JP3624492B2 - 易滑性ポリアミド系樹脂フィルム積層体 - Google Patents
易滑性ポリアミド系樹脂フィルム積層体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、易滑性ポリアミド系樹脂フィルム積層体に関し、特に、高湿度下における易滑性に優れたポリアミド系樹脂フィルム積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリアミド系樹脂フィルムは、機械特性、光学特性、熱的特性、バリア性、強靭性、耐ピンホール性、耐屈曲性等に優れているところから、食品包装分野を中心に広く用いられている。しかしながらポリアミド系樹脂フィルムは、素材であるポリアミド樹脂の吸湿性が高いという特性のため、雰囲気湿度の増加と共にフィルムの滑り性が低下して、フィルムの加工工程において作業性が著しく悪化するという実操業上重要な問題を有していた。
【0003】
ポリアミド系樹脂フィルムを使用した積層体においても、高湿度下における滑り性低下の問題はそのまま反映されるため、解決策が種々検討されている。例えば、ポリアミド系樹脂フィルム同士、あるいはフィルムと接触する材料との摩擦面における摩擦力を低下させる方法として、ポリアミド系樹脂に対して不活性な無機または有機微粒子を添加したり、ポリアミド系樹脂に対して非相溶の熱可塑性ポリマーをブレンドする方法が用いられている。しかし、これらの方法による改善効果は充分でなく、市場の高度な要求を満足することは困難な状況にあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、高湿度下であっても易滑性に優れたポリアミド系樹脂フィルム積層体を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明に係るポリアミド系樹脂フィルム積層体は、易滑性層を最表層に有し、該易滑性層の直下はポリアミド系樹脂フィルムである積層体であって、該ポリアミド系樹脂フィルムのさらに下には、少なくとも、接着剤層、および最下層となるシーラント層が積層されており、かつ前記易滑性層がポリウレタンとアクリル系ポリマーからなるグラフト共重合体を主成分とするものであるところに要旨を有する。ポリアミド系樹脂フィルムと接着剤層の間には、印刷インキ層および/またはポリウレタンとアクリル系ポリマーからなるグラフト共重合体を主成分とする層が設けられていてもよい。易滑性層、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリウレタンとアクリル系ポリマーからなるグラフト共重合体を主成分とする層、印刷インキ層、接着剤層、シーラント層の順で積層されているポリアミド系樹脂フィルム積層体は、本発明の好ましい実施態様である。さらに、接着剤層とシーラント層の間に、積層体の用途に応じた中間層が設けられているものであってもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の積層体は、ポリアミド系樹脂フィルムを基層とし、基層の直上の層には、最表層となるポリウレタンとアクリル系ポリマーからなるグラフト共重合体を主成分とする易滑性層が積層されているところに最大のポイントを有している。基層であるポリアミド系樹脂フィルムの下(易滑性層の反対側)には、少なくとも、接着剤層、および最下層となるシーラント層が積層されている。本発明の積層体は、ポリアミド系樹脂フィルムと接着剤層の間、あるいは接着剤層とシーラント層の間に、積層体の用途に応じて、印刷インキ層や、易滑性層と同素材のグラフト共重合体からなる接着性改善層、あるいはガスバリア層等、種々の作用を持つの他の層が設けられてもよい。以下、これら積層体各層の構成と相互作用について詳述する。
【0007】
まず基層を構成するポリアミド系樹脂フィルムは、ポリアミド系樹脂を主たる構成成分とするものであり、ポリアミド系樹脂としては、例えば3員環以上のラクタム類の重縮合によって得られるポリアミド系樹脂、ω−アミノ酸の重縮合によって得られるポリアミド系樹脂、二塩基酸とジアミンとの重縮合によって得られるポリアミド系樹脂等が挙げられる。ここで用いられる3員環以上のラクタム類の具体例としては、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム等;
ω−アミノ酸の具体例としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸等;
二塩基酸の具体例としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸等;
ジアミン類の具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン等;
が挙げられる。
【0008】
またこれらを重縮合して得られる重合体または共重合体としては、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,9、ナイロン6,11、ナイロン6,12、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/6,6、ナイロン6/12、ナイロン6/6T、ナイロン6/6I、ナイロン6/MXD6等が例示される。
【0009】
基層を構成する上記ポリアミド系樹脂フィルムは、その目的・性能を損なわない限り、公知の添加剤、例えば酸化防止剤、耐候性改善剤、ゲル化防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、顔料、帯電防止剤、界面活性剤等を含むものであっても勿論構わない。
【0010】
ポリアミド系樹脂フィルムは、公知のフィルム製膜法、例えばTダイ法やインフレーション法等の方法によってフィルム状に成形することができる。本発明で基層として用いられるフィルムは、単層構造でも、あるいは共押出法等によって多層構造としたものであっても構わない。
【0011】
次に、ポリアミド系樹脂フィルムに対して易滑性層として用いられるグラフト共重合体について説明する。なお、前記あるいは後記説明において「グラフト共重合体」とは、幹ポリマー主鎖に、該主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーが結合した共重合体を言い、また「アクリル系モノマー」とは、アクリル酸誘導体またはメタクリル酸誘導体を言い、「アクリル系ポリマー」とは、少なくともアクリル酸誘導体またはメタクリル酸誘導体をモノマー成分として含む単独もしくは共重合体を言う。さらに、これらの重合体を製造する際に用いられる「水系溶媒」とは、主として水からなり、必要に応じて親水性の有機溶媒を含む溶媒を意味する。
【0012】
易滑性層の主成分は、ポリウレタンとアクリル系重合体のいずれかを主鎖ポリマー成分とし他方を枝ポリマー成分とする共重合体である。該グラフト共重合体における幹ポリマーと枝ポリマーとの好ましい比率は、重量比で5:95〜95:5、より好ましくは80:20〜20:80である。
【0013】
幹ポリマーの好ましい分子量は、幹ポリマーがポリウレタンである場合、5,000〜20万、より好ましくは5,000〜5万の範囲、幹ポリマーがアクリル系ポリマーである場合、5,000〜20万、より好ましくは5,000〜10万の範囲である。一方、枝ポリマーの好ましい分子量は、枝ポリマーがポリウレタンである場合、500〜5万、より好ましくは500〜3万である。枝ポリマーがアクリル系ポリマーである場合、500〜5万、より好ましくは4,000〜5万の範囲である。幹ポリマーおよび枝ポリマーの分子量が上記の好適範囲を外れるものでは、グラフト共重合体を含む易滑性層の効果が発揮されにくくなる。
【0014】
本発明では、この様なグラフト共重合体を含有する易滑性層をポリアミド系樹脂フィルム積層体の最表層に設けることにより、湿度増加による滑り性低下を起こすことなく、高湿度下においても優れた滑り性を発揮する。
【0015】
上記グラフト共重合体の調製方法としては、以下に挙げる方法が例示されるが、本発明はもとよりそれらの製法に制限される訳ではない。
(1) ポリウレタン分子上に、ラジカル重合、カチオン重合あるいはアニオン重合の反応開始点を発生させ、これに、少なくともアクリル系モノマーを含むモノマーをグラフト重合させる方法:
グラフト共重合は、
▲1▼光、熱あるいは放射線によってポリウレタン分子上にラジカルを発生させ、次いで少なくともアクリル系モノマーを含むモノマーをグラフト重合させるラジカル重合法:
▲2▼AlCl3 、TiCl4 等の触媒を用いてポリウレタン分子上にカチオンを発生させ、次いでアクリル系モノマーを含むモノマーをグラフト重合させるカチオン重合法;あるいは
▲3▼金属ナトリウムや金属リチウム等を用いてポリウレタン分子上にアニオンを発生させ、次いでアクリル系モノマーを含むモノマーをグラフト共重合させるアニオン重合法;
等が採用される。
この方法によれば、ポリウレタンが幹ポリマー、アクリル系ポリマーが枝ポリマーからなるグラフト共重合体が得られる。
【0016】
(2) 主鎖内、主鎖末端あるいは側鎖に重合性の不飽和結合を有するポリウレタンを調製しておき、これに少なくともアクリル系モノマーを含むモノマーをグラフト重合させる方法:
この方法を採用すると、ポリウレタンが幹ポリマー、そしてアクリル系ポリマーが枝ポリマーであるグラフト共重合体が得られる。
主鎖に重合性の不飽和結合を有するポリウレタンを調製する方法としては、重合性不飽和結合を有するジカルボン酸や、あるいはアリルエーテル基等を有するグリコール成分をポリエステルポリオールの製造時に使用し共重合させて重合性不飽和結合を有するポリエステルポリオールを得、その後ジイソシアネートを用いてポリウレタン化する方法等を採用できる。
【0017】
主鎖末端に重合性の不飽和結合を有するポリウレタンを調製する方法としては、ポリウレタンのヒドロキシ末端に、ヒドロキシル基と反応し得る基(例えばカルボキシル基、酸無水物基、酸クロリド、エポキシ基、イソシアネート基等)と共に重合性不飽和結合を有する重合性モノマーを反応させる方法、あるいは、ポリウレタンのイソシアネート末端に、イソシアネート基と反応し得る官能基(例えばヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基等)と共に重合性不飽和結合を有する重合性モノマーを反応させる方法等が採用できる。
【0018】
側鎖に重合性の不飽和結合を有するポリウレタンを調製する方法としては、ポリウレタン側鎖部分に存在するカルボキシル基またはヒドロキシル基に、これらの基と反応性を有する官能基と重合性不飽和結合とを有する重合性モノマーを反応させる方法を採用すればよい。
【0019】
(3) 側鎖に官能基を有するポリウレタンと、該官能基と反応し得る基をポリマー鎖末端に有するアクリル系ポリマーとを反応させる方法、あるいは側鎖に官能基を有するアクリル系ポリマーと、該官能基と反応し得る基をポリマー鎖末端に有するポリウレタンとを直接反応させる方法:
前者の方法を採用すると、ポリウレタンが幹ポリマー、アクリル系ポリマーが枝ポリマーであるグラフト共重合体が得られ、後者の方法を採用すると、アクリル系ポリマーが幹ポリマー、ポリウレタンが枝ポリマーであるグラフト共重合体が得られる。
【0020】
上記におけるポリウレタン側鎖の官能基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。またこれら官能基と反応し得るアクリル系ポリマー鎖末端に存在する基としては、ヒドロキシル基と反応し得る基として、例えばカルボキシル基、酸無水物基、酸クロリド基、エポキシ基、イソシアネート基等;またカルボキシル基と反応し得る基として、例えばアミノ基、イソシアネート基等、が挙げられる。ポリマー鎖末端にこれらの官能基を有するアクリル系ポリマーは、当業分野で「マクロマー」として知られており、公知の方法により製造することができる。
【0021】
またアクリル系ポリマー側鎖の官能基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、酸クロリド基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基等が挙げられ、これらアクリル系ポリマー側鎖の官能基と反応し得るポリウレタン鎖末端基としては、ヒドロキシル基やカルボキシル基が挙げられる。
【0022】
(4) 側鎖に官能基を有するポリウレタンと末端に官能基を有するアクリル系ポリマー、あるいは側鎖に官能基を有するアクリル系ポリマーと末端に官能基を有するポリウレタンとを、これらの官能基と反応性を有する2官能性のカップリング剤で結合させる方法:
前者の方法を採用すると、ポリウレタンが幹ポリマー、アクリル系ポリマーが枝ポリマーであるグラフト共重合体が得られ、後者の方法を採用すると、アクリル系ポリマーが幹ポリマー、ポリウレタンが枝ポリマーであるグラフト共重合体が得られる。
ここで用いられるポリウレタンおよびアクリル系ポリマー、カップリング剤の持つ官能基としては、それぞれ上記(3) で記載した官能基が組み合わされて使用される。
【0023】
以上、種々のパターンのグラフト共重体およびその調整方法について説明したが、中でも好ましいのは前記(2) の方法において、重合性不飽和結合を有するジカルボン酸をポリエステルポリオールの製造時に共重合せしめ、該重合性不飽和結合の導入されたポリエステルポリオールをジイソシアネートと反応させてポリウレタンを製造し、次いで親水基含有ラジカル重合性単量体を含むアクリル系モノマーをグラフト重合する方法である。この方法によって得られるグラフト共重合体は自己乳化性を有しているので、乳化剤を使用することなく水系媒体中に高濃度で微小粒子径で、安定に分散し得るものとなる。この様な自己乳化性を備えたグラフト共重合体は、易滑性層の構成成分として一段と優れた性能を発揮するため好ましく利用できる。そこで、自己乳化性を有する該グラフト共重合体の製法について以下に詳述する。
【0024】
(共重合ポリエステルポリオール)
共重合ポリエステルポリオールは、本来それ自身で水に分散または溶解しないもので、両末端にヒドロキシル基を有しており、その好ましい分子量は500〜10,000の範囲である。その好ましい共重合組成は、ジカルボン酸成分(合計100モル%である)が、芳香族ジカルボン酸:60〜79.5モル%、脂肪族および/または脂環族ジカルボン酸:0〜40モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸:0.5〜10モル%である。
【0025】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等を挙げることができ、必要によっては5−ナトリウムスルホイソフタル酸等も用いることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等が例示され、また脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸あるいはこれらの酸無水物等が例示される。更に、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、ヒドロキシピバリン酸、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸類も使用可能である。
【0026】
重合性不飽和二重結合を有するジカルボン酸としては、α、β−不飽和ジカルボン酸類(フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等)、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸類(2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等)等を挙げることができる。これらの中でも特に好ましいものは、フマール酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸[エンド−ビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸]である。
【0027】
重合性不飽和二重結合を有するジカルボン酸の好ましい使用比率は、全酸成分中に占める比率で0.5〜10モル%、より望ましくは2〜7モル%、更に望ましくは3〜6モル%の範囲である。重合性不飽和二重結合を有するジカルボン酸が0.5モル%未満では、ポリエステルポリオールを含むポリウレタンに対してラジカル重合成単量体の効率的なグラフト化が行なわれにくく、しかも、水系媒体中でグラフト共重合反応を行ったときに生成するグラフト共重合体の分散粒子径が大きくなって分散安定性が悪くなる傾向が見られる。即ち0.5モル%未満の場合は、ポリエステルポリオールを含むポリウレタンに対してアクリル系モノマーの有効なグラフト化が進まず、アクリル系ポリマーとポリウレタンとの単なる混合物となり、易滑性層構成材としての目的に沿った特性の変性樹脂が得られにくくなる。
【0028】
一方、ポリエステルポリオールを構成する好ましいグリコール成分は、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコールあるいはエーテル結合含有グリコールの1種もしくは2種以上を用いることができる。炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ジメチロールヘプタン等;炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等がそれぞれ具体例として挙げられる。
【0029】
エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等、更にはビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを1〜数モル付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。また、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等も使用可能である。さらに、アリルエーテル基等の重合性不飽和結合を有するグリコール類を使用すると、ポリエステルポリオール中に重合性不飽和基を導入することができる。
【0030】
なおこのポリエステルポリオール中には、5モル%程度以下の量で3官能以上のポリカルボン酸やポリオールを共重合させることも可能であり、使用可能な3官能以上のポリカルボン酸としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が使用される。また3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用される。3官能以上のポリカルボン酸やポリオールは、全酸成分あるいは全グリコール成分に対し5モル%以下、望ましくは3モル%以下に抑えるのがよく、5モル%を超えると充分な加工性が得られにくくなる。
【0031】
上記ポリエステルポリオールの分子量は、重量平均分子量で500〜10,000、より好ましくは700〜7,000、更に好ましくは1,000〜5,000の範囲である。重量平均分子量が500未満のものでは、それを原料として得られるポリウレタンの各種物性が低下し、ひいてはアクリル系ポリマーとのグラフト共重合体の易滑性改善効果が不充分となる。また重量平均分子量が10,000を超える高分子量物になると、該ポリエステルポリオールを原料として得られるポリウレタンを用いたグラフト共重合反応の際に反応液が高粘度化し、反応の均一な進行が妨げられる。
【0032】
(ポリウレタン)
本発明で使用するポリウレタンは、前述のポリエステルポリオール(a)と有機ジイソシアネート化合物(b)及び必要に応じて活性水素基を有する鎖延長剤(c)とから製造することができ、その好ましい分子量は5,000〜100,000、好ましいウレタン結合含有量は500〜4,000当量/106 g、重合性二重結合の好ましい含有量は、ポリマー鎖一本当たり平均1.5〜30個である。
【0033】
ポリエステルポリオール(a)は、前記の様に、ジカルボン酸成分及びグリコール成分を用いて製造することができ、両末端がヒドロキシル基で分子量が500〜10,000の範囲のものが好ましい。このポリエステルポリオールは、原料のジカルボン酸成分100モル%のうち、60モル%〜79.5モル%は芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。望ましくは70モル%〜79.5モル%である。一般のポリウレタン樹脂に広く用いられる脂肪族ポリエステルポリオール、例えばエチレングリコールやネオペンチルグリコールのアジペートを用いたポリウレタンは耐水性能が悪く、得られるグラフト共重合体による最表面層の易滑性層の耐水性が乏しくなるからである。
【0034】
一例を示すと、エチレングリコールやネオペンチルグリコールのアジペートを用いたポリウレタンの、70℃の温水浸漬20日経過後の還元粘度保持率は20〜30%と低いのに対し、同じグリコールのテレフタレートやイソフタレートを用いたポリウレタンは、同一条件の還元粘度保持率が80〜90%と高い。従って、易滑性層に高い耐水性能を与えるには、芳香族ジカルボン酸を主体とするポリエステルポリオールの使用が有効となる。
【0035】
なお、必要によっては上記ポリエステルポリオール(a)と共に、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等を適量併用することができる。
【0036】
有機ジイソシアネート化合物(b)としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が例示される。
【0037】
必要に応じて使用する活性水素基を有する鎖延長剤(c)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、スピログリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類;ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
【0038】
ポリウレタンは、前記ポリエステルポリオール(a)、有機ジイソシアネート(b)及び、必要に応じて活性水素基を有する鎖延長剤(c)とを、(a)+(c)の活性水素基/(b)のイソシアネート基の比で、0.8〜1.3(当量比)の配合比で反応させて得られるものが好ましく、該好適配合比率の範囲を外れものではポリウレタンの分子量が充分に上がらず、最表層として満足のいく塗膜特性が得られ難くなる。
【0039】
ポリウレタンの製造は、上記原料成分を用いて公知の方法、たとえば溶剤中20〜150℃の反応温度で触媒の存在下あるいは無触媒で反応させる方法を採用すればよい。このときに使用される溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が使用できる。反応を促進するための触媒としては、アミン類、有機錫化合物等が使用される。
【0040】
ポリウレタン中には、グラフト反応の効率を高めるため、ラジカル重合性単量体を用いて分子中に重合性二重結合を導入することが必要であり、その導入量はポリウレタン鎖一本当たり平均1.5〜30個、望ましくは2〜20個、更に望ましくは3〜10個の範囲に調整するのがよい。
【0041】
この重合性二重結合の導入には、例えば下記の様な方法を、単独で若しくは組み合わせて実施すればよい。
▲1▼ポリエステルポリオール中にフマル酸、イタコン酸、ノルボルネンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸を含有せしめる。
▲2▼ポリエステルポリオール中に、アリルエーテル基含有グリコールを含有せしめる。
▲3▼鎖延長剤として、アリルエーテル基含有グリコールを用いる。
▲4▼ポリウレタンの有するヒドロキシル基またはイソシアネート基にこれらの官能基と反応し得る官能基を有するモノマーを反応させる。
【0042】
(アクリル系モノマー)
上記ポリウレタンとグラフトさせるアクリル系ポリマーの構成成分となるアクリル系モノマーとしては、アクリル酸およびメタクリル酸のエステル類、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシルプロピル等が例示される。
【0043】
前記ポリウレタンとのグラフト共重合後に、水系媒体に易分散性のグラフトポリマーを得ようとするときは、上記のアクリル系モノマーと共に、親水性基を有するか、後に親水性基に変化させることのできる基を有するラジカル重合性モノマーを併用することが望ましい。ここで親水性基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩等を挙げることができ、親水性基に変化させることのできる基としては、酸無水物基、グリシジル基、クロル基等を挙げることができる。これらの親水性基の中でも、酸価を変化させて水分散性のコントロールを容易にする上で特に好ましいのは、カルボキシル基あるいはカルボキシル基に変えることのできる基を有するラジカル重合性モノマーである。
【0044】
ポリウレタンとグラフト重合し、酸価を変化させることができるカルボキシル基含有ラジカル重合性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の他、水やアミンに接して容易にカルボン酸を発生するマレイン酸無水物、イタコン酸無水物等を挙げることができ、これらは単独で用いてもよくあるいは2種以上を併用することも可能である。これらの中でも最も好ましいカルボキシル基含有ラジカル重合性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸無水物である。
【0045】
少量であれば更に他の共重合可能なモノマーを併用してもよく、この様な共重合性モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルエーテル類、N−ビニルピロリドン、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン等を例示することができ、これらの中から一種または複数種を選んで用いることができる。
【0046】
なおアクリル系ポリマー部分は2種以上のモノマーを併用して構成することが望ましく、例えば、カルボキシル基含有モノマーのみのホモポリマーでは、ポリウレタンとのグラフト共重合が円滑に進みにくく、良好な水分散体に導くことが難しい。アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル類等との併用によって、ポリウレタンとのグラフト共重合反応が効率よく進行し、最表層である易滑性層として優れた特性のグラフト共重合体が得られ易い。
【0047】
このとき、カルボキシル基含有モノマーとカルボキシル基を含有しないモノマーの好ましい使用比率は、重量比で95/5〜5/95、より好ましくは90/10〜10/90であるが、その使用比率は、グラフト共重合体に付与すべき好まし酸価を考慮して適宜選定することが望ましい。
【0048】
本発明で、易滑性層の主成分として用いられるグラフト共重合体は、ポリウレタンとアクリル系ポリマーをグラフト反応させることによって合成されるが、該グラフト共重合体の中和前の総酸価は600−4000ep/106 gであることが望ましい。
【0049】
グラフト共重合は、前記ポリウレタン中の重合性不飽和二重結合に、上記アクリル系モノマーをグラフトラジカル重合させる反応(前記(2) のグラフト共重合体調整法参照)が、最も効率的に進行するため好ましく採用され、通常は、ポリウレタンを水性有機溶剤中に溶解させておき、これにラジカル開始剤とアクリル系モノマー成分(好ましくは2種以上の混合物)を添加して反応させればよい。
【0050】
ポリウレタンに対しアクリル系モノマーをグラフト共重合反応させるに当たっては、溶媒中、加温下で溶解したポリウレタンにアクリル系モノマーとラジカル開始剤を一時に添加して行ってもよいし、あるいは一定時間をかけて別々に滴下した後、更に一定時間撹拌下に加温を継続して反応を進行させてもよい。また、モノマーの一部を先に一時に添加し、残りのモノマーと開始剤を別々に一定時間かけて滴下した後、更に一定時間撹拌下に加温を継続して反応を進行させる方法を採用することも可能である。反応に先立ってポリウレタンは溶媒に充分溶解させておくのが良く、この場合のポリウレタンと溶媒の好ましい重量比率は70/30〜30/70の範囲であるが、ポリウレタンとアクリル系モノマーとの反応性や溶剤溶解性も考慮し、ラジカル共重合反応が円滑且つ均一に進行する様に適宜調整することが望ましい。グラフト反応の好ましい温度条件は50〜120℃の範囲である。
【0051】
このとき用いられるラジカル重合開始剤としては、公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類を使用することができ、例えば有機過酸化物としてベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート等;有機アゾ化合物として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が例示される。ラジカル開始剤の選定に当たっては、開始剤の反応実施温度におけるラジカル生成速度、即ち半減期(Half−life)を考慮し、通常は、反応実施温度における半減期の値が1分〜2時間の範囲内であるラジカル開始剤を選定することが望ましい。ラジカル開始剤の好ましい使用量は、アクリル系モノマーに対して少なくとも0.2重量%以上、望ましくは0.5重量%以上である。また、例えばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノール等の連鎖移動剤をアクリル系モノマーに対して0〜5重量%程度添加し、グラフト鎖長の調節を行うことも有効である。
【0052】
グラフト共重合反応は、沸点50〜250℃の水性有機溶媒中で行なうことが望ましい。ここで水性有機溶媒とは、20℃における水に対する溶解性が少なくとも10g/リットル以上、望ましくは20g/リットル以上であるものをいう。沸点が250℃を超える高沸点溶剤では蒸発速度が遅く、塗膜形成時に高温焼付を採用しても溶剤の除去が不充分になるため好ましくない。一方沸点が50℃未満の低沸点溶剤を使用する場合には、50℃未満の低温でラジカルに開裂する開始剤を用いねばならず、取扱上の危険が生じてくる。
【0053】
好ましい溶剤としては、以下のものが挙げられる。即ち、共重合ポリエステルポリオールを含むウレタンをよく溶解し、且つカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的よく溶解する第一群の水性有機溶媒として、ケトン類、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等;環状エーテル類、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン等;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル等;カルビトール類、例えばメチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等;グリコール類若しくはグリコールエーテルの低級エステル類、例えばエチレングリコールジアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等;ケトンアルコール類、例えばジアセトンアルコール等;更にはN−置換アミド類、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルビロリドン等を例示することができる。
【0054】
これに対し、ポリウレタンは殆ど溶解しないが、アクリル系モノマー(中でも特に好ましいカルボキシル基含有モノマー)やそのポリマーを比較的よく溶解する第二群の水性有機溶媒として、水、低級アルコール類、低級カルボン酸類、低級アミン類等を挙げることができ、これらの中でも特に好ましいのは炭素数1〜4のアルコール類およびグリコール類である。
【0055】
グラフト共重合反応を単一溶媒で行う場合、前記第一群の水性有機溶媒から唯一種を選択して使用することが可能であり、一方混合溶媒で行なう場合は、前記第一群の水性有機溶媒の中から複数種を選ぶ場合と、第一群の水性有機溶媒の内1種以上と前記第二群の水性有機溶媒から1種以上を選んで併用する場合がある。いずれの場合もグラフト共重合反応は進行するが、グラフト共重合反応の進行挙動やグラフト化反応生成物およびそれから導かれる水分散体の外観、性状等には差異がみられるので、第一群および第二群の水性有機溶媒の中から夫々1種以上を選択した混合溶媒を使用する方が好ましい。
【0056】
得られるグラフト共重合体は、そのままでも使用することが可能であるが、取扱いの便宜を考えると、共重合反応の後に塩基性化合物で中和することが好ましく、中和することによって容易に平均粒子径500nm以下の微粒子からなる均一な水分散体とすることができる。塩基性化合物としては、塗膜形成時あるいは硬化剤配合による焼付硬化時に揮散する化合物が望ましく、アンモニア、有機アミン類等が好適であり、好ましい具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。塩基性化合物は、グラフト共重合反応生成物中に含まれるカルボキシル基の含有量に応じて、少なくとも部分中和もしくは完全中和によって水分散体のpH値が5.0〜9.0の範囲となる様にその量を決定することが望ましい。
【0057】
水分散体とするには、グラフト共重合反応生成物中に含有される溶媒を予め減圧下のエクストルーダー等によって除去し、メルト状もしくは固体状(ペレットや粉末等)とした後、塩基性化合物を含有する水中へ投じて加熱・撹拌する方法を採用することもできるが、最も好ましいのは、グラフト共重合反応を終了した時点で直ちに塩基性化合物含有水を投入し、引き続いて加熱撹拌を継続し水分散体を得る方法(ワン・ポット法)である。使用する溶媒の沸点が100℃以下である場合は、グラフト共重合反応に用いた溶媒の一部もしくは全部を留去することも可能である。
【0058】
上記グラフト共重合体は、そのままで本発明に係るフィルム積層体の易滑性層として用いることができるが、更に架橋剤(硬化剤)を配合して硬化特性を高め、易滑性層に高度の耐水性を与えることも有効である。
【0059】
このときに用いられる架橋剤としては、アルキル化フェノール類やクレゾール類等とホルムアルデヒドとの縮合物からなるフェノールホルムアルデヒド樹脂;尿素、メラミン、ベンゾグアナミン等とホルムアルデヒドとの付加縮合物、これらの付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化物等のアミノ樹脂;多官能性エポキシ化合物;多官能性イソシアネート化合物;ブロックイソシアネート化合物;多官能性アジリジン化合物;オキサゾリン化合物等が例示される。
【0060】
フェノールホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、アルキル化(メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチル)フェノール、p−tert−アミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−、m−、p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、4,4’−イソプロピリデンフェノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニル−o−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノール等のフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物等;
アミノ樹脂としては、例えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロール−N,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン等であり、中でも特に好ましいのはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロール化ベンゾグアナミン等;
多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル等;
多官能性イソシアネート化合物としては、低分子または高分子の芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートが挙げられ、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート;これらのジイソシアネート化合物の3量体;更にはこれらポリイソシアネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子活性水素化合物、またはポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類等の活性水素含有高分子化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物等;が例示される。
【0061】
またブロック化イソシアネートは、上記イソシアネート化合物とブロック化剤とを公知の方法で付加反応させることによって得ることができる。イソシアネートブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類;チオフェノール、メチルチオフェノール等のチオフェノール類;アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類;t−ブタノール、t−ペンタノール等の第3級アルコール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム等のラクタム類;芳香族アミン類;イミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステル等の活性メチレン化合物;メルカブタン類;イミン類;尿素類;ジアリール化合物類;重亜硫酸ソーダ等が挙げられる。
【0062】
これらの架橋剤は、それぞれ単独または2種以上混合して使用することができる。該架橋剤の好ましい配合量は、グラフト共重合体100重量部に対し5〜40重量部の範囲である。
【0063】
架橋剤の配合方法としては、(1)架橋剤が水溶性である場合は、直接グラフト共重合体の水系溶媒溶液または水分散液中に溶解または分散させる方法、(2)架橋剤が油溶性である場合は、グラフト共重合反応の終了後、反応液に添加する方法、がある。これらの方法は、架橋剤の種類や性状に応じて適宜最適の方法を選択すればよい。該架橋剤の配合に当たっては、更に硬化剤や効果促進剤を併用することも有効である。
易滑性層構成素材中には、更に他の成分として本発明の特徴を阻害しない範囲で、帯電防止剤、無機滑剤、有機滑剤等の添加剤を含有させることができる。
【0064】
易滑性層を基層であるポリアミド系樹脂フィルムに形成するには、易滑性層構成成分である上記グラフト共重合体を含有する塗工液を、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式、バー方式、ディップ方式等公知の塗布方式で基層に塗布する方法を採用すればよい。
【0065】
易滑性層は、予め二軸延伸された基層のポリアミド系樹脂フィルムに塗布・形成するか、未延伸あるいは一軸延伸後の基層フィルムに塗布・乾燥し、必要により更に一軸延伸あるいは二軸延伸した後に熱固定を行って形成することも有効である。二軸延伸された基層フィルム表面に塗膜形成する場合、塗布液塗布後の好ましい乾燥乃至熱固定温度は150℃以上、好ましくは200℃以上であり、この様な温度条件で強固な塗膜が形成され、該塗膜は、接着改質層としてポリアミド系樹脂フィルムと強固に接合一体化する。塗布後に延伸を行う場合、塗布後の乾燥は、塗膜の延伸性を損なわないため基材水分率を0.1〜2%の範囲に制御するのがよく、延伸した後200℃以上で熱固定すれば、易滑性層としての塗膜は一層強固になると共に、ポリアミド系樹脂フィルムとも一層強固に接合一体化する。易滑性層の塗布量は、乾燥後に固形分換算で0.005〜0.5g/m2 、好ましくは0.01〜0.2g/m2 の範囲であり、塗布量が不足する場合は易滑性層として期待される効果が充分に発揮されず、また塗布量が多くなり過ぎるとブロッキング等の障害が発生し易くなる。
【0066】
尚上記のグラフト共重合体は、前述の如く水性分散体として塗布することが好ましいが、その時の分散体の好ましい平均粒子径は500nm以下、より好ましくは10〜300nmの範囲である。
【0067】
本発明においては、ポリウレタンとアクリル系ポリマーのグラフト共重合体を主成分とする易滑性層が積層体の最表層であり、この易滑性層の直下には当然基層であるポリアミド系樹脂フィルムが存在する様に構成される。本発明の積層体の易滑性レベルは、積層体の構成によって異なってくるが、湿度65%で易滑性層面同士の静摩擦係数を0.6以下とすることが好ましく、0.5以下であればより好ましい。このレベルであれば、高湿度下においても積層体の滑り性が優れたまま維持され、良好な作業性を発揮する。
【0068】
本発明の積層体は、上から、易滑性層、ポリアミド系樹脂フィルム(基層)の順で積層されるが、基層の下には、接着剤層、シーラント層やその他の層が用途に応じて積層される。シーラント層は、主にヒートシール性を積層体に付与するために用いられるので最下層とすべきであり、接着剤層はシーラント層と基層の間に設けられる。必要に応じて設けられる印刷インキ層は、基層と接着剤層の間にすることが好ましい。易滑性層の設けられていない基層フィルムの下面は、接着剤層、印刷インキ層やその他の層との接着性を向上させるために、表面活性化処理を施して、表面張力が40dyne/cm 以上、好ましくは42dyne/cm に調整しておいても良い。表面活性化処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、火炎処理等の公知の方法あるいはこれらを組合せた方法を採用すれば良い。
【0069】
接着剤層は、シーラント層の接着性向上を目的として形成されるものであり、シーラント層が押出しラミネート法によって形成される場合は、一液型もしくは二液型のイソシアネート系接着剤が好ましく使用できる。例えば一液型としては、ジイソシアネートと多価アルコールとの反応物で末端にイソシアネート基を有するポリウレタン、あるいは末端にイソシアネート基を有するプレポリマー等が好ましいものとして挙げられる。また二液型のものとしては、ポリイソシアネートと、ポリオールまたはヒドロキシル基を末端に有するポリウレタンプレポリマーとからなるものが例示され、これらを使用直前に混合して用いる。
【0070】
また、シーラント層がドライラミネート法によって積層される場合、接着剤としては、ビニル樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等が好ましいものとして挙げられるが、中でもポリイソシアネートとポリオールを使用直前に混合して用いるポリウレタン系の接着剤が最も好ましい。接着剤層は、上記の様な樹脂の溶液もしくはエマルジョンを常法に従って塗布・乾燥することによって形成すればよい。
【0071】
接着剤層のさらに下、本発明積層体の最下層に形成されるシーラント層の素材としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)、アイオノマー、ポリプロピレン等が好ましいものとして例示され、通常はこれらの樹脂を押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によって接着剤層の表面に設けられる。
【0072】
印刷インキ層は基層と接着剤層の間に設けられ、構成成分としては、セルロース誘導体をバインダーとするインキ、あるいは合成樹脂をバインダーとするグラビアインキが主として用いられ、特に積層体に優れた耐沸水性が求められる場合は、末端にヒドロキシル基等の官能基を有するポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエーテルポリオール等をバインダとするインキに硬化剤を添加したものを用いることが推奨される。印刷インキ層の形成は、全面もしくは部分的、あるいは任意の図柄として常法に従って行えばよい。
【0073】
基層の下に設けられる「その他の層」の一例として、基層と接着剤層の間に、または基層と印刷インキ層の間に、易滑性層と同類のポリウレタンとアクリル系ポリマーのグラフト共重合体を主成分とする層を設けることもできる。これは、基層と他の層との接合力が向上する効果が得られるからである。このとき易滑性層と全く同じグラフト共重合体を使用しても、あるいは原料成分やグラフト調整法を変えたグラフト共重合体を使用してもよく、積層後に表面活性化処理を施すこともできる。また、接着剤層とシーラント層の間に中間層を設けてもよい。中間層としては、2軸延伸ポリエステルフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)やアルミ箔等のガスバリア性に優れたフィルムが好適に使用可能である。
【0074】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。尚実施例中、単に「部」とあるのは「重量部」を表わし、「%」とあるのは「重量%」を示す。また、剥離強度および熱水中剥離強度の測定は、下記の方法に従った。
[積層体の静摩擦係数]
2枚の積層体試料の易滑性層同士の静摩擦係数をASTM−D−1894法に準じて、65%の湿度下で測定した。
【0075】
実施例1
(ポリエステルポリオールの調製)
撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレート:543部、ネオペンチルグリコール:458部、エチレングリコール:410部およびテトラ−n−ブチルチタネート:0.52部を仕込み、160〜220℃で4時間かけてエステル交換反応を行った。次いでフマール酸:23部およびセバシン酸:51部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後0.5mmHgの減圧下で30分反応させ、ポリエステルポリオール(A−1)を得た。得られたポリエステルポリオール(A−1)は淡黄色透明で還元粘度は0.3であった。NMR等により測定した該ポリエステルポリオールの組成は次の通りであった。
ジカルボン酸成分
テレフタル酸:56モル%、
セバシン酸 :40モル%、
フマール酸 :4モル%
ジオール成分
ネオペンチルグリコール:50モル%、
エチレングリコール :50モル%
【0076】
(ポリウレタンの調製)
上記方法で得たポリエステルポリオール(A−1):100部を、温度計、撹拌機および還流式冷却機を備えた反応器中にメチルエチルケトン:120部と共に仕込んで溶解した後、ネオペンチルグリコール:3部、イソホロンジイソシアネート:15部、ジブチル錫ラウレート:0.02部を仕込み、60〜70℃で6時間反応させた。次いで、反応系を70℃に冷却し、反応を停止した。得られたポリウレタン(B−1)の還元粘度は0.56であった。
【0077】
(グラフト共重合体の調製)
撹拌器、温度計、還流装置および定量滴下装置を備えた反応器に、上記で得たポリウレタン(B−1)のメチルエチルケトン溶液(固形分濃度:50%):150部、イソプロピルアルコール:15部を入れ、65℃に昇温した後、メタクリル酸:17.5部とアクリル酸エチル:7.5部の混合物と、アゾビスジメチルバレロニトリル:1.2部を25部のメチルエチルケトンと5部のイソプロピルアルコールの混合溶液に溶解した溶液とを、0.2ml/分の速度で上記ポリウレタン溶液中に滴下し、同温度で更に2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリング(5g)を行った後、水:300部とトリエチルアミン:25部を反応溶液に加え、1時間撹拌し、水分散体を得た。その後、分散体の温度を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールおよび過剰量のトリエチルアミンを蒸留により除去した。生成した水分散体(C−1)は白色でB型粘度は50cps(25℃)であり、平均粒子径300nmの微粒子が均一に分散した分散液であった。
【0078】
(ポリアミド系樹脂フィルムの調整および易滑性層の形成)
上記の分散液を、固形分濃度が5%になる様に水で希釈して塗布液を調製した。一方、エチレンビスステアリルアミド:0.1%と平均粒径2.0μmの不定形シリカ3500ppmを含むポリカプロラクタムをTダイから溶融押出しし、30℃のドラム上で冷却して厚さ150μmの未延伸ポリアミドフィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムを50℃で3.1倍に縦延伸した。得られた一軸延伸フィルムの片面に、上記易滑性層用塗布液を回転マイヤバーによってコーティングし、85℃で乾燥した。次いで、125℃で横方向に3.3倍延伸し、215℃で熱固定を行った。易滑性層の厚みは0.05μm、ポリアミド系樹脂フィルムの厚みは15μmであった。易滑性層が形成されていない非コーティング面にコロナ処理を施した結果、表面張力は48dyne/cm になった。
【0079】
(積層体の製造)
表面に易滑性層が形成されたポリアミド系樹脂フィルム基層のコロナ処理面に対して、接着剤層となるドライラミネート用接着剤(「AD590/RT59」、東洋モートン社製)を用いて、常法に従って、シーラント層となる50μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(「リックス(登録商標)L6102」、東洋紡績社製)を積層し、ポリアミド系樹脂フィルム積層体を得た。この積層体の易滑性層同士の静摩擦係数は0.36であり、易滑性に優れ実用性の高いものであった。
【0080】
比較例1
実施例1において易滑性層を設けない以外は同様にしてポリアミド系樹脂フィルム積層体を得た。最表層のポリアミドフィルム面同士の静摩擦係数は0.65であり、滑り性に劣るものであった。
【0081】
実施例2
実施例1と同様にして調製した易滑性層形成済二軸延伸ポリアミドフィルムのコロナ処理面に、グラビアインキ(「ラミエース61白」二液タイプ、東洋インキ社製)をグラビア印刷して印刷インキ層を形成した後、実施例1と同様にして接着剤層とシーラント層を設けた。得られた積層体の易滑性層同士の静摩擦係数は0.35であり、易滑性に優れ実用性の高いものであった。
【0082】
実施例3、4
実施例1において、ポリアミド系樹脂フィルムの両面に易滑性層を塗布した以外は実施例1と同様にして易滑性層形成済二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。このフィルムの片面のみにコロナ処理を施した結果、この面の表面張力は50dyne/cm となった。コロナ処理面に対し、実施例1と同様にして接着剤層、シーラント層を設け、実施例3の積層体を得た。また実施例2と同様にして、印刷インキ層、接着剤層、シーラント層を設けた実施例4の積層体も得た。各積層体の易滑性層の静摩擦係数は、それぞれ実施例3で0.36、実施例4で0.35であり、いずれも易滑性に優れ実用性の高いものであった。
【0083】
実施例5
実施例1と同様にして積層体を得る際に、接着剤層とシーラント層の間に中間層として15μmのエバール(EVOH)フィルム(「EF−F」、クラレ社製)を積層した。得られた積層体の易滑性層同士の静摩擦係数は0.37であり、易滑性に優れ実用性の高いものであった。
【0084】
実施例6
下記組成のポリエステルポリオールを使用した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド系樹脂フィルム積層体を得た。易滑性層の厚みは0.02μmであった。得られた積層体の易滑性層同士の静摩擦係数は0.33であり、易滑性に優れ実用性の高いものであった。
ジカルボン酸成分
テレフタル酸:48モル%
イソフタル酸:39モル%
セバシン酸 : 9モル%
フマール酸 : 4モル%
ジオール成分
ネオペンチルグリコール:50モル%
エチレングリコール :50モル%
【0085】
実施例7
下記組成のポリエステルポリオールを使用した以外は、実施例2と同様にしてポリアミド系樹脂フィルム積層体を得た。易滑性層の厚みは0.02μmであった。得られた積層体の易滑性層同士の静摩擦係数は0.33であり、易滑性に優れ実用性の高いものであった。
ジカルボン酸成分
テレフタル酸:50モル%
イソフタル酸:48モル%
フマール酸 :2モル%
ジオール成分
ネオペンチルグリコール:50モル%
エチレングリコール :50モル%
【0086】
【発明の効果】
本発明のポリアミド系樹脂フィルム積層体は、その最表面にポリウレタンーアクリル系ポリマーからなるグラフト共重合体を主成分とする易滑性層が形成されているので、高湿度下においても優れた易滑性を示した。食品を始めとする種々の物品の包装材料として極めて有効に活用することができる。
Claims (5)
- 易滑性層を最表層に有し、該易滑性層の直下はポリアミド系樹脂フィルムである積層体であって、該ポリアミド系樹脂フィルムのさらに下には、少なくとも、接着剤層、および最下層となるシーラント層が積層されており、かつ前記易滑性層がポリウレタンとアクリル系ポリマーからなるグラフト共重合体を主成分とするものであることを特徴とするポリアミド系樹脂フィルム積層体。
- ポリアミド系樹脂フィルムと接着剤層の間に印刷インキ層が設けられているものである請求項1記載のポリアミド系樹脂フィルム積層体。
- ポリアミド系樹脂フィルムと接着剤層の間にポリウレタンとアクリル系ポリマーからなるグラフト共重合体を主成分とする層が設けられているものである請求項1または2に記載のポリアミド系樹脂フィルム積層体。
- 易滑性層、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリウレタンとアクリル系ポリマーからなるグラフト共重合体を主成分とする層、印刷インキ層、接着剤層、シーラント層の順で積層されている請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド系樹脂フィルム積層体。
- 接着剤層とシーラント層の間に中間層が設けられているものである請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド系樹脂フィルム積層体。
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