JP3624467B2 - ミシン - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、布をメスによって切断し、縫い針と移動爪とによって縫製可能なミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりそのようなミシンでは、縫い針、ルーパ、移動爪が協働して布送り方向(前後方向)に直交する方向(左右方向)に渡るかがり縫い目を、布送り方向に伸びる布の切断部に形成する。そのかがり縫い目の左右方向の幅(かがり幅)は、縫い針の針落ち点(針通過経路)近傍に固定された固定爪と移動爪の左右方向で針落ち点に遠い方の端部(右端部)との間の距離に対応している。
【0003】
その針落ち点より布送り上流側(ミシン前面側)には、縫製に先立ち布を切断するメスが左右方向に移動可能に配置され、そのメスと針落ち点との左右方向の距離がかがり幅にほぼ対応する。即ち、移動爪とメスとは前後方向に一直線上に並ぶ。更に、そのようなミシンでは、移動爪を休止させると、巻き縫いという布端部を湾曲させた縫い方が可能である。その巻き縫い時のかがり幅は最低値(最短)である。
【0004】
上述したようなミシンで、かがり縫いから巻き縫いに縫い方を切換える機構としては、下記の公報に記載された種々の切換機構が知られている。
【0005】
実開昭59−125380号公報には、縫製機構の右側方に設けられた装置によって移動爪を右水平方向に移動させる切換機構(第1の切換機構)が記載されている。実開昭59−67169号公報には、移動爪を斜め下方に下降する切換機構が記載されている(第2の切換機構)。これら第1、2の切換機構では、移動爪がルーパーの運動経路を通って休止位置に移動するので、ルーパーを特定位置に位置させた後に、移動爪が移動されていた。
【0006】
実公平3−49651号公報には、移動爪を前後水平方向に移動可能に支持し、メスを移動爪の移動経路の右脇(最長かがり幅以上)まで移動させた後、メスよりも布送り方向の上流側へ水平に移動爪を移動させる切換機構が記載されている(第3の切換機構)。
【0007】
特公昭57−43274号公報には、移動爪を前後水平方向に移動可能に支持し、布送り方向の上流側へ水平に移動爪を移動させる切換機構が記載されている(第4の切換機構)。この第4の切換機構では、移動爪を前後方向に移動させるスペースが必要であるため、メスをそのスペース分、布送り方向上流側に針落ち点より遠ざけて配置している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1、2の切換機構では、ルーパーを特定位置に位置させる手間があり面倒であった。また、第3の切換機構では、メスを越えて移動爪を移動させているので、移動爪の距離が長く、かがり縫いから巻き縫いへの切換が煩わしかった。更に、第4の切換機構では、針落ち点とメスとが離れ、布がメスで切断された後、その離れた針落ち点まで移送されて縫製されるので、その布の移送の間に布の向きが変えられると、布の切断部と縫製位置とがずれてしまうという問題点があった。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、切断部と縫製位置とのずれを防止した使い勝手の良いミシンを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の請求項1記載のミシンは、移動爪を休止させる場合、縫い針の通過経路から移動爪を離間させるように、移動爪の布送り方向の移動に伴ってメスによって弾性変形される弾性体を備えている。
【0011】
また、請求項2記載のミシンは、移動爪と一体に形成される弾性体を備えている。
【0012】
【0013】
【作用】
上記の構成を有する本発明の請求項1記載のミシンにおいては、移動爪が布送り方向に移動され休止される場合、移動爪の布送り方向の移動に伴うメスによる弾性体の弾性変形によって、移動爪が縫い針の通過経路から離間される。
【0014】
また、請求項2記載のミシンにおいては、移動爪と弾性体とが一体に形成される。
【0015】
【0016】
【実施例】
以下、本発明を具体化した一実施例を図面を参照して説明する。尚、布送り方向を(ミシンの)「前後方向」、ミシンの布送り方向に略直交する方向を(ミシン前面から見た)「左右方向」、布送り方向に布を送り込む側(ミシン前面側)を「手前側」、ミシン後方側を「奥側」とそれぞれ称す。
【0017】
上下動する縫い針Nは、布を載置するベッド部(図略)の上方に配置され、ベッド部の内部には左右方向に往復揺動するルーパー(図略)が備えられている。ベッド部の上面には、縫い針Nを通過させる切り欠き部が形成された針板1が配置されている。
【0018】
縫い針Nの通過経路である針落ち点1aの近傍の針板1には、固定爪2が固着されている。この固定爪2は、略針状の形状をした細幅の部材であり、その固定爪2の先端部が、奥側に向かって切り欠き部の空中に張り出している。針板1の裏面(下面)には、下方及び奥側に開放した案内溝3が前後方向に伸び、切り欠き部と連通して形成されている。案内溝3の奥側の開口部には、図4に示すように、平らな傾斜面3aが奥側から手前側に下降するように形成されている。
【0019】
また、下メスホルダ4の左側面には支軸4aが左方向に立設され、支軸4aはミシン基枠Wに左右方向に移動可能に支持されている。下メスホルダ4の凹部4dは、支軸4aに平行な案内軸5に摺動可能に係合する。案内軸5は止めねじTによってミシン基枠Wに固定されている。下メスホルダ4の上端部には、水平面4iが形成されている。下メスホルダ4の右側面には、下メス6がねじ7により固定されている。下メス6の右側面には、上下動する上メスUが摺動可能に接触し、下メス6と協働して布を縫製に先立ち切断するように配置されている。
【0020】
また、下メスホルダ4の支軸4aの左先端の止め輪9とミシン基枠Wとの間には、圧縮ばね8が挿通されその両方を押圧し、下メスホルダ4は、左方向に移動するように付勢されている。支軸4aには、かがり幅や縫い方を設定するための操作ダイヤル10が回転可能及び左右方向摺動可能に取り付けられている。操作ダイヤル10は、下メスホルダ4を支持する支軸4aに共通して支持されており、部品の低減化が図られている。その操作ダイヤル10は、その円周部より右方向に突出したツマミ部10bによってミシン前面から回転操作可能に構成されている。
【0021】
その操作ダイヤル10の右側面には、端面カム10aが一体的に形成されている。この端面カム10aは、連続的な変化量(操作ダイヤル10の左右方向の肉厚に相当)を有している。この端面カム10aは、操作ダイヤル10の回転中心(支軸4a)を中心とする円状に配置されている。この操作ダイヤル10は、下メスホルダ4の左側に配置されているので、下メスホルダ4の左側面に一体的に形成された突起部4bが端面カム10aに圧縮ばね8の作用により圧接されている。その端面カム部10aの変化量によって、下メスホルダ4は左右方向に移動して、作業者の所望のかがり幅を得ることができる。
【0022】
操作ダイヤル10の左側面に対向するミシン基枠Wには、調節ねじ11が操作ダイヤル10の左側面に当接するように螺合されている。調節ねじ11は下メスホルダ4に固定された下メス6が針落ち点1aに対して適正な布切断幅を決めるためのもので、調節後、ナット12により固定される。ナット12とミシン基枠Wの間には、操作ダイヤル10の停止角度を決めるための板ばね13が取り付けられている。この板ばね13は、操作ダイヤル10の小径外周面及びその小径外周面に形成された位置決め溝10cと係合する。この板ばね13が位置決め溝10cに係合する際には、かがり幅は最長かがり幅(7mm)に設定される。併せて、板ばね13が操作ダイヤル10の小径外周面を圧接することにより、操作ダイヤル10に対して制動作用を及ぼしている。
【0023】
更に、下メスホルダ4の左側面の下方には、上下方向に伸びる切換レバー17の下端が、カラー14、座金15、締めねじ16により揺動可能に取り付けられ、切換レバー17の中央部には、左方向に伸びるピン17aが立設し、操作ダイヤル10の右側面に形成された溝カム10dに摺動可能に係合している。切換レバー17の上端17bは、移動爪18の貫通穴18aに挿通され、移動爪18は前後方向に摺動可能に下メスホルダ4の上部4cに取り付けられている。カム溝10dは、操作ダイヤル10の回転軸を中心とした半径方向に偏心するカムであり、端面カム10aよりも操作ダイヤル10の回転軸よりに配置されている。
【0024】
固定爪2との間に糸を渡される舌部18bは水平面をなし、舌部18bの手前側には前後方向に直交する垂直面が下方に向かって形成されている。そして、垂直面の下端には、水平面な三角形状のテーパー部18fが連続して形成され、左から右に張り出す右端部を有している。そのテーパー部18fの右端部とは反対側の左端部には、左右方向に直交する垂直面な基部18gがテーパー部18fに連続して形成されている。この基部18gの手前側には、前後方向に伸びる長穴18eが貫通して形成されている。その長穴18eには、下メスホルダ4の左側面から突出するガイドピン4gに摺動可能に係合している。
【0025】
この基部18gの手前側上端には、右方向に延びる水平面が連続するように形成され、その水平面には、腕部18cが基部18gに面するように垂直に形成されている。この腕部18cの奥側先端は、基部18gに対して接近するように曲げられており、下メスホルダ4の上部4cを基部18gと協働して狭持する。上部4cを狭持する移動爪18は、その上部4cに対して摺動可能である。
【0026】
また、基部18gの手前側下端には、水平面が連続して形成され、その水平面には貫通穴18aが形成されている。その水平面の奥側には、更に、前後方向に直交する上方に延びる垂直面が形成され、その垂直面から前後方向に伸びる押上腕部18dが下方に曲げられている。この移動爪18が上部4cに取り付けられた際、押上腕部18dが水平面4iに当接し、その舌部18bを上方に押し上げるように構成されている。
【0027】
移動爪18は全体的に弾性板材で構成されているが、その舌部18bや基部18gは、縫製に際して掛けられるかがり縫い目の糸によっては弾性変形されず、無負荷時の形状を保っている。この舌部18bは、かがり縫い時には、固定爪2と同一水平面上で平行に位置し、そこに位置する舌部18bの奥側先端が空中に張り出すための必要最小限の切り欠き部が針板1には形成されている。
【0028】
下メスホルダ4の手前側面には、支軸4aを中心とする円弧状の円弧部4hが形成され、操作ダイヤル10のツマミ部10bに対向している。その円弧部4hの上端部及び下端部には手前方向に突出した突出部4e、4fが形成され、ツマミ部10bの回転範囲を規制している。
【0029】
次に、上述した構成のミシンの操作方法について説明する。
【0030】
最も上にツマミ部10bが位置しているとき(t0 )、移動爪18の舌部18bは針落ち点1a及び固定爪2に左右方向で最も接近し、かがり幅及び切断幅が最短(5mm)である。この状態で、作業者がツマミ部10bを最上位置から下方に押し下げると、操作ダイヤル10が反時計回りに回転する。そして、端面カム部10aの右方向への突出量(変化量)が徐々に増加し、下メスホルダ4が右方向に水平に移動する。続いて、板ばね13が位置決め溝10cに係合する位置(係合位置)まで、ツマミ部10bが押し下げられると、舌部18bは針落ち点1a及び固定爪2と左右方向で最も離間し、かがり幅及び切断幅が最長(7mm)となる(t1 )。上述したかがり幅が最短乃至最長に変化する際には、舌部18bは水平に左右方向に端面カム部10aによって移動される。このように、板ばね13と位置決め溝10cとの係合により回転抵抗が急に増加するので、かがり幅を設定するための操作範囲の限界(最長かがり幅)が現在設定されていることを、作業者はそのツマミ部10bを操作する感触により知ることができる。
【0031】
そして、板ばね13が位置決め溝10cに係合する状態から、ツマミ部10bが更に押し下げられると、板ばね13が位置決め溝10からはみ出て、切換レバー17が反時計回りに溝カム10dによって揺動される。よって、舌部18bが、図6(a)に示す位置から手前方向に移動され、図6(b)に示すように、溝カム10dの変化量が短くなり(カム面が操作ダイヤル10の回転軸に寄って形成され)、舌部18bは針板1の下方に傾斜面3aに沿って下降し始める。次に、舌部18bのテーパー部18fが下メス6の奥側の面に衝突し(t2 )、舌部18bの付け根部分となる基部18gが下メス6によって左側に弾性変形され、舌部18bがテーパー部18fの右端部に沿う下メス6によって右から左に移動される。このとき、端面カム部10aの右方向への突出量(変化量)が再び減少し始め(t3 )、ついには、下メスホルダ4が最も左方向に移動する(t4 )。こうして、図5及び図6(c)に示すように、針落ち点1a及び固定爪2から手前方向及び左方向に離間した舌部18bは、縫製に寄与しない休止状態になる。このように、かがり縫いから巻き縫いへの縫い方の切換が行われたとき、切断幅は、最短(5mm)になる。
【0032】
このツマミ部10bは、最上位置から板ばね13による係合部との係合位置を通過して最下位置まで、一気に下方に回転操作可能である。また、ツマミ部10bを最下位置から係合位置まで上方に回転操作すれば、巻き縫いからかがり縫いに縫い方が切り換わる。更に、ツマミ部10bは、最下位置から係合位置を通過して最上位置まで、一気に上方に回転操作可能である。このように、移動爪18の前後相互方向の移動と移動爪18の左右方向の移動とが下方の回転操作によって行えるので、移動爪18の前後相互方向の移動と移動爪18の左右方向の移動との操作とが連続して行え、ミシンの操作性が向上している。上述した実施例では、下メス6及び移動爪18の操作部材が共通化されているので部品点数が少なくてすむ。更に、ミシン表面に突出した操作部材が低減されミシンの美観が低下が防止されている。
【0033】
上述した実施例においては、前後方向の移動に伴う弾性体である移動爪18の下メス6による弾性変形によって、移動爪18が縫い針Nの通過経路から離間されので、ルーパーを特定位置に停止させる手間や移動爪の移動距離が低減され、ミシンの使い勝手が向上している。更に、その弾性体である移動爪18が下メス6によって弾性変形されるので、縫い針Nの通過経路と下メス6とを前後方向に接近して配置して、切断された布の切断部と縫い針Nの通過経路とのずれを防止することができる。また、上述した実施例においては、移動爪18が弾性体で一体に形成され、移動爪18が下メス6によって縫い針Nの通過経路から離間されるので、移動爪18を休止させる構成が簡単になる。
【0034】
上述した実施例によれば、移動爪18の左右方向の移動によりかがり幅を設定可能で、手前側の布送り逆方向に移動されてかがり爪を休止し(縫い方切り換え)、その操作はいずれも同一の操作手段によって行われる。従って、移動爪18の休止に際して、前後方向に移動爪18を移動しているので、ルーパーを特定位置に位置させる手間が解消されている。
【0035】
上述した実施例では、その移動爪18は縫い針Nやルーパーによって糸を掛けられるように、前後方向に伸びて針落ち点近傍に配置され、移動爪18の先端が空中に張り出し、移動爪18の先端から糸がミシン奥側に抜けるように構成されている。従って、実開昭59−125380号公報に記載されたように、移動爪を筒状のかがり縫い目の側面を横切るように移動するために、かがり縫い目の糸を移動爪から除去した後でないと移動爪が移動できず、かがり縫いから巻き縫いへの連続した切り換えに際して、必ず移動爪からかがり縫い目の糸を除去する手間がかかるミシンに比べ、上述した実施例では、移動爪18を筒状のかがり縫い目の軸方向(前後方向)の移動させているので、移動爪18の移動に伴ってかがり縫い目の糸が自然に移動爪18から抜け、かがり縫いから巻き縫いへの連続した切換ができる。
【0036】
上述した実施例では、かがり縫いと巻き縫いとの縫い方の切り換えに際して、移動爪18を下メス6に衝突させている。従って、実公平3−49651号公報に記載されたように、移動爪を前後水平方向に移動可能に支持し、メスを移動爪の移動経路の右脇(最長かがり幅以上)まで移動させた後、メスよりも手前側へ水平に移動爪を移動させるミシンに比べ、上述した実施例によれば、移動爪18の移動量が短いので、ミシンの操作性が良い。
【0037】
また、実公平3−49651号公報に記載されたように、その巻き縫い時には下メスを固定爪に最も接近の位置(最短かがり幅)させるために、下メスを右脇に一旦移動させる操作と、下メスを最も左側までに移動させる操作とが必要であるミシンに比べ、上述した実施例においては、かがり幅の設定操作と縫い方の切換操作とが連続した回転操作で可能なので、切換時の使い勝手が良い。
【0038】
実公平3−49651号公報に記載されたように、移動爪の前後方向の移動経路を確保するために、針板の右端部(下メスの布送り方向上流側)を前後方向に切り取っており、布端部の落ち込みの恐れがあるミシンに比べ、上述した実施例によれば、移動爪18が下メス6に衝突して下メス6の左側方の針板1の下方に降下するので、移動爪18の移動経路のために針板1を大幅に切り取る必要が無く、布端部の落ち込みが防止されている。
【0039】
また、上述した実施例では、移動爪18を左右方向に移動させかがり幅を設定する、即ち、移動爪18の前後方向位置は一定である。従って、移動爪を前後方向に移動させてかがり幅を設定するミシンでは、移動爪の先端がその移動爪の前後方向位置に関わらず空中に張り出すように、針板が移動爪の前後方向の移動範囲よりも大きく切り取られている。そのため、そのようなミシンでは、空縫いした糸が移動爪から抜けた後に針板下方に落ち込む恐れが増している。従って、移動爪を前後方向に移動させがかがり幅を設定するミシンより、上述した実施例のミシンでは空縫いの糸の抜け方向の針板1の切り取りが少なりので、布空縫いの糸の落ち込みの恐れを低減している。更に、前後方向の切り取りが少なくても、かがり幅の設定範囲は、針板1の前後方向の切り取り部分の制約を受けず広い範囲で得られる。
【0040】
上述した実施例では、かがり縫い時に位置する移動爪18の前後方向の位置と布の切断位置とが接近している。従って、特公昭57−43274号公報に記載されたように、移動爪を前後水平方向に移動可能に支持し、布送り方向の上流側へ水平に移動爪を移動させ、移動爪を前後方向に移動させるスペースが必要であるため、メスをそのスペース分、布送り方向上流側に針落ち点より遠ざけて配置しているミシンに比べて、上述した実施例では、切断された布が搬送中に向きを変えられ、布端と針落ち点とがずれて、縫い目がずれてしまうことが防止されている。
【0041】
上述した実施例においては、移動爪18を針板1の下方で下メス6の左側に休止させているが、針板1の下方で下メス6の前に休止させるように構成しても、移動爪18がかがり縫い幅の設定時は左右方向に移動すると共に、縫い方を切り換える際には前後方向に移動されるので、かがり幅の針板1による制限や、縫い方を切り換える際に移動爪18から糸を除去する手間が解消される。ところで、上述した実施例では、そのような問題点の解消に加え、下メス6の左側に休止させており、針落ち点とメス6との距離を短くできる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したことから明かなように、本発明の請求項1記載のミシンにおいては、布送り方向の移動に伴う弾性体のメスによる弾性変形によって、移動爪が縫い針の通過経路から離間されので、ルーパーを特定位置に停止させる手間や移動爪の移動距離が低減され、ミシンの使い勝手が向上している。更に、その弾性体がメスによって弾性変形されるので、縫い針の通過経路とメスとを接近して配置して、切断された布の切断部と縫い針の通過経路とのずれを防止することができる。
【0043】
また、請求項2記載のミシンにおいては、移動爪と弾性体とが一体に形成され、移動爪がメスによって縫い針の経路から離間されるので、移動爪を休止させる構成が簡単になる。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例のミシンの移動爪移動機構の分解図である。
【図2】上記ミシンが最短かがり縫い時の平面図である。
【図3】上記ミシンが最短かがり縫い時の正面図である。
【図4】上記ミシンが最短かがり縫い時の右側面図である。
【図5】上記ミシンが巻き縫い時の右側面図である。
【図6】上記ミシンでの最長のかがり縫いから巻き縫いに移行する際の平面図である。
【図7】上記ミシンでのタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 針板
2 固定爪
4 下メスホルダ
8 移動爪
10 操作ダイヤル
Claims (2)
- 布を切断するメスと共に布送り方向に対して交差する方向に移動され、縫い針と協働する移動爪を有するミシンにおいて、
前記移動爪を休止させる場合、前記縫い針の通過経路から前記移動爪を離間させるように、前記移動爪の布送り方向の移動に伴って前記メスによって弾性変形される弾性体を備えることを特徴とするミシン。 - 前記弾性体を前記移動爪と一体に形成することを特徴とする請求項1記載のミシン。
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