JP3626182B2 - ピリジニウム架橋検定のための方法及びキット - Google Patents
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Description
本発明は、ヒト尿サンプル中の生体の遊離のピリジニウム架橋(pyridinium crosslink)のレベルを測定するための方法に、並びにその方法における使用のための抗体試薬及びキットに関する。
2.文献
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3.発明の背景
高レベルの骨再吸収、及び骨形成と骨再吸収との間の異常バランスを特徴とするヒトにおける様々な症状が存在する。これらの中でより一般的なものは、骨粗しょう症、パジェット病、及び骨の良性及び悪性腫瘍の進行に関連する症状並びに例えば前立腺又は胸の初期腫瘍から骨細胞へ転移した転移癌である。コラーゲン代謝における変化に関連する他の症状は、骨軟化(osteomalacial)疾患、佝僂病(rickets)、子供における異常成長、腎性骨ジストロフィー、及び薬物−誘発性オステオペニアを含む。骨代謝における不規則性は、しばしば甲状腺治療の副作用及び甲状腺症状それ自体、例えば、初期甲状腺低下症及び甲状腺中毒症並びにクッシング病である。
骨再吸収の失調又は骨形成と骨再吸収との間の異常バランスを特徴とする他の疾患が尿中のピリジニウム架橋(pyridinium crosslinks)の変化したレベルにより検出されることができるというとが認識されている(Robins,1982b;Macek;Black)。多数のコラーゲン含有組織から生じる架橋は、その環窒素がリシン又はヒドロキシリシンのいずれかのイプシロン・アミノ基から誘導される中央の3−ヒドロキシ・ピリジニウム環を含む化合物の形態を呈する(Fujimoto,1978;Robins,1982a;Gunja−Smith;Ogawa;Eyre)。
尿中に見られるピリジニウム架橋化合物は、4つの一般的なクラス:(1)約400ダルトンの分子量をもつ遊離の生来の架橋(Fujimoto)、(2)約550〜1,000ダルトンの間の分子量をもつ糖添加架橋及び架橋ペプチド形態(Robins,1983)、(3)1,000〜3,500ダルトンの間の分子量をもつ架橋ペプチド形態(Robins,1983,1987;Henkel;Eyre)、及び(4)3,500ダルトンを上回る分子量をもつ架橋ペプチド形態、に群分けされることができる。正常な大人においては、これらの形態は、全尿中架橋の約38%の(1)、40%の(2)、15%の(3)、及び7%の(4)を占める(Daniloff)。正常な大人の尿中の遊離架橋(上記群1)の約80%は、その環窒素がヒドロキシリシンから生じているピリジノリン(pyridinoline(Pyd))であり、そして約20%は、その環窒素がリシンから生じているデオキシピリジノリン(deoxypyridinoline(Dpd))である。このPyd/Dpd比は、尿中の他の3クラスの架橋におおまかに適用できる。高分子量の架橋は酸加水分解により遊離の架橋に変換されることができる(Fujimoto,1978)。
尿中のピリジニウム架橋の測定方法は提案されている。これらの方法の中に1つは、全加水分解Pyd、すなわち、尿中架橋の強い加水分解により作られたPydを、HPLCにより分解されたその加水分解Pydピークを定量することにより、測定することを含む(Fujimoto,1983)。熟成までの全加水分解Pyd間の関係は、上記研究者により、全加水分解Pyd/クレアチニンに対する比として測定され、ここで、クレアチニンのレベルは架橋レベルを尿濃度及び骨格質量に標準化するために使用される。この比は、子供の尿中で高く、そして大人にわたり比較的定常であり、高齢において僅かに増加する。上記筆者は、これが高齢において観察される骨質量の損失に対応するかもしれないと推測している。
リウマチ様関節炎をもつ患者の加水分解尿中の全架橋の上昇レベルについての研究は、この疾患を診断する方法として示唆されている(Black,1989)。(HPLCにより測定された全架橋のクレアチニンに対する比として表された)リウマチ様関節炎をもつ患者についての全加水分解架橋のレベルは対照と比べたとき5倍上昇した。しかしながら、全加水分解Dpdではなく全加水分解Pydだけが測定可能な増加を示した。
加水分解尿を使用したより詳細な研究において、Seibel他はリウマチ様及び骨関節炎の両方において対照に対してのPyd及びDpd架橋の分泌における有意な増加を示した。Pyd架橋についての最も顕著な増加はリウマチ様関節炎をもつ患者において存在した(Seibel他)。
検定方法、例えば、直前に記載したようなものであって、加水分解サンプルからの架橋又は比加水分解サンプルからの架橋サブフラクションのHPLC定量を含むものは、実施するのにかなり時間が掛かり且つ高価であり、そして骨代謝失調における広範なスクリーニング又は治療をモニタリングするために実行することができない。
イムノアッセイも尿中架橋の測定のために提案されている。米国特許第4,973,666号は、骨コラーゲンと会合する特異的なペプチド伸長を特徴とする、特異的ピリジニウム架橋の尿中の検出による骨再吸収の測定のための検定について開示している。骨コラーゲンと会合すると推定されるペプチド伸長をもつ2つの特異的存在物について記載されている。これらは、パジェット病、すなわち、高速度の骨形成及び破壊を含むことで知られる病気を患う患者の尿から得られる。この検定は、その架橋ペプチドに対して調製された抗体とのその特異的ペプチド断片又は伸長を含む架橋化合物の免疫特異的結合に頼る。検定される架橋ペプチドの濃度が全尿中架橋に関係するかどうか又はどのように関係するかどうかは、明らかでない。
Robinsは、加水分解Pydに特異的な抗体の使用による尿中のピリジノリンの測定のための技術について記載している(Robins他1986)。この方法は、その抗体がPydの加水分解形態に特異的であることが発見されたという限定をもち、これは、テストされる尿サンプルが加水分解条件下で最初に処理されるべきことを要求する。加水分解処理は、この検定の時間及び費用を増加させ、そして他の生来のピリジニウム架橋の測定を排除する。
コラーゲン含有組織のピリジニウム架橋含量は、組織タイプに従って量及び組成において変化することが知られている。Pyd架橋は、軟骨(cartilage)、骨(bone)、椎間板(intervertebral discs)、靱帯(ligaments)、及び大動脈中に発見された。Pyd架橋よりも一般的に優勢ではないDpd架橋は、骨、歯、靱帯、及び大動脈中に発見された。組織ピリジニウム架橋中のDpdの割合は、骨中で最も高いようであり、これは約3:1〜4:1間のPyd:Dpd比をもつ。軟骨中のピリジニウム架橋は、他方において、主にPydを含む。
理想的には、尿中のピリジニウム架橋レベルに基き骨代謝を評価するための検定方法は、(a)そのサンプルの酸加水分解についての必要性を回避するために、非加水分解尿サンプルを使用するべきであり、そして(b)慣用のHPLCベースのテストにわたる分析の時間及び費用を減少させるために、生来の遊離のピリジニウム種を検出するための抗体試薬を使用するべきである。
4.発明の要約
本発明は、生来の遊離のピリジノリン、生来の遊離のデオキシピリジノリン、又は両方に特異的なモノクロナール抗体試薬を提供する。
1つの態様においては、本発明は、ヒト被験者における骨コラーゲン分解活性の検定方法を含む。本法においては、被験者からの尿サンプルが、生来の遊離のピリジノリン及び生来の遊離のデオキシピリジノリンから成る群から選ばれたピリジニウム架橋と免疫特異的に反応することができるモノクロナール抗体と、反応する。このモノクロナール抗体は、約3:1よりも大きな、そして好ましくは、約5:1よりも大きな、選択されたピリジニウム架橋とに対する反応性と分子量において1,000ダルトンを上回る尿中ピリジニウム・ペプチドとに対する反応性との比をもつ。
1つの態様においては、本モノクロナール抗体は、生来の遊離ピリジノリンに特異的であり、そして約5:1よりも大きな、生来の遊離ピリジノリンに対する反応性と生来の遊離デオキシピリジノリンとに対する反応性との比をもつ。第二の態様においては、本モノクロナール抗体は、生来の遊離デオキシピリジノリンに特異的であり、そして約25:1よりも大きな、生来の遊離デオキシピリジノリンに対する反応性と生来の遊離ピリジノリンとに対する反応性との比をもつ。他の態様においては、本モノクロナール抗体は、生来の遊離ピリジノリン及び生来の遊離デオキシピリジノリンに特異的であり、そして2:1〜1:2の間の、生来の遊離ピリジノリンに対する反応性と生来の遊離デオキシピリジノリンとに対する反応性との比をもつ。
より一般的には、生来の遊離ピリジノリンに対する反応性と生来の遊離デオキシピリジノリンに対する反応性との比は、5:1超えから1:25未満までにあることができる。
尿サンプルは、本検定を妨害することができるサンプル成分(例えば、タンパク質)を除去するために、ニトロセルロース・フィルター又は他の好適な分離媒質を通過させられることができる。
他の態様においては、本発明は、本法における使用のためのモノクロナール抗体試薬を含む。この抗体試薬は、生来の遊離ピリジノリン及び生来の遊離デオキシピリジノリンから成る群から選ばれた遊離のピリジニウム架橋への免疫特異的結合を、そして約3:1よりも大きな、選択されたピリジニウム架橋とに対する反応性と分子量において1,000ダルトンを上回る尿中ピリジニウム・ペプチドとに対する反応性との比を、特徴とする。
また、本発明は、先に記載したような抗体試薬の調製における使用のための免疫原をも含む。この免疫原は、好ましくは水溶性カルボジイミドによりタンパク質担体に結合された、生来の又は加水分解形態のいずれかにおける、遊離のPyd又は遊離のDpdから成る。1つの好ましいタンパク質担体は、keyhole limpetヘモシアニンである。
また、先に記載した抗体試薬中での使用のためのモノクロナール抗体の調製方法も本発明を形成する部分である。本法は、(a)担体タンパク質に付着した遊離のピリジノリン又は遊離のデオキシピリジノリンにより免疫感作された動物からの脾臓細胞、及び(b)不死化融合パートナーの融合生成物から成るハイブリドーマを作り、そして選択された生来の遊離のピリジニウム架橋に免疫反応性であるハイブリドーマを選択すること、を含む。担体タンパク質に付着された遊離のピリジニウム架橋は、形態において生来のもの又は加水分解されたものであることができる。
他の態様においては、本発明は、ヒト被験者における骨コラーゲン分解のレベルの検定における使用のためのキットを含む。このキットは、生来の遊離のピリジノリン及び生来の遊離のデオキシピリジノリンから成る群から選択されたピリジニウム架橋と免疫特異的に反応することができ、そして約3:1を超える、選択されたピリジニウム架橋に対する反応性と、分子量において1,000ダルトンを上回る尿中ピリジニウム・ペプチドに対する反応性との比をもつ、抗体試薬を含む。また、本キットは、サンプル中の遊離のピリジニウム架橋との上記抗体試薬の反応により形成される免疫複合体の量を検出するための検出手段を含む。
好ましくは、この検出手段は、比色定量シグナルを作り出すのに有効なリポーター酵素を含む。但し、他の様式を使用することができる。
1つの一般的な態様においては、本キットは、先に記載したような抗体試薬であることができる表面付着結合剤をもつ固相支持体、又は生来の遊離のピリジニウム架橋を含む。他の一般的な態様においては、本キットは、EMIT配置(EMIT configuration)を使用する。
他の態様においては、本発明は、生来の遊離のピリジノリン及び生来の遊離のデオキシピリジノリンから成る群から選択されたピリジニウム架橋と免疫特異的に反応することができるポリクロナール抗体試薬を含む。この抗体試薬は、約3:1を超える、好ましくは、約5:1を超える、選択されたピリジニウム架橋に対する反応性と、分子量において1,000ダルトンを上回る尿中ピリジニウム・ペプチドに対する反応性との比をもち、そして先に討議した方法及びキットにおいて使用されることができる。
他の態様においては、本発明は、尿中分析物を定量するための検定法を含む。この検定においては、尿サンプルを、その分析物の通過を許容しながら抗体に非特異的に結合する物質を除去するのに有効な膜を通して濾過する。濾過された尿サンプルを、サンプル中の分析物の量に比例してその固体支持体にその抗体を結合させるのに有効な条件下で、その分析物と抗原−抗体複合体を形成させるのに有効な結合性試薬と、反応させる。好ましいフィルター膜は、ニトロセルロース、Immobilon(商標)−CD、及びImmobilon(商標)−PSQを含む。
本発明の上記及び他の目的及び構成は、以下の発明の詳細な説明を添付図面と併せて読むときにより十分に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1A−1Cは、本発明に従う検定の態様の実施における段階について説明している。
図2は、44尿サンプル中の、本発明のモノクロナール抗体試薬を使用して測定された生来の遊離のピリジノリン濃度(y軸)、体HPLCにより測定された全(加水分解)ピリジノリン濃度、の線形回帰プロットを示している。
図3は、本発明に従う検定法を使用して測定されたときの、移転癌患者におけるものと比較した正常患者における生来の遊離のピリジノリンのレベルを示している。
図4は、本発明に従う検定法を使用して測定されたときの、重度の骨粗しょう症及び股関節部骨折をもつと診断された患者(群1)、股関節部骨折をもたない骨粗しょう症をもつと診断された患者(群2)、及び年齢を合わせた対照患者、における生来の遊離のピリジノリンのレベルを示している。
図5は、本発明に従う検定法を使用して測定されたときの、正常患者(群1)、代謝性骨疾患症状をもつ患者(群2)、及び腫瘍学患者、における生来の遊離のデオキシピリジノリンのレベルを示している。
図6は、本発明に従う検定法を使用して測定されたときの、エストロゲン治療の前及び1年後の骨粗しょう症患者における生来の遊離のデオキシピリジノリンのレベルを示している。
図7A−7Bは、本発明に従う検定の他の態様の実施における段階を説明している。
図8は、カップリング試薬EDCを介して酵素に結合したピリジノリン又はデオキシピリジノリン分子の数の関数としてのグルコース−6−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ(G6PDH)の残存酵素活性を示している。
図9A及び9Bは、Pyd−特異的モノクロナール抗体(9A)及びPyd特異的ポリクローナル抗体(9B)の増加濃度の存在中のPyd−標識G6PDHの残存酵素活性のプロットを示している。
図10は、図7A−7C中に示した検定配置を使用して得られた標準曲線を示している。
発明の詳細な説明
I. 定義
本明細書中で使用するとき、以下の用語は、以下の定義をもつ:"Pyd"又は”ピリジノリン”又は遊離のピリジノリン”とは、式中、その環窒素がヒドロキシルリシル残基のεアミノ基から生じている、以下の(I)において示される化合物をいい、そして"Dpd"又は”デオキシピリジノリン”又は遊離のデオキシピリジノリン”とは、式中、その環窒素がリシル残基のεアミノ基から生じている、以下の(II)において示される化合物をいう。
”遊離の架橋(Free crosslinks)”とは、化合物(I)又は(II)、あるいはそれらの混合物をいう。
”糖添加ピリジノリン(Glycosylated pyridinoline)”又は"glyco−Pyd"とは、式中、グリコシル基がPydの脂肪族ヒドロキシル基に共有結合した化合物(I)の糖添加形態をいう。同定されている2つのglyco−Pyd架橋は、Gal−Pyd及びGlc−Gal−Pydであって、これはそれぞれ以下の式(III)及び(IV)において示される。
"Pyd−ペプチド”又は”ピリジノリン−ペプチド”とは、式中、その化合物内の3つのアミノ酸残基の中の1以上がペプチド結合を介して追加のアミノ酸残基に結合されている化合物(I)のペプチド誘導体化形態をいう。同様に、"Dpd−ペプチド”又は”デオキシピリジノリン−ペプチド”とは、式中、その化合物内の3つのアミノ酸残基の中の1以上がペプチド結合を介して追加のアミノ酸残基に結合されている化合物(II)のペプチド誘導体化形態をいう。
”ピリジニウム−ペプチド”とは、Pyd−ペプチドとDpd−ペプチドの混合物をいう。
"1000ダルトンを超える分子量をもつPyd−ペプチド”又は"Pyd−ペプチド(MW>1000)”とは、1,000分子量カットオフをもつ透析膜により保持されたPyd−ペプチドをいう。
"1000ダルトンを超える分子量をもつDpd−ペプチド”又は"Dpd−ペプチド(MW>1000)”とは、1,000分子量カットオフをもつ透析膜により保持されたDpd−ペプチドをいう。
"Pyd架橋”とは、遊離又は誘導体化形態のいずれかにおいて化合物(I)を含む尿中のピリジニウム架橋をいう。Pyd架橋は、Pyd、glyco−Pyd及びPyd−ペプチドを含む。同様に、"Dpd架橋”とは、遊離又は誘導体化形態のいずれかにおいて化合物(II)を含む尿中のピリジニウム架橋をいう。"Dpd架橋”は、Dpd及びDpd−ペプチドを含む。
”ピリジニウム架橋”とは、遊離及び/又は誘導体化形態における化合物(I)及び/又は(II)を含むピリジニウム架橋をいう。
”全H−Pyd"とは、Pyd架橋をPydに加水分解することにより作られた全加水分解Pydをいう。同様に、”全H−Dpd"とは、Dpd架橋をDpdに加水分解することにより作られた全加水分解Dpdをいう。
”加水分解−Pyd"又は"H−Pyd"とは、6N HCl中で110℃において16時間Pyd架橋を加水分解することにより作られたPydをいう。同様に、”加水分解−Dpd"又は"H−Dpd"とは、6N HCl中で110℃において16時間Dpd架橋を加水分解することにより作られたDpdをいう。
”生来のPyd"又は"N−Pyd"とは、加水分解条件に供されない尿から得られたPydをいう。同様に、”生来のDpd"又は"N−Dpd"とは、加水分解条件に供されない尿から得られたDpdをいう。
”生来の遊離のピリジノリン及び生来の遊離のデオキシピリジノリンから成る群から選ばれたピリジニウム架橋と免疫特異的に反応することができる”モノクロナール抗体(又は抗体試薬)とは、尿サンプル中に存在することができる他の抗原性材料に対して、生来の遊離のピリジノリン、生来の遊離のデオキシピリジノリン、又はその両方に免疫特異的なモノクロナール抗体をいう。生来の遊離のピリジノリン及び生来の遊離のデオキシピリジノリンに対するモノクロナール抗体の反応性(アフィニティー)の比が、約5:1以上から、約1:25未満までのレンジに、その間のすべての比を含んで、あることができる。
”約3:1を超える、選択されたピリジニウム架橋に対する反応性と、分子量において1,000ダルトンを上回る尿中ピリジニウム・ペプチドとの反応性との比”の意味は、生来の遊離のピリジノリン対生来の遊離のデオキシピリジノリンについてのその抗体の相対的な特異性に依存する。抗体が、2:1を超える、生来の遊離のピリジノリンに対する反応性と生来の遊離のデオキシピリジノリンに対する反応性との比をもつ場合には、このフレーズは、N−Pydに対する反応性とPyd−ペプチド(MW>1000)に対する反応性との比をいう。抗体が、1:2未満である、生来の遊離のピリジノリンに対する反応性と生来の遊離のデオキシピリジノリンに対する反応性との比をもつ場合には、このフレーズは、N−Dpdに対する反応性とDpd−ペプチド(MW>1000)に対する反応性との比をいう。2:1〜1:2の間の又はこれの等しい生来の遊離のピリジノリンに対する反応性と生来の遊離のデオキシピリジノリンに対する反応性との比をもつモノクロナール抗体については、このフレーズは、N−Pydに対する反応性とPyd−ペプチド(MW>1000)に対する反応性との比、及びまた、N−Dpdに対する反応性とDpd−ペプチド(MW>1000)に対する反応性との比が、約3:1を超える。
II. 抗体試薬の調製
本セクションは、約3:1を超える、そして好ましくは、約5:1を超える、生来の遊離ピリジニウム架橋に対する反応性と、1,000ダルトンを上回る尿中ピリジニウム・ペプチドに対する反応性との比により証明されるような、生来の遊離のピリジニウム架橋(N−Pyd、N−Dpd、又は両方のいずれか)に特異的であるモノクロナール及びポリクロナール抗体(”抗体試薬”)の生産について記載する。
抗体が生来の遊離のピリジノリンに結合するためのものである場合には、その抗体は、好ましくは、約5:1を超える、好ましくは約20:1を超える、そしてより好ましくは約100:1を超える、生来の遊離のピリジノリンに対する反応性と、生来の遊離デオキシピリジノリンに対する反応性との比をもつ。
抗体が生来の遊離のデオキシピリジノリンに結合するためのものである場合には、その抗体は、好ましくは、約5:1を超える、好ましくは約25:1を超える、そしてより好ましくは約100:1を超える、生来の遊離のデオキシピリジノリンに対する反応性と、生来の遊離ピリジノリンに対する反応性との比をもつ。
抗体が生来の遊離のピリジノリン及び生来の遊離のデオキシピリジノリンに結合するためのものである場合には、その抗体は、好ましくは、約2:1〜1:2の間の、生来の遊離のピリジノリンに対する反応性と、生来の遊離デオキシピリジノリンに対する反応性との比をもつ。
本発明に係る抗体試薬は、好ましくは、約5x107/モルを超える選択されたピリジニウム種(N−Pyd又はN−Dpd)についての結合アフィニティー定数をもつ。
A. 免疫原
抗体試薬を作るために使用される免疫原は、担体分子、典型的には担体タンパク質、例えば、Keyhole limpetへモシアニン(KLH)に結合したH−Dpd又はH−Pydである。
Pydは、生来のPyd(N−Pyd)又は加水分解されたPyd(H−Pyd)であることができる。同様に、Dpdは、生来のDpd(N−Dpd)又は加水分解されたDpd(H−Dpd)であることができる。N−Dpd又はN−Pydを得るために、尿中の他のピリジニウム化合物からのN−Dpd又はN−Pydのグロス分離を、実施例2中に記載するように、尿の分画により達成することができる。簡単に言えば、尿の濃縮物を、Sephadex G−10カラムに適用し、そしてすべてのピリジニウムを含む画分を溶出させる。次にこの溶出物をクエン酸ナトリウムにより平衡化したホスホセルロースのカラムに適用し、そして塩により溶出させ、単一ピークにおいて遊離架橋を得る。このサンプルは加水分解条件に供されないので、このピークは、N−Dpd及びN−Pyd形態(”遊離の架橋”)だけではなく、glyco−Pydをも含む、先に記載したようなGal−Pyd及び及びGlc−Gal−Pydを含む。次に、さらなる精製を、便利には、例えば、スルホン化ポリスチレン・ビーズ上のイオン交換、又はHPLCを使用した標準的な方法により行う。この分離にための典型的なプロトコールは、例えば、Black,et al.,1988、Seibel et al.,1989、及び実施例2の中にある。
あるいは、加水分解Pyd又はDpdは、例えば、Black et al.,1988中に記載されたように精製された、骨コラーゲン又は尿中のピリジニウム架橋の酸加水分解により作られることができる。
担体タンパク質へのH−Dpd又はH−Pydのカップリングは、典型的には、標準的な方法に従って、1のカップリング末端において、H−Pyd又はH−Dpdの遊離のカルボキシル基の中の1つへのアミド結合を、そして他のカップリング末端において、その担体タンパク質へのアミド又はエステル又はジスルフィド結合を形成する二価カップリング剤を使用した、標準的なカップリング方法による。
あるいは、好ましい態様においては、H−Pyd又はH−Dpdは、これもまたよく知られた方法に従って、例えば、水溶性カルボキシル活性化剤、例えば、EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)の存在中、そのタンパク質に直接的に結合されることができる。後者のアプローチを、実施例3において説明する。この例は、EDC活性化によるkeyhole limpetへモシアニン(KLH)へのH−Dpdのカップリングについて記載する。ペプチド抗原による担体タンパク質の誘導体化のための一般的なカップリング反応は、Harlow(1988),pp.77−87及びWong(1991)中に与えられている。
B. モノクロナール抗体試薬
モノクロナール抗体試薬を作るために、先に記載した免疫原を、動物、例えば、マウスを免疫感作させるために使用し、これから、抗原−特異的リンパ球を不死化のために得ることができる。好適でることが判明している1つの動物は、Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から入手可能な”自己免疫性(autoimmune)"MRL/MpJ−lprマウスである。
N−Pydに特異的な抗体が望ましい場合には、H−Pyd−免疫原が典型的に使用される。同様に、N−Dpdに特異的な抗体が望ましい場合には、H−Dpd−免疫原が典型的に使用される。Pyd及びDpdの両方を認識する抗体を、H−Pyd−免疫原又はH−Dpd−免疫原を使用して得ることができる。
B.1 N−Pydモノクロナール抗体
N−Pydに特異的なモノクロナール抗体試薬を作るために、マウスを、実施例4中に大要を示すように、H−Pyd−KLH免疫原の一連の注射を使用して免疫感作させることができる。最初の免疫感作の約8週間後、脾臓細胞を収穫し、そしてP3X63Ag8.653ミエローマ細胞系と融合させる。首尾よく融合した生成物の選択は、公開された方法に従って、ならしS−DMEM培地中のHAT中で行われることができる(一般的には、Harlow,pp.196−212を参照のこと。)。次に首尾よい融合生成物を、実施例8中に記載するものと類似の競合的イムノアッセイ処方を使用して、N−Pydとの免疫反応性についてスクリーンする。N−Pydへの高いアフィニティー結合を示す細胞系を、限界希釈法によりサブクローン化し、そしてN−Pydについての高い結合アフィニティーをもつ抗体の生産についてさらにスクリーンする。上記手順により得られ、そしてN−Pydについての高い抗体アフィニティーを与える1つのサブクローン化された細胞系を、本明細書中で、Mab−XXV−3G6−3B11−1A10と命名する。この細胞系のサンプルは、American Type Culture Collection,12301 Parklawn Dr.,Rockville MD 20852により寄託されており、そしてATCC第HB11089号と指定されている。
抗体試薬を作るために、上記ハイブリドーマ細胞系を、好適な培地(harlow,pp.247−270)、例えば、以下の材料及び方法のセクション中に記載するように補われたDulbecco's修飾Eagle's培地(DMEM)中で、培養する。モノクロナール抗体("Mabs")を、上記培地から収穫し、そして公開された方法(Harlow pp.271−318)に従って濃縮及び保存することができる。
先に述べたように、本発明の重要な特徴は、尿中のより大きな分子量のピリジニウム架橋に対するN−Dpd及びN−Pydについての抗体試薬の特異性である。N−Pyd、N−Dpd、及び他の尿中ピリジニウム架橋についての抗体試薬の相対的特異性は、実施例10中に詳説されるように、N−Pydについての競合的結合検定により測定されることができる。
簡単に言えば、N−pyd及びN−Dpd、並びに等モル量(それぞれ150μM)中に20の一般的アミノ酸を含むアミノ酸を含む様々な精製された架橋サンプルを、そのサンプル中のピリジニウム架橋がその抗体への結合についてその支持体結合N−Pydと競合する条件下で、付着されたN−Pydをもつ固相支持体の上で、限定された量の抗体試薬と反応させる。固相支持体への抗体の結合の程度は、その抗体試薬についてのそのサンプル架橋の相対的反応性の尺度を提供する。
実施例10中に大要を示す手順に従って、N−Pyd、N−Dpd、Pyd−ペプチド(MW>1,000)、及びアミノ酸混合物(一般的な20アミノ酸のそれぞれ150μM)の、細胞系Pyd XXV−3G6−3B11−1A10からのモノクロナール抗体への結合のレベルを、調査した。それぞれのサンプルの見かけのPyd濃度を、精製N−Pydを使用して確立された標準曲線を使用して測定した。それぞれのサンプルのパーセント反応性を、全H−PydについてHPLCにより測定されたサンプル中の全Pyd架橋濃度(100倍)に対する、又はN−Dpdサンプルの場合における全H−DpdについてのHPLCにより測定されるような全Dpd−架橋濃度(100倍)に対する、(上記のN−Pyd標準曲線を使用して測定された)見かけの濃度の比として、計算した。結果を表1中に示す。ここで、N−Pydとの反応性を100%として定義した。
表から分かるように、モノクロナール抗体試薬は、N−Dpdに対してN−Pydについて高く選択性であり、約3:1を超える、そして本ケースにおいては、5:1を超える、生来の遊離ピリジノリンに対する反応性と、生来の遊離デオキシピリジノリンに対する反応性との比を、示している。また、この試薬は、(全Pyd含量について定量され)テストされたピリジニウム−ペプチド形態を上回ってN−Pydについて選択性であり、約100:1を超える、分子量において1,000ダルトンを上回るピリジノリン・ペプチドに対する反応性の比を示す。さらに、この試薬は、テストされたアミノ酸混合物との最小の交差反応性(<1%)を示す。
より一般的には、N−Pydに特異的であるMab試薬は、上記の検定により測定されるとき、5:1を超える、好ましくは、10:1を超える、より好ましくは、25:1を超える、そして本ケースにおいては、100:1を超える、生来の遊離のピリジノリン(N−Pyd)及びPyd−ペプチド(MW>1000)に対する反応性をもつ。
B.2 N−Dpdモノクロナール抗体
N−Dpdに特異的であるモノクロナール抗体試薬を作るために、N−Pyd Mabsを得るための先の手順を使用することができる。但し、H−Dpd−KLHを免疫原として使用し、そして免疫反応性スクリーニングをN−Dpdのための検定により行う。この手順により得られ、そしてN−Dpdについての高い抗体アフィニティーを与える1つのサブクローン化細胞系は、本明細書中、Mab−Dpd−II−7B6−1F4−1H11として命名する(実施例5参照)。
この抗体試薬は、上記ハイブリドーマ細胞系から作られ、そして、N−Pyd Mabsのために先に記載した同一の一般的手順により保存される。
N−Dpd、N−Pyd、及び他の尿中ピリジニウム架橋についての抗体試薬の相対的特異性は、先に記載したようなアプローチ(セクションB.1)により測定されることができるが、付着N−Dpdをもつ固相支持体を使用する。
実施例10中に大要を示す手順に従って、N−Dpd、N−Pyd、Dpd−ペプチド(MW>1,000)、及びアミノ酸混合物(一般的な20アミノ酸のそれぞれ150μM)の、細胞系Mab−Dpd−II−7B6−1F4−1H11からのモノクロナール抗体への結合のレベルを、調査した。それぞれのサンプルの見かけのDpd濃度を、精製N−Dpdを使用して確立された標準曲線を使用して測定した。それぞれのサンプルのパーセント反応性を、全H−DpdについてHPLCにより測定されたサンプル中の全Dpd架橋濃度(100倍)に対する、又はN−Pydサンプルの場合における全H−PydについてのHPLCにより測定されるような全Pyd−架橋濃度(100倍)に対する、(上記のN−Dpd標準曲線を使用して測定された)見かけのN−Dpd濃度の比として、計算した。結果を表2中に示す。ここで、N−Dpdとの反応性を100%として定義した。
表から分かるように、モノクロナール抗体試薬は、N−Pydに対してN−Dpdについて高く選択性であり、約100:1を超える、生来の遊離のデオキシピリジノリンに対する反応性と、生来の遊離のピリジノリンの対する反応性との比を示す。また、この試薬は、(Dpd含量について定量され)テストされたピリジニウム−ペプチド形態を上回ってN−Dpdについて選択性であり、約3:1を超える、そして好ましくは約5:1を超える、分子量において1,000ダルトンを上回るデオキシピリジノリン・ペプチドに対する反応性の比を示す。さらに、この試薬は、テストされたアミノ酸混合物との最小の交差反応性(<1%)を示す。
より一般的には、N−Dpdに特異的であるMab試薬は、上記の検定により測定されるとき、5:1を超える、好ましくは、10:1を超える、より好ましくは、25:1を超える、そして本ケースにおいては、100:1を超える、生来のデオキシピリジノリン(N−Dpd)及びDpd−ペプチド(MW>1000)に対する反応性をもつ。
B.3 競合的アフィニティーをもつN−Pyd及びN−Dpd に結合するモノクロナール抗体
競合的アフィニティーをもつN−Pyd及びN−Dpdに結合するモノクロナール抗体試薬を作るために、N−Pyd Mabs及びN−Dpd Mabsを得るための先の手順を使用することができる。但し、免疫原はH−Pyd−KLH又はH−Dpd−KLHであることができ、そして免疫反応性スクリーニングをN−Pyd及びN−Dpdのための別個の検定により行う。免疫原としてH−Dpd−KLHを使用して上記手順により得られ、そしてN−Dpd及びN−Pydについての高い抗体アフィニティーを与える1つのサブクローン化細胞系を、本明細書中、Mab Pyd/Dpd−V−6H2−2H4−1E4として命名する(実施例6参照)。
この抗体試薬は、上記ハイブリドーマ細胞系から作られ、そしてN−Pyd Mabsのために先に記載した同一の一般的手順により保存される。
N−Dpd、N−Pyd、及び他の尿中ピリジニウム架橋についての抗体試薬の相対的特異性は、先に記載したようなアプローチ(セクションB.1及びB.2)により測定されることができる。本ケースにおいては、Pyd/Dpd−V−6H2−2H4−1E4細胞系を使用して作られた抗体について、それぞれのサンプルのパーセント反応性を、全H−DpdについてHPLCにより測定されたサンプル中の全Dpd架橋濃度(100倍)に対する、又はN−Pydサンプルの場合における全H−PydについてのHPLCにより測定された全Pyd−架橋濃度(100倍)に対する、(上記のN−Dpd標準曲線を使用して測定された)見かけのN−Dpd濃度の比として、計算した。結果を表3中に示す。ここで、N−Dpdとの反応性を100%として定義した。
表から分かるように、このモノクロナール抗体試薬は、競合的アフィニティーをもってN−Dpd及びN−Pydを認識し、1:1に近い交差反応性比をもつ。また、この試薬は、テストされたピリジニウム−ペプチド形態(Pyd及びDpdペプチドの両方)を上回ってN−Dpdについて選択性であり、約3:1を超える、そして本ケースにおいては、9:1を超える、分子量において1,000ダルトンを上回るピリジニウム・ペプチドに対する反応性の比を示す。さらに、この試薬は、テストされたアミノ酸混合物との最小の交差反応性(5%)を示す。
より一般的には、Pyd/Dpd−特異的であるMab試薬は、約2:1〜1:2間の生来の遊離ピリジノリン(N−Pyd)及び生来の遊離デオキシピリジノリン(N−Dpd)に対する反応性をもつ。
B.4 アフィニティー・クロマトグラフィー
本発明に係る抗体試薬を、例えば、プールした尿素をこのようなマトリックスに通過させることにより、コラーゲン組織から得られた生来の遊離ピリジニウム架橋を結合させ、そして集めるための、標準的なアフィニティー・クロマトグラフィー法に従って、アフィニティー・クロマトグラフィー・マトリックス中で、使用することもできる。N−Pydの単離のために、N−Pydに特異的である抗体試薬をそのマトリックス中で使用することができる。あるいは、N−Pyd及びN−Dpdの両方の単離のために、競合的アフィニティーにより両方に結合する抗体を使用する。得られた生来の遊離の架橋を、適宜、実施例1及び2中に記載する方法により、さらに精製することができる。
C. ポリクロナール抗体
ポリクロナール抗体調製は、本分野において一般的に知られた免疫学的プロトコール、例えば、Harlow,pp.93−115に従って、好適な哺乳類被験体、例えば、ウサギ又はマウス中に免疫原を注射することを含む。典型的には、ウサギは、アジュバント中の免疫原により皮下注射され、そしてブースター免疫感作が2−3週間毎に皮下又は筋中注射により与えられ;マウスは、同様のスケジュールに従って腹膜内注射されることができる。血液を、例えば、それぞれの免疫感作注射の1−2週間後に、間隔をおいて採取する。抗血清を、標準的な免疫沈降方法(Harlow,pp.423−470)に従って、N−Pyd又はN−Dpdに関する抗体形成を測定するために、滴定することができる。ウサギにおけるポリクロナール抗体の1産生方法の詳細を、実施例19中に与える。
ポリクロナール抗血清についての結合アフィニティー定数は、公知の方法により(例えば、免疫沈降又はELISA検定を使用したScatchard分析による)決定されることができ、そして選択されたピリジニウム種に対して特異的である抗血清中の抗体についての平均結合アフィニティー定数を表す。ウサギVI−8から得られたポリクロナール抗体は、Scatchard分析により測定されるように、約1x108のN−Pydについての結合定数をもつ。
選択されたピリジニウム種及び他のピリジニウム架橋についての抗体試薬の相対的な結合特異性を、先にセクションBに記載され、そして実施例10中に詳説するような競合的結合検定により測定することができる。表3.5は、ウサギVI−8から得られた抗−Pyd抗血清の相対的結合特異性を示しており、ここで、N−Pydとの反応性を100%として定義した。
表から分かるように、N−Pydに特異的であり、N−Dpdとの10%未満の交差反応性を、Pyd−ペプチド(MW>1000)との5%未満の交差反応性を、そしてアミノ酸混合物との中程度(〜12%)の交差反応性を示す。本発明の1つの態様に従えば、ポリクロナール抗体試薬は、先の抗原−競合検定により測定されるような、3:1を超える、そして好ましくは約5:1を超える、選択された生来の遊離のピリジニウム種(N−Pyd、N−Dpd、又は両方)及び分子量において1,000ダルトンを上回る尿中ピリジニウム・ペプチドに対する反応性をもつ。
III. イムノアッセイ・キット
他の態様において、本発明は、ヒト被験者におけるコラーゲン分解レベルの検定における使用のための診断キットを含む。このキットは、(a)生来の遊離のピリジノリン及び生来の遊離のデオキシピリジノリンから成る群から選ばれたピリジニウム架橋と免疫特異的に反応することができ、約3:1を超える、好ましくは約5:1を超える、選択されたピリジニウム架橋に対する反応性と、分子量において1,000ダルトンを上回る尿中ピリジニウム・ペプチドに対する反応性との比をもつ、抗体試薬、及び(b)その抗体試薬とその遊離のピリジニウム架橋との反応により形成された免疫複合体の量を検出するための検出手段、を含む。好ましい態様においては、この検出手段は、比色定量シグナル、すなわち、分光光度計により測定されることができるシグナルを作るために有効なものである。
1つの一般的な態様においては、このキットは、その抗体試薬と免疫反応性であるサンプル中の生来の遊離のピリジニウム架橋の量に比例してその検出試薬中のリポーター基に結合するのに有効な表面付着結合性分子をもつ固相支持体を含む。
説明の目的のために、サンプル中のN−Pydを測定するための、このようなキットの特定の態様を、図1A−1C中に(10)において示す。キット内の固相支持体(12)は、結合剤が吸着され又は化学的に付着されることができる1表面をもつ。化学的に誘導体化されることができる基、又はタンパク質吸着において有効な表面をもつ様々なガラス及びポリマー樹脂支持体が利用できる。1つの好ましい態様においては、このキットは、マイクロタイター・プレート内の96ウェルを提供し、ここでは、そのウェル表面は、このキットにおける固相支持体表面を形成する。
キット(10)における結合剤は、N−Pydであり、図中、例えば、(16)においてPyd(N)分子により示される。この結合剤は、固相に、本ケースにおいては、96ウェル・マイクロタイター・プレート内のそおれぞれのウェルに、卵白アルブミン−ビオチン複合体、例えば、図1A中複合体(18)をそのウェル表面に最初に吸着させ、次にN−Pyd−ストレプトアビジン複合体、例えば、複合体(20)をその吸着したビオチンへの付着させることにより、付着される。あるいは、卵白アルブミン−ビオチン複合体の吸着を省略することができ、そしてN−Pyd−ストレプトアビジンをその固体支持体に直接に結合させることができる。N−Pydコート・マイクロタイター・プレートを作る方法を、実施例8及び9中に詳説する。
このキット内の抗体試薬を図1B及び1C中(22)において示し、これは、先のセクション中に記載したモノクロナール抗体を含む。図1B中に示されるように、サンプル中のピリジニウム架橋、例えば、(26)において示されるN−Pyd架橋は、その抗体試薬との結合について表面結合N−Pydと競合する。サンプル架橋との抗体試薬の反応により形成された免疫複合体を、この図中で(28)において示す。
このキット内の検出試薬は、図1C中(24)において示されたリポーター標識第二抗体であり、これは、固体支持体に付着されたN−Pydにそれ自体が結合する抗体試薬に結合するのに有効である。リポーター標識抗体、例えば、酵素標識抗体は、商業的に入手可能であり又は様々なリポーター部分について容易に構築される(Harlow,pp.319−358)。酵素標識抗体内の1つの好ましい酵素は、アルカリ性ホスファターゼであり、これは、p−ニトロフェニルホスフェート基質と反応し、405nmにおける強い吸収をもつ着色生成物を作ることができる。
リポーター標識第二抗体は、このキット内のモノクロナール抗体試薬が免疫感作マウスから得られる場合には、典型的には、抗−IgG抗体、例えば、抗−マウスIgG抗体である。ここで、(先のようなN−Pydと免疫反応性である)抗体試薬は”リポーター標識性”である。なぜなら、その抗体試薬がそのリポーター標識第二抗体との反応により標識されるようになるからである。リポーター標識性抗体試薬の他の例は、検出目的のためのリポーター標識されたストレプトアビジン又はビオチン標識されたパートナーと反応することができるビオチン−又はストレプトアビジン−標識抗体を含む。
他の態様においては、この検出試薬は、リポーター、例えば、酵素により標識された、抗−Pyd抗体試薬それ自体であることができる。
このキットにおける検出手段は、リポーターの検出に必要な必要基質をも含むことができる。
固相支持体をもつキットの他の態様においては、この支持体に付着された結合剤(結合分子)は、セクションII中に記載した抗体である。この抗体は、標準的な方法に従って、例えば、化学的誘導体化又はプロテインA又は抗−IgG抗体によるその抗体のアフィニティー結合を含む様々な公知の方法によりその固体支持体に付着されることができる。この態様においては、このキットは、さらにその支持体上の抗体試薬に結合するためにそのサンプル中のN−Pydと競合するのに有効なピリジノリン試薬を含む。検出目的のために、このピリジノリン試薬は、ピリジノリンに共有結合したリポーター標識を含むことができる(すなわち、その試薬は、リポーター標識されたピリジノリンであることができる。)。あるいは、このピリジノリン試薬は、リポーター標識性であることができ、ここで、このピリジノリン試薬は、例えば、対応するリポーター標識されたストレプトアビジン又はビオチン分子による認識のために、ビオチン又はストレプトアビジンのような剤に結合されたPydを含むことができる。
他の特定の態様においては、本キットは、EMIT遠心分離(酵素増加イムノアッセイ技術(enzyme multiplied immunoassay technique)、図7A−7C)を使用する。このアプローチにおいては、サンプル分析物は、その標識酵素への抗体の結合がその酵素の触媒活性における減少を導くような条件下で、分析物−特異的抗体への結合についてその分析物標識酵素と競合する。これ故、その酵素の観察された触媒活性は、そのサンプル中の分析物のレベルに比例し、分析物のレベルが高ければ、より高い酵素活性を生じさせる。
図7A−7Bを参照すれば、上記キットは、酵素(34)及び1以上のピリジニウム(すなわち、遊離のピリジノリン又は遊離のデオキシピリジノリン)標識(36)から形成されたあピリジニウム標識酵素(32)を含む。図中に示した態様においては、ピリジニウム標識(36)は、遊離のピリジノリンである。酵素(34)は、好ましくは、分光光度計により測定されることができる検出可能な生成物の形成を触媒することができる。本キットにおける使用に好適である例示的な酵素は、リューコノストック・メセンテロイド(Leuconostoc mesenteroides)からのグルコース−6−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ(G6PDH)である。
また、ピリジニウム標識(36)及び分析物ピリジニウム種(40)と免疫特異的に反応することができるピリジニウム特異的抗体(38)も含まれる。図7A−7C中に示す態様においては、標識(36)及び分析物ピリジニウム種(40)は、遊離のピリジノリンである。
酵素(34)と標識(36)との間の結合は、直接的な結合又は本分野において公知の様々なカップリング剤の使用による間接的な結合を介して存在することができる(例えば、Wong,1991)。例えば、好ましい態様においては、カルボジイミド試薬の存在中ピリジニウム標識(36)(例えば、ピリジノリン)と酵素(34)との反応は、酵素(34)内のアミノ基又はカルボン酸基と標識(36)内のカルボン酸基又はアミノ基との直接カップリングを導く。このような直接結合を形成するための反応条件を、実施例15中に提供する。あるいは、標識(36)、酵素(34)、又は両方が、その標識とその酵素との間の選択された長さの(すなわち、間接的カップリングを介して)架橋基を形成するのに有効なカップリング試薬と反応することができる。実施例16中に記載する手順において、ピリジノリンは、カップリング剤、スルホ−SMCC(以下、SMCCという)と反応し、マレイミド含有ピリジノリン付加物を形成する。次にこの付加物は、酵素(34)の表面上のアミノ基又はスルフヒドリル基と反応し、標識酵素(32)を形成することができる。実施例16中に説明するように、酵素は、例えば、N−スクシンイミジルS−アセチルチオアセテート(SATA)により誘導体化され、このピリジノリン付加物と反応性である追加のスルフヒドリル基を導入することができる。カップリング剤SPDPを使用した類似のアプローチを実施例17中に記載する。
標識酵素(32)の望ましい特性は、(1)その標識酵素が非標識酵素の活性に関して触媒活性の実質的な量(すなわち、約5%を超える)を保持し、そして(2)ピリジニウム標識(36)へのピリジニウム特異的抗体の結合が標識酵素(32)の活性において検出可能な減少をもたらす、ということである。
したがって、標識酵素を調製するための反応は、その酵素内の活性部位残基の標識により活性損失を最小化するために活性部位リガンド(例えば、基質又は基質アナログ)の存在中で行われることができる。さらに、標識(36)により標識されるべき酵素表面基のタイプは、本分野において知られるような、カップリング剤及び反応条件の好適な選択により選ばれることができる(Wong,1991)。
本キットにおける使用に好適である標識酵素の調製においては、幾つかの標識された酵素の候補は、様々なカップリング試薬及びピリジニウム標識:酵素比のあるレンジを使用して調製されなければならない。ピリジニウム標識:酵素の高い比は、(その部位における抗体の結合が触媒活性を減少させるであろうように)その活性部位の近くの残基を標識する見込みを増加させるけれども、このような高い比は、図8から分かるように、触媒活性のより大きな損失をも導くことができる。酵素活性に関してのピリジニウム標識:酵素の最適比は、典型的には、以下に討議する追加の考慮に基づき決定される。
抗体(38)は、先にセクションII中に討議した一般的な方法により産生されたポリクロナール抗体又はモノクロナール抗体であることができる。典型的には、生来の遊離にピリジノリン、デオキシピリジノリン、及び高分子量のピリジニウム・ペプチド形態に関しての抗体の特異性は、セクションII中に討議したように決定され、そして実施例10中に説明される。
先に述べたように、標準酵素(32)への抗体の結合は、酵素の活性における検出可能な減少を導く。好ましくは、過剰の抗体(38)は、少なくとも約10%程、そしてより好ましくは、少なくとも約20〜30%程、標識酵素(32)の触媒活性を減少させることができる。抗体調製物が触媒活性を減少させる能力は、図9A及び9B中に例示するアプローチにより評価されることができる。図9Aは、セクションII.B.1中に討議したように調製したPyd−特異的モノクロナール抗体(V−6H2)の増加濃度の関数としてのPyd−標識G6PDH(G6PDHの1分子当たり〜8分子のH−Pyd)の活性を示している。図から分かるように、酵素活性は、100倍抗体希釈の存在中100%から10倍抗体希釈の存在中60%まで降下した(すなわち、40%の減少)。図9Bを参照すると、これは、Pyd−特異的ポリクロナール抗体(VI−8−19)についてのデータを示すが、400倍希釈から10倍希釈への抗体濃度の増加は、約80%の活性損失を導いた。
キット(30)は、抗体(38)及び分析物(40)の存在中、酵素(32)の触媒活性を測定するための検出試薬をも含むことができる。図7中に例示するキットにおいて、ここで、酵素(32)はG6PDHであるが、この検出試薬は、340nmにおいて強く吸収性であるニイコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NADH)の還元形態を作るための、グルコース−6−ホスフェート及びニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD+)の酸化形態を含む。好ましい態様においては、そのキットが多ウェルのマイクロタイター・プレートを提供する場合、酵素(32)の触媒活性は、時間の関数として吸光度を測定することができるマイクロプレート・リーダーを使用して測定される。
例示的なEMIT−ベース検定キットの使用を実施例18中に詳説する。要約すれば。50μLアリコットのピリジノリン標準又は希釈尿サンプルをマイクロタイター・プレートのそれぞれのウェルに添加し、その後、100μLの好適に希釈した抗体を添加する。そのプレートを選択された時間(例えば、2分間)にわたり室温においてインキュベートした後、100μlの希釈EDC−結合ピリジノリン−G6PDH結合体(8 Pyd/G6PDH分子)を、それぞれのウェルに添加し、その後室温において(例えば、約5分間)インキュベートする。最後のインキュベーション期間の後、グルコース−6−ホスフェート及びNAD+を含む60μLの基質溶液をそれぞれのウェルに添加し、そしてG6PDH活性をマイクロプレート・リーダーを使用して340nmにおいて測定する。様々なPyd標準により測定された活性を、尿サンプル中のPydのレベルを測定するために使用されることができるPyd換算曲線(例えば、図10参照)を構築するために使用する。サンプル、抗体試薬、及び酵素が一緒に添加されるオーダーが実施例18において使用されるものと異なることができるということが理解されよう。
先のキットをN−Pydの検定について説明したけれども、類似の処方が、そのキットがN−Dpd−特異的抗体試薬を使用したN−Dpdの測定のためのもの又は競合性アフィニティーをもってN−Pyd及びN−Dpdに結合する抗体試薬を使用したN−Pyd及びN−Dpdの合計の測定のためのものである場合に、使用されることができることが理解されよう。
さらに、本発明に係るキットが放射トレーサー、結合酵素、蛍光性、及び化学発光性に基づく処方を含む、多数の他の同種及び異種検定処方に改良されることができるということが理解されよう。
IV. イムノアッセイ法
本発明に係るイムノアッセイ法は、ヒト被験者における骨コラーゲン分解活性の検定方法を提供する。本法は、先のセクションII中に記載された抗体試薬と上記被験者からの尿サンプルとを反応させ、その抗体とそのサンプル中の生来の遊離のピリジノリンとの間に免疫複合体を形成させ、そして形成された免疫複合体の量を計測することを含む。
好ましくは、セクションV中にさらに討議するように、尿サンプルを、そのサンプルをその抗体試薬と反応させる前に、(例えば、濾過を介して)ニトロセルロース・フィルター又は膜と接触させ、N−Pydの計測を妨害することができるサンプル中の物質のレベルを減少させる。
先のセクションIII中に示すように、尿サンプルと抗体試薬との反応を、様々な配置を使用した固相方式において、又は同種の検定方式において、行うことができる。例示的な目的のために、このイムノアッセイ法を図1A−1C中に示すようなものと類似した固相支持体を含む検定方式を参照しながら以下に記載する。
本法の例示的な態様においては、尿サンプルの既知の容量、典型的には10−100μlが、N−Pyd−コートされた固体支持体、例えば、マイクロタイター・プレート内のウェルに添加し、その後、既知希釈における抗体試薬の既知容量、典型的には50−200μlを添加する。固体支持体表面上の混合物を次に、好ましくは、抗体、サンプル・ピリジニウム架橋、及び表面結合Pydの間の平衡を達成するのに有効な条件下で、インキュベートする。実施例8中に詳説する方法においては、このインキュベーションを2−8℃において一夜行う。
インキュベーション後、固体支持体を数回洗浄し、その支持体に非特異的に結合した抗体を除去し、そして次に支持体結合抗体に特異的に結合するのに有効なリポーター−標識抗−IgG抗体等とインキュベートする。便利には、マウスを使用して得られたモノクロナール抗体については、リポーター−標識抗体は、アルカリ性ホスファターゼに結合されたヤギ抗−マウスIgGである。短いインキュベーション時間の後、支持体を再び洗浄し、非特異的に結合した材料を除去し、そしてその支持体に結合した酵素のレベルを、酵素基質の添加により、変換された基質の分光光度計測定により、測定する。
N−Pydの測定のための典型的な検定においては、N−Pydの増加濃度を含むN−Pyd標準を、N−Pyd濃度の標準曲線を作成する目的をもって、ウェルの幾つかに2連で添加する。次に40までのサンプルを2連で残りのウェルに添加し、そして次にそのウェルを先のように検定する。標準曲線をN−Pydの尿中濃度を測定するために使用する。測定された濃度を、好ましくは、尿中濃度及び体質量中の変化についてそのサンプルを標準化するために、N−Pyd/クレアチニンの比として表す。尿中クレアチニン濃度は、標準的な方法、例えば、アルカリ性ピクレートとの反応に基づくものにより、検定されることができる(Cook,1975)。
尿中のN−Pydを測定するための検定を、先に記載したように行うが、そのサンプル中のN−Dpdの濃度を測定するためのN−Dpd標準曲線を使用する。本検定方法が競合性アフィニティーをもってN−Pyd及びN−Dpdに結合する抗体試薬によりN−PydとN−Dpdとの合計を測定する場合、一旦、N−Pyd及びN−Dpdについての抗体試薬の相対的アフィニティーが確立されれば、N−Pyd又はN−Dpdのいずれか1つに基く標準曲線がその方法において十分なものであることが理解されよう。
実施例8は、先のセクションII.B.1中に記載されたPyd XXV−3G6−3B11−1A10細胞により産生されたN−Pydに特異的なモノクロナール抗体を使用して本発明に従って尿中ピリジニウム・レベルを検定するための典型的な手順を説明している。この検定は。2つの96ウェル・マイクロタイター・プレート内で行い、それぞれのプレート内の12ウェルを6のN−Pyd標準の2連サンプルのために使用し、そしてそれぞれのプレート内の44ウェルを閉経後女性からの22の2連尿サンプルのために使用する。上記6のN−Pyd標準から作成されたN−Pydについての標準曲線を、それぞれの未知のサンプルについて、その検定抗体と免疫反応性であるサンプルのピリジニウム架橋の(nMにおける)濃度を計算するために使用した。先の表1からのデータは、測定されたピリジニウム濃度が、N−Dpdからのほんの僅かな寄与を伴って、そのサンプル中のN−Pydをほとんど完全に原因とすることを示している。
上記44サンプルからの測定されたピリジニウム架橋濃度を、HPLCにより測定された全H−Pyd濃度に対してプロットし、図2中に示す散乱プロットを与えた。この図中の最適適合回復線は、等式y=−10.407+0.40310xにより与えられる。これ故、この検定において測定されたピリジニウム架橋濃度は、0.3−0.5間の勾配、特にこのデータのセットにおいては、0.403の勾配を伴う線形関係により、サンプル中の全加水分解ピリジノリンの濃度に関係する。測定されたピリジニウム架橋濃度と全H−Pydとの間の線形関係、及びその2つの間の高い相関(r=0.982)は、測定されたピリジニウム架橋レベルからその検定における全Pyd値の正確な測定を可能にする。
本検定において測定されたN−Pydレベルが、分解が生じるときコラーゲン誘導架橋を生成する組織の代謝状態の決定のための係数を提供するために使用されるとができるということが理解されよう。先に討議したように、様々な異常又は病因学的骨代謝症状は、ヒト尿サンプル中のN−Pyd及び全Pydの両方における変化により、特徴付けられる。さらに、N−Pydにおける変化は、同様に、N−Dpdにおける変化の良好な尺度を提供する。この後者の点は、以下の表4中のデータにより説明される。この表は、様々な尿サンプル中の精製されたN−Pyd及びN−Dpd架橋からHPLCにより測定された、N−Pyd及びN−Dpdのレベルを示している。
これらの結果は、結合組織の過剰な破壊を特徴とする疾患を患うていると知られた患者における遊離架橋の劇的に上昇したレベルを示している。
表5は、様々なの患者群における加水分解後に測定された反応性の全架橋のパーセンテージとしてのN−Pyd及びN−Dpdの割合を示している。
表5中に見られるように、(全Pydのパーセンテージとしての)N−Pyd及び(全Dpdのパーセンテージとしての)N−Dpdのパーセンテージは、対照と比べたとき異常症状をもつ患者において相対的に変化がなく、尿中で測定されたN−Pydレベルは、その尿の加水分解後に測定された全H−Pydレベルが表す(reflect)のとコラーゲン分解における同一の増加を表し;そして同様に、尿中で測定されたN−Dpdレベルは、全H−Pydレベルが表すのとコラーゲン分解における同一の増加を表す。
V. 尿サンプルの前−濾過
他の態様においては、本発明は、尿中分析物の定量のための検定を含む。この検定においては、尿サンプルを、分析物が通過するのを許容しながら、抗体に非特異的に結合する物質を除去するのに有効である膜を通して濾過する。濾過されたサンプルを、そのサンプル中の分析物の量に比例してその固体支持体にその抗体を結合させるのに有効な条件下で、その分析物との抗原−抗体複合体を形成させるのに有効な結合試薬(結合分子)と、反応させる。
本法は、尿サンプル中に変化量において存在する物質がイムノアッセイの感度、精度(precision)、及び正確さ(accuracy)を妨害することができるという発見に基く。妨害物質(単数又は複数)は、個体から個体まで変化し、そして同一の個体から得られた異なるサンプルにおいて変化することもできる。
本発明に従えば、妨害物質(単数又は複数)は、(i)選択された閾量を下回るサンプル中の妨害物質(単数又は複数)のレベルを減少させるために適切である結合能力、及び(ii)問題の分析物についての低いアフィニティー、すなわち、サンプル処理後の分析物の濃度がサンプル処理前と本質的に同じであること、を特徴とする分離媒体(例えば、フィルター膜)と尿サンプルとを接触させることにより、除去されることができる。この分離媒体のための他の望ましい特徴は、操作の迅速性及び小さな保持容量を含む。
分離媒体として使用することができる材料は、その分析物の性質に従って変化し、そしてニトロセルロース−ベース材料、疎水性/高タンパク質−結合材料、及び帯電親水性材料を含む。この媒体の形態(configuration)は、様々な形態であってストリップ、ビーズ、カートリッジ、フィルター・ディスク、又は例えば、スピン濾過装置含むものを呈することができる。妨害物質の除去における分離媒体の効力は、以下に記載する方法により評価されることができる。
1つの好ましい態様においては、実施例13−14に説明するように、この分離媒体は、速いサンプルの通過を提供するスピン濾過装置として形状化される。あるいは、この分離媒体は、結合するための選択された時間にわたりサンプル中に置かれ、そしてこれにより、そのサンプルからその妨害物質を除去されることができる。本発明の支援において行われた研究は、その分離媒体が膜の形態を呈する場合、小さな孔サイズ(例えば、約0.45μm未満、及び好ましくは約0.1μm未満)が、その妨害物質についての膜の結合能力を増加させることができるということを、示唆する。
上記分離媒体及びその下でその分離媒体が使用される条件は、検定される特定の分析物にあつらえられる。一般的には、最初に、その分析物についての低いアフィニティー又はその妨害物質(単数又は複数)についての高いアフィニティーのいずれかに基き候補の分離材料をスクリーンすることが有用である。
分析物の特定の分離媒体への結合は、分析物の既知レベルを含む1以上の標準的な溶液を使用して評価されることができる。好ましくは、非尿溶液を、上記妨害物質(単数又は複数)の効果を回避するために使用する。上記の標準的な溶液を、上記の分離媒体と接触させ(例えば、濾過させ)、そしてその分析物を、いずれかの分析物がその分離媒体に結合されたかどうかを決定するために検定する。他のアプローチにおいては、上記妨害物質(単数又は複数)を含む尿サンプルの分析物−含量を、その妨害物質により影響されない分析方法(例えば、HPLC)を使用して測定する。その分離媒体とそのサンプルとの接触後に測定された分析物のレベルの変化の存在は、その媒体のさらなる特徴付けが保証されるということを示している。
特定の分離媒体による妨害物質(単数又は複数)の捕獲は、多数のアプローチにより評価されることができる。例えば、分析物を測定するために使用するイムノアッセイは、その分析物の存在の有無にかかわらず、その妨害物質の存在を報告する検定を提供するために修飾されることができる。図12中に説明するように、妨害物質は、分析物−特異的抗体の非存在中、マイクロタイター・プレートの固体支持体にリポーター−標識抗−抗体の結合のレベルを測定する検定を使用して検出されることができる。この固体支持体への抗−抗体のこのような非特異的結合を引き起こす尿サンプルを、次に、そのサンプルにより引き起こされるこのような非特異的結合を減少させ又は削除するための候補の分離媒体の有効性を評価するために使用することができる。
一旦、妥当な分離媒体が同定されれば、その材料の組成及び結合能力を、その分析物のイムノアッセイの要求に従って最適化することができる。
典型的には、この分析物を競合形式において検定し、ここで、その尿サンプルを、リポーター−標識競合分析物の存在中で分析物−特異的抗体試薬と反応させ;抗体試薬と競合分析物との間に形成される免疫複合体の量は、その尿サンプル中に存在する分析物の量に逆比例する。普通には、分析物−特異的抗体試薬又はリポーター−標識競合分析物のいずれかを、表面−付着結合分子として、固体支持体上に固定化する。あるいは、サンドイッチ検定形式を使用する。ここでは、分析物を結合させるための第一抗体を、固体支持体上に固定化し、そしてリポーターにより(例えば、酵素−標識抗−抗体)により標識付けされる又はされることができる第二抗体を、その第一試薬に結合される分析物を検出するために、使用する。
代表的なイムノアッセイにおける妨害物質の効果を、表6中に示すデータにより説明する。これらのデータは、分析物としてN−Pydによる、図1中に説明するイムノアッセイ形式を使用して得られる。実施例11中に詳説するように、ニトロセルロース・フィルターとの接触の前後の6の尿サンプルのアリコットを検定し、そしてそれぞれのサンプル中の分析物の見かけのレベルを1セットのN−Pyd標準溶液から得られたデータとの比較により測定した。
表6から分かるように、N−Pydの測定濃度は、ニトロセルロース・フィルター・ディスクを介しての妨害物質の除去後約7−45パーセント程増加し、これは、サンプル間の妨害の程度における広いバラツキを示している。その上、濾過サンプルにより得られた分析物の濃度は、HPLCにより測定されるとき、サンプル中のN−Pyd濃度と高く相関し、これは、妨害物質によるサンプルのバラツキが分離媒体との接触により大きく取り除かれることを示している。
実施例12中に記載する研究において、妨害物質が、添加された抗−分析物抗体の非存在中固体支持体への酵素標識抗−抗体の結合を仲介物質することが示される。44の尿サンプルを抗−分析物抗体の非存在中実施例8中に記載するN−Pydのための検定形式を使用して評価した。テストされた44サンプルの中で、8つが0.02吸収ユニットを上回る光学密度の読みを作り出し、これは、固体支持体への酵素標識抗体の直接的な非−Pyd−特異的結合を仲介する物質(単数又は複数)の存在を示している。固体支持体への抗体のこの非分析物−特異的結合は、他のリポーター−標識抗−抗体、例えば、ウサギ抗−マウス抗体によっても観察される。
表7は、スピン−フィルター装置内のニトロセルロース膜を通してのサンプルの通過の前後の、実施例12からの8のやっかいな尿サンプルにより得られた(実施例13)。この表は、先の濾過によらず、テストされた尿サンプルは、0.36〜0.101の吸収ユニットのレンジにある光学密度の読みを生じさせたことを示している。しかしながら、尿サンプルがニトロセルロース膜を通してのスピン−濾過されたとき、光学密度の読みは、そのサンプルのすべてについて0.02吸収ユニット未満に減少された。これ故、ニトロセルロース膜は、固体支持体への抗−抗体の非特異的結合が実質的に減少されるような妨害物質を除去するために有効である。
このような非特異的結合の発生が検定される特定の分析物に依存しないことが理解されよう。それ故、本発明に従って、妨害物質(単数又は複数)を除去するための尿サンプルの濾過が、多種多様な分析物についてのイムノアッセイにおいて使用されることができる。
表8及び9は、尿サンプルからの妨害物質(単数又は複数)の除去において有用であることが見つかった3つの分離媒体の比較効果を説明している(実施例14)。表8は、濾過前後の16の尿サンプルにより得られた光学密度の読み(OD)を示している。表から分かるように、濾過前のサンプルについての光学密度の読みは、0.0〜0.905吸収ユニットのレンジにある(第二列)。しかしながら、Immobilon(商標)−CD(CD)及びImmobilon(商標)−PSQ(PSQ)フィルターを通してのサンプルのスピン−濾過は、ニトロセルロース(NC)により得られた結果と同様に、ゼロまでそのサンプルの光学密度の読みを減少させた(3−5列参照)。
表9は、ニトロセルロース(NC)、Immobilon(商標)−CD(CD)、及びImmobilon(商標)−PSQ(PSQ)膜を通してのサンプルの濾過後に測定されたN−Pydのレベルが互いに優れた一致状態にあったことを示している。これ故、すべての3つの媒体が本発明に従って妨害物質を除去するのに好適である。
VI. 適用
先に述べたように、コラーゲン含有組織のピリジニウム架橋含量は、組織タイプに従って変化する。Pyd架橋は、軟骨、骨、椎間円板、靱帯、及び大動脈内に見られる。Dpd架橋は、一般的に、Pyd架橋よりも少なく、そして骨、歯、靱帯、及び大動脈内に見られる。組織ピリジニウム架橋中のDpdの割合は、骨において最も高いようであり、それは、約3:1〜4:1の間のPyd:Dpd比をもつ。
増加した尿中Dpd(及びPyd)レベルを特徴とし、そしてこれ故、骨分解の上昇速度を併発する症状は、例えば、骨粗しょう症、パジェット病、甲状腺機能低下症、骨関節炎を含む。上昇Pyd及びDpdレベルを含む他の症状は、骨代謝を変更し又は骨組織中で確立されるようになる様々な形態の代謝性癌を含む。
本発明は、N−Pyd及びN−Dpdの上昇尿中レベルがヒトにおける増加したコラーゲン分解活性の信頼できる指標であるという発見に部分的に基く。N−Pydの又はN−Pyd及びN−Dpdの両方の上昇レベルの測定は、増加したコラーゲン分解の一般的な指標として役立つ。本発明に従ったDpd−特異的抗体を介しての尿中N−Dpdの測定は、骨の上昇分解についての相対的に特異的なマーカーとして役立つ。
本発明は、先に記載した症状の管理に関連した抗再吸収療法の監視においても有用である。
さらに、N−Pydについての検定がN−Dpdについての検定との組み合わせにおいて使用される場合、本発明は、Dpd架橋の割合が骨中に見られる割合よりも(Pyd架橋に対して)実質的に小さいコラーゲン−含有組織の破壊に関連する顕著な症状に有用である。例えば、リウマチ様関節炎においては、Dpd架橋において相対的に低い結合組織の破壊に関連するようであり、尿中のN−Pyd体N−Dpdの比は、増加した骨分解単独により観察される比に比べて上昇される。
図3は、転移癌患者からの尿サンプル中の上昇N−Pydレベルの検出のための、図1A−1C中に示す検定形態におけるPyd−特異的抗体試薬の使用について説明している。この図の左の上に示した点の列は、健康な被験者の群内で測定された(Pyd/クレアチニンとして表された)N−Pydのレベルである。この図の右の上に示した点の列は、転移癌をもつと診断された患者において測定されたN−Pydレベルである。このデータは上昇したN−Pydレベルをもつ患者を現し、これは、その患者の腫瘍学的症状における類似の骨関連を示している。
図4は、骨粗しょう症患者からの尿サンプル中の上昇N−Pydレベルを検出するためのPyd−特異的モノクロナール抗体試薬の使用について説明している。図の右の上の点の列(群3)は、27の対照被験者(年齢70−90)の群内で測定された(Pyd/クレアチニン比として表された)N−Pydレベルである。点の中央の列は、明白又は疑いのある骨粗しょう症をもつ20の患者(年齢71−99)において測定されたN−Pydレベルである(群2)。左の上の点の列(群1)は、重度の骨粗しょう症関連大腿頸部骨折をもつ30の患者において測定されたN−Pydレベルである。このデータは、年齢を合わせた対照群(群1)に比較して、骨粗しょう症患者群の両方(2及び3)における尿中N−Pydの上昇レベルを示している。
尿中Dpdの上昇レベルの検出のための、本発明に従うDpd−特異的モノクロナール抗体の使用を、図5中に説明する。この試験においては、N−Dpdの検出に改良した、図1A−1C中に示す検定形態を使用した。この図中に左手内の点は、健康な患者の群についての(Dpd/クレアチニン比として表された)測定Dpdレベルである。この図中の中央の列内に点は、診断された骨代謝失調をもつ患者を含む患者集団から測定されたDpdレベルである。この図内の点の右手の列は、腫瘍学的患者の群についての測定されたDpdレベルである。このテストは、上昇されたDpdレベルをもつ患者、すなわち、その腫瘍学的症状がおそらく骨関連を含むような患者を、同定する。
図6は、骨粗しょう症のための治療下の女性におけるDpd−特異的モノクロナール抗体の使用について説明する。この研究においては、Dpdレベルは、治療前(図中の白棒)及びエストロゲン療法の1年後(網棒)に測定した。患者の中の7人において、Dpdレベルにおける測定可能な降下が治療伴い観察され、これは、この治療が骨再吸収における望ましい減少を作り出していることを示している。治療によりDpdレベルが上昇した残る2つのケースにおける結果は、別の治療が考慮されるべきであることを示すことができる。
これまでの記述から、本発明の目的がどのように適合するかを理解することができる。生来の遊離の架橋検定は、非−加水分解尿サンプルをもって使用されることができ、これにより、初期の酸加水分解段階の必要性を回避する。本検定は、抗体試薬を使用し、そしてこれ故、本分野において公知の多数の便利且つ速い検定形式に改良されることができる。その上、尿サンプル中の、生来のPyd、Dpd、又は両方のレベルの評価を提供することにより、本発明は、様々なコラーゲン−関連の病因学的状態を検出及びモニターするために使用されることができる。
以下の実施例は、本発明に従う抗体試薬の製造方法及び検定法について説明する。これらの実施例は、例示的であり、いかなる方法においても、本発明の範囲を限定することを意図されない。
実施例
材料及び方法
グルコース−6−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ(G6PDH、Leuconostoc mesenteroides由来;ε(280nm,1%)=1.15ml/mg・cm;硫酸アンモニウム中の懸濁液)、グルコース−6−ホスフェート(G6P)、及びニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD)をBoehringer Mannheimから購入した。5,5'−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、システイン・ヒドロクロリド、N−スクシンイミジルS−アセチルチオアセテート(SATA)、スルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(sulfo−SMCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジイミド−HCl(EDC)、及びN−スクシンイミジル3−(2−ピリジル−ジチオ)プロピオネート(SPDP)をPierce(Rockford,IL)から購入した。p−ニトロフェニルホスフェート錠剤(各20mg)、N−エチル・マレイミド(NEM)、及びジエタノールアミンをSigmaから購入した。透析チューブをSpectrum Laboratoriesから購入した。マイクロタイター・プレート(96−ウェル)をNunc及びCostar Corpから購入した。マイクロタイター・プレート内の溶液の吸収値をMolecular Devices Corp.(Menlo Park,CA)からのV−Maxマイクロプレート・リーダーを使用して測定した。試薬の遅い一滴ずつの添加を、LKBからのMicroperplex蠕動ポンプ#2132を使用して行った。
A. モノクロナール抗体のための試薬
雌の自己免疫性MRL/MpJ−lprマウスをJackson Laboratory,Bar Harbor,Maineから購入したあ。
マウス非−分泌性P3X63Ag8.653ミエローマ細胞、並びにマウス単球−マクロファージ細胞系P388D1(IL−1)及びJ774A.1をAmerican Type Culture Collection(ATCC),Rockville,Marylandから購入した。
アジュバントRibi及びRibi(CWS)をRIBI Immunochem Research,Inc.,Hamilton,Montanaから購入した。50%PEG 1500(ポリエチレン・グリコール1500、水中の50%(W:V))をBoehringer Mannheim,Indianapolis,Indianaから購入した。HAT及びHTをSigma Chemical Company,St.Louis,Missouriから購入した。Dulbecco's Modified Eagle Medium(DMEM)、NCTC−109、及びゲンタマイシンをGibco,Grand Island,New Yorkから購入した。FetalCloneウシ血清はHyclone Laboratories,Inc.,Logan,Utahからのものであった。オキサロ酢酸及びインシュリンは、Sigma Chemical Companyからのものであった。S−DMEMを以下のように配合した。ここで、パーセンテージは、最終培地中の最終容量パーセンテージを示す:DMEM(80%)、NCTC−109(10%)、FetalCloneウシ血清(10%)、オキサロ酢酸(1mM)、L−グルタミン(2mM)、ゲンタマイシン(50μg/ml)及びインシュリン(10μg/ml)。
ならし培地の調製のために、マウス単球細胞系P388D1(IL−1)、又は交換可能な状態で、細胞系J774A.1をS−DMEM培地中で培養し、1週間に2回1:4に分けた。3日間毎に、組織培養上清を0.2ミクロン・フィルターを通して濾過し、そして次に4mM L−グルタミンを補った。得られた濃縮ならし培地をS−DMEMのための20%補足物として使用し、ハイブリドーマ細胞を生じさせた。
特にことわらないかぎり、PBSは、0.01M燐酸塩及び150mM NaClを含むバッファー、pH7として定義される。
実施例1
架橋のHPLC測定
Pyd及びDpdについてのHPLC分析を本質的にBlack et al.(1988)により記載されたように行った。簡単に言えば、尿サンプルをブタノール及び氷酢酸により調整し、4:1:1混合物(ブタノール:酢酸:サンプル、v:v:v)を作り、そしてCF1セルロース(Whatman)カートリッジ上に適用し、その後、4:1:1ブタノール:酢酸:水により洗浄した。遊離の架橋(及びglyco−Pyd)だけが保持された。この遊離の架橋を水によりCF1セルロースから溶出させた。溶出した材料を1ml/分において流され、そして295nmの励起、395nmの放射における蛍光をモニタリングされる水−アセトニトリル(10分間にわたる3−17%)グラジエントを使用してC18逆相カラム(Rainin,C18−80−200−C3)上で分析した。移動相は、0.1%HFBAを含んでいた。
全尿中架橋を110℃においてHCl中で16時間尿サンプルを加水分解し、その後、先のCF1処理及びHPLC分析することにより測定した。HPLC分離は、加水分解されたPyd及びDpd分画を産生し、これから、全H−Pyd及び全H−Dpdを定量した。
実施例2
架橋の精製
ヒト尿を40psiの背圧を加えて3000 D分子カット−オフ・フィルター(Filtron Co.)を通して濾過した。次に濾液を凍結乾燥させ、そして0.2M酢酸により元の容量の1/20に再構築した。
次に濃縮尿を0.2M酢酸により平衡化したSephadex(商標)G−10 2.6x95cmカラム上に適用した。このカラムから抽出された材料を先に記載したように遊離のPyd及びDpdについて分析した。遊離架橋含有画分を共にプールし、pH2.0に調整し、そして1 x 18cmカチオン交換カラム(Lacarte Co.,UK)上に適用した。
Glyco−Pyd、N−Pyd及びN−Dpdをその後、0.1Mクエン酸ナトリウムpH4.2によりそのカラムから溶出させた。集めた画分を先にようなHPLC分析により架橋の存在について分析した。特定の架橋(glyco−Pyd、Pyd及びDpd)を含む画分を共にプールし、そして分析用2.5 x 10cm逆相C18カラム(Waters)上に適用し、これをその後0.1%HFBAを含むアセトニトリルの2−20%グラジエントにより展開させた。分離された画分(N−Pyd及びN−Dpd)を別々に集め、そして凍結乾燥により濃縮した。この乾燥残渣を0.2M酢酸中で再構築し、そして4℃において保存した。最終材料の純度を重量計及び元素分析により測定した。
尿中架橋−ペプチドを、1000 D分子量カット−オフ透析膜(Spectra Por(商標))を使用してヒト尿の消費的透析により調製した。このペプチド画分の全Pyd架橋及び全Dpd架橋含量を、6N HClにより110℃において16時間ペプチド・サンプルを加水分解し、その後の全H−Pyd及び全H−DpdのHPLC分析により、測定した。
H−Pyd及びH−Dpdの調製的な量を、Black et al.(1988)により記載されているように加水分解された粉末ウシ又はヒツジの骨から得た。
実施例3
免疫原の調製
以下の手順は、生来の遊離のピリジノリン、生来の遊離のデオキシピリジノリン、又は両方に対するモノクロナール又はポリクロナール抗体を得るための免疫原がどのように調製されることができるかについて説明する。以下のA及びB中の手順は、H−Pyd−免疫原に関して記載されており;H−Dpd−免疫原は、H−Pydの代わりのH−Dpdにより、同一のアプローチを使用して調製される。
A. H−Pyd−BSA免疫原
0.1M MES中の9mgのウシ血清アルブミン(BSA)及び3.8mgのH−Pyd、pH5.0から成る3.1mlの溶液に、88mgのEDCを含む0.88mlの水溶液を添加した。室温において4時間反応させた混合物を次に燐酸塩バッファー生理食塩水pH7.0(PBS)に対して消費的に透析した。UV及び蛍光測定は、1モルのアルブミン当たりに置換された5.8モルのピリジノリンを示した。
B. H−Pyd−KLH免疫原
pH5±0.5に調整した水中の乾燥H−Pyd(6mg)の溶液(200μl)に、PBS中のKeyhole limpetへモシアニン(KLH)の10mg/ml溶液の2mlを添加した。この混合物に、30mgの固体1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC,Pierce)を添加し、そして10分間後、別の30mgのEDCを添加し、そしてその反応を室温において4時間進行させた。次にこの反応混合物をPBSに対して消費的に透析し、その後、このH−Pyd−KLH免疫原を集め、そして保存した。
実施例4
抗−Pydモノクロナール抗体の調製
A. 免疫感作プロトコール
雌の生後5週間の自己免疫性MRL/MpJ−lprマウスを以下のプロオトコールを使用して免疫感作させた:
融合の日に、免疫感作マウスをCO2により殺し、そしてその脾臓をそのマウスから切除し、そして37℃に余熱した5mlの血清不含DMEM培地を含む培養皿内に入れた。脾臓に付着した脂肪組織の除去後、その脾臓を5mlの血清不含DMEM培地により洗浄した。次に、この脾臓を小片に切断し、これを、7mlの血清不含DMEM培地を含む細胞ホモゲナイザー内に入れ、そしてその細胞を均質化し、細胞懸濁液を作った。
B. 融合プロトコール
以下の段階を室温において行った。
上記の脾臓細胞懸濁液(血清不含DMEM培地中の〜2x108細胞)及び対数期のP3X63Ag8.653ミエローマ細胞(血清不含DMEM培地中の〜7x107細胞)を、400xgにおいて10分間独立して遠心分離した。得られた細胞ペレットを50mL遠心分離管内の血清不含DMEM培地(10ml)中に一緒に懸濁させ、そして次に、10分間400xgにおいて遠心分離した。この上澄液を完全に取り去り、そのその遠心分離管を叩きその細胞ペレットをほぐした。
細胞融合のために、50%PEG 1500の溶液(4ml)を90秒間にわたありピペットにより穏やかに混合しながら上記の管に滴下した。次に、血清不含DMEM(4ml)を1分間にわたり滴下した。S−DMEM(40ml)を次に穏やかに混合しながら2分間にわたり添加し、その後、その混合物をさらに2.5分間にわたりピペットにより混合した。得られた混合物を400xgにおいて10分間遠心分離した。その上清の完全な除去後、その細胞を20%P388D1−ならしS−DMEM培地中のHATの320ml中に懸濁させた。この細胞懸濁液を16の96−ウェル培養プレート中内にプレートし、200μl/ウェル、そしてこのプレートを次に7%CO2を含む雰囲気中で37℃においてインキュベートした。この細胞混合物を、3及び7日目に、100μl/ウェルの古い培地を取り出し、そして150μl/ウェルのHAT培地(3日目)又はHT培地(7日目)のいずれかを添加することにより、飼養した。これらのウェルを融合の7〜10日後にスクリーンした。
C. 抗−N−Pydモノクロナール抗体の調製のためのハ イブリドーマのスクリーニング
首尾よい融合生成物を実施例8中に記載するようなN−Pydイムノアッセイ形式を使用して免疫反応性についてスクリーンした。N−Pydへの高いアフィニティー結合を示した細胞系を限界希釈法によりサブクローン化し、そしいさらに、N−Pydについての高い結合アフィニティーをもつ抗体の産生についてスクリーンした。N−Pydのついての高い抗体アフィニティーを与えたサブクローン化細胞系の中の1つを、本明細書中、Mab Pyd−XXV−3G6−3B11−1A10と命名する。この細胞系により産生された抗体の特異性は先の表1中に示されている。
実施例5
抗−Dpdモノクロナール抗体の調製
抗−Dpdモノクロナール抗体を、実施例3におけるように調製したH−Dpd−KLH免疫原を使用して、実施例4中に記載したて手順により調製した。マウスの免疫感作手順は、実施例4におけるものと同じである。但し、Ribi(CWS)をRibiの代わりのアジュバントとして使用し、マウス当たり75μgの免疫原を、100μgの代わりに第四免疫感作段階(融合から18日目)において使用した。
首尾よい融合生成物を実施例9中に記載するN−Dpdイムノアッセイ形式を使用して免疫反応性についてスクリーンした。N−Dpdへの高いアフィニティー結合を示した細胞系を限界希釈法によりサブクローン化し、そしいさらに、N−Dpdについての高い結合アフィニティーをもつ抗体の産生についてスクリーンした。N−Dpdのついての高い抗体アフィニティーを与えたサブクローン化細胞系の中の1つを、本明細書中、Mab Dpd−II−7B6−1F4−1H11と命名する。この細胞系により産生された抗体の特異性は先の表2中に示されている。
実施例6
N−Pyd及びN−Dpdの両方に特異的なモノクロナール抗 体調製
N−Pyd及びN−Dpdの両方に特異的なモノクロナール抗体を、免疫原としてH−Dpd−KLH(実施例3)を使用して、実施例5中の手順により調製した。首尾よい融合生成物を実施例9中に記載するN−Dpdイムノアッセイ形式を使用して免疫反応性についてスクリーンした。N−Dpdへの高いアフィニティー結合を示した細胞系を限界希釈法によりサブクローン化し、そしいさらに、N−Pyd及びDpdの両方についての高い結合アフィニティーをもつ抗体の産生についてスクリーンした。N−Pyd及びDpdの両方についての高い抗体アフィニティーを与えたサブクローン化細胞系の中の1つを、本明細書中、Mab Pyd/Dpd−V−6H2−2H4−1E4と命名する。この細胞系により産生された抗体の特異性は先の表3中に示されている。
実施例7
H−Pyd−ストレプトアビジン及びH−Dpdストレプトア ビジンの調製
ストレプトアビジンへのH−Pydの結合を、カップリング剤、SMCCを介してH−Pydにチオール化ストレプトアビジンをカップリングさせることにより達成した。チオール化ストレプトアビジンを以下のようにN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP,Pierce)と反応させることにより製造した。PBS中の5mgのストレプトアビジンの0.75ml溶液に、260μgのSPDPを含むジメチルホルムアミド21μLを添加した。この混合物を室温において1時間反応に供し、そして次にPBSに対して透析した。SPDP−標識ストレプトアビジンを10mMの最終濃度までジチオトレイトールを添加することにより減少させた。室温において1時間のインキュベーションの後、このチオール化ストレプトアビジンをG−25カラム上で精製した。
H−Pyd−ストレプトアビジンを作るために、ジメチルホルムアミド(4μl)中にスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC,Pierce)の180μgを含む溶液を、100μlのPBS中に0.5mgのチオール化ストレプトアビジン及び50μgのH−Pydを含む溶液に添加した。この混合物を室温において3時間反応させ、そして次にPBSに対して透析した。得られたPyd−ストレプトアビジンの分光光度計分析は、スチレプトアビジンの1当量当たりに結合した1〜2当量の間のピリジノリンを示した。
H−Dpd−ストレプトアビジンを上記と同一の手順によりにより調製した。但し、H−DpdをH−Pydの代わりに使用した。
実施例8
抗−Pydモノクロナール抗体試薬を使用したイムノアッ セイ
A. H−Pyd−コート・マイクロタイター・プレート
ビオチン−標識卵白アルブミン及びH−Pyd−ストレプトアビジン(実施例7)をそのマイクロプレート・コーティングにおいて使用した。
卵白アルブミンのビオチニル化を、400μlのジメチルホルムアミド中の10mgのビオチン−x2,4−ジニトロフェニル−X−L−リジン、スクシンイミジル・エステル(Molecular Probes)を150mgの卵白アルブミンを含むPBSの10ml溶液に添加することにより、行った。この混合物を室温において2時間反応させ、その後G25カラム・クロマトグラフィーにかけた。分光光度計による分析は、1モルの卵白アルブミン当たりに置換された2つのビオチンを示した。
96−ウェル・マイクロタイター・プレート内のウェルを以下のようにN−Pydによりコートした。それぞれのウェルに、PBS中3.8μg/mlにおいてビオチン−卵白アルブミンの150μlを添加し、その後2−8℃において一夜インキュベーションを行った。このウェルをPBSにより洗浄し、そして1mg/mlにおいて200μlの卵白アルブミンを添加することによりブロックし、そして室温において一夜インキュベーションを行った。次にそのウェルをPBSにより2回洗浄した。PBS中100μg/mlにおいてH−Pyd−ストレプトアビジンを含む溶液の150μlをビオチン−卵白アルブミン・コート・マイクロプレートの各ウェルに添加した。室温における1時間のインキュベーションの後、そのウェルをPBSにより2回洗浄した。残りの液体を37℃において対流において一夜乾燥させることによりそのウェルから除去した。
B. 検定プロトコール
N−Pyd標準溶液及び尿サンプルを2連でテストした。この標準溶液は、検定バッファー(PBS中、0.05%NaN3、0.05%Tween 20、及び0.1%BSA)中の0nM、25nM、75nM、250nM、750nM、及び3000nMのN−Pydから成っていた。尿サンプルを、検定に先立って遠心分離(スピン濾過)によりニトロセルロース膜を通して濾過した。
先に調製したマイクロタイター・プレートを使用して、20μl/ウェルの標準溶液をコートされたプレート内の96ウェルの中に12に2連で添加し、そして44尿サンプルの中のそれぞれの20μl/ウェルを2つのマイクロタイター・プレートのウェルに2連で添加した。
検定バッファー(PBS中、0.05%NaN3、0.05%Tween 20、及び0.1%BSA)中の100μl/ウェルのMAb 3G6−3B11−1A10(1:100,000希釈)を添加した。標準又はサンプル及びMAb混合物を4℃において一夜インキュベートした。100μl/ウェルのヤギ抗−マウスIgG+M(H+L)−アルカリ性ホスファターゼ結合体(Pierce,No.31330,検定バッファー中1:1000希釈)をそのプレートに添加し、そして室温において1時間インキュベートした。
それぞれのウェルに、100μLの酵素基質溶液(1mM MaCl2を含む、1.0Mジエタノールアミン、pH9.8中の2mg/mLのp−ニトロフェニルホスフェート(Sigma))に添加した。室温において30分間インキュベートした後、50μlの3.0N NaOHをそれぞれのウェルに添加し、その酵素反応を停止させた。405nmにおける光学密度を次にVmaxリーダー(Molecular Devices Corp.)により測定した。
2連サンプルからの光学密度リーダー(405nm)を平均し、そしてN−Pyd標準からの平均リーダーを、OD読み対N−Pyd濃度の標準曲線を構築するために使用した。この曲線から、それぞれの尿サンプル中の遊離のN−Pyd架橋濃度を測定した。クレアチニン濃度をアルカリ性ピクレート関連検定を使用して測定した(Cook,1975)。
同一の尿サンプルを、実施例2中に記載したHPLC法により全Pydについて定量した。簡単に言えば、尿サンプルをHCl(6N)中で110℃において16時間加水分解し、その後、CF1前処理及び全H−PydについてのHPLC分析を行った。
図2は、イムノアッセイ法(y−軸)により測定されたピリジニウム架橋(nMにおける)対HPLCにより測定された全H−Pydの散乱プロットを示す。このプロット中の線は、HPLCの全Pyd値の関数としてイムノアッセイ値を相関させる最適線形回帰式である。
実施例9
抗−Dpdモノクロナール抗体試薬を使用したイムノアッ セイ
A. H−Dpd−コート・マイクロタイター・プレート
96−ウェルELISAプレートのそれぞれのウェルに、H−Dpd−ストレプトアビジン(PBS中の0.5μg/ml)を含む100μlの溶液を添加した。4℃において一夜インキュベーションした後、そのウェルを空にし、そして次に室温における少なくとも1時間又は4℃における一夜卵白アルブミン(PBS中1mg/ml、150μl/ウェル)とインキュベーションによりブロックした。インキュベーション後、このプレートをPBSにより3回洗浄した。
B. 検定プロトコール
N−Dpd標準溶液及び尿サンプルを2連でテストした。この標準溶液は、検定バッファー(PBS中、0.05%NaN3、0.05%Tween 20、及び0.1%BSA)中の0nM、25nM、50nM、100nM、250nM、及び500nMのN−Dpdから成っていた。尿サンプルを、検定に先立って遠心分離(スピン濾過)によりニトロセルロース膜を通して濾過した。
サンプル(10μl/ウェル)の添加後、100μl/ウェルの7B6−1F4−1H11モノクロナール抗体(検定バッファーへの組織培養上清の1:1600希釈、〜10ng/ml抗体)を添加し、そしてその検定プレートを4℃において一夜インキュベートした。そのプレートを300μl/ウェルの洗浄バッファーにより3回洗浄した後、100μl/ウェルのヤギ抗−マウスIgG+M(H+L)−アルカリ性ホスファターゼ結合体(Pierce,No.31330)(検定バッファー中1:1000希釈)を添加し、そしてそのプレートを室温において1時間インキュベートした。次にそのウェルを洗浄バッファーにより3回洗浄した。
結合酵素を先に実施例におけるように検定した、それぞれの未知尿サンプルについてのN−Dpd架橋濃度を標準曲線からの定量化により測定した。
実施例10
モノクロナール抗体試薬の結合選択性
N−Pyd、N−Dpd、ピリジニウム−ペプチド(MW>1000)を先に記載したように尿サンプルから単離した。このピリジニウム調製物のアリコットを加水分解し、その画分中の架橋をH−Pyd及びH−Dpdに変換させた。N−Pyd及びH−Pyd調製物中のPydの濃度、N−Dpd及びH−Dpd調製物中のDpdの濃度、及びピリジニウム−調製物中のDpdの濃度を、実施例1におけるようにHPLCにより測定した。さらに、20の一般的アミノ酸の等モル混合物を含むアミノ酸溶液、PBS中それぞれ150μMを調製した。
生来の架橋調製物及びアミノ酸混合物のアリコット(50μl)を先のように調製したPyd−コート又はDpd−コート・マイクロタイター・プレートに2連で添加し、そしてそれぞれのウェルを適宜実施例8又は9におけるようにピリジノリン又はデオキシピリジノリンについて検定した。2連サンプルからの光学密度の読み(405nm)を平均し、そしてこれらの値から、それぞれのサンプルの見かけのN−Pyd又はN−Dpd濃度を精製N−Pyd又はN−Dpdにより確立された標準曲線を使用して測定した。それぞれのサンプルのパーセント反応性を、全H−Pydについて、又は全Dpd架橋濃度の場合においては全H−Dpdについて、HPLCにより測定されたサンプル中の全Pyd架橋濃度(100倍)に対する(標準曲線を使用した;実施例8及び9参照)見かけ濃度の比として計算した。様々な特異性をもつ抗体により得られた結果を先の表1、2及び3中に与える。
実施例11
ニトロセルロース・シリンジ濾過
2181、2176、2159、2167、2161、及び2172と命名された6の尿サンプルについてテストした。それぞれのサンプルのアリコット(400μl)を直径25mmの0.45μm孔サイズのニトロセルロース・フィルター(Millipore,Millex−HA,Bedford,MA)を通してシリンジ濾過し、そしてその濾液をチューブ内に集めた。濾過及び非濾過サンプル材料並びにN−Pyd標準のアリコット(10μl)を2連で実施例8におけるように調製した96ウェル・マイクロタイター・プレートのウェルに添加し、そしてそれぞれのサンプル中のN−Pydの濃度をN−Pyd−選択的ポリクロナール抗体、及びアルカリ性ホスファターゼ−標識ヤギ抗−ウサギ抗体を使用して、実施例8中に一般的に記載したように測定した。結果を表6中に示す。
実施例12
尿サンプルにより仲介された非特異的結合の評価
尿サンプルを以下の手順により妨害材料の存在についてテストした。バッファー、N−Pyd標準、及び44尿サンプルのそれぞれのアリコット(10μl)を2連で2つの96−ウェルのマイクロタイター・プレートのウェルに入れた。実施例8中に記載した検定手順を行った。但し、抗−N−Pyd抗体を検定バッファーにより又は希釈組織培養上清により、置換した。バッファー単独、希釈組織培養物、又はN−Pyd標準が添加されたウェルは、0.010未満の光学密度の読みを与えた。テストされた44尿サンプルの中で、8が、0.02吸収ユニットを上回る読みを作り出した(表7)。
実施例13
スピン濾過による妨害物質の除去
0.02を上回る光学密度の読みを作り出した実施例12からの8の尿サンプルを、以下のようにスピン濾過に供した。それぞれのサンプルのアリコット(200μl)を1.5mLマイクロフュージ管内に懸濁させたニトロセルロース・フィルター・ユニット内に入れた(フィルター・ユニット及びマイクロフュージを共に”フィルター・アセンブリー”という。)。(Lida Manufacturing Corp,Kenosha,WIにより構築された)フィルター・ユニットは、その下部端において2層のニトロセルロース膜(0.1μmの孔サイズ)及び不織ポリエチレン支持体を含むポリプロピレンの円筒状のハウジング(長さ40mm x 外径10mm)を含んでいた。このニトロセルロース膜の有効濾過断面積は0.2cm2であった。次にサンプル含有フィルター・アセンブリーを1500xgにおいて2分間遠心分離し、そのサンプルをそのフィルターを通して完全に通過させた。次に、そのサンプルを実施例8中に記載したように処理したが、抗−Pyd抗体の代わりに検定バッファーを使用した。すべての8つの濾過されたサンプルの測定された光学密度は0.02未満であった(表7)。
実施例14
スピン濾過の比較
16尿サンプルのアリコット(200μl)を、以下の膜の中の1つを含むスピン濾過アセンブリー内で遠心分離した:ニトロセルロース(Lida Manuf.Corp,konosha,WI)、Immobilon−CD(Millipore Corp.,Bedford,MA,catalog no.ICDM−00000)、及びImmobilon−PSQ(Millipore,catalog no.ISEQ−00000)。ニトロセルロース含有フィルター・アセンブリーを実施例13中に記載したように遠心分離した。Immobilon含有フィルター・アセンブリーをニトロセルロースを含むものと同様に遠心分離した。但し、Immobilon膜は、2層よりもむしろ1層であり、0.1μmの孔サイズをもっていた。
濾過及び非濾過尿サンプルのアリコット(10μl)を2連で実施例8におけるように調製した96ウェルのマイクロタイター・プレートのウェルに添加した。実施例8中に記載した検定手順を行った。但し、抗−N−Pyd抗体を検定バッファーにより置き替えた。尿サンプルにより作り出された光学密度の読みを表8中に示す(すべての値は、バッファー単独の吸収を差し引くことにより補正された。)。N−Pyd標準により確立された換算曲線を使用して同一サンプル中で測定されたN−Pyd濃度を表9中に示す。
実施例15
カルボジイミドを使用したピリジノリン−G6PDH結合体 の調製
硫酸アンモニウム沈降からの沈降したG6PDH(110,000MW)(Boehringer Mannheim)を、12,000rpmにおける5分間の遠心分離により集めた。多数のペレットのアリコットのそれぞれに、150mM NaCl(PBS)を含む0.1M燐酸塩中の加水分解Pyd又はDpd(15、23、又は150mM保存溶液)、pH7.5を、モル比(80:1、130:1、又は200:1の(Pyd又はDpd対G6PDH))において、添加し、そして得られた混合物を混合した。その混合物中のG6PDHの最終濃度は20mg/mlであった。
乾燥EDCの選択量を上記溶液に添加した後(170:1、290:1又は460:1のEDC対G6PDHのモル比)、得られた混合物を4℃において一夜反応に供した。それぞれの反応混合物からの得られたPyd−標識G6PDHを0.01M PBS、pH7.0を溶出バッファーとして使用してSephadex G−25カラム上で、又は0.01M PBS、pH7.0に対する透析により、精製した。それぞれの結合体中のPyd対G6PDHの比を、280nm(G6PDH,ε(280nm,1%)=1.15ml/mg・cm)及び326nm(Pyd,ε(326nm)=5420ml/mmol・cm,pH7;又はDpd ε(326nm)=4933ml/mmol・cm,pH7)における吸収に基づき計算した。この結合対を−20℃において50%グリセロール中に保存した。1:130:290の比におけるG6PDH、Pyd、及びEDCは、G6PDHの1分子当たり約8.8のPyd分子により標識付けされたG6PDHを与えた。
実施例16
Sulfo−SMCC及びSATA使用したピリジノリン−G6PDH結合 体の調製
チオール化G6PDHを以下のように調製した。G6PDH(2mg/mL)及び5モル当量のNAD+を含む溶液を0.1M PBS,pH7.5中で調製した。この溶液に、(10.5μL)の無水ジメチル・スルホキシド中に溶解した25モル当量のSATAを添加した。室温において45分間の反応期間の後、30モル当量のNH2OH・HClを添加し、そして得られた混合物を30分間反応に供し、その酵素−結合SATA分子のチオール基を脱保護した。得られたチオール化G6PDHを残ったNH2OH・HCl及び非結合SATAからPD−10ゲル濾過カラム(Pharmacia)を通しての900rpmにおける遠心分離により精製した。
1:1のPyd:SMCC誘導体を以下のように調製した。0.1M PBS,pH7.5中の加水分解Pyd(29mM)の激しく攪拌した溶液に、MeOHと0.1M PBS,pH7.5の1:1混合物の200μL中に1.5モル当量のsulfo−SMCCを含む溶液をゆっくりと添加した。得られた透明な暗琥珀色の溶液をさらに3時間攪拌した。−20℃において2日間その反応溶液を保存した後、その溶液を溶出液として10mM PBS,pH7.5を使用してBioGel P−2(BioRad)のカラムに通過させた。3つのPyd含有ピークを326nmにおけるUVモニタリングにより観察した:Pyd:SMCC(1:2);Pyd:SMCC(1:1);及び遊離の(非誘導体化)Pyd。この1:1 Pyd:SMCC誘導体を含む画分をプールし、そしてその濃度を326nmにおけるそのPydのピリジニウム環の吸収に基づき測定した。
Pyd−標識されたG6PDHをその1:1 Pyd:SMCC誘導体の1.7mM溶液(G6PDHの当量当たり12モル当量のPyd:SMCC誘導体)の63μLによる1.3mLのチオール化G6PDH溶液(上記のように調製されたもの、0.8mg/mL)の添加により調製した。得られた混合物のpHを必要により調整し、そしてその混合物をアルゴン雰囲気下でシールして室温において1時間反応に供した。
残りのチオールのいずれをも、メタノール性マレイミド溶液(1M保存、最終濃度、50mM)との1時間の反応によりキャップした。このキャッピング段階の後、得られた混合物を暗所内での4℃における10mM PBS,pH7中の12−14,000MWカット−オフ透析チューブ内で一夜透析した。透析後、最終容量を測定し、そしてG6PDH:Pydの比を280及び326nmにおける吸収に基づき計算した。
実施例17
sulfo−SMCC及びSPDPを使用したピリジノリン−G6PDH結 合体の調製
以下のバッファーを調製し、そして脱気した:115μM NAD+(pH7.5バッファー)を含む0.05M燐酸ナトリウム,pH7.5;115μM NAD+(pH6バッファー)を含む0.10M燐酸ナトリウム、pH6.0。
pH7.5バッファー中のG6PDHの激しく攪拌した溶液(2mg/mL,0.5mL)に、蠕動ポンプを使用して1−2時間にわたり無水エタノール中のSPDPの19mM溶液の14又は47μL(30又は100モル当量)を添加した。添加が完了した後、得られた溶液を4℃におけるpH6バッファーに対する6−8,000又は12−14,000MWカット−オフのチューブ材料を使用して消費的に透析した。透析後、SPDP−標識酵素を集め、そしてジチオトレイトール(30分間5−10mM)と反応させ、その2−チオピリジン基を除去し、それによりチオール化酵素を作った。酵素に結合したSPDP分子の数をそのジチオトレイトール反応において放出されたピリジン2−チオンの量(A344)を測定することにより決定した。得られたチオール酵素をpH6バッファーによりPD−10脱塩カラム上で精製し、そしてその酵素の実際のチオール含量(30及び100モル当量のSPDPによりそれぞれ得られたG6PDHの1分子当たり5及び10チオール基)をEllman's試薬を使用して測定した。
Pyd−標識酵素を調製するため、チオール化酵素の溶液(pH6バッファー中0.8mg/mL;1モル当量)をpH6バッファー中のPyd−SMCC(実施例16)の溶液(70又は160μL)(それぞれ20及び40当量)に添加し、そして得られた混合物を暗所においてアルゴン雰囲気下4℃において3時間反応に供した。反応後、メタノール中のN−エチル・マレイミドの溶液(1M)を添加し(最終マレイミド濃度,50mM)、そしてその混合物を1時間反応に供した。次に混合物を暗所において4℃における10mM PBS,pH7に対する12−14,000MWカット−オフの透析チューブ材料内で消費的に透析した。G6PDH:Pydの比(それぞれ、1:2及び1:6)を280及び326nmにおける吸収を測定することにより計算した。
実施例18
EMIT検定
A. G6PDHの触媒活性の測定
以下の研究において、G6PDH濃度(非標識並びに様々なピリジニウム−標識形態)を必要により希釈し、マイクロタイター・プレート・ウェルへの添加に先立ち、50mM Trisバッファー,pH7.5中の5μg/mlの酵素濃度を達成した。96−ウェル・マイクロタイター・プレートのそれぞれのウェルに、100μLのTrisバッファー及び50μLの逐次希釈酵素(5μg/ml以下)を入れた。対照として、1列のウェルを酵素無しで調製した。そのウェルのそれぞれに、20μLの基質溶液(50mM Tris,pH7.5中の250mM D−グルコース−6−ホスフェート及び50mM NAD+)を添加し、そして340nmにおける吸収における変化をV−Maxマイクロプレート・リーダー(Molecular Devices Corp.Menlo Park,CA)を使用して、時間の関数として記録した。酵素活性は、典型的にはmOD/分の単において記録された。
B. ピリジニウム−酵素結合体の触媒活性に対する抗体 の効果
96−ウェルのマイクロタイター・プレートのウェルに、100μlの50mM Trisバッファー,pH7.5、及びそのプレートを横切って逐次的に希釈された、50μLのピリジニウム−特異的抗体を添加した。次に、それぞれのウェルに、100μlのピリジニウム−標識酵素を添加し、抗体の非存在中約200−300mOD/分の酵素活性を作り出すのに有効な酵素濃度を達成した。このプレートを室温における選択時間(5−20分間)の間インキュベートに供した後、(上記の)50μlの基質溶液を添加し、50mM G6P及び10mM NAD+の最終濃度を作り出した。時間の関数としての吸収における変更を次に340nmにおいて測定し、そして様々な濃度の抗体の存在中のパーセント”ダウン・モジュレーション”(触媒活性における減少)を、(100%活性として定義した)抗体の非存在中で観察された活性に対して測定した。
C. EMIT検定
生来の遊離のピリジノリンの尿レベルを測定するために、ピリジノリン標準(50mM Tris,pH7.5中の0〜3000nM Pyd)又は尿サンプル(Tris,pH7.5中で15希釈されたもの)の50μLアリコットをマイクロタイター・プレートのそれぞれのウェルに添加し、その後同一バッファー中で(先のセクションB中で測定された)安定して希釈された抗体の100μLを添加した。このプレートを選択された時間(2、10、又は30分間)の間室温においてインキュベートした後、(抗体の非存在中200−300mOD/分の活性を作り出すのに有効な)100μlの希釈EDC−カップル・ピリジノリン−G6PDH結合体をそれぞれのウェルに添加し、その後、5、10、15、又は30分間室温においてインキュベーションを行った。最後のインキュベーション期間の後、(上記の)60μLの基質溶液をそれぞれのウェルに添加し、そして先のように340nmにおいてG6PDH活性を測定した。様々なPyd標準により測定された活性を、Pyd換算曲線を構築するために使用した(例えば、図10参照)。この換算曲線を次に、Vmax Microplate Reader(Molecular Devices Corp.)を装備したSoftmax 2.22ソフトウェア−を使用して、その尿サンプル中のPydのレベルを測定するために使用した。
実施例19
抗−ピリジノリン抗血清の調製
免疫感作のためのニュージーランド白ウサギ(全部で59)を以下の表11中に示すように、免疫感作プロトコールに従って8群に分割した。免疫感作投与量は、1.0mlのRibiアジュバント(Ribi Immuno Chemical Research,Inc.)と混合された1.0ml PBS中の、H−Pyd−BSA(実施例3A)、低−ハプテンH−Pyd−BSA免疫原(H−Pyd−BSAのための実施例3Aにおけるように調製されたが、低いPyd:BSA化学量論をもつもの)、又はH−Pyd−KLH(実施例3B)、の200μgであった。最初の免疫感作を多Vにおける皮下注射により行い、そしてその後のブースター免疫感作を3週間間隔の筋中において与えた。抗血清をそれぞれの免疫感作の10日後に集めた。
採取の間、それぞれの抗血清を実施例8中に記載した検定形式を使用してPyd結合アフィニティーについてテストした。簡単に言えば、この血清からの抗−Pyd抗体の、固体支持体上に固定されたPydへの結合を、アルカリ性ホスファターゼ−標識ヤギ抗−ウサギIgG抗体試薬を使用して検出した。
免疫感作された動物を、それらの抗血清が以下のパラグラフ中にさらに定める以下の基準を満足する場合に、保存した:AA<20%、Pyd−ペプチド<10%、力価>5000、及び全変換シグナルの>10%の0〜25nM Pydシグナル分離。
実施例8中に記載した検定形式を使用して測定された、最も強い反応性の抗血清のプロフィールを、以下の表12中に示す。第一列は、ウサギの抗血清が生じた免疫感作プログラムを示す。第二列は、分析のためにプールされた採血(bleeds)を示す。”力価(titer)”と印された列は、イムノアッセイにおけるPyd−陰性サンプル(Pydが全く存在しない)により1.2〜1.6の光学密度の読みを達成するのに必要なそれぞれの抗血清の希釈を示す。"AA"と印された列は、実施例10中に記載したアミノ酸混合物とのそれぞれの抗血清の交差反応性を示す。"Pyd−pep>1000MW"と印された列は、Pyd−ペプチド(>1000MW)とのそれぞれの抗血清の交差反応性を示す。最後の列は、全変換シグナルの分数としての0及び25nM Pydサンプルについてのシグナル間の分離を示す。
表から分かるように、ウサギIII−3、V−4、及びVI−8は、0から25nMまでのN−Pydのシグナルの有意な変換を示している。高い活性をもつ血清(VI−8)を、本明細書中に記載するN−Pyd検定における使用のために選択した。
実施例20
ポリクロナール抗体試薬を使用したイムノアッセイ
以下のイムノアッセイを先の表10及び12中に特徴付けたウサギ・ポリクロナール抗体VI−8、及び実施例8A中に記載したN−Pydコート・マイクロタイター・プレートを使用して行った。
N−Pyd標準溶液及び尿サンプルを2連でテストした。尿サンプルを検定に先立って遠心分離(スピン濾過)によりニトロセルロース膜を通して濾過した。
サンプル又は標準(25μl/ウェル)の添加の後、検定バッファー中に20,000倍に希釈した125μl/ウェルのVI−8抗血清を添加し、そしてこの検定プレートを4℃において一夜インキュベートした。このプレートを300μl/ウェルの洗浄バッファーにより3回洗浄した後、150μl/ウェルのヤギ抗−ウサギIgG−アルカリ性ホスファターゼ結合対する(検定バッファー中1:1000希釈)を添加し、そしてそのプレートを室温において1時間インキュベートした。次にこのウェルを洗浄バッファーにより3回洗浄した。
それぞれのウェルに、150μL酵素基質溶液(1mM MgCl2を含む1.0Mジエタノールアミン中の2mg/mLのp−ニトロフェニルホスフェート(Sigma),pH9.8)を添加した、室温において1時間のインキュベーション後、50μlの3.0N NaOHをそれぞれのウェルに添加し、その酵素反応を停止させた。次に405nmにおける光学密度をVmaxリーダー(Molecular Devices Corp.)により測定した。
2連サンプルからの光学密度の読み(405nm)を平均し、そしてN−Pyd標準からの平均の読みをODの読み対N−Pyd濃度の標準曲線を構築するために使用した。この曲線からそれぞれのサンプル中の遊離のN−Pyd架橋濃度を測定した。
本発明を特定の態様に関して記載してきたが、様々な変更及び修正が本発明から外れることなく行われることができると理解されよう。
Claims (8)
- モノクローナル抗体の製造方法であって、以下のステップ:
a)ヒト以外の動物を、加水分解されたピリジノリン及び加水分解されたデオキシピリジノリンから選ばれるピリジニウム架橋で免疫化し、
b)上記動物から抗体を得、そして
c)天然の、グリコシル化されていない、ペプチド不含の、ピリジノリン、又は天然の、ペプチド不含の、デオキシピリジノリンについての、5×107/モルより高い結合アフィニティーを有する抗体を選択する、
を含み、ここで、当該モノクローナル抗体が、天然の遊離ピリジノリン及び/又は天然の遊離デオキシピリジノリンから選ばれるピリジニウム架橋への免疫特異的な結合、及び約3:1より大きな、上記の選ばれた天然の遊離ピリジニウム架橋と分子量1,000ダルトン超の尿ピリジニウム・ペプチドとに対する反応性の比、を特徴とする、前記方法。 - 前記モノクローナル抗体が、約5:1より大きな、天然の遊離ピリジノリンと天然デオキシピリジノリンとに対する反応性の比を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記モノクローナル抗体が、ATCC No.HB 11089により識別される細胞系から得られた、請求項2に記載の方法。
- 約25:1より大きな、天然の遊離デオキシピリジノリンと天然の遊離ピリジノリンとに対する反応性の比を有する、請求項1に記載の方法。
- 約2:1〜1:2の間の、天然の遊離ピリジノリンと天然の遊離デオキシピリジノリンとに対する反応性の比を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記の選ばれたピリジニウム架橋が、天然の、グリコシル化されていない、ペプチド不含の、ピリジノリンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記の選ばれたピリジニウム架橋が、天然の、ペプチド不含の、デオキシピリジノリンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記動物が、ウサギ又はマウスである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
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