JP3625827B2 - オルタネータの磁極片を製造するための改善された方法 - Google Patents

オルタネータの磁極片を製造するための改善された方法 Download PDF

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Description

発明の背景
本発明は、オルタネータの磁極片を製造するための改善された方法に関する。自動車では一般にオルタネータが使用されており、このオルタネータは、オルタネータと自動車のエンジンとの間に張られたベルトにより駆動されるようになっている。オルタネータのロータが回転する結果、電力が発電され、この発電された電力は自動車のエンジンを所望どおり適宜スタートできるように、自動車に搭載された充電バッテリーを再充電するのに主に使用される。現在自動車で使用されているオルタネータでは、ロータは毎分15000〜22000の回転数程度の速度で回転する。現在、自動車産業では、最小価格で最良のオルタネータを提供するため、種々のオルタネータのメーカー間で激しい競争がなされている。しかしながらオルタネータに関する「最良」なる用語の定義の理解は、常に容易であるとは云えない。
最適なオルタネータとは、電力出力が大きくノイズが少ない状態で、軽量とコンパクトな寸法を合わせ持つものである。オルタネータの心臓部は数が2つの磁極片にあり、これら磁極片はロータのシャフト上で互いに向き合うように取り付けられており、両者の間にロータのコイルを収容している。磁極片の設計はオルタネータの電力出力を増す上で重要であり、同時に磁極片はオルタネータが発生するノイズの最大発生源のうちの1つとなっている。
不幸なことに、磁極片の構造によって生じるノイズ出力を低減するためにとられる工程は、電力出力に悪影響を与えることが多い。更に磁極片のフィンガーの重心位置はロータとステータとの間のギャップの特定の設計に大きく影響する。これに関し、磁極片の重心を最適にし、磁極片を適当に製造すると、磁極片のフィンガーはロータが高速回転する際に外側に曲がりにくくなる。従って、重心を最適な位置に定めるとロータとステータとの間のギャップを狭くすることが容易にでき、よってオルタネータの電力出力を増加することが容易となる。しかしながら磁極片のフィンガーの重心位置を最適化することができない場合、上記ギャップは必ず広くなり、高速回転中に磁極片のフィンガーが外側に曲がり得る原因となり、よって、ステータに接触したり、これに破損させたりし、従ってオルタネータ自体が破壊されることになる。これに関し、磁極片のフィンガーを、後に打ち抜き平面から外側に曲げるような打ち抜き作業で磁極片を製造する場合、フィンガーのいくつかの結晶粒子の方向はフィンガーとベースとの間の角度に対応する磁極片のベースと比較して鋭角になる。かかる状況では、高速回転中に曲げに耐えられるフィンガーの能力は低下する。従って、磁極片を打ち抜き方法で製造すると、ロータとステータとの間のギャップが広くなり、高速回転中に磁極片のフィンガーが外側に曲がり得る原因となるはずである。
このように、これまでの説明から理解できるように、オルタネータの磁極片の設計とロータの設計とは必ず妥協を図らねばならない。
現在の技術状態のレベルでは、オルタネータはその寸法および重量で十分な電力を出力しているので、自動車メーカーはノイズを低減するための工程に関心を向け初めている。磁極片のフィンガーの形状および構造は、ノイズを発生する原因である乱流を生じることなく、通過する空気流を増加するように変えられる。このように電力出力を増加することよりもノイズ低減するよう磁極片のフィンガーが設計され、従ってこれらパラメータの双方の間での最良の妥協点を見いだすように設計されたオルタネータの電力出力を最適化する製造方法についてのより大きなニーズが生じている。本発明の方法が開発されたのは、主としてこの問題を考慮したものである。
別の特徴によれば、オルタネータのロータおよびステータの電気コイルをできるだけ低い温度に維持することが重要である。従って、ロータハウジングの外側に少なくとも1つの換気用フアンをロータシャフトに設けることが、これまで知られていた。換気用フアンは内部に形成された一連のスロットを介してロータハウジングの内部と連通する。特に図1に示す設計は換気用フアンとロータとを分離しているので不十分である。更にロータのハウジング内で複数のスロットを使用することにより、ノイズの発生が大きくなっているが、このようなノイズの増加は自動車業界には許容できないものである。銅の抵抗率は温度増加と共に増加するので、オルタネータの効率的な換気により銅の抵抗率を比較的低く維持している。銅の抵抗率は電流強さと逆比例するので、温度が上昇するにつれオルタネータのコイル内の電流強さは必ず弱くなる。磁束は電流強さに比例しているので、オルタネータの電力出力は温度に直接関連している。従って、ノイズ発生を大きく増加させない、オルタネータを冷却するための効率的なシステムに対するニーズが生じている。
発明の概要
本発明はオルタネータの磁極片を製造するための改善された方法に関する。本発明の方法は、次の相互に関連した目的、特徴および特質を含む。
(A)第1の特徴では、本発明の要旨に従ってオルタネータの磁極片を製造するに際し、冷間シャーリング工程でスチール(鋼)ロッドを小さい加工品に分割する。分割されたスチールロッドの各加工品の寸法は、最初に熱間鍛造される磁極片によって定められる所望の容積に基づいて決定する。
(B)その後、再分割されてスチールロッドの各加工品が曲げ易くなるように、各加工品をスチールの融点よりもすぐ下の温度に加熱する。その後、各加工品を熱間鍛造プレスで仕上げ磁極片にほぼ似た初期形状となるように成形する。この熱間鍛造工程は3つのサブ工程を含む。そのサブ工程の第1工程は、加工品を平らにし、その後、工具の2つのシ−ケンスセットの半分割体の間に設置し、半分割体を互いにプレスして磁極片の初期の第1形状を成形する。
(C)その後、最初に成形した加工品をショットブラストし、スケールおよび鉄酸化物のような表面の凹凸物を除き、その後、一連のリン酸塩化浴内で化学的に処理する。このリン酸塩化工程はパーカライジング処理としても知られている。このパーカライジング工程によりその後の冷間圧印方法の有効性を増すよう、磁極片の表面に潤滑剤を与える。
(D)その後、初期成形された磁極片は冷間圧印工程を受ける。この工程において、初期成形された磁極片は厚みを薄くするように、高圧力により圧縮され、同時にスチールの結晶粒子構造が平らにされ、第2の形状を成形する。初期成形された磁極片の構造の所定の特徴である厚みの低減は、10%もの大きさにできる。別の特徴として本出願人は磁極片の他の領域よりも、ある領域に大きな力を加え、他の領域と異なるようにその領域の磁極片の結晶粒子の性質に影響するような冷間圧印方法の工程を初期成形された磁極片に実施する方法を考えついた。更に本発明の磁極片は低炭素スチール(鋼)から形成されているので、冷間圧印方法中に平らな結晶粒子の直線状の列が形成できる。冷間圧印工程を実行する別の理由は、初期成形された磁極片から磁極の表面の曲率を除くことにあり、このような工程は初期成形された磁極片を熱間鍛造プレスから除くのを容易にするのに必要であった。これに関し、仕上げられた磁極片では互いに垂直な、ある表面が必要であるが、熱間鍛造プレスの工具内にこれらの垂直表面が形成されている場合、磁極片製造方法を実行する際に工具から初期成形された磁極片を容易に取り除くことができなくなってしまう。このように、熱間鍛造プレスの工具における垂直線から若干ずらし、熱間鍛造プレスの工具から初期成形された磁極片の容易な取り出しを促進する必要がある。冷間圧印工程中、金属を圧縮する際に必要な垂直性が得られる。冷間圧印方法の間にトリミング工程を実施する。この工程は、熱間鍛造工程の間に使用された工具の表面の接合部に形成されたスクラップの周辺部分を初期成形された磁極片からトリミングするためのものである。
(E)冷間圧印を行い、冷間圧印された磁極片の周辺からスクラップをトリミングした後、この冷間圧印された磁極片は2工程の方法で実行される。この方法は、冷間圧印された磁極片の完全仕上げ方法として出願人が記載しているものである。この2工程の完全仕上げ方法は、加工硬化工程だけでなく、磁極片の中心を貫通する孔(この孔はオルタネータのロータシャフトを受け入れるものである)を形成するための2工程方法、更に加工硬化工程および曲げ工程から成る2工程方法も含む。完全仕上げ方法は更にユニークな押し出し工程も含む。この押し出し工程は磁極片内の孔を形状が正確な円筒形に成形し、かつその孔の中心に位置させるものである。これらは本方法によって得られたオルタネータのロータの回転のアンバランスをなくすのに不可欠のものである。この完全仕上げ方法は、磁極片に対し第3の最終形状を形成する。
(F)その後、磁極片の表面からステアリン酸亜鉛を除くため、完全仕上げされた磁極片はpH14の浴に入れられ、その後、後により詳細に説明するように、制御された雰囲気内で加熱サイクルと冷却サイクルを受けることによって焼きなましされる。金属表面上のステアリン酸亜鉛が存在していることにより、有効な溶接が防止されることが判った。このように、ステアリン酸亜鉛を除くことにより、各磁極片の背面に換気フアンを溶接することができる。焼きなまし(アニーリング)工程は、磁極片内の結晶粒子構造を大きくし、透磁率を高め、よってロータの磁極片とオルタネータのステータとの間に形成される磁気回路内の磁極片を通過する磁気のより自由な流れを高めるよう働く。本出願人は結晶粒子構造の増大が最適な程度に高められる焼きなまし工程のためのある範囲の温度を発見した。更にスチール内の炭化物およびパーライトが結晶粒子構造に進入する程度を制御するための冷却時間について考えついた。最適なことは、低炭素スチール内に見られるパーライトが結晶粒子構造の内部に拡散し、透磁率を最適にすることである。更に、仕上げられた磁極片の機械加工性を高めるよう、結晶粒子の接合部に炭化物が最良に析出するような冷却時間が与えられる。冷却が過度に急速に行われると、炭化物は結晶粒子の接合部内に拡散せず、よって磁極片を機械加工することが困難となる。窒素と水素との組み合わせから成り、焼きなまし方法中の磁極片の表面の酸化を防止する不活性雰囲気が使用される。
(G)本発明の要旨に従って磁極片を製造する際に、他の団体によって製造される磁極片と比較して材料の透磁率を最適な程度に高める。本発明の要旨に従って製造された磁極片を含むオルタネータの電力出力を最適にしたまま、ノイズを大きく低減するように設計されたフィンガーを備えた磁極片を、本発明の要旨に従って製造できる。本発明の要旨に従って製造された磁極片は、磁極片の他の部分の結晶粒子構造に結晶粒子構造が平行となっているフィンガーを形成するよう、熱間鍛造方法を利用して製造されるので、フィンガーは極めて強く、ロータが高速、例えば毎分1万5千〜2万2千回転で回転される際にフィンガーに加えられる曲げ力に完全に耐えることができる。このことは、打抜作業により磁極片を製造し、その後、フィンガーを仕上げ形状に曲げた場合に得られる結果と比較すべきである。上記のように、かかる構造は高速回転中に加えられる曲げ力に耐えられるものではなく、例えばオルタネータは、本発明の要旨に従って製造された磁極片を用いるオルタネータの場合よりも、ロータとステータとの間のギャップを大きくして、オルタネータの電力出力を高めるように設計しなければならない。
このように、本発明の第1目的は、オルタネータの磁極片を製造するための改善された方法を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、仕上げられた磁極片の結晶粒子構造をおおきくし、よってその透磁率を高めるように特別に設計された種々の工程を含む、かかる改善された方法を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、コストを低減するためパンチング、曲げおよび機械加工の工程を、1回の2パート工程に組み合わせた完全仕上げ方法を用いて使用されるかかる重合体を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、不活性雰囲気内で実行される焼きなまし工程を含むかかる方法を提供することにある。
添付図面を参照した好ましい方法の次の詳細な説明から、本発明の上記およびそれ以外の目的、特徴および特質について、より良好に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の要旨に従って製造した磁極片を含むオルタネータの分解斜視図を示す。
図2は、組み立てた状態の別のオルタネータの設計の横断面図を示す。
図3は、冷間シャーリングによって形成された細長いスチールロッドの一部を示す。
図4、5および6は、図4に示された細長いスチールロッド部分に対して熱間鍛造作業を行うのに利用される工具の横断面図を示す。
図7、8、9および10は、本発明の方法の冷間圧印方法を示す、工具内に収容された磁極片および工具のそれぞれの横断面図を示す。
図11は、本発明の完全仕上げ方法の第1工程のうちの第1部分に対する工具内に収容された磁極片および工具の横断面図を示す。
図12は、本発明の完全仕上げ方法の第1工程のうちの第2部分に対する工具内に収容された磁極片および工具の横断面図を示す。
図13は、本発明の完全仕上げ方法の第2工程のうちの第1部分に対する工具内に収容された磁極片および工具の横断面図を示す。
図14は、本発明の完全仕上げ方法の第2工程のうちの第2部分に対する工具内に収容された磁極片および工具の横断面図を示す。
図15は、本発明の方法の焼きなましの工程のための時間対温度の関係を表すグラフを示す。
図16は、本発明の要旨に従って製造された磁極片の電気測定値を得るのに利用されるリング形状の横断面図を示す。
図17は、結晶粒子構造を分析すべき所定の領域を識別する磁極片の一部の横断面図を示す。
図18、19および20は、磁極片を焼きなまししていない場合の、図17に示されたそれぞれの領域における結晶粒子構造を示す顕微鏡写真である。
図21、22および23は、本発明の要旨に従って磁極片を焼きなましした場合の、図18、19および20に直接対応する図である。
図24は、本発明の要旨に従って製造された磁極片と競合メーカーによって製造された磁極片とを比較する、テスラーを単位とする誘導磁束密度とミルメータ当たりのアンペアターンとの関係を表すグラフを示す。
図25は、図24に示した同じ磁極片を比較する、透磁率と電流(アンペア)との関係を表すグラフを示す。
好ましい実施例の特別な説明
まず、図1および2を参照する。これら図は、本発明の要旨に従って製造された磁極片を内部に含む2つの異なるオルタネータの分解斜視図および横断面図をされぞれ示す。図1において、オルタネータの全体は参照番号10で表示されており、内部チャンバ内に固定されたステータ13を収容するハウジング半分割体11および27を含むように示されている。ロータ15は複数の周方向に隔置されたフィンガー19を有する磁極片17を含み、これら磁極片17は図1および2で判るように、互いに向き合った状態に取り付けられている。
図2のオルタネータで最良に理解できるように、磁極片17'のフィンガー19'内のロータ15'内にコイル21が収容されている。ロータ15'はステータ13'内で回転できるようにベアリング25に取り付けられたシャフト23を有する。更に各磁極片17'はシャフト23が嵌合されるような寸法の中心開口20を有する。
ハウジング11'および27'(図2)はステータ13'およびロータ15'をセンタリングするように設けられており、このロータは各磁極片17'(図2)に強固に溶接され、磁極片と共に移動してオルタネータを換気するように拘束された換気フアン29'を有する。図1は、ハウジング11、27の外部に取り付けられた換気フアン29の別の実施例を示し、図2は、磁極片17'の各々にフアン29'が直接溶接され、このフアンは磁極片と共に回転するようになっている別の実施例を示す。
図1および2の上記説明を念頭に入れれば、本発明の要旨に従って製造された磁極片17、17'の使用法の特定の好ましい環境を理解すべきである。
本発明の方法を実行する際に、出願人は低炭素スチールを使用すると、本発明の方法を条件として磁極片の結晶粒子構造の作用により、仕上げられた磁極片の透磁率が大きくなることを見いだした。出願人が使用する低炭素スチールで(鋼)一般に見いだされる他の残留微量元素としては、炭素の他にCr、Mo、Ni、Co、Cu、Nb、Ti、V、W、Pb、B、As、Seがある。後により詳細に説明するように、これら微量元素は焼きなまし方法の工程中に結晶粒子構造を発生させるのに重要な役割を果たす。
熱間鍛造のためのスチール製の加工部品を製造する最適な方法は、熱間鍛造後の磁極片の容積にほぼ対応する各長さのある容積のスチールとなるような長さ(図3)に、冷間シャーリングされた細長いロッド状のスチールを得ることであることを、出願人は発見した。当業者に周知のように、ロッドをシャーリングした後に、スチール製の各シャーリングされた磁極片をスチールが若干曲げ易くなるように、スチールの溶融点のすぐ下の温度まで加熱する。その後、各磁極片を別々に3段階熱間鍛造装置へ送る。
スチール製の磁極片(加工部品)は形状がほぼ円筒形で、ほぼ円形の外周と細長い長手方向軸を有する。熱間鍛造工程の第1段階(図4)では、スチール製磁極片の長手方向軸が支持体の平面に対して主直となるように、支持体にスチール製磁極を載せる。その後、スチール製磁極片に往復振動圧力を与え、磁極片を平らにし、スチール製磁極片の周辺部を大幅に広げ、かつ磁極片の前記長手方向軸の方向に垂直に短くする。上記スチール製磁極片を大幅に広げる作業は、この材料が後に使用される工具の全面をカバーできるように行われる。別の特徴として、図4に示された工程は、この工程前の加熱中に生じたスチール製磁極片からの表面フレークを除くように働く。
熱間鍛造工程の第1段階および第3段階(図5および6)では、工具の2つの半分割体の間に平らにされたスチール製磁極片を即座に挿入する。この場合、一方の半分割体は固定されており、他方の半分割体は固定された半分割体に対して往復動できるように取り付けられているので、移動可能な半分割体は第1の固定半分割体に係合するように、大きな力で往復動し、両者の間に平らにされたスチール製磁極片を挟持し、鍛造工程を実行してスチール製磁極片をほぼ1つの磁極片の形状に成形する。当業者に理解できるように、熱間鍛造工具の内部壁には工具から鍛造された磁極片を取り出すのを容易にするため、壁のなす角は若干鈍角に形成されている。仕上げられた磁極片内の対応する壁は互いに垂直であるが、熱間鍛造工具の対応する壁が互いに垂直であれば、熱間鍛造された最初の成形磁極片を工具から取り出すことが困難となる。従って、工具の垂直表面と水平表面とのなす角が若干鈍角になっていることにより、後の処理のため、工具から鍛造済み磁極片を取り出すことが容易となっている。特に図5を参照すると、第6図に示した工具を利用する工程を実行した後に所望の容積とほぼ同一の容積を有する磁極片を製造するように、図5に示された工具の半分割体の間で平らにされたスチール製磁極片をプレスする。図5の工具を利用した工程を実施した後の磁極片は、形状が粗く最小の可能な圧力を加え、かつ最も小さな摩擦で材料をより容易に流すには、所望の最終半径よりも大きな半径を有している。このように、工具の摩耗が減少され、工具が破壊する機会も減少される。磁極片が図5の工具による加工を受けた後に、図6の工具を用いて最初の形状を定める冷間圧印前の所望の寸法に磁極片を正確に形成する。
熱間鍛造方法の工程が完了した後に、各磁極片をサンドブラストする。理解できるように、熱間鍛造方法を容易にするよう、スチールの溶融温度のすぐ下の温度までスチール製磁極片は加熱されているので、熱間鍛造方法を完了した後にスチールが冷却されると、最初に形成した磁極片の表面に所定量のフレークおよびその他の表面の凹凸物が生じる。このサンドブラスト工程は、最初に形成した磁極片から金属フレークおよび全表面の凹凸物を除くのを容易にする。
最初に形成された各磁極片をサンドブラストした後に、各磁極片をパーカライジングする。この工程では、各磁極片は多数の浴に入れられる。サンドブラストおよびパーカライジング(リン酸塩処理)工程は、スチール部品の製造において周知であるので、本発明において実行するようなこれら工程は従来通りである。パーカライジング工程はその後の冷間圧印方法の有効性を高めるよう、磁極片の表面に潤滑在を与えるものである。
その後、各磁極片について図7〜10に示すような冷間圧印を行う。この冷間圧印方法では、磁極片を工具に入れ、5万〜7万p.s.i.の範囲の圧力で第2工具をこれに押圧し、金属を圧縮して金属の寸法を10%まで減少する。これと同時に、熱間鍛造工具から最初に形成した磁極片の取り出しを容易とするため、最初必要であった鈍角を除くように冷間圧印に使用される工具の周辺部は特別な形状になっている。従って冷間圧印方法が完了した後、仕上げられた磁極片で必要なように、上記表面は互いに垂直になっている。この冷間圧印方法は第2の中間的形状を成形するものである。
種々の図に示すように、磁極片はハーフコアとして知られる中心部の盛り上がった部分を有する。冷間圧印方法では、金属の寸法を小さくするように、金属が圧縮される際に金属の結晶粒子構造は平坦にされる。図面から判るようなハーフコアの寸法および図7〜10に示される工具の特殊な寸法により、これらハーフコアの広い面積によって、冷間圧印中にハーフコアはより大きな力を受け、よってハーフコアに加わる圧縮力は磁極片の他の領域よりも、より大きくなる。実際に磁極片のハーフコアは磁極片の周辺部の圧縮力の倍までの力を受け得る。ハーフコアに対する圧縮力を大きくする冷間圧印装置を設計することにより、ハーフコアにおける結晶粒子は焼きなまし方法において加熱するときよりも、より大きくなることを、出願人は発見した。ハーフコアはオルタネータのコイルからの磁束源であるので、ハーフコアにより大きな結晶粒子が存在していることにより、ここを磁気がより自由に流れることができる。換言すれば、より大きな透磁率が存在するわけである。
図7〜10を参照すると、図7は圧力を加える前の冷間圧印装置の工具の半分割体の間に挿入された磁極片を示す。図8は、パンチの周辺エッジが底部後部リセスの開口部に係合し、磁極片の周辺からの面一部分をカットするように、往復動して磁極片に係合し、磁極片を下方に移動させる冷間圧印装置の上方部分、すなわちパンチ部分を示す。冷間圧印方法のこの点では、磁極片の表面には大きな圧力は加えられない。図8と7とを比較すると、図7と8との間の下方運動により、磁極片の周辺からの面一部分がトリミング(a)されているだけであり、底部工具半分割体に形成されたリセス内に磁極片が挿入(b)されていることが明らかである。
その後、図9に示すように、上方工具半分割体、すなわちパンチが往復動して磁極片の上を向いた表面に係合し、フィンガーの形状のみならず、ハーフコアの外側表面を変える。図10においてパンチが更に往復動することにより、磁極片の全面に圧力が加えられる。図10から理解できるように、フィンガーの先端およびハーフコアの周辺部は、磁極片の他の部分よりも大きな圧力を受ける。これら領域は後により詳細に説明するように、図17において番号2で表示されている。後に指摘するように、図17に示されている領域2に加えられるより大きな圧力の効果は、これらの表面を加工硬化することである。
この点において、従来の方法と比較して本発明の要旨にかかわる磁極片を製造するのに実行される方法の特異な利点について注目することが重要である。従来の方法では、曲げ加工において星形の点を曲げ、点が中心点に対して垂直になるようにし、磁極片を本明細書に開示されているようなものと類似の形状に成形することにより形成した磁極片のフィンガーを備えた星形に類似した平らな形状に鍛造している。しかしながらかかる曲げ加工を行う際に、磁極片の結晶粒子は互いに整列しない。すなわちかかる磁極片のフィンガーの結晶粒子は中心部分の結晶粒子に垂直となる。これと比較して、本発明では、鍛造作業でフィンガーを後に大きく曲げることなくフィンガーおよび中心部分を成形しているので、磁極片全体の結晶粒子のすべてはほぼ互いに同一方向に整列するので、透磁率が大きくなる。従って、少なくともほぼ最終形状となるように、まず磁極片を成形する熱間鍛造方法を用いることは、従来の技術よりも重量な進歩である。別の特徴として、上記のように磁極片を製造し、平らな形状に鍛造し、曲げ加工で星形の点を曲げることにより成形した磁極片のフィンガーを備えた、星形に似た平らな形状を鍛造するので、本発明の要旨に従って製造された磁極片内の一体成形されたハーフコアを含んでいることと比較して、仕上げられた磁極片は、ハーフコアを含んでいない。従って従来技術で知られているような磁極片を用いてオルタネータを製造する際は、磁極片の対の間に別個のコアを挿入しなければならないことが多い。コアのそれぞれの対向面と磁極の対向面との間の固有のギャップは、オルタネータの電力出力を低下させるような2つの寄生空気ギャップを生じさせる。この問題とは逆に、各磁極片がハーフコアを有する本発明の要旨に従って磁極片を製造し、これら磁極片をオルタネータのロータ内に組み立てると、それぞれのハーフコアの対向面は互いに当接し、1つの潜在的寄生空気ギャップしか生じないので、寄生空気ギャップからの電力出力の損失は半分だけ減少する。
本発明の要旨に従って磁極片を製造すると、結晶粒子方向のほぼ完全な対称性により、オルタネータのロータの高速回転中に磁極片フィンガーに加えられる曲げ力に対する抵抗力が増すことを強調することが重要である。更に本発明の要旨に従って製造された磁極片が一体的ハーフコアを含むので、磁極片の厚みを増し、曲げ力に対する抵抗力を大きくすることができる。
別の特徴では、冷間圧印方法で低炭素スチールを圧縮すると、直線状の列の平らな結晶粒子が形成されることを出願人は発見した。磁極片の形成におけるこの段階での透磁率の測定により、透磁率は低いことが判った。従って、冷間圧印方法の後に結晶粒子構造の再結晶化するか、または結晶粒子の大きさを十分なレベルまで回復させ、透磁率を大きくする必要がある。
図7および8にに最良に示すように、冷間圧印方法中、磁極片の周辺をトリミングし、初期の冷間鍛造方法中に形成されたスクラップ片をこれから除く。シャープな周辺エッジと共に工具上部半分割体が移動すると、磁極片の周辺をカットし、このスクラップ片を除き、スクラップ片は廃棄またはリサイクルされる。
その後、磁極片は2工程の4段階の完全仕上げ方法の処理を受ける。
次に図11、12、13および14を参照する。これら図は、完全仕上げ方法の工程および段階のそれぞれの横断面図を示している。図11および12を参照すると、完全仕上げ方法の第1段階のための工具40は、形状が円筒形で下方の拡大チャンバ47まで拡大する直径Xを有する小さい開口部45を有する固定工具43を囲む囲み部材41を含む。往復動工具49は、往復動ポスト53を摺動自在に受け入れる中心開口部51を含む。ポスト54は構造がほぼ円筒形であり、直径Xよりも大きい直径Yを有する。図11に示すように、この完全仕上げ方法の第1工程の第1段階では、磁極片の所定表面が加工硬化されるように、工具49は磁極片17の上方表面に係合するよう、往復動される。この点に関し、次に図17を注目する。この図では、参照番号2で表示された表面は、その上の工具49の係合により適当に加工硬化されている。
図12を参照すると、ポスト53は磁極片17の上部表面に強固に係合された状態に維持された工具49と共に往復動され、磁極片17のハーフコアの一部を工具の半分割体43の孔45を通して一部をチャンバ47に押圧する。このような作業は押し出し加工として知られており、開口部45の直径Xと比較してポスト53の直径Yは大きくなっていることに注意することが重要である。これら直径の差により、開口部45は流体の業界で知られている用語のような制限器として働く。ポスト53の直径よりも開口部45の直径を小さくすることにより、ポスト53により磁極片17内に形成された孔は正確に円筒形状に維持されることを出願人は発見した。更に開口部45の制限効果はこの作業が終了する前にポスト53によって押される材料の破壊を防止している。
次に図13および14にを参照する。最終仕上げ方法の第2工程について説明する。理解できるように、図12において処理された磁極片17は工具40から取り出され図13に示すように工具60に載せられる。この工具60は、囲み部材61と、キャビティ67内に開口する開口部65を含む底部工具半分割体63を含む。開口部65は、直径がZの、円筒形状となっている。工具60は移動自在な工具半分割体69も含み、この半分割体69は細長い円筒形ポスト73が摺動自在に嵌合する中心開口部71を有する。ポスト73は図11および12に示したポスト53の直径Yに対応する直径Yを有する。更に開口部65の直径Zは開口部65がこれを貫通するポスト73の往復動に対して抵抗力を与えないように、直径Yよりも若干大きい。図13に示すように、完全仕上げ方法の第2工程の第1段階では、工具半分割体69は工具半分割体63に載った磁極片17と共に往復動して、その上部表面に係合する。工具半分割体69には外周表面70が設けられており、この表面は所望の仕上げ形状に対応した形状にフィンガー19を曲げるように特別に構成されている。
工具半分割体69が図13に示される位置まで往復動されると、ポスト73も往復動され、部品6をスライスし、磁極片17を貫通する孔20を完成する。開口部65の直径によりポスト73は開口部の壁によって妨害されることなく、開口部を貫通するように摺動できる。
図11〜14に示した方法を更に理解するためには、図11および12に示した工具半分割体49が、約40kg/mm2の力を磁極片17に加えることを理解すべきである。これと対照的にポスト53は磁極片17に約130kg/mm2の力を加え、磁極片を貫通する孔20の形成を促進する。完全仕上げ方法の終了時に磁極片は第3の最終形状となる。
図11〜14に示される完全仕上げ方法が完了した後、磁極片は表面からステアリン酸亜鉛を除くようにpH14の浴に入れられるので、磁極片はその表面にフアンを溶接できる。ステアリン酸亜鉛は有効な溶接を阻害する。各磁極片の背面に溶接された換気フアンにより、従来のデザインで可能であった値よりもノイズ低減を大きくしながらオルタネータの有効な換気が可能となる。換気を効率的に行った場合にオルタネータ、特にその銅コイルの温度は比較的低いレベルに維持されるので、コイルの銅の抵抗率も比較的低いレベルに維持され、よって上記のように磁束が増す。その後、磁極片に対して焼きなまし方法を実行する。この焼きなまし方法では磁極片は表面の酸化を防止するため不活性雰囲気内に収容される。好ましい方法では、不活性雰囲気は混合物の状態で、約95%の窒素と5%の水素から成る。従来技術では溶接できるよう表面を調整するため、一般に機械加工またはブラシがけを行う。pH14の浴を使用することが磁極片の表面からステアリン酸亜鉛を除く最も有効な方法であり、機械加工またはブラシがけ作業よりもより経済的であることを出願人は発見した。従って本発明の方法の製造コストは必ず低減される。
焼きなまし方法の詳細に関する温度と時間の関係のグラフを示す図15を参照すればこの焼きなまし工程がより理解できる。1時間10分〜1時間30分の間で周囲温度から800〜950℃までに完全仕上げ磁極片を加熱する。その後20〜60分の間磁極片を最大温度に維持する。その後磁極片を270〜310分の間の期間内で、約周囲温度まで徐冷する。
冷間圧印方法の間、厚みの縮小%が大きくなればなるほど、焼きなましを有効にするには最高温度を低下しなければならないことを出願人は発見した。
上記微量ス元素は焼きなまし方法の加熱段階の間に拡散により結晶粒子構造内に進入し、一方、結晶粒子は膨張する。焼きなまし方法の冷却段階が過度にゆっくりと行われると、結晶粒子の接合部で鉄の炭化物が析出する。
焼きなまし方法の冷却段階が過度に急速に行われると、結晶粒子内において炭素と鉄の組み合わせとして定義されるパーライトが結晶粒子全体に拡散する。かかる状況では、結晶粒子の間の接合部にごく少量の鉄の炭化物が存在することとなる。結果を最適にするには、結晶粒子全体にパーライトが拡散され、接合部に鉄の炭化物が存在するように冷却時間を設定する。
焼きなまし方法の冷却段階が過度に急速に実行されると、機械加工が必要または適当である場合、この結果生じた磁極片を機械加工することが困難となることを出願人は発見した。更にかかる状況では、材料は容易に切断できないので、仕上げられた磁極片は外観が悪くなる。このように磁極片の表面上の急冷に起因し、焼きなまし方法の冷却段階が過度に急速に行われたかどうかを確認することは容易である。
最適時間内に焼きなましほう方の冷却段階が実行されると、金属の結晶粒子の内部にわたってパーライトが拡散され、透磁率が最適になるということを出願人は発見した。更に、冷却時間が270〜310分の範囲内で最適にされると、主に結晶粒子の間の接合部に鉄の炭化物が存在し、磁極片の機械加工がより容易となる。
次に図17〜23を参照すると、本発明の方法を実行して得られる結果について良好に理解できる。まず、図17はフィンガー19を含む磁極片17の半分割体を通る断面を示す。図17は磁極片の3つの領域1、2、3を示すが、これら領域は後に詳細に示すように、図18、19および20のみなならず図21、22および23に関連している。
図18、19および20は、冷間圧印されているがまだ焼きなましされていない磁極片の図17に示されたそれぞれの領域1、2、3の顕微鏡写真である。特に図19について注目すると、この図は、領域2の表面で行われる加工硬化の作用を示しており、この加工硬化は、比較的加工硬化をしない図17に示された領域3および、加工硬化するが領域2よりも程度の低い領域1と比較すると、より明らかである。
図21、22、23は、図17が示すように、領域1を図21が示し、領域2を図21が示し、領域3を図23が示している点で、一般にそれぞれ図18、19、20に対応している。しかしながら図21、22、23では、磁極片は加熱段階で880℃の加熱を行う焼きなましが行われている。図21と図18、図22と図19、および図23と図20を比較すると、焼きなまし方法の加熱断面に起因し、結晶粒子構造が互いに膨張するだけでなく、結晶粒子がより明瞭となることが容易に観察できる。本発明の要旨に従って実行される焼きなまし方法は、結晶粒子構造が膨張し、結晶粒子が定まり、更に焼きなまし工程を除いた場合よりも磁気の流れに対する抵抗が少ない磁束路が形成されることにより、透磁率が増すことが上記のことか明らかとなるはずである。
次に図16を参照する。図16は他の方法により製造された磁極片と比較する、本発明の要旨に従って製造された磁極片の種々の磁気的および電気的特性をテストするため、本出願人により使用された環状体を通る横断面図を示す。
特に図16を参照すると、この環状体は直径dの貫通する円形開口部を有するほぼ円筒形状である。この環状体は外径Dおよび頂部から底部までの厚みeを有する。本発明の要旨に従って製造された磁極片の特性をテストするにあたり、一方で本明細書に開示した方法および他方の競合する比較方法を用いて、図16に示すような環状体を製造した。出願人は競争者の環状体を形成する材料を製造すつのに使用された特定の方法の工程が、本発明の方法とは異なることを認識している。この環状体はこれら方法を用いる競争者よって製造された磁極片から製造されたものである。各ケースにおいて、各環状体には同じ巻数のワイヤが設けられ、ワイヤの両端は電流源に接続されている。入力される各電流レベルにおいて、次の値を読み取った。
DΦ:ミリウェーバーを単位とする磁束変化(mWb)
B:テスラーを単位とする揺動磁束密度(T)
μ:透磁率(無単位)
H:ミリメータ当たりのアンペアターン(Atz/mm)
本発明の要旨に従って製造された環状体80は次の寸法で表される。
D=40.118mm
d=19.854mm
e=10.042mm
断面=((D−d)/2)×e=101.745mm2
磁気回路の長さ=94.203mm
表Iは0.25アンペア〜5アンペアの種々のレベルの入力の結果を示す。
競争者の環状体80は次の寸法で表される。
D=39.996mm
d=19.938mm
e=10.15mm
断面=((D−d)/2)×e=101.794mm2
磁気回路の長さ=94.166mm
表IIは磁気回路に0.25アンペア〜5アンペアのレベルに電流を流すことによって得られたデータを示す。
図24は、テスラーを単位とする誘導磁束密度とミリメータ当たりのアンペアターンとの関係を示すグラフにおける出願人の環状体と競争者の環状体を比較するものである。これから明らかなように、出願人の環状体はグラフ内のすべてのレベルで競争者の環状体よりもより有効に作動した。
図25は、透磁率とアンペア電流入力の関係を示し、更に環状体に入力される各レベルにおいて、出願人の環状体は透磁率が勝ることを示している。本発明によって得られる透磁率の大きな利点の結果、本発明の要旨に従って製造される磁極片を用いたオルタネータの性能は優れたものとなる。
Figure 0003625827
Figure 0003625827
本発明の要旨に従って磁極片を製造するにあたり、従来技術の方法で行わなければならなかった妥協は不要となり、性能の増した磁極片では、電力出力とノイズと重量とを適当に妥協することができる。この点に関し、高温における熱間鍛造およびその後の冷間圧印サブ方法を用いることにより、極めて正確な、繰り返し可能な形状を得ることができる。更に本発明の焼きなましのサブ工程によれば、その結果生じる結晶粒子構造の再結晶化およびそれと同時に起きる結晶粒子の膨張により、透磁率は従来技術と比較してかなりの程度増す。
更に本発明の方法は、従来の方法と比較してコスト的にかなり有効であり、特に製造方法中に利用される適当な工具を準備するのに必要な時間およびコストに関して有効である。この点に関し、出願人の種類によれば、約1カ月と2万〜4万ドルのコストで、本発明の要旨に従って磁極片を製造するための工具および製造方法のすべてを準備することができる。これと比較して、従来の方法では25万〜50万ドルのコストで工具および製造方法を準備するのに6〜12カ月かかる可能性がある。
別の例では、本出願人に対する競争者の方法は完全に冷間作動されるので、極めて大きなトン数のプレスが必要であるが、この理由は、熱間鍛造を行わないからである。競争者の方法は、得られる形状について極めて限定されており、材料の結晶粒子の再結晶化を促進し、製造方法中の破壊を防止するため、重要な工程の各々の間で多くの熱処理および中間の焼きなまし工程を行わなければならない。本発明の要旨と比較して競争者の方法は極めて高価であり、柔軟性に欠ける。
以上で上記のような本発明の各々を満たし、かつ大きな新規性および有用性のあるオルタネータの実施例を製造するための、新規で、かつ有効な改善された方法を提供する本発明の好ましい実施例により、本発明について説明した。
当業者であれば、当然ながら本発明の意図する精神および範囲から逸脱することなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形、変更および改変を考えつくことができよう。
本発明は、添付した請求の範囲の用語のみによって限定されるものである。

Claims (19)

  1. ハーフコアおよび周方向に隔置された多数のフィンガーを有するオルタネータ用磁極片を製造する方法において、
    a)スチール製の磁極片を、ハーフコアおよび多数の周 方向に隔置されたフィンガーを含む仕上げられた磁極片の最終形状にほぼ類似した第1形状に熱間鍛造する工程と、
    b)磁極片の外周面を滑らかにするように、少なくとも1つのリン酸塩浴内に前記第1形状の磁極片を浸漬する工程と、
    c)冷間圧印工具を用いて前記第1形状の磁極片を冷間圧印して、前記第1形状の前記ハーフコアおよびフィンガーを圧縮し、前記第1形状の磁極片の結晶粒子構造と比較して平らな結晶粒子構造を有し、ハーフコアおよび 多数の周方向に隔置されたフィンガーを含む第2形状を形成する工程と、
    d)前記第2形状のフィンガーおよびハーフコアの表面を加工硬化する行程、および前記第2形状の磁極片を貫通する中心開口部を形成する形成工程を含み、前記形成工程は制限オリフィスを通して前記第2形状の材料を押し出し、前記フィンガーをその最終形状に曲げ、最終第3形状に成形することを含む、前記第2形状の磁極片を完全仕上げする工程と、
    e)高塩基性の浴内に前記第3形状の磁極片を浸漬する工程と、
    f)20〜60分の間800〜950℃の温度にし、次に270〜310分で周囲温度まで徐冷することにより、前記第3形状の磁極片を焼きなましする工程と、
    備えたオルタネータ用磁極片を製造する方法。
  2. 前記熱間鍛造方法は、
    a)前記スチール製の磁極片をスチールの溶融温度より若干下の温度まで加熱する工程と、
    b)前記スチール製磁極片を平らにする工程と、
    c)前記スチール製磁極片を前記第1形状にほぼ類似した形状となるように熱間鍛造する工程と、
    d)前記形状から前記第1形状に更に熱間鍛造する工程とを備えた、請求項1記載の方法。
  3. 前記冷間圧印工程は、
    a)前記第1工程の磁極片の周辺部からのはみ出し部分をトリミングするサブ工程と、
    b)前記ハーフコアに対する前記フィンガーの垂直性が得られるように、前記圧縮サブ工程中に前記フィンガーの形状を変えるサブ工程を含む、請求項1記載の方法。
  4. 前記形成工程は、
    a)円筒形状の開口部を形成し、前記第2形状の破壊を防止するように、制限オリフィスを通して前記第2形状の材料を押し出しすることにより、前記開口部を部分的に形成するサブ工程と、
    b)その後、部分的に形成された開口部内にポストを 復動し、前記第2形状からの材料を制限されていない開口部内に押し込むことによって、前記開口部の円筒形状 を維持しながら、前記開口部の形成を完了するサブ工程とを含む、請求項1記載の方法。
  5. 前記開口部の形成を完了する直前に、前記最終第3形状の形成工程を実行する、請求項4記載の方法。
  6. 前記第1形状の磁極片を浴に浸漬する工程前に、前記第1形状の磁極片をショットブラストして表面の凹凸を除く、請求項1記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つのリン酸塩浴は、一連のリン酸塩浴を備える、請求項1記載の方法。
  8. 前記高塩基性浴は、14のpHを有し、前記最終の第3形状の磁極片からステアリン酸亜鉛を除く、請求項1記載の方法。
  9. 不活性雰囲気内で前記焼きなまし工程を実行する、請求項1記載の方法。
  10. 前記不活性雰囲気は約95%の窒素と、約5%の水素の混合物から成る、請求項9記載の方法。
  11. 前記高塩基性浴は、14のpHを有する、請 求項1記載の方法
  12. オルタネータ用磁極片の製造中に、一体 的にハーフコアを有する磁極片の透磁率を最大にする方法であって、
    a)低炭素スチール製磁極片を熱間鍛造する工程と、
    b)前記スチール製磁極片を圧縮し、平らな結晶粒子の直線状の列を形成するように、前記スチール製磁極片を冷間圧印する工程と、
    c)前記スチール製の磁極片の温度を800〜950℃の範囲 内の温度に高め、20〜60分の間、前記範囲内に温度を保 持し、その後、270〜310分かけて前記スチール製の磁極 片を周囲温度まで徐冷することにより、前記スチール製 の磁極片内の結晶粒子構造を膨張させ、透過率を最大に する前記スチール製の磁極片を焼きなましする工程と
    を備えた磁極片の透磁率を最大にする方法
  13. 前記焼きなまし工程は、前記ハーフコア 内の結晶粒子構造を膨張させる、請求項12記載の方法。
  14. 酸素を含まない雰囲気内で前記焼きなま 工程を実行する、請求項12記載の方法。
  15. ノイズレベルと電力出力との調和が高め られたオルタネータ用磁極片を製造する方法であって、
    a)回転中の磁極片のノイズレベルを最小にせしめる外 側形状の磁極片を製作する製作工程と
    b)磁極片のフィンガーとハーフコアとの間の結晶粒子構造の整列を高めるよう、前記磁極片を熱間鍛造する工程と、
    c)前記磁極片を冷間圧印し、その後、透磁率を最適にし、よって2つの向き合った前記磁極片を支持するロータを有するオルタネータの電力出力を最大にするよう、結晶粒子の整列および大きさを高めるよう前記磁極片を焼きなましする工程を備え、前記焼きなまし行程は、前記磁極片の温度を800〜950℃の範囲内の温度に高め、20〜60分の間、前記範囲内に温度を保持し、その後、270〜310分かけて前記スチール製磁極片を周囲温度まで徐冷する行程を含む、
    オルタネータ用磁極片を製造する方法。
  16. 前記製作工程は、前記オルタネータにお ける前期フィンガーの外側への撓みが最小になるように それぞれの重心を位置せしめ、これによって前記オルタ ネータの前記ロータとステータとの間のギャップを最小 にできるように極端に狭くし、電力出力を最大にせしめ る工程を含む、請求項15記載の方法。
  17. 前記冷間圧印工程は前記磁極片を圧縮する工程を含む、請求項15記載の方法。
  18. 熱間鍛造された磁極片を完全仕上げする方法であって、
    a)前記磁極片の表面を加工硬化する工程と、
    b)制限されたオリフィスを通るように前記磁極片の材料を押し出しすることにより、前記磁極片内に孔を部分的に形成する工程と、
    c)制限されていない開口部を通過するように前記材料をパンチングすることにより前記孔の形成を完了する工程を含む、熱間鍛造された磁極片を完全仕上げする方法。
  19. 前記磁極片は多数の周方向に隔置されたフィンガーを含み、前記孔部分形成工程後に前記フィンガーを最終構造となるように曲げる工程を含む、請求項18記載の方法。
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