JP3624502B2 - 転がり転送部材の表面処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり転送部材と転動体からなる各種の転動装置、例えばボールベアリング,ローラベアリング,ボールねじ装置,リニアガイド装置,ボールスプライン,リニアボールベアリング等における転がり転送部材及びその表面処理方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の転動装置の転がり転送部材は、通常、防錆上の見地からめっきが施される。そのめっきの種類としては、一般に、硬質クロムめっきや無電解ニッケルめっきや黒色クロム系のめっき(いわゆるレイデント処理と呼ばれるもの)等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの一般的なめっき処理は、めっき層が薄いとめっきムラやクラックやピット等が生じやすく、防錆力に欠ける。反対にめっき層が厚いと防錆力は高くなるが厚さムラが大きくなり、且つ転送面を転動体が面圧を負荷されて転動するため剥がれ易いという問題点がある。このような問題点を有しているにもかかわらず、実際の転がり転送部材には防錆力が要求される用途が多いことから、めっき処理した転がり転送部材が使用されている。
【0004】
そこで本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、めっきと合成樹脂コーティングとを併用してクラックやピット等が生じても十分な防錆力が確保できる転がり転送部材及びその表面処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の請求項1に係る転がり転送部材の表面処理方法の発明は、転がり転送部材の転がり転送面を含む表面にめっき処理を施し、次いで当該めっき処理面に合成樹脂をコーティングし、その後当該転がり転送面に転がり部材を押圧しながら転送して少なくとも転がり転送面のめっき面の上に付着している合成樹脂を除去せしめることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図4は第1の実施の形態を示し、本発明をリニアガイド装置に適用した場合である。リニアガイド装置の転がり転送部材は、案内レール1とスライダ2である。一方の転がり転送部材である案内レール1の側面には、転動体(図1のものでは鋼球)3の転動体転動溝3Aが軸方向に形成されている。また、他方の転がり転送部材であるスライダ2の内側面には、前記案内レール1の転動体転動溝3Aに対向する転動体転動溝3Bが形成されている。
【0007】
本実施の形態の転がり転送部材の表面処理方法にあっては、先ず、案内レール1とスライダ2の両部材を対象として、その両転動体転動溝3A,3Bの転送面としての溝面(勿論、部材の全面でも良い)3aに、例えば無電解ニッケルめっきを、厚すぎて後刻簡単に剥がれてしまうことがないように比較的薄く施す。その後、更に例えばビニル樹脂やアクリル樹脂等の合成樹脂を含浸又は塗布等の手段でコーティングする。これにより、部分拡大断面図である図2に示すように、転がり転送部材(案内レール1及びスライダ2)の溝面にめっき層4とこれを覆う合成樹脂層5とが形成される。しかして、めっき層4にはクラックやピット等の多数のすき間7が形成されるが、そのすき間7内に合成樹脂層5が侵入してすき間7は完全に塞がれる。なお、このすき間7内への合成樹脂層5の侵入を促進するために、減圧状態下での樹脂含浸を行っても良い。
【0008】
このようにめっき層4を合成樹脂層5でコーティングした後、案内レール1にスライダ2を組み付け、対向した両転動体転動溝3A,3Bに多数の転動体3を装填する。
続いて、図1に示すように、転動体3を装填した状態のスライダ2の上面に外部から荷重Fを負荷する。これによりスライダ2の両袖部が若干下がり、両転動体転動溝3A,3Bは僅かに溝中心がずれると共に、スライダの転動体転動溝3Bの転がり転送面3aと案内レールの転動体転動溝3Aの転がり転送面3aとに斜め下方に向けて荷重F1 ,F2 が転動体3を介して負荷される。この荷重負荷の下に、スライダ2(または案内レール1)を案内レール1の全長にわたり何回かの往復運動をさせる。すると、押圧転動する転動体3により溝面に形成されていた合成樹脂層5のうち、めっき層4の最大厚さtmax より上に形成されていた部分が転がり転送面8とその近傍部9において除去される。その結果、図3,図4に示すような樹脂除去部分10が、転がり転送面8とその近傍部9とを含んで形成される。この樹脂除去部分10においても、めっき層4のクラックやピット等の多数のすき間7は合成樹脂層5で完全に塞がれたままである。
【0009】
この第1の実施の形態によれば、以下のような顕著な作用効果が得られる。
▲1▼めっき層4を薄く形成することにより発生する多数のクラックやピット等のすき間7に、合成樹脂層5が完全に食い込んで充填されているため、合成樹脂がめっき層4から剥がれにくい構造になっている。
▲2▼めっき処理,合成樹脂コーティング,転動体による転動押圧という工程を経由することにより、転がり転送部材である案内レール1,スライダ2の転がり転送面8及びその近傍部9の樹脂層を除去したので、その結果、使用時に転がり転送面8の面圧を受ける転動体が、軟らかい合成樹脂層5ではなく硬いめっき層4に直接接触する。そのため、転がり転送部品であるリニアガイド装置の諸機能(定格荷重,寿命,剛性等)が損なわれることがない。
【0010】
▲3▼めっき層4の上の合成樹脂層5を押圧することにより、めっき層4のクラッック,ピット等のすき間7に樹脂がしっかり入り込んで、酸素が転がり転送部材に接触することを妨げる。それゆえ、めっき層4の最大厚さより上にコーティングされた樹脂を除去しても、なお十分高い防錆効果を奏する。
▲4▼合成樹脂層5の表面を転動体により押圧させると、押圧力だけではなく、転動熱が発生する。その熱によりコーティングした合成樹脂層5の硬さが低下し、その結果、めっき層4のすき間7には樹脂がより一層しっかり入り込んで、高い防錆力を発揮する。
【0011】
図5は本発明をリニアガイド装置に適用した第2の実施の形態を示したものである。この場合は、転動体3としてオーバーサイズの鋼球を組み込み予圧を付与して、転がり転送部材の案内レール1,スライダ2を相対往復運動させる点が上記第1の実施の形態とは異なっている。合成樹脂層5に対する押圧力はその予圧で付与するため、スライダ2の上面に荷重Fを負荷しない。オーバーサイズの転動体3で両転動体転動溝3A,3Bの溝面の押圧を行うことにより、各溝3A,3B毎に溝面の2か所に樹脂除去部分10が形成されることになる。
【0012】
その他の作用効果は第1の実施の形態の場合と同様である。
図6〜図8は本発明をリニアガイド装置に適用した第3の実施の形態を示したものである。この場合は、転動体3の代わりに、全く別の部材である円板状の転がり部材13を用いて、これにより案内レール1の転動体転動溝3Aの溝面を押圧しながら転送する点が、上記第1,第2の各実施の形態とは異なっている。
【0013】
円板状の転がり部材13は外周面が球面に形成されており、二個一対として垂直軸の回りに互いに反対方向に回転させ、案内レール1の両側面の転動体転動溝3Aを挟み付けて両側から押圧力Fを負荷する。往復運動は案内レール1の方を移動させても良く、あるいは転がり部材13の方を軸回転させつつ移動させても良い。この場合も、両側の各転動体転動溝3A毎に溝面の2か所に樹脂除去部分10が形成される。
【0014】
その他の作用効果は第1の実施の形態の場合と同様である。
図9は本発明を転がり転送部材であるボールベアリングの軌道輪(外輪)20に適用した第4の実施の形態を示したものである。この場合の転がり部材21としては、ボールとは全く別の部材である円板を使用している。この転がり部材21の外周面は外輪20の軌道面20aの円弧形状に合わせてある。これに負荷Fを加えて外輪20の転送面としての軌道面20aに押し付け回転させる。一方、軌道部材20も回転させる。このとき回転する外輪の外周面20bを固定面22に押圧することにより、転がり軸受のハウジング内径面とのはめあいとなる外輪の外周面20b及び外輪お軌道面20aにおける合成樹脂層を、めっき層の最大厚さより上の部分だけ除去することが可能である。
【0015】
その他の作用効果は第1の実施の形態の場合とほぼ同様である。
図10は本発明を転がり転送部材であるボールねじのねじ軸30に適用した第5の実施の形態を示したものである。この場合の転がり部材としては互いに逆回転する二枚の円板31を用い、回転させたねじ軸30の転送面であるねじ溝面30aに押し付ける。
【0016】
この場合の作用効果も第1の実施の形態の場合とほぼ同様である。
なお、本発明をリニアガイド装置に適用した第1ないし第3の実施の形態においては、転動体としてボールを用いるものについて説明したが、これに限らず転動体にころを用いるタイプのものにも適用可能である。
また、同じく第1ないし第3の実施の形態において、転動体転動溝が片側で1条づつのものを説明したが、片側2条以上のリニアガイド装置であっても良い。
【0017】
また、本発明は、リニアガイド装置,ボールねじ装置,ボールベアリング以外の転がり転送部材、例えばローラベアリング,ボールスプライン,リニアボールベアリング等にも適用可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法で得られる転がり転送部材によれば、めっき処理面に合成樹脂をコーティングした転がり転送面に転がり部材を押圧しながら転送することによって、当該転送面とその近傍部分のめっき面の上に付着している合成樹脂を除去したものであるから、樹脂が完全にメッキ層に食い込んで充填され剥がれにくいという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をリニアガイド装置に適用した第1の実施の形態の正面図である。
【図2】転がり部材による押圧前の転がり転送面のめっき層及び合成樹脂層の形成状態を説明する断面図である。
【図3】転がり部材により押圧中の転がり転送面のめっき層及び合成樹脂層の形成状態を説明する断面図である。
【図4】転がり部材により押圧後の転がり転送面のめっき層及び合成樹脂層の形成状態を説明する断面図である。
【図5】本発明をリニアガイド装置に適用した第2の実施の形態の正面図である。
【図6】本発明をリニアガイド装置に適用した第3の実施の形態の平面図である。
【図7】その正面図である。
【図8】その斜視図である。
【図9】本発明をボールベアリングの外輪に適用した第4の実施の形態の斜視図である。
【図10】本発明をボールねじのねじ軸に適用した第5の実施の形態の斜視図である。
【符号の説明】
1 転がり転送部材
2 転がり転送部材
3 転がり部材
3a 転がり転送面
4 めっき層
5 合成樹脂層
7 すき間
8 転がり転送面
9 近傍部
10 樹脂除去部分
13 転がり部材
20 転がり転送部材
21 転がり部材
30 転がり転送部材
30a 転がり転送面
31 転がり部材
Claims (1)
- 転がり転送部材の転がり転送面を含む表面にめっき処理を施し、次いで当該めっき処理面に合成樹脂をコーティングし、その後当該転がり転送面に転がり部材を押圧しながら転送して少なくとも転がり転送面のめっき面の上に付着している合成樹脂を除去せしめることを特徴とする転がり転送部材の表面処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32180795A JP3624502B2 (ja) | 1995-12-11 | 1995-12-11 | 転がり転送部材の表面処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32180795A JP3624502B2 (ja) | 1995-12-11 | 1995-12-11 | 転がり転送部材の表面処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09158946A JPH09158946A (ja) | 1997-06-17 |
JP3624502B2 true JP3624502B2 (ja) | 2005-03-02 |
Family
ID=18136644
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32180795A Expired - Lifetime JP3624502B2 (ja) | 1995-12-11 | 1995-12-11 | 転がり転送部材の表面処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3624502B2 (ja) |
-
1995
- 1995-12-11 JP JP32180795A patent/JP3624502B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09158946A (ja) | 1997-06-17 |
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