JP3626559B2 - 光学素子用傾角調整装置 - Google Patents

光学素子用傾角調整装置 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、光学素子の傾きを調整する光学素子用傾角調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、光ディスクを用いた情報書込・読取り装置では、光ディスクの情報記録面に対して、光ピックアップの対物レンズが傾いていると、いわゆるコマ収差が生じて、光ディスクへの情報書込みを高密度で行うことができないという問題があり、また、情報読み取りの際にはノイズの原因となるため、光ディスクの情報記録面に対する対物レンズの傾きが所定の規格内に入るように、調整することが行われている。
【0003】
対物レンズの傾きの調整は、図8に示す光学素子用傾角調整装置1によって行っている。
【0004】
光学素子用傾角調整装置1は、本体2と、この本体2内に設けられた傾角調整管3と、図9に示す傾角調整管3の傾きを調整する4つのマイクロヘッド4A〜4Dと、傾角調整管3の下端部に取り付けられた先端部材5とを備えている。
【0005】
傾角調整管3の上部には固定環6が取り付けられており、傾角調整管3の下部には半球面体状の台座部8が形成されている。この台座部8は本体2の底部2Aに形成した球面状に凹んだ係合部2Bに係合しており、傾角調整管3は係合部2Bの球面の曲率中心を中心にして傾動するようになっている。Sは傾角調整管3の台座部8を本体2の係合部2Bに当接させるスプリングである。
【0006】
固定環6の上にはミラー9が接着剤により固定されており、傾角調整管3の傾動に応じてミラー9の向きも変わる。
【0007】
マイクロヘッド4A〜4Dは、上から見て本体2の軸線2aを中心にして90度づつずれた位置にそれぞれ配置され、マイクロヘッド4Aと4Cが、マイクロヘッド4Bと4Dが対向している。
【0008】
各マイクロヘッド4A〜4Dは、回転操作されるロッド4a〜4dが本体2の周壁2Aから進退するようになっており、各ロッド4a〜4dの先端部が固定環6に当接している。そして、相対向するロッド(4a,4c),(4b,4d)の進退により傾角調整管3を上からみて360度の任意の方向へ傾動させていくものである。この傾角調整管3の傾動により、先端部材5を介して対物レンズ10の傾きが調整される。なお、対物レンズ10は図示しない光ピックアップのホルダー(図示せず)に保持されており、対物レンズ10の環状平面部10Aに先端部材5の爪5Aが当接している。
【0009】
11はレーザ光源であり、このレーザ光源11から射出される検出光Pはミラー12を介してミラー9を照射し、このミラー9で反射した検出光がミラー14を介してCCDカメラ15に受光される。このCCDカメラ15が受光する検出光Pの受光位置と傾角調整管3の傾きとが対応する。
【0010】
そして、CCDカメラ15が受光する検出光Pの受光位置をモニタ(図示せず)で見ながら、その受光位置が所定位置へ移動するように各マイクロヘッド4A〜4Dを操作して対物レンズ10の傾きを調整するものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような光学素子用傾角調整装置1にあっては、4つのマイクロヘッド4A〜4Dを使用して対物レンズ10の傾きを調整するものであるから、常に相対向するマイクロヘッド(4A,4C),(4B,4D)のロッド(4a,4c),(4b,4d)の先端部の位置関係を操作しなければならず、その操作が非常に難しく、熟練を要するという問題があった。
【0012】
この発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、操作が簡単で熟練を要することなく光学素子の傾き角の調整を高精度に行うことのできる光学素子用傾角調整装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明では、下面に球面状に凹んだ係合部を形成し且つ前記下面から上面まで貫通した孔を有する本体と、
前記係合部の曲率中心を中心にして傾動可能に前記孔内に配置されるとともに下部に前記係合部に係合する半球面状の台座部を有し、且つ、光学ホルダーに保持された光学素子を傾けるための傾角調整部材と、
この傾角調整部材の上部に取り付けられた固定環と、
前記傾角調整部材を上方に付勢して前記台座部を係合部材に当接させる第1スプリングと、
前記傾角調整部材が前記曲率中心を中心にして傾動することにより向きが変わるとともに、前記光学素子の傾角を検出するために照射される検出光を反射させる反射面とを備え、この反射面で反射した検出光の到達位置を見ながら前記傾角調整部材を傾動させて前記光学素子の傾きを調整する光学素子用傾角調整装置であって、
前記傾角調整部材を前記本体に対して所定方向へ傾動するように付勢する第2スプリングと、
前記孔の中心に向かって進退可能に前記本体に設けられ且つ前記固定環に当接することにより、前記第2スプリングの付勢力に抗して前記傾角調整部材を支え、前記進退の調整により傾角調整部材を傾動させる一対の傾動部材とを備え、
前記第2スプリングの一端を前記本体に固定するとともにこの第2スプリングを前記固定環に巻回させて折り返し、この第2スプリングの他端を前記本体に固定し、
前記第2スプリングの折り返しにより前記所定方向へ付勢力が作用する前記固定環の2つの作用点と、前記一対の傾動部材が当接する前記固定環の2点の計4点で前記傾角調整部材を支持することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係わる光学素子用傾角調整装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1において、20は光ピックアップであり、この光ピックアップ20は、図2に示すようにレンズホルダー22と、このレンズホルダー(光学ホルダー)22に載置された対物レンズ(光学素子)23とを有している。
【0016】
30は対物レンズ23の傾きを調整する調整装置であり、この調整装置30は、光学素子用傾角調整機構部40と、この光学素子用傾角調整機構部40をX,Z方向へ移動させる装置本体31と、検出光であるレーザ光を射出するレーザ光源32(図4参照)と、検出光の反射光を受光するCCDカメラ33と、反射光の受光位置(到達位置)をモニタする図示しないモニタ等とを備えている。
【0017】
光学素子用傾角調整機構部40は、装置本体31から突出したロッド36の先端部に設けられている。ロッド36は装置本体31内に設けた図示しない移動機構により進退(X方向)し、さらに上下方向(Z方向)に移動するようになっている。
【0018】
また、光学素子用傾角調整機構部40は、図3ないし図5に示すように、上面に円形の孔41が形成された本体42と、本体42内に設けられた筒状の傾角調整管(傾角調整部材)43と、この傾角調整管43の傾きを調整する2つのマイクロヘッド(傾動部材)44A,44Bと、傾角調整管43の下端部にネジによって固定された先端部材(当接部材)45とを備えている。70は傾角調整管43の上部に固定されたミラーである。
【0019】
マイクロヘッド44A,44Bは、後述するスプリング51の付勢方向Rを挟むように本体42に取り付けられている。
【0020】
本体42の底部42Aの下面には、球面状に凹んだ係合部47が形成され、この係合部47の中央部に孔41に連通した孔48が形成されている。また、本体42の側壁42Bを挟む位置の側壁42C,42Cにはマイクロヘッド44A,44Bを取り付ける貫通孔49,49が形成され、この貫通孔49,49にはマイクロヘッド44A,44Bの固定部44Kが嵌入固定され、ロッド44a,44bが貫通孔49,49から孔41へ突出している。
【0021】
ロッド44aと44bとのなす角度は90度に設定され、その間の2等分線と付勢方向Rとが一致されている。ロッド44a,44bはマイクロヘッド44A,44Bの回転操作によって貫通孔49,49から進退する。
【0022】
また、本体42の側壁42Bには、スプリング51を通した孔53,53が設けられており、スプリング51の両端部はピン54,54によって孔53,53に固定されている。
【0023】
傾角調整管43は、本体42の孔41内に配置されるとともに、下部が本体42の孔48を貫通してその下部に半球面体状の台座部56を設けている。この台座部56が本体42の底部42Aの係合部47に係合している。傾角調整管43の上部には固定環60が螺合しており、この固定環60と本体42の底部42Aとの間にスプリング58が介在されている。このスプリング58の付勢力により傾角調整管43の台座部56が係合部47に常に当接しており、傾角調整管43が係合部47の曲率中心を中心にして傾動可能となっている。
【0024】
固定環60には外周面に沿って環状溝61が設けられており、この環状溝61にはスプリング51の折返し部が巻回していて、傾角調整管43を矢印R方向へ傾動させるように付勢している。このスプリング51の付勢力によりマイクロヘッド44A,44Bのロッド44a,44bの先端部が固定管60に常に当接するようになっており、このロッド44a,44bによって傾角調整管43をスプリング51の付勢力に抗して支えている。
【0025】
換言すれば、スプリング51のスプリング部51Aが固定管60の作用点60Aを支えるとともにこの作用点60Aを矢印Rと平行な方向へ付勢し、スプリング部51Bが固定管60の作用点60Bを支えるとともにこの作用点60Bを矢印Rと平行な方向へ付勢している。つまり、傾角調整管43をスプリング部51A,51Bの作用点60A,60Bと、マイクロヘッド44A,44Bのロッド44a,44bの先端部との4点で支持している。
【0026】
そして、マイクロヘッド44A,44Bの回転操作によってロッド44a,44bを進退させることにより傾角調整管43を360度の任意の方向(図5において)へ傾動させることができる。
【0027】
先端部材45は、図6および図7に示すように、円板63と、この円板63の中央部に形成された孔64の周囲に設けた4つの爪65とを備えており、爪65は斜め下方に且つ中心に向けて延びていて爪65の先端部が対物レンズ23の環状平面部24の上面に当接して対物レンズ23を上から押さえつけている(図2および図4参照)。
【0028】
レーザ光源32から射出されるレーザ光(検出光P)は、ミラーM1によって傾角調整管43の上部に固定されたミラー70へ案内されるようになっている。ミラー70へ案内された検出光Pは、ミラー70で反射してミラーM2を介してCCDカメラ33に案内され、CCDカメラ33が検出光Pを受光する。検出光Pの受光位置はモニタに表示され、この受光位置を見ながらこの受光位置が所定位置へ移動するように、マイクロヘッド44A,44Bを操作して対物レンズ23の傾きを調整する。
【0029】
このように、マイクロヘッド44A,44Bのロッド44a,44bが傾角調整管43をスプリング51の付勢力に抗して支えており、しかも、傾角調整管43をスプリング部51A,51Bの作用点60A,60Bと、マイクロヘッド44A,44Bのロッド44a,44bの先端部との4点で支持しているので、マイクロヘッド44A,44Bを回転操作するだけで、傾角調整管43を360度の任意の方向へ傾動させることができる。すなわち、2つのマイクロヘッド44A,44Bを操作すればよいので、その操作は至って簡単なものとなる。このため、熟練を要せずに、対物レンズ23の傾きの調整作業を高精度に、しかも短時間で行うことができる。
【0030】
上記実施形態では、1つのスプリング51で傾角調整管43を付勢しているが、
2つのスプリングを使用して傾角調整管43を付勢してもよい。この場合、マイクロヘッド44A,44Bに対向する位置にスプリングをそれぞれ設け、これらスプリングが対向するマイクロヘッド44A,44Bに向けて傾角調整管43を付勢するようにしてもよい。この場合、マイクロヘッド44Aとスプリングを結ぶ線と、マイクロヘッド44Bとスプリングを結ぶ線とが直交することになる。
【0031】
【発明の効果】
この発明によれば、熟練を要せずに光学素子の傾き角の調整作業を高精度に、しかも短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る調整装置の主要部を示した斜視図である。
【図2】レンズホルダーに載置された対物レンズの状態を示した説明図である。
【図3】光学素子用傾角調整機構部の構成を示した分解斜視図である。
【図4】光学素子用傾角調整機構部の構成を示した断面図である。
【図5】光学素子用傾角調整機構部を示した平面図である。
【図6】先端部材を示した平面図である。
【図7】図6の先端部材の断面図である。
【図8】従来の光学素子用傾角調整装置の構成を示した断面図である。
【図9】従来の光学素子用傾角調整装置の構成を示した分解斜視図である。
【符号の説明】
22 レンズホルダー(光学ホルダー)
23 対物レンズ(光学素子)
42 本体
43 傾角調整管(傾角調整部材)
44A マイクロへッド(傾動部材)
44B マイクロへッド(傾動部材)
51 スプリング(付勢部材)
63 反射面

Claims (3)

  1. 下面に球面状に凹んだ係合部を形成し且つ前記下面から上面まで貫通した孔を有する本体と、
    前記係合部の曲率中心を中心にして傾動可能に前記孔内に配置されるとともに下部に前記係合部に係合する半球面状の台座部を有し、且つ、光学ホルダーに保持された光学素子を傾けるための傾角調整部材と、
    この傾角調整部材の上部に取り付けられた固定環と、
    前記傾角調整部材を上方に付勢して前記台座部を係合部材に当接させる第1スプリングと、
    前記傾角調整部材が前記曲率中心を中心にして傾動することにより向きが変わるとともに、前記光学素子の傾角を検出するために照射される検出光を反射させる反射面とを備え、この反射面で反射した検出光の到達位置を見ながら前記傾角調整部材を傾動させて前記光学素子の傾きを調整する光学素子用傾角調整装置であって、
    前記傾角調整部材を前記本体に対して所定方向へ傾動するように付勢する第2スプリングと、
    前記孔の中心に向かって進退可能に前記本体に設けられ且つ前記固定環に当接することにより、前記第2スプリングの付勢力に抗して前記傾角調整部材を支え、前記進退の調整により傾角調整部材を傾動させる一対の傾動部材とを備え、
    前記第2スプリングの一端を前記本体に固定するとともにこの第2スプリングを前記固定環に巻回させて折り返し、この第2スプリングの他端を前記本体に固定し、
    前記第2スプリングの折り返しにより前記所定方向へ付勢力が作用する前記固定環の2つの作用点と、前記一対の傾動部材が当接する前記固定環の2点の計4点で前記傾角調整部材を支持することを特徴とする光学素子用傾角調整装置。
  2. 前記一対の傾動部材は、一対のマイクロヘッドであることを特徴とする請求項1に記載の光学素子用傾角調整装置。
  3. 前記一対のマイクロヘッドは、互いになす角度が90度であることを特徴とする請求項2に記載の光学素子用傾角調整装置。
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