JP3623781B2 - 光導波路及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路及びその製造方法に関し、より詳細には、光機能材料KTaNb 又はK1−yLiTaNb1−xを光導波路として用いた新機能光集積回路の光導波路及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、発光や受光、変調、光の合波または分波などを行う光デバイスを1つの基板上に集積した光集積回路について、コストパフォーマンスの観点から盛んに研究や開発が進められている。この集積化の技術により、低電力化や高性能化、低価格化などが期待されている。
【0003】
従来の光集積回路としては、半導体基板上にSiO、ポリマー等で導波路構造を形成し、外部から導入した光信号をその導波路構造によって処理する光集積回路が広く用いられている。ここで、導波路構造とは、一般に、アンダークラッド層と、アンダークラッド層上に形成されアンダークラッド層よりも屈折率の高い導波層と、導波層を覆い、この導波層よりも屈折率の低いオーバクラッド層とを備えた構造のことを言う。この導波路構造は、光信号処理という機能性を発現するため、加熱や電界印加、磁場印加、音波印加などの外場印加により、常光屈折率や異常光屈折率に代表される導波路材料の光学特性を変化させ、光信号の合分波機能や伝達時間の調整機能を発現させるものである。
【0004】
しかしながら、現状の導波路材料が、SiO、ポリマー、半導体、一部の非線形結晶に限定されているため、上述した手法による光物性変化は、その導波路材料の有する特性によって大きく制限され、応用できる光信号処理に限界があった。
【0005】
そこで、新規な導波路材料としてKTaNb1−xの使用が考えられている。このKTaNb1−x光機能材料は、二次の光学非線形効果を発現する。その光学非線形定数は1200〜8000pm/Vであり、例えば、LiNb0の有する光学非線形定数の31pm/Vに比して著しく大きい。
【0006】
また、この光学非線形効果発現が電界印加による構成元素位置の変位に起因しているため、電界印加の有無によって光学非線形効果の有無を制御できる。
【0007】
また、KTaNb1−xは、組成依存した−250〜400℃のキュリー温度で強誘電転移を生ずる。このキュリー温度を境界に特性が急変し、例えば、誘電率が約3000から約20000に大きく変化する。この強誘電転移による光特性変化を利用した新光集積回路も創出することができる。また、このキュリー温度は、KTaNb1−xの組成xにより変化するが、LiをKTaNb1−xに添加し、KLi1−yTaNb1−xとすることで、その温度範囲を調整することができる。
【0008】
また、光導波路の製造方法としては、導波路材料膜の成膜後、フォトリソグラフィー等を用いたパターニングとエッチングによる導波路の形成プロセスを必要とする。
【0009】
さらに、現在、光通信システムの大容量・高速化ならびに高機能化に対する要求は、急激に高まっており、その実現に向けた光信号処理デバイスの開発が急務となっている。これまでの光信号処理では、半導体デバイスが中心であったが、高速性、低雑音性を考慮すれば、誘電体の非線形効果を利用した方が有利であることは知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現状で使用されている導波路材料は、上述したように、SiO、ポリマー、半導体、および一部の非線形結晶に限定されている。このため、加熱や電界印加、磁場印加または音波印加などの上述した手法を用いて行う光物性の変更は、使用される導波路材料の有する特性によって大きく制限されてしまう。したがって、従来の光集積回路では、応用できる光信号処理の範囲が極めて狭いという問題があった。
【0011】
また、上述したように、KTaNb1−x光機能材料を用いた光導波路の製造方法においても、従来と同様の導波路材料膜の成膜、フォトリソグラフィー等による導波路の形成プロセスを必要としていた。このため、新規な導波路材料のKTaNb1−xを使用するにあたっても、導波路の形成プロセスが煩雑であるという解決すべき課題があった。
【0012】
また、性能指数を引き出すためには、導波路化が必須であるが、これまでKTN結晶の導波路化は実現されていないという問題がある。これは、屈折率を上昇させ、さらに拡散後もその非線形特性を劣化させないイオンが見いだされていないことがその原因である。
【0013】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来実現し得なかった多様な特性を有することが可能で、かつ簡易に導波路を形成することのできる光導波路及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明は、従来では実現できなかったKTN結晶の導波路化をLiの拡散によって実現できるようにした光導波路及びその製造方法を提供するを目的にしている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、アンダークラッド層と、該アンダークラッド層上に形成され、該アンダークラッド層よりも屈折率の高い導波層と、該導波層を覆い、該導波層よりも屈折率の低いオーバクラッド層とからなる光導波路であって、基板を前記アンダークラッド層とし、前記導波層は、光機能材料である立方晶KTaNb1−x(0<x<1)からなることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記基板がKTaNb1−y(0≦y≦1、y≠x)基板、MgO基板、MgAl基板、およびNdGaO基板のいずれか1つであることを特徴とする。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記アンダークラッド層が、前記基板と該基板上に堆積されたSiO、KTaNb1−z(0≦z≦1、z≠x)、MgO、MgAl、およびNdGaOのいずれか1つからなることを特徴とする。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記オーバクラッド層は、KTaNb1−u(0≦u≦1、u≠x)、MgO、MgAl、NdGaO3、およびポリマーのいずれか1つからなることを特徴とする。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、アンダークラッド層と、該アンダークラッド層上に形成され、該アンダークラッド層よりも屈折率の高い導波層と、該導波層を覆い、該導波層よりも屈折率の低いオーバクラッド層とからなる光導波路であって、基板を前記アンダークラッド層とし、前記導波層は、光機能材料である立方晶1−vLiTaNb1−x(0<x<1、0<v≦0.5)からなることを特徴とする。
【0020】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記基板が、KTaNb1−y(0≦y≦1)基板、MgO基板、MgAl基板、およびNdGaO基板のいずれか1つであることを特徴とする。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記アンダークラッド層が、前記基板と該基板上に堆積されたSiO、KTaNb1−z(0≦z≦1)、MgO、MgAl、およびNdGaOのいずれか1つからなることを特徴とする。
【0022】
また、請求項8に記載の発明は、請求項5,6又は7に記載の発明において、前記オーバクラッド層は、KTaNb1−u(0≦u≦1)、MgO、MgAl、NdGaO3、およびポリマーのいずれか1つからなることを特徴とする。
【0023】
このように、本発明では、電気光学効果(EO効果)、音響光学効果(AO効果)、およびフィギュアオブメリットに代表される光物性が従来の導波路材料に比して著しく大きいKTaNb やK1−vLiTaNb1−x光機能材料を光導波路に用いることを特徴とする。
【0024】
光機能材料であるKTaNb は、常誘電体結晶材料であり、キュリー温度以上で屈折率2.4の立方体構造を有する。しかしながら、外部電界を結晶軸方向に印加すると、構成元素位置の変位に伴い、二次の光学非線形効果を発現する。その光学非線形定数は1200〜8000pm/Vであり、例えば、LiNbOの有する光学非線形定数が31pm/Vであるのに比して著しく大きい。
【0025】
この光学非線形効果の発現は、電界印加による構成元素位置の変位に起因している。このため、電界印加の有無によって光学非線形効果の有無を制御することができる。また、KTaNb は、組成依存した−250〜400℃のキュリー温度で強誘電転移を生ずる。このキュリー温度を境界に特性が急変し、例えば、誘電率が約3000から約20000に大きく変化する。したがって、強誘電転移による光特性変化を利用した新たな光集積回路を創出することも可能である。
【0026】
さらに、このキュリー温度は、KTaNb の組成xの値に応じて変化するが、LiをKTaNb に添加することにより、その温度範囲を調整することができる。
【0027】
また、請求項9に記載の発明は、アンダークラッド層と、該アンダークラッド層上に形成され、該アンダークラッド層よりも屈折率の高い導波層と、該導波層を覆い、該導波層よりも屈折率の低いオーバクラッド層とからなる光導波路の製造方法であって、基板を前記アンダークラッド層とし、前記基板上に結晶成長の核発生位置となる構造を形成する工程と、当該構造を中心として、光機能材料であるKTaNb1−x(0<x<1)の薄膜を直方体に成長させて、前記導波層を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0028】
また、請求項10に記載の発明は、アンダークラッド層と、該アンダークラッド層上に形成され、該アンダークラッド層よりも屈折率の高い導波層と、該導波層を覆い、該導波層よりも屈折率の低いオーバクラッド層とからなる光導波路の製造方法であって、基板を前記アンダークラッド層とし、前記基板上に結晶成長の核発生位置となる構造を形成する工程と、当該構造を中心として、光機能材料であるK1−yLiTaNb1−x(0<x<1、0<y≦0.5)の薄膜を直方体に成長させて、前記導波層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0029】
また、請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、前記結晶成長の核発生位置となる構造が、前記基板を加工して形成された溝または穴であるか、あるいは前記基板上に設けられた電極層を加工して形成された溝または穴であることを特徴とする。
【0030】
また、請求項12に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、前記導波路を液相エピタキシャル成長法によって成長させることを特徴とする。
【0031】
通常の導波路形成プロセスでは、まず大面積に導波層となる材料を成膜し、続いてフォトリソグラフィー等によって断面矩形の導波路を、所望のパターンを描くように形成するという手順を踏む。本発明では、導波路材料がKTaNb1−x結晶材料であることを活かし、通常のプロセスに替えて、1回の成膜プロセスで断面が矩形の光導波路を形成する。
【0032】
本発明における光導波路の製造方法の実現にあたっては、光波伝搬に十分な光学特性、言い換えればその基となる結晶品質を有するKTaNb1−x薄膜を成膜し、それを光集積回路の設計に基づき、所定の位置に特定の構造に成形することが必要である。このような光学品質は、結晶のエピタキシャル成長法を用いることで実現が可能である。
【0033】
また、エピタキシャル成長法においては、GaN on サファイアや、GaAs on Siなど基板−薄膜間に大きな格子不整合率を有する薄膜を成長させる半導体の結晶成長分野では、マイクロチャンネルエピタキシー法と呼ばれるエピタキシャル成長方法がある(例えば、T.Nishinaga and H.J.Scheel, ”Advances in Superconductivity VIII” ed, by H.Hayakawa and Y.Enomoto,(Springer−Verlag,Tokyo,1996) p.33参照)。このマイクロチャンネルエピタキシー法では、基板上のシード層上面に設けた溝により薄膜の成長核発生位置を制御し、その核発生位置からの薄膜の横成長で薄膜の結晶品質を向上させる手法である。
【0034】
本発明では、核発生位置ならびに薄膜成長方向を制御できるため、晶癖が強い結晶材料の場合、その材料の有する特異面で囲まれた構造を作ることができる。本発明で用いるKTaNb1−x結晶材料は、晶癖が強くかつ立方体構造の結構造であるため、{100}面で囲まれる矩形の薄膜が成長しやすい。薄膜成長の場合、基板上に発生する成長核は基板の表面エネルギーが小さい箇所から優先的に発生する。平坦な基板上に穴もしくは溝があった場合、その穴もしくは溝の領域では底面に加えて側面が存在するので、基板上に到達する成膜供給原料の基板に対する接触面数が増える。この接触面数の増加が穴もしくは溝の領域の表面エネルギーを低下させ、他の平坦領域に比して結晶核が発生する確率が高くなることは古典的結晶成長論からも明らかである。
【0035】
従って、矩形導波路を形成したい箇所の基板接触面にあらかじめ穴もしくは溝を形成しておくことにより、KTaNb1−x結晶材料はその穴もしくは溝を成長核発生点として薄膜成長を開始し、穴もしくは溝を埋める。その後引き続きKTaNb1−x結晶材料の成長を続けると、基板垂直方向への成長をするのに加えて、自由面である基板横方向への成長も開始する。この際、基板横方向の成長は、KTaNb1−x結晶材料の特異面{100}面でその形状が制限され、{100}面に囲まれた直方体構造のKTaNb1−x膜を成膜することができる。
【0036】
また、請求項13に記載の発明は、結晶内部にイオンを拡散させ、周囲よりも屈折率の高くなった前記イオンの分布領域を導波路コアとして利用する光導波路であって、前記結晶はKTa1−xNbなる組成であり、前記イオンはLiであることを特徴とする。
【0037】
また、請求項14に記載の発明は、結晶内部にイオンを拡散させ、周囲よりも屈折率の高くなった前記イオンの分布領域を導波路コアとして利用する光導波路の製造方法であって、KTaNb1−x(0<x<1)からなる組成を有する前記結晶内部にLiイオンを拡散させて前記導波路コアを形成する拡散工程を含むことを特徴とする。
【0038】
また、請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の発明において、前記拡散工程は、少なくともLiNOを含む融液中で前記結晶を熱処理する熱処理工程を含むことを特徴とする。
【0039】
また、請求項16に記載の発明は、請求項14に記載の発明において、前記拡散工程は、前記熱処理工程の後に、前記結晶を洗浄する工程と、前記結晶を不活性ガス、窒素ガス、酸素、水蒸気のいずれか一つあるいはそれらの混合ガス中で熱処理する内部拡散工程とを含むことを特徴とする。
【0040】
また、請求項17に記載の発明は、請求項14に記載の発明において、前記拡散工程の後に、前記結晶をKNO融液中で熱処理する置換工程を含むことを特徴とする。
【0041】
このように、本発明は、KTN結晶にLiイオンを拡散させ、屈折率の高いコアを形成することを特徴とするものである。Liイオンは、Kサイトを置換する形での熱拡散が可能であり、また、K1−yLiTa1−xNbなる組成を有する結晶(KLTN)もKTN結晶に匹敵あるいはそれ以上の性能指数を有するため、イオン拡散による特性劣化の心配がない。また、熱拡散によってLiを添加して得られる比屈折率差は2%以上あり、導波路製造に十分な屈折率差が得られるため、導波路化に適したイオンである。さらに、拡散に用いるLiNOを含む融液は、融点が261℃と低く、容易に安定な融液が得られると共に、水溶性が高く、拡散処理後、水洗で容易に洗い落とすことが可能である。このため、その後のガス中での熱拡散処理に悪影響を及ぼさない。
【0042】
このように、Liイオンを用いる拡散導波路の製造は、特性の劣化無く屈折率の制御が可能であること、LiNOを用いる拡散プロセスは、処理が簡便で低温で拡散が可能であるという効果を奏する。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の光導波路実現にあたっては、光波伝搬に十分な光学特性、言い換えれば結晶品質を有するKTaNb 薄膜を成膜し、それを光集積回路の設計に基づき所定の位置に特定の構造に成形することが必要である。したがって、本発明に係る光導波路の製造プロセスの基本的な概要は、
1)KTaNb 薄膜の基板上への製造
2)KTaNb 薄膜の成形加工による導波層の製造
3)KTaNb 導波層の外場印加機構の製造
4)KTaNb 導波層のカバー層の製造
の4つに大別できる。以下、これら4つの製造プロセスを、それぞれ製造プロセス1、製造プロセス2、製造プロセス3、および製造プロセス4として、順次説明する。
【0044】
なお、これら4つの製造プロセスの順序は、光集積回路の設計構造に基づいて決定される。加えて、この順序の決定の際、ある製造プロセスの後に、製造済みの材料領域がその後に続く製造プロセスによって品質劣化を生じないか否かについても勘案される。したがって、製造プロセスの順序は、必ずしも上述した数字の順序と一致するものではないことに留意されたい。
【0045】
また、導波層材料がKTaNb であることから、基板およびカバー層を形成する材料が、このKTaNb の屈折率に対して導波層への光閉じ込めに十分な屈折率差を有することも必要である。
【0046】
[実施例1]
図1は、本発明を適用した光導波路の構成を示す斜視図である。基本構造として、光導波路としてリッジ型光導波路、および外場印加機構の一例として電極による電界印加を取り上げた。図中符号1はアンダークラッド層である基板、2は基板1よりも屈折率の高く、光機能材料KTaNb 膜(0<x<1)からなる導波層、3は光入力信号、4は電極、5は光出力信号、6は導波層を覆い、導波層KTaNb 膜2よりも屈折率の低いオーバクラッド層(カバー層)を示している。
【0047】
つまり、アンダークラッド層1と、このアンダークラッド層1上に形成され、アンダークラッド層1よりも屈折率の高い導波層2と、この導波層2を覆い、導波層2よりも屈折率の低いオーバクラッド層6とからなる光導波路であり、基板1をアンダークラッド層とし、導波層2は、光機能材料であるKTaNb1−x(0<x<1)からなるように構成されている。
【0048】
このような構成により、光入力信号3は、KTaNb 膜2に伝送される。KTaNb 膜2は、電極4によって印加された外部電圧信号による光物性変化を生ずる。したがって、伝送された光信号は、KTaNb 膜2を通過する際、その特性変化に影響されて変調する。変調を受けた光信号は、光出力信号5として外部に取り出される。
【0049】
また、導波層として、光機能材料であるK1−vLiTaNb1−x(0<x<1、0<v≦0.5)を用いても良い。
【0050】
後述する実施例は、我々が試行した製造手法の記述に留めるが、前に大別した個別材料領域の製造にあたり、膜形成手法として液層エピタキシャル法や物理蒸着法、化学蒸着法、ゾルゲル法などの周知の薄膜製造手法を適用できるし、また個別構造物の成形法にも既存のマスキングやエッチング手法を適用できることは当業者にとって自明である。
【0051】
[実施例1−1]
まず、製造プロセス1について説明する。本実施例では、高品質KTaNb 膜を基板1上に製造するための膜製造手法として、品質の優れた単結晶性膜が成膜できる液層エピタキシャル法を選択した。また、基板1として、KTaNb (0≦x≦1)基板、MgO基板、MgAl基板、およびNdGaO基板を使用した。また、バッファー層(アンダークラッド層)として、SiO材料、KTaNb (0≦x≦1)材料、MgO材料、MgAl材料またはNdGaO材料を堆積した半導体Si基板、GaAs基板、および、InP基板を使用した。
【0052】
KTaNb 膜2の成膜に際しては、不純物混入の抑止を目的として、溶媒および溶質をそれぞれカリウム系酸化物およびKTaNb 酸化物とし、セルフフラックス法を採用した。ここで、溶媒のカリウム系酸化物として、KVOとKOの混合物(KVO=30〜70mol%)、およびKCO炭酸塩を使用した。KTaNb (0≦y≦1)基板を用いた場合、基板と導波層との間に屈折率差ができるように、基板組成とは異なるx(0<x<1)を成膜材料として選択した。したがって、以下の説明においては、導波層として用いた材料の組成をKTaNb (0<x<1)で、基板1として用いた材料の組成をKTaNb (0≦y≦1)で示す。
【0053】
また、導波層の特性を変化させるために、KTaNb (0<x<1)に対して0〜10mol%のLiCOの添加も行った。溶質の溶媒に対する濃度は、相図に基づき目的のKTaNb 膜が初晶として析出する濃度領域30〜50mol%を選択した。また、成膜温度は、相図の液相線と使用溶質濃度より求められる固溶平衡温度1050〜1360℃を基準として、これより0〜10℃過冷却した温度を用いた。この温度は、低成膜速度が高品質膜を得る成膜条件のうちの一条件である。しかし、KTaNb 膜と使用基板材料の格子整合性、および溶液と使用基板の反応性を勘案し、過冷却度の大きい成長条件を使用する必要性もあった。
【0054】
成膜速度は1μm/min前後の成膜が可能であった。成膜時間は、あらかじめ求めた成膜速度と希望膜厚とを用いて導き出した。
【0055】
膜厚2μmに成膜したKTaNb 膜の結晶品質は、膜材と同様にホモエピタキシャル条件が成立している同材料基板を用いた場合がもっとも優れており、光透過損失にして0.10dB/cmの光学品質を有するKTaNb 膜の成膜が実現できた。また、成膜したKTaNb 膜は、X線回折法により<100>軸配向していることを確認した。
【0056】
[実施例1−2]
次に、製造プロセス2について説明する。リッジ型光導波路の導波層を形成するためのKTaNb 膜の加工には、フォトリソグラフィーを用いた。上述した薄膜上に、レジストを塗布し、幅2μmの導波路が形成できるマスクを用いて、露光および現像処理を行った。そして、イオンミリング法により、エッチング処理を施し、残留レジストを除去することにより、リッジ型導波路の導波層が得られた。導波層は、ほぼ2μm角の矩形導波層を成しており、SEM(scanning electron microscope)を使用した側壁の観察では、顕著な荒れは観察されなかった。
【0057】
このリッジ型導波路の導波層の損失を1.55μmで測定した結果、0.99dB/cmという損失値が得られ、加工による表面の凹凸が無視できる程度の、良好な導波層が形成できることを確認した。
【0058】
[実施例1−3]
次に、製造プロセス3について説明する。電極材料としては、KTaNb 膜に対して化学安定性の高い金属または電導体酸化物が好ましい。本実施例では、Auを電極材料として用いた結果について述べる。
【0059】
設計に基づいた形状を有したAu電極の製造にあたり、半導体集積回路製造で一般的な手法を適用した。具体的には、スパッタ法で成膜したAu薄膜をフォトリソグラフィーにより成形加工した。
【0060】
この製造プロセス3において行われる手法は一般的なものであるため、詳細な説明については省略する。
【0061】
[実施例1−4]
カバー層6に用いる材料としては、基板材料と同様のKTaNb (0≦u≦1)、MgO、MgAl、NdGaO酸化物、および既に製造した導波路および電極構造を劣化させにくいポリマーを選択して使用した。本実施例では、蒸着時の基板温度が低いスパッタ法を用いて、KNbO材料を成膜した結果について述べる。
【0062】
カバー層6の製作には、対向型イオンスパッタ装置を用いた。NbとKCOのターゲットを一面に設置し、その対面に距離2〜10cm離して、上述したプロセスにより製造された導波層および電極構造基板を設置した。雰囲気ガスとしてXeガスを使用し、圧力1〜3×10−4Torrのガス圧を使用した。そして、ターゲット−基板間にNbイオン、KCOイオンのエネルギーが400〜800eVとなる電圧を印加し、基板温度500〜700℃でKNbOカバー層となる膜を蒸着した。蒸着速度として、3Å/minが得られ、0.1μmの薄膜を蒸着した。ここで成膜された薄膜は、X線回折法によりKNbOであることが確認できた。
【0063】
製造プロセス3で製造された電極4に対して導線を導くために、製造プロセス2と同じ手法を用いて、電極4の上面に穴を設けた。
【0064】
製造プロセス1、製造プロセス2、製造プロセス3、および製造プロセス4の順でプロセスを行い製造した基本光集積回路を破断し、SEMにより断面観察を行ったが、顕著な構造的劣化は認められなかった。加えて、電極4に導線を配線し、1.55μmの光入力信号3を用いて性能の評価を行ったところ、設計から期待されたように高効率かつ低ノイズの波長変換デバイスや変調器の性能を確認することができた。
【0065】
以上、基板上にKTaNb1−x(0<x<1)からなる導波層を形成した場合について詳述したが、コア・クラッド構造を有する一般的な導波路において、コアをKTaNb1−x(0<x<1)で形成することにより、従来実現し得なかった多様な特性を有する光導波路を提供できることはいうまでもない。
【0066】
[実施例2]
図2は、本発明を適用した光導波路の他の構成を示す斜視図である。この場合、導波路構造は基板に沿った直方体であり、その直方体構造膜を薄膜成長で製造する方法として記述する。図中符号11は基板、12はKTaNb1−x膜、13は光入力信号、14は電極、15は光出力信号、16は溝である。光入力信号13が、隣接のKTaNb1−x膜12に伝送される。KTaNb1−x膜12は、電極14によって印加された外部電圧信号による光物性変化を生ずる。従って、伝送された光信号がKTaNb1−x膜12を通過する際、その特性変化に影響され変調する。変調を受けた光信号は光出力信号15として外部に取り出される。
【0067】
高品質KTaNb1−x膜を基板上に製造するため、膜製造手法として品質の優れた単結晶性膜が成膜できる液相エピタキシャル成長法を選択した。基板はエピタキシャル成長をするための基本条件である格子整合性を主眼に選択した。選択した基板はKTaNb1−x(0≦x≦1)基板、MgO基板、MgAl基板、もしくはNdGaO基板である。
【0068】
また、バッファ層としてSiO材料、もしくはKTaNb1−x(0≦x≦1)材料、MgO材料、MgAl材料、NdGaO材料を堆積した半導体Si基板、GaAs基板、もしくはlnP基板も使用した。マスキングとエッチングもしくはマスキンクとイオンミリングといった半導体集積回路で一般的なフォトリソグラフィー手法を用いて、導波路を形成したい領域の中心線に幅0.1〜0.2μm、深さ0.01μm以上の溝6をあらかじめ基板上にパターニングしておく。
【0069】
不純物混入の抑止を目的として、溶媒、溶質をそれぞれカリウム系酸化物、KTaNb1−x酸化物とし、セルフフラックス法で成膜することとした。溶媒のカリウム系酸化物として、KVOとKOの混合物(KVO=30〜70mol%)、もしくはK炭酸塩を使用した。KTaNb1−x(0≦x≦1)基板を用いた場合、基板と導波路問に屈折率差ができるよう基板組成と異なるx’(0≦x’≦1)を組成とするKTax’Nb1−x’を成膜材料として選択した。また、LiCOを添加剤として0〜10mol%添加することも行った。
【0070】
これにより、KTaNb1−xをK1−yLiTaNb1−x(0≦x≦1、0≦y≦0.5、x、yは組成)とした薄膜になる。溶質の溶媒に対する濃度は相図より目的のKTax’Nb1−x’が初晶として析出する濃度領域30〜50mo1%を選択した。また、成膜温度は、相図の液相線と使用溶質濃度より求められる固溶平衡温度1050〜1360℃を基準にそれより0〜10℃過冷却した温度を用いた。低成膜速度が高品質膜を得る成膜条件の1条件である。しかし、KTax’Nb1−x’と使用基板材料の格子整合性、および溶液と使用基板の反応性を勘案し過冷却度の大きい成長条件を使用する必要性もあった。成膜速度は1μm/min前後の成膜が可能であった。成膜時間はあらかじめ求めた成膜速度と希望膜厚から決定した。
【0071】
膜厚2μm成膜したKTax’Nb1−x’膜の結晶品質は、膜材と同じ、すなわちホモエピタキシャル条件が成立している構成元素が同じ材料基板を用いた場合がもっとも優れ、1.55μmにおける光透過損失で0.10dB/cmの光学品質を有したKTax’Nb1−x’膜が実現できた。X線回折法により、成膜したKTax’Nb1−x’膜は<100>軸に配向していることを確認した。
【0072】
また、その構造は、あらかじめ基板上に設けられた溝を中心として幅2μmの矩形断面を有した導波路が形成できた。また、SEM(scanning electron microscope)により導波路側面は{100}面で構成されたマクロステップで構成されていることが確認でき、従来のフォトリソグラフィーで加工した側面より平坦性が優れていた。厳密に言えば、成長核となった溝領域に突起を有した断面であるが、その突起が矩形断面に比して小さいため、透過する光への影響は小さかった。また、溝構造を基板上に設ける代わりに、成長核発生希望箇所に溝や穴を設けても同様の効果を得ることができた。
【0073】
図3は、KTaNb1−x結晶の成長核発生位置として、基板を加工して溝を形成した基板を示す図で、図中符号16は溝を示している。
【0074】
図4は、KTaNb1−x結晶の成長核発生位置として、基板を加工して穴を形成した基板を示す図で、図中符号17は穴を示している。
【0075】
また、基板を加工する替わりに、基板上に設けた電極層に溝や穴を設けることでも同様の効果を得ることができた。
【0076】
図5は、KTaNb1−x結晶の成長核発生位置として、基板上に穴のあいた電極層を設けた基板を示す図で、図6は、図5のA−A’断面図である。図中符号18は穴のあいた電極層を示している。
【0077】
[実施例3]
[実施例3−1]
次に、KTa1−xNbなる組成を有する結晶材料を用いたコアの結晶内部にLiイオンを拡散させ、屈折率の高くコアを形成する光導波路の製造方法について以下に説明する。
【0078】
両面を光学研磨した10mm角、厚さ0.5mmのKTN結晶板を、白金ボートにLiNO粉末と共に入れて、大気中、300℃、400℃、500℃、550℃で各10時間加熱した。融点261℃のLiNOは加熱されて融解し、KTN結晶板はLiNO融液に浸された状態となる。その後、試料は炉冷し、室温に達した後、ボートを取り出した。いずれの場合も、取り出した時点でLiNOは固化していた。このため、ボートを純水中で洗浄し、結晶基板を取り出した。試料中のLiイオンの拡散状態は、SIMSを用いて分析した。
【0079】
また、上述した試料のうち、550℃で熱処理した試料は、表面が白濁しており、一部剥離が見られた。これは、結晶表面のLiイオン濃度が局所的に高くなりすぎ、KTN結晶との密度差のために生じた現象と考えられる。従って、イオン拡散は500℃以下で行うことが好ましい。
【0080】
本実施例において、500℃の熱処理で得られたLiイオンの拡散プロファイルを図7に示す。図7から明らかなように、LiNO中での熱処理によってイオン拡散が生じていることが確認できた。また温度の上昇により、イオン濃度ならびに拡散距離が増加する。このようにして得られたLiを拡散させた結晶を、大気中、700℃、10時間加熱し、Liイオンの内部拡散を行った。
【0081】
このようにして得られたLiイオンのSIMS分析結果を図8に示す。また、プリズムカップリングを用い各モードの実行屈折率を測定し、IWKB法で推定した屈折率分布を図9に示す。図8及び図9から明らかなように、なだらかな屈折率分布が形成されていることがわかる。また、表面部分の比屈折率差は、1%以上であり、導波路として十分に機能する屈折率差がLi拡散で実行できることが明らかである。
【0082】
さらに、本実施例では、内部拡散を大気中で行ったが、酸素雰囲気中、不活性ガス雰囲気中、水蒸気雰囲気中、あるいはそれらの混合ガス中でも同様の効果が得られる。
【0083】
フォトリソグラフィー等により、KTN結晶表面にPtのマスクパターンを形成し、幅1μmに渡りPtの蒸着されていない直線部分を形成した。その結晶を、実施例1と同様の方法でLi拡散を施した。LiNO中での熱処理は400℃10時間、その後の内部拡散は、酸素中700℃で5時間行った。その後、Ptマスクは硝酸でエッチング除去した。本実施例で用いた結晶は20mm角、厚さ0.5mmである。
【0084】
従って、この方法によって、長さ20mmの直線導波路が形成できる。得られた導波路は1.55μmにおけるモードフィールド径が8μmの単一モード導波路であった。両端面に無反射コートを施した後に、単一モードファイバを調芯しUV樹脂で接続した。1.55μmの波長で測定した挿入損失は、2.5dBであり、端面の損失を考慮した導波路損失は0.1dB/cmであった。
【0085】
このように、本発明の実施例3−1の方法を用いれば、損失の小さい単一モード導波路が製造できることがわかる。また、拡散温度を300〜500℃の範囲、時間を2〜100時間の範囲で変えることで、モードフィールド径を任意に変化させることも可能であった。
【0086】
[実施例3−2]
上述した実施例3−1と同様の条件でLi拡散を行い、Ptをエッチングした後、結晶をKNO融液中400℃で5時間加熱した。KNO融液中でLiイオンを含む結晶が加熱されると、結晶表面近くのLiイオン濃度が高い部分からLiイオンがKNO融液中に拡散し、逆にKNO融液中のKイオンが結晶中に拡散してくる。この結果、結晶表面近くではLiイオンがKイオンに置換され、Liイオン濃度が低下する。
【0087】
その後、試料を室温まで冷却し、固化したKNOを純水で洗い落とし、結晶基板を取り出した。そして大気中、650℃で10時間加熱し、導波路の形成された結晶を得た。
【0088】
この方法で製造した導波路のLiイオン分布を深さ方向と、水平方向にSIMSを用いて測定した。その結果を図10に示す。この図10で明らかなように、上述した実施例3−1の方法に加え、KNO中での熱処理を行うことによって、ほぼ対称なイオン分布を有する導波路が製造できた。この導波路のTEモード、TMモード光透過特性に差はなく、本実施例の方法によって、偏波依存性のない拡散導波路が得られた。上述した実施例3−1と同様の方法で測定した導波路損失は、0.13dB/cmであり、KNO中の熱処理を行っても、損失の顕著な増加は認められず、本実施例の方法が偏波無依存化に有効な方法であることが明らかになった。なお、符号21は表面、22はLiイオン拡散領域(コア)、23はクラッドを示している。
【0089】
[実施例3−3]
上述した実施例3−1の方法で製造した直線導波路の上部に、周期約12μmの電極パターンを製造し、反対の面に金蒸着による下部電極を製造した。その結晶をペルチェ素子上に置き、温度制御を実施できるように構成した。導波路の高次モードのカットオフ波長は0.7μmであり、これより長波長は単一モード導波路として機能する。製造した導波路長は3cmであり、導波路の損失は0.15dB/cmであった。
【0090】
図11は、本実施例で製造したデバイスの構成を示す図で、電極のピッチは、0.775μmをポンプ光とし1.55μm帯の光を波長変換するために必要な疑似位相整合を実現するグレーティングピッチに対応している。この場合、電極ピッチは12μmとなる。電極に1kV/cmに対応する電圧を印加し、入射端から偏波保持ファイバを用いて、1.54μmの信号光と0.775μmのポンプ光を同時に入射し、出射光を、光スペクトラムアナライザを用いて測定した。なお、符号34はLi拡散導波路、35は上部電極、36は下部電極、37はペルチェ素子を示している。
【0091】
図12は、波長変換後のスペクトルを示す図で、aは信号光、bはポンプ光の2次回折光、cは変換光を示している。この図12から分かるように、変換効率を計算すると、効率はLiNbOの疑似位相整合デバイスの約20倍であった。この波長変換においては、光は拡散で製造したコアに閉じこめられており、コア部分の非線形定数が波長変換デバイスの効率を決定する。本実施例で示したように、Liを拡散したKTN導波路の非線形性は非常に高く、Li拡散前後で、非線形性の劣化が生じないことが明らかになった。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、アンダークラッド層と、アンダークラッド層上に形成され、アンダークラッド層よりも屈折率の高い導波層と、導波層を覆い、導波層よりも屈折率の低いオーバクラッド層とからなる光導波路であって、基板を前記アンダークラッド層とし、導波層は、光機能材料である立方晶KTaNb1−x(0<x<1)からなるので、立方晶KTaNb - 光機能材料を光集積回路に組み入れることで、従来実現し得なかった新たな機能または特性を有する光集積回路を提供できるという効果がある。
【0093】
また、導波路材料がKTaNb1−x結晶材料であることを活かして、成膜からフォトリソグラフィー等に至る導波路の形成プロセスを一括して、1回の成膜プロセスで光導波路を形成し、導波路の形成プロセスの煩雑さが解消できる。
【0094】
また、結晶内部にイオンを拡散させ、周囲よりも屈折率の高くなったイオンの分布領域を導波路コアとして利用する拡散導波路であって、結晶はKTa1−xNbなる組成であり、イオンはLiであるので、従来では実現できなかったKTN結晶の導波路化をLiの拡散によって実現できた。さらに、このLi拡散によって、KTNが本来有している高い非線形性を劣化させないことが明らかになり、本発明によって、これまで実現できなかったKTNによる高性能な波長変換デバイスや電気光学効果を用いたスイッチ等が実現可能となった。さらに、拡散によって偏波依存性の無い導波路も作製可能であるので、KTNの本来有している偏波無依存の特性を利用することが出来る。これによって、従来は困難であった偏波に依存しない光信号処理デバイスを製造できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光導波路の構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明を適用した光導波路の他の構造例を示す斜視図である。
【図3】KTaNb1−x結晶の成長核発生位置として、基板を加工して溝を形成した基板を示す図である。
【図4】KTaNb1−x結晶の成長核発生位置として、基板を加工して穴を形成した基板を示す図である。
【図5】KTaNb1−x結晶の成長核発生位置として、基板上に穴のあいた電極層を設けた基板を示す図である。
【図6】図5のA−A’断面図である。
【図7】本発明の実施例3−1におけるLiイオン分布のSIMS分析結果を示す図である。
【図8】実施例3−1における内部拡散後のLiイオン分布のSIMS分析結果を示す図である。
【図9】実施例3−1におけるLiイオン内部拡散後の屈折率分布を示す図である。
【図10】実施例3−2におけるK再拡散後の導波路断面図ならびにLiイオン分布のSIMS分析結果を示す図である。
【図11】実施例3−3における波長変換デバイスの構成図である。
【図12】実施例3−4における波長変換スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1 アンダークラッド層である基板
2 導波層
3 光入力信号
4 電極
5 光出力信号
6 オーバクラッド層(カバー層)
11 基板
12 KTaNb1−x
13 光入力信号
14 電極
15 光出力信号
16 溝
17 穴
18 穴のあいた電極層
21 表面
22 Liイオン拡散領域(コア)
23 クラッド
34 Li拡散導波路
35 上部電極
36 下部電極
37 ペルチェ素子

Claims (17)

  1. アンダークラッド層と、該アンダークラッド層上に形成され、該アンダークラッド層よりも屈折率の高い導波層と、該導波層を覆い、該導波層よりも屈折率の低いオーバクラッド層とからなる光導波路であって、
    基板を前記アンダークラッド層とし、
    前記導波層は、光機能材料である立方晶KTaNb1−x(0<x<1)からなることを特徴とする光導波路。
  2. 前記基板が、KTaNb1−y(0≦y≦1、y≠x)基板、MgO基板、MgAl基板、およびNdGaO基板のいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の光導波路。
  3. 前記アンダークラッド層が、前記基板と該基板上に堆積されたSiO、KTaNb1−z(0≦z≦1、z≠x)、MgO、MgAl、およびNdGaOのいずれか1つからなることを特徴とする請求項1に記載の光導波路。
  4. 前記オーバクラッド層は、KTaNb1−u(0≦u≦1、u≠x)、MgO、MgAl、NdGaO、およびポリマーのいずれか1つからなることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の光導波路。
  5. アンダークラッド層と、該アンダークラッド層上に形成され、該アンダークラッド層よりも屈折率の高い導波層と、該導波層を覆い、該導波層よりも屈折率の低いオーバクラッド層とからなる光導波路であって、
    基板を前記アンダークラッド層とし、
    前記導波層は、光機能材料である立方晶1−vLiTaNb1−x(0<x<1、0<v≦0.5)からなることを特徴とする光導波路。
  6. 前記基板が、KTaNb1−y(0≦y≦1)基板、MgO基板、MgAl基板、およびNdGaO基板のいずれか1つであることを特徴とする請求項5に記載の光導波路。
  7. 前記アンダークラッド層が、前記基板と該基板上に堆積されたSiO、KTaNb1−z(0≦z≦1)、MgO、MgAl、およびNdGaOのいずれか1つからなることを特徴とする請求項5に記載の光導波路。
  8. 前記オーバクラッド層は、KTaNb1−u(0≦u≦1)、MgO、MgAl、NdGaO3、およびポリマーのいずれか1つからなることを特徴とする請求項5,6又は7に記載の光導波路。
  9. アンダークラッド層と、該アンダークラッド層上に形成され、該アンダークラッド層よりも屈折率の高い導波層と、該導波層を覆い、該導波層よりも屈折率の低いオーバクラッド層とからなる光導波路の製造方法であって、
    基板を前記アンダークラッド層とし、
    前記基板上に結晶成長の核発生位置となる構造を形成する工程と、
    当該構造を中心として、光機能材料であるKTaNb1−x(0<x<1)の薄膜を直方体に成長させて、前記導波層を形成する工程と
    を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
  10. アンダークラッド層と、該アンダークラッド層上に形成され、該アンダークラッド層よりも屈折率の高い導波層と、該導波層を覆い、該導波層よりも屈折率の低いオーバクラッド層とからなる光導波路の製造方法であって、
    基板を前記アンダークラッド層とし、
    前記基板上に結晶成長の核発生位置となる構造を形成する工程と、
    当該構造を中心として、光機能材料であるK1−yLiTaNb1−x(0<x<1、0<y≦0.5)の薄膜を直方体に成長させて前記導波層を形成する工程と
    を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
  11. 前記結晶成長の核発生位置となる構造が、前記基板を加工して形成された溝または穴であるか、あるいは前記基板上に設けられた電極層を加工して形成された溝または穴であることを特徴とする請求項9又は10に記載の光導波路の製造方法。
  12. 前記導波路を液相エピタキシャル成長法によって成長させることを特徴とする請求項9又は10に記載の光導波路の製造方法。
  13. 結晶内部にイオンを拡散させ、周囲よりも屈折率の高くなった前記イオンの分布領域を導波路コアとして利用する光導波路であって、
    前記結晶はKTa1−xNbからなる組成であり、前記イオンはLiであることを特徴とする光導波路。
  14. 結晶内部にイオンを拡散させ、周囲よりも屈折率の高くなった前記イオンの分布領域を導波路コアとして利用する光導波路の製造方法であって、
    KTaNb1−x(0<x<1)からなる組成を有する前記結晶内部にLiイオンを拡散させて前記導波路コアを形成する拡散工程を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
  15. 前記拡散工程は、少なくともLiNOを含む融液中で前記結晶を熱処理する熱処理工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の光導波路の製造方法。
  16. 前記拡散工程は、前記熱処理工程の後に、
    前記結晶を洗浄する工程と、
    前記結晶を不活性ガス、窒素ガス、酸素、水蒸気のいずれか一つあるいはそれらの混合ガス中で熱処理する内部拡散工程と
    を含むことを特徴とする請求項14に記載の光導波路の製造方法。
  17. 前記拡散工程の後に、前記結晶をKNO融液中で熱処理する置換工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の光導波路の製造方法。
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