JP3625670B2 - 電子写真トナー - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は電子写真、静電記録等において光半導体上に形成された潜像を可視画像化するために用いられる電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真記録は、米国特許第2,297,691号、第2,357,809号明細書等に記載されている如く、光半導体層を一様に帯電させ、次いでその層を露光せしめ、その露光された部分上の電荷を消散させることによって静電潜像を形成し、更に該静電潜像にトナーと呼ばれる電荷を有する着色微粉体を付着させることにより可視画像化させ(現像工程)、得られた可視画像を紙などの転写材に転写せしめた後(転写工程)、加熱、圧力あるいはその他適当な定着法にて永久定着せしめる(定着工程)工程からなる。また、トナーを転写した後、光半導体上に残留したトナーを除去するためのクリーニン工程が設けられる。
【0003】
この様にトナーは単に現像工程のみならず、転写工程、定着工程、クリーニング工程等の各工程に於いて要求される機能を備えていなければならない。
トナーの定着方法としては、トナーを加熱溶融し紙などに定着する加熱定着方法及び圧力によりトナーを塑性変形し紙に定着する圧力定着方法が代表的な方法であるが、装置の簡便性及び定着後の画像の品位等の見地より、トナーの加熱媒体として熱ロールを使用するヒートロール定着法が最もよく用いられている。
加熱定着方法においてトナーは、なるべく低い温度で溶融し紙等の媒体に固定されねばならない。近年、特に省エネルギーの観点よりトナーの低温定着性への要求は高い。
【0004】
トナーに低温定着性を付与する方法としては、特公昭55−6895号に示されている様にバインダー樹脂として用いられるスチレン系共重合体、ポリエステル重合体等の分子量分布を広げたり、特公昭63−32182 号に示されている様に分子量分布を2山構造とし、分子量分布を低分子側にシフトさせ、熱応答性を向上させる事が提案されている。また、同様の手法として、特公昭51−23354 号に提案されている架橋された重合体と低分子量の重合体を混合して使用する方法もよく用いられている。
【0005】
しかしながら、これらの方法において、低温定着性を確保するためにはトナーのバインダー樹脂中に多量の低分子量重合体を含有させる必要があるため、トナーは極めて過粉砕され易くなる。即ち、キャリアと混合して使用される2成分現像剤用のトナーは現像機中でキャリアから受ける衝撃力により破壊され微粉が増加し、地かぶりの原因となったり、キャリア表面に固着しその帯電付与能力を奪ったりする。また一方、キャリアを使用しない1成分現像方式においても、帯電付与ブレードと現像ロールとの間で加わるストレスのため、帯電付与ブレードもしくは現像ロールに固着し安定な画像再現を損なう原因にもなりうる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この様に、優れた低温定着性は十分満足の得られるレベルではないのが現状である。これを解決使用とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の現状に鑑み、バインダー樹脂60〜94重量%、着色剤3〜15重量%、オフセット防止剤1〜10重量%を主要構成成分とし、炭素数10〜30の直鎖脂肪族第1級モノアルコールに脂肪族多価アルコールを1〜50mol%配合してなるアルコール混合物とイソシアネートとを反応させて得られることを特徴とするイソシアネート変性ワックスを0.1〜15重量%使用した電子写真トナー(以下、単にトナーと記す)により課題を解決したものである。
【0008】
更に好ましくは、バインダー樹脂として重量平均分子量(以下、Mwと記す)5〜40万、Mw/数平均分子量(以下、Mnと記す)が3〜100、ガラス転移温度(以下、Tgと記す)が50〜75℃の物性のものを使うことである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に記す。
まず、イソシアネート変性ワックスについて記す。
本発明で使用するイソシアネート変性ワックスは、アルコール性ワックスをイソシアネートにより変性したものである。
アルコ−ル基とイソシアネート基との反応自体は、公知である(例えば「新実験化学口座14、有機化合物の合成と反応III」、1652ページ、丸善(1978)を参照)が、課題を効果的に解決するためには、同ワックスの物性を低融点、低粘度および高硬度とすることが望ましく、そのためには、両者(アルコールとイソシアネート)の成分を厳密に限定することが必要である。
【0010】
本発明では、アルコール成分として直鎖脂肪族モノアルコールと脂肪族多価アルコールとの混合物が、イソシアネート成分として2価以上のイソシアネートが必須成分であり、特にトリレンジイソシアネートが好ましい。
脂肪族モノアルコールには直鎖第1級、分岐第1級および第2級アルコールがあるが、炭素数10〜30の直鎖脂肪族第1級モノアルコールが、効果的である。
他の分岐第1級あるいは第2級アルコールでは、ワックスの融点が低くなり過ぎるため好ましくない。
【0011】
上記直鎖脂肪族第1級モノアルコールは、単独または適宜組み合わせて用いることができ、具体例としては、1−デカノール、1−テトラデカノール、1−オクタデカノール、1−ドコサノール等を例示することができる。
またワックスの硬度を向上させるために用いられるアルコール成分としての脂肪族多価アルコールは、常用されているもの、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスルトール、ネオペンチルグリコール、ソルビトール、蔗糖、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジペンタエリスリトール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール等を例示することができる。これらのうち、エチレングリコール、グリセリン、1,10−デカンジオール等が特に好適に用いられる。
【0012】
上記脂肪族高アルコールの直鎖脂肪族第1級モノアルコールに対する添加率は、1mol%より少ないと最終生成物の硬度および有機溶剤に対する溶解性が不足し、50mol%より多いとワックスの粘度が高くなり過ぎるため、1〜50mol%が好ましく、特に3〜30mol%が好ましい。
【0013】
イソシアネート基を有する化合物には、多くの種類が知られているが、上記脂肪族アルコール混合物との反応にはトリレンジイソシアネートが最適である。
トリレンジイソシアネートの脂肪族アルコールに対する添加率は、アルコールヒドロキシル価当量の75〜100%が好ましく、特に85〜98%が好ましく、この範囲で所望の付加反応が進行する。
【0014】
イソシアネート変性ワックスの電子写真トナー中の量は、0.1〜15重量%であり、更に好ましくは1〜10重量%である。これは、トナーのTgを下げ過ぎること無く、且つ充分な低温定着性を発揮するためのものである。量が少なすぎると充分な低温定着性が得られず、逆に多すぎるとTgが下がり過ぎ、トナーの保存性が低下する。
【0015】
次にバインダー樹脂について記す。
本発明のバインダー樹脂は、Mw 5〜40万、Mw/Mnが3〜100、Tgが50〜75℃、特に好ましくは55〜75℃の物性のものであり、特にスチレン系重合体、またはポリエステル系重合体であることが好ましい。
分子量に関する特定を成す理由は、定着.高温オフセット性のバランスの維持とトナーの耐久性を最適化するためである。また、Tgについてはイソシアネート変性ワックスの添加によるTgの低下を事前に加味し、トナーの保存性を損なわない為に要求される範囲を規定している。
【0016】
更に、バインダー樹脂のトナー中の量は、60〜92重量%である。
また、本発明におけるバインダー樹脂としてはスチレン系重合体、ポリエステル系重合体、エポキシ系重合体、ポリオレフィン系重合体およびポリウレタン系重合体などでバインダー樹脂として公知のものが挙げられるが、特にスチレン・(メタ)アクリル酸エステル重合体、またはポリエステル系重合体であることが好ましい。
【0017】
スチレン系重合体としてはスチレン、(メタ)アクリル酸エステルおよび必要によりこれと共重合可能な他の単量体の共重合体、スチレンジエン系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)および必要によりこれと共重合可能な他の単量体の共重合体などが挙げられる。ポリエステル系重合体としては芳香族ジカルボン酸とビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物との重縮合物などが挙げられる。エポキシ系重合体としては芳香族ジオールとエピクロルヒドリンの反応物、これの変性物などが挙げられる。ポリオレフィン系重合体としてはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンまたはプロピレンと他の共重合可能な単量体との共重合体などが挙げられる。ポリウレタン系重合体としては芳香族ジイソシアネートと芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物との重付加物などが挙げられる。
【0018】
本発明において、スチレン系重合体は、スチレンの単独重合体でもよく、スチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体でもよく、従来より公知の方法により製造することができる。
共重合可能な他の単量体としては、スチレン以外の芳香族ビニル炭化水素、(メタ)アクリル系単量体、その他のビニル単量体などが挙げられる。スチレン以外の芳香族ビニル炭化水素としては、たとえばスチレンの置換体[アルキル置換スチレン(α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クミルスチレンなど)、ハロゲン置換スチレン(クロルスチレン、クロルメチルスチレンなど)、アセトキシスチレン、ヒドロキシスチレンなど]が挙げられる。
【0019】
スチレン系重合体として例示したもののうち特に好ましいものは、スチレンの単独重合体、スチレンと(メタ)アクリル系単量体の共重合体、スチレンとジエン系単量体の共重合体およびこれらと少量の他の共重合可能な単量体との共重合体である。また、スチレン系重合体が共重合体の場合、スチレンと他の単量体との共重合比は、通常スチレンが40モル%以上であり、好ましくは60モル%以上である。
【0020】
(メタ)アクリル系単量体としては(メタ)アクリレート[炭素数1〜18のアルキル(メタ)アクリレート{メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなど};ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;エポキシ基含有(メタ)アクリレート{グリシジル(メタ)アクリレートなど};イソシアネート基含有(メタ)アクリレート{メタアクリロイルイソシアネートなど}など];ニトリル基含有モノマー{(メタ)アクリロニトリルなど}などが挙げられる。
【0021】
またその他のビニル単量体としてはビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、ジエン系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)、ハロゲン化オレフィン(塩化ビニル、臭化ビニルなど)、α,β−不飽和モノもしくはポリカルボン酸{(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸など}、それらの無水物(無水マレイン酸など)、それらの部分エステル(マレイン酸モノメチルエステルなど)などが挙げられる。
【0022】
ポリエステル系重合体としては、ポリオールとポリカルボン酸の重縮合物などが挙げられ、従来公知の方法により製造することができる。
ポリオールとしては、ジオールおよび3価以上のポリオールが挙げられ、ジオールおよびジオールと少量の3価以上のポリオールの混合物が好ましい。ジオールとしては、炭素数2〜12のアルキレングリコール[エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど]、アルキレンエーテルグリコール[ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコ−ルなど]、脂環式ジオール[1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど]、ビスフェノール類[ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど]および上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド[エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど]付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物およびこのものと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
【0023】
3価以上のポリオールとしては、炭素数3〜20の脂肪族多価アルコール[グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど]、3価以上のフェノール類[トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど]、上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0024】
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸および3価以上のポリカルボン酸が挙げられ、ジカルボン酸およびジカルボン酸と少量の3価以上のポリカルボン酸の混合物が好ましい。ジカルボン酸としては、炭素数2〜20のアルキレンジカルボン酸[コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など]、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸[マレイン酸、フマール酸など]および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸[フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など]などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸[トリメリット酸、ピロメリット酸など]などが挙げられる。
ポリエステル系重合体を構成するポリオールとポリカルボン酸のモル比は、通常1:2〜2:1、好ましくは1:1.5〜1.5:1である。
【0025】
次に、着色剤について記し、その具体例としては、カーボンブラック;C.I.ピグメント・イエロー1、C.I.ピグメント・イエロー3、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料;C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー13、C.I.ピグメント・イエロー14、C.I.ピグメント・イエロー17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料;C.I.ソルベント・イエロー19、C.I.ソルベント・イエロー77、C.I.ソルベント・イエロー79、C.I.ディスパース・イエロー164 等の黄色染料;C.I.ピグメント・レッド48、C.I.ピグメント・レッド49:1、C.I.ピグメント・レッド53:1、C.I.ピグメント・レッド57、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド81、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド5等の赤色または紅色顔料;C.I.ソルベント・レッド49、C.I.ソルベント・レッド52、C.I.ソルベント・レッド58、C.I.ソルベント・レッド8等の赤色系染料;C.I.ピグメント・ブルー15:3等の銅フタロシアニン及びその誘導体の青色系染顔料;C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36 (フタロシアニン・グリーン) 等の緑色顔料等が使用可能である。これらの染顔料は、単独で用いても2種以上混合して用いても良い。着色剤の添加量は、トナー中に5〜15重量部が好ましい。
【0026】
オフセット防止剤としては、具体的例としてPE−130(ヘキスト製)、三井ハイワックス110P(三井化学製)、三井ハイワックス220P(三井化学製)、三井ハイワックス660P(三井化学製)、三井ハイワックス210P(三井化学製)、三井ハイワックス320P(三井化学製)、三井ハイワックス410P(三井化学製)、三井ハイワックス420P(三井化学製)等を挙げることができるが、これに限定されるものではなく、そのトナー中での量は、1〜10重量%である。
【0027】
帯電制御剤としては、負帯電トナー用として、クロム・アゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルト・アゾ錯体染料、サリチル酸またはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体または塩化合物、ナフトール酸またはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体または塩化合物、ベンジル酸またはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体または塩化合物、長鎖アルキル・カルボン酸塩、長鎖アルキル・スルホン酸塩などの界面活性剤類を、正帯電トナー用として、ニグロシン染料及びその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、四級ピリジニウム塩、グアニジン塩、アミジン塩等の誘導体等が例示可能である。帯電制御剤の添加量は、トナー中に0.5〜5重量部が好ましい。
【0028】
また、トナー中には、フェライト等の磁性体、導電性調整剤、酸化錫、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛等の金属酸化物、酸化防止剤、離型剤等が必要に応じて加えられてもよい。
更に、トナー表面には、粉体流動性を調整し、感光体上へのトナー・フィルミングを防止したり、感光体上の残留トナーのクリーニング性を向上するために各種添加剤が添加される。これらの添加剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機酸化物、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン等の単独または共重合体樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、ステアリン酸等の高級脂肪酸及びその金属塩、カーボンブラック、フッ化黒鉛、炭化珪素、窒化ホウ素等が挙げられる。
本発明のトナーの製造方法としては、混練粉砕法、スプレイドライ法、重合法等の従来より公知の製造法が使用可能である。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳述する。しかしながらこれらの実施例は、説明のための例示であって、本発明をそれらに限定するものではない。
・イソシアネート変性ワックスの製造例1(実施例用)
1−オクタデカノール(キシダ化学工業株式会社製)147.0g(0.543mol)およびエチレングリコール(関東化学株式会社製)3.0g(0.048mol)の混合物を、120℃に加熱し、攪拌しながらトリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートT−80、商標)55.7g(0.320mol)を滴下し、120℃で3時間反応させ、ワックス1を200g得た。
【0030】
・イソシアネート変性ワックスの製造例2(実施例用)
1−オクタデカノール(キシダ化学工業株式会社製)137.2g(0.507mol)およびグリセリン(関東化学株式会社製)2.8g(0.03mol)の混合物を120℃に加熱し、攪拌しながらトリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートT−80、商標)52.1g(0.299mol)を滴下し、120℃で3時間反応させ、ワックス2を190g得た。
【0031】
・イソシアネート変性ワックスの製造例3(実施例用)
1−オクタデカノール(キシダ化学工業株式会社製)126.0g(0.466mol)および1,10−デカンジオール(東京化成工業株式会社製)14.0g(0.080mol)の混合物を、120℃に加熱し、攪拌しながらトリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートT−80、商標)54.5g(0.313mol)を滴下し、120℃で3時間反応させ、ワックス3を190g得た。
【0032】
・イソシアネート変性ワックスの製造例4(比較例用)
1−オクタデカノール(キシダ化学工業株式会社製)200.0g(0.739mol)を120℃に加熱し、攪拌しながらトリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートT−80、商標)33.1g(0.190mol)を滴下し、120℃で3時間反応させ、変性ワックス4を230g得た。
上記製造例で得られたワックスについて、以下の物性を測定、評価した。
外観:肉眼で測定した。
【0033】
得られた結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
・スチレン系重合体の製造例1
還流管、窒素ガス導入部、温度計を付した4つ口フラスコに、スチレン770g、n−ブチルアクリレート230gを入れ、110℃に昇温して約8時間重合させ、その後キシレン溶剤50部を一括投入し、内温を130℃に昇温し、キシレン溶剤500g、ジビニルベンゼン2g、t−ブチルパーオキサイド10gの混合物を約6.8時間かけて系内に連続滴下し、その後少量の開始剤を加えて重合率を99.8%以上として、第1の重合体を得た。
【0036】
同様に、還流管、窒素ガス導入部、温度計を付した4つ口フラスコに、キシレン溶剤1000gを入れ、キシレンの還流温度まで昇温した。
そこに、スチレン1000g部とPB−O(日本油脂(株)商品名;開始剤)100gの混合物を8時間かけて連続滴下し、重合率99.8%以上として第2の重合体を得た。
第1の重合体と第2の重合体を重量比1:1で混合し、溶剤を留去させて重合体S1を得た。
その物性は、Mw 24.6万、Mw/Mn 81.2、Tg 63.4℃であった。
【0037】
・スチレン系重合体の製造例2
スチレン系重合体の製造例1での最終工程(溶剤留去の工程)で、第1の重合体と第2の重合体の重量比を0.8:0.2とした以外は、同様の方法により重合体S2を得た。
その物性は、Mw 39.2万、Mw/Mn 74.6、Tg 58.4℃であった。
【0038】
・スチレン系重合体の製造例3
スチレン系重合体の製造例1での最終工程(溶剤留去の工程)で、第1の重合体と第2の重合体の重量比を0.2:0.8とした以外は、同様の方法により重合体S3を得た。
その物性は、Mw 10.6万、Mw/Mn 42.9、Tg 67.9℃であった。
【0039】
・スチレン系重合体の製造例4
スチレン系重合体の製造例1での第1の重合体を得る工程で、初期単量体組成がスチレン770g、n−ブチルアクリレート230gとあるのを、スチレン740g、n−ブチルアクリレート230g、メタアクリル酸30gとし、重合時間を5時間に変更した以外は、同様の方法により重合体S4を得た。
その物性は、Mw 30.1万、Mw/Mn 76.9、Tg 65.4℃であった。
【0040】
・スチレン系重合体の製造例5
スチレン系重合体の製造例1での第1の重合体を得る工程のみを行い重合体S5を得た。
その物性は、Mw 58.9万、Mw/Mn 15.9、Tg 43.4℃であった。
【0041】
・スチレン系重合体の製造例6
スチレン系重合体の製造例1での第2の重合体を得る工程のみを行い重合体S6を得た。
その物性は、Mw 0.6万、Mw/Mn 5.9、Tg 67.4℃であった。
【0042】
・ポリエステル系重合体の製造例
製造例A1
5Lの4つ口フラスコに、還流冷却器、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計および攪拌装置を取り付け、それぞれ表2および表3に示した種類、量(モル比)のジカルボン酸、ジオール、三官能アルコール、モノアルコールおよびモノカルボン酸を仕込み、フラスコ内に窒素を導入しながら、180〜240℃で脱水縮合を行った。
【0043】
反応生成物の酸価および水酸基価が所定の値に達したところで反応生成物をフラスコより抜き出し、冷却・粉砕して、高分子化用ポリエステル重合体(A)A1を得た。製造時の原料モル比および得られた高分子化用ポリエステル重合体(A)A1の物性を表2に示す。
【0044】
製造例A2〜A5およびB1〜B3
製造例A1に準じて、高分子化用ポリエステル重合体(A)A2〜A5および低分子量ポリエステル重合体 B1〜B3を製造した。高分子化用ポリエステル重合体の製造例および物性値を表2に、低分子量ポリエステル重合体については表3に示した。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
製造例C1
まず、高分子化用ポリエステル重合体A1を2軸混練器(栗本鉄工所製、KEX−40)に10Kg/Hで供給し、同時にジイソシアネートを表4に示した流量で供給して混練押し出し反応を行った。得られたものを冷却し、表4に示した物性を有するウレタン変性ポリエステル重合体C1を得た。
【0048】
製造例C2〜C7
製造例1に準じて、表4及び表5に示した物性を有するウレタン変性ポリエステル重合体C2〜C7を得た。
【0049】
【表4】
ウレタン変性ポリエステル重合体
表中では、高分子化用ポリエステル重合体をポリエステルA、低分子量ポリエステル重合体をポリエステルBとした。また、表中TDIとは、トルエンジイソシアネートのことである。
【0050】
【表5】
【0051】
・トナーの作成
バインダー樹脂(9.9−B−P−W)kg、着色剤(三菱化学製 カーボンブラックMA100) B(kg)、オフセット防止剤(ポリプロピレンワックス;三井化学製NP105)P(kg)と本発明で使用するイソシアネート変性ワックス W(kg)、帯電調整剤(オリエント化学製 ボントロンS−34)0.1kgをヘンシェルミキサーで予備混合した後、2軸混練機を用い、150℃に設定して混練した後、冷却、粗粉砕、微粉砕し、更に分級器で分級し6〜18μmのトナーを得て、それに0.3%のコロイダルシリカを外添した。
なお、その量は表6に記した。
【0052】
【表6】
【0053】
上記のようにして作ったトナーを下記のようにして評価した。
(1)定着および高温オフセット性の評価
市販の卓上複写機を改造し、熱ローラーの温度(℃)と回転速度(mm/s)をそれぞれ設定できるようにした試験機を使って実験した。
定着性の評価; 熱ローラーの回転速度を190mm/sに固定して、温度を様々変化させて、定着させたID 1.0の画像を学振式摩耗試験機(荷重1.0kg)で擦り、その後のIDを測定して、それらの比をとって定着率を求め、定着率が85%を越える最低のロール温度(以下、Tfと記す)で評価した。
評価基準
Sレベル ; 135℃ ≧ Tf
Aレベル ; 135℃ < Tf ≦ 145℃
Bレベル ; 145℃ < Tf ≦ 155℃
Cレベル ; 155℃ < Tf
【0054】
以上の評価基準で、Cは使用に耐え難いレベル。
高温オフセット性の評価; 熱ロール温度を220℃、ローラーの速度130mm/sでオフセットする(好ましくない、×;致命的レベル、△;改良の余地あり)か否(好ましい)かで判定した。 (2)保存(ブロッキング)性の評価トナー100gをポリ瓶に入れタッピングし、50℃で50時間保持したあと室温に戻し、パラフィン紙の上に移し、以下の判定基準により目視判定した。
S ; 全くブロッキングしていない
A ; 少しブロッキングしているが実用上問題ない
B ; かなりブロッキングしている(使用に耐え難い)
C ; ほとんど1つの塊になっている(使用に耐え難い)
【0055】
【表7】
【0056】
【発明の効果】
本発明によるイソシアネート変性ワックスは、植物系天然ワックスの持つ低融点、低粘度、高硬度の特性を有するものであり、これを使用することにより、優れた性質を有するトナーを得られることが確認された。
Claims (2)
- バインダー樹脂60〜94重量%、着色剤3〜15重量%、オフセット防止剤1〜10重量%を主要構成成分とし、炭素数10〜30の直鎖脂肪族第1級モノアルコールに脂肪族多価アルコールを1〜50mol%配合してなるアルコール混合物とイソシアネートとを反応させて得られることを特徴とするイソシアネート変性ワックスを0.1〜15重量%使用した電子写真トナー。
- バインダー樹脂が重量平均分子量(Mw)5〜40万、Mw/数平均分子量(Mn)が3〜100、ガラス転移温度(Tg)が50〜75℃の物性である請求項1記載の電子写真トナー。
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