JP3625979B2 - テレビカメラ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体像を高い分解能で撮像するのに適したテレビカメラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、被写体像を撮像するテレビカメラ或いはテレビカメラ装置では、撮像管を用いて光電面上の被写体像を電子ビームで走査して読み出し、電気信号に変換してディスプレイに画像を表示していた。
【0003】
或いはCCDのような固体撮像素子を用い、光半導体で構成される画素上に結像した被写体像を、電荷転送によって読み出していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの方法では、光に対する感度が低く、内視鏡等と組み合わせて使う場合、暗い被写体に対してはS/Nが低くなり、撮像しにくいという問題があった。
【0005】
一方、シリコンビディコンのような高感度撮像管も提案されているが、このような撮像管でも感度に限界があると同時に、分解能を上げることが困難であった。
【0006】
(発明の目的)
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、高感度にしたり、分解能を容易に上げることができるテレビカメラ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のテレビカメラ装置は、
被写体に対して被写体像を結ぶ対物レンズと、
該対物レンズによって結像した被写体像をN個の領域に分割する分割手段と、
該分割手段によって分割された領域をそれぞれ空間コーディングする空間コーディング手段と、
該空間コーディング手段の出力を光電変換する前記Nよりも少ない数の光電変換手段と、
該光電変換手段の出力から前記N個の領域における光の強度を算出するデコーディング手段と、
該デコーディング手段の出力からビデオ信号を合成するビデオ合成回路と、
とで構成することにより、前記Nより少なくて済む光電変換手段を感度の高いものを用いることにより、容易に高感度にしたり、光電変換手段の数を変更することなく前記Nを多くすることにより、分解能を容易に上げることができるようにしている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1ないし図4は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は本発明のテレビカメラ装置の原理的な構成を示し、図2は図1のより具体的な構成を示し、図3及び図4は具体的に構成した第1の実施の形態のテレビカメラ装置及びその主要部の構成を示す。
【0009】
図1に示すように本発明のテレビカメラ装置1は被写体2の光学像を結ぶ結像レンズ(又は対物レンズ)3と、この光学像をコーディングする空間コーディング手段4と、コーディングされた像を光電変換する光電変換手段5と、光電変換された信号に対し、デコーディングするデコーディング手段6と、デコーディング手段6によりデコーディングされた信号に対し映像信号を生成する処理を行う信号処理手段7とを有し、この信号処理手段7から出力される映像信号は画像表示手段タ8に入力され、表示画面に被写体像を再生表示する。
【0010】
図1の原理図をより具体化した図2に示すように、結像レンズ3は被写体像を空間コーディング手段4の一方の面に結び、空間コーディング手段4は空間コーディング手段駆動回路11により駆動されることにより多数に分割された各領域12内の光はコーディングされ、他方の面にコーディングされた光(コーディング光と呼ぶ)が出力される。一般的には被写体2が結像される像空間、通常は2次元領域をN個の領域に分割し、分割された各領域の画素部分を空間コーディング或いは2次元領域コーディングする。
【0011】
そして、各領域12のコーディング光は集光レンズ13によって例えば1個の光電変換手段5の受光面(光電変換面)5aに入射され、光電変換される。この場合、光電変換手段5は1個に限定されない。すなわち、必要に応じて個数を増やすことにより、受光面5aの面積の小さい光電変換手段でも使用できる。この場合、それら複数の光電変換手段の受光面の前に光を拡散する光拡散手段を設けても良い。
また、複数の光電変換手段の出力を加算し、単一の光電変換手段の出力の代わりに用いても良い。一般的には前記Nより少ない数の光電変換手段となる。
【0012】
光電変換された信号は各領域12のコーディング光をそれぞれ光電変換した信号を加算したものとなり、空間デコーディング手段6に入力される。
【0013】
この空間デコーディング手段6は空間コーディング手段4の逆の処理、つまり空間デコーディング処理を行い空間コーディング手段4の結像レンズ3に対向する面の被写体像を各領域12の画素を有する撮像素子を用いて光電変換したものに対応する信号を復元する処理を行う。
【0014】
この信号はビデオ信号合成回路(図1の信号処理手段7のより具体例)7′によって標準的なビデオ信号が生成され、このビデオ信号はTVモニタ(図1の画像表示手段8の具体例)8′に入力されてそのモニタ画面に被写体像を表示する。
【0015】
図3は図2の空間コーディング手段4をメカニカルに実現した第1の実施の形態のテレビカメラ装置1の具体例を示し、図4はその一部を斜視図で示す。
【0016】
結像レンズ3における被写体像2aが生成される結像位置には、可撓性を有するテープ状ファイバ束(或いはテープ状ファイバアレイ)21の一方の端面が第1の支持部材22aの上端に水平方向に沿って固定され、この第1の支持部材22aの下端は第2の支持部材22b(図3では第1の支持部材22aと第2の支持部材22bをまとめて支持部材22で示す)を介して光ファイバ駆動手段24によって矢印で示すように上下方向(垂直方向)の結像範囲Vに渡って往復駆動される。
【0017】
つまり、このテープ状ファイバ束21は被写体像を水平方向にファイバの本数で分割する領域分割手段を形成し、また、このテープ状ファイバ束21により、垂直方向にはファイバの直径程度の領域で分割している。
【0018】
このファイバ駆動手段24は図4ではスピーカ24aの例で示している。このスピーカ24aは例えばダイナミックタイプのものでは、柱状の永久磁石に移動可能にボイスコイルが巻回され、このボイスコイルに取り付けられたコーンに支持部材22bの下端を取り付けており、ボイスコイルに3角波等の駆動信号を印加することにより、ボイスコイルをその軸方向(図4では上下方向)に移動する。
【0019】
このようにボイスコイルのようなムービングコイルを移動させるような構造のファイバ駆動手段でも良いし、圧電アクチュエータ等のように圧電現象を利用して印加した電圧に応じて変形させるもの(実際的には変形量を拡大するために多素子構造にしたり、バイメタルのように変形を拡大させるバイモルフ的な構造にしたりする)により、その変形の際にテープ状ファイバ21の一端を所定方向(本実施の形態では上下方向)に移動させるようにしても良い。
【0020】
このファイバ駆動手段24は図示しないファイバ駆動手段駆動回路からの駆動信号で駆動される。このファイバ駆動手段駆動回路は例えば、3角波或いは鋸歯状波をファイバ駆動手段24に出力し、上下方向にほぼ等速度で往復振動させる。
【0021】
被写体像2aをファイバ端面で垂直走査するための上下方向の移動は等速度で行うのが望ましいが、垂直位置の補正を行うようにすれば正弦波等の交流信号等で駆動しても良い。
【0022】
テープ状ファイバ束21は図4に示すように可撓性を有するライン状のファイバ23をテープ状に或いは平面状に多数配列或いは束ねて例えば幅Hを有し、結像範囲の水平方向の幅をカバーする。
【0023】
このテープ状ファイバ束21は第1の支持部材22の上面に固定され、往復駆動される上下方向と直交する水平方向に延出されている。なお、第1の支持部材22aと第2の支持部材22bとを一体化しても良い。
【0024】
従って、結像レンズ3による結像範囲の水平方向の範囲をテープ状ファイバ束21のファイバ23のアレイがカバーする状態でテープ状ファイバ束21の一端を垂直方向に走査し、各位置で入射される光をテープ状ファイバ束21の他端に伝送する。
【0025】
このテープ状ファイバ束21は途中が屈曲するように遊びを持たせた状態で、その他端はファイバ押さえ部材25により固定されている。このテープ状ファイバ束21の他端に対向して投影レンズ26が配置され、この投影レンズ26により、テープ状ファイバ束21の他端に伝送された像が光変調円板27に所定の幅hで投影される。
【0026】
この光変調円板27はその中心がモータ28の回転軸28aに取り付けられ、このモータ28はモータ駆動回路29から駆動信号が印加されることにより、モータ28の回転と共に、一定速度で回転駆動される。
【0027】
この光変調円板27は少なくとも半径方向にhの幅で微小な開口が形成されており、各開口は周方向にそれぞれ間隔(角度による間隔)が異なるように周期的に開口列31が形成されており、光変調円板27が一定速度で回転した場合には、開口列31を通してその透過光を受光した場合にはその開口列31に応じた周波数で強度変調される。
【0028】
光変調円板27の前後に回折光の影響を抑えるためにスリットをおくと良い。又はテープ状ファイバ束21の出射端を直接光変調円板27に当てるようにしても良い。
【0029】
開口の形状はいろいろ考えられるが、開口における半径方向の間隔は例えば光円板27に結像されるファイバの端面の像の水平方向の間隔と一致させている。また、各開口列は半径方向の位置が異なると、透過光の周波数が異なるように形成されている。
尚、本実施の形態では透過形の開口を持つ光変調円板27を用いて光強度変調をしているが、反射式の開口で変調しても良い。
【0030】
従って、光変調円板27を通してファイバの像の透過光を受光すると、各半径方向の位置が異なる開口を通した光はそれぞれ異なる周波数で強度変調したもの、つまり周波数により振幅変調したコーディングを行ったものとなる。
【0031】
また、図3に示すように投影レンズ26に対向して光変調円板27の裏面側には集光レンズ32が配置され、光変調円板27に投影されたテープ状の像に対して各開口列31の透過光を集光して光電変換手段の具体例として非常に感度が高いフォトマル(フォトマルチプライヤ)33に入射させるようにしている。なお、フォトマル33の代わりに、電子なだれ現象を利用した感度が高く高速に応答する特性を備えたアバランシェ・フォトダイオードを用いても良い。
【0032】
フォトマル33で光電変換された信号は空間デコーディング手段を形成する周波数分離手段34に入力され、周波数分離により、水平方向及び垂直方向に空間デコーディングする。
【0033】
この周波数分離手段34は例えば、ファイバ本数と同じ個数のバンドパスフィルタで構成されており、各バンドパスフィルタは隣接する周波数(の信号成分)とを分離可能となるような通過帯域(通常は狭帯域)で、これらのバンドパスフィルタを通すことにより各周波数成分の変調された信号を分離できる。
【0034】
また、周波数分離手段34を、高速にフーリエ変換処理を行う高速フーリエ変換(FFT)手段を用いても良い。
【0035】
周波数分離により、分離抽出された各信号データはその分離に用いた周波数等からそのデータが得られた光変調円板27の半径方向の位置、つまり像の水平方向位置が分かることになり、その水平位置に応じた信号データとしてビデオ信号合成回路7′に出力される。ビデオ信号合成回路7′は水平位置に対応した水平アドレスなどを用いて内部のメモリなどの記憶手段にその信号データの振幅或いは強度の値(表示の際の輝度レベルとなる)が記憶される。
【0036】
また、このビデオ信号合成回路7′には前記ファイバ駆動手段駆動回路の信号がA/D変換などされて垂直位置信号として入力され、フォトマル33を経て入力された信号に対し、周波数分離したデータを垂直位置信号と関連付けて(垂直位置信号をアドレスにするなどして或いは補正用ROMなどを通してアドレス信号に変換して)前記メモリなどに記憶する。
【0037】
そして、ビデオ信号合成回路7′内のメモリにはファイバ駆動手段24の1回の上下方向の移動周期により、被写体2の1フレーム分の画像データが記憶され、この画像データは映像信号に変換されてテレビモニタ8′に入力され、復元された被写体画像が表示面に表示される。
【0038】
なお、本実施の形態では光変調円板27を高速で回転駆動するなどし、ファイバ本数に対し、最も高く変調する周波数(最高変調周波数)の値が最も低く変調する周波数(最低変調周波数)の値の2倍よりも小さくなるようにして開口の形状等により高調波のスペクトル成分を含む場合にもその高調波に影響されることなく、周波数分離できるようにしている。
【0039】
本実施の形態によれば、テープ状ファイバ束21の水平方向のファイバの本数を多くすることにより、容易に水平方向の解像度を向上できる。勿論、ファイバの本数を多くした場合には光変調円板27の半径方向の開口の数も多くする。
【0040】
また、垂直方向の解像度も垂直方向に走査した際のサンプリング数を多くすれば(具体的にはファイバ駆動手段24の駆動周期を遅くしたり、光変調円板27の回転周期を速くして、サンプリング周期を短くする)、容易に垂直方向の解像度も向上できる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、水平或いは垂直方向の解像度を増す等、解像度を変更しても、単一の光電変換面の光電変換手段で済むので、拡張或いは変更なども容易にできる。
【0042】
また、本実施の形態においては、光電変換手段は1個の画素に対する光電変換機能を備えたものであれば良いので、フォトマル等の非常に感度の高いものを採用すれば、容易に感度を高くできる。
また、このように光電変換手段が1個で済むので、簡単な構成により、コストアップしないで、高感度のテレビカメラ装置1を実現できる。
【0043】
図5は第1の実施の形態の変形例を示す。この変形例はカラー撮像を行うようにしたものである。このため、図3における集光レンズ32とフォトマル33Bとの間の光路上に例えば2つのダイクロイックプリズム36R、36Gを配置し、かつダイクロイックプリズム36R、36Gで選択的に反射された反射光路上にそれぞれフォトマル33R、33Gを配置している。
【0044】
ダイクロイックプリズム36R、36Gはそれぞれ赤及び緑の波長域の光を選択的に反射し、他の波長域の光はそれぞれ透過する特性を有する。従って、フォトマル33R、33G、33Bには集光レンズ32側からの光における赤、緑及び青のの波長域の光成分が入射されることになる。そして、これらフォトマル33R、33G、33Bの光電変換出力は周波数分離手段34′に入力される。
【0045】
この周波数分離手段34′は図3の周波数分離手段34を3つ備えたものであり、それぞれフォトマル33R、33G、33Bの光電変換出力に対して周波数分離を行うことにより、被写体像2aにおける赤,緑,青の波長域成分の信号データR,G,Bをビデオ信号合成回路7′に出力する。これらの信号データR,G,Bが色信号データとなる。
【0046】
そして、テレビモニタ8′の表示面にはカラーで被写体像が表示される。
本変形例によれば、カラー撮像してカラーで被写体像を表示できる。その他は第1の実施の形態と同様の効果を有する。
【0047】
(第2の実施の形態)
図6及び図7は本発明の第2の実施の形態における空間コーディング手段4の概略の側面図及び平面図を示し、図8は動作説明図を示す。
【0048】
図6に示す支持部材22の上面には多数の第1のファイバ41a,41b,…,41nからなる第1のファイバアレイ42が各第1のファイバ41i(i=a,b,…,n)の入射側となる一方の端面が(図3及び図4の結像レンズ3の結像面)に揃うようにして一定のピッチ間隔Pで水平面内に固定され、支持部材22の下端はファイバ駆動手段24に接続され、上下方向に駆動されるようになっている。
【0049】
また、第1のファイバアレイ42は途中で遊びが形成された状態で、その他端はファイバ押さえ部材43により、一定のピッチ間隔Pで水平面内に固定されており、一方の端部を移動しても他方の端面が動かないようにしている。
【0050】
この場合、ファイバ押さえ部材43により例えば水平面内に固定されているが、長さ方向(図6及び図7の左右方向)の端面位置は少しづつ(例えば一定長さの整数倍で)順次異なるようにして固定されている。
【0051】
そして、この第1のファイバアレイ42の他端に対向して第1のファイバ41iと同じ本数の第2のファイバ44a,44b,…,44nからなる第2のファイバアレイ45が一定のピッチ間隔Pで配置され、この第2のファイバアレイ45の他端に対向して例えばフォトマル33が配置され、第2のファイバアレイ45によって伝送された光を受光面(又は光電面)33aで受光するようにしている。
【0052】
一般に、フォトマルは受光位置によって感度が異なるので、受光面33aの前面に光を拡散する拡散板を置く等して受光面33aに均一に光が当たるようにしておくと良い。
【0053】
第2のファイバアレイ45も各第2のファイバ44iの一端の端面位置が少しづつ異なり、各第1のファイバ41iの他端から僅かに離間した位置で対向するように配置され、例えば固定部材46(図6のみで2点鎖線で示す)を介してファイバ押さえ部材43に固定されている。
【0054】
また、各第1のファイバ41iの他端とこれに対向する第2のファイバ44iの一端との間には遮光する機能を備えた遮光板47がそれぞれ配置され、各遮光板47の下端はそれぞれ振動板48の一端に固定され、各振動板48の他端はそれぞれ圧電素子(或いは圧電アクチュエータ)49に取り付けてある。
【0055】
各振動板48はそれぞれ第2のファイバ44iの下側で、その長さ方向に沿って配置され、かつ各振動板48の長さが異なるようにしてその他端が圧電素子49に取り付けられ、従ってその共振周波数がそれぞれ異なるように設定している(例えばfa,fb,…,fn)。
【0056】
各圧電素子49は圧電素子駆動回路50に接続され、この圧電素子駆動回路50は各圧電素子49にその圧電素子49に取り付けられた振動板48の個々の共振周波数と同じ周波数の駆動信号を印加する。
【0057】
上記遮光板47は振動板48を振動させた場合には、第1のファイバ41iから対向する第2のファイバ44iに入射する光のON/OFF(遮光状態と通過状態)及びその中間的な透過状態の遷移をその振動の周波数で行う。
【0058】
つまり、振動板48を振動させた場合にはその振動で遮光板47が最も上側に移動した状態では図6の実線で示すように第1のファイバ41iの出射端から出た光が対向する第2のファイバ44iに入射するのを遮光する。また、最も下に移動した場合には2点鎖線で示すように光を遮光しないで通過させる状態になる。そして、遮光板47がその中間に存在する時は、その位置に応じて光が部分的に透過するのである。
【0059】
このようにして、第1のファイバ41iから対向する第2のファイバ44iに入射する光はそれぞれ異なる周波数で変調される。各第2のファイバ44iで伝送された光はフォトマル33に入射され、光電変換される。
【0060】
フォトマル33の出力端子33bは図3の周波数分離手段34の入力端に接続され、周波数分離手段34は周波数分離により、振動板48等による空間コーディングに対応した空間デコーディングを行う。
【0061】
本実施の形態の空間コーディングの作用を図8を参照して説明する。
第1のファイバアレイ42の一方の端面に結像された被写体像におけるある縦位置での水平方向の位置に対する明るさが図8(A)であるとし、その高さ位置に第1のファイバアレイ42の一方の端面が設定された状態では各第1のファイバ41iの入射光量は図8(B)のようになる。この図8(B)の横軸は第1のファイバ41iの水平位置に対応する。
【0062】
そして、フォトマル33の出力端子33bの信号周波数成分は図8(C)のようになる。従って、第1の実施の形態で説明した周波数分離手段34により周波数分離を行うことにより、各周波数成分の信号を分離して抽出できる。
本実施の形態も第1の実施の形態とほぼ同様の効果を有する。
【0063】
なお、上記説明では各振動板48を各圧電素子49で振動させるように駆動すると説明したが、振動板48全体を共通の圧電素子に取付け、共通の圧電素子に各振動板48の共振周波数の駆動信号を重畳して印加するようにしても良い。 なお、第2の実施の形態も第1の実施の形態と同様にモノクロの画像を得る場合で説明したが、例えば第1の実施の形態の変形例のようにダイクロイックミラー等による光学的な色分離手段を設ける構成にすれば、カラー撮像を行うこともできる。また、フォトマルの代わりにアバランシェ・フォトダイオードを採用しても良い。
【0064】
(第3の実施の形態)
本実施の形態は第1の実施の形態の光変調円板27による光変調を改良したものである。
【0065】
第1の本実施の形態では光変調円板27を高速で回転駆動する等して、光変調円板27の開口列による変調の周波数全体を高い帯域側に設定し、ファイバ本数に対して、最も高く変調する周波数(最高変調周波数)の値が最も低く変調する周波数(最低変調周波数)の値の2倍よりも小さくなるようにして開口の形状等により高調波のスペクトル成分を含む場合にもその高調波の影響されることなく、周波数分離できるようにしている。
【0066】
これに対し、本実施の形態はさらに水平方向の解像度を向上するためにファイバ本数を多くして上記の条件に制約することなく、周波数分離できるようにするためのものである。
【0067】
光変調円板27の開口列において、開口間隔等を設定することにより、所望の変調周波数(最も高く変調する周波数)を決定する。
しかし、所望の変調周波数の整数倍(2倍、3倍、…)に相当する不要高周波数成分も同時に発生する。
【0068】
不要高周波成分を減少させるように、開口の大きさ、形状等を決定する。具体的には、使用しようとする開口をフーリエ解析して、そのスペクトル分析を行い、その場合に不要高周波成分がでないような条件を求めれば良い。
【0069】
この手法を各開口列に適用することで、各開口列で所望の変調周波数を得ることができる。
【0070】
具体的には、光変調円板27の開口列として、以下のようにすることにより、最高変調周波数側が最低変調周波数の2倍或いはそれ以上の高調波に対応する周波数に設定した場合にもこれらを分離を可能にするものである。
【0071】
具体的数値例として、図9のようにしても良い。
例えば光変調円板27の角速度が1[rad/秒]とし、半径が50ミクロンづつずれた同心円周上に円形開口列を配置する。この場合、直径15ミクロンの円形開口が半径1mmの円周上に角度0.04918[rad]の等間隔で配置する。このようにすると、高調波を発生しないように光変調を行うことができる。
【0072】
この開口列の場合には、その透過光強度は20.33[1/秒]の周波数に変調される。
また、図9に示すように半径が0.95mmの円周上に半径30ミクロンの円形開口を2倍の角度0.09836[rad]に配置してもしても良い。この場合、透過光強度は10.165[1/秒]の周波数に変調される。
【0073】
より一般化には、角速度が1[rad/秒]の場合、同心円周上に円形開口を以下の条件を満たすように配置することによって、透過光強度を任意の周波数に変調できる。
即ち、20.33×α[1/秒]の周波数を得るには、円形開口半径は15/α[ミクロン]とし、かつ隣接する開口間の角度を0.04918/α[rad]とする。
【0074】
このように設定した開口列で光変調することにより、その変調された光は高次の高調波を殆ど含まないようにでき、従って変調に用いる周波数帯域が少なくとも1オクターブ以上に跨るように設定してもそれらを周波数分離手段で分離することができる。
【0075】
このように変調の周波数帯域を広げることができるので、ファイバの本数を増やして水平方向等の分解能を簡単に増大することができる。
【0076】
また、周波数帯域を広げても良いので、隣接する周波数との周波数間隔を広げることにより、より簡単に周波数の分離ができるようにすることもできる。つまり、隣接する周波数との周波数間隔が狭いと、周波数分離に用いるバンドパスフィルタ等も急峻な周波数分離特性を備えたものが必要であるのに対し、隣接する周波数との間隔が広いと、周波数選択特性が緩慢なものでも良くなる。このため、バンドパスフィルタを簡単な構成にしたり、低こすとのものを用いることができる。
【0077】
また、FFTで周波数分離を行う場合にも精度が低い計算で済むので、演算処理する際のビット数を少ないものでも良くなり、高速化できるメリットがあるし、そのような演算を行うデジタルシグナルプロセッサ(DSP)等も低コストのものを利用できるとか、FFTを行うDSPの数を減らすこともできる。
【0078】
また、開口列の各開口形状を以下の変形例のように菱形にしても良い。この場合、具体的数値例として、図10のようにしても良い。
例えば光変調円板27の角速度が1[rad/秒]とし、半径が30ミクロンづつずれた同心円周上に菱形開口列を配置する。この場合、幅50ミクロン、高さ25ミクロンの菱形開口が半径1mmの円周上に角度0.05[rad]の等間隔で配置する。
【0079】
この開口列の場合には、その透過光強度は20[1/秒]の周波数に変調される。
より一般化には、角速度が1[rad/秒]の場合、同心円周上に菱形開口を以下の条件を満たすように配置することによって、透過光強度を任意の周波数に変調できる。
即ち、20×α[1/秒]の周波数を得るには、菱形開口の幅50/α[ミクロン]とし、かつ隣接する開口間の角度を0.05/α[rad]とする。
この変形例の場合も第3の実施の形態とほぼ同様の作用及び効果を有する。
【0080】
なお、光変調円板27を用いる場合、光変調円板27が偏心して回転駆動される場合には、位置ずれが起こる(周波数分離手段による位置決め或いは位置復元に誤差が発生する)可能性がある。
【0081】
水平方向の像の両端で光が検出される場合にはその境界が分かるが、両端の像が暗くなった場合には、像の両端の位置がはっきりと決められない状況では偏心があると、その偏心により(周波数分離手段による位置復元)に水平方向の位置ずれが発生する。
【0082】
このような場合には、以下のようにしてその影響を補正できるようにしても良い。
例えば、光変調円板27における半径方向に形成する変調用の開口数をテープ状ファイバ21の本数よりも多く設け、偏心があっても光変調できるようにすると共に、例えばテープ状ファイバ束21にさらに1本のファイバを偏心位置検出用にその両側の一方に設ける。この場合、光変調円板27の半径方向の最内周側(或いは最外周側)に対向することになる。
【0083】
そしてそのファイバの端部から例えば一定の光強度(容易に検出される程度であれば良い)の光を出射するようにし、周波数分離手段で最内周(或いは最外周)の開口列の周波数で検出された信号成分はこの光のものであることが分かるので、偏心があってもその位置から外側(或いは内側)にテープ状ファイバ21の端が存在していることが分かり、容易に偏心の影響を解消できる。
【0084】
なお、例えば図6及び図7に示した第2の実施の形態では、圧電素子49で振動板48をその共振周波数で振動させることにより、その端部に取り付けた遮光板47を振動させて第1のファイバ41iの端面から出射され対向する第2のファイバ44iに入射される光を振動周波数でON/OFFさせて変調するようにしているが、以下のようにしても良い。
【0085】
第2のファイバアレイ45の代わりに平板状のベース部材の上にストリップライン状の光伝送素子を第1のファイバ41iにそれぞれ対向するように多数配置し、それぞれ対向する両端間の空間に圧電素子をそれぞれ配置し、各圧電素子をそれぞれ異なる周波数の高周波信号で振動させて両端間の光路をON/OFF或いは通過及び遮光状態(部分的な場合も含む)に振動的に変位させることにより、第1のファイバ41iから対向する光伝送素子に入射される光を変調するようにしても良い。
【0086】
この場合、第1のファイバ41iの出射端にシリンドリカルレンズ素子をそれぞれ配置して対向する薄板形状の光伝送素子の端面に集光することにより、圧電素子の変位量が小さい場合にも十分に変調できるようにしても良い。
【0087】
なお、上述した実施の形態などを部分的などで組み合わせて形成される実施の形態なども本発明に属する。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、被写体に対して被写体像を結ぶ対物レンズと、
該対物レンズによって結像した被写体像をN個の領域に分割する分割手段と、該分割手段によって分割された領域をそれぞれ空間コーディングする空間コーディング手段と、
該空間コーディング手段の出力を光電変換する前記Nよりも少ない数の光電変換手段と、
該光電変換手段の出力から前記N個の領域における光の強度を算出するデコーディング手段と、
該デコーディング手段の出力からビデオ信号を合成するビデオ合成回路と、
とで構成しているので、前記Nより少なくて済む光電変換手段を感度の高いものを用いることにより、容易に高感度にしたり、光電変換手段の数を変更することなく前記Nを多くすることにより、分解能を容易に上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のテレビカメラ装置の原理的構成図。
【図2】図1のより具体的な構成を示す構成図。
【図3】本発明の第1の実施の形態のテレビカメラ装置を光変調円板を用いて形成した構成図。
【図4】図3の一部を示す斜視図。
【図5】変形例のテレビカメラ装置の主要部を示す構成図。
【図6】本発明の第2の実施の形態における空間コーディング手段の構成を示す概略側面図。
【図7】図6の概略平面図。
【図8】第2の実施の形態の作用説明図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に用いる光変調円板の開口形状の具体例を示す図。
【図10】第3の実施の形態の変形例に用いる光変調円板の開口形状の具体例を示す図。
【符号の説明】
1…テレビカメラ装置
2…被写体
3…結像レンズ
4…空間デコーディング手段
5…光電変換手段
6…デコーディング手段
7…信号処理手段
8…画像表示手段
11…空間コーディング手段駆動回路
12…領域
21…テープ状ファイバ束(テープ状ファイバアレイ)
22…支持部材
23…ファイバ
24…ファイバ駆動手段
25…ファイバ押さえ部材
26…投影レンズ
27…光変調円板
28…モータ
29…モータ駆動回路
31…開口列
32…集光レンズ
33…フォトマル
34…周波数分離手段
Claims (1)
- 被写体に対して被写体像を結ぶ対物レンズと、
該対物レンズによって結像した被写体像をN個の領域に分割する分割手段と、
該分割手段によって分割された領域をそれぞれ空間コーディングする空間コーディング手段と、
該空間コーディング手段の出力を光電変換する前記Nよりも少ない数の光電変換手段と、
該光電変換手段の出力から前記N個の領域における光の強度を算出するデコーディング手段と、
該デコーディング手段の出力からビデオ信号を合成するビデオ合成回路と、
を具備したテレビカメラ装置。
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