JP3626537B2 - 油圧アクチュエータの制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は油圧ショベル等の油圧作業機械における油圧アクチュエータの作動を制御する油圧アクチュエータの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の制御装置として、図4に示す構成のものが一般的である。これを簡単に説明する。なお、図では、油圧アクチュエータとして油圧シリンダを示し、かつ、説明を判り易くするためにシリンダの伸長作動のみを制御する場合を示している。
【0003】
1はエンジン、2はこのエンジン1によって駆動される油圧ポンプで、この油圧ポンプ2と油圧シリンダ3との間に、同シリンダ3の作動方向と速度を制御するコントロールバルブ(図では内部通路のみを模式的に示している)4が設けられている。5はリリーフ弁である。
【0004】
コントロールバルブ4には、ポンプ回路とシリンダ3のヘッド側油室3aとを連通させるメータイン通路4aと、シリンダ3のロッド側油室3bとタンクTとを連通させるタンク通路4bと、ポンプ回路をタンクTに連通させるブリードオフ通路4cとが設けられ、図示しないリモコン弁の操作によりメータイン通路4aとブリードオフ通路4aの開口面積(油の通過流量)を同時に、かつ互いに反対方向に変化させてポンプ吐出圧を制御する。
【0005】
すなわち、コントロールバルブ4がシリンダ作動方向に操作されると、メータイン通路4aの開口面積が増加してメータイン流量(シリンダ3への供給流量)が増加する一方、油のタンクTへの逃げ道であるブリードオフ通路4cの開口面積が減少してブリードオフ流量が減少し、シリンダ3が伸長作動する。
【0006】
また、作業中、負荷の変動によってシリンダ3のヘッド側圧力が変化すると、同シリンダ3への流入流量が変化し、これによってブリードオフ流量が変化するため、ポンプ圧が変化する。たとえば、負荷が増加してシリンダヘッド側圧力が増加すると、シリンダ流入流量が減少し、その分、ブリードオフ流量が増加してブリードオフ通路4cの入口圧力が高くなり、ポンプ吐出圧も上昇する。
【0007】
こうして、負荷変動に応じてポンプ圧を制御し、シリンダ3の作動を保つ。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
シリンダ3の速度制御は、通常、コントロールバルブ4の操作量を加減することによって行われるが、低速微操作を行う場合等、シリンダ3の最高速度を低くしたい場合には、エンジンの回転速度を低下させてポンプ吐出流量を減少させるという操作が行われる。
【0009】
ところが、この場合、従来の制御装置によると、図5に示すようにコントロールバルブ4の全操作範囲Sのうち、同バルブ操作に対してシリンダ流量(シリンダ速度)が変化する区間である可操作域S1が狭くなり、バルブ操作に対してシリンダ速度が変化しない不感帯S2が広くなるため、操作性が悪く、制御が不正確になり易いという欠点があった。
【0010】
そこで本発明は、コントロールバルブの可操作域をポンプ吐出流量の変化にかかわらずほぼ一定に保つことができる油圧アクチュエータの制御装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、エンジンによって駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプからの圧油によって駆動される油圧アクチュエータとの間に、同アクチュエータの作動を制御するコントロールバルブが設けられ、このコントロールバルブは、作動位置方向への所定の操作範囲で開口してポンプ回路をタンクに連通させるブリードオフ通路を備えた油圧アクチュエータの制御装置において、ポンプ回路に、アクチュエータに対する供給流量を制御する流量制御弁が設けられ、かつ、上記コントロールバルブの操作量を検出するバルブ操作量検出手段と、上記エンジンの回転速度によって決まる油圧ポンプの吐出流量を検出するポンプ流量検出手段と、この両検出手段によって検出されるバルブ操作量およびポンプ吐出流量に基づいて上記流量制御弁に対する指令流量を演算し出力する制御手段とを具備し、この制御手段は、バルブ操作量に対する上記流量制御弁の通過流量の変化の度合いである流量ゲインがポンプ吐出流量が少ないほど小さくなるようにポンプ吐出流量に応じて上記流量制御弁に対する指令流量を求めるとともに、上記コントロールバルブの全操作範囲のうち上記ブリードオフ通路が開口する操作域では流量制御弁の流量ゲインを一定に保つように構成されたものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、ポンプ流量検出手段として、エンジンの回転速度を検出する速度センサが用いられたものである。
【0013】
【作用】
上記構成によると、ポンプ吐出流量に応じて流量制御弁の流量ゲインが変化し、エンジン回転速度の低下によってポンプ吐出量が少なくなるほど流量制御弁の流量ゲインが小さくなって、バルブ操作量に対するアクチュエータ流量の変化の度合いが緩やかになる。
【0014】
これにより、ポンプ吐出流量の変化にかかわらず可操作域をほぼ一定に保つことができる。
【0015】
この場合、請求項2の構成によると、速度センサによりエンジンの回転速度を通じてポンプ吐出流量を検出するため、ポンプ吐出流量を流量計によって直接検出する場合と比較して、センサが簡易ですみ、コストが安くてすむ。
【0016】
ところで、図4に示す従来装置を含めて、ブリードオフ通路を備えたコントロールバルブによってアクチュエータを制御する構成をとる場合、ブリードオフ通路が開いた操作域では、負荷の変動によってアクチュエータ流量およびブリードオフ流量が変動する。
【0017】
すなわち、負荷が増加するとアクチュエータ流量が減少し、ブリードオフ流量が増加する。
【0018】
このため、ブリードオフ通路が開いた状態で、上記のように少流量域で流量ゲインを小さくすると、アクチュエータ流量が不足し、アクチュエータの作動が困難または不能となるという弊害が生じるおそれがある。
【0019】
この点、上記構成によると、ブリードオフ通路が開いた状態では、ポンプ吐出流量の変化に関係なく流量ゲインが一定に保たれるため、いいかえればポンプ吐出流量が少ない状態でも多い状態と同じゲインで圧油が供給されるため、アクチュエータ流量が不足するという事態が起こりにくくなる。
【0020】
【実施例】
本発明の実施例を図1〜図3によって説明する。
【0021】
なお、図1において図4と同一部分には同一符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0022】
図1において、6はコントロールバルブ4にパイロット圧を供給して同バルブ4を切換わり作動させるリモコン弁で、このリモコン弁6のパイロット圧(コントロールバルブ6の操作量、以下、バルブ操作量という)が圧力センサ7によって検出される。
【0023】
8はレバー操作によってエンジン1の回転速度を設定する速度設定器で、この設定されるエンジン1の回転速度(間接的にはポンプ吐出流量)が速度センサ9によって検出され、この検出されたエンジン回転速度およびバルブ操作量がコントローラ10に入力される。
【0024】
一方、エンジン1によって駆動される油圧ポンプ2とコントロールバルブ6との間に、シリンダ3に対する圧油供給量を制御する電磁比例式の流量制御弁11が設けられ、この流量制御弁11の開度、すなわち通過流量(以下、制御弁通過流量という)がコントローラ10からの制御信号iによって大小制御される。
【0025】
図2はコントロールバルブ4の操作量と、同バルブ4のメータイン、タンク、ブリードオフ各通路4a,4b,4cの開口面積との関係を示し、ブリードオフ通路4cは全バルブ操作量のうち0から作動位置方向への所定の操作域(以下、ブリードオフ操作域という)Sbでのみ開口し、このブリードオフ操作域Sbで、前記したような負荷の変動に応じたポンプ圧制御作用が行われる。
【0026】
コントローラ10は、流量ゲイン演算部12と出力部13とから成っている。
【0027】
流量ゲイン演算部12は、検出されたバルブ操作量とエンジン回転速度とに基づき、バルブ操作量に対するシリンダ流量の変化の度合いである流量ゲインがエンジン回転速度に応じて変化するように流量制御弁11に対する指令流量を演算し、これが制御信号iとして出力部13から流量制御弁11に出力される。
【0028】
すなわち、図3に示すように、エンジン1の回転速度を低速域と中速域と高速域とに分け、ポンプ吐出流量が少なくなる低速域で流量ゲインを最小とする。
【0029】
こうすれば、低速域(少流量域)で、バルブ操作量に対するシリンダ流量の変化の度合いが緩やかとなり、それだけ広いバルブ操作範囲でシリンダ流量を変化させることができる。
【0030】
従って、シリンダ3の最高速度を低くするためにエンジン回転速度(ポンプ吐出流量)を落す操作が行われた場合に、図3と図5の対比で明らかなように流量ゲインが一定の従来装置と比較してコントロールバルブ4の可操作域S1を、中速域および高速域とほぼ同じ広さに保つことができる。いいかえれば、可操作域S1をポンプ吐出流量の変化にかかわらずほぼ一定に保つことができる。
【0031】
この場合、コントロールバルブ4のブリードオフ通路4cが開いたブリードオフ操作域Sbでも低速域で流量ゲインを小さくすると、とくに負荷の増加時にシリンダ流量が不足し、シリンダ3の作動が困難または不能となるおそれが生じる。
【0032】
そこで、ブリードオフ操作域Sbではエンジン回転速度の変化に関係なく流量ゲインを一定とする。
【0033】
これにより、低速域でも中、高速域と同じゲインでシリンダ3に油が供給されるため、シリンダ流量が不足する事態が起こり難くなる。
【0034】
他の実施例
(1)上記実施例では、速度センサ9によってエンジン1の回転速度を検出するようにしたが、速度設定器8からエンジン1に出力される速度設定信号を検出してもよい。
【0035】
(2)このようにエンジン1の回転速度を通じてポンプ吐出流量を間接的に検出するのではなく、ポンプ吐出流量を流量計によって直接検出してもよい。ただし、センサとしてはエンジン1の回転速度を検出する方が簡易ですみ、コストが安くてすむ。
【0036】
(3)上記実施例では、リモコン弁6からコントロールバルブ4に送られるパイロット圧をバルブ操作量として検出する構成としたが、リモコン弁6のレバー操作量、またはコントロールバルブ4の実際の作動ストロークを検出してもよい。
【0037】
(4)上記実施例では制御対象である油圧アクチュエータとして油圧シリンダ3を例にとったが、本発明は油圧モータについても上記同様に適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
上記のように本発明によるときは、コントロールバルブの操作量とポンプ吐出流量とに応じてアクチュエータに対する供給流量を制御する流量制御弁を設け、制御手段により、この流量制御弁の流量ゲインを、エンジン回転速度の低下によってポンプ吐出流量が少なくなるほど小さくする構成としたから、この少流量域でコントロールバルブの操作量に対するアクチュエータ流量の変化の度合いが緩やかになる。
【0039】
これにより、可操作域をポンプ吐出流量の変化にかかわらずほぼ一定に保つことができるため、操作性が良くなり、正確な制御を行うことができる。
【0040】
この場合、コントロールバルブにブリードオフ通路が設けられた制御装置において、ブリードオフ通路が開いた状態では、ポンプ吐出流量の変化に関係なく流量ゲインを一定に保ち、ポンプ吐出流量が少ない状態でも多い状態と同じゲインで圧油が供給されるように構成したから、少流量域で流量ゲインを小さくすることによる弊害であるアクチュエータ 流量が不足するという事態が起こり難くなる。
【0041】
また、請求項2の発明によると、速度センサによりエンジンの回転速度を通じてポンプ吐出流量を検出するため、ポンプ吐出流量を流量計によって直接検出する場合と比較して、センサが簡易ですみ、コストが安くてすむ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる制御装置の油圧回路を含む全体構成図である。
【図2】同装置に使用されるコントロールバルブの操作量と各内部通路の開口面積の関係を示す図である。
【図3】同バルブ操作量とシリンダ流量の関係を示す図である。
【図4】従来装置を示す全体構成図である。
【図5】同装置におけるバルブ操作量とシリンダ流量の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 油圧ポンプ
3 油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ
4 コントロールバルブ
4c 同バルブのブリードオフ通路
7 バルブ操作量検出手段としての圧力センサ
9 エンジンの回転速度を検出する速度センサ
10 制御手段としてのコントローラ
12 コントローラの流量ゲイン演算部
13 同出力部
11 流量制御弁
Claims (2)
- エンジンによって駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプからの圧油によって駆動される油圧アクチュエータとの間に、同アクチュエータの作動を制御するコントロールバルブが設けられ、このコントロールバルブは、作動位置方向への所定の操作範囲で開口してポンプ回路をタンクに連通させるブリードオフ通路を備えた油圧アクチュエータの制御装置において、ポンプ回路に、アクチュエータに対する供給流量を制御する流量制御弁が設けられ、かつ、上記コントロールバルブの操作量を検出するバルブ操作量検出手段と、上記エンジンの回転速度によって決まる油圧ポンプの吐出流量を検出するポンプ流量検出手段と、この両検出手段によって検出されるバルブ操作量およびポンプ吐出流量に基づいて上記流量制御弁に対する指令流量を演算し出力する制御手段とを具備し、この制御手段は、バルブ操作量に対する上記流量制御弁の通過流量の変化の度合いである流量ゲインがポンプ吐出流量が少ないほど小さくなるようにポンプ吐出流量に応じて上記流量制御弁に対する指令流量を求めるとともに、上記コントロールバルブの全操作範囲のうち上記ブリードオフ通路が開口する操作域では流量制御弁の流量ゲインを一定に保つように構成されたことを特徴とする油圧アクチュエータの制御装置。
- ポンプ流量検出手段として、エンジンの回転速度を検出する速度センサが用いられたことを特徴とする請求項1記載の油圧アクチュエータの制御装置。
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1995
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