JP2512943B2 - 光学的ロ−パスフィルタ−を有した撮像装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は光学的ローパスフィルターを有した撮像装置
に関し、特にビデオカメラ、電子スチルカメラ等で撮像
管や撮像板等を用いて画像を離散的に得る際に好適な光
学的ローパスフィルターを有した撮像装置に関するもの
である。

（従来の技術） 一般に離散的画素構造を有する固体撮像素子を用いた
ビデオカメラ等では画像情報を光学的に空間サンプリン
グして出力画像を得ている。この場合被写体にサンプリ
ング周波数以上の高空間周波数成分が含まれていると被
写体が有していない構造や色あい等の偽信号を発生して
くる。即ち撮影機によって採取することのできない周波
数成分（ナイキスト周波数を越える周波数成分）は画像
情報として再現することができず、所謂波形歪み（エイ
リアシス）、モアレ縞、偽色等が形成される要因となっ
てくる。

この偽従来より光学的ローパスフィルターを撮影系の
一部に配置して被写体の高空間周波数成分を制限してい
る。光学的ローパスフィルターとしては水晶板等の複屈
折を利用したものが多く用いられている。

しかしながら水晶板はコストが高く、しかも分離後の
光束は直線偏光となってくるので例えば２方向以上に分
離したい場合には、偏光状態を変換する位相板を必要と
する等、装置全体が複雑化する傾向があった。

これに対して特開昭53−119063号公報では位相型の回
折格子を利用しアクリルアル樹脂を用い断面形状を三角
形とした光学的ローパスフィルターを提案している。こ
の光学的ローパスフィルターは回折効果を受けて一方向
に拡がった点線の強度分布を形成する。これにより水晶
板と同様にローパス効果を得ている。

しかしながら一般に撮影系の一部に設けられている光
学的ローパスフィルターは撮影系の絞り値が変化する
と、そのローパス効果も変化してくる性質を有してい
る。

即ち撮影系は収差及び口径蝕等の影響を受け絞り値に
より、そのMTFが変化する。又、大口径の絞り値では画
面の中心部に対して外面周辺部は一般的にMTFは低下す
る。更に著しく小口径の絞り値になると絞り自体の回折
等の影響により画面全体のMTFが低下してくる。

従って例えばビデオカメラ等では中間的な絞り値を基
準にすると、それよりも大口径比及び小口径比の絞り値
においては光学的ローパスフィルターによる解像度低下
の他に撮影系自身による解像度やコントラストの低下が
あり、全体として光学性能を大きく低下させる原因とな
っている。

一方カラースチルビデオカメラ等で使用されるCCD等
の撮像素子にはその構造上高精度の露出制御が要求され
ている。この為カラースチルビデオカメラ等ではターレ
ット式の絞り機構の使用が種々と提案されている。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は光学的ローパスフィルターを必要とする、例
えばカラースチルビデオカメラ等において絞り値が大口
径から小口径へと種々と変化しても常に所定のローパス
効果が容易に得られ、しかも良好なる光学性能を有した
撮影が可能な光学的ローパスフィルターを有した撮像装
置の提供を目的とする。

（問題点を解決するための手段） 複数の絞り開口のうちの少なくとも２つの絞り開口に
各々ローパス効果の異なる光学的ローパスフィルターを
設け、該複数の絞り開口のうちの１つを選択して使用す
るようにしたことである。

特に後述する実施例では複数の絞り開口のうち最大開
口に近い大口系の絞り開口には有効画面の周辺部に対す
るローパス効果が減少するような光学的ローパスフィル
ターを設け良好なる光学性能を有した撮影を可能として
いる。

（実施例） 第１図は本発明の一実施例の概略図である。同図にお
いて１は撮影系の前群レンズ２は撮影系の後群レンズ、
３はカラーストライプフィルター、４はCCD等の固体撮
像素子でカラーストライプフィルター３と一定の関係で
構成されている。５は絞りターレットで複数の開口径の
異なる絞り開口5a〜5eを有し、このうち絞り開口5a〜5c
にはローパス効果が異なる光学的ローパスフィルター6
A,6B,6Cが各々設けられている。同図ではカラーストラ
イプフィルター３の並び方向をＸ軸それと直交する方向
をＹ軸にとっている。

20は絞り装置、21は絞りターレット５を取り付けた回
転軸で回転軸21にはフック23a〜23eを形成した部材23が
取り付けられている。尚、各フック23a〜23eは各々絞り
開口5a〜5eが各々撮影系の光軸22上に位置するように対
応して設けられている。

26a,26bは各々ばね掛け部、27はばねであり、ばね掛
け部26aと26bとの間に掛けることにより絞りターレット
５を回転軸21の回わりに反時計方向に付勢している。24
は爪レバーであり回転軸25の回わりに回動可能に取り付
けられている。24aは爪レバー24の一端に設けた爪部、2
4bは爪レバー24の他端に設けた突起部である。

同図ではフック23aと爪部24aとが係止し絞り開口5aが
光軸22上に位置している状態を示している。28は電磁ユ
ニット、28aはコイル、29は操作レバーである。

本実施例において絞り開口を変化させる場合は電磁ユ
ニット28のコイル28aに所定の電流を流し、鉄心28bに操
作レバー29の一端29aを吸着させる。これにより操作レ
バー29の他端29bを爪レバー24の突起24bに当接させ、爪
レバー24を回転軸25を中心に反時計方向に回動させてフ
ック23aと爪部24aとの係止を解除し、部材23を反時計方
向にばね27の付勢力により回動させると共に、絞りター
レット５を回動させて所定の絞り開口が光軸22上に位置
するようにしている。

そして所望の絞り開口が光軸22上に位置したらコイル
28aへの電流を停止させ、鉄心28bとレバー29の一端29b
との吸着を外して爪レバー24の爪部と部材23の所定のフ
ックとを係止させるようにしている。これにより所望の
絞り開口を選択するようにしている。

尚、本実施例において絞りターレット５をステップモ
ーター等を利用して駆動させても良い。

次に本実施例における各絞り開口に設けた光学的ロー
パスフィルターについて説明する。

一般に撮影系のMTFは絞りが大口径のときはあまり良
くなく、特に画面周辺部は画面中心部に比べて悪い。従
って最も絞り径の大きい絞り開口5aに配置する光学的ロ
ーパスフィルター6Aは例えばＸ軸方向に沿って周辺部を
第２図（Ｂ）に示すように光束の分離幅P₂が第２図
（Ａ）に示す中心部における分離幅P₁に比べて小さくな
るようにして、即ちローパス効果が低下するように構成
している。

又、Ｙ軸方向に対してはビデオカメラ等の走査線、若
しくはＹ軸方向の画素数に応じてローパス効果が得られ
るように例えば第２図（Ｃ）に示すように分離幅P₀とな
るように構成している。

２番目に絞り径の大きい絞り開口5bに配置する光学的
ローパスフィルター6Bは撮影系の光学性能が絞り開口5a
のときに比べて良くなるのでＸ軸方向とＹ軸方向共に略
等しいローパス効果を有し、更に周辺部は中心部に比べ
て絞り開口5aに配置した光学的ローパスフィルター6Aに
比べてややローパス効果が強くなるように構成してい
る。

３番目に絞り径の大きいF/5.6〜F/8程度の絞り開口5c
に配置する光学的ローパスフィルター6CとしてはＸ軸方
向は第３図（Ａ）に示すように全体的に略均一のローパ
ス効果が得られるようにし、Ｙ軸方向は既に撮影系によ
り高周波領域のMTFが低下してくるので第３図（Ｂ）に
示すようにローパス効果が生じないようにして構成して
いる。

絞り径が小さくなりF/16程度の絞り開口5dの場合は既
に撮影系により高周波領域のMTFが低下しているので特
に光学的ローパスフィルターは配置しない。その代わり
に光路長を光学的ローパスフィルターを用いた場合と等
しくする為に光路長補正用の平行平面ガラスあるいはア
クリル板等の補正板を配置している。

絞り径が最も小さくなるF/16〜F/32程度の絞り開口5e
のときは、そのまま絞り系を小さくしていくと回折等を
影響により光学性能が著しく低下してくる。この為、絞
り径は例えば絞り開口5d程度とし、その代わりにNDフィ
ルター6eを設けている通過光量を減少させて所定のＦ値
となるようにしている。当然光学的ローパスフィルター
は配置していない。

尚、本実施例における光学的ローパスフィルターは連
続プリズム形の位相型の他に、例えば特開昭61−126532
号公報等で開示されている台形状のもの等、光束が２方
向に所定量分離出来、ローパス効果を有するものであれ
ば、水晶板を含めどのようなものであっても良い。

（発明の効果） 本発明によれば各絞り値において適切なるローパス効
果を有し、しかも画面の各領域において適切なるローパ
ス効果が得られる良好なる撮影が可能な特にスチルビデ
オカメラ等に好適な光学的ローパスフィルターを有した
撮像装置を達成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の概略図、第２図（Ａ），
（Ｂ），（Ｃ）、第３図（Ａ），（Ｂ）は各々本発明に
係る光学的ローパスフィルターの説明図である。 図中、１は撮影系の前群レンズ、２は撮影系の後群レン
ズ、３はカラーストライプフィルター、４は固体撮像素
子、５は絞りターレット、5a〜5eは絞り開口、6A,6B,6C
は光学的ローパスフィルター、20は絞り装置である。

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の絞り開口のうちの少なくとも２つの
   絞り開口に各々ローパス効果の異なる光学的ローパスフ
   ィターを設け、該複数の絞り開口のうちの１つを選択し
   て使用するようにしたことを特徴とする光学的ローパス
   フィルターを有した撮像装置。
2. 【請求項２】前記複数の絞り開口のうち一定の大きさの
   絞り開口よりも大径の絞り開口に前記光学的ローパスフ
   ィルターを設けたことを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載の光学的ローパスフィルターを有した撮像装置。
3. 【請求項３】前記複数の絞り開口のうち一定の大きさの
   絞り開口よりも小径の絞り開口に１次元方向にローパス
   効果を有する光学的ローパスフィルターを設けたことを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の光学的ローパス
   フィルターを有した撮像装置。
4. 【請求項４】前記複数の絞り開口のうち最大開口に近い
   大口径の絞り開口には有効画面の周辺部に対するローパ
   ス効果が減少するような光学的ローパスフィルターが設
   けられていることを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載の光学的ローパスフィルターを有した撮像装置。