JP3624536B2 - 糸条巻取機の空ボビン供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は延伸仮撚機等に多数連設される糸条巻取機の空ボビン供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
延伸仮撚機等は機台長手方向に糸条巻取機を多数連設しているので、クレードルから一斉に満パッケージを排出して空ボビンを装着するには、大変な労力と時間を要する。このため、現在ではそのほとんどに空ボビン供給装置を取り付け、自動化を図っている。
【0003】
空ボビンの供給は、概ね次のような工程で行われる。まず、クレードルアームに挟持されるボビンに満パッケージが形成されると、クレードルアームは後方へ回動しボビン把持部は受渡し位置に到達する。そして一方のクレードルアームが軸方向外方に揺動し、クレードルアームのボビン把持部から満パッケージが排出され、そこへ空ボビン供給アームの回動によってボビン受渡し位置に空ボビンを搬送する。次に前記一方のクレードルアームが復帰して次の空ボビンを挟持する。空ボビン供給アームの回動は、機台端に配設した駆動源によって回動される軸に空ボビン供給アームが取り付けられ、その回動範囲をリミットスイッチ等で規制している。若しくは機台端に配設した駆動源からカムリンク機構を介して空ボビン供給アームを取り付けた軸を回動せしめることによって、回動範囲を規制している。この場合は1錘毎に駆動源が配設されることもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
空ボビンの受渡しにおいて、クレードルアームと空ボビン供給アームのボビン把持部を正確に一致させなければ受渡しミスとなる。従来の空ボビン供給装置では、機台長手方向に貫通する軸に空ボビン供給アームを取り付けているので、機台端に設けたリミットスイッチやカムリンク機構等で回動範囲を規制して受渡し位置を設定していた。このため、全錘を機台端に設けた駆動源によって一斉に駆動せしめる場合貫通する軸にはねじれが生じるので、全錘においてクレードルと空ボビン供給アームのボビン把持部のずれをなくすには、組立ての際に煩雑な芯出し作業が必要であった。また、軸にねじれが生じないように1錘毎にボビン供給アームの駆動源を配設すれば、大変高価になるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点を解決するために、機台端に設けた1つの駆動源であっても軸のねじれに関係なく容易に組立てることができる空ボビン供給装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、クレードル支軸を基準として、ボビン受渡し位置、空ボビン供給アーム支軸位置及び該空ボビン供給アームのストッパ位置を設定する。
【0007】
【発明の実施の形態】
クレードルアームのボビン把持部へ空ボビンを供給する揺動自在の空ボビン供給アームを備えた多数錘連設された糸条巻取機の空ボビン供給装置において、クレードル支軸を支持するクレードルスタンドに位置決めピンを設け、該位置決めピンに空ボビン供給アームを回転自在に枢着した板状剛体を軸着するとともに、ボビン受渡し位置にてクレードルアームの側面と前記板状剛体に設けた当接面を密接するように該板状剛体を固定する。
【0008】
クレードル支軸と平行に設けた駆動軸から空ボビン供給アームを間接的に回動せしめる回動伝達手段を設けるとともに、空ボビン供給アームの回動をボビン受渡し位置で係止せしめるストッパを前記板状剛体に設ける。
【0009】
クレードル支軸及び空ボビン供給アーム駆動軸を、連設された多数錘に貫設する。
【0010】
【実施例】
本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明すると、図1は延伸仮撚機の概略側面図を示し、長手方向に多数錘連設されている。クリール2から引き出された糸条Yは、第1フィードローラ3から第3フィードローラ4までの間に延伸仮撚加工が施され、オイリングローラ5を経て3段に積載されたいずれかの糸条巻取機1で巻き取られる。
【0011】
連設する糸条巻取機には各錘に空ボビン供給装置6を備えており、その内の1錘について説明すると、図2および図3に示すように、糸条Yはテークアップロール7に接し摩擦駆動されるボビンBにトラバースされながら巻取られる。ボビンBはボビンホルダ13を回動自在に備えた一対のアーム部12R、12Lに挟持されるように、クレードルアーム12に把持される。クレードルアーム12は一方のアーム部12Rが外方に揺動し、ボビンBを把持解放可能であり、クレードル支軸11に回動自在に支持されている。クレードル支軸11には、軸方向に突出するピン14aを有する駆動体14が取り付けられ、該ピンが前記クレードルアームの基部周面に設けた切欠溝12aに係合しており、ピン14aが切欠溝12a端面を押圧することによってクレードル支軸の回動が駆動体を介してクレードルアームに伝達される。クレードルアームの切欠溝12aは適当な周長を有し、回動時には遊びを有することになる。またクレードルアームの後方側面には当接面12bが設けられ、後述する支持プレートの当接面20aとボビン受渡し位置53で当接する。
【0012】
また図5に示すようにクレードルアーム12のボビン把持部と反対側にはローラ12cが取り付けられている。前記ローラ12cと、機枠に固定された軸42を支点として揺動可能に設けられたカム40が係合し、該カムはスプリング41によってローラ12cを押圧している。カムの形状によって、接するローラ12cの法線方向が変化し、クレードルアームに与える回転モーメントを増減するようになっている。
【0013】
クレードル支軸11は機台長手方向に貫通して機台端の駆動源(図示せず)に連結されるとともに、各錘毎に配設されたクレードルスタンド10に軸受される。
【0014】
一対の支持プレート20R、20Lがクレードルアーム幅と同間隔に、位置決めされてクレードルスタンド10および機枠19に固定される。この一対の支持プレートの中間部内側にはL字型断面を有するパッケージ貯留レール40R、40Lが左右平行かつ後方に傾斜するように取り付けられている。同様に最上部には空ボビン貯留レール30R、30Lが左右平行かつ前方に傾斜するように取り付けられている。
【0015】
パッケージ貯留レールと空ボビン貯留レールとの間には左右対向するようにアーム支軸21が取り付けられ、該アーム支軸には左右対称に板状の空ボビン供給アーム22と側面にキッカー23を取り付けた歯車24とが隣接して枢着されている。左右の空ボビン供給アーム22はその先端のボビン把持部で空ボビンを把持する。またその反対方向には受渡し位置ストッパと当接する当接部22aを有している。歯車24はアーム駆動軸27に取り付けられた歯車25と噛合して、アーム駆動軸からの駆動力が伝達され回動する。歯車24には板状のキッカー23が取り付けられている。キッカー23にはアーム下面22bと係合する突起23aが設けられ、図3に示すような待機時の空ボビン供給アームの重力による回動力を受け止めている。このため空ボビン供給アーム22はキッカー23が下方に回動すると、キッカーの突起23aに接しながら間接的に回動する。このキッカーはレール上にひっかかったパッケージを蹴り出す機能をも有している。左右の支持プレート20R、20L間には棒状のストッパ26がクレードル支軸11と平行に架け渡すように設けられ、空ボビン供給アームの回動を受渡し位置で係止せしめる。
【0016】
アーム駆動軸27は前記クレードル支軸11に平行に機台長手方向に貫通して設けられ、機台端の駆動源(図示せず)に連結されている。この実施例では駆動力の伝達を歯車で行っているが、タイミングベルト、チェーン、リンク機構などで行うようにしてもよい。
【0017】
左右の空ボビン貯留レール前端部にはそれぞれ先端にフックを有する係止部材31が揺動自在に取り付けられている。空ボビン供給アーム22が前方(反時計針方向)に回動すると、フックが次の空ボビンB1中空内に挿入され落下するのを防止し、逆に空ボビン供給アームが待機位置に復帰すると、フックが外れ貯留空ボビン群の転動を許容するようになっている。
【0018】
このような構成の空ボビン供給装置の組立てにおいて、支持プレート20をクレードルスタンド10に組み付ける際に、支持プレートに穿設した穴をクレードルスタンドに設けた位置決めピン15に嵌入し、回動可能な状態とした後、クレードル支軸11を支点に回動可能なクレードルアームの後方側面12bと該支持プレートの当接面20aとが、全面において密接する状態で、該支持プレートを機枠19およびクレードルスタンド10に固定するようにする。ここで密接状態となるのはクレードルアームが受渡し位置53に一致する場合のみである。クレードル支軸を基準としてクレードルスタンドに設けた位置決めピン15位置と、位置決めピン用の穴を基準として支持プレートに設けた当接面20a、アーム支軸21取付位置およびストッパ26取付位置とは精度よく加工されているため、上記の作業だけで1錘毎に組み立てても全錘において錘間のばらつきがなく、クレードルアーム12と空ボビン供給アーム22のボビン受渡し位置を一致せしめることが可能である。尚、密接面範囲Lをできるだけ長く取る方が密接させやすい。
【0019】
次に糸条巻取機の空ボビン供給装置の動作について説明する。図3においてクレードルアーム12はパッケージ径の拡大に従って50から51の位置へ回動する。50の位置ではスプリング41からカム40によって矢印X方向に接圧がかけられるが、51までの間に徐々にパッケージ重量の増加に反して漸減し、途中からはパッケージ重量による接圧を軽減するように働く。この間、駆動体14のピンはクレードルアーム12周面の切欠溝とは全く係合しない。
【0020】
51の位置になると、満管信号によりパッケージへの糸条Yの供給が停止される。そして、クレードル支軸11が回動し、駆動体14に設けたピン14aがクレードルアーム周面の切欠溝12a端面を押圧してクレードルアーム12を回動せしめる。
【0021】
52の位置でクレードル支軸11の回動が停止されるが、カム40によってクレードルアーム12には矢印Z方向の回動力が付勢され、クレードルアームはさらに回動を続け、53の位置で支持プレートの当接面20aに当接するまで回動する。
【0022】
この53の位置において、一方のクレードルアーム12Rが外方へ揺動し、満パッケージPはボビンホルダ13から解放され貯留レール40に排出され、後方へ転動する。そして、アーム駆動軸27が回動し歯車を介してキッカー23が回動する。空ボビン供給アーム22はその自重による回動力でキッカーの突起23aに追従するようにして、ストッパ26に係止されるまで回動し、空ボビンB1を受渡し位置に搬送する。更にキッカー23は図4に示すようにたとえアーム駆動軸27にねじれがあっても、連設する全錘において空ボビン供給アームがストッパに係止されるように回動を続けた後、停止するように駆動源を制御する。
【0023】
そして拡開していた一方のクレードルアーム12Rが復帰して、空ボビンB1を挟持し、クレードル支軸11が逆転してクレードルアームが反転し、空ボビンがテークアップロール7に接する50の位置まで回動する。そして糸条Yは摩擦駆動された空ボビンに糸掛けされ、再び巻回され始める。最後にアーム駆動軸27が逆転し、キッカーの突起23aが空ボビン供給アーム下面22bを押し上げ、待機位置まで復帰させると、次の空ボビンB2に係合している係止部材31のフックが外れ、貯留されている空ボビン群が前方に転動し空ボビン供給アーム22のボビン把持部に先端の空ボビンB2が装着される。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は空ボビン供給装置を組み立てる際にクレードルアーム側面を板状剛体の当接面に密接せしめて固定するだけで、クレードルアーム及び空ボビン供給アームの各ボビン把持部を一致せしめることができ、組立時間を大幅に短縮することができるという効果を奏する。また空ボビン供給アームの駆動軸が連設された多数錘に貫通して設けられていても、その軸のねじれには関係なく、ストッパによって受渡し位置が設定されているので、1錘毎に駆動源を配設する必要がなく非常に安価に構成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】延伸仮撚機の概略側面図である。
【図2】本発明を実施する空ボビン供給装置の斜視図である。
【図3】本発明を実施する空ボビン供給装置の動作を示す断面図である。
【図4】本発明を実施する空ボビン供給装置の動作を示す断面図である。
【図5】本発明を実施するクレードル部の動作を示す要部断面図である。
【符号の説明】
B 空ボビン
Y 糸条
1 糸条巻取機
6 空ボビン供給装置
10 クレードルスタンド
11 クレードル支軸
12 クレードルアーム
12b クレードルアーム側面
15 位置決めピン
20 支持プレート
20a 当接面
21 アーム支軸
22 空ボビン供給アーム
26 ストッパ
27 アーム駆動軸
Claims (3)
- クレードルアームのボビン把持部へ空ボビンを供給する揺動自在の空ボビン供給アームを備えた多数錘連設された糸条巻取機の空ボビン供給装置において、クレードル支軸を支持するクレードルスタンドに位置決めピンを設け、該位置決めピンに空ボビン供給アームを回動自在に枢着した板状剛体を軸着するとともに、ボビン受渡し位置にてクレードルアームの側面と前記板状剛体に設けた当接面を密接するように、該板状剛体を固定してなることを特徴とする糸条巻取機の空ボビン供給装置。
- クレードル支軸と平行に設けた駆動軸から空ボビン供給アームを間接的に回動せしめる回動伝達手段を設けるとともに、空ボビン供給アームの回動をボビン受渡し位置で係止せしめるストッパを前記板状剛体に設けた請求項1記載の糸条巻取機の空ボビン供給装置。
- クレードル支軸及び空ボビン供給アーム駆動軸を、連設された多数錘に貫設した請求項2記載の糸条巻取機の空ボビン供給装置。
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