JP3623954B1 - レトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具並びにレトルト殺菌方法並びにレトルト殺菌装置 - Google Patents

レトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具並びにレトルト殺菌方法並びにレトルト殺菌装置 Download PDF

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Abstract

【課題】どのような変形形状のレトルト包装体であっても効率良く収納できて殺菌処理を行うことができる汎用性に秀れたレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具並びにこのレトルト食品収納具を用いたレトルト殺菌方法並びにこのレトルト食品収納具を備えたレトルト殺菌装置を提供すること。
【解決手段】レトルト殺菌用の加圧加熱装置A内に収容して使用するものであって、通気性を有し多数のレトルト包装体1を収納し得る容体2と、この容体2内に収納する多数のレトルト包装体1間に配設してレトルト包装体1間を仕切る中空形状の多数の仕切体3とから成るレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具並びにレトルト殺菌方法並びにレトルト殺菌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
出願人は、既に特願2002−225760号を出願している。
【0003】
この先願は、容器本体の上部開口部に圧力蓋を開閉自在に設けると共に、この圧力蓋は閉塞ロック機構を介して容器本体の上部開口部を密閉閉塞し得るように構成し、この容器本体と圧力蓋とは、密閉閉塞状態にして加熱した際に容器本体内が120℃以上となる内圧に耐え得るように強度を設定構成し、この容器本体若しくは圧力蓋に容器本体内の蒸気を容器本体外へ排出する安全弁装置を設け、この容器本体若しくは圧力蓋に、密閉閉塞された容器本体内が120℃以上になったことを報知する報知機能付温度計を設け、前記容器本体内に収容するレトルト殺菌用の食品入り容体を、少なくとも容器本体内面との間に隙間を介在した状態で保持せしめる隙間介在具(収容体)をこの容器本体内に配設した構成である。
【0004】
そして、この先願によれば、加熱時に高い密閉性を維持でき、これにより密閉された容器本体内は加熱によって内部の圧力が良好に上昇するために圧力釜と略同様な機能を発揮して加圧加熱殺菌が可能となり、また、レトルト殺菌する食品入り容体は、収容体に収容されて少なくとも容器本体内面との間に隙間を介在した状態で加熱されるために、この隙間を介して容器本体内では蒸気が良好に対流して食品入り容体が短時間で加熱殺菌されることになり、その上、報知機能付温度計により、レトルト殺菌が終わったことをすぐに確認できるなどの秀れた実用上の効果を奏するものであった。
【0005】
本発明は、このようなレトルト殺菌装置への使用に適し、上記先願においては隙間介在具(収容体)として使用できるもので、どのような変形形状のレトルト包装体であっても効率良く多数収納して良好に殺菌処理を行うことができるレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具を提供するものである。
【0006】
また、このレトルト食品収納具を用いたレトルト殺菌方法を提供するものである。
【0007】
また、このレトルト食品収納具を備えたレトルト殺菌装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
レトルト殺菌用の加圧加熱装置A内に収容して使用するものであって、通気性を有し多数のレトルト包装体1を収納し得る容体2と、この容体2内に収納する多数のレトルト包装体1間に配設してレトルト包装体1間を仕切る中空形状の多数の仕切体3とから成り、前記中空形状の仕切体3は板状として、前記容体2内に並設収納される前記レトルト包装体1間に立設状態で配設し得るように構成すると共に、この仕切体3は、通気性を有するように構成したことを特徴とするレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具に係るものである。
【0010】
また、前記容体2は、少なくともこの容体2の外周部が、前記加圧加熱装置A内で隙間12を介在した状態で配設する構成としたことを特徴とする請求項1記載のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具に係るものである。
【0011】
また、前記容体2は上部開口形とし、この容体2の側壁部と底壁部とに通気性を備えたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具に係るものである。
【0012】
また、前記容体2は、多段に積み重ねし得るように構成したことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具に係るものである。
【0013】
また、レトルト包装体1を、前記請求項1〜のいずれか1項に記載のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具に多数収納すると共に、多数のレトルト包装体1間の任意の位置に多数の仕切体3を配設し、この多数のレトルト包装体1を収納した容体2をレトルト殺菌用の加圧加熱装置A内に収容して120℃以上で所定時間加圧加熱することを特徴とするレトルト殺菌方法に係るものである。
【0014】
また、前記容体2を多段に積み重ねた状態で前記レトルト殺菌用加圧加熱装置A内に収容することを特徴とする請求項記載のレトルト殺菌方法に係るものである。
【0015】
また、前記請求項1〜のいずれか1項に記載のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具と、このレトルト食品収納具を収容し得る加圧加熱容器A1と、この加圧加熱容器A1の開口部を開閉自在に密閉閉塞する圧力蓋A2とから成り、前記加圧加熱容器A1若しくは前記圧力蓋A2に、この加圧加熱容器A1内に冷媒を導入する導入部4を設け、この導入部4より導入した冷媒を加圧加熱容器A1外へ排出する排出部5を加圧加熱容器A1若しくは圧力蓋A2に設けたことを特徴とするレトルト殺菌装置に係るものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。
【0017】
容体2内に、多数並設状態にしてレトルト包装体1を収納すると共に、この多数並設するレトルト包装体1の任意の位置(レトルト包装体1間)に仕切体3を配設して仕切る。
【0018】
この仕切体3は、仕切る位置を容体2内で自由に変更することができ、どのような形態や大きさのレトルト包装体1であっても、作業者の意思で自由に動かして仕切りたいレトルト包装体1間を仕切ることができる。
【0019】
従って、例えば容体2内に固定された仕切を有するような構造では、レトルト包装体1の収納スペースが限定されてしまうために、レトルト包装体1の形や大きさによっては、収納スペースを十分に活用しきって収納することが難しく、一度に効率良く処理を行えないことがあり得るが、本発明によれば、どのような変形形態であっても、またどのような大きさのレトルト包装体1であっても、仕切体3を自由に動かせるのでこの仕切体3が邪魔にならず、容体2の収納スペースを活かして効率良く且つ仕切体3で仕切って多数のレトルト包装体1を収納することができ、これにより効率良く処理を行えることになる。
【0020】
このレトルト包装体1を多数収納した容体2をレトルト殺菌用の加圧加熱装置A内に収容し、120℃以上で所定時間加熱する。尚、この際、例えば、加圧加熱装置A内に水を入れたり、スチーム機能などを持ち合わせた加圧加熱装置Aを使用したりして加圧加熱殺菌する。
【0021】
すると、容体2は通気性(通水性)を有するために、加圧加熱装置A内で発生する蒸気が容体2内へ良好に対流してレトルト包装体1を加熱すると共に、レトルト包装体1間を仕切る仕切体3は中空形状であるため、この仕切体3内にも蒸気が良好に対流することになり、この内部を対流する蒸気によって仕切体3が熱せられ仕切体3からの伝導熱によって仕切体3に並設するレトルト包装体1が良好に加熱されることになる。
【0022】
従って、レトルト包装体1同士が密着していると加熱むらを生じ易いが、レトルト包装体1間を仕切体3によって仕切ることで加熱むらなく加圧加熱殺菌がなされることになる。
【0023】
また、本発明のレトルト殺菌に用いる食品収納具は、通気性を有する容体2と、多数の中空形状の仕切体3とから成る構成のため、この構成は簡易に設計実現可能な構成であり、量産性に秀れ安価な製品を提供可能となる。
【0024】
また、例えば、仕切体3を板状として前記容体2内に並設収納される前記レトルト包装体1間に立設状態で配設し得るように構成すれば、この仕切体3の容体2内で要する配設スペースが小さくなり、その分レトルト包装体1の収納スペースを大きく確保できるので、一層多数のレトルト包装体1を収納して効率良く処理できることになる。
【0025】
また、例えば、仕切体3は、通気性を有するように構成すれば、仕切体3の熱伝導だけでなく、蒸気が仕切体3を介して直接レトルト包装体1に作用するので、一層良好に加熱殺菌処理がなされることになる。
【0026】
尚、レトルト殺菌終了後は、速やかに加圧加熱装置A内の(レトルト包装体1の)温度を降下させることが好ましい。その理由は、
(1)加圧加熱装置A内は120℃以上になっており、長時間この高温下におくことでレト ルト包装体1が傷んでしまうことがある。
(2)高い温度のまま加圧加熱装置Aの圧力蓋A2を開くと、急激な圧力の開放によってレ トルト包装体1が膨張し破裂してしまう恐れがある。
(3)加圧加熱装置Aの温度が高いままだと、次の作業が行えず、作業効率が悪い(自然冷 却だと3時間程の冷却時間を要する)。
という3点があげられる。
【0027】
この点、請求項記載の発明のように構成した場合には、加圧加熱殺菌終了後に導入部4から冷水などの冷媒を加圧加熱容器A1内に導入することができ、これにより急速に加圧加熱装置A内の(レトルト包装体1の)温度を冷却することができる。尚、加圧加熱装置A内で満杯になった冷媒は排出部5より外部へ排出される。
【0028】
従って、この請求項記載の発明によれば、上記冷却作業を行うことで、殺菌終了後にレトルト包装体1が傷むことも破裂することも防止でき、且つ引き続いて迅速に次の処理を行うことができるので、非常に効率良く殺菌処理を行えることとなる。
【0029】
【実施例】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0030】
本実施例のレトルト食品収納具は、通気性を有し多数のレトルト包装体1を収納し得る容体2と、この容体2内に収納する多数のレトルト包装体1間に配設してレトルト包装体1間を仕切る中空形状の多数の仕切体3とから成る構成としている。
【0031】
容体2は、図1に示すように、上部開口形の方形箱形容体に形成し、この方形箱形の容体2内には様々な形状のレトルト包装体1を多列並設状態にして多数収納し得るように構成している。図中符号13は持ち運び用の取手である。
【0032】
また、この容体2は、側壁部と底壁部との略全面部に無数の小径な通気孔9を散在形成することで通気性をもたせている。
【0033】
また、この容体2は、その外径寸法を、後述する加圧加熱容器A1の内径よりもやや小さく設定し、これにより容体2を加圧加熱容器A1内に収容した際には、この容体2の外周部が、加圧加熱容器A1の内面とに隙間12を介在した状態で配設する構成として、容体2の周囲の隙間12を蒸気が良好に対流することになる構成としている(図8参照)。
【0034】
更に詳しくは、容体2は、横幅と奥行幅が330mm程度、高さが160mm程度のものに構成している。
【0035】
また、この容体2の底部には脚部10を垂設し、この脚部10により加圧加熱容器A1の底面より容体2の底部が底上げ状態で載置収容される構成として、この容体2の底部と加圧加熱容器A1の底面との隙間12を蒸気が良好に対流することになる構成としている(図8参照)。
【0036】
また、この脚部10は、容体2の上縁部に係止し得るように構成し、これにより容体2を多段に積み重ねし得るように構成している。尚、図面では、容体2を上下二段に積み重ねた状態で加圧加熱容器A1内に収容できるように、容体2の高さ寸法を設定構成した場合を示している。
【0037】
仕切体3は、図1,図2に示すように、方形薄板状であって、図面の上下部が開放した中空形状の筒状体を採用して構成し、前記容体2内に並設収納される前記レトルト包装体1間に立設状態で配設し得るように構成している(図3〜図5参照)。尚、図面では、開放部分が上下に位置する状態で仕切体3を立設配設した場合を示しているが、開放部分が左右に位置する状態で使用しても良い。
【0038】
また、この仕切体3は、熱伝導性の良い金属製(アルミ製)とし、この仕切体3の表裏面に並設当接したレトルト包装体1に対して、仕切体3内を対流する蒸気熱を良好に伝導し得るように構成している。
【0039】
また、この仕切体3は、表裏面の略全面に無数の通気孔9を形成してこの仕切体3の表裏方向に通気性を有するように構成している。
【0040】
更に詳しくは、仕切体3は、縦・横の幅寸法が140mm程度で厚み4mm程度のものに構成している。従って、この仕切体3は薄厚なために容体2内に少スペースで配設でき、この仕切体3を多数配設しても容体2内の収納スペースを大きく阻害することなく、多数のレトルト包装体1を仕切りながら効率良く容体2内に収納できるようにしている。また、この中空形状であって板状の仕切体3は、簡易に設計実現可能な構成であり、量産性に秀れ安価に提供できる。
【0041】
本実施例のレトルト殺菌装置は、このレトルト食品収納具と、このレトルト食品収納具を収容する加圧加熱装置Aとから成る(図7参照)。
【0042】
本実施例の加圧加熱装置Aは、加圧加熱容器A1の上部開口部に圧力蓋A2を開閉自在に密閉閉塞し得るように設けた構成としている。
【0043】
具体的に説明すると、加圧加熱容器A1は、図6に示すように、上部開口形のステンレス製角筒形容器に構成している。図中符号14は持ち運び用の把手である。
【0044】
圧力蓋A2も、同様に角形のステンレス製とし、市販の調理用圧力釜(鍋)の圧力蓋と同様に、安全弁装置(図示省略)と圧力調整弁6とを設け、更に密閉閉塞した加圧加熱容器A1内が加熱により125℃以上になったことをアラーム音で報知する報知機能付温度計7を設けている。
【0045】
また、本実施例の加圧加熱容器A1は、横幅と奥行幅が350mm程度、高さが330mm程度となる小型の容器(小規模な圧力釜)に構成している。
【0046】
また、この加圧加熱容器A1と圧力蓋A2とに、この圧力蓋A2が加圧加熱容器A1の上部開口部を密閉閉塞した状態を維持する適宜設計変更可能な閉塞ロック機構8を設けている。
【0047】
また、ステンレス製の加圧加熱容器A1と圧力蓋A2とは、密閉閉塞状態にして加熱した際に、加圧加熱容器A1内が120℃以上となる内圧に耐え得るように強度を設定構成している。
【0048】
具体的に説明すると、0.15MPa以上の内圧に耐え得るように加圧加熱容器A1と圧力蓋A2との強度を設定構成している。このような強度に設定すると、加熱時に加圧加熱容器A1内がレトルト殺菌に必要な120℃以上になることが出願人の試作実験により確認されている。
【0049】
また、本実施例では、前記圧力蓋A2に、加圧加熱容器A1内に冷媒を導入する導入部4と、この導入部4より導入した冷媒を加圧加熱容器A1外へ排出する排出部5とを設けている。
【0050】
具体的に説明すると、図6に示すように、圧力蓋A2の上面の対向位置(図6の手前側と奥側の対向位置)に圧力蓋A2の上方部と下方部とを連通可能な弁を設けて、一側(図面奥側)の弁を導入部4とし、他側(図面手前側)の弁を排出部5としている。
【0051】
更に詳しくは、この導入部4と排出部5とは、図9に示すように、管体15(例えば、ホース)の端部に設けた連結具17を、所謂ワンタッチ動作で連結し得る構造とすると共に、この連結によって弁が開放する構造とし、水道栓16に連結した管体15を導入部4に連結することで、水道栓16から加圧加熱容器A1内に水を導入することができ、且つ導入した水を排出部5に連結した管体15から加圧加熱容器A1外へ排出できる構成としている。
【0052】
この導入部4と排出部5とは、殺菌処理終了後の冷却処理に用いるもので、加圧加熱殺菌後の加圧加熱装置A内は120℃以上になっているが、導入部4から水(常温水)を導入することで急速に加圧加熱装置Aを冷却することができる(5分程度の通水で40℃位まで下がることが確認されている。)。
【0053】
従って、これにより殺菌終了後にレトルト包装体1が傷むことも破裂することも防止でき、且つ引き続いて迅速に次の作業を行うことができるので、効率の良い殺菌処理が可能となる構成としている。
【0054】
次に、本実施例のレトルト殺菌装置を用いたレトルト殺菌方法を説明する。
【0055】
食品を真空包装したレトルト包装体1を、容体2内に多数並設状態に収納すると共に、この多数並設するレトルト包装体1の任意の位置(レトルト包装体1間)に仕切体3を配設して仕切る。
【0056】
例えば、方形薄板状のレトルト包装体1の場合、図4に示すように、多列(図面では二列)をなすように配設すると共に、その表裏面が当接するようにして立設状態に多数並設収納し、二つおきに仕切体3を立設状態にしてその表裏面がレトルト包装体1の表裏面に当接するように配設することで、並設するレトルト包装体1の表裏いずれか一側面は他のレトルト包装体1と並設当接することなく、仕切体3と並設当接するようにする。すると、容体2内の収納スペースを有効に利用して多数のレトルト包装体1を整然と収納できると共に、多数のレトルト包装体1の夫々が確実に仕切体3と当接することになるため、後述するように夫々のレトルト包装体1に対して仕切体3を介した加熱殺菌が良好に行われて、加熱むらがない。
【0057】
また、上から見て丸型のレトルト包装体1の場合は、多列をなすように並べると共に、例えば並設する各レトルト包装体1間を一つおきに横方向に仕切るようにしたり(図5参照)、縦方向に仕切るようにして仕切体3を配設すると、上記と同様の作用・効果が得られる。
【0058】
このレトルト包装体1を多数収納した容体2を、上下二段に積み重ねて加圧加熱容器A1内に収容する。尚、前述のようにして、レトルト包装体1を効率良く並べて容体2内に収納すると、一つの容体2に50個前後、即ち、二つの容体2内に全部で100個前後のレトルト包装体1を収容することができる。即ち、本実施例は、上記したような小規模なレトルト殺菌装置であるが、一回で100個前後もの多量のレトルト包装体1を殺菌処理することが可能な構成としている。
【0059】
次いで、この加圧加熱容器A1内に八分目位まで水11を入れ、この加圧加熱容器A1の上部開口部を圧力蓋A2で閉塞した上、前記閉塞ロック機構8により密閉状態にロックする(図8参照)。
【0060】
そして、この密閉閉塞した加圧加熱装置Aをコンロなどで加熱する。すると、この加圧加熱容器A1内では水11が蒸発して蒸気が発生するが、前記容体2は、脚部10により加圧加熱容器A1内底面より底上げ状態に配設し、且つ外周面が加圧加熱容器A1の内周面より離れた状態で配設しているために、この容体2の底にも周囲にも隙間12が生じており、この隙間12から加圧加熱容器A1内で蒸気が発生し易く、しかもこの隙間12で発生した蒸気は、この隙間12を対流すると共に、容体2の周壁部と底壁部(の通気孔9)を介して容体2内のレトルト包装体1の周囲にくまなく対流する。また、更に中空形状で通気性のある仕切体3でレトルト包装体1間を仕切っているため、この仕切体3内でも蒸気が発生すると共にこの仕切体3内にも蒸気が対流することになり、この内部を対流する蒸気によって仕切体3が熱せられ、この仕切体3からの伝導熱と通気孔9からの蒸気の直接作用とによって仕切体3に並設当接するレトルト包装体1が極めて効率良く加熱殺菌されることになる。また、上記したように仕切体3が確実にレトルト包装体1の一つ一つに接するように配設しておけば、容体2内に収納した多数のレトルト包装体1をむらなく加熱殺菌することができる。
【0061】
また、この際、加圧加熱容器A1と圧力蓋A2とは、密閉閉塞状態で0.15MPa以上の内圧に耐え得るように強度を設定構成したため、加熱により内圧が高圧となっても壊れることがなく、この強固に密閉されたステンレス製の加圧加熱容器A1内の圧力が上昇し、これにより加圧加熱容器A1内の温度は100℃以上にまで高温化し、短時間で確実に加圧加熱殺菌が行われることになる。
【0062】
そして、加圧加熱容器A1内がレトルト殺菌に必要な125℃になると、報知機能付温度計7からアラーム音が鳴り、これを合図に加熱を終了する。尚、加圧加熱容器A1内が125℃にまでなると、レトルト包装体1内も120℃以上になり、確実に加熱殺菌処理がなされることが確認されている。従って、このアラーム音により殺菌処理が終わったことがわかる。
【0063】
殺菌処理終了後は、導入部4と排出部5とに管体15を連結し(図9参照)、この導入部5から管体15を介して例えば水道水を導入することで急速に加圧加熱装置Aを冷却することができる。
【0064】
尚、本実施例の場合、殺菌終了後は、容体2ごと多数のレトルト包装体1を加圧加熱容器A1から簡単に取り出すことができる。
【0065】
このようにしてレトルト殺菌したものを、実際に出願人が食品衛生法に基づいて無菌試験を行った結果、陰性の成績が得られ、殺菌効果が実証された。
【0066】
従って、数千万円もする大型のレトルト殺菌用圧力釜を要せずとも、本実施例の小型レトルト殺菌装置を使用することで十分に食品に対する加圧加熱殺菌を行うことができた。
【0067】
また、本実施例の加圧加熱装置Aは、基本的には市販の調理用圧力鍋と略同等の構成を有するものであり、この基本構造に加えて、圧力蓋A2に導入部4と排出部5と報知機能付温度計7を追加するだけで構成できるし、更に容体2と仕切体3とから成るレトルト食品収納具を追加することでレトルト殺菌装置を構成できるので、この構成は簡易に設計実現可能である。出願人の試作品によれば、加圧加熱容器A1並びに圧力蓋A2の製造に6万円程度の費用を要し、レトルト食品収納具を含めても15〜20万円程度の販売価で非常に安価に提供可能となることがわかった。
【0068】
よって、事実上、総費用15〜20万円程度の資金で設備を整えて本実施例のレトルト殺菌方法を行うことが可能となり、これまではレトルト殺菌設備を導入できなかった小さな企業でも容易に導入することができる。
【0069】
また、従来の大型で高価な殺菌釜によるレトルト殺菌方法においては、二人若しくは三人での作業を要するものであったが、本実施例のレトルト殺菌装置を用いたレトルト殺菌方法によれば、一人で作業を行うことができるため、人件費も削減できることになる。
【0070】
尚、本実施例では、小規模な圧力釜タイプの加圧加熱装置Aを採用し、これに適した構成の容体2を示したが、例えば、導入コストが少なくて済むスチームコンベクションオーブンを加圧加熱装置Aとして採用しても良く、この場合には容体2をスチームコンベクションオーブンでの使用に適するように構造変更すると良い。また、その他の加熱装置を加圧加熱装置Aを採用しても良い。
【0071】
また、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【0072】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したから、どのような変形形態であっても、またどのような大きさのレトルト包装体であっても、仕切体を自由に動かせるために容体の収納スペースを活かして効率良く多数のレトルト包装体を収納することができ、また、容体は通気性(通水性)を有するために、加圧加熱装置内で発生する蒸気が容体内へ良好に対流すると共に、レトルト包装体間を仕切る中空仕切体内にも蒸気が良好に対流してレトルト包装体に熱伝導するため、多数のレトルト包装体が良好に加熱殺菌されることになるなど、極めて実用性に秀れた画期的なレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具並びにレトルト殺菌方法となる。
【0073】
また、本発明のレトルト殺菌に用いる食品収納具は、通気性を有する容体と、多数の中空形状の仕切体とから成る構成のため、この構成は簡易に設計実現可能な構成であり、量産性に秀れ安価な製品を提供可能となる。
【0074】
また、本発明においては、仕切体の容体内で要する配設スペースが小さくなり、その分レトルト包装体の収納スペースを大きく確保することができるために、一度に多量のレトルト包装体を殺菌処理できる一層実用性に秀れた構成のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具となる。
【0075】
また、本発明においては、仕切体の熱伝導だけでなく、蒸気が仕切体を介して直接レトルト包装体に作用するので、一層良好に加熱殺菌処理がなされることになる秀れた構成のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具となる。
【0076】
また、請求項記載の発明においては、加圧加熱装置内で容体の周囲に隙間が生じるために、この周囲の隙間を蒸気が良好に対流して、非常に効率良く短時間で加熱殺菌が行われることになる極めて実用性に秀れたレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具となる。
【0077】
また、請求項記載の発明においては、容体内に上方からレトルト包装体を容易に収納することができるし、仕切体の配設作業も容易に行うことができ、しかも容体内に収納したレトルト包装体には、容体の側壁部と底壁部とから蒸気による加熱作用が得られるため、効率良く加熱殺菌が行われることになる一層実用性に秀れた構成のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具となる。
【0078】
また、請求項記載の発明においては、容体を多段に積み重ねて加圧加熱装置で処理することで、一度に多量のレトルト包装体を殺菌処理できる極めて実用性に秀れた構成のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具となる。
【0079】
また、請求項記載の発明においては、一度に多量のレトルト包装体を殺菌処理できる極めて実用性に秀れた構成のレトルト殺菌方法となる。
【0080】
また、請求項記載の発明においては、上述のように構成したから、前記作用・効果に加えて、加圧加熱殺菌終了後に導入部から冷水などの冷媒を加圧加熱容器内に導入することができ、これにより急速に加圧加熱装置内の(レトルト包装体の)温度を冷却することができる。
【0081】
従って、この急速冷却を行うことで、殺菌終了後の高温度によりレトルト包装体が傷むことも、高温度(高圧)を維持したまま圧力蓋を開放することによるレトルト包装体の破裂も防止でき、且つ引き続いて迅速に次の作業を行うことができるので、効率の良い殺菌処理が可能となるなど、極めて実用性に秀れた画期的なレトルト殺菌装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例のレトルト食品収納具を示す分解斜視図である。
【図2】本実施例の仕切体を示す一部を切欠した拡大斜視図である。
【図3】本実施例のレトルト食品収納具の使用状態を示す説明斜視図である。
【図4】図3の部分拡大平面図である。
【図5】図3とは異なるレトルト包装体を収納した場合を示す部分拡大平面図である。
【図6】本実施例の加圧加熱装置を示す斜視図である。
【図7】本実施例のレトルト殺菌装置を示す斜視図である。
【図8】本実施例のレトルト殺菌装置の使用状態を示す説明正断面図である。
【図9】本実施例のレトルト殺菌装置の冷却時の使用状態を示す説明斜視図である。
【符号の説明】
1 レトルト包装体
2 容体
3 仕切体
4 導入部
5 排出部
12 隙間
A 加圧加熱装置
A1 加圧加熱容器
A2 圧力蓋

Claims (7)

  1. レトルト殺菌用の加圧加熱装置内に収容して使用するものであって、通気性を有し多数のレトルト包装体を収納し得る容体と、この容体内に収納する多数のレトルト包装体間に配設してレトルト包装体間を仕切る中空形状の多数の仕切体とから成り、前記中空形状の仕切体は板状として、前記容体内に並設収納される前記レトルト包装体間に立設状態で配設し得るように構成すると共に、この仕切体は、通気性を有するように構成したことを特徴とするレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具。
  2. 前記容体は、少なくともこの容体の外周部が、前記加圧加熱装置内で隙間を介在した状態で配設する構成としたことを特徴とする請求項1記載のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具。
  3. 前記容体は上部開口形とし、この容体の側壁部と底壁部とに通気性を備えたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具。
  4. 前記容体は、多段に積み重ねし得るように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具。
  5. レトルト包装体を、前記請求項1〜4のいずれか1項に記載のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具に多数収納すると共に、多数のレトルト包装体間の任意の位置に多数の仕切体を配設し、この多数のレトルト包装体を収納した容体2をレトルト殺菌用の加圧加熱装置内に収容して120℃以上で所定時間加圧加熱することを特徴とするレトルト殺菌方法。
  6. 前記容体を多段に積み重ねた状態で前記レトルト殺菌用加圧加熱装置内に収容することを特徴とする請求項5記載のレトルト殺菌方法。
  7. 前記請求項1〜4のいずれか1項に記載のレトルト殺菌に用いるレトルト食品収納具と、このレトルト食品収納具を収容し得る加圧加熱容器と、この加圧加熱容器の開口部を開閉自在に密閉閉塞する圧力蓋とから成り、前記加圧加熱容器若しくは前記圧力蓋に、この加圧加熱容器内に冷媒を導入する導入部を設け、この導入部より導入した冷媒を加圧加熱容器外へ排出する排出部を加圧加熱容器若しくは圧力蓋に設けたことを特徴とするレトルト殺菌装置。
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