JP3624943B2 - 自動給油支援用給油口ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両にロボット給油装置により給油するのに適した給油口ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、給油作業の省力化を図るべく、送油ポンプに接続する給油ノズルをロボットアームに取付け、自動車燃料タンクの給油口をセンサーにより検出して給油ノズルを燃料タンクに自動的に挿入するいわゆる給油ロボットが導入されようとしている。
このような給油ロボットによる給油を円滑に実行するには、給油ノズルの先端を自動車燃料タンクの挿入口に確実に位置合わせ、挿入できることが必要となる。
【0003】
このため、例えば特表平10−503994号公報に見られるように、既存の自動車燃料タンクの挿入口にアダプターを取付けること提案されている。
すなわち、このアダプタは、給油口にネジ込みにより固定され、かつノズルの挿入により開放される蓋体を備えた略筒状の第1部材と、第1部材に着脱可能、かつ回動可能に装着される漏斗状のガイド部材を備えた第2部材とから構成されている。
取付けに際しては、第1部材を燃料タンクの給油口にパッキンを介装してねじ込み固定し、次に第2部材を第1部材の突出部に装着し、給油ノズルが挿入しやすい方向にガイド部材を回動させて位置決めする作業を要する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このため、取付けに際しては、第1部材と第2部材の2つの部材を順番に装着する作業を必要として、取付けが繁雑であるという問題を抱えている。
一方、給油ノズルを所定の位置に誘導するには、ロボットが給油口を検出できる標識体を取付ける必要があるが、標識体の取付け作業をも必要とし、作業が繁雑化するという問題も抱えている。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、着脱が極めて簡単な自動給油支援用給油口ユニットを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために本発明の自動給油支援用給油口ユニットにおいては、一端に燃料タンクの給油口よりも大径のフランジを備え、他端に前記燃料タンクの給油口に螺合可能なネジ部が形成された筒状部を備えた基部と、給油ノズルを誘導するテーパ状の開口面を有し、かつ前記テーパ状の開口面に自動給油装置が認識できる標識を取り付けるための標識体取付け部が形成されたガイド部材と、給油ノズルの挿入により開弁可能で、かつ常時閉弁方向に付勢されて前記基部に設けられた弁体と、前記フランジの背面に位置するように取り付けられ、かつ前記給油口に当接するリング状パッキンとからなり、
前記ガイド部材は、前記給油口に取り付けるための方向への回転に対しては前記フランジとの間の摩擦により前記基部を従動させるとともに、前記給油口への取り付けが終了した状態では前記摩擦に打ち勝って空転可能となり、また取り外し方向への回転に対しては前記基部とともに回動するように前記フランジに組付けられている。
【0006】
【作用】
ガイド部材を把持して給油口にねじ込み、さらに同一方向にガイド部材を回転させて標識体が所定位置となるようにガイド部材の位置を調整する。
また、ガイド部材を把持して逆方向に回動させると、基部がガイド部材に対して空回りすることなく一体となって回転するから、パッキンによる摩擦に関わりなくユニット全体を簡単に取り外すことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1、図2は、本発明の自動給油支援用給油口ユニットの一実施例を燃料タンクの給油口に取付けた状態で示すものであって、自動給油支援用給油口ユニット1は、燃料タンクに連通する立上管2の先端、つまり燃料タンクの給油口3を封止するキャップの代わりに比較的硬度の低い金属材料、例えばアルミにより構成された基部4をネジ込むことにより固定されている。
【0008】
この基部4は、略筒状に構成されていて外周にネジ部4aが形成され、その開口4bが常時閉弁状態を維持し、給油ノズルの挿入により開弁するようにバネ等を介装して取付けられている。すなわち、給油ノズルが挿入されたり、気温の低下により燃料タンクが減圧状態となった場合には開弁し、また気温の上昇により燃料タンクの燃料が気化して圧力が上昇した場合や、常時は閉弁状態を維持して、炭化水素系ガスが揮散したり、燃料の漏れ出すのを防止する。
【0009】
基部4の表面側には高分子材料等の給油ノズルとの衝突による衝撃を吸収でき、かつ耐油性を備えた材料、例えばナイロン樹脂(登録商標)の射出成形により構成されたガイド部材6が一方向に回動可能に予め装着されている。
【0010】
ガイド部材6は、給油ノズルの先端を基部4の中心に誘導するためのテーパ状の貫通孔が形成されていて、テーパ面6aの可及的中心部に標識体を埋め込むための凹部7が形成されている。なお、標識体は、駆動電力を必要としない磁性体、自己回帰型反射材、トランスポンダ等が利用できる。
【0011】
図2は、上述した基部4とガイド部6との係合状態を示すものであって、基部4は、給油口3のネジ部に螺合するネジ部4aが外周に形成された筒状体8と、ガイド部材6及び弁体5の取付け部となるフランジ体9とから構成されている。フランジ体9は、基部4を中心として外側ばかりでなく、開口よりも若干内側に張り出すように構成されている。またフランジ体9の表面には中心側に突出する複数の歯部10を一定ピッチで形成した環状溝11が形成されている。
【0012】
一方、ガイド部材6の外周の背面には、フランジ体9の厚み程度の長さで、かつ先端が中心側に曲げられた係合突片12が少なくとも1つ形成されている。またガイド部材6の背面には、フランジ体9の環状溝11と対向し、かつ歯部10の谷に対向する位置には少なくとも1つの弾性変形可能な係合部をなす脚部13が複数、この実施例では等間隔に3個が突出形成されている。この脚部13は、ガイド部材6がねじ込み方向に回動されたとき、弾性変形して歯部10を乗り越える斜面13aと、また逆方向に回動されたときには歯部10の壁10aに当接して回転力を伝達する平面部13bとにより構成されている。これら係合突片12、及び脚部13は、本体部と高分子射出成形により一体的に構成するのが望ましいが、別体として構成することもできる。
【0013】
このように構成されたガイド部材6を、係合突片12の弾性を利用してフランジ9の外周に押し込むと、ガイド部材6の脚部13がフランジ体9の環状溝11に収容され、またガイド部材6の係合突片12がフランジ9の背面に係合して一体に組み付く。そしてフランジ体9の背面に環状パッキン14を取り付けるとユニットとして完成する。
【0014】
このように構成されたユニット1を、燃料タンクを封止しているキャップを取り外し、燃料タンクキャップを取付ける場合と同様に自動給油支援用給油口ユニット1の基部4を給油口に位置合わせし、ガイド部材6をねじ込み方向に回動させると、脚部13と歯部10との摩擦により基部4がガイド部材6に従動して給油口3のネジ溝に固定される。この状態では、給油口3とフランジ9の背面がパッキン14を介して給油口3に弾接されて気密状態を維持し、また弁体5が付勢手段により閉弁状態を維持しているから、燃料漏れや炭化水素の揮散が防止される。
【0015】
自動給油支援用給油口ユニット1の固定が終了した時点で、ガイド部材6を取付け時の方向にさらに回動させると、脚部13がその斜面13aにより歯部10の壁10aを簡単に乗り越えて、ガイド部材6が基部4に対して相対的にクリック回動するから標識体を自動給油装置が認識しやすい位置にセットすることができる。
【0016】
したがって、自動給油装置により給油を実行すると、給油口3の可及的近傍に標識体が位置しているから極めて給油ノズルの先端をユニット1の開口に高い精度で誘導することができ、また標識体が凹部7に埋めこまれているから、給油ノズルが標識体に邪魔されることなくをテーパ面6aを摺動して確実に立上管2にガイドされる。
【0017】
一方、給油ノズルが挿入されていく過程では、高分子材料からなるガイド部材6に給油ノズルセンタが接触するため滑らかに移動し、さらに給油可能な位置にセットされた状態では、ガイド部材6の開口から基部4の開口の内周が露出しているため、給油口3の近傍に位置する金属製の基部4、より詳細にはフランジ体9の中心側に突出した領域に給油ノズルが接触して給油ノズルが確実にアースされる。これにより、給油中に発生する静電気を確実に大地に逃がして給油中の発火が確実に防止される。
【0018】
なお、自動給油支援用給油口ユニット1を取り外す場合には、取付け時とは逆方向にガイド部材6を回動させると、脚部13の平面13bが歯部10の壁10aに当接するから、ガイド部材6と基部4との相対移動が阻止されて基部4がガイド部材6の回転に従動する。したがって、たとえパッキン14によりユニット1が給油口3に強い摩擦力で締め付けられていても給油口から簡単に、確実に給油口3からユニット1を離脱させることができる。そして給油口3に付属していたキャップを給油口3に取付ければ燃料漏れや、ベーパの揮散を防止できる状態となる。
【0019】
一方、ユニット1の点検等のために分解する場合には、ガイド部材6の係合突片12を治具等により外側に弾性変形させて基部4との係合が解かれて両者を分離することができる。
【0020】
なお、上述の実施例においては、基部4を筒状体8とフランジ体9との2体構造としているが、1体として構成しても同様の作用を奏することは明らかである。
【0021】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、ガイド部材を把持して給油口にねじ込み、さらに同一方向にガイド部材を回転させて標識体が所定位置となるようにガイド部材の位置を調整でき、またガイド部材を把持してねじ込み時と逆方向に回動させると、基部がガイド部材に対して空回りすることなく一体となって回転して、パッキンによる摩擦に関わりなくユニット全体を簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動給油支援用給油口ユニットの一実施例を、燃料タンクの給油口に取付けた状態で外観を示す図である。
【図2】同上自動給油支援用給油口ユニットの一実施例を示す断面図である。
【図3】図(イ)、(ロ)は、それぞれ自動給油支援用給油口ユニットを構成する基部とガイドとの係合部の構造を、図2のA−A線での断面で示す図、及び領域Bを拡大して示す図である。
【符号の説明】
1 自動給油支援用給油口ユニット
3 給油口
4 基部
4a ネジ部
4b 開口
5 弁体
6 ガイド部材
6a テーパ面
7 標識体取り付け用の凹部
8 筒状部
9 フランジ
10 歯部
11 環状溝
12 係合突片
13 脚部
14 環状パッキン
Claims (5)
- 一端に燃料タンクの給油口よりも大径のフランジを備え、他端に前記燃料タンクの給油口に螺合可能なネジ部が形成された筒状部を備えた基部と、給油ノズルを誘導するテーパ状の開口面を有し、かつ前記テーパ状の開口面に自動給油装置が認識できる標識を取り付けるための標識体取付け部が形成されたガイド部材と、給油ノズルの挿入により開弁可能で、かつ常時閉弁方向に付勢されて前記基部に設けられた弁体と、前記フランジの背面に位置するように取り付けられ、かつ前記給油口に当接するリング状パッキンとからなり、
前記ガイド部材は、前記給油口に取り付けるための方向への回転に対しては前記フランジとの間の摩擦により前記基部を従動させるとともに、前記給油口への取り付けが終了した状態では前記摩擦に打ち勝って空転可能となり、また取り外し方向への回転に対しては前記基部とともに回動するように前記フランジに組付けられている自動給油支援用給油口ユニット。 - 前記フランジには一定ピッチの歯部を備えた環状溝が形成され、また前記ガイド部材には前記歯部と係合して前記基部とともに前記歯部を乗り越えて前記給油口に取り付けるための方向にクリック回転を可能ならしめ、また前記給油口から取り外す方向への回転に対しては前記歯部により移動が阻止される脚部が形成されている請求項1に記載の自動給油支援用給油口ユニット。
- 前記ガイド部材が高分子材料により構成され、また前記基部が金属材料により構成されていて、前記ガイド部材の開口が前記基部の開口径よりも大きく形成されている請求項1に記載の自動給油支援用給油口ユニット。
- 前記ガイド部材が高分子材料に形成され、また前記基部が金属材料により構成されていて、前記ガイド部材に前記フランジの背面に延びる係合突片により回動可能に組付けられている請求項1に記載の自動給油支援用給油口ユニット。
- 前記脚部が、前記歯部と対向する一方の面に斜面を備え、前記ガイド部材と一体に高分子材料により弾性変形可能に構成されている請求項2に記載の自動給油支援用給油口ユニット。
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