JP3626361B2 - 2サイクルエンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2サイクルエンジン、詳細には、掃気通路を改良した反転掃気式2サイクルエンジンの構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より知られるこの種の反転掃気式2サイクルエンジンでは、混合気が、気化器から吸気ポートを介してクランクケース内に送り込まれ、クランクケース内で上方のピストンが下降することに伴う圧縮力を与えられてから、クランクケースとシリンダの壁面内に設けられた通路を通して、掃気ガスとしてシリンダの掃気ポートよりシリンダ内へ送り込まれる。
【0003】
掃気ガスをシリンダ内へ送り込む掃気ポートは、その口の開く方向がシリンダ内における排気ポートと反対側の壁面の方向に向けられている。そのため前記掃気ポートからシリンダ内へ送り込まれた掃気ガスは、前記排気ポートと反対側の壁面に沿ってループ状に上昇しながらシリンダヘッドの方向へ導かれ、ピストンの上昇により圧縮されたところで点火される。
【0004】
掃気ガスの燃焼によりピストンが下降すると、排気ガスは排気ポートからシリンダ外へ排出されるが、そのとき掃気ポートからシリンダ内へ次の新しい掃気ガスが送り込まれるため、シリンダ内に完全に排出しきれずに残っていた排気ガスの一部は排気ポートからシリンダ外へ排出される。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
この反転掃気式2サイクルエンジンでは、掃気ポートからシリンダ内へ送り込まれた掃気ガスを、排気ポートと反対側の壁面に沿ってシリンダヘッドの方向へループ状に上昇させて、掃気作用を行うことができるという利点をもつ反面、掃気ガスが掃気ポートからシリンダ内に送り込まれた直後に未燃状態のまま排気ポートから直接外部へ漏出してしまうことがあり、この未燃状態のガスはハイドロカーボン(HC)であるため公害の原因となっている。
【0006】
さらに、従来のこの種のエンジンでは、掃気ガスの流れに適切な方向性を与えるために、シリンダを形成する壁面の内部に下方のクランクケース側掃気通路と通ずる垂直なシリンダ側掃気通路を穿設すると共に、この垂直なシリンダ側掃気通路の上端に掃気ポートを、シリンダ内における排気ポートとは反対側方向へ開口するような向きに設ける構造となっているので、シリンダに設ける掃気通路及び掃気ポートの形状や製造工程が複雑となり、シリンダを低圧鋳造により成形しなければならないので、ダイキャストに比較して生産性が低くコスト高になるという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような従来における2サイクルエンジンの課題に鑑み、シリンダに設ける掃気通路の構成を簡潔にすることで、濃度の高い掃気ガスをシリンダに設けた掃気通路を通してシリンダ内へ無駄なく供給でき、出力の向上を期待できると共に、シリンダの製造をコストの高い低圧鋳造によることなくダイキャストにより低廉、かつ能率的に行えるようにした2サイクルエンジンの提供を目的とするものである。
【0008】
本発明の概要は、シリンダ内に掃気ガスを供給するための掃気ポートとして、排気ポートから離れた位置の主掃気ポートと排気ポートに近い位置の副掃気ポートと備える2サイクルエンジンにおいて、上端に排気ポートから離れた側の主掃気ポートを備えるシリンダの内周面下側から上方に到る長さのシリンダ側掃気通路を、シリンダ内周面を凹設したピストン外周面との間にシリンダ壁を有さない垂直な凹溝により形成し、ピストンが上死点に達したときにピストンの下方の前記シリンダ側掃気通路がシリンダ内に露呈されることを特徴とする。
【0009】
請求項1の発明は、そのための具体的手段として、上端に主掃気ポート及び副掃気ポートを備えるシリンダの内周面下側から上方に到る長さのシリンダ側掃気通路が、シリンダ内周面を凹設したピストン外周面との間にシリンダ壁を有さない垂直な凹溝により形成されていて、
かつ、前記シリンダ側掃気通路が、該通路の長さ方向に沿った中央に隔壁を設けることにより、上端に排気ポートから離れた側の主掃気ポートを備える前部掃気通路と、上端に排気ポートに近い側の副掃気ポートを備える後部掃気通路とから構成され、
前部掃気通路がシリンダ内周面を凹設したピストン外周面との間にシリンダ壁を有さない垂直な凹溝により形成され、後部掃気通路は開口部がシリンダ壁により閉塞されていることを特徴とする2サイクルエンジン。
【0010】
請求項2の発明は、後部掃気通路を閉塞するシリンダ壁が、該掃気通路を形成する凹溝の開口部に設けられた金属もしくは耐熱性合成樹脂の板からなっていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、後部掃気通路を閉塞するシリンダ壁が、クランクケースの上端面におけるピストン挿通孔内周面から上方へ突出した金属もしくは耐熱性合成樹脂の板からなっていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、クランクケース上端部におけるピストン挿通孔内周面の内径をシリンダの内径より大きくすると共に、クランクケース上端面に前記ピストン挿通孔内周面からシリンダ側掃気通路に通ずる切欠き溝を設けて、下降したピストンの外周面とピストン挿通孔内周面の間を通してクランクケース内の混合気の一部を上方のシリンダ側掃気通路へ供給するための流路を備えていることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項5の発明は、クランクケース内の混合気の一部を上方のシリンダ側掃気通路へ供給するための流路として、クランクケース上端部のシリンダ内径より大きいピストン挿通孔内周面からクランクケース上端面の切欠き溝を経てシリンダ側掃気通路に通ずる流路と、クランクケースの一部から該クランクケースの側壁内に設けたクランクケース側掃気通路を経てシリンダ側掃気通路に通ずる流路とを備えていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る2サイクルエンジンの構成を、図面に示す実施例について説明すると、このエンジンは、図1に示すように、シリンダ1に混合気を吸入する吸気ポート3と、燃料ガスを排出する排気ポート4とを有し、ピストン2が上昇した段階で吸気ポート3からシリンダ1内へ導入された混合気は、クランクケース7の室6内へ送り込まれて、下降するピストン2によってクランクケース室6内で圧縮される。
【0015】
クランクケース7には、一方の側壁面内にクランク室6の底部から上方に延びる縦向きの細長いクランクケース側掃気通路8が設けられていると共に、クランクケース7の上端面には前記クランクケース側掃気通路8の上端と接続する水平の掃気通路9が設けられている。
【0016】
一方、クランクケース7の上端に接続されるシリンダ1には、図4乃至図7に示すように、クランクケース7の前記水平の掃気通路9と通ずる位置からシリンダ1内の上方に設けられる掃気ポート5の位置まで垂直に延びるように、該シリンダ1の内周面に沿って設けられたシリンダ側掃気通路10を有している。
【0017】
なお、クランクケース7の側壁面内に設けられる前記クランクケース側掃気通路8は、図3に示すように、クランクケース7を構成する一対の対称的なケース部材7a,7bの縦方向に沿った接合面に、クランク室6の底部から上方へ延びるように設けた対称的な一対の凹溝8a,8bによって形成されている。
【0018】
また、クランクケース7の上端面には前記クランクケース側掃気通路8の上端と接続する前記水平の掃気通路9が設けられており、この水平掃気通路9は、図3及び図7に示すように、シリンダ1の下端面と接合するクランクケース7の上端面に、クランクケース7の両側方向へ分岐するように設けられた一対の凹溝からなっている。
【0019】
前記水平掃気通路9の先端は、図3に示すように、シリンダ1の吸気ポート3と排気ポート4とを結ぶ中心線A−Aとシリンダ1の中心点で直角に交差するB−B線の上にまで、前記中心線A−Aとほぼ平行な向きに水平に延びていて、これらの水平掃気通路9の先端部に、図3、図5乃至図7に示すようなシリンダ1の内周面に沿って上方へ垂直に延びる前記シリンダ側掃気通路10の下端を形成する通路底部11が設けられており、この通路底部11の断面積は、前記水平掃気通路9の断面積よりも約10倍程度大きくなっている。
【0020】
一方、クランクケース7における前記通路底部11の上方からシリンダ1内の上方にまで垂直に延びるように設けられる前記シリンダ側掃気通路10は、図4、図6及び図7に示すように、シリンダ1の内周面をピストン2の外周面との間にシリンダ壁を有さないように凹設した前記底部通路11と同じ横幅をもつ凹溝により形成されており、この凹溝状に凹設されたシリンダ側掃気通路10の上端が図5に示すように掃気ポート5を形成している。
【0021】
また、前記シリンダ側掃気通路10内の長さ方向に沿った中央部には、図4乃至図7に示すように、下端が前記通路底部11の上方に位置する縦向きの隔壁12が設けられていて、この隔壁12により該シリンダ側掃気通路10内が、前記吸気ポート3側の方向から見て前部掃気通路10aと後部掃気通路10bとに区画され、前部掃気通路10aの上端には主掃気ポート5a及び後部掃気通路10bの上端には副掃気ポート5bによる二つの口が設けられている。
【0022】
主掃気ポート5a及び副掃気ポート5bは、図5のように、前部掃気通路10aの側縁上端と前記隔壁12の上端とを、排気ポート4と反対側のシリンダ内壁面1aの方向へ湾曲するように設けることで、シリンダ側掃気通路10内を通過する混合気が主掃気ポート5a及び副掃気ポート5bから掃気ガスとして排気ポート4と反対側のシリンダ内壁面1aの方向へ流出するようになっている。
【0023】
図4、図6及び図7に示すように、前記シリンダ側掃気通路10における排気ポート4に近い側の後部掃気通路10bには、上端の副掃気ポート5bの部分を除いた下方部分に、ピストン2の外周面と接してシリンダ1の部分的内周面を形成するシリンダ壁13が、該後部掃気通路10bの正面開口部を閉じるように設けられている。
【0024】
前記シリンダ壁13としては、図6のように、シリンダ1の成形とは別の製造工程で得られたシリンダ1と同質の金属あるいはセラミック、耐熱性合成樹脂などからなる所定の大きさと形状の板を、シリンダの組み立ての際に後部掃気通路10bの正面に取付け固定する。シリンダ壁13を取付けるための具体的手段としては、例えば、後部掃気通路10bの開口部内壁に凹溝を設けておき、この凹溝内に前記の板の側縁を圧入固定することでシリンダ壁13を形成することができる。
【0025】
さらに別の手段として、図7のように、シリンダ壁13の下端両側に突起14を設けておくと共に、クランクケース7の上端部におけるピストン挿通孔内周面7cに前記突起14の嵌合する溝15を設けておき、クランクケース7とシリンダ1とを組み立てる際、シリンダ壁13の突起14をクランクケース7の前記溝15内に嵌合することで、クランクケース7の上方に後部掃気通路10bを閉じるシリンダ壁13が立設されるような構成としてもよい。
【0026】
図8及び図9は別の実施例を示している。この実施例では、前記シリンダ側掃気通路10の通路底部11が設けられるクランクケース7上端部におけるピストン挿通孔内周面7cの内径が、上方のシリンダ1の内径よりも若干大きくなっていると共に、図9及び図10に示すように、このピストン挿通孔内周面7cが開口したクランクケース上端面7dの一部に、前記通路底部11のシリンダ側掃気通路10下端部分へ通ずる切欠き溝17が設けられている。
【0027】
そのため、この構成では、図9のようにピストン2が下降したときに、ピストン2の外周面とクランクケース7のピストン挿通孔内周面7cとの間に隙間16が形成されて、この隙間16と上方の前記切欠き溝17とにより、クケース7の混合ガスを前記通路底部11を経由して前記シリンダ側掃気通路10内へ供給する前記クランクケース側掃気通路8とは別の流路が形成されている。
【0028】
前記の切欠き溝17は、クランクケース上端面7dにおける前記通路底部11のシリンダ側掃気通路10下端部分へ通ずる一部を切欠くことで形成したが、別の手段としては、シリンダ1とクランクケース7との合わせ面に介挿するパッキングにおける前記通路底部11のシリンダ側掃気通路10下端部分へ通ずる部分を予め切欠いておき、この切欠き部を通してクランクケース内の混合ガスが通路底部11を経てシリンダ側掃気通路10へ流入するようにしてもよい。
【0029】
図1乃至図7に示す第1実施例のエンジンにおいて、混合ガスが吸気ポート3から吸入されると、この混合ガスはピストン2の下降によりクランク室6内で圧縮され、クランクケース7の底部から該クランクケース側壁内に設けられた細長いクランクケース側掃気通路8を通って上方の水平掃気通路9に送られる。
【0030】
前記クランクケース側掃気通路8を通過する混合気はクランクケース7の熱で暖められて一部が気化してガス化されるが、その態様は実質的に気体というよりは、液体燃料の粒子と空気の混合物である飛沫(ミスト)の状態、つまり未だ液体の粒子が多い状態である。
【0031】
図3に示すように、クランクケース側掃気通路8は上方の水平掃気通路9の部分を除けば大きく曲がる箇所が少ないので、掃気通路8内を通過した混合気は、大きな抵抗を受けることなく水平掃気通路9を経由して、図5aに示すように先端の通路底部11内へ勢いよく流出したのち、シリンダ側掃気通路10の前部掃気通路10a及び後部掃気通路10bを通って上方の主掃気ポート5a及び副掃気ポート5bの方向へ上昇する。
【0032】
混合気が水平掃気通路9からシリンダ側掃気通路10の下端の通路底部11内へ送り出される時、水平掃気通路9は通路底部11よりも細いので、混合気は細い水平掃気通路9から比較的断面積の大きい通路底部11内へ勢いよく押し出される。そしてこの混合気のうち比較的質量の大きい液体の粒子からなる濃い混合気は、水平方向の運動エネルギーによって対向する通路内奥(図5aの左側)の垂直な壁11aに衝突する付近まで達したのち、通路底部11の上方の隔壁12により仕切られた前部掃気通路10a内を上昇して、排気ポート4から離れた側の主掃気ポート5aから掃気ガスとしてシリンダ1内へ送り出される。
【0033】
一方、通路底部11内へ放出された混合気のうち、比較的質量の小さい液体粒子からなる薄いガスは、運動エネルギーが小さいので通路内奥まで達せずに通路底部11内の手前側(図5aの右側)へ流入したのち、通路底部11の上方の後部掃気通路10b内を上昇して、排気ポート4に近い側の副掃気ポート5bから掃気ガスとしてシリンダ1内へ送り出される。
【0034】
前記底部通路11内から前部掃気通路10a及び後部掃気通路10b内への混合気の流入は、図5aに示すように、ピストン2が下降する工程で行われる。その際、排気ポート4から離れた位置に設けられる前部掃気通路10aは、シリンダ1の内周面に凹設されたシリンダ壁を有さない凹溝により形成されているが、ピストン2が下降してそのピストン外周面により凹溝の開口面が閉じられることで通路10aが形成され、混合気はピストン外周面で閉じられたこの前部掃気通路10a内を上昇する。そしてピストン2が下死点に達し、上端の主掃気ポート5aが開口することで、主掃気ポート5aからシリンダ1内へ流出する。
【0035】
排気ポート4に近い位置に設けられる後部掃気通路10bは、上端の副掃気ポート5bの部分を除いた下方部分がピストン2の外周面と接するシリンダ壁13により閉じられているので、ピストン2の下降工程で前記前部掃気通路10a内の混合気よりも質量の小さい薄いガスを上昇させ、ピストン2の下死点で上端の副掃気ポート5bからシリンダ1内へ薄い掃気ガスを流出する。
【0036】
前記主掃気ポート5aから流出する比較的濃度の高い掃気ガス、及び副掃気ポート5bから流出する掃気ガスは、主掃気ポート5a及び副掃気ポート5bから、夫々シリンダ1内の排気ポート4と反対側の内周面1a方向へ押し出されたのちシリンダヘッド方向へ流動するようにループ状に上昇し、シリンダ1内の排気ガスを排出ポート4から追い出すようにシリンダ1内を掃気してからピストン2の上昇によりシリンダ1内で圧縮される。
【0037】
上記のように、シリンダ側掃気通路10内を隔壁12により区画して、前部掃気通路10aと後部掃気通路10bとからなる幅の広い通路とし、前部掃気通路10a上の排気ポート4から離れた位置の主掃気ポート5aから濃度の高い掃気ガスを供給することで、シリンダ1内全域に濃度の高い掃気ガスを供給でき、燃焼効率を向上し出力の高いエンジン性能を得ることができる。
【0038】
この場合、後部掃気通路10bを上昇する混合気も上方の排気ポート4に近い位置の副掃気ポート5bから掃気ガスとしてシリンダ1内へ放出されるが、この副掃気ポート5bは排気ポート4に近い位置にあるために、その掃気ガスの一部がシリンダ1内で燃焼し終えた排気ガスと共に排気ポート4から流出することがあっても、その掃気ガスは元々濃度が薄いため、公害の原因となる未燃状態の排ガスとなる率が少なく、有害物質を排出する原因に到らない。
【0039】
しかしながら、前記のように、前部掃気通路10a上の排気ポート4から離れた位置の主掃気ポート5aから濃度の高い掃気ガスを供給することで、シリンダ1内の燃焼効率を向上することができるとしても、エンジンの構造としてシリンダ1内で混合ガスが爆発燃焼する以上、シリンダ1内で発生した排気ガスの一部が掃気ポートからシリンダ側掃気通路10内に流れ込むことがある。
【0040】
このように、排出ガスの一部が主掃気ポート5aから前部掃気通路10a内へ混入すると、この前部掃気通路10a内の濃度の高い混合気の純度を低下し、燃焼効率を阻害する原因となる。
【0041】
上記のような問題の対策として、本発明では、シリンダ側掃気通路10を形成する排気ポート4から離れた位置の主掃気ポート5aをもつ前部掃気通路10aを、シリンダ1の内周面に凹設されたシリンダ壁を有さない凹溝により形成しているので、図5bに示すように、ピストン2が上死点に達すると、該前部掃気通路10aの内部がピストン2の下方部分のシリンダ1内に開放露呈されることになる。
【0042】
前部掃気通路10aの内側がピストン2の下方部分のシリンダ1内に開放露呈されると、このピストン2の下方部分のシリンダ1内は下方のクランク室6と連通しているので、前部掃気通路10a内にある少量の排気ガスを含む混合気が、吸気ポート3よりクランク室6内に供給されている新鮮な濃度の高い混合気と入れ替わって、前部掃気通路10a内は排気ガスを含まない純度の高い混合気に交換されることになる。
【0043】
なお、後部掃気通路10bは、シリンダ壁13によりシリンダ1内と隔離されているので、該後部掃気通路10b内の混合気がクランク室6内の新鮮な掃気ガスと入れ替わることはないが、この後部掃気通路10b内の混合気中に若干の排気ガスが含まれていたとしても、この混合気は元々粒子の小さい薄いガスであることと、排気ポート4に近い位置の副掃気ポート5bからシリンダ1内に流出して主に排気ガスを掃気するために流出するものであるから、あえてクランク室6内の新鮮な濃度の高い混合気と入れ替える必要はない。
【0044】
図8及び図9に示す実施例のように、クランクケース7上端部のピストン挿通孔内周面7aをシリンダ1の内径よりも大きくすると共に、クランクケース7の上端面7dに通路底部11へ通ずる切欠き溝17を設けた場合には、ピストン2が下降したときにピストン2の外周面とクランクケース7のピストン挿通孔内周面7cとの間の隙間16と上方の前記切欠き溝17とにより、クランクケース7内の混合気を前記通路底部11内へ供給する流路が形成されるので、図5aで示したクランクケース側掃気通路8から通路底部11に送り込まれる混合気とは別にクランクケース7内の新鮮な濃度の高い混合気を前記流路を通して通路底部11内へ送り込むことができ、上方の主掃気ポート5aから放出される掃気ガスの供給量を増すことができる。
【0045】
【発明の効果】
上記のように、本発明の2サイクルエンジンでは、シリンダ内に掃気ガスを送り込むためのシリンダ側掃気通路10を、シリンダ1の内周面に凹設されたシリンダ壁を有さない凹溝により形成するので、従来のこの種のエンジンのように、シリンダの成形に際し、シリンダ壁面内部に下方のクランクケース側掃気通路と通ずる垂直なシリンダ側掃気通路を穿設するための複雑な型枠を用いた低圧鋳造により製造する必要がなく、簡単なダイキャストにより能率的に製造できるので、シリンダの生産コストを大幅に低減することができる。
【0046】
また、この発明のエンジンでは、シリンダ側掃気通路10をシリンダ壁を有さない凹溝により形成することで、ピストンがシリンダ内の上死点に達したときに、ピストンの下方部で該シリンダ側掃気通路10をシリンダ内に露呈開放するので、掃気ポートから排気ガスの一部がこの通路内の混合気中に混入することがあっても、この通路内の排気ガスを含む混合気をクランクケース内からシリンダ内へ流れ込む新鮮な混合気と入れ替えることができ、次のピストンの下降に伴うの掃気工程で、シリンダ側掃気通路10を通して不純物の少ない新鮮で濃度の高い掃気ガスをシリンダ内へ供給して出力の向上を図ることができる。
【0047】
なお、シリンダ側掃気通路10のうち、シリンダ壁を有さない凹溝により形成する通路は、排気ポートと離れた側に位置する前部掃気通路10aとし、クランクケース7内から供給される混合気のうち薄いガスを通す排気ポートに近い側に位置する後部掃気通路10bは、シリンダ壁面13により閉塞されているので、ピストンが上死点に達したときでもこの通路内の薄い混合気がシリンダ内の新鮮な混合気と入れ替わることがなく、従って、シリンダ内の新鮮な混合気が後部掃気通路10bの上方の排気ポートに近い副掃気ポート5bから流出して排気ポート4から未燃焼ガスとして放出されることを防ぐことができ、出力が高くしかもクリーンなエンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る2サイクルエンジンの構成を示す縦断面図。
【図2】図1のII−II線における断面図。
【図3】図1のIII−III線における断面図。
【図4】図1のIV−IV線における断面図。
【図5】図1に示すシリンダ側掃気通路の構成を示す部分拡大断面であり、aはピストンの下降時、bはピストンの上昇時の状態を示す。
【図6】一部にシリンダ壁を設けるシリンダ側掃気通路の構成を示す斜視図。
【図7】シリンダ側掃気通路にシリンダ壁を設けるための具体的構成を示す斜視図。
【図8】別の実施例の構成を示す図1と同じ部分の縦断面図。
【図9】図8のIX−IX線における断面図。
【図10】図8のX−X線における断面図。
【符号の説明】
1:シリンダ
2:ピストン
3:吸気ポート
4:排気ポート
5:掃気ポート
5a:主掃気ポート
5b:副掃気ポート
6:クランク室
7:クランクケース
7a,7b:クランクケース部材
7c:ピストン挿通孔内周面
8:クランクケース側掃気通路
9:水平掃気通路
10:シリンダ側掃気通路
10a:前部掃気通路
10b:後部掃気通路
11:通路底部
12:隔壁
13:シリンダ壁
14:突起
15:溝
16:隙間
17:切欠き溝
Claims (5)
- シリンダ内に掃気ガスを供給するための掃気ポートとして、排気ポートから離れた位置の主掃気ポートと排気ポートに近い位置の副掃気ポートとを備える2サイクルエンジンにおいて、
上端に前記主掃気ポート及び副掃気ポートを備えるシリンダの内周面下側から上方に到る長さのシリンダ側掃気通路が、シリンダ内周面を凹設したピストン外周面との間にシリンダ壁を有さない垂直な凹溝により形成されていて、
かつ、前記シリンダ側掃気通路が、該通路の長さ方向に沿った中央に隔壁を設けることにより、上端に排気ポートから離れた側の主掃気ポートを備える前部掃気通路と、上端に排気ポートに近い側の副掃気ポートを備える後部掃気通路とからなり、
前部掃気通路がシリンダ内周面を凹設したピストン外周面との間にシリンダ壁を有さない垂直な凹溝により形成され、後部掃気通路は開口部がシリンダ壁により閉塞されている2サイクルエンジン。 - 後部掃気通路を閉塞するシリンダ壁が、該掃気通路を形成する凹溝の開口部に設けられた金属もしくは耐熱性合成樹脂の板からなっている請求項1の2サイクルエンジン。
- 後部掃気通路を閉塞するシリンダ壁が、クランクケースの上端面におけるピストン挿通孔内周面から上方へ突出した金属もしくは耐熱性合成樹脂の板からなっている請求項1又は2の2サイクルエンジン。
- クランクケース上端部におけるピストン挿通孔内周面の内径をシリンダの内径より大きくすると共に、クランクケース上端面に前記ピストン挿通孔内周面からシリンダ側掃気通路に通ずる切欠き溝を設けて、下降したピストンの外周面とピストン挿通孔内周面の間を通してクランクケース内の混合気の一部を上方のシリンダ側掃気通路へ供給するための流路を備えている請求項1の2サイクルエンジン。
- クランクケース内の混合気の一部を上方のシリンダ側掃気通路へ供給するための流路として、クランクケース上端部のシリンダ内径より大きいピストン挿通孔内周面からクランクケース上端面の切欠き溝を経てシリンダ側掃気通路に通ずる流路と、クランクケースの一部から該クランクケースの側壁内に設けたクランクケース側掃気通路を経てシリンダ側掃気通路に通ずる流路とを備えるている請求項1又は4の2サイクルエンジン。
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