JP3627391B2 - 塩化ビニル重合反応槽における電動撹拌装置停止時の緊急処置方法と緊急処置装置 - Google Patents
塩化ビニル重合反応槽における電動撹拌装置停止時の緊急処置方法と緊急処置装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル系重合体の重合時に撹拌が停止した場合の緊急処置方法および緊急処置装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル重合反応のような特にバッチ式の化学反応槽においては、停電等の原因により攪拌が停止した際には、発生した反応熱が放散されず重合系内部で蓄熱する結果、反応槽系内の温度が急激に上昇しその制御が不能となる。それに伴い反応槽内の圧力が異常に上昇する結果、高圧ガス取締法や労働安全衛生法にて厳しく規制されている塩化ビニルモノマーの漏洩や、塩化ビニル重合体樹脂粉末が大気中に放散されるなどの事態を生じたり、更に稀には反応槽が圧力に耐えきれずに破裂して重大な災害を生じる恐れがある。このような停電事故に対処するため、電源回路を複数にしたり、ディーゼル発電機をバックアップ電源として設置する方法などが採用されている。しかし、これらの方法は設備の建設費が高い上に、電動機や駆動伝達系の故障には対応できず、撹拌停止時の緊急処置法としては万全なものとはいえなかった。また重合反応槽の底部より窒素ガスの如き不活性ガスを吹き込みバブリングすることによって攪拌効果を得ようとする方法もあるが、この場合には該不活性ガスが塩化ビニルモノマーの回収系に混入し回収操作の運転を不安定にするとともに、該不活性ガスを系外に放出する際に塩化ビニルモノマーが少なからず同伴され大気中に放散されてしまうという環境安全上好ましくない欠点を有している。また、電動攪拌が停止した場合に、反応槽を緊急冷却したり、反応槽内の過剰圧力をパージしたりするだけで反応槽内で生じている温度上昇並びに圧力上昇を沈静化できるようにとの目的から、使用する塩化ビニルモノマーや重合開始剤の使用量を減らし単位時間当たりの重合反応熱量自体を低減する方法なども考えられている。しかし、この方法では、塩化ビニル系重合体の生産性が低下し、効率的ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、圧縮ガスを駆動源とし、電動撹拌の停止により反応槽下部に一旦沈降した塩化ビニル系重合体粒子を攪拌により再浮上させるに十分な能力を有するベーン式モーターを使用して重合系を撹拌する装置を具備することによって、停電のみならず、電動機や駆動伝達系の故障等によって通常の攪拌が不可能となった場合にも、重合系に重合反応停止剤を投入した後に該重合反応停止剤を十分に攪拌混合させてその効力を充分に発揮させることができる結果、様々な原因による撹拌停止事故に対応でき、かつ迅速で安全に重合反応を停止させることができることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、塩化ビニル系重合体の製造において、種々の原因による撹拌停止事故に対して迅速で安全に対処できる緊急処置方法と緊急処置装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の構成を有する。
[1]電動で撹拌軸を回転させて撹拌を行う重合反応槽を用いて、塩化ビニル単量体をまたは塩化ビニル単量体とこれと共重合可能な単量体との混合物を重合させ塩化ビニル系重合体を製造する際に、前記撹拌が停止したとき、該重合反応槽内に重合反応停止剤を添加し、圧縮ガスを動力源とするベーン式モーターにより前記撹拌軸を回転させ、前記重合反応停止剤による重合停止反応を効率良く行わせることを特徴とする緊急処置方法。
[2]塩化ビニル単独または塩化ビニルとこれと共重合可能な単量体との混合物を重合させて塩化ビニル系重合体を製造する方法が、懸濁重合法であることを特徴とする前記[1]項に記載の緊急処置方法。
[3](1)電動で撹拌軸を回転させて撹拌を行う重合反応槽の上部に、重合反応停止剤を該重合反応槽内部へ導入する供給部を設け、(2)駆動伝達装置を介して前記撹拌軸と接続されたベーン式モーターと、(3)圧縮ガス供給装置を介して、前記ベーン式モーターの動力源となる圧縮ガスを前記ベーン式モーターに供給する圧縮ガス保管容器とからなる、塩化ビニル系重合体の重合停止反応を効率良く行わせる緊急処置装置。
[4]一方クラッチを駆動伝達装置として含む前記[3]項に記載の塩化ビニル系重合体の重合停止反応を効率良く行わせる緊急処置装置。
【0005】
一般に、塩化ビニル系重合体を重合中に当該重合反応槽の攪拌が停止した場合の重合反応槽内の圧力の上昇速度は、仕込んだ塩化ビニルモノマーの量を一定とすると、使用した重合反応開始剤の種類や量または撹拌が停止した時点での重合反応の活性程度すなわち重合反応の経過時間によって異なる。使用している重合反応槽の耐圧許容能力以内で圧力の異常上昇を停止できれば、反応槽の破裂等の最悪の事態は回避できるが、設備の保全等を含め、安全管理上は、重合反応槽内の圧力上昇が撹拌停止前の平常重合反応時の重合反応槽内圧力プラス2kg/cm2を越えない範囲でこの操作を完了させることが好ましい。塩化ビニルの重合において、特に懸濁重合の場合には、重合反応時の重合反応槽内の撹拌翼の回転数は、重合反応槽の形状やサイズまた攪拌翼の形状などによって適宜選択される。本発明は、これら重合反応槽や撹拌翼の形状などに限定されないが、電動撹拌の停止後、ベーン式モーターで撹拌を行う場合には、重合反応槽内の撹拌翼の回転数は5rpm以上であることが好ましく、ベーン式モーターは始動トルクとして2kg・f・m/rad以上を満たす能力を有することが好ましい。駆動源である圧縮ガスは3〜5kg/cm2Gの圧力を有しており、少なくとも5分間の供給能力を有していることが好ましい。本発明で使用する圧縮ガスとしては、例えば、圧縮空気、圧縮窒素などが例示できる。緊急の際の撹拌の駆動源として、大量の蓄積が困難な電気等のエネルギーではなく、容器等に常時蓄積でき供給安定性に優れた圧縮ガスを使用するところに本発明の優れた着想がある。
重合反応槽の大きさが25〜80m3で攪拌翼がパドル翼の場合、ベーン式モーターで撹拌を行う場合の重合反応槽内の撹拌翼の回転数は少なくとも10〜20rpm、始動トルクとして5〜50kg・f・m/radを満足する能力を有するように、ベーン式モーター、圧縮ガス等の条件を選択、設定するのが好ましい。
【0006】
ベーン式モーターと重合反応槽の撹拌軸とは、設備保守等の理由から、電動モーター等による平常運転時には両者を接続する駆動伝達装置を切り放しておくことが好ましい。この駆動伝達装置の一部に一方クラッチを使用することにより、平常の電動撹拌による重合反応の運転時には、撹拌軸の駆動伝達部分に一方クラッチの爪がかからずに滑って空回りをすることによりベーン式モーターと撹拌軸の駆動伝達装置とは実質的に切り離された状態となっており、電動モーターが停止し、ベーン式モーターを稼働する際には、前記一方クラッチの爪がかかり、ベーン式モーターと撹拌軸が駆動伝達装置で実質的に接続され、ベーン式モーターの駆動力が重合反応槽の撹拌軸に伝達され、ベーン式モーターによる撹拌が行われる。
本発明でいう駆動伝達装置とは、ベーン式モーターの駆動力を反応槽の撹拌軸に伝達させる作用を有する装置であり、一方クラッチや、減速機などを含んでいてもよい。
【0007】
本発明において添加される重合反応停止剤は特に限定されず、例えば2,2−ジ(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルヒドロキシアニソール、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、t−ブチルカテコール、4,4’−チオ−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、トコフェロール、ノルジヒドログアイアレチン酸等のフェノール系化合物;フェニルナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニリンジアミン、4,4’−ビス(ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、セミカルバジド、セミカルバジドの弗化水素酸塩、塩酸塩、硝酸塩、酸性硫酸塩、硝酸塩、塩素酸塩、蟻酸塩、酸性蓚酸塩、酸性マレイン酸塩及びマレイン酸塩、1−アセチルセミカルバジド、1−クロルアセチルセミカルバジド、1−ジクロアセチルセミカルバジド、1−ベンゾイルセミカルバジド、セミカルバゾン等のセミカルバジド誘導体、カルボヒドラジド、チオセミカルバジド及びチオセミカルバゾン等及びこれらの誘導体、チオカルバジド等及びこれらの誘導体等のアミン系化合物;ニトロアニソール、N−ニトロソジフェニルアミン、ニトロアニリン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニュウム塩等のニトロ系化合物;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト等の燐系化合物;スチレン、1,3−ヘキサジエン、メチルスチレン等の不飽和炭化水素系化合物;ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ドデシルメルカプタン、1,3−ジフェニル−2−チオ尿素等のチオ系化合物等が挙げられる。これらは単独または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0008】
本発明でいう重合反応停止剤の供給部とは、重合反応停止剤を一時的または常時保管しておく容器と該重合反応停止剤を該容器から重合反応槽内部へ導入するための供給装置を含む。これらの重合反応停止剤は予め溶剤等に溶解し溶液状態で保管し、使用時には圧縮窒素等を用いて重合反応槽内に圧入するのが好ましい。また、その使用量は仕込み塩化ビニル系単量体100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部未満では重合反応を停止する効果が不十分となり、また10重量部を越えても効果に差はない。前記保管容器は、仕込み塩化ビニル系単量体の重量と、該塩化ビニル系単量体に対する重合反応停止剤の前記使用割合から決定される重合反応停止剤の使用量を充分保管できる容量を有していることが好ましい。
【0009】
本発明の方法は、通常の塩化ビニルの懸濁重合、溶液重合、乳化重合等の各製造方法に適用できるが、効果が大きいのは本発明を懸濁重合に採用した場合である。塩化ビニルの懸濁重合において、その重合反応中に撹拌が停止すると、重合反応熱の放散が行われないことにより反応槽内圧力の異常な上昇をきたすほか、撹拌の停止により、適正な重合懸濁剤と適正な撹拌力とのバランスによって安定に維持されていた懸濁系が不安定となる結果、粒子同士の不均一な結合が生じ粗粒化や塊化などの現象を引き起こす。圧力の異常上昇を無事に沈静化でき最悪の事態を免れたとしても、これらの粗粒化や塊化、あるいはこれが更に進行し反応槽内部で大きな硬い固まりとなり撹拌さえ不能ならしめる「棚掛け」が発生すれば、これを除去する作業は人手に頼らねばならないし、その間の生産は停止せざるを得ず、また反応槽内部は少なからず損傷を受けることから、それに係るメンテナンス等、重合反応槽が大型であればあるほど被るダメージは多大なものとなる。塩化ビニルの懸濁重合において、停電時のみならず、電動機の故障や電動機と撹拌軸とを接続する駆動伝達系の故障時においても、添加する重合反応停止剤の効き目をできる限り迅速に有効に行き渡らせる撹拌を可能ならしめたということは、環境安全上、環境衛生上、設備の保守上、更に安全運転上、寄与する効果は極めて大きいのである。
【0010】
本発明で使用する塩化ビニルで共重合可能な単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸メチル、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等のアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、無水マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン、その他塩化ビニルと共重合可能な単量体が例示できる。
【0011】
その他、重合に使用する重合開始剤、分散剤、重合調整剤、連鎖移動剤、PH調整剤、帯電防止剤等は、従来塩化ビニルの重合に使用されているものでよい。
【0012】
本発明を第1図を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の緊急処置装置は、重合反応停止剤を重合反応槽内に導入するための供給部を該反応槽の上部に有し、撹拌翼を有する撹拌軸を電動で回転させる撹拌装置を有する塩化ビニル重合反応槽と、駆動伝達装置を介して該撹拌軸と接続されたベーン式モーターと、圧縮ガスの供給装置を介して該ベーン式モーターと接続された圧縮ガス保管容器を有する、緊急処置装置であり、更には、撹拌軸とベーン式モーターとが、一方クラッチを含む駆動伝達装置を介して接続されている緊急処置装置である。
【0013】
圧縮ガス保管容器には、3kg/cm2以上で、5kg/cm2以下の圧縮ガスが充填保管されているのが好ましい。該圧縮ガス保管容器の形状や大きさは特に制限されないが、重合反応槽の形状やサイズ、ベーン式モーターの能力等に応じ、少なくとも重合槽内の圧力の異常上昇が、使用している反応槽の耐圧許容範囲を越えない範囲、好ましくは、撹拌停止事故前の平常運転時の重合槽内圧力より2kg/cm2以上高くならないうちに所期の重合反応停止操作の目的を達成できるに十分な圧縮ガスの容量を充填保管できることが好ましい。該圧縮ガスの保管容器は圧縮ガス供給装置によってベーン式モーターと接続されている。
【0014】
例えば、電動機の駆動力はベルトを介して反応槽の撹拌軸に伝達される。攪拌軸とべーン式モーターとを接続する駆動伝達装置には、図1に示すように該撹拌軸と接続している減速機が配されていても良い。例えば、該減速機に一方クラッチが接続されており、更に別の減速機を含む駆動伝達装置を介してベーン式モーターと接続していてもよい。一方クラッチの作用により、平常重合反応時はクラッチが空回りし、重合反応槽の撹拌軸とベーン式モーターとは駆動伝達装置が切り離された状態となる。
【0015】
ベーン式モーターは市販のものを使用できるが、該モーターを使用して反応槽内の撹拌を行う場合に、重合反応槽内の撹拌翼の回転数が5rpm以上であることが好ましく、また始動トルクとして2kg・f・m/rad以上を満足できる能力のものであればよい。重合反応槽の大きさが25〜80m3で攪拌羽根がパドル翼の場合は、ベーン式モーターで撹拌を行う場合の重合反応槽内の撹拌翼の回転数は10〜20rpmが好ましく、始動トルクは5〜50kg・f・m/rad程度を要するため、使用するベーン式モーターは、塩化ビニル重合設備に応じてこれらを満足するような仕様のものを選択すればよい。
【0016】
【実施例】
以下に本発明を、撹拌停止事故を想定して行った実施例に基づいて更に詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0017】
実施例1
図1に示した塩化ビニル重合設備を備えており、ベーン式モーターとして、回転数178rpm、モーター動力が2.2KWの三栄精機製作所製のベーン式モータ−を使用した塩化ビニル重合設備を使用した。使用した重合反応槽は内容積が70m3で攪拌翼がパドルであった。重合温度57℃で塩化ビニルを25,000kg、水を30,000kg、重合懸濁剤としてポリビニルアルコールを前記仕込んだ塩化ビニルに対して400ppm,重合反応開始剤としてt−ブチルパーオキシデカネートを前記と同様に300ppmとクミルパーオキシネオデカノエートを300ppm添加して重合反応を行い、その反応速度がほぼ最大となった重合反応開始後2時間30分を経過した時点で電動機を停止し、その1分後に重合反応停止剤供給部から重合反応停止剤を投入した。攪拌を行わないと重合反応停止剤が迅速に均一に重合系内に行き渡らないため、重合反応槽内の圧力は上昇を続け電動機停止5分後には停止前の圧力8.6kg/cm2Gから9.7kg/cm2Gに上昇した。その時点で圧力を下げる目的で未反応塩化ビニルモノマーの回収及び緊急冷却を実施したが2〜3分間は一旦落ちつくも、その後再び圧力上昇が始まった。電動機停止から10分後に一方クラッチを重合槽の撹拌軸に接続させ、圧縮ガスを圧縮ガス保管容器から供給しベーン式モーターを稼働させ、該駆動力を、減速機と一方クラッチを介して重合槽の撹拌軸に伝達させ撹拌を行ったところ、圧力はその時点の最高到達圧力10.5kg/cm2Gから低下しはじめ重合反応は急速に停止した。
【0018】
実施例2
前記実施例1と同じ操作を電動機停止のタイミングを変えて行った。すなわち、電動機を停止させる時間を重合反応率が80%を過ぎ圧力が低下しはじめて8.1kg/cm2Gに低下した4時間30分経過後とした。その結果、電動機停止5分後には8.6kg/cm2Gに圧力が上昇し、10分後には9.0kg/cm2Gに上昇したが、実施例1の要領でベーン式モーターを用い撹拌を開始するとともに圧力が低下しはじめ実施例1と同様な効果が確認された。この結果、重合反応率がある程度進行し重合槽内の重合系の粘度が高くなっている場合にも、目的とする緊急処置効果を奏することが可能であることが確認できた。
【0019】
実施例では、結果的に電動撹拌停止からベーン式モーターによる撹拌開始まで10分間のタイムラグを生じた例を示しているが、電動撹拌停止による被害を実質的に許容できるものに抑えられる範囲であれば、本発明は特にこのタイムラグの長さに限定されるものではない。しかし、被害を小さく留めるためには、ベーン式モーターによる撹拌を伴う本発明の緊急処置方法は電動撹拌停止後できるだけ速やかに行うことが好ましい。
【0020】
【発明の効果】
本発明を採用することで、停電時だけでなく電動機や駆動伝達系の故障で攪拌が停止した場合にも重合停止の緊急処置を余裕を持って対応できるようになった。重合反応槽が大型化してきている現在、電動撹拌停止による被害の大きさを鑑みれば、その運転管理上のリスクを解消し、環境安全、環境衛生及び設備保守の面で本発明がもたらす効果は極めて大きく意義あるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】平面図
【符号の説明】
1.重合反応槽
2.重合反応停止剤供給装置
3.電動機
4.ベルト
5.一方クラッチ(駆動伝達装置)
6.減速機(駆動伝達装置)
7.減速機(駆動伝達装置)
8.ベーン式モーター
9.圧縮ガス保管容器
10.撹拌軸
11.撹拌翼
12.圧縮ガス供給装置
13.重合反応停止剤保管容器
Claims (4)
- 電動で撹拌軸を回転させて撹拌を行う重合反応槽を用いて、塩化ビニル単量体をまたは塩化ビニル単量体とこれと共重合可能な単量体との混合物を重合させ塩化ビニル系重合体を製造する際に、前記撹拌が停止したとき、該重合反応槽内に重合反応停止剤を添加し、圧縮ガスを動力源とするベーン式モーターにより前記撹拌軸を回転させ、前記重合反応停止剤による重合停止反応を効率良く行わせることを特徴とする緊急処置方法。
- 塩化ビニル単独または塩化ビニルとこれと共重合可能な単量体との混合物を重合させて塩化ビニル系重合体を製造する方法が、懸濁重合法であることを特徴とする請求項1に記載の緊急処置方法。
- (1)電動で撹拌軸を回転させて撹拌を行う重合反応槽の上部に、重合反応停止剤を該重合反応槽内部へ導入する供給部を設け、(2)駆動伝達装置を介して前記撹拌軸と接続されたベーン式モーターと、(3)圧縮ガス供給装置を介して、前記ベーン式モーターの動力源となる圧縮ガスを前記ベーン式モーターに供給する圧縮ガス保管容器とからなる、塩化ビニル系重合体の重合停止反応を効率良く行わせる緊急処置装置。
- 一方クラッチを駆動伝達装置として含む請求項3に記載の塩化ビニル系重合体の重合停止反応を効率良く行わせる緊急処置装置。
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