路の接続端からスイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、スイッチング素子の両側にインピーダンス整合回路を設けた。
この発明の特徴は、スイッチング素子の配置位置に対して両側の伝送路にインピーダンス整合回路が設けられていることである。
接続端、インピーダンス整合の意味は上記した意味と同一である。
【0012】
この構成によれば、上記の構成と同一の効果が得られる。それに加えて、スイッチング素子の両側にインピーダンス整合回路が設けられているので、信号通過状態において、高周波スイッチ回路の線路インピーダンスに係わらず、接続端から高周波スイッチ回路側を見たインピーダンスを、高周波スイッチ回路の接続端と反対側の端子から高周波スイッチ側でない側(負荷又は信号源側)を見たインピーダンスとすることができる。即ち、信号の通過状態においては、高周波スイッチ回路が存在しないのと等価な状態を実現できる。よって、分岐回路、合成回路にこの高周波スイッチ回路を応用する場合には、1本の伝送路にまとめられる幹線に1つのインピーダンス変換器を設けることで、分岐線路側には、任意のインピーダンスの負荷又は信号源を接続することが可能となる。
【0013】
更に、インピーダンス整合回路は、スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、伝送信号の波長/4の長さを有する第1のλ/4伝送線路と、スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、伝送信号の波長/4の長さを有する第2のλ/4伝送線路と、一端にスイッチング素子が接続された第1のλ/4伝送線路の他端に、線路に直列に挿入された第1の容量素子と、一端にスイッチング素子が接続された第2のλ/4伝送線路の他端に、線路に直列に挿入された第2の容量素子とからなる。
即ち、スイッチング素子の両側の伝送路に直列容量素子とλ/4伝送線路との接続回路を設けたものである。
この構成により、上記の効果を達成することができる。その他、スイッチング素子がオフ状態で、この高周波スイッチ回路はないのと等価な状態を実現できる。即ち、高周波スイッチ回路の線路インピーダンスに係わらず、接続端と、この接続端と反対側の高周波スイッチ回路の端子とをインピーダンス、反射係数に対して、同一状態とすることができる。
【0014】
又、請求項3に係る発明は、第1、第2の容量素子の容量値Cは、スイッチング素子がオフ状態の時の容量値をCdとする時、C=1/(ω22d/2)である、但し、Zはλ/4伝送線路の線路インピーダンス、ωは角周波数であることを特徴とする。
スイッチング素子の両側にインピーダンス整合回路を設けた場合には、スイッチング素子のオフ状態の容量値の1/2が、それぞれのインピーダンス整合回路に割り振られる。よって、直列容量Cを求める場合には、Cd/2が用いられる。
この場合には、線路インピーダンスZは、任意である。即ち、接続端から反対側を見たインピーダンスにしても良いし、特性インピーダンスにしても良い。いずれにしても、λ/2伝送線路と等価となるため、入力インピーダンス、出力インピーダンスは、λ/2伝送線路の線路インピーダンスに関係しなくなる。
【0015】
又、請求項4に係る発明は、インピーダンス整合回路は、反射係数を調整するため調整伝送線路と、スイッチング素子のオフ状態の時の容量値と等しく、一端にスイッチング素子が接続された調整伝送線路の他端とグランド間に配設された容量素子とからなることを特徴とする。
この特徴は、並列容量素子と伝送線路とで、インピーダンス整合回路を構成したことである。スイッチング素子がオフ状態の時に接続端において、インピーダンス整合がとれるように、調整伝送線路の線路インピーダンスと長さを決定することができる。又、このように決定された状態において、スイッチング素子のオン抵抗が小さくなる程、接続端において、スイッチング素子側を見たインピーダンスを反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくすることができる。
よって、上記した効果が得られる。
尚、この構成の高周波スイッチ回路においては、使用周波数が変動した場合、又は、他の周波数に変更した場合でも、その周波数変位が小さいならば、接続端において、近似的にインピーダンス整合を図ることができる。即ち、スミスチャート上において、スイッチング素子がオフ状態の時の容量、伝送線路、容量素子によって、電圧反射係数の位相は変移する。周波数が増大すると、これらの各位相変移量は大きくなる。しかし、周波数にかかわらず、スイッチング素子がオフ状態の時の容量によるアドミタンスと、容量素子によるアドミタンスが等しいため、それらによる電圧反射係数の位相変移量は等しくなる。この結果として、全体として、接続端での電圧反射係数は、スミスチャート上の原点(電圧反射係数=0)付近とすることが可能となる。
これに対して、直列容量素子でインピーダンス整合を図る場合には、周波数が増大すると、スイッチング素子がオフ時の容量による電圧反射係数の位相変移量は増大するが、直列容量素子による電圧反射係数の位相変移量は減少する。この結果として、接続端での電圧反射係数は、周波数変移に対して、比較的大きく変化することになり、インピーダンス整合が満たされなくなる。
このよう構成した場合には、インピーダンス整合が図れる周波数範囲が広くなるという効果がある。
【0016】
又、請求項5に係る発明は、調整伝送線路の長さLは、L=λcos-1(ZωC)/2π、線路インピーダンスZcは、Zc=Z/(1-(ZωC)2)1/2である、但し、Zは接続端に対して反対側を見たインピーダンス、Cはスイッチング素子のオフ状態の容量値、ωは角周波数であることを特徴とする。
この特徴は、調整伝送線路の長さと線路インピーダンスとを具体的に決定したことである。このように調整伝送線路を設計することで、上記した効果が得られる。
【0017】
又、請求項6に係る発明は、インピーダンス整合回路は、スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、反射係数を調整する第1の調整伝送線路と、スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、反射係数を調整する第2の調整伝送線路と、一端にスイッチング素子が接続された第1の調整伝送線路の他端とグランド間に配設された第1の容量素子と、一端にスイッチング素子が接続された第2の調整伝送線路の他端とグランド間に配設された第2の容量素子とから成り、第1の容量素子と第2の容量素子の容量値はスイッチング素子のオフ状態の容量値/2であることを特徴とする。
この特徴は、スイッチング素子の伝送路の両側に調整伝送線路を設けたことである。よって、上記したように、両側にインピーダンス整合回路を配置した構成と同一の効果が得られる。
【0018】
又、請求項7に係る発明は、第1及び第2の調整伝送線路の長さLは、それぞれ、L=λcos-1(ZωC)/2πである、但し、Zは、それぞれの調整伝送線路のインピーダンス、ωは角周波数、Cは容量素子の容量値である。
この構成は、調整伝送線路の長さを具体的に決定したものである。この構成では、第1の調整伝送線路と第2の調整伝送線路の線路インピーダンスが等しくありさえすれば良い。又、それは、接続端から左を見たインピーダンスである必要もない。任意のインピーダンスで良い。
この構成により、上記した効果が得られる。
【0019】
又、請求項8に係る発明は、インピーダンス整合回路は、反射係数を調整するため少なくとも2以上の線路インピーダンスの異なる線路の直列接続から成る調整伝送線路から成る。
この線路インピーダンスの異なる複数の線路を直列に接続することで、スイッチング素子のオフ状態の時に、接続端においてインピーダンス整合を達成でき、スイッチング素子がオン状態の時に、接続端から高周波スイッチ回路側を見たインピーダンスを反対側を見たインピーダンスよりも十分に大きくすることが可能である。よって、上記した効果が得られる。
この構成の場合も、直列容量素子によってインピーダンス整合を図る場合に比べると、インピーダンス整合が図れる周波数範囲が広くなる。理由は、スイッチング素子がオフ時の容量による電圧反射係数の位相変移量は増大するが、直列容量素子による電圧反射係数の位相変移量にほぼ等しい位相変移を線路インピーダンスの異なる線路により実現できるからである。スミスチャート上における電圧反射係数の変移は、並列容量素子でインピーダンス整合を図る場合と、ほぼ等しい。
【0020】
更に、スイッチング素子がオフ状態の時の容量と、調整伝送線路との縦続回路の伝送行列Wの要素をW11=A,W12=B,W21=C,W22=Dとし、接続端子から反対側を見たインピーダンスをZとするとき、調整伝送線路を構成する各線路の線路インピーダンスと長さを、A=0,B=jZ,C=j/Z,D=0を満たすように設定する。
これは、スイッチング素子がオフ状態の時の容量と調整伝送線路とが、等価的に線路インピーダンスがZ、長さがλ/4となる。これにより、スイッチング素子がオフ状態において、接続端でインピーダンス整合が実現でき、スイッチング素子がオン状態の時に、オン抵抗が小さい程、接続端から高周波スイッチ回路側を見たインピーダンスを大きくすることができる。これにより、挿入損失を低下させ、アイソレーション特性を改善することができる。
【0021】
或いは、調整伝送線路は長さの等しい2つの線路から成り、その線路インピーダンスZa、Zbは、Za=Z(1-ωCZ)1/2、Zb=Z/(1-ωCZ)1/2、長さLは、L=λ/[2π(2-ωCZ)1/2]、但し、Cはスイッチング素子がオフ状態の時の容量値、Zは接続端から反対側を見たインピーダンスである(請求項9)。
これは、調整伝送線路の一例を具体的に与えたものである。
【0022】
又、請求項10に係る発明は、インピーダンス整合回路は、スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、反射係数を調整するための少なくとも2以上の線路インピーダンスの異なる線路の直列接続から成る第1の調整伝送線路と、スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、反射係数を調整するための少なくとも2以上の線路インピーダンスの異なる線路の直列接続から成る第2の調整伝送線路とから成る。
この構成は、スイッチング素子の両側に調整伝送線路を設けたことである。よって、両側に設けた前述の構成と同一の効果が得られる。
【0023】
更に、第1の調整伝送線路とスイッチング素子がオフ状態の時の容量値/2から成る容量との縦続回路の伝送行列Wの要素をW11=A1,W12=B1,W21=C1,W22=D1とするとき、調整伝送線路を構成する各線路の線路インピーダンスと長さを、A1=0,B1=jZ,C1=j/Z,D1=0を満たすように設定し、第2の調整伝送線路とスイッチング素子がオフ状態の時の容量値/2から成る容量との縦続回路の伝送行列Wの要素をW11=A2,W12=B2,W21=C2,W22=D2とするとき、調整伝送線路を構成する各線路の線路インピーダンスと長さを、A2=0,B2=jZ,C2=j/Z,D2=0を満たすように設定する。
尚、Zはインピーダンスで、任意の値で良い。例えば、接続端から反対側を見たインピーダンスでも、特性インピーダンスでも、その他の値でも良い。
これは、調整伝送線路をスイッチング素子の両側に設けた場合における調整伝送線路の設計を規定したものである。このように調整伝送線路を形成することで、スイッチング素子の両側に、等価的に、インピーダンスZ、長さλ/4の調整伝送線路を設けたのと等価である。これにより、スイッチング素子がオフ状態において、接続端でインピーダンス整合が実現でき、スイッチング素子がオン状態の時に、オン抵抗が小さい程、接続端から高周波スイッチ回路側を見たインピーダンスを大きくすることができる。これにより、挿入損失を低減させ、アイソレーション特性を改善することができる。
【0024】
或いは、第1及び第2の調整伝送線路は、共に、長さの等しい2つの線路から成り、その線路インピーダンスZa、Zbは、Za=Z(1-ωCZ)1/2、Zb=Z/(1-ωCZ)1/2、長さLは、L=λ/[2π(2-ωCZ)1/2]、但し、Cはスイッチング素子がオフ状態の時の容量値/2、Zは任意のインピーダンスである(請求項11)。但し、第1の調整伝送線路と第2の調整伝送線路における線路インピーダンスは等しい。
Zは、例えば、接続端から反対側を見たインピーダンスでも、特性インピーダンスでも、その他の値でも良い。
これは、スイッチング素子の両側に調整伝送線路を設けた場合の調整伝送線路の一例を具体的に与えたものである。
【0025】
又、請求項12に係る発明は、請求項1乃至11の何れかの発明において、スイッチング素子は、第3の調整伝送線路と、その第3の調整伝送線路の両側に配置された第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とから成るπ型回路で構成されていることを特徴とする。
この構成により、2つのスイッチング素子のオン状態で、信号を遮断するため、アイソレーションが向上する。
【0026】
又、請求項13に係る発明は、その発明において、第1スイッチング素子のオフ状態の時の静電容量をCa+Cb、第2スイッチング素子のオフ状態の時の静電容量をCbとするとき、静電容量Cb、第3の調整伝送線路、静電容量Cbで構成される対称π型回路の入力端、出力端において、両スイッチング素子のオフ状態において、インピーダンス整合するように、第3の調整伝送線路の長さが決定されていることを特徴とする。
即ち、第1スイッチング素子の容量を2分割して、その一部と第2スイッチング素子と第3の調整伝送線路とで、対称π型回路を構成して、その回路の入出力端でインピーダンス整合を図る。この結果、第1、第2のスイッチング素子がオフ状態において、インピーダンス整合回路は、容量Caを含めた回路でインピーダンス整合を図れば良い。この構成によれば、第2スイッチング素子がオン状態の時に、第1スイッチング素子の接続点から第2スイッチング素子側を見たインピーダンスを無限大に設定していないので、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子の容量を大きくすることが可能となる。
【0027】
又、請求項14に係る発明は、第1スイッチング素子のオフ状態の時の静電容量をCa+Cb、第2スイッチング素子のオフ状態の時の静電容量をCbとするとき、静電容量Cb、第3の調整伝送線路、静電容量Cbで構成される対称π型回路の入力端、出力端においてインピーダンス整合し、第2スイッチング素子がオン状態の時に、第1スイッチング素子の接続点から第2スイッチング素子側を見たインピーダンスが略無限大となるように、第3の調整伝送線路の線路インピーダンスと長さが決定されていることを特徴とする。
この構成によれば、第2スイッチング素子がオン状態の時に、第1スイッチング素子から第2スイッチング素子側を見たインピーダンスが高くなるので、よりアイソレーションを大きくすることが可能となる。
【0028】
又、請求項15に係る発明は、第1スイッチング素子及び第2スイッチグ素子のオフ状態の時の静電容量を共にCbとするとき、静電容量Cb、第3の調整伝送線路、静電容量Cbで構成される対称π型回路の入力端、出力端においてインピーダンス整合するように、第3の調整伝送線路の長さが決定されていることを特徴とする。
請求項13の発明において、第1スイッチング素子と第2スイッチグ素子の容量を等しくした場合である。
よって、請求項13と同様に、両スイッチング素子の容量を大きくすることが可能となる。
【0029】
又、請求項16に係る発明は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子のオフ状態の時の静電容量を共にCbとするとき、静電容量Cb、第3の調整伝送線路、静電容量Cbで構成される対称π型回路の入力端、出力端においてインピーダンス整合し、第2スイッチング素子がオン状態の時に、第1スイッチング素子の接続点から第2スイッチング素子側を見たインピーダンスが略無限大となるように、第3の調整伝送線路の線路インピーダンスと長さが決定されていることを特徴とする。
この発明は、請求項14の発明において、第1スイッチング素子と第2スイッチグ素子の容量を等しくした場合である。
よって、請求項14の発明と同様に、アイソレーションをより向上させることができる。
【0030】
又、請求項17に係る発明は、請求項13又は15において、第3の調整伝送線路の長さLは、L=λtan -1(2/ωCbZ)/2π、但し、Zは、特性インピーダンス、ωは角周波数であることを特徴とする。これにより、具体的にインピーダンス整合を実現できる。
【0031】
又、請求項18に係る発明は、請求項14又は16の発明において、第3の調整伝送線路の長さLは、L=λcos-1(ZωCb)/2π、線路インピーダンスZcは、Zc=Z/(1-(ZωCb)2)1/2である、但し、Zは対称π型回路の容量Cbの接続端からインピーダンス整合回路側を見たインピーダンス、Cbは第2スイッチング素子のオフ状態の容量値、ωは角周波数であることを特徴とする。
この関係式により具体的にインピーダンス整合と、アイソレーションの向上を図ることが可能となる。
【0032】
又、請求項19に係る発明は、請求項13又は14の発明において、静電容量Caに対して、接続端側のインピーダンス整合回路の回路定数が決定されていることを特徴とする。
即ち、第1スイッチング素子の残りの静電容量Caをインピーダンス整合回路に含めてインピーダンス整合を図るようにしたものである。
【0033】
又、請求項20に係る発明は、請求項2に係る発明の構成を非対称としたものであって、スイッチング素子の静電容量をCa+Cbとするとき、静電容量Caに対して一方のインピーダンス整合回路の回路定数が決定され、静電容量Cbに対して他方のインピーダンス整合回路の回路定数が決定されている。
即ち、2つのインピーダンス整合回路の回路構成を同一に構成しない場合である。即ち、等価回路上、中点において非対称に回路を構成した場合である。
このようにしても、インピーダンス整合が実現できる。
【0034】
更に、インピーダンス整合回路は、スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、伝送信号の波長/4の長さを有する第1のλ/4伝送線路と、スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、伝送信号の波長/4の長さを有する第2のλ/4伝送線路と、一端にスイッチング素子が接続された第1のλ/4伝送線路の他端に、線路に直列に挿入された第1の容量素子と、一端に前記スイッチング素子が接続された第2のλ/4伝送線路の他端に、線路に直列に挿入された第2の容量素子とからなり、第1の容量素子の容量値C1は、C1=1/(ω22a)であり、第2の容量素子の容量値C2は、C2=1/(ω22b)である、但し、Zはλ/4伝送線路の線路インピーダンス、ωは角周波数である
この関係により、非対称な2つのインピーダンス整合回路を具体的に設定することができる。
【0035】
或いは、請求項6に係る発明の構成を非対称とした発明として、インピーダンス整合回路は、スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、反射係数を調整する第1の調整伝送線路と、スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、反射係数を調整する第2の調整伝送線路と、一端に前記スイッチング素子が接続された第1の調整伝送線路の他端とグランド間に配設された第1の容量素子と、一端に前記スイッチング素子が接続された第2の調整伝送線路の他端とグランド間に配設された第2の容量素子とから成り、第1の容量素子の容量値をCa、第2の容量素子の容量値をCbとする。(請求項21)
この関係により、他の非対称な2つのインピーダンス整合回路を構成することができる。
【0036】
又、請求項22に係る発明は、請求項21の発明において、第1調整伝送線路の長さLaは、La=λcos-1(ZωCa)/2π、線路インピーダンスZaは、Za=Z/(1-(ZωCa)2)1/2であり、第2調整伝送線路の長さLbは、Lb=λcos-1(ZωCb)/2π、線路インピーダンスZbは、Zb=Z/(1-(Zω b )2)1/2である、但し、Zは接続端に対して反対側を見たインピーダンス、ωは角周波数であることを特徴とする。
この関係により、その非対称な2つのインピーダンス整合回路を具体的に設定することができる。
【0037】
或いは、請求項11に係る発明の構成を非対称とした発明として、インピーダンス整合回路は、スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、反射係数を調整するための長さの等しい2つの線路の直列接続から成る第1の調整伝送線路と、スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、反射係数を調整するための長さの等しい2つの線路から成る直列接続から成る第2の調整伝送線路とから成り、第1の調整回路の線路インピーダンスZ1a、Z1bは、Z1a=Z(1-ωCaZ)1/2、Z1b=Z/(1-ωCaZ)1/2、長さL1は、L1=λ/[2π(2-ωCaZ)1/2]、第2の調整回路の線路インピーダンスZ2a、Z2bは、Z2a=Z(1-ωCbZ)1/2、Z2b=Z/(1-ωCbZ)1/2、長さL2は、L2=λ/[2π(2-ωCbZ)1/2]、但し、Zは接続端から反対側を見たインピーダンスである。(請求項23)
この関係により、その他のその非対称な2つのインピーダンス整合回路を具体的に設定することができる。
【0038】
又、請求項24に係る発明は、高周波スイッチ回路を接続端で結合して複数配置して、分岐回路を構成したことを特徴とする。
即ち、本発明の高周波スイッチ回路を1本の幹線に配置すれば、信号の通過と遮断を制御する双方向性のスイッチ回路とすることができる。又、1本の幹線から複数に分岐させた分岐線路にこの高周波スイッチ回路を設ければ、分岐スイッチ回路として用いることができる。即ち、複数の分岐線路のうち任意の1本に信号を通過させることができ、この信号の通過する分岐線路を選択的に切り換えることができる。又、複数の分岐線路のうち任意の1本の線路を通過状態として、分岐線路側から1本の幹線側に信号を伝送させることも可能である。このように、この分岐スイッチにおける信号の流れる方向は、双方向で使用することが可能である。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明は上記した発明の特徴を有するものであり、以下に具体化して説明する実施形態には限定されない。
図1は本実施形態の1例を示す構成図である。本実施例は、3つの高周波スイッチ回路の入力端10(接続端に対応)を接続して、3分岐回路を構成したものである。主線路M上を伝搬した信号は、分岐線路B1,B2,B3へと分岐される。主線路Mと各分岐線路B1,B2,B3は、コプレーナ型の伝送線路である。勿論、マイクロストリップ型の伝送線路で構成しても良い。
【0040】
各分岐線路B1,B2,B3は、高周波伝送線路とグランドとの間に、スイッチング素子を構成するPINダイオードD1,D2,D3が配置されている。このPINダイオードが配置された点が出力端O1,O2,O3を構成している。これらのPINダイオードD1,D2,D3は、逆バイアス電圧を印加することで、オフ状態(非導通状態)となり、順バイアス電圧を印加することでオン状態(導通状態)となる。このバイアス電圧は高周波伝送線路を介して供給されている。尚、高周波伝送線路とは別に各PINダイオードに対して給電線路を設け、その給電線路によって各PINダイオードにバイアス電圧を印加するようにしても良い。又、スイッチング素子には、PINダイオードの他に、PN接合のダイオード、FET、HEMT等のユニポーラトランジスタ、接合型のバイポーラトランジスタ等を用いることも可能である。要は、制御信号によりオン状態とオフ状態との2状態を持つものであれば、任意のスイッチング素子を用いることが可能である。
【0041】
各PINダイオードD1,D2,D3のいずれか2つ、例えば、D1,D2がオン状態となると、入力端10からオン状態となった分岐線路B1,B2に対応する出力端O1,O2を見たインピーダンスZin1,Zin2が大きくなる。この結果、入力端10においてこの2つの分岐線路側への反射率が大きくなり、高周波信号は伝搬しない。即ち、これら2つの分岐線路の高周波スイッチ回路はオフ状態(遮断状態)となる。残り1つのPINダイオードD3をオフ状態とし、入力端10から分岐線路B3の出力端O3を見たインピーダンスZin3は、入力端10から分岐線路側と反対側を見たインピーダンスと整合されているので、反射率が小さくなり、高周波信号がこの分岐線路B3に伝搬される。即ち、この分岐回路の高周波スイッチ回路はオン状態(通過状態)となる。
【0042】
各分岐線路B1,B2,B3は、それらの交点である入力端10から各PINダイオードD1,D2,D3の配置位置までの長さが、伝搬信号の波長/4であるλ/4伝送線路G1,G2,G3を有している。そして、入力端10と各λ/4伝送線路G1,G2,G3との間に、容量素子C1,C2,C3が線路に直列に挿入されている。この容量素子C1,C2,C3は、図2に示すように、同一幅の高周波伝送線路を絶縁膜100を介在させて上下に重ね合わせることで形成されている。
尚、この容量素子C1,C2,C3は、図2(c)平面図を示すように、伝送線路G1をギャップを介して、対向させることで形成しても良い。
【0043】
次に、この高周波スイッチ回路の動作原理について説明する。
まず、PINダイオードD1,D2,D3のオン抵抗は、極力小さくなるように構造等を決定する。この状態におけるオフ状態のPINダイオードD1,D2,D3の静電容量をCd1,Cd2,Cd3とする。3つの分岐線路については、同一構成であり、同一作用をするので、以下、1つの分岐線路B1について説明する。
【0044】
図3はスミスチャートである。チャートのu軸は電圧反射係数の実部、v軸は電圧反射係数の虚部を表している。チャートの原点は、電圧反射係数が0の点である。最大円は正規化インピーダンスのレジスタンス成分が0となる電圧反射係数を示している。原点を通る円は正規化インピーダンスのレジスタンス成分が1となる電圧反射係数を示している。又、原点を通る破線の円は正規化アドミタンスのコンダクタンス成分が1となる電圧反射係数を示している。PINダイオードD1を含まない出力端O1から右(下流側)を見たインピーダンスは、特性(線路)インピーダンスZ0に等しい。よって、このインピーダンスP1はスミスチャート上の原点で表される。次に、PINダイオードD1を含む出力端O1から右を見たインピーダンスZ1は、Z0と1/jωCd1との並列インピーダンスになる。Z1は次式で表される。
【0045】
【数1】
1=Z0/(1+jωCd10) …(1)
【0046】
即ち、アドミタンス1/Z1は、1/Z0とjωCd1との和となるので、正規化アドミタンスのコンダクタンス成分は1で変化がなく、サセプタンス成分のみが変化する。よって、インピーダンスZ1は、原点を通る破線の円上にあり、正規化サセプタンスjωCd10だけ原点から回転した位置に存在する。
【0047】
次に、λ/4伝送線路G1は、出力端の電圧反射係数の位相をπだけ回転させる。即ち、λ/4伝送線路G1の入力端の電圧反射係数は、出力端の電圧反射係数にexp(-jπ)=−1をかけた値となる。よって、図3に示すように、λ/4伝送線路G1の入力端から右を見たインピーダンスZ2は、Z1を原点対称に移動した点となる。このインピーダンスZ2は原点を通る正規化レジスタンスが1の円上の点となる。換言すれば、インピーダンスZ2の正規化レジスタンスは1となり、正規化リアクタンスは誘導性を示すことになる。Z2は次式で与えられる。
【0048】
【数2】
2=(Z0/Z1)Z0=Z0 2/Z1=(1+jωCd10)Z0 …(2)
【0049】
次に、入力端子10から分岐線路B1側を見た入力インピーダンスZin1は、伝送線路に直列に挿入されている容量素子C1のために、そのインピーダンス1/jωC1だけインピーダンスZ2に加算した値となる。Zin1は次式でもとめられる。
【0050】
【数3】
Zin1=Z2+1/jωC1
=(1+jωCd10)Z0+1/jωC1
=Z0+j(ωCd10 2−1/ωC1) …(3)
【0051】
従って、入力インピーダンスZin1のレジスタンス成分に変化はなく、リアクタンス成分だけ減算されることになる。即ち、図3における正規化レジスタンスが1の原点を通る円上をインピーダンスは移動することになる。この入力インピーダンスZin1がスミスチャート上の原点、従って、Zin1=Z0となるように、容量素子C1のインピーダンス1/jωC1を決定することができる。即ち、C1は次式で求められる。
【0052】
【数4】
ωCd10 2−1/ωC1=0
∴C1=1/(ω2d10 2) …(4)
【0053】
このように容量素子の容量値を決定することで、入力端10から各分岐伝送線路側を見たインピーダンスを線路インピーダンスZ0に等しくすることができる。この結果、PINダイオードD1がオフ状態で、その容量値Cd1が大きくとも、入力端でのインピーダンス整合が可能となり、挿入損失を低減することが可能となる。
【0054】
次に、容量素子C1の存在が、アイソレーション特性に影響を与えるかについて述べる。
PINダイオードD1のオン抵抗r1は、その容量値C1を大きくした代償として、線路インピーダンスZ0に比べて十分に小さくすることが可能である。従って、PINダイオードD1を含む出力端O1から右を見たインピーダンスは、r1となる。図3のスミスチャート上では、r1が0に近似できるならば、電圧反射係数が−1の点となる。λ/4伝送線路G1により、その入力端での電圧反射係数は1となる。即ち、λ/4伝送線路G1の入力端から右を見たインピーダンスは、正規化レジスタンスが無限大となる。このインピーダンスに容量素子C1のインピーダンス1/jωC1を加えても、入力端10から分岐伝送線路G1側を見たインピーダンスZin1は無限大となり、容量素子の影響を受けない。
尚、オン抵抗r1が実際には0ではないので、厳密には、λ/4伝送線路G1の入力端から右を見たインピーダンスは電圧反射係数1を通る小円上の実軸u上の点となる。しかし、インピーダンス1/jωC1は、インピーダンスをその小円上で左回転させるので、電圧反射係数はさらに1に近づくことになる。よって、容量素子C1を伝送線路に直列に挿入することは、入力端10から分岐伝送線路側を見た入力インピーダンスZin1の値を低下させず、増加させる。したがって、アイソレーション特性の向上につながる。
尚、入力インピーダンスZin1は、(3)式を導出したのと同様にして、次式で表すことができる。
【0055】
【数5】
Zin1=Z0(Z0+r1)/r1−j/ωC1 …(5)
【0056】
1≪Z0であるので、(5)式の近似式は次式となる。
【数6】
Zin1=Z0 2/r1−j/ωC1 …(6)
【0057】
よって、入力インピーダンスZin1の絶対値は十分に大きくすることができ、入力端10での電圧反射係数を十分に1に近くすることができる。
【0058】
図4に、本実施例に係る高周波スイッチ回路の特性を示す。本実施例では、PINダイオードのオン抵抗r1を5Ωから2.9Ωと低下させた代償として、オフ状態の容量Cd1が20fFから48fFに増加している。伝送線路に直列に挿入された容量素子C1は36.1fFである。尚、従来例に記載されている容量素子は、2pFであり、PINダイオードに印加するバイアス電圧を遮断するためのカットオフコンデンサである。この2pFの容量素子のインピーダンスは使用周波数76.5GHzにおいて約1Ωであるので、この周波数において、インピーダンスを変化させる特性は有していない。また、直流阻止用の容量素子は、図5に示すように、入力端からPINダイオード素子に至る伝送線路のほぼ全長に渡って配設されている。よって、直列容量が線路に分布しているのと等価となり、線路インピーダンスに影響を与えることがあっても、λ/4伝送線路の入力端におけるインピーダンスを変化させる機能は有していない。
【0059】
本実施例の高周波スイッチ回路の挿入損失は0.7dBであり、従来回路が1.6dBであるので、約1/2以下に低下させることができた。又、アイソレーションは、従来回路が21.6dBであり、本実施例回路が25.6dBであるので、2割程、特性の改善が見られた。
【0060】
上記実施例では、伝送線路は双方向性である。よって、各分岐伝送線路に受信機、送信機を接続することで、受信機、送信機の切換が可能となる。上記実施例では、3分配(分岐)スイッチ回路を説明したが、この分配(分岐)数は任意である。1分配であれば、単に、双方向性のスイッチ回路となる。特に、2分配のスイッチ回路とすれば、受信と送信との切換が可能となる。即ち、送信機に接続された高周波スイッチ回路と受信機に接続された高周波スイッチ回路との2分岐伝送線路を用いることで、1本のアンテナへの信号の送出と信号の受信に用いることができる。
【0061】
次に、第2実施例について説明する。第1実施例では、λ/4伝送線路と直列容量素子によって、PINダイオードがオフ状態にある時に、入力端でのインピーダンス整合を達成したものである。これに対して、第2実施例は、線路インピーダンスZC、長さL(電気角θ=βL=2πL/λ)の伝送線路と、その両端において並列に接続された容量素子C1とで、等価的に線路インピーダンスZ0、長さλ/4(電気角=π/2)の伝送線路を実現したものである。この一方の容量素子C1がオフ状態のPINダイオードの容量に相当する。この等価回路によれば、分岐伝送線路の入力端から下流側を見たインピーダンスは、PINダイオードがオフ状態にある時には、そのダイオードから下流側を見たインピーダンスZ0に等しく、PINダイオードがオン状態にある時には、上述したように、Z0 2/r1のインピーダンスとなるようにしたものである。
【0062】
以下の説明は、図1における3分岐回路のうちの1つの分岐伝送線路B1に関するものの説明である。他の分岐伝送線路B2,B3についても同様に成立する。
線路インピーダンスZC、電気角θの線路の伝送行列Xは、次式で表現される。尚、[]は各行の成分を表しており、全体で行列を表現している。Xは2行2列の行列である。
【数7】
Figure 0003627704
【0063】
又、並列容量素子Cの伝送行列Yは次式で表現される。
【数8】
Figure 0003627704
【0064】
よって、図6の回路の伝送行列Wは、YXYである。
伝送行列Wの各成分をWijと表すと各成分は次式で表現できる。
【数9】
11=cosθ-ZCωCsinθ …(9)
【数10】
12=jZCsinθ …(10)
【数11】
21=jωCcosθ-jZC(ωC)2sinθ+jsinθ/ZC-jωCcosθ …(11)
【数12】
22=-ZCωCsinθ+cosθ …(12)
【0065】
この伝送行列Wが、線路インピーダンスZ0の伝送路の伝送行列に等しくなる条件は、次式を満たすことである。
【数13】
11=cosθ-ZCωCsinθ=0 …(13)
【数14】
12=jZCsinθ=jZ0 …(14)
【数15】
21=jωCcosθ-j C (ωC)2sinθ+jsinθ/ZC-jωCcosθ=j/Z0 …(15)
【数16】
22=-ZCωCsinθ+cosθ=0 …(16)
【0066】
PINダイオードのオフ状態の容量Cと、特性インピーダンスZ0は既知であるから、線路の電気角θは、(13)、(14)式から次式で与えられる。
【数17】
θ=cos-1(Z0ωC) …(17)
【0067】
よって、伝送路の長さLは次式のようになる。
【数18】
L=λcos-1(Z0ωC)/2π …(18)
【0068】
又、線路インピーダンスZCは(14)式から次式のようになる。
【数19】
C=Z0/sinθ
=Z0/(1-(Z0ωC)2)1/2 …(19)
【0069】
このように、伝送路の長さLと線路インピーダンスZCの伝送路を形成して、両端に容量C(一端はPINダイオードの容量)を設ければ、その回路は長さλ/4、線路インピーダンスZ0の伝送路となる。
よって、PINダイオードがオフ状態の時、入力端から見たインピーダンスZinはZ0となり、入力端でのインピーダンス整合が達成される。この結果、PINダイオードがオフ状態の時に容量値Cが大きくとも、挿入損失を極めて小さくすることができる。
【0070】
次に、PINダイオードがオン状態の時のオン抵抗をrとすると、r≪1/ωCとみなせるので、容量Cと抵抗rの並列インピーダンスは、rと見ることができる。
よって、入力インピーダンスはλ/4の長さ、線路インピーダンスZ0の伝送路の右端を抵抗rで接続したのと等価である。
【数20】
Zin=[r+Z0+(r-Z0)exp(-j2θ)]/[r+Z0-(r-Z0)exp(-j2θ)]Z0 …(20)
【0071】
exp(-j2θ)=-1であるので、
【数21】
Zin=Z0 2/r …(21)
【0072】
入力インピーダンスを十分に大きくすることができる。
【0073】
尚、上記の条件は、PINダイオードがオフ状態の時の上記の伝送行列Wの各成分をA,B,C,Dとおけば、即ち、W11=A,W12=B,W21=C,W22=Dとすれば、S行列(散乱行列)における成分S12(動作伝達係数)を−j、S11(入力端電圧反射係数)を1にする条件からも(17)、(19)式は得られる。
即ち、
【数22】
12=2/(A+B/Z0+Z0C+D)=exp(jπ)=-1 …(22)
【0074】
又、PINダイオードがオン状態の時の伝送行列W'の各成分をA',B',C',D'として、入力端での入力インピーダンスZinが十分に大きい条件からも(20)、(21)式は得られる。
即ち、
【数23】
Zin=(A'Z02+B')/(C'Z02+D')≫Z0 …(23)
但し、Z02はオン状態のPINダイオードを含めて、この位置から右を見たインピーダンスである。Z0≫Z02が満たされれば、(23)式は、次式で近似される。
【数24】
|B'/D'|≫Z0 …(24)
【0075】
このように、(18)式を満たす長さで、(19)式を満たす線路インピーダンスの伝送線路の一端にPINダイオードと、他端にPINダイオードのオフ時の容量に等しい容量の容量素子を接続することで、その線路の入力インピーダンスを特性インピーダンスZ0に整合させることができる。これにより、挿入損失を低減することが可能となる。又、PINダイオードのオフ時の静電容量を大きくする代償として、オン状態の時の抵抗値を小さくできる。この結果、高周波スイッチ回路の入力端における入力インピーダンスは、オン抵抗の大きい従来の回路よりも、十分に大きくすることができるので、アイソレーション特性も向上する。尚、Z0は特性インピーダンスの他、入力端から上流側を見たインピーダンスでも良い。
【0076】
次に、第3実施例について説明する。第2実施例では、(18)式を満たす長さ、(19)式を満たす特性インピーダンスの伝送線路の入力端に容量素子Cを線路とグランド間に配置することで、入力端でのインピーダンス整合を図ったものである。第3実施例はこの容量素子の代わりに、他の伝送線路を接続したものである。以下、1つの分岐伝送線路B1について説明するが、他の分岐伝送線路についても同様に成立する。
【0077】
伝送線路を図7に示すように、長さLa、電気角θa、線路インピーダンスZaの第1伝送線路Haと、長さLb、電気角θa、線路インピーダンスZbの第2伝送線路Hbとの縦続接続とする。
第1伝送線路Haの伝送行列Xaは(7)式から次式で表現される。
【数25】
Figure 0003627704
【0078】
同様に、第2伝送線路Hbの伝送行列Xbは次式で表される。
【数26】
Figure 0003627704
【0079】
さらに、オフ状態のPINダイオードの伝送行列Yは、(8)式から次式で得られる。
【数27】
Figure 0003627704
【0080】
よって、図7の回路の伝送行列Wは、XabYである。
伝送行列Wの各成分をWijと表すと各成分は次式で表現できる。
【数28】
Figure 0003627704
【数29】
12=jZbcosθasinθb+jZasinθacosθb …(29)
【数30】
Figure 0003627704
【数31】
22=-Zbsinθasinθb/Za+cosθacosθb …(31)
【0081】
この伝送行列Wが、電気角π/2、線路インピーダンスZ0の伝送路の伝送行列に等しくなる条件は、次式を満たすことである。
【数32】
11=0 …(32)
【数33】
12=jZ0(33)
【数34】
21=j/Z0(34)
【数35】
22=0 …(35)
【0082】
PINダイオードのオフ状態の容量Cと、特性インピーダンスZ0は既知であるから、それらの値を用いて、未知変数θa、θb、Za、Zbを求めることができる。
このようにすることで、PINダイオードのオフ状態の時に入力端から下流側を見たインピーダンスを特性インピーダンスZ0とすることができる。
【0083】
又、PINダイオードがオン抵抗をrとして、オン状態の時に入力端から下流側を見たインピーダンスZinは、次式で表される。
【数36】
in 0 2/r …(36)
【0084】
よって、オン抵抗rが小さくできるので、アイソレーション特性も向上させることができる。
尚、Z0は入力端から上流側を見たインピーダンスで、それが特性インピーダンスであっても良い。
【0085】
その他の実施例を次に説明する。
図1の第1実施例の構成において、1つの分岐伝送線路B1を図8のように構成しても良い。PINダイオードDの両側に、λ/4伝送線路と直列容量素子Cを設けても良い。尚、第1実施例では、容量素子Cは、PINダイオードのオフ状態の容量値/2に対して、λ/4伝送線路の入力端から右を見たインピーダンスが特性(線路)インピーダンスZ0になるように調整されている。しかし、この場合には、線路インピーダンスは次の理由により任意の値でよい。
【0086】
図8(a)のPINダイオードがオフ状態における等価回路は、図8(b)となる。並列容量C0、λ/4伝送線路、直列容量Cから成る縦続回路Aの伝送行列WはW11=0,W12=jZ,W21=j/Z,W22=0である。よって、この縦続回路Aと縦続回路Bとの縦続回路の伝送行列Wは、線路インピーダンスZに関係なく、W11=-1,W12=0,W21=0,W22=-1となる。
【0087】
よって、端子22と端子20での電圧反射係数は等しくなる。したがって、端子20から右(負荷側)を見たインピーダンスをZLとすると、端子22から右を見たインピーダンスはZLとなる。即ち、2つの伝送線路の線路インピーダンスが等しいならば、その値に係わらず、このことは成立する。よって、端子22において左(上流側)を見たインピーダンスをZLとするようにすれば、端子22においてインピーダンス整合が実現される。又、PINダイオードDがオン状態の場合には、上述したように、端子22から右を見たインピーダンスがZ2/rとなり、オン抵抗rが小さい程、その値を大きくすることができる。
【0088】
この回路を用いれば、図9(b)に示すような回路を構成することができる。即ち、高周波スイッチ回路50を上記の構成として、各分岐線路21、22、23にアンテナ31、32、33が接続されている。このインピーダンスは75Ωとする。幹線Mに特性インピーダンス50Ωと75Ωのインピーダンス変換回路40を挿入するだけでよい。この場合に、高周波スイッチ回路50をそのままにして、インピーダンス変換回路40を変更するだけで、アンテナ31、32、33のインピーダンスを任意に変更することが可能となる。
これに対して、上記の回路を片側に設けた場合には、図9(a)に示すように、各分岐回路にそれぞれインピーダンス変換回路が必要となる。
【0089】
さらに、図10に示すように、第2実施例のインピーダンス整合回路をPINダイオードの両側に設けても良い。この場合には、容量値2CがPINダイオードのオフ時の容量値に設定される。
上述で述べた、伝送行列に関しては、この実施例でも当然に成立する。この場合にも、両側の2つの調整伝送線路の線路インピーダンスが等しくありさえすれば、線路インピーダンスに関係なく、上記のことが成立する。
【0090】
同様に、図11に示すように、第3実施例のインピーダンス整合回路をPINダイオードの両側に設けても良い。この場合にも、容量値2CがPINダイオードのオフ時の容量値に設定される。
上述で述べた、伝送行列に関しては、この実施例でも当然に成立する。この場合にも、両側にある2つの調整伝送線路における等価線路インピーダンスが等しくありさえすれば、線路インピーダンスに関係なく、上記のことが成立する。
【0091】
第3実施例のインピーダンス整合回路をPINダイオードの両側に設けた場合で、図12(a)に示すような3経路の選択回路の場合における挿入損失、反射損失、アイソレーションを、図12(b)に示す従来のλ/4伝送線路を用いた3経路の選択回路のそれらの特性と比較した結果を、図12(c)に示す。どちらの場合も、PINダイオードのオン抵抗は3.2Ω、オフ容量は40fFである。本実施例の高周波スイッチ回路は、挿入損失において、0.9dBと従来回路の1.5dBに対して、約2/3に低下しているのが分かる。又、反射損失は25dBと、従来回路の8dBに比べて、1/3に低下しているのが分かる。又、アイソレーションに関しては、本実施例と従来例と共に25dBと同等な特性が得られているのが分かる。
【0092】
図13に示すように、第3実施例のインピーダンス整合回路とPINダイオード等のスイッチング素子とから成る3線路選択の本発明の高周波スイッチ回路V1,V2を2つ設けて、その回路の間に、各経路で長さの異なる伝送線路(l1,l2,l3)を設けて、移相器を構成しても良い。この場合には、経路を選択することで、移相量を変更することができる。
【0093】
上記の実施例は、全て、双方向に信号を伝達することができる。よって、上記では接続点は入力端として説明したが、逆方向に信号を伝送されれば、接続端は高周波スイッチ回路の出力端となる。
全ての実施例において、分岐数、選択数は任意である。
【0094】
次に、他の実施例について説明する。
図14に示すように、構成しても良い。分岐線路B1についてのみ説明する。本実施例は、第1実施例において、第3の調整伝送路である伝送線路G11とスイッチング素子であるPINダイオードD11をさらに付加したことを特徴とする。図14の等価回路は図15となる。即ち、PINダイオードD1のオフ状態の静電容量をCd1+C、PINダイオードD11のオフ状態の静電容量をCとする。このように、PINダイオードD1のオフ状態の静電容量をCd1とCとに分解して考える。p1−p1間については第1実施例、p2−p3については第2実施例を適用する。即ち、伝送線路G1の線路長はλ/4である。又、直列容量素子の容量C1は、(4)式で与えられる。一方、伝送線路G11の長さLは(18)式で与え、線路インピーダンスZcは、(19)式で与えれば良い。このように構成すれば、PINダイオードD1、D11が共にオフ状態のとき、p2点から右を見たインピーダンスは特性インピーダンスZ0となり、p1点から右を見たインピーダンスも特性インピーダンスZ0となる。このように、2つのPINダイオードを用いることで、アイソレーションをより向上させることができる。即ち、PINダイオードD11がオン状態のとき、点p2から右を見たインピーダンスは極めて大きくなり、PINダイオードD11がオン状態のときに、下流方向に漏れる電力は大きいインピーダンスに阻止されることになり、点p1から右を見たインピーダンスは、PINダイオードD1だけで構成するよりも大きくなる。
【0095】
又、図16に示すように、PINダイオードD1、D11のオフ状態の静電容量を共にCとすることも可能である。この場合には、静電容量Cとλ/4伝送線路と静電容量Cd1とで構成されるp1−p2の回路がインピーダンス整合回路となる。
【0096】
又、図15、図16において、第2スイッチング素子であるPINダイオードD11がオン状態の時に、第1スイッチング素子であるPINダイオードD1の接続点からPINダイオードD11側を見たインピーダンスが大きいが無限とはならない条件で、第3の調整伝送線路G11の長さだけを決定し、インピーダンスは特性インピーダンスとしても良い。尚、長さLは、L=λtan -1(2/ωCZ)/2π、但し、Zは、特性インピーダンス、ωは角周波数、と、決定すれば、スイッチンク素子がオフ状態の時に、インピーダンス整合が図れる。このようにする利点は、スイッチンク素子の容量を大きくすることができることである。(18)式の条件を課すると、容量Cは、2π/Z0ω以下であることが必要となる。しかし、このようにすることで、容量Cには、大きさの制限がなくなり、オン抵抗を小さくする目的で、オフ時の静電容量をより大きくすることが可能となる。さらにこの目的の実施例の場合には、PINダイオードD1と、D11の容量の大きさは、等しくなくとも良い。
【0097】
次に他の実施例について説明する。
本実施例は、第2実施例において、図17に示すように、第3の調整伝送路である伝送線路G51とPINダイオードD11とを付加したものである。図17の等価回路は図18となる。即ち、PINダイオードD1のオフ状態の静電容量をCa+Cb、PINダイオードD11のオフ状態の静電容量をCbとする。このように、PINダイオードD1のオフ状態の静電容量をCaとCbとに分解して考える。p1−p1間、p2−p3について、共に、第2実施例を適用する。即ち、伝送線路G5、G51の長さL1,L2は、(18)において、C=Ca、C=Cbとして、求める。又、線路インピーダンスZC1,ZC2は、(19)式において、C=Ca、C=Cbとして、求める。
【0098】
このように構成すれば、PINダイオードD1、D11が共にオフ状態のとき、p2点から右を見たインピーダンスは特性インピーダンスZ0となり、p1点から右を見たインピーダンスも特性インピーダンスZ0となる。このように、2つのPINダイオードを用いることで、アイソレーションをより向上させることができる。即ち、PINダイオードD11がオン状態のとき、点p2から右を見たインピーダンスは極めて大きくなり、PINダイオードD11がオン状態のときに、下流方向に漏れる電力は大きいインピーダンスに阻止されることになり、点p1から右を見たインピーダンスは、PINダイオードD1だけで構成するよりも大きくなる。
【0099】
又、図19に示すように、PINダイオードD1、D11のオフ状態の静電容量を共にCbとすることも可能である。この場合には、静電容量Caと伝送線路G5と静電容量Caとで構成されるp1−p2の回路がインピーダンス整合回路となる。
この実施例においても、図17−図19において、第2スイッチング素子であるPINダイオードD11がオン状態の時に、第1スイッチング素子であるPINダイオードD1の接続点からPINダイオードD11側を見たインピーダンスが大きいが無限とはならない条件で、第3の調整伝送線路G51の長さだけを決定し、インピーダンスは特性インピーダンスとしても良い。これにより、スイッチンク素子がオフ状態の時に、インピーダンス整合が図れる。このようにする利点は、上述したのと同一理由により、スイッチンク素子の容量を大きくすることができることである。
同様に、この目的の実施例の場合には、PINダイオードD1と、D11の容量の大きさは、等しくなくとも良い。
【0100】
次に他の実施例について説明する。
本実施例は、第3実施例において、図20に示すように、第3の調整伝送路である伝送線路G61とスイッチング素子であるPINダイオードD11をさらに付加したことを特徴とする。図20の等価回路は図21となる。即ち、PINダイオードD1のオフ状態の静電容量をCa+Cb、PINダイオードD11のオフ状態の静電容量をCbとする。このように、PINダイオードD1のオフ状態の静電容量をCaとCbとに分解して考える。p1−p1間については第3実施例、p2−p3については第2実施例を適用する。即ち、第1伝送線路Ha、第2伝送線路Hbの線路インピーダンスと長さは、(28)−(35)式において、C=Caとして、求める。伝送線路G61に関しては、第2実施例と同一であるので、(18)、(19)により、長さと線路インピーダンスを求める。このように構成すれば、PINダイオードD1、D11が共にオフ状態のとき、p2点から右を見たインピーダンスは特性インピーダンスZ0となり、p1点から右を見たインピーダンスも特性インピーダンスZ0となる。このように、2つのPINダイオードを用いることで、アイソレーションをより向上させることができる。即ち、PINダイオードD11がオン状態のとき、点p2から右を見たインピーダンスは極めて大きくなり、PINダイオードD11がオン状態のときに、下流方向に漏れる電力は大きいインピーダンスに阻止されることになり、点p1から右を見たインピーダンスは、PINダイオードD1だけで構成するよりも大きくなる。
【0101】
又、図22に示すように、PINダイオードD1、D11のオフ状態の静電容量を共にCbとすることも可能である。この場合には、静電容量Caと第1伝送線路Ha、第2伝送線路Hbとで構成されるp1−p2の回路がインピーダンス整合回路となる。
この実施例においても、図20−図22において、第2スイッチング素子であるPINダイオードD11がオン状態の時に、第1スイッチング素子であるPINダイオードD1の接続点からPINダイオードD11側を見たインピーダンスが大きいが無限とはならない条件で、第3の調整伝送線路G61の長さだけを決定し、インピーダンスは特性インピーダンスとしても良い。これにより、スイッチンク素子がオフ状態の時に、インピーダンス整合が図れる。このようにする利点は、上述したのと同一理由により、スイッチンク素子の容量を大きくすることができることである。
同様に、この目的の実施例の場合には、PINダイオードD1と、D11の容量の大きさは、等しくなくとも良い。
【0102】
次に、他の実施例について説明する。
本実施例は、図8、図10、図11に示すようなスイッチング素子の両側にインピーダンス整合回路を設けたものにおいて、上記した2つのPINダイオードを第3の調整伝送線路とを用いたものに相当する。
【0103】
図23に示すように、伝送線路G11とその両側に設けられたPINダイオードD1、D11で構成される回路が、図8(a)のPINダイオードDに代えて設けることができる。即ち、図15の点p3の右側に第1実施例のインピーダンス整合回路を設けることができる。ただし、PINダイオードD11は、容量Cと容量Cd2とに分解する。対称性から、図23の点p3点より右側に設けられるインピーダンス整合回路の静電容量はC2となる。同様に、図24に示すように、図16の点p3より右側に第1実施例のインピーダンス整合回路を追加することが可能となる。図24から理解されるように、完全に対称な回路構成とすることも可能である。
【0104】
又、図25に示すように、図18における点p3より右側に第2実施例のインピーダンス整合回路を設けることが可能である。ただし、PINダイオードD11は、容量Cbと容量Ccとに分解する。即ち、図25のようになる。この場合、追加されるインピーダンス整合回路の静電容量はCcとなる。同様に、図26に示すように、図19の点p3より右側に第2実施例のインピーダンス整合回路を追加することが可能となる。図26から理解されるように、完全に対称な回路構成とすることも可能である。
【0105】
又、図27に示すように、図20における点p3より右側に第3実施例のインピーダンス整合回路を設けることが可能である。即ち、図27のようになる。この場合、追加されるインピーダンス整合回路は、元のインピーダンス整合回路とは等しくならない。同様に、図28に示すように、図21の点p3より右側に第3実施例のインピーダンス整合回路を追加することが可能となる。図28から理解されるように、完全に対称な回路構成とすることも可能である。
【0106】
次に、他の実施例について説明する。
第1実施例のインピーダンス整合回路を2つ用いた図8に示す回路において、それらのインピーダンス整合回路を非対称にしても良い。即ち、本実施例は、図29(a)に示すように、直列容量C1と特性インピーダンスZ0のλ/4伝送線路から成るインピーダンス整合回路と直列容量C2と特性インピーダンスZ0のλ/4伝送線路から成るインピーダンス整合回路とで構成したものである。図29(a)の等価回路は、図29(b)である。PINダイオードDのオフ状態の静電容量を2つの並列容量Ca,Cbとに分割する。そして、静電容量C1は、(4)の右辺において、Cd1=Caとおいて、求めることができる。又、静電容量C2は、(4)の右辺において、Cd1=Cbとおいて、求めることができる。このように構成することで、第1実施例において原理を説明したように、PINダイオードDがオフ状態の時、点p2から右を見たインピーダンスは特性インピーダンスとなり、点p1から右を見たインピーダンスも特性インピーダンスとなる。
【0107】
又、第2実施例のインピーダンス整合回路を2つ用いた図10に示す回路において、それらのインピーダンス整合回路を非対称にしても良い。即ち、本実施例は、図30(a)に示すように、並列容量Caと特性インピーダンスZa、長さLaの伝送線路から成るインピーダンス整合回路と並列容量Cbと特性インピーダンスZb、長さLbの伝送線路から成るインピーダンス整合回路とで構成したものである。図30(a)の等価回路は、図30(b)である。PINダイオードDのオフ状態の静電容量を2つの並列容量Ca,Cbとに分割する。そして、特性インピーダンスZaと長さLaは、(19)式、(18)式において、それぞれ、C=Caとおいて、求めることができる。同様に、特性インピーダンスZbと長さLbは、(19)式、(18)式において、それぞれ、C=Cbとおいて、求めることができる。このように構成することで、第2実施例において原理を説明したように、PINダイオードDがオフ状態の時、点p2から右を見たインピーダンスは特性インピーダンスとなり、点p1から右を見たインピーダンスも特性インピーダンスとなる。
【0108】
又、第3実施例のインピーダンス整合回路を2つ用いた図11に示す回路において、それらのインピーダンス整合回路を非対称にしても良い。即ち、本実施例は、図31(a)に示すように、特性インピーダンスZ1a、長さL1aの伝送線路と特性インピーダンスZ1b、長さL1bの伝送線路との直列接続から成るインピーダンス整合回路と、特性インピーダンスZ2b、長さL2bの伝送線路と特性インピーダンスZ2a、長さL2aの伝送線路との直列接続回路から成るインピーダンス整合回路とで構成したものである。図31(a)の等価回路は、図31(b)である。PINダイオードDのオフ状態の静電容量を2つの並列容量Ca,Cbとに分割する。そして、線路インピーダンスZ1a,Z1b、長さL1a,L1bは、それぞれ、(28)−(35)式において、C=Caとして、求める。同様に、線路インピーダンスZ2a,Z2b、長さL2a,L2bは、それぞれ、(28)−(35)式において、C=Cbとして、求める。このように構成すれば、第3実施例の回路が従属接続されたのと同一であるから、上記したように、点p2、p1から右を見たインピーダンスは特性インピーダンスZ0となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な第1実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した回路図。
【図2】(a)〜(c)は、直列容量素子が形成されている部分を示した構造図。
【図3】スミスチャート上で原理を説明した説明図。
【図4】特性値を示した特性図。
【図5】(a)及び(b)は、従来の高周波スイッチ回路に使用されている直流カット用の容量素子を示した構造図。
【図6】(a)及び(b)は、第2実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図7】第3実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図8】(a)及び(b)は、第1実施例の変形例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図9】(a)及び(b)は、用途を示した回路図。
【図10】(a)及び(b)は、第2実施例の変形例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図11】(a)及び(b)は、第3実施例の変形例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図12】(a)〜(c)は、第3実施例の変形例に係る高周波スイッチ回路の構成と、従来回路と、それらの特性の比較を示した説明図。
【図13】第3実施例の変形例に係る高周波スイッチ回路を用いた移相器の構成を示した回路図。
【図14】他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図15】その高周波スイッチ回路の等価回路。
【図16】他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図17】他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図18】その高周波スイッチ回路の等価回路。
【図19】他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図20】他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図21】その高周波スイッチ回路の等価回路。
【図22】他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図23】他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図24】他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図25】他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図26】他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図27】他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図28】その高周波スイッチ回路の等価回路。
【図29】(a)及び(b)は、他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図30】(a)及び(b)は、他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【図31】(a)及び(b)は、他の実施例に係る高周波スイッチ回路の構成を示した説明図。
【符号の説明】
10…接続端(入力端)
D1,D2,D3,D…PINダイオード(スイッチング素子)

Claims (24)

  1. 高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、
    前記スイッチング素子がオフ状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、前記スイッチング素子がオン状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端から前記スイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、前記接続端と前記スイッチング素子との間にインピーダンス整合回路を設け
    前記インピーダンス整合回路は、伝送信号の波長/4の長さを有するλ/4伝送線路と、前記接続端と前記λ/4伝送線路との間において、直列に挿入された容量素子とからなり、
    前記容量素子の容量値Cは、前記スイッチング素子がオフ状態の時の容量値をC d とする時、C=1/ ( ω 2 d 2 ) である、但し、Zはλ/4伝送線路の線路インピーダンスであって前記接続端から前記スイッチング素子と反対側を見たインピーダンスであり、ωは角周波数である
    ことを特徴とする高周波スイッチ回路。
  2. 高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、
    前記スイッチング素子がオフ状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、前記スイッチング素子がオン状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端から前記スイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、前記スイッチング素子の両側にインピーダンス整合回路を設け
    前記インピーダンス整合回路は、前記スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、伝送信号の波長/4の長さを有する第1のλ/4伝送線路と、前記スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、伝送信号の波長/4の長さを有する第2のλ/4伝送線路と、一端に前記スイッチング素子が接続された前記第1のλ/4伝送線路の他端に、線路に直列に挿入された第1の容量素子と、一端に前記スイッチング素子が接続された前記第2のλ/4伝送線路の他端に、線路に直列に挿入された第2の容量素子とからなる
    ことを特徴とする高周波スイッチ回路。
  3. 前記第1、第2の容量素子の容量値Cは、前記スイッチング素子がオフ状態の時の容量値をCdとする時、C=1/(ω22d/2)である、但し、Zはλ/4伝送線路の線路インピーダンス、ωは角周波数であることを特徴とする請求項2に記載の高周波スイッチ回路。
  4. 高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、
    前記スイッチング素子がオフ状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、前記スイッチング素子がオン状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端から前記スイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、前記接続端と前記スイッチング素子との間にインピーダンス整合回路を設け、
    前記インピーダンス整合回路は、反射係数を調整するため調整伝送線路と、前記スイッチング素子のオフ状態の時の容量値と等しく、一端に前記スイッチング素子が接続された前記調整伝送線路の他端と前記グランド間に配設された容量素子とからなることを特徴とする高周波スイッチ回路。
  5. 前記調整伝送線路の長さLは、L=λcos-1(ZωC)/2π、線路インピーダンスZcは、Zc=Z/(1-(ZωC)2)1/2である、但し、Zは前記接続端に対して前記反対側を見たインピーダンス、Cは前記スイッチング素子のオフ状態の容量値、ωは角周波数であることを特徴とする請求項4に記載の高周波スイッチ回路。
  6. 高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、
    前記スイッチング素子がオフ状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、前記スイッチング素子がオン状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端から前記スイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、前記スイッチング素子の両側にインピーダンス整合回路を設け、
    前記インピーダンス整合回路は、前記スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、反射係数を調整する第1の調整伝送線路と、前記スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、反射係数を調整する第2の調整伝送線路と、一端に前記スイッチング素子が接続された前記第1の調整伝送線路の他端と前記グランド間に配設された第1の容量素子と、一端に前記スイッチング素子が接続された前記第2の調整伝送線路の他端と前記グランド間に配設された第2の容量素子とから成り、前記第1の容量素子と前記第2の容量素子の容量値は前記スイッチング素子のオフ状態の容量値/2であることを特徴とする高周波スイッチ回路。
  7. 前記第1及び前記第2の調整伝送線路の長さLは、それぞれ、L=λcos-1(ZωC)/2πである、但し、Zは、それぞれの調整伝送線路のインピーダンス、ωは角周波数、Cは容量素子の容量値であることを特徴とする請求項6に記載の高周波スイッチ回路。
  8. 高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、
    前記スイッチング素子がオフ状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、前記スイッチング素子がオン状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端から前記スイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、前記接続端と前記スイッチング素子との間にインピーダンス整合回路を設け、
    前記インピーダンス整合回路は、反射係数を調整するため少なくとも2以上の線路インピーダンスの異なる線路の直列接続から成る調整伝送線路から成り、
    前記スイッチング素子がオフ状態の時の容量と、前記調整伝送線路との縦続回路の伝送行列Wの要素をW11=A,W12=B,W21=C,W22=Dとし、前記接続端子から前記反対側を見たインピーダンスをZとするとき、前記調整伝送線路を構成する各線路の線路インピーダンスと長さを、A=0,B=jZ,C=j/Z,D=0を満たすように設定することを特徴とする高周波スイッチ回路。
  9. 高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、
    前記スイッチング素子がオフ状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、前記スイッチング素子がオン状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端から前記スイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、前記接続端と前記スイッチング素子との間にインピーダンス整合回路を設け、
    前記インピーダンス整合回路は、反射係数を調整するため少なくとも2以上の線路インピーダンスの異なる線路の直列接続から成る調整伝送線路から成り、
    前記調整伝送線路は長さの等しい2つの線路から成り、その線路インピーダンスZa、Zbは、Za=Z(1-ωCZ)1/2、Zb=Z/(1-ωCZ)1/2、長さLは、L=λ/[2π(2-ωCZ)1/2]、但し、Cはスイッチング素子がオフ状態の時の容量値、Zは前記接続端から前記反対側を見たインピーダンスであることを特徴とする高周波スイッチ回路。
  10. 高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、
    前記スイッチング素子がオフ状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、前記スイッチング素子がオン状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端から前記スイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、前記スイッチング素子の両側にインピーダンス整合回路を設け、
    前記インピーダンス整合回路は、前記スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、反射係数を調整するための少なくとも2以上の線路インピーダンスの異なる線路の直列接続から成る第1の調整伝送線路と、前記スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、反射係数を調整するための少なくとも2以上の線路インピーダンスの異なる線路の直列接続から成る第2の調整伝送線路とから成り、
    前記第1の調整伝送線路と前記スイッチング素子がオフ状態の時の容量値/2から成る容量との縦続回路の伝送行列Wの要素をW11=A1,W12=B1,W21=C1,W22=D1とするとき、前記調整伝送線路を構成する各線路の長さと線路インピーダンスとを、A1=0,B1=jZ,C1=j/Z,D1=0を満たすように設定し、前記第2の調整伝送線路と前記スイッチング素子がオフ状態の時の容量値/2から成る容量との縦続回路の伝送行列Wの要素をW11=A2,W12=B2,W21=C2,W22=D2とするとき、前記調整伝送線路を構成する各線路の線路インピーダンスと長さを、A2=0,B2=jZ,C2=j/Z,D2=0を満たすように設定することを特徴とする高周波スイッチ回路。
  11. 高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、
    前記スイッチング素子がオフ状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、前記スイッチング素子がオン状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端から前記スイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、前記スイッチング素子の両側にインピーダンス整合回路を設け、
    前記インピーダンス整合回路は、前記スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、反射係数を調整するための少なくとも2以上の線路インピーダンスの異なる線路の直列接続から成る第1の調整伝送線路と、前記スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、反射係数を調整するための少なくとも2以上の線路インピーダンスの異なる線路の直列接続から成る第2の調整伝送線路とから成り、
    前記第1及び第2の調整伝送線路は、共に、長さの等しい2つの線路から成り、その線路インピーダンスZa、Zbは、Za=Z(1-ωCZ)1/2、Zb=Z/(1-ωCZ)1/2、長さLは、L=λ/[2π(2-ωCZ)1/2]、但し、Cはスイッチング素子がオフ状態の時の容量値/2、Zは任意のインピーダンスであることを特徴とする高周波スイッチ回路。
  12. 前記スイッチング素子は、第3の調整伝送線路と、その第3の調整伝送線路の両側に配置された第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とから成るπ型回路で構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の高周波スイッチ回路。
  13. 前記第3の調整伝送線路は、前記第1スイッチング素子のオフ状態の時の静電容量をCa+Cb、前記第2スイッチング素子のオフ状態の時の静電容量をCbとするとき、静電容量Cb、前記第3の調整伝送線路、静電容量Cbで構成される対称π型回路の入力端、出力端においてインピーダンス整合するように、前記第3の調整伝送線路の長さが決定されていることを特徴とする請求項12に記載の高周波スイッチ回路。
  14. 前記第1スイッチング素子のオフ状態の時の静電容量をCa+Cb、前記第2スイッチング素子のオフ状態の時の静電容量をCbとするとき、静電容量Cb、前記第3の調整伝送線路、静電容量Cbで構成される対称π型回路の入力端、出力端においてインピーダンス整合し、前記第2スイッチング素子がオン状態の時に、前記第1スイッチング素子の接続点から前記第2スイッチング素子側を見たインピーダンスが略無限大とするように、前記第3の調整伝送線路の線路インピーダンスと長さが決定されていることを特徴とする請求項12に記載の高周波スイッチ回路。
  15. 前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子のオフ状態の時の静電容量を共にCbとするとき、静電容量Cb、前記第3の調整伝送線路、静電容量Cbで構成される対称π型回路の入力端、出力端においてインピーダンス整合するように、前記第3の調整伝送線路の長さが決定されていることを特徴とする請求項12に記載の高周波スイッチ回路。
  16. 前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子のオフ状態の時の静電容量を共にCbとするとき、静電容量Cb、前記第3の調整伝送線路、静電容量Cbで構成される対称π型回路の入力端、出力端においてインピーダンス整合し、前記第2スイッチング素子がオン状態の時に、前記第1スイッチング素子の接続点から前記第2スイッチング素子側を見たインピーダンスが略無限大となるように、前記第3の調整伝送線路の線路インピーダンスと長さが決定されていることを特徴とする請求項12に記載の高周波スイッチ回路。
  17. 前記第3の調整伝送線路の長さLは、L=λtan -1(2/ωCbZ)/2π、但し、Zは、特性インピーダンス、ωは角周波数であることを特徴とする請求項13又は請求項15に記載の高周波スイッチ回路。
  18. 前記第3の調整伝送線路の長さLは、L=λcos-1(ZωCb)/2π、線路インピーダンスZcは、Zc=Z/(1-(ZωCb)2)1/2である、但し、Zは前記対称π型回路の容量Cbの接続端から前記インピーダンス整合回路側を見たインピーダンス、Cbは前記第2スイッチング素子のオフ状態の容量値、ωは角周波数であることを特徴とする請求項14又は請求項16に記載の高周波スイッチ回路。
  19. 前記静電容量Caに対して、前記接続端側の前記インピーダンス整合回路の回路定数が決定されていることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の高周波スイッチ回路。
  20. 高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、
    前記スイッチング素子がオフ状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、前記スイッチング素子がオン状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端から前記スイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、前記スイッチング素子の両側にインピーダンス整合回路を設け、
    前記スイッチング素子の静電容量をC a + b とするとき、静電容量C a に対して前記一方のインピーダンス整合回路の回路定数が決定され、静電容量C b に対して前記他方のインピーダンス整合回路の回路定数が決定されており、
    前記インピーダンス整合回路は、前記スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、伝送信号の波長/4の長さを有する第1のλ/4伝送線路と、前記スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、伝送信号の波長/4の長さを有する第2のλ/4伝送線路と、一端に前記スイッチング素子が接続された前記第1のλ/4伝送線路の他端に、線路に直列に挿入された第1の容量素子と、一端に前記スイッチング素子が接続された前記第2のλ/4伝送線路の他端に、線路に直列に挿入された第2の容量素子とからなり、前記第1の容量素子の容量値C1は、C1=1/(ω22a)であり、前記第2の容量素子の容量値C2は、C2=1/(ω22b)である、但し、Zはλ/4伝送線路の線路インピーダンス、ωは角周波数であることを特徴とする高周波スイッチ回路。
  21. 高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、
    前記スイッチング素子がオフ状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、前記スイッチング素子がオン状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端から前記スイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、前記スイッチング素子の両側にインピーダンス整合回路を設け、
    前記スイッチング素子の静電容量をC a + b とするとき、静電容量C a に対して前記一方 のインピーダンス整合回路の回路定数が決定され、静電容量C b に対して前記他方のインピーダンス整合回路の回路定数が決定されており、
    前記インピーダンス整合回路は、前記スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、反射係数を調整する第1の調整伝送線路と、前記スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、反射係数を調整する第2の調整伝送線路と、一端に前記スイッチング素子が接続された前記第1の調整伝送線路の他端と前記グランド間に配設された第1の容量素子と、一端に前記スイッチング素子が接続された前記第2の調整伝送線路の他端と前記グランド間に配設された第2の容量素子とから成り、前記第1の容量素子の容量値をCa、前記第2の容量素子の容量値をCbとすることを特徴とする高周波スイッチ回路。
  22. 前記第1調整伝送線路の長さLaは、La=λcos-1(ZωCa)/2π、線路インピーダンスZaは、Za=Z/(1-(ZωCa)2)1/2であり、前記第2調整伝送線路の長さLbは、Lb=λcos-1(ZωCb)/2π、線路インピーダンスZbは、Zb=Z/(1-(Zω b )2)1/2である、但し、Zは前記接続端に対して前記反対側を見たインピーダンス、ωは角周波数であることを特徴とする請求項21に記載の高周波スイッチ回路。
  23. 高周波伝送線路とグランドとの間にスイッチング素子を配置して、高周波伝送線路上の信号の通過/遮断を制御する高周波スイッチ回路において、
    前記スイッチング素子がオフ状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端においてインピーダンス整合がとれ、前記スイッチング素子がオン状態の時に前記高周波スイッチ回路の接続端から前記スイッチング素子側を見たインピーダンスが接続端から反対側を見たインピーダンスに対して十分に大きくなるように、前記スイッチング素子の両側にインピーダンス整合回路を設け、
    前記スイッチング素子の静電容量をC a + b とするとき、静電容量C a に対して前記一方のインピーダンス整合回路の回路定数が決定され、静電容量C b に対して前記他方のインピーダンス整合回路の回路定数が決定されており、
    前記インピーダンス整合回路は、前記スイッチング素子の配置位置に対して一方側に配置され、反射係数を調整するための長さの等しい2つの線路の直列接続から成る第1の調整伝送線路と、前記スイッチング素子の配置位置に対して他方側に配置され、反射係数を調整するための長さの等しい2つの線路から成る直列接続から成る第2の調整伝送線路とから成り、前記第1の調整回路の線路インピーダンスZ1a、Z1bは、Z1a=Z(1-ωCaZ)1/2、Z1b=Z/(1-ωCaZ)1/2、長さL1は、L1=λ/[2π(2-ωCaZ)1/2]、前記第2の調整回路の線路インピーダンスZ2a、Z2bは、Z2a=Z(1-ωCbZ)1/2、Z2b=Z/(1-ωCbZ)1/2、長さL2は、L2=λ/[2π(2-ωCbZ)1/2]、但し、Zは前記接続端から前記反対側を見たインピーダンスであることを特徴とする高周波スイッチ回路。
  24. 前記高周波スイッチ回路を前記接続端で結合して複数配置して、分岐回路又は結合回路を構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項23のいずれか1項に記載の高周波スイッチ回路。
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