JP3274704B2 - 固体撮像素子 - Google Patents

固体撮像素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撮像素子、特に固体撮
像素子の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、固体撮像素子の各画素は、図11
に示すように、ほぼ四角形をなしていて、画素の感度分
布の幅Dは画素の間隔pよりも小さくなるように配列さ
れていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の固体
撮像素子では、その解像周波数よりも高い周波数の画像
を検出しようとすると、折返し周波数の誤差(aliasin
g)が生じ、偽画像が生じるという欠点がある(このよ
うな誤差を生じない周波数をナイキスト限界という)。
このために、通常のビデオカメラ等では、固体撮像素子
の前にローパスフィルタを設けて、レンズで撮影した画
像の周波数の内の高周波側をカットしている。しかし、
これは画質を劣化させる結果となるし、また装置を高価
なものにする原因となる。
【0004】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、それ自体で常に高画質の画像を得ることのでき
る固体撮像素子を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
するために、本第1及び第2の発明による固体撮像素
は、X方向とY方向に画素が配列されている2次元固体
撮像素子であり、上記X方向およびY方向の両方向にお
いて、各画素感度分布の幅が、画素の間隔よりも大きく
なるように各画素の形状と配置を選定されている。更
に、本第1の発明によれば、かかる構成の実現を容易に
するため、積層型フォトダイオード構造が用いられてい
る。
【0006】以下、本発明の基礎となる撮像における周
波数特性の解析について説明する。
【0007】一般に、固体撮像素子によって物体の強度
(濃度)情報を得る撮像プロセスには、(1)撮像レン
ズを介して物体の像を固体撮像素子上へ投影するステッ
プと、(2)固体撮像素子上に投影された像の強度分布
を、固体撮像素子の各フォトダイオード(画素)を介し
て光電変換するステップとがある。
【0008】図1は、固体撮像素子を用いた撮像系を示
す。今、物体の強度分布をo(x)、像の強度分布をi
(x)、撮像レンズの点像応答関数(PSF)をh
(x)、画素の感度分布をa(x)、画素の間隔をpと
すれば、レンズ系のみの結像特性は、 i(x)=h(x)*o(x) (1) で表わされる。ここで、*はコンボリューションを表わ
す。次にこれをフーリエ変換すると、 I(f)=H(f)O(f) (2) となり、積の形で表わすことができる。ここで、大文字
は小文字の関数のフーリエ変換を表わす。ここで、fは
空間周波数である。
【0009】次に、固体撮像素子による撮像系の特性に
ついて調べる。感度分布a(x)を有する画素で像i
(x)を検出する場合に得られる信号は、サンプル点に
おける像の強度分布i′(x)と画素の感度分布a
(x)との積に比例するから、各画素からの出力信号
i′s (x)は、 となり、相互相関で表わされる。実際には、各画素が間
隔pでアレイを形成しているから、固体撮像素子からの
出力信号is (x)は、 is (x)=Σk δ(s−kp)i′s (x) (4) となる。ここでkは整数である。Σk δ(s−kp)=
comb(s/p)と表わせば、 is (x)=comb(s/p){a(x)☆i(x)} (5) となる。ここで☆は相関を表わす。又、上記(1)式よ
り、i(x)=h(x)*o(x)であるから、 is (x)=comb(s/p){a(x)☆h(x)*o(x)} (6) これをフーリエ変換すると、 Is (f)=comb(pf)*(f)H(f)O(f) (7) となる。ここで、は逆フーリエ変換を表わす。
【0010】ここで点物体に対する応答を考える。o
(x)=δ(x)(デルタ関数)とすると、 であるから、上記(7)式は、 Is ′(f)=comb(pf)*(f)H(f) (8) となり、点物体に対する伝達関数を与えることになる。
ところで、画素の感度分布a(x)が偶関数であれば、
上記(7)式及び(8)式は、夫々、 Is (f)=comb(pf)*A(f)H(f)O(f) (7)′ Is ′(f)=comb(pf)*A(f)H(f) (8)′ となる。
【0011】更に、画素の感度分布が一様であるとして
解析を進める。即ち、幅Dで矩形状の感度分布をしてい
るとする。即ち、a(x)=rect(x/D)で、光学系
のカットオフ空間周波数をfc 、画素間隔をpとする
と、 が得られる。
【0012】図2は空間周波数の応答特性IS の意味を
示す。即ち、光学系の周波数特性H(f)と画素の感度
分布のフーリエ交換A(f)との積の特性が、画素間隔
の逆数1/pで繰り返すことを示している。
【0013】図3は、従来の固体撮像素子を用いた場合
を示している。即ち、画素の感度分布幅Dが画素間隔p
よりも小さく、1/p<1/Dとなっている。従って、
1/2pから1/pの高周波の画像が周波数0から1/
2pの低周波の画像として重なってくることを示してい
る。また1/pから1/Dの高周波も1/pから1/p
−1/Dの周波数領域に重なってきている。従って、高
価な水晶フィルタ等のローパスフィルタを用いることに
より光学系の特性H(f)の高周波特性を低下させて、
この問題を解決していた。
【0014】本発明は、このような画像特性に鑑み、1
/p>1/Dの状態、更に好ましくは1/2p≧1/D
の状態にすることによって、問題点を解決したものであ
る。即ち、画素の感度分布の幅Dが画素の間隔pよりも
大きくなるように画素の形状と配置を選定したものであ
る。この場合、図4に示すCCDのような一般的な固体
撮像素子では、画素構造も光電変換信号の読出し構造も
共に複雑であって、画素の形状を工夫することは容易で
はないので、本発明では、図5に示すような積層型のフ
ォトダイオード構造をもつ画像センサーを用いて、画素
形状と配置の選定を容易にした。
【0015】
【実施例】図6は参考例である第1実施例を示してい
る。図中、Eは画素であって、コ字状をなし、図示のよ
うに配置されて、画素の感度分布の幅Dが画素の間隔p
よりも大きくなるように(D≒2p)配置が選定されて
いる。基本となる固体撮像素子としては、光電変換を行
うフォトダイオードが積層型構造となっている内部増幅
型の固体撮像素子が用いられている。構造は図5に示さ
れている通りであり、図7はその等価回路を示してい
て、破線枠内は一画素分を表している。
【0016】次に、図5と図7を用いてその作用を説明
する。図5に示すように、光は透明電極1を透過して光
電変換層2内に入射し、光電変換層2で生じた電荷は画
素電極3で捕捉される。この電荷は、図7においてはフ
ォトダイオードdの容量Cpdに蓄積された電荷を意味す
るが、この電荷による電位は画素電極3の直ぐ近くにあ
る増幅トランジスタTaのゲートに印加され、MOSス
イッチTy,Txを介して読出される。この場合、S/
Nは良く、通常のCCD等に比べて10〜100倍の大
きさの出力信号が得られる。画素の形状は画素電極3の
形状のみで決定されるから、図6に示した形状と配置を
実現するのは容易である。
【0017】図8は本発明の第2実施例を示している。
この実施例は、y方向が改善されている点で第1実施例
とは異なるが、その作用効果は第1実施例と殆ど同じで
ある。
【0018】図9は本発明の第3実施例を示している。
この実施例では、x方向,y方向共に画素の感度分布の
幅Dが画素の間隔pよりも大きく(D≒(4/3)p)
なるように構成されているが、その作用効果は第1実施
例と同様である。
【0019】図10は本発明の第4実施例を示してい
る。この実施例では、x,y両方向共にD≒2pとなる
ように構成されているが、その作用効果は第1実施例と
同様である。
【0020】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、それ自体で
折返し周波数誤差を除去することができ、従って光学系
の優れた高周波特性を損なうことなく、且つ高価なロー
パスフィルタを使用することなく忠実性の良い優れた画
像を得ることのできる固体撮像素子を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体撮像素子を用いた撮像系を示す図である。
【図2】空間周波数の応答特性の意味を示す特性線図で
ある。
【図3】従来の固体撮像素子を用いた場合の空間周波数
の応答特性を示す線図である。
【図4】CCDのような一般的な固体撮像素子の構成を
示す図である。
【図5】積層型のフォトダイオード構造をもつ画像セン
サーの構成を示す図である。
【図6】参考例である固体撮像素子の第1実施例におけ
る画素の形状と配置を示す図である。
【図7】図5に示す画像センサーの等価回路図である。
【図8】本発明の第2実施例における画素の形状と配置
を示す図である。
【図9】本発明の第3実施例における画素の形状と配置
を示す図である。
【図10】本発明の第4実施例における画素の形状と配
置を示す図である。
【図11】従来の固体撮像素子における画素の形状と配
置を示す図である。
【符号の説明】
E 画素 D,Dx,Dy 画素の感度分布の幅 p,px,py 画素の間隔 1 透明電極 2 光電変換層 3 画素電極

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X方向とY方向に画素が配列されている
    2次元固体撮像素子であり、 上記X方向およびY方向の両方向において、各画素 感度
    分布の幅Dが、画素の間隔pよりも大きくなるように各
    画素の形状と配置を選定して成り、積層型フォトダイオ
    ード構造をもつことを特徴とする固体撮像素子。
  2. 【請求項2】 方向とY方向に画素が配列されている
    2次元固体撮像素子であり、 上記X方向およびY方向の両方向において、各画素感度
    分布の幅Dが、画素の間隔pよりも大きくなるように各
    画素の形状と配置を選定して成ることを特徴とする固
    撮像素子。
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