JP3625539B2 - ゴルフボール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフボールに関し、さらに詳しくは、打球感(打球時のフィーリング)が良好で、かつ高反撥性能で、飛距離が大きいゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴルフボールのカバー用樹脂としては、アイオノマー樹脂が広く使用されてきた(例えば、特開昭49−49727号公報)。これはアイオノマー樹脂が反撥性能や耐カット性などに優れているという理由によるものである。
【0003】
しかしながら、アイオノマー樹脂は高剛性であるため、このアイオノマー樹脂をカバーに用いたゴルフボールは、打球時に金属音がし、打球感が硬くて悪いという欠点がある。
【0004】
そこで、打球感を改善すべく種々の試みがなされ、その一つとしてアイオノマー樹脂にジエン系ゴムを混合することによって打球感をソフトにすることが提案されている(例えば、特開平6−79017号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単にアイオノマー樹脂とジエン系ゴムとを混合(ブレンド)しただけでは、アイオノマー樹脂の有する反撥性能が低下し、飛距離の大きいゴルフボールが得られないという問題があった。
【0006】
したがって、本発明は、アイオノマー樹脂の有する反撥性能を低下させずに、打球感をソフトにして、打球感が良好で、かつ高反撥性能で、飛距離が大きいゴルフボールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アイオノマー樹脂とジエン系ゴムとの混合系に、その双方に相溶または反応し得る部分を有する材料を混合するときは、アイオノマー樹脂中に分散するジエン系ゴムを微細化することができ、それによって、アイオノマー樹脂の有する反撥性能を低下させることなく、打球感をソフトにすることができ、所望とする打球感が良好で、かつ高反撥性能で、飛距離の大きいゴルフボールが得られることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0008】
本発明をさらに詳細に説明すると、まず、アイオノマー樹脂とジエン系ゴムとの割合としては、両者の総量を100重量部とするとき、アイオノマー樹脂が40〜99重量部で、ジエン系ゴムが60〜1重量部であることが好ましく、特にアイオノマー樹脂が50〜95重量部で、ジエン系ゴムが50〜5重量部であることが好ましい。すなわち、アイオノマー樹脂とジエン系ゴムとの混合物中、アイオノマー樹脂が40〜99重量%で、ジエン系ゴムが60〜1重量%であることが好ましく、特にアイオノマー樹脂が50〜95重量%で、ジエン系ゴムが50〜5重量%であることが好ましい。そして、このアイオノマー樹脂とジエン系ゴムとの総量100重量部に対して、その双方に相溶または反応し得る部分を有する材料を0.1〜30重量部、特に1〜25重量部混合することが好ましい。
【0009】
上記アイオノマー樹脂とジエン系ゴムとの総量100重量部中において、アイオノマー樹脂が40重量部より少ない場合は、アイオノマー樹脂の有する高反撥性能が損なわれて飛距離が低下し、アイオノマー樹脂が99重量部より多くなると、アイオノマー樹脂の性質が強く出て、打球感を改善することができなくなるおそれがある。
【0010】
ジエン系ゴムは、打球感をソフトにするためのものであるが、その割合がアイオノマー樹脂との総量100重量部中において60重量部より多くなると、混合物の剛性が低下して軟らかくなりすぎるため、前述のように反撥性能の低下を招き、またメルトインデックスが低くなりすぎて成形加工性もかえって悪くなる。また、ジエン系ゴムが上記アイオノマー樹脂との混合物100重量部中において1重量部より少ない場合は、打球感をソフトにするという効果が充分に発揮できなくなり、前述したように、アイオノマー樹脂の性質が強く現れるようになって、打球感が悪くなるおそれがある。
【0011】
上記アイオノマー樹脂とジエン系ゴムとの総量100重量部に対して、その双方に相溶または反応し得る部分を有する材料は0.1〜30重量部混合するのが好ましいが、これは次の理由によるものである。上記アイオノマー樹脂とジエン系ゴムの双方に相溶または反応し得る部分を有する材料が0.1重量部より少ない場合は、アイオノマー樹脂中に分散するジエン系ゴムの粒子を充分に微細化することができなくなり、また、上記アイオノマー樹脂とジエン系ゴムの双方に相溶または反応し得る部分を有する材料が30重量部より多くなると、上記材料中に含まれている官能基による反応が生じて、硬化するため、打球感をソフトにするという目的が達成できなくなるおそれがある。
【0012】
つぎに、アイオノマー樹脂、ジエン系ゴム、その双方に相溶または反応し得る部分を有する材料について詳細に説明する。
【0013】
アイオノマー樹脂としては、例えば、三井デュポンポリケミカル(株)製のハイミラン1605(商品名、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1707(商品名、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1706(商品名、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミランAM7315(商品名、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミランAM7317(商品名、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1555(商品名、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1557(商品名、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、エクソン化学社製のアイオテック7010(商品名、亜鉛イオン中和エチレン−アクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、アイオテック8000(商品名、ナトリウムイオン中和エチレン−アクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、デュポン社製のサーリン7930(商品名、リチウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)などが挙げられる。ただし、これらは例示であって、これらのみに限定されるものではない。
【0014】
ジエン系ゴムとしては、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。
【0015】
アイオノマー樹脂とジエン系ゴムの双方に相溶または反応し得る部分を有する材料は、一部がアイオノマー樹脂と相溶性が良いかあるいはアイオノマー樹脂中のカルボキシル基と反応し得る官能基を持ち、他の一部がジエン系ゴムと相溶性が良いかあるいはジエン系ゴムと反応し得る官能基を有する物質であることが好適である。
【0016】
上記のようなアイオノマー樹脂とジエン系ゴムの双方に相溶または反応し得る部分を有する材料は、オキサゾリン基を一構成成分とするポリマー、またはグリシジル基を一構成成分とするポリマーである。
【0018】
オキサゾリン基を一構成成分とするポリマーとしては、例えば、その主鎖がポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレートなどであるものが挙げられる。そして、これらのオキサゾリン基を一構成成分とするポリマーは、そのオキサゾリン基がアイオノマー樹脂の残存カルボキシル基と反応し、かつジエン系ゴムに相溶する。
【0019】
グリシジル基を一構成成分とするポリマーとしては、例えば、不飽和エポキシ化合物とオレフィン類との共重合体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。上記の不飽和エポキシ化合物の例としては、不飽和グリシジルエステル類、不飽和グリシジルエーテル類、エポキシアルケン類、グリシジルスチレン類などが挙げられ、その具体例としては、例えばグリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、ブテンカルボン酸エステル類などが挙げられる。そして、オレフィン類としては、例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピレン、エチレンエチルアクリレートなどが挙げられる。そして、これらのグリシジル基を一構成成分とするポリマーは、そのグリシジル基がアイオノマー樹脂の残存カルボキシル基と反応し、かつジエン系ゴムに相溶する。
【0020】
上記アイオノマー樹脂、ジエン系ゴム、その双方に相溶または反応し得る部分を有する材料を混合する方法は、特に限定されるものでなく、例えばニーダーなどの密閉型混練機やロールなどの解放型混練機などによる混合方法も採用できるが、連続生産性を考慮すると、押出機を使用した混合方法が適している。上記混合にあたって、アイオノマー樹脂とジエン系ゴムとをあらかじめ混合しておいてから、その混合物にアイオノマー樹脂とジエン系ゴムの双方に相溶または反応し得る部分を有する材料を混合してもよいし、またアイオノマー樹脂、ジエン系ゴム、その双方に相溶または反応し得る部分を有する材料の3成分を同時に混合してもよく、混合する順序にいかなる制限もない。
【0021】
また、上記混合時に同一物質を数種以上の練り方で混合してもよいし、また通常の混合のみらず、架橋剤を投入して混合しながらジエン系ゴムを架橋させる動的架橋の方法をとっても良い。
【0022】
その動的架橋を行うための架橋剤としては、ゴム用の加硫剤、加硫促進剤、樹脂加硫剤などが挙げられ、それらから1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0023】
架橋剤の具体例としては、例えばp−ベンゾイルキノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、4、4’−ジチオ−ビス−ジモルフォリン、アルキルフェノール−フォルアルデヒド、ブロミネイティッド−アルキルフェノール−フォルムアルデヒド、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N′−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェミンアミド、ヘキサメチレンテトラミン、メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウムジスルフィドなどが好適なものとして挙げられるが、これらに限定されることなく、通常のゴム配合に使用される加硫剤や加硫促進剤であれば各種のものを用いることができる。
【0024】
上記架橋剤の量としては、ジエン系ゴム100重量部に対して0.2〜10重量部、特に1〜5重量部が好ましい。
【0025】
動的架橋を採用する際の混合方法も、前記同様に、ニーダーなどの密閉型混練機、ロールなどの開放型混練機、押出機などを使用した混合方法を採用することができる。
【0026】
カバー用組成物は、少なくとも上記アイオノマー樹脂、ジエン系ゴム、その双方に相溶または反応し得る部分を有する材料を含有し、必要に応じて、それに二酸化チタン、硫酸バリウムなどの顔料、その他、安定剤、分散剤、添加剤などを適宜配合した状態で調製される。
【0027】
上記アイオノマー樹脂、ジエン系ゴム、その双方に相溶または反応し得る部分を有する材料を含有するカバーでコアを被覆することによってゴルフボールが得られるが、そのコアとしてはソリッドゴルフボール用コア(ソリッドコア)、糸巻きゴルフボール用コア(糸巻きコア)のいずれも使用することができる。
【0028】
ソリッドコアとしては、1層構造のコアはもとより、2層以上の多層構造のコアであってもよく、例えば、ツーピースボール用コアとしては、ポリブタジエン100重量部に対して、アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸またはその金属塩や、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの官能性モノマーなどからなる加硫剤(架橋剤)を単独または合計で10〜60重量部、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどの充填剤を3〜30重量部、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化物を0.5〜5重量部配合し、要すれば、さらに老化防止剤を0.1〜1重量部配合したゴム組成物をプレス加硫(架橋)により、例えば140〜170℃の温度で10〜40分間加熱圧縮して、球状加硫物に成形することによって得られたものを用いることができる。
【0029】
糸巻きコアは、センターとそれに巻きつけた糸ゴムとからなり、センターとして液系、ゴム系のいずれも用いることができる。ゴム系のセンターとしては、例えば、前記ソリッドコアと同様のゴム組成物を加硫することによって得られたものを用いることができる。
【0030】
糸ゴムは、従来から使用されているものを用いることができ、例えば、天然ゴムまたは天然ゴムと合成ポリイソプレンとの混合物に老化防止剤、加硫促進剤、硫黄などを配合したゴム組成物を加硫することによって得られたものを用いることができる。ただし、これらのソリッドコア、糸巻きコアは単なる例示であって、これら例示のもののみに限定されることはない。
【0031】
コアにカバーを被覆する方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法で行うことができる。例えば、前記特定の3成分を含有するカバー用組成物をあらかじめ半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、100〜170℃で1〜15分間加圧成形するか、またはカバー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法などが採用される。カバーの厚みは通常1〜4mm程度である。そして、カバー成形時、必要に応じて、ボール表面にディンプルの形成が行われ、また、ペイント仕上、スタンプなども必要に応じて施される。
【0032】
つぎに、本発明のゴルフボールの構造を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明のゴルフボールの一例を模式的に示す断面図であり、この図1に示すゴルフボールは糸巻きゴルフボールであり、図1中、1はセンター1aと糸ゴム1bとからなるコアであり、2はカバーで、2aはディンプルである。
【0033】
上記センター1aや糸ゴム1bは、特に特定のものに限られることなく、従来同様のものも用いることができ、このセンター1aとしては、液系、ゴム系のいずれであってもよく、糸ゴム1bは上記センター1aの周囲に延伸状態で巻き付けられ、それによって糸巻きコアと呼ばれるコア1が形成されている。
【0034】
カバー2は、上記コア1を被覆するものであり、前記アイオノマー樹脂、ジエン系ゴム、その双方に相溶または反応し得る部分を有する材料の3成分を含有するカバー用組成物から形成されたものである。そして、2aは上記カバー2に設けられたディンプルである。この図1に示すゴルフボールでは、コア1は糸巻きコアからなるが、それに代えて、例えば、ブタジエンゴムなどを主材とするゴム組成物の加硫成形体からなるソリッドコアを用いることもできる。
【0035】
上記ディンプル2aは、必要に応じ、あるいは所望とする特性が得られるように、適した個数、態様でゴルフボールのカバー2に設けられるものであり、また、これらのゴルフボールには、必要に応じ、ボール表面にペイントやマーキングが施される。
【0036】
【発明の実施の形態】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例にのみに限定されるものではない。
【0037】
実施例1〜6および比較例1〜2
つぎのI〜III に示す工程を経て、実施例1〜6および比較例1〜2のゴルフボールを作製した。
【0038】
Iコアの作製:
ゴム製袋体に水を封入し、球状に加硫成形してなる液系センターに、糸ゴムを延伸状態で巻き付け、外径38.5mmの糸巻きコアを作製した。
【0039】
II カバー用組成物の調製:
アイオノマー樹脂、ジエン系ゴム、その双方に相溶または反応し得る部分を有する材料および架橋剤として、それぞれ下記のものを用い、実施例1〜4については表1に記載の配合で混合し、実施例5と比較例1〜2については表2に記載の配合で混合してカバー用組成物を調製し、実施例6については表2に記載の配合で混合しつつ動的架橋を行ってカバー用組成物を調製した。なお、上記混合は二軸押出機(L/D=25)を用いて、各ゾーン温度=190〜210℃で行った。ただし、各成分をあらかじめオープンロールにより予備混合し、その混合物を上記押出機に供給した。また、表中における各成分の配合量は重量部である。
【0040】
アイオノマー樹脂:
ハイミランAM7315〔商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂〕
ジエン系ゴム:
エスプレン505A〔商品名、住友化学工業(株)製、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)〕
【0041】
アイオノマー樹脂とジエン系ゴムの双方に相溶または反応し得る部分を有する材料:
(1) RAS1001〔商品名、日本触媒化学工業(株)製、オキサゾリン基含有アクロニトリル−スチレン共重合体〕
(2) ボンドファースト7L〔商品名、住友化学工業(株)製、エチレン−エチルアクリレート−グリシジルメタクリレート三元共重合体〕
(3) タフテックZ514〔商品名、旭化成工業(株)製、グリシジルメタクリレート変性スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体〕
【0042】
架橋剤:
バルノックDGM〔商品名、大内新興化学工業(株)製、p,p′−ベンゾイルキノンジオキシム〕
【0043】
III ゴルフボールの作製:
上記IIのカバー用組成物をペレット状に成形し、そのペレット状カバー用組成物を用いてハーフシェルを成形し、それを2枚用いて前記Iのコアを包み、150℃で2分間加熱成形することによって、外径42.7mmの糸巻きゴルフボールを作製した。
【0044】
得られたゴルフボールの重量および飛距離を測定し、かつ打球感を評価した。また、カバー用組成物におけるアイオノマー樹脂中の分散ゴム粒子の粒径を測定した。ゴム粒子の粒径、ゴルフボールの飛距離の測定方法、打球感の評価方法は、それぞれ次の通りである。
【0045】
ゴム粒子の粒径の測定および平均粒径の算出方法
まず、測定用試料は、前記IIのカバー用組成物をペレット状に成形し、そのペレット状カバー用組成物を160℃で3分間加圧下でシート状に加熱成形することによって作製した。そして、ミクロトームによって試料表面を平滑にカットし、走査型電子顕微鏡(JEOL社製T−220A)を用い、OsO4 染色後の試料の反射電子像写真を撮影し、その任意の50個のゴム粒子の垂直方向の長さを測定し、その数平均による数値を平均粒径とした。
【0046】
飛距離の測定方法:
ツルーテンパー社製スイングロボットにウッド1番クラブを取り付け、ヘッドスピード45m/sで各ボール8個ずつを打撃し、その落下点までの距離を測定する。結果はその平均値で示す。
【0047】
打球感の評価方法:
ゴルフプレーヤー5人によりウッド1番クラブで実打し、各人が感じとった打球感を下記の7段階評価で分類する。
HH: 硬すぎて、悪い。
H : 硬い。
AH: 少し硬めだが良い範囲内にある。
A : ちょうど良い。
AS: 少しやわらかめだが良い範囲内にある。
S : やわらかい。
SS: やわらかすぎて、悪い。
【0048】
表1に実施例1〜4のカバー用組成物の配合、ゴム粒子の平均粒径、得られたゴルフボールの重量、飛距離、打球感の評価結果を示し、表2に実施例5〜6および比較例1〜2のカバー用組成物の配合、ゴム粒子の平均粒径、得られたゴルフボールの重量、飛距離、打球感の評価結果を示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
表1〜2に示す結果から明らかなように、実施例1〜6は、飛距離が大きく、かつ良好な打球感を有していた。
【0052】
これに対し、カバーの樹脂成分としてアイオノマー樹脂のみを用いた比較例1は、打球感が硬くて悪かった。また、アイオノマー樹脂にジエン系ゴムをブレンドしたが、その双方に相溶または反応し得る部分を有する材料をブレンドしなかった比較例2は、飛距離が低下し、またジエン系ゴムをかなり多く配合していることもあって、打球感がやわらかすぎて、悪くなっていた。
【0053】
上記のように比較例2の特性が実施例1〜6に比べて悪かったのは、カバー用組成物におけるアイオノマー樹脂中のゴム粒子の平均粒径からも判断できる。すなわち、表1〜2に示すように、比較例2のゴム粒子の平均粒径は実施例1〜6のゴム粒子の平均粒径より大きく、その結果、上記のように飛距離が低下するなど、特性が悪くなったものと考えられる。これに対し、実施例1〜6が反撥性能の低下を招くことなく、打球感を良好にすることができたのは、アイオノマー樹脂中に分散するゴム粒子の粒径を小さくすることができたことによるものと考えられる。
【0054】
なお、動的架橋を採用した実施例6は、同組成で動的架橋を採用しなかった実施例4に比べて、ゴム粒子の平均粒径がより小さくなっており、それによって、実施例4より飛距離の向上が認められた。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、打球感が良好で、かつ高反撥性能で、飛距離が大きいゴルフボールを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るゴルフボールの一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 コア
1a センター
1b 糸ゴム
2 カバー
Claims (4)
- コアとカバーを有するゴルフボールにおいて、上記カバーが、少なくとも(1)アイオノマー樹脂と(2)ジエン系ゴムと(3)上記アイオノマー樹脂とジエン系ゴムの双方に相溶または反応し得る部分を有する材料の3成分を含有し、(3)アイオノマー樹脂とジエン系ゴムの双方に相溶または反応し得る部分を有する材料が、オキサゾリン基を一構成成分とするポリマーであることを特徴とするゴルフボール。
- コアとカバーを有するゴルフボールにおいて、上記カバーが、少なくとも(1)アイオノマー樹脂と(2)ジエン系ゴムと(3)上記アイオノマー樹脂とジエン系ゴムの双方に相溶または反応し得る部分を有する材料の3成分を含有し、(3)アイオノマー樹脂とジエン系ゴムの双方に相溶または反応し得る部分を有する材料が、グリシジル基を一構成成分とするポリマーであることを特徴とするゴルフボール。
- (1)アイオノマー樹脂と(2)ジエン系ゴムとの総量100重量部に対して、(3)上記アイオノマー樹脂とジエン系ゴムの双方に相溶または反応し得る部分を有する材料が0.1〜30重量部であることを特徴とする請求項1または2記載のゴルフボール。
- ジエン系ゴムの架橋剤を混合し、動的架橋により少なくとも一部のジエン系ゴムを架橋したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴルフボール。
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