JP3625216B2 - インクジェット記録シートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、インクジェット記録シートの製造方法に関するものであり、特に、印字されたドット形状を均一にし、地汚れの発生がないインクジェット記録シートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
このインクジェット記録方式で使用される記録シートとしては、通常の印刷や筆記に使われる上質紙やコーテッド紙を使うべく、装置やインク組成の面から努力が成されてきた。しかし、装置の高速化・高精細化あるいはフルカラー化などインクジェット記録装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、記録シートに対してもより高度な特性が要求されるようになった。即ち、当該記録シートとしては、印字ドットの濃度が高く色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合に於いてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと等の高い画像再現性が要求される。
【0004】
このような要求に対して、従来からいくつかの提案がなされてきた。例えば、支持体表面にシリカ系顔料を主成分とした空隙層となるインク受理層を設けて、インク吸収性を向上させる工夫がなされてきた(特開昭52−9074号公報、同58−72495号公報等)。このインク受理層によってインク吸収性を上げ、高い印字ドット濃度やインク滲みがない印字ドットを得るために、特開昭55−51583号公報及び特開昭56−157号公報には、非膠質シリカ粉末を配合する提案がある。また、色彩性や鮮明性はインク中の染料のインク受理層に於ける分布状態にあることに着目し、染料成分を吸着する特定の剤を用いる提案(特開昭55−144172号公報)もなされてきた。
【0005】
しかし、インク受理層が1〜10g/m程度の低塗工量の場合は、印字されたインクは、インク受理層のみで受容することが出来ず、支持体にもインク吸収性が必要となる。このことから、支持体は低サイズの特性が必要となるが、低サイズ度の支持体を用いるとインク吸収性は良いものの、インクが支持体の厚さ方向に深く浸透して裏抜けの問題が生じる。さらには、インクが支持体の面方向に拡散して鳥の羽状にギザギザしたフェザリング(Feathering)と呼ばれる不均一なドット形状の発生がある。
【0006】
このことから、インク受理層の塗工量を増大させ、インク受理層のみでインクを吸収する必要がある。しかし、インクの浸透をインク受理層で抑える目的で、塗工量を増やしてインク吸収性を高めると、裏抜けやフェザリングの発生は抑制できるが、インク受理層の接着性低下や粉落ちが生じやすくなることから、塗工量を安易に増やすことは出来ない。。
【0007】
さらに、支持体表面にインク受理層を設ける塗工工程に於いて、インク受理層塗被組成物中のバインダーや溶媒(主に水)が支持体中に浸透したり、乾燥工程に於いてはインク受理層表面にバインダーが移動したりする。その結果、インク受理層の面方向と厚さ方向のバインダー分布の不均一化が進み、インク吸収も不均一となり、ドット形状が不揃いとなる問題が生じる。さらに、インク受理層内の不均一性は、バインダー分布のみならず、密度ムラに起因するものもあり、インク受理層の密度を一定にすることが良く、支持体の密度も一定にすると、さらに均一なドット形状が得られる。
【0008】
このことから、支持体のサイズ性をコントロールしたり、塗工時の乾燥工程では、乾燥負荷量をコントロールする試みが多く行われているのが現状である。また、密度ムラ解消のために、支持体やインク受理層の質量分布を均一化する努力が行われているが、完全に均一な質量分布は得られていない。このため、支持体やインク受理層の厚さをそれらの質量変動に合致させ、密度を一定にすることが好ましいが、現状ではかなり難しい技術である。現状の技術で、より均一な密度を得ようとすると、かなり厚さを減少させる必要がある。しかし、同時に密度が上昇するため、インク受理層のバインダー分布の不均一性を強調させ、逆にドット形状の不均一化を促進させることになる。
【0009】
また、密度の上昇は、インク受理層や支持体の空隙量が減らすことになるから、インク受理層や支持体へのインクの浸透が遅れ、インクが未乾燥となり、インクが重なるドット印字される重色部では、ドット周辺にインクが溢れたり、インクジェット記録装置内でのシートの搬送中に、搬送装置周辺の機器と接触して、ドットが擦れ、地汚れと呼ばれるドットの擦れ汚れが発生して、美観を損ねる画像となる。
【0010】
近年のインクジェット記録装置の高速化やビジュアル化指向の高まりによって、印字されたドット形状が均一であり、地汚れのない美観を損ねることのないインクジェット記録シートの要求が高まっているが、ドット形状の均一化と地汚れという相反した特性を共に向上させる難しさがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状に鑑み、本発明の目的は、印字されたドット形状が均一であり、地汚れの発生のないコートタイプインクジェット記録シートの製造方法を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、インクジェット記録シートの製造方法について、種々の検討を重ねた結果、該記録シートを特定のカレンダー装置でカレンダー処理する事によって、画像が形成される該記録シート全体の密度が均一となり、さらには該記録シートの密度を比較的低密度にすることが可能となって、本発明の目的が完成に至ることを見い出した。即ち、本発明のインクジェット記録シートの製造方法は、木材パルプと顔料を主成分とする支持体上に、少なくとも1層以上の合成非晶質シリカを含有するインク受理層を塗設するインクジェット記録シートの製造方法において、該インク受理層を塗設して後、金属ロールと合成樹脂ロールから成るカレンダー装置により、線圧100〜200Kg/cmで、該記録シートのインク受理層側を金属ロールに接触させるようにしてカレンダー処理して製造することを特徴するものである。
【0013】
本発明に係るカレンダー装置は、少なくとも1組以上の金属ロールと合成樹脂ロールを有するものであって、該カレンダー装置が複数のロールを設置できるのであれば、金属ロールと金属ロール、金属ロールとコットンロール、或は合成樹脂ロールと合成樹脂ロールの組み合わせを前後に併設し、多段で処理してもよいし、上記のロール組み合わせを配置したカレンダー装置を別途に設置して処理しても良い。
【0014】
本発明に係るカレンダー処理に於いて、インク受理層塗設面と金属ロール面を接触させる必要がある。また、カレンダー処理時の金属ロールの表面温度は、かなりカレンダー処理後のインク受理層の密度ムラに関係しており、高温処理の方が密度ムラの発生を軽減できるために好ましい。カレンダー処理速度や線圧によって異なるが、金属ロールの表面温度は、100〜300℃が適温である。金属ロールには、炭素鋼材質が多く使用されるが、材質は特に限定されるものでない。さらには、セラミックやクロム等を溶射して、ロール表面を保護しても構わない。
【0015】
また、合成樹脂ロールの材質としては、ウレタン系、エボナイト系、ナイロン系、アラミド系等の合成樹脂が用いられ、硬度としては、JIS Z2246規定のショア硬度でHsD70〜95が用いられる。合成樹脂ロールは、中央部が鉄芯、表層部が上記材質の合成樹脂層から構成されるが、合成樹脂層が多層となっていても構わない。
【0016】
本発明に係るインク受理層の塗工量は、特に限定されないが、木材パルプと顔料を主成分とする支持体では、1〜15g/mで本発明のカレンダー装置による効果が特に得られる。また、バックコート層を設けても構わない。バックコート層の塗工量は特に限定されるものではなく、塗工又は含浸する装置や乾燥工程の能力に合わせた選択が望ましい。
【0017】
本発明に用いられる支持体は、木材パルプとしては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等のパルプを含み、必要に応じて従来公知の顔料やバインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤ抄紙機等の各種装置で支持体の製造が可能であり、酸性、中性、アルカリ性で抄造できる。また、該支持体にそのままインク受理層を設けても良いし、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた後にインク受理層を設けても良い。また、該支持体は、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等でさらに平坦性をコントロールしても良い。
【0018】
本発明に用いられる支持体及びインク受理層やバックコート層には、公知の白色顔料を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。上記の中でもインク受理層中に主体成分として含有する白色顔料としては多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等があげられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。
【0019】
また、接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール等;無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或いはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性接着剤;ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤が挙げられ、1種以上で使用される。
【0020】
さらに、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することもできる。
【0021】
本発明の支持体に、インク受理層またはバックコート層を、塗工又は含浸する方法は、各種ブレートコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、ショートドウェルコータ、サイズプレス等の各種装置をオンマシンあるいはオフマシンで用いることができる。また、塗工又は含浸後に、本発明のカレンダー装置でカレンダー処理するが、その前後で、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー等によりカレンダー処理しても構わない。
【0022】
本発明で云うインクとは、下記の着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料或は食品用色素等の水溶性染料が挙げられる。
【0023】
インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、 sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6 −ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。その他の添加剤としては、例えば、PH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が挙げられる。
【0024】
本発明におけるインクジェット記録シートは、インクジェット記録シートとしての使用に留まらず、記録時に液状であるインクを使用するどのような記録シートとして用いてもかまわない。例えば、熱溶融性物質、染顔料などを主成分とする熱溶融性インクを樹脂フィルム、高密度紙、合成紙などの薄い支持体上に塗布したインクシートを、その裏面より加熱し、インクを溶融させて転写する熱転写記録用受像シート、熱溶融性インクを加熱溶融して微小液滴化、飛翔記録するインクジェット記録シート、油溶性染料を溶媒に溶解したインクを用いたインクジェット記録シート、光重合型モノマー及び無色または有色の染顔料を内包したマイクロカプセルを用いた感光感圧型ドナーシートに対応する受像シートなどが挙げられる。
これらの記録シートの共通点は、記録時にインクが液体状態である点である。液状インクは、硬化、固化又は定着までに、記録シートのインク受理層の深さ方向又は水平方向に対して浸透又は拡っていく。上述した各種記録シートは、それぞれの方式に応じた吸収性を必要とするもので、本発明のインクジェット記録シートを上述した各種の記録シートとして利用しても何ら構わない。
更に、複写機・プリンター等に広く使用されている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する記録シートとして、本発明におけるインクジェット記録シートを使用しても構わない。
【0025】
【作用】
インクジェット記録シートに密度ムラがあると、インク吸収が不均一となるため印字されたドット形状が不揃いとなり、画像のコントラストや色彩性を低下させる。特に、インク受理層側からインク浸透が生じるので、インク受理層の密度ムラを解消することによって、本発明の1つであるドット形状の均一化を図ることができる。また、本発明に係るカレンダー装置は、インクジェット記録シートの密度の上昇を抑えることが可能となるので、インクは、インク受理層及び支持体に速やかに吸収され、地汚れの発生はない。
【0026】
インク受理層の密度ムラの解消に対しては、スーパーカレンダーと呼ばれる金属ロールとコットン材などの比較的硬度の低い弾性ロールを複数組み合わせたカレンダー装置や金属ロールと金属ロールを複数組み合わせたマシンカレンダーと呼ばれるカレンダー装置でカレンダー処理されてきた。しかし、ドット形状の不均一化に関係するような密度ムラを除去するためには、スーパーカレンダーの場合には、線圧を上げた処理条件が必須となる。また、マシンカレンダーの場合には、シートの厚さを一定にするため、潜在的に質量分布を有する木材パルプと顔料を主成分として構成される支持体では、逆に密度ムラを加速することになり、本発明の目的の達成は難しい。
【0027】
このことから、ドット形状の不均一化を起こすような密度ムラを解消するために、通常、スーパーカレンダーが使用されているが、上記の理由により、密度ムラをさらに解消するためには、線圧を上げたカレンダー処理が必要となることから、密度が上昇し、空隙の減少によって、地汚れの発生がある。また、インク受理層中のバインダー分布を強調することによって生じると考えられるドット形状の不均一化も進む。しかし、本発明に係る金属ロールと合成樹脂ロールから成るカレンダー装置を用いて、インク受理層が塗設される面と金属ロールを接触させカレンダー処理すると、密度をあまり上昇させることなく、インク受理層も含めた該記録シートの密度ムラの減少が図れる。その結果、地汚れの発生がなく、印字されたドット形状も揃った美観の優れたインクジェット記録シートを製造することができる。
【0028】
【実施例】
以下に、本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例に於いて示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り重量部及び重量%を示す。
なお、インクジェット記録シートの評価方法は、次のとおりである。
【0029】
[ドット形状の均一性]
シアンインクから成る単色ドットを印字して、下記数1により定義するドット形状係数Cを算出した。ドット形状の均一性は、50個のドット形状係数を測定し、ドット形状係数の平均値Cと標準偏差S(下記の数2)との比である変動係数S/Cで評価した。変動係数が0に近いほど、ドット形状は均一であることを示す。
【0030】
【数1】
C=L/L×100
C :ドット形状係数
:ドットと等面積の円の円周長さ
:ドットの円周長さ
【0031】
【数2】
Figure 0003625216
S :形状係数の標準偏差
:i番目のドット形状係数
:測定したドット形状係数の平均値
N :測定個数(50)
【0032】
[地汚れ]
シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの3色のインクから成る重色ドットを印字後、すぐに印字面に白紙を押し当てて、白紙に転写されたインク状態を目視により下記基準で判定した。インクジェット記録装置内で地汚れとならないのは、A及びBの評価である。
A:インクの転写は確認されず、地汚れにはならない。
B:僅かにインクの転写が確認されるが、地汚れに可能性は殆どない。
C:インクの転写が白紙全面にあり、地汚れとなる。
【0033】
実施例1〜5、参考例及び比較例1〜4
支持体は、LBKP(濾水度400mlcsf)80部とNBKP(濾水度480mlcsf)20部から成る木材パルプ100部に対して、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が10/10/10の顔料20部、市販アルキルケテンダイマー0.10部、市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉1.0部、硫酸バンド0.05部を調成後、長網抄紙機で抄造し、坪量90g/m2の支持体を得た。抄造後、カレンダー装置を用いて平坦化処理を行い、支持体表面にインク受理層と反対面にバックコート層を塗工乾燥して、表1に示す条件で金属ロールと合成樹脂ロールから成るカレンダー装置で、インク受理層塗設面と金属ロール面を接触させるように、表1の如き条件でカレンダー処理を行った。なお、表1中の注意書き*1〜*3は、次のとおりである。
*1:インク受理層が塗設される支持体表面の反対面と接触するロールの種類を表1に記載した。なお、樹脂ロールは、合成樹脂ロールを指し、()内はショア硬度を示す。
*2:金属ロールと金属ロールから成るニップ数4のカレンダー装置を指す。
*3:金属ロールとコットンロールから成るニップ数4のカレンダー装置を指す。
【0034】
インク受理層及びバックコート層の配合と塗工条件は、以下のとおりである。
なお、塗工は、エアーナイフコーターを用いた。
【0035】
Figure 0003625216
【0036】
Figure 0003625216
【0037】
【表1】
Figure 0003625216
【0038】
実施例1〜5、参考例及び比較例1〜4で作製したインクジェット記録シートについて、上記の評価方法に従って評価した結果を表2に示す。なお、表2中の注意書き*4及び*5は、次のとおりである。
*4:測定されたドッド形状係数の平均値を示す。
*5:測定されたドット形状係数の変動係数を示す。
【0039】
【表2】
Figure 0003625216
【0040】
表2から明らかなように、実施例1〜5及び参考例は、本発明の目的である地汚れの発生がなく、印字されたドットの形状も良好であることが判る。しかし、比較例1〜4では、変動係数が大きく、ドット形状が不揃いであることや地汚れの発生があることが示される。また、比較例1〜4は、地汚れやドット形状の均一化を図るために、仮に線圧を下げて密度を抑えても、形状係数の低下があり、真円の形状を得難くなるため、画像のコントラストや色彩性の低下が生じる。
【0041】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録シートの製造方法によれば、インクジェット記録シートの密度上昇を抑え、密度ムラを軽減することにより、印字されたドット形状を均一にし、地汚れの発生がないインクジェット記録シートを製造することができる。

Claims (2)

  1. 木材パルプと顔料を主成分とする支持体上に、少なくとも1層以上の合成非晶質シリカを含有するインク受理層を塗設するインクジェット記録シートの製造方法において、該インク受理層を塗設して後、金属ロールとHsD70〜95のショア硬度を有する合成樹脂ロールから成るカレンダー装置により、線圧100〜200Kg/cmで、該記録シートのインク受理層側を金属ロールに接触させるようにしてカレンダー処理して製造することを特徴するインクジェット記録シートの製造方法。
  2. 金属ロールが、カレンダー処理時に、100〜300℃の表面温度であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録シートの製造方法。
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